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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024169985
(43)【公開日】2024-12-06
(54)【発明の名称】圧力調整弁
(51)【国際特許分類】
   F16K 17/30 20060101AFI20241129BHJP
【FI】
F16K17/30 A
【審査請求】有
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023086889
(22)【出願日】2023-05-26
(71)【出願人】
【識別番号】000143949
【氏名又は名称】株式会社鷺宮製作所
(74)【代理人】
【識別番号】100134832
【弁理士】
【氏名又は名称】瀧野 文雄
(74)【代理人】
【識別番号】100165308
【弁理士】
【氏名又は名称】津田 俊明
(74)【代理人】
【識別番号】100115048
【弁理士】
【氏名又は名称】福田 康弘
(72)【発明者】
【氏名】横田 純一
【テーマコード(参考)】
3H060
【Fターム(参考)】
3H060AA02
3H060CC15
3H060DC05
3H060DC10
3H060DC12
3H060DD02
3H060DD12
3H060DF06
3H060HH17
(57)【要約】
【課題】二次側流路に向かう冷媒の圧力損失を抑制することができる圧力調整弁を提供する。
【解決手段】圧力調整弁10は、一次側ポート11A、二次側ポート11B、および弁座部11Cを有する弁本体11と、弁体12と、ベローズ13と、弁ばね14と、ベローズ13を弁本体11に支持する支持部材23と、を備える。支持部材23は、環状部233から径方向外側に延びる複数の延出部234を有し、延出部234には一次側から二次側に流れる冷媒を整流する整流手段が設けられている。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
弁体に作用する圧力に応じて開度を可変に制御する圧力調整弁であって、
一次側ポート、二次側ポート、および弁座部を有する弁本体と、
前記弁座部に対して二次側から着座または離座する弁体と、
前記弁体の二次側に一端が接続され他端が前記弁本体に接続されるベローズと、
前記ベローズの内部に設けられて前記弁体を前記弁座部に向かって付勢する弁ばねと、
前記ベローズの他端を前記弁本体に支持する支持部材と、を備え、
前記支持部材は、前記ベローズの他端に固定される環状部と、前記環状部から径方向外側に延びる複数の延出部と、前記弁本体に保持される被保持部と、を有し、
前記二次側ポートは、前記支持部材よりも二次側に設けられるとともに、流路面積が徐々に減少する二次側流路を有し、前記二次側流路の最小径部と、前記支持部の延出部と、は互いの一部同士が軸線方向に重なって設けられ、
前記支持部材の前記延出部には、一次側から二次側に流れる冷媒を整流する整流手段が設けられていることを特徴とする圧力調整弁。
【請求項2】
前記整流手段は、断面矩形状の前記延出部の一次側の角部に設けられたテーパ面か、または、軸線方向に長く形成された前記延出部の断面形状のいずれかで構成されていることを特徴とする請求項1に記載の圧力調整弁。
【請求項3】
前記弁本体は、前記一次側ポート、前記弁座部および前記ベローズを収容する二次室を構成する第1部材と、前記二次側ポートを構成する第2部材と、で構成され、前記二次室と前記二次側ポートとを仕切る位置に前記支持部材が配置され、
前記第2部材と前記支持部材との間には押圧部材が設けられ、前記第2部材と前記支持部材とで前記押圧部材を押圧した状態で、前記第2部材は、止金部材によって係止されることで前記第1部材に固定されていることを特徴とする請求項1に記載の圧力調整弁。
【請求項4】
前記第2部材は、ユニット配管側コネクタに接続されるコネクタを構成し、前記ユニット配管側コネクタ内の流路と、前記支持部材の前記延出部と、は互いの一部同士が軸線方向に重なって設けられていることを特徴とする請求項3に記載の圧力調整弁。
【請求項5】
前記二次側ポートの二次側流路は、流路面積が徐々に減少するようにテーパ状に形成されていることを特徴とする請求項1に記載の圧力調整弁。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、圧力調整弁に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、冷凍サイクルに用いられて開度を可変に制御することで、一次側の圧力を調整する圧力調整弁が知られている(例えば、特許文献1参照)。特許文献1に記載の圧力調整弁は、車両用空調装置の冷凍サイクルにおける蒸発器と圧縮機との間に設けられ、一次側の蒸発器内の蒸発圧力を所定値以上に保つことで、蒸発器内のフロスト(着霜)を防止するための蒸発圧力調整弁である。
【0003】
この圧力調整弁は、内部に冷媒通路が形成された弁本体と、冷媒通路を開閉する弁体と、弁体に対して弁閉方向に荷重をかけるベローズおよび弁ばねと、ベローズを弁本体に支持する支持部材と、を備えている。支持部材は、円環状の環状部と、環状部から放射状に延びる複数の延出部と、を備え、環状部が調整ねじおよびナットによってベローズの基端部に固定されるとともに、延出部の先端が弁本体の段部とフランジとに挟持されることによって弁本体に固定されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2015-004395号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1に記載されたような従来の圧力調整弁では、支持部材の延出部間を通過した冷媒はフランジ内部の二次側流路に流れるが、圧力調整弁が接続されるユニット側の配管が、圧力調整弁における弁本体の内径よりも小径となる場合、この二次側流路の内径が縮小されることになるため圧力損失が生じる。このような圧力調整弁は、冷凍サイクルシステムにおける蒸発圧力調整弁として利用されることから、通常は弁開状態となって流体が通過している状態であり、圧力損失が生じると循環する冷媒の流量が低下することとなり問題である。このため、圧力損失が生じにくく循環冷媒の流量を適正に確保することができる圧力調整弁の開発が望まれていた。
【0006】
本発明の目的は、二次側流路に向かう冷媒の圧力損失を抑制することができる圧力調整弁を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の圧力調整弁は、弁体に作用する圧力に応じて開度を可変に制御する圧力調整弁であって、一次側ポート、二次側ポート、および弁座部を有する弁本体と、前記弁座部に対して二次側から着座または離座する弁体と、前記弁体の二次側に一端が接続され他端が前記弁本体に接続されるベローズと、前記ベローズの内部に設けられて前記弁体を前記弁座部に向かって付勢する弁ばねと、前記ベローズの他端を前記弁本体に支持する支持部材と、を備え、前記支持部材は、前記ベローズの他端に固定される環状部と、前記環状部から径方向外側に延びる複数の延出部と、前記弁本体に保持される被保持部と、を有し、前記二次側ポートは、前記支持部材よりも二次側に設けられるとともに、流路面積が徐々に減少する二次側流路を有し、前記二次側流路の最小径部と、前記支持部材の延出部と、は互いの一部同士が軸線方向に重なって設けられ、前記支持部材の前記延出部には、一次側から二次側に流れる冷媒を整流する整流手段が設けられていることを特徴とする。
【0008】
このような本発明によれば、弁本体内部の流路に設けられる支持部材の複数の延出部に冷媒を整流する整流手段が設けられ、この整流手段によって整流された冷媒が二次側ポートに流れることによって、二次側流路の流路面積が徐々に減少していても、二次側流路における圧力損失が生じにくく冷媒の流量を適正に確保することができる。また、流路面積が徐々に減少する二次側流路の最小径部と、支持部材の整流手段が設けられた延出部と、は互いに一部同士が軸線方向に重なって設けられるため、流体が、複数の延出部間に形成される導通孔を介して二次側流路に流れ込む場合であっても圧力損失を抑制することができる。なお、二次側ポートとして流路面積が徐々に減少するテーパ状の二次側流路を有することで、二次側ポートを構成する部位の外径を大型化させることなく圧力損失を抑制することができ、圧力調整弁の大型化や重量増加を防止することができる。
【0009】
この際、前記整流手段は、断面矩形状の前記延出部の一次側の角部に設けられたテーパ面か、または、軸線方向に長く形成された前記延出部の断面形状のいずれかで構成されていることが好ましい。この構成によれば、支持部材の延出部にテーパ面を設けたり、延出部の断面形状を軸線方向に長く形成したりすることで、整流手段を比較的簡単かつ安価に構成することができる。
【0010】
また、前記弁本体は、前記一次側ポート、前記弁座部および前記ベローズを収容する二次室を構成する第1部材と、前記二次側ポートを構成する第2部材と、で構成され、前記二次室と前記二次側ポートとを仕切る位置に前記支持部材が配置され、前記第2部材と前記支持部材との間には押圧部材が設けられ、前記第2部材と前記支持部材とで前記押圧部材を押圧した状態で、前記第2部材は、止金部材によって係止されることで前記第1部材に固定されていることが好ましい。この構成によれば、第2部材と支持部材との間の押圧部材を押圧した状態で、第2部材が止金部材によって係止されて第1部材に固定されていることで、押圧部材の押圧力が止金部材に作用して外れにくくなり、第2部材を第1部材に確実に固定することができる。
【0011】
さらに、前記第2部材は、ユニット配管側コネクタに接続されるコネクタを構成し、前記ユニット配管側コネクタ内の流路と、前記支持部材の前記延出部と、は互いの一部同士が軸線方向に重なって設けられていることが好ましい。ユニット配管側コネクタ内の流路と支持部材の延出部とが軸線方向に重なって設けられていることで、延出部に設けた整流手段の効果により、ユニット配管側コネクタ内の流路にも整流された冷媒が流れることで、ユニット配管側コネクタにおける圧力損失も抑制することができる。
【0012】
さらに、前記二次側ポートの二次側流路は、流路面積が徐々に減少するようにテーパ状に形成されていることが好ましい。二次側流路がテーパ状に形成されていることで、二次側流路における圧力損失を抑制することができる。なお、二次側流路は、テーパ状に限らず、流路面積が徐々に減少するように階段状に形成されていてもよい。
【発明の効果】
【0013】
本発明の圧力調整弁によれば、二次側流路に向かう冷媒の圧力損失を抑制することができるので、循環冷媒の流量を適正に確保することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】本発明の一実施形態に係る圧力調整弁を示す断面図である。
図2】前記圧力調整弁の支持部材を示す正面図である。
図3】前記支持部材を示す斜視図である。
図4】(A)~(D)は、前記支持部材の要部を示す断面図である。
図5】前記圧力調整弁の図1に丸囲みA部で示す断面図である。
図6】前記圧力調整弁の図1にB-B線で示す断面図である。
図7】前記圧力調整弁の要部を示す断面図である。
図8】前記圧力調整弁を備えた冷凍サイクルの一部を示す構成図である。
図9】(A),(B)は、前記圧力調整弁の変形例を示す正面図および断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
本発明の第1実施形態に係る圧力調整弁について図1図8を参照して説明する。圧力調整弁10は、図8に一部を示す冷凍サイクルで利用される。この冷凍サイクルは、例えば車載用の空気調和機を構成するものである。圧力調整弁10は、一次側である蒸発器100と二次側である圧縮機200との間に設けられ、蒸発器100で気化された冷媒(流体)が導入され、圧力調整弁10によって冷媒の蒸発圧力を所定値以上に維持しつつ、冷媒を圧縮機200に送り出すものである。
【0016】
図1に示すように、圧力調整弁10は、軸線Lを中心とした全体円筒状の弁本体11と、弁本体11の内部に設けられる弁体12と、弁体12に接続されるベローズ13と、ベローズ13の内部に設けられる弁ばね14と、ベローズ13および弁ばね14の伸縮をガイドするガイド部15と、ベローズ13を弁本体11に接続するための接続部材16と、弁体12に摺動抵抗を付与する弾性部材としての羽根部材17と、圧力調整弁10を空気調和機の所定部位にボルト固定するための第1フランジ18および第2フランジ19と、を備えている。
【0017】
弁本体11は、それぞれ全体として円筒状の金属材料から切削加工により形成された第1部材21および第2部材22と、第1部材21と第2部材22との間に設けられる金属製円板状の支持部材23と、第1部材21に対して第2部材22を係止する止金部材24と、を有している。弁本体11は、一次側(図1の下側)に位置して蒸発器100に接続される一次側ポート11Aと、二次側(図1の上側)に位置して圧縮機200に接続される二次側ポート11Bと、一次側ポート11Aと二次側ポート11Bとを仕切る位置に設けられる弁座部11Cと、を有している。
【0018】
第1部材21は、一次側(図1の下側であり、蒸発器100側)に位置する第1円筒部211と、弁体12が着座可能な段付き状の弁座部11Cと、弁座部11Cよりも二次側に位置する二次室212と、二次室212よりも二次側にて内径が拡大された保持部213と、蒸発器100側の継手等をボルト固定する第1フランジ18と、を有して形成されている。第1円筒部211の内部空間によって一次側ポート11Aが構成されている。第1フランジ18は、第1部材21に一体に形成されている。
【0019】
第2部材22は、保持部213に保持されて二次室212に連通される被保持部221と、被保持部221から二次側に延びる第2円筒部222と、第2円筒部222の先端外周面に設けられて第2フランジ19と螺合する雄ねじ部223と、を有して形成されている。これらの二次室212、被保持部221および第2円筒部222の内部空間によって二次側ポート11Bが構成されている。被保持部221の外周下端部には、支持部材23を第1部材21に向かって押圧する押圧部材224が設けられ、被保持部221の外周面には、保持部213との間をシールすることで圧力調整弁10の内部と外部(大気)との間を気密に分離するシール部材225が設けられている。押圧部材224およびシール部材225は、それぞれゴム製のOリングによって構成されている。また、第2部材22は、被保持部221の内面にて構成され、二次側に向かって流路面積が徐々に減少するテーパ状の二次側流路226を有している。この二次側流路226の最小径部の内径は、二次室212の内径よりも小さくなっている。なお、二次側流路226は、テーパ状に限らず、二次側に向かって流路面積が徐々に減少するように階段状に形成されていてもよい。
【0020】
支持部材23は、第1部材21の二次室212上端部の段差部214と第2部材22の被保持部221下端部との間に押圧部材224を介して挟持され、第2部材22が止金部材24によって第1部材21の溝部216に係止されることで固定されている。この支持部材23は、中央部に接続部材16のボルト161が螺合するねじ孔231と、その周囲にて支持部材23を貫通する複数の導通孔232と、を有して形成されている。これら複数の導通孔232により、第1部材21の二次室212と第2部材22の被保持部221および第2円筒部222の内部とが連通され、冷媒が通過できるようになっている。
【0021】
弁体12は、全体円板状の金属部材からなり、弁座部11Cに二次側から着座または離座可能になっている。弁体12は、弁座部11Cよりも大径な円板部31と、円板部31の外周部から上方(二次側)に突出する2箇所の係止爪部32と、円板部31の上面に半円弧状に立設された2箇所の立上壁部33と、円板部31の中央部を貫通し、一次側ポート11Aと二次室212とを連通し弁閉時においても冷媒の微少な移動を許容する連通路であるブリード孔34と、ブリード孔34の周囲にて下方(一次側)に突出して羽根部材17を係止する係止部35と、を有して形成されている。この弁体12は、ベローズ13および弁ばね14の付勢力で下方に付勢されることによって弁座部11Cに着座する。一方、一次側ポート11Aに流入する蒸発器100からの冷媒の蒸発圧力が上昇すると、その蒸発圧力に応じて弁体12が弁座部11Cから離座するように構成されている。
【0022】
ベローズ13は、ステンレス鋼等の金属製の薄板材からプレス成形により全体として有底筒状かつ蛇腹状に形成された成形ベローズ131と、成形ベローズ131の一次側端部の面に例えばスポット溶接により溶接固定された円板状の金属プレート132と、成形ベローズ131の二次側端部に溶接固定されたフランジ部材133と、を有して構成されている。このベローズ13は、成形ベローズ131およびフランジ部材133が接合されることで密閉され、その内部が真空状態または極低圧状態とされている。金属プレート132は、弁体12の2箇所の係止爪部32の間に挿入されるとともに、2箇所の立上壁部33に当接するようになっており、これにより弁体12とベローズ13とが組み立てられている。
【0023】
ガイド部15は、ベローズ13の内部における一次側に設けられた円筒状のシリンダ部材151と、ベローズ13の内部における二次側のフランジ部材133に弁ばね14の付勢力により当接された連結部材152と、この連結部材152に固定されてシリンダ部材151に進退可能に支持されるピストン部材153と、を有している。また、弁ばね14は、圧縮ばねであって、シリンダ部材151と連結部材152との間に押圧状態で保持されている。従って、ガイド部15は、弁ばね14によって付勢力を受け、この付勢力が伝達されることでベローズ13は、軸線Lに沿った伸張方向に付勢されている。
【0024】
接続部材16は、ベローズ13のフランジ部材133に固定されるボルト161と、このボルト161に螺合するロックナット162と、を有している。ボルト161は、支持部材23のねじ孔231に螺合されており、ボルト161を回転させて軸線Lに沿った方向に進退させることで、ベローズ13および弁ばね14を伸縮させ、これにより弁体12に対する付勢力を調節し、圧力調整弁10が制御する蒸発圧力を所定の圧力となるように調整できるようになっている。そして、適宜な付勢力になるようにボルト161のねじ込み量を調節してから、ロックナット162をボルト161および支持部材23に締め付けることで、調節した付勢力が維持されるようになっている。
【0025】
図2は、支持部材23を示す正面図であり、図3は、支持部材23を示す斜視図である。図2、3に示すように、支持部材23は、ベローズ13の他端に固定される環状部233と、環状部233から径方向外側に延びる複数(3本)の延出部234と、延出部234を連結して円環状に形成され弁本体11に保持される被保持部235と、を有している。支持部材23は、被保持部235が第1部材21の二次室212上端部と第2部材22の被保持部221下端部との間に押圧部材224を介して挟持される。また、導通孔232は、環状部233と延出部234と被保持部235とに囲まれて形成されている。
【0026】
図4は、支持部材23の延出部234に設けられる各種の整流手段を示す図である。図4(A)において、整流手段は、断面矩形状の延出部234の一次側の角部を切り欠いて設けられた円弧状のテーパ面234Aによって構成されている。図4(B),(C)において、整流手段は、断面矩形状の延出部234の一次側の角部を切り欠いて設けられた傾斜状のテーパ面234Bによって構成されている。図4(D)において、整流手段は、軸線方向に長く形成された延出部234の断面形状であり、すなわち延出部234は、幅寸法Xよりも高さ寸法(軸線方向寸法)Yが大きく形成されている。このような整流手段を設けることで、支持部材23の延出部234周辺を通過する冷媒が整流され、流路抵抗が低減できるようになっている。
【0027】
図5は、弁本体11の第1部材21の段差部214に配置された支持部材23を示す断面図である。支持部材23の被保持部235の径方向の幅寸法は、第1部材21の段差部214の幅寸法よりも小さく形成されている。そして、第1部材21の二次室212の内径D1よりも支持部材23の被保持部235の内径D2が内径差C1だけ大きく形成されている。これにより、二次室212を通過する冷媒に対して支持部材23の被保持部235による抵抗が作用しにくくなっている。
【0028】
図6は、弁本体11における第1部材21と第2部材22との固定状態を示している。第2部材22は、第1部材21の保持部213内周面の溝部216に止金部材24を係止することによって固定される。止金部材24は、平面視C字形の板ばねで形成され、その先端部241を近づけるように変形させることで、保持部213に挿入可能であり、変形を解除することで径方向に拡がって溝部216に係止するようになっている。このように止金部材24によって第1部材21と第2部材22とを固定する際、第2部材22と支持部材23の間の押圧部材224を押圧することで、第2部材22に上向きの力が作用し、この上向きの力によって止金部材24が溝部216内の上面に押圧される。このように止金部材24は、自らの弾性力で径方向外側に拡がって溝部216に係止するとともに、押圧部材224の押圧力で溝部216内の上面に押圧されていることで、溝部216から外れることが防止されている。
【0029】
図7は、第2部材22にユニット配管側コネクタ25が接続された状態を示す断面図である。ここで、第2部材22および第2フランジ19によって圧力調整弁側コネクタが構成され、圧力調整弁側コネクタとユニット配管側コネクタ25とが図示しないボルトによって締結される。また、第2部材22の第2円筒部222内面とユニット配管側コネクタ25の外面との間には、ゴム製のOリングからなるシール部材251が設けられている。ユニット配管側コネクタ25内の流路を形成する内周面252は、第2部材22の第2円筒部222の内周面よりも内径寸法が小さく形成されている。ユニット配管側コネクタ25内の内周面252の内径寸法は、支持部材23の環状部233の外径寸法よりも寸法差C2だけ大きく形成されている。従って、ユニット配管側コネクタ25内の流路と、支持部材23の延出部234と、は互いの一部同士が軸線L方向に重なって設けられている。
【0030】
以上の本実施形態によれば、弁本体11内部の流路に設けられる支持部材23の複数の延出部234に冷媒を整流する整流手段が設けられ、この整流手段によって整流された冷媒が二次側ポート11Bに流れることによって、二次側流路226の流路面積が徐々に減少していても、二次側流路226における圧力損失が生じにくくなり冷媒の流量を適正に確保することができる。また、また、流路面積が徐々に減少するテーパ状の二次側流路226の最小径部と、支持部材23の延出部234と、は互いに一部同士が軸線L方向に重なって設けられるため、流体が、複数の延出部234間の導通孔232を介して二次側流路226に流れ込む場合であっても圧力損失を抑制することができる。また、二次側ポート11Bとして流路面積が徐々に減少するテーパ状の二次側流路226を第2部材22が有することで、第2部材22の外径を大型化させることなることなく圧力損失を抑制することができ、圧力調整弁10の大型化や重量増加を防止することができる。
【0031】
また、支持部材23の延出部234の一次側にテーパ面234A,234Bを設けたり、延出部234の断面形状を軸線L方向に長く形成したりすることで、整流手段を比較的簡単かつ安価に構成することができる。
【0032】
また、第2部材22と支持部材23との間の押圧部材224を押圧した状態で、第2部材22が止金部材24によって係止されて第1部材21に固定されていることで、押圧部材224の押圧力が止金部材24に作用して外れにくくなり、第2部材22を第1部材21に確実に固定することができる。
【0033】
また、ユニット配管側コネクタ25内の流路と支持部材23の延出部234とが軸線L方向に重なって設けられていることで、延出部234に設けた整流手段の効果により、ユニット配管側コネクタ25内の流路にも整流された冷媒が流れることで、ユニット配管側コネクタ25における圧力損失も抑制することができる。
【0034】
なお、本発明は、前記実施形態に限定されるものではなく、本発明の目的が達成できる他の構成等を含み、以下に示すような変形等も本発明に含まれる。例えば、前記実施形態では、一次側の蒸発器100と二次側の圧縮機200の間に接続されて蒸発圧力を所定値に調節する圧力調整弁10を例示したが、本発明の圧力調整弁は、冷凍サイクルにおける他の位置に設けられてもよい。また、前記実施形態では、車載用の空気調和機に用いられる圧力調整弁10を例示したが、本発明の圧力調整弁は、車載用に限らず住宅用やビル用の空気調和機に用いられてもよいし、空気調和機以外の冷凍冷蔵機に用いられてもよい。
【0035】
また、前記実施形態では、弁本体11の第1部材21と第2部材22とを固定する止金部材24として、平面視C字形の板ばねで形成されたものを例示したが、図9に示すような止金部材26を用いてもよい。図9(A)は、止金部材26の平面図であり、図9(B)は、止金部材26によって第1部材21と第2部材22とが固定された状態を示す断面図である。止金部材26は、円環状の本体部261と、本体部261から径方向外側に突出する複数(例えば、8個)の突出片部262と、を有した板ばねで形成されている。複数の突出片部262は上向きに傾斜しており、止金部材26を第1部材21の保持部213内に押し込む際に突出片部262がさらに上向きに変形し、溝部216内で自然状態の傾斜に戻りつつ溝部216に係止するようになっている。また、前述したように第2部材22に押圧部材224から作用する上向きの力によって、止金部材26の突出片部262先端が溝部216内の上面に押圧されている。
【0036】
以上、本発明の実施の形態について図面を参照して詳述してきたが、具体的な構成はこれらの実施の形態に限られるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲の設計の変更等があっても本発明に含まれる。
【符号の説明】
【0037】
10 圧力調整弁
11 弁本体
11A 一次側ポート
11B 二次側ポート
11C 弁座部
12 弁体
13 ベローズ
14 弁ばね
21 第1部材
212 二次室
22 第2部材
224 押圧部材
226 二次側流路
23 支持部材
233 環状部
234 延出部
234A,234B テーパ面(整流手段)
235 被保持部
24,26 止金部材
25 ユニット配管側コネクタ
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9