(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024170003
(43)【公開日】2024-12-06
(54)【発明の名称】モータ制御装置およびモータ制御方法
(51)【国際特許分類】
H02P 21/22 20160101AFI20241129BHJP
【FI】
H02P21/22
【審査請求】有
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023086908
(22)【出願日】2023-05-26
(71)【出願人】
【識別番号】000144027
【氏名又は名称】株式会社ミツバ
(74)【代理人】
【識別番号】110002871
【氏名又は名称】弁理士法人坂本国際特許商標事務所
(72)【発明者】
【氏名】志賀 右京
(72)【発明者】
【氏名】小林 知史
(72)【発明者】
【氏名】天下谷 浩和
(72)【発明者】
【氏名】池田 浩典
【テーマコード(参考)】
5H505
【Fターム(参考)】
5H505AA16
5H505DD06
5H505EE41
5H505GG04
5H505HA05
5H505HB01
5H505LL22
5H505LL41
(57)【要約】
【課題】 q軸電流およびd軸電流に対するフィードバック制御を行わずに、リップル吸収用のコンデンサの電荷を放電することができるモータ制御装置等を提供する。
【解決手段】 モータを駆動する駆動回路と、駆動回路の電源供給ラインに接続されたリップル吸収コンデンサと、d軸電流およびq軸電流に対するフィードバック制御に基づいて駆動回路に電気角に応じた第1の駆動信号を与えるフィードバック制御部と、フィードバック制御を用いずに、電気角に応じた所定の相電圧に対応する第2の駆動信号を駆動回路に与える相電圧制御部と、第1の駆動信号または第2の駆動信号を択一的に選択して駆動回路に与える選択部と、を備え、リップル吸収コンデンサの電荷の放電時に、選択部は、第2の駆動信号を選択し、相電圧制御部は、所定のd軸電流をモータに供給する所定の相電圧に対応する第2の駆動信号を出力する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
モータを駆動する駆動回路と、
前記駆動回路の電源供給ラインに接続されたリップル吸収コンデンサと、
d軸電流およびq軸電流に対するフィードバック制御に基づいて前記駆動回路に電気角に応じた第1の駆動信号を与えるフィードバック制御部と、
前記フィードバック制御を用いずに、電気角に応じた所定の相電圧に対応する第2の駆動信号を前記駆動回路に与える相電圧制御部と、
前記第1の駆動信号または前記第2の駆動信号を択一的に選択して前記駆動回路に与える選択部と、
を備え、
前記リップル吸収コンデンサの電荷の放電時に、前記選択部は、前記第2の駆動信号を選択し、前記相電圧制御部は、所定のd軸電流を前記モータに供給する前記所定の相電圧に対応する前記第2の駆動信号を出力するモータ制御装置。
【請求項2】
前記選択部により前記第2の駆動信号が選択されているときに、q軸電流の電流値を検知する検知部を備え、
前記相電圧制御部は、前記検知部により検知されるq軸電流の電流値に基づいて前記第2の駆動信号の位相をフィードバック制御する、請求項1に記載のモータ制御装置。
【請求項3】
前記相電圧制御部は、信号生成マップに基づいて、前記第2の駆動信号を生成し、
前記信号生成マップは、q軸電流の電流値を抑制するように、前記電気角と前記第2の駆動信号の値の関係を規定する、請求項1に記載のモータ制御装置。
【請求項4】
前記駆動回路の動作タイミングには、デッドタイムが含まれている、請求項2または請求項3に記載のモータ制御装置。
【請求項5】
d軸電流およびq軸電流に対するフィードバック制御に基づいて、モータを駆動する駆動回路に電気角に応じた第1の駆動信号を与えるフィードバック制御ステップと、
前記フィードバック制御を用いずに、電気角に応じた所定の相電圧に対応する第2の駆動信号を前記駆動回路に与える相電圧制御ステップと、
前記第1の駆動信号または前記第2の駆動信号を択一的に選択して前記駆動回路に与える選択ステップ部と、
を備え、
前記駆動回路の電源供給ラインに接続されたリップル吸収コンデンサの電荷の放電時に、前記選択ステップでは、前記第2の駆動信号を選択し、前記相電圧制御ステップでは、所定のd軸電流を前記モータに供給する前記所定の相電圧に対応する前記第2の駆動信号を出力する、モータ制御方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、モータ制御装置およびモータ制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、リップル吸収用のコンデンサの電荷を、駆動回路を介するd軸電流により放電するモータ制御装置が開示されている。このモータ制御装置では、リップル吸収用のコンデンサの電荷を放電する際に、q軸電流およびd軸電流をフィードバック制御することにより、q軸電流の電流値をゼロに維持しつつ、d軸電流を流している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、上記の技術では、例えば、q軸電流およびd軸電流をフィードバック制御することができない期間には、リップル吸収用のコンデンサの電荷を放電することができない。
【0005】
本発明は、q軸電流およびd軸電流に対するフィードバック制御を行わずに、リップル吸収用のコンデンサの電荷を放電することができるモータ制御装置等を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記問題を解決するために、本発明の一態様は、
モータを駆動する駆動回路と、
前記駆動回路の電源供給ラインに接続されたリップル吸収コンデンサと、
d軸電流およびq軸電流に対するフィードバック制御に基づいて前記駆動回路に電気角に応じた第1の駆動信号を与えるフィードバック制御部と、
前記フィードバック制御を用いずに、電気角に応じた所定の相電圧に対応する第2の駆動信号を前記駆動回路に与える相電圧制御部と、
前記第1の駆動信号または前記第2の駆動信号を択一的に選択して前記駆動回路に与える選択部と、
を備え、
前記リップル吸収コンデンサの電荷の放電時に、前記選択部は、前記第2の駆動信号を選択し、前記相電圧制御部は、所定のd軸電流を前記モータに供給する前記所定の相電圧に対応する前記第2の駆動信号を出力するモータ制御装置を提供する。
【発明の効果】
【0007】
この発明によれば、q軸電流およびd軸電流に対するフィードバック制御を行わずに、リップル吸収用のコンデンサの電荷を放電することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】第1の実施例のモータ制御装置の構成を示す図である。
【
図1A】駆動回路の出力部の回路構成例を示す図である。
【
図2】第1の実施例における3相電圧制御部の機能を示すブロック図である。
【
図4】第2の実施例のモータ制御装置の構成を示す図である。
【
図5】第2の実施例における3相電圧制御部の機能を示すブロック図である。
【
図6】デッドタイムの影響を受けた3相電圧値の波形を例示する図である。
【
図6A】デッドタイムの影響を受けた3相電流値の波形を例示する図である。
【
図7】デッドタイムの影響を受けたq軸電流値の波形を例示する図である。
【
図7A】デッドタイムの影響を受けたd軸電流値の波形を例示する図である。
【
図8】第2の実施例におけるq軸電流値の波形を例示する図である。
【
図8A】第2の実施例におけるd軸電流値の波形を例示する図である。
【
図9】第2の実施例において第2の駆動信号S2が示す3相電圧値の波形を例示する図である。
【
図9A】第2の実施例における3相電圧値の波形を例示する図である。
【
図9B】第2の実施例における3相電流値の波形を例示する図である。
【
図10】第3の実施例のモータ制御装置の構成を示す図である。
【
図11】第3の実施例における相電圧制御部の機能を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明の実施例について図面を参照して説明する。
【0010】
(第1の実施例)
図1は、第1の実施例のモータ制御装置の構成を示す図である。なお、各実施例のモータ制御装置は、例えば、車載の電動パワーステアリング(EPS)用のブラシレスモータを制御する装置として使用できるが、その用途は任意である。例えば、各実施例のモータ制御装置は、二輪電気自動車の動力源として使用されるブラシレスモータ、その他のブラシレスモータの制御に広く適用できる。
【0011】
図1に示すように、第1の実施例のモータ制御装置は、駆動回路10と、リップル吸収コンデンサCと、フィードバック制御部20と、3相-2軸変換部21(検知部の一例)と、3相電圧制御部30(相電圧制御部の一例)と、選択部40と、を備える。
【0012】
駆動回路10は、U、VおよびWの3相のブラシレスモータMを駆動する。駆動回路10には、電源供給ラインLおよびスイッチSWを介して電源装置11(例えば、車載のバッテリ)が接続されている。
【0013】
リップル吸収コンデンサCは、駆動回路10の電源供給ラインLとグランドの間に接続され、駆動回路10に対する電源インピーダンスを低下させるなどの機能を有する。
【0014】
フィードバック制御部20は、d軸電流およびq軸電流に対するフィードバック制御に基づいて駆動回路10に電気角に応じた第1の駆動信号S1を与える。
【0015】
3相電圧制御部30は、フィードバック制御部20によるフィードバック制御を用いずに、電気角に応じた所定の相電圧に対応する第2の駆動信号S2を駆動回路10に与える。第2の駆動信号S2は、U、VおよびWの3相間で相互に120°ずつ位相がシフトした相電圧を示す信号である。
【0016】
選択部40は、第1の駆動信号S1または第2の駆動信号S2を択一的に選択して駆動回路10に与える。
【0017】
図1に示すように、フィードバック制御部20は、3相-2軸変換部21から出力されるq軸電流値およびd軸電流値を受けるPI(比例・積分)演算部22と、2軸-3相変換部23とを有する。
【0018】
3相-2軸変換部21は、電流検出部51により取得されるU相電流値Iu、V相電流値IvおよびW相電流値Iwを、角度検出部52により取得されるブラシレスモータMの電気角θに基づいてq軸電流値およびd軸電流値に変換する。
【0019】
図1に示すように、PI演算部22には、目標q軸電流値および目標d軸電流値とが入力される。PI演算部22は、PI演算により、3相-2軸変換部21から入力されるq軸電流値およびd軸電流値を目標q軸電流値および目標d軸電流値に近づけるようなq軸電圧値およびd軸電圧値を出力する。
【0020】
2軸-3相変換部23は、PI演算部22から入力されたq軸電圧値およびd軸電圧値を、角度検出部52により取得されるブラシレスモータMの電気角θに基づいてU、V、Wの3相電圧値に変換する。
【0021】
図1Aは、駆動回路の出力部の回路構成例を示す図である。
【0022】
図1Aに示す例では、グランドと電源供給ラインLとの間にU相、V相、W相に対応する一対の半導体スイッチSU1、SU2、一対の半導体スイッチSV1、SV2、および一対の半導体スイッチSW1、SW2が直列に接続されている。また、ブラシレスモータMのU相、V相、およびW相の端子は、それぞれ、各一対の半導体スイッチSU1、SU2、半導体スイッチSV1、SV2、および半導体スイッチSW1、SW2の中間点に接続されている。
【0023】
各一対の半導体スイッチSU1、SU2、半導体スイッチSV1、SV2、および半導体スイッチSW1、SW2には、第1の駆動信号S1または第2の駆動信号S2に対応するパルス幅変調信号が入力される。
【0024】
次に、第1の実施例のモータ制御装置の動作について説明する。
【0025】
ブラシレスモータMの通常運転時には、スイッチSWが閉じられて、電源装置11から電源供給ラインLを介して駆動回路10に電力が供給される。
【0026】
また、選択部40は、2軸-3相変換部23により算出された3相電圧値を示す第1の駆動信号S1を選択し、第1の駆動信号S1が駆動回路10に入力される。したがって、駆動回路10は、第1の駆動信号S1に対応する3相電圧値をブラシレスモータMに供給する。
【0027】
このとき、フィードバック制御部20は、3相-2軸変換部21から得られるq軸電流値およびd軸電流値に基づき、フィードバック制御を実行する。すなわち、フィードバック制御部20は、q軸電流値およびd軸電流値を目標q軸電流値および目標d軸電流値に近づけるように、3相電圧値をフィードバック制御する。
【0028】
これにより、ブラシレスモータMの通常運転時には、q軸電流値およびd軸電流値が目標q軸電流値および目標d軸電流値にほぼ一致するように、ブラシレスモータMの回転が制御される。
【0029】
一方、リップル吸収コンデンサCの電荷を放電する際には、スイッチSWが開かれて、電源装置11から電源供給ラインLが切り離される。
【0030】
また、選択部40は、3相電圧制御部30から出力される相電圧値を示す第2の駆動信号S2を選択し、第2の駆動信号S2が駆動回路10に入力される。したがって、駆動回路10は、フィードバック制御部20によるフィードバック制御に依らずに、第2の駆動信号S2に対応する3相電圧値をブラシレスモータMに供給する。
【0031】
なお、リップル吸収コンデンサCの電荷の放電のタイミングは任意であるが、例えば、ブラシレスモータMの通常運転の開始時、開始後、ブラシレスモータMの点検時などに放電が行われる。
【0032】
図2は、3相電圧制御部の機能を示すブロック図である。
【0033】
図2に示すように、3相電圧制御部30は、機能的に、3相電気角生成部31と、位相制御部32と、sinマップ33と、増幅器34とを有する。
【0034】
3相電気角生成部31は、角度検出部52により検出される電気角θに基づいて、3相電気角を生成する。
【0035】
【0036】
図3に示す例では、sinマップ33は、U、V、Wの各相についてトルク定数と電気角θとの関係を示している。なお、
図3では、sinマップ33は、3相のすべてについてトルク定数と電気角θとの関係を示しているが、1つの相のみについての当該関係を示すものであってもよい。後者の場合、当該関係を120°ずつシフトすることにより、3相のすべてについてのトルク定数と電気角θとの関係が得られる。
【0037】
次に、3相電圧制御部30の動作について説明する。
【0038】
図2に示すように、3相電気角生成部31は、角度検出部52により検出される電気角θに基づいて、3相電気角を生成する。この3相電気角は、sinマップ33が示すU、V、Wの各相の位相に対応する。
【0039】
図2に示すように、3相電気角生成部31により生成された3相電気角は、位相制御部32に入力される。また、位相制御部32には、遅れ位相として90°の角度が与えられ、3相電気角生成部31により生成された3相電気角を90°遅らせた3相電気角が出力される。位相制御部32により90°位相が遅れた3相電気角は、sinマップ33に与えられ、sinマップ33に示される正弦波よりも位相が90°遅れた3相の正弦波が増幅器34に入力される。位相が90°遅れた3相の正弦波(3相電圧値)は、増幅器34により振幅が制御されて、第2の駆動信号S2として増幅器34から出力される。
【0040】
図3Aは、3相電圧値の波形を示す図、
図3Bは、3相電流値の波形を例示する図である。
【0041】
図3との比較で明らかなように、
図3Aに示されるU、V、W3相の正弦波は、それぞれ
図3に示されるU、V、W3相の正弦波に対して90°遅れた関係にある。
図3Aに示す相電圧値の位相は、d軸電流の位相に対応し、
図3Bに示す相電流値もこれに対応した波形を示している。このため、ブラシレスモータMのトルクを発生させることなく、リップル吸収コンデンサCの電荷をブラシレスモータMを介して放電することができる。
【0042】
図2に示すように、増幅器34には、増幅器34から出力される相電圧値の振幅を規定する振幅Aが与えられ、増幅器34は、相電圧値の振幅が振幅Aとなる第2の駆動信号S2を出力する。振幅Aは、d軸電流値に反映されるため、リップル吸収コンデンサCの電荷の放電時間に応じて定めることができる。例えば、d軸電流値を増加させて放電時間を短縮したい場合には、振幅Aをより大きな値に設定すればよい。
【0043】
第1の実施例によれば、リップル吸収コンデンサCの電荷の放電時に、不用意にブラシレスモータMにおけるトルクを発生させることが防止される。例えば、ブラシレスモータMを二輪電気自動車の動力源として使用する場合には、リップル吸収コンデンサCの電荷の放電時に、意図しない車両の動きを防止できる。
また、特開2019-134550号公報に開示された技術では、d軸放電での放電中にq軸電流およびd軸電流フィードバック制御に電流検出センサを必要とする。このため、電流検出センサが故障した場合、例えば、電動パワーステアリング用モータへの適用時には、放電中にセルフステアや振動のような動作をする。しかし、本実施例では、電流検出センサ(例えば、電流検出部51など)の故障があっても、このような動作が発生せず、安全に放電することができる。また、特開2019-134550号公報に開示された技術では、電動パワーステアリング用モータ作動中に放電処理に移行した場合も、d軸放電においてq軸電流およびd軸電流フィードバック制御に電流検出センサを必要とする。このため、電流検出センサの故障により同様の動作が発生する。しかし、本実施例では、電流検出センサの故障があっても、このような動作が発生せず、安全に放電することができる。
【0044】
また、フィードバック制御部20によるフィードバック制御に依らずに、リップル吸収コンデンサCの電荷を放電できる。このため、フィードバック制御部20によるq軸電流およびd軸電流に対するフィードバック制御ができないときであっても、リップル吸収コンデンサCの電荷を放電できる。
【0045】
(第2の実施例)
以下、第2の実施例のモータ制御装置について説明する。
【0046】
図4は、第2の実施例のモータ制御装置の構成を示す図である。
【0047】
図4に示すように、第2の実施例のモータ制御装置は、第1の実施例における3相電圧制御部30に代えて、3相電圧制御部30Aを備える。他の構成は、第1の実施例と同一であるため、説明は省略する。
【0048】
図5は、第2の実施例における3相電圧制御部の機能を示すブロック図である。
【0049】
図5に示すように、3相電圧制御部30Aは、機能的に、3相電圧制御部30の構成に加えて、電流フィードバック制御部35と、位相制御部32Aとを有する。
【0050】
図4および
図5に示すように、電流フィードバック制御部35には、目標q軸電流値と、3相-2軸変換部21から出力されるq軸電流値と、が入力される。電流フィードバック制御部35は、目標q軸電流値と、q軸電流値とに基づくフィードバック信号を位相制御部32Aに与える。
【0051】
次に、第2の実施例のモータ制御装置の動作について説明する。
【0052】
第1の実施例と同様、ブラシレスモータMの通常運転時には、スイッチSWが閉じられて、電源装置11から電源供給ラインLを介して駆動回路10に電力が供給される。
【0053】
また、選択部40は、2軸-3相変換部23により算出された3相電圧値を示す第1の駆動信号S1を選択し、第1の駆動信号S1が駆動回路10に入力される。したがって、駆動回路10は、第1の駆動信号S1に対応する3相電圧値をブラシレスモータMに供給する。
【0054】
第1の実施例と同様、フィードバック制御部20は、q軸電流値およびd軸電流値を目標q軸電流値および目標d軸電流値に近づけるように、3相電圧値をフィードバック制御する。これにより、ブラシレスモータMの通常運転時には、q軸電流値およびd軸電流値が目標q軸電流値および目標d軸電流値にほぼ一致するように、ブラシレスモータMの回転が制御される。
【0055】
また、リップル吸収コンデンサCの電荷を放電する際には、第1の実施例と同様、スイッチSWが開かれて、電源装置11から電源供給ラインLが切り離される。また、選択部40は、3相電圧制御部30Aから出力される相電圧値を示す第2の駆動信号S2を選択し、第2の駆動信号S2が駆動回路10に入力される。したがって、駆動回路10は、フィードバック制御部20によるフィードバック制御に依らずに、第2の駆動信号S2に対応する3相電圧値をブラシレスモータMに供給する。
【0056】
第2の実施例では、3相電圧制御部30Aは、q軸電流値を目標q軸電流値に近づけるように3相電圧値の位相を制御する。具体的には、電流フィードバック制御部35は、目標q軸電流値と、q軸電流値とに基づくフィードバック信号を位相制御部32Aに与える。位相制御部32Aは、位相制御部32で90°遅れさせた3相電圧値の位相をさらに調整することで、q軸電流値をフィードバック制御する。目標q軸電流値をゼロに設定すれば、ブラシレスモータMのトルクを安定して小さい値に抑制することができる。
【0057】
これに対し、第1の実施例において駆動回路10の動作タイミングにデッドタイムが含まれ、3相電流にデッドタイムの影響が大きく現れる場合がある。
【0058】
すなわち、
図1Aに示す構成において、グランドと電源供給ラインLとの間の一時的な短絡を防止するために、半導体スイッチSU1、SU2の両者をオープンにするデッドタイムと呼ばれる時間帯を設ける場合がある。半導体スイッチSV1、SV2、半導体スイッチSW1、SW2についても同様である。
【0059】
図6は、デッドタイムの影響を受けた3相電圧値の波形を例示する図、
図6Aは、デッドタイムの影響を受けた3相電流値の波形を例示する図、
図7は、デッドタイムの影響を受けたq軸電流値の波形を例示する図、
図7Aは、デッドタイムの影響を受けたd軸電流値の波形を例示する図である。
【0060】
デッドタイムの影響が大きい場合、
図6に示すように、3相電圧値が目減りし、歪んだ波形を示す。なお、
図6において、曲線61Uは、ブラシレスモータMに実際に与えられるU相電圧値を示し、曲線62Uは、第2の駆動信号S2が示すU相電圧値、いわば目標とするU相電圧値を示している。V相およびW相については、ブラシレスモータMに実際に与えられる相電圧値を示している。
【0061】
また、
図6Aに示すように、3相電流値に歪が生ずることになる。
図6Aの例では、
図3Bと比較して、デッドタイムにより相電流値が実質的にゼロとなる電気角θの区間が拡大している。
【0062】
また、
図7に示すように、q軸電流値が発生し、ブラシレスモータMには、電気角θに応じたq軸電流に対応するトルクが発生する。さらに、
図7Aに示すように、d軸電流値にも電気角θに応じた変動が発生する。
【0063】
これに対し、第2の実施例では、q軸電流に対するフィードバック制御により、q軸電流が実質的に発生せず、ブラシレスモータMにトルクが発生しない。
【0064】
図8は、第2の実施例におけるq軸電流値の波形を例示する図、
図8Aは、第2の実施例におけるd軸電流値の波形を例示する図である。
【0065】
図8に示すように、第2の実施例では、q軸電流に対するフィードバック制御により、q軸電流が実質的に発生しない。したがって、ブラシレスモータMにトルクが発生しない。また、
図8Aに示すように、d軸電流値にも電気角θに応じた変動が発生せず、d軸電流値はほぼ一定の値をとる。
【0066】
図9は、第2の実施例において第2の駆動信号S2が示す3相電圧値の波形を例示する図、
図9Aは、第2の実施例における3相電圧値の波形を例示する図、
図9Bは、第2の実施例における3相電流値の波形を例示する図である。
【0067】
図9に示すように、第2の実施例では、q軸電流に対するフィードバック制御の結果、デッドタイムの影響がキャンセルされるように第2の駆動信号S2が示す3相電圧値が補正される。このため、
図9Aに示すように、ブラシレスモータMに与えられる3相電圧値の歪が解消され、3相電流値の歪も解消されている。
【0068】
第2の実施例によれば、リップル吸収コンデンサCの電荷の放電時に、不用意にブラシレスモータMにおけるトルクを発生させることが防止される。例えば、ブラシレスモータMを二輪電気自動車の動力源として使用する場合には、リップル吸収コンデンサCの電荷の放電時に、意図しない車両の動きを防止できる。とくに、第2の実施例では、駆動回路20の動作タイミングに含まれるデッドタイムの影響を効果的に抑制することができる。このため、リップル吸収コンデンサCの電荷を放電する際に、ブラシレスモータMにおけるトルクを適切に管理できる。
また、特開2019-134550号公報に開示された技術では、d軸放電での放電中にq軸電流およびd軸電流フィードバック制御に電流検出センサを必要とする。このため、電流検出センサが故障した場合、例えば、電動パワーステアリング用モータへの適用時には、放電中にセルフステアや振動のような動作をする。しかし、本実施例では、電流検出センサ(例えば、電流検出部51など)の故障があっても、このような動作が発生せず、安全に放電することができる。また、特開2019-134550号公報に開示された技術では、電動パワーステアリング用モータ作動中に放電処理に移行した場合も、d軸放電においてq軸電流およびd軸電流フィードバック制御に電流検出センサを必要とする。このため、電流検出センサの故障により同様の動作が発生する。しかし、本実施例では、電流検出センサの故障があっても、このような動作が発生せず、安全に放電することができる。
【0069】
また、フィードバック制御部20によるフィードバック制御に依らずに、リップル吸収コンデンサCの電荷を放電できる。このため、フィードバック制御部20によるq軸電流およびd軸電流に対するフィードバック制御ができないときであっても、リップル吸収コンデンサCの電荷を放電できる。
【0070】
(第3の実施例)
以下、第3の実施例のモータ制御装置について説明する。
【0071】
図10は、第3の実施例のモータ制御装置の構成を示す図である。
【0072】
図10に示すように、第3の実施例のモータ制御装置は、第2の実施例における3相電圧制御部30Aに代えて、3相電圧制御部30Bを備える。他の構成は、第1の実施例および第2の実施例と同一であるため、説明は省略する。
【0073】
図11は、第3の実施例における相電圧制御部の機能を示すブロック図である。
【0074】
図11に示すように、3相電圧制御部30Bは、機能的に、3相電圧制御部30Aの構成の一部を信号生成マップ36に置換したものである。すなわち、信号生成マップ36は、実質的に、第2の実施例における位相制御部32、電流フィードバック制御部35、位相制御部32Aおよびsinマップ33に置換された機能を有する。
【0075】
【0076】
図12に示すように、信号生成マップ36は、3相電圧値と電気角θとの関係を示すマップである。
【0077】
第2の実施例では、3相電気角生成部31から出力される3相電気角が信号生成マップ36に与えられ、信号生成マップ36から電気角θに応じた3相電圧値(
図12)を示す第2の駆動信号が出力される。なお、3相電圧制御部30Bから3相電気角生成部31に対応する機能を省き、信号生成マップ36に直接、電気角θを入力してもよい。
【0078】
図12に示す信号生成マップ36を
図9と比較すると分かるように、信号生成マップ36により、第2の実施例と同様の3相電圧値を示す第2の駆動信号S2を生成することができる。第3の実施例では、d軸電流値に対するフィードバック制御を行わないため、ブラシレスモータMの回転速度が広範に及ぶ場合には、単一の信号生成マップ36だけでは、d軸電流値を正確にゼロに合わせ込むことは困難となる。しかし、例えば、リップル吸収コンデンサCの電荷を放電する際に、ブラシレスモータMが高速回転しないなどの条件が満たされる場合には、信号生成マップ36によりd軸電流値を、すなわち、ブラシレスモータMにおけるトルクを効果的に抑制できる。なお、ブラシレスモータMの回転速度等の条件に応じて、複数の信号生成マップ36を使い分けるようにしてもよい。
【0079】
第3の実施例によれば、リップル吸収コンデンサCの電荷の放電時に、不用意にブラシレスモータMにおけるトルクを発生させることが防止される。例えば、ブラシレスモータMを二輪電気自動車の動力源として使用する場合には、リップル吸収コンデンサCの電荷の放電時に、意図しない車両の動きを防止できる。とくに、第2の実施例では、駆動回路20の動作タイミングに含まれるデッドタイムの影響を効果的に抑制することができる。このため、リップル吸収コンデンサCの電荷を放電する際に、ブラシレスモータMにおけるトルクを適切に管理できる。
また、特開2019-134550号公報に開示された技術では、d軸放電での放電中にq軸電流およびd軸電流フィードバック制御に電流検出センサを必要とする。このため、電流検出センサが故障した場合、例えば、電動パワーステアリング用モータへの適用時には、放電中にセルフステアや振動のような動作をする。しかし、本実施例では、電流検出センサ(例えば、電流検出部51など)の故障があっても、このような動作が発生せず、安全に放電することができる。また、特開2019-134550号公報に開示された技術では、電動パワーステアリング用モータ作動中に放電処理に移行した場合も、d軸放電においてq軸電流およびd軸電流フィードバック制御に電流検出センサを必要とする。このため、電流検出センサの故障により同様の動作が発生する。しかし、本実施例では、電流検出センサの故障があっても、このような動作が発生せず、安全に放電することができる。
【0080】
また、フィードバック制御部20によるフィードバック制御に依らずに、リップル吸収コンデンサCの電荷を放電できる。このため、フィードバック制御部20によるq軸電流およびd軸電流に対するフィードバック制御ができないときであっても、リップル吸収コンデンサCの電荷を放電できる。
【0081】
以上説明したように、第1~第3の実施例によれば、フィードバック制御部20によるフィードバック制御に依らずに、リップル吸収コンデンサCの電荷を放電できる。このため、フィードバック制御部20によるq軸電流およびd軸電流に対するフィードバック制御ができないときであっても、リップル吸収コンデンサCの電荷を放電できる。また、リップル吸収コンデンサCの電荷を放電する際に、ブラシレスモータMにおけるトルクを適切に管理できる。
【0082】
以上、この発明の実施形態について図面を参照して詳述してきたが、具体的な構成はこの実施形態に限られるものではなく、この発明の要旨を逸脱しない範囲の設計等も含まれる。
【0083】
なお、以上の本発明の実施例に関し、更に以下の付記を開示する。
【0084】
[付記1]
モータ(M)を駆動する駆動回路(10)と、
前記駆動回路の電源供給ライン(L)に接続されたリップル吸収コンデンサ(C)と、
d軸電流およびq軸電流に対するフィードバック制御に基づいて前記駆動回路に電気角に応じた第1の駆動信号(S1)を与えるフィードバック制御部(20)と、
前記フィードバック制御を用いずに、電気角に応じた所定の相電圧に対応する第2の駆動信号(S2)を前記駆動回路に与える相電圧制御部(30、30A、30B)と、
前記第1の駆動信号または前記第2の駆動信号を択一的に選択して前記駆動回路に与える選択部(40)と、
を備え、
前記リップル吸収コンデンサの電荷の放電時に、前記選択部は、前記第2の駆動信号を選択し、前記相電圧制御部は、所定のd軸電流を前記モータに供給する前記所定の相電圧に対応する前記第2の駆動信号を出力するモータ制御装置。
【0085】
付記1に記載の構成によれば、リップル吸収コンデンサの電荷の放電時に、相電圧制御部は、所定のd軸電流をモータに供給する所定の相電圧に対応する第2の駆動信号を出力するので、q軸電流およびd軸電流に対するフィードバック制御を行わずに、リップル吸収用のコンデンサの電荷を放電することができる。
【0086】
[付記2]
前記選択部により前記第2の駆動信号が選択されているときに、q軸電流の電流値を検知する検知部(21)を備え、
前記相電圧制御部は、前記検知部により検知されるq軸電流の電流値に基づいて前記第2の駆動信号の位相をフィードバック制御する、付記1に記載のモータ制御装置。
【0087】
付記2に記載の構成によれば、q軸電流の電流値に基づいて第2の駆動信号の位相をフィードバック制御するので、モータにおけるトルクを適切に管理できる。
【0088】
[付記3]
前記相電圧制御部は、信号生成マップに基づいて、前記第2の駆動信号を生成し、
前記信号生成マップは、q軸電流の電流値を抑制するように、前記電気角と前記第2の駆動信号の値の関係を規定する、付記1に記載のモータ制御装置。
【0089】
付記3に記載の構成によれば、信号生成マップによりq軸電流の電流値が抑制されるので、モータにおけるトルクを適切に抑制できる。
【0090】
[付記4]
前記駆動回路の動作タイミングには、デッドタイムが含まれている、付記2または付記3に記載のモータ制御装置。
【0091】
付記4に記載の構成によれば、デッドタイムに起因して発生するq軸電流を管理できるので、モータにおけるトルクを適切に管理できる。
【0092】
[付記5]
d軸電流およびq軸電流に対するフィードバック制御に基づいて、モータを駆動する駆動回路に電気角に応じた第1の駆動信号を与えるフィードバック制御ステップと、
前記フィードバック制御を用いずに、電気角に応じた所定の相電圧に対応する第2の駆動信号を前記駆動回路に与える相電圧制御ステップと、
前記第1の駆動信号または前記第2の駆動信号を択一的に選択して前記駆動回路に与える選択ステップ部と、
を備え、
前記駆動回路の電源供給ラインに接続されたリップル吸収コンデンサの電荷の放電時に、前記選択ステップでは、前記第2の駆動信号を選択し、前記相電圧制御ステップでは、所定のd軸電流を前記モータに供給する前記所定の相電圧に対応する前記第2の駆動信号を出力する、モータ制御方法。
【0093】
付記5に記載の構成によれば、リップル吸収コンデンサの電荷の放電時に、相電圧制御部は、所定のd軸電流をモータに供給する所定の相電圧に対応する第2の駆動信号を出力するので、q軸電流およびd軸電流に対するフィードバック制御を行わずに、リップル吸収用のコンデンサの電荷を放電することができる。
【符号の説明】
【0094】
10 駆動回路
20 フィードバック制御部
21 3相-2軸変換部
30、30A、30B 3相電圧制御部
40 選択部
C リップル吸収コンデンサ
L 電源供給ライン
S1 第1の駆動信号
S2 第2の駆動信号
【手続補正書】
【提出日】2024-04-30
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
モータを駆動する駆動回路と、
前記駆動回路の電源供給ラインに接続されたリップル吸収コンデンサと、
d軸電流およびq軸電流に対するフィードバック制御に基づいて前記駆動回路に電気角に応じた第1の駆動信号を与えるフィードバック制御部と、
所定の相電圧に対応する第2の駆動信号を前記駆動回路に与える相電圧制御部と、
前記第1の駆動信号または前記第2の駆動信号を択一的に選択して前記駆動回路に与える選択部と、
を備え、
前記リップル吸収コンデンサの電荷の放電時に、前記選択部は、前記第2の駆動信号を選択し、前記相電圧制御部は、前記電荷の放電中に検出される電気角に応じたd軸電流を前記モータに供給する前記所定の相電圧に対応する前記第2の駆動信号を出力するモータ制御装置。
【請求項2】
前記選択部により前記第2の駆動信号が選択されているときに、q軸電流の電流値を検知する検知部を備え、
前記相電圧制御部は、前記検知部により検知されるq軸電流の電流値に基づいて前記第2の駆動信号の位相をフィードバック制御する、請求項1に記載のモータ制御装置。
【請求項3】
前記相電圧制御部は、信号生成マップに基づいて、前記第2の駆動信号を生成し、
前記信号生成マップは、q軸電流の電流値を抑制するように、前記電気角と前記第2の駆動信号の値の関係を規定する、請求項1に記載のモータ制御装置。
【請求項4】
前記駆動回路の動作タイミングには、デッドタイムが含まれている、請求項2または請求項3に記載のモータ制御装置。
【請求項5】
d軸電流およびq軸電流に対するフィードバック制御に基づいて、モータを駆動する駆動回路に電気角に応じた第1の駆動信号を与えるフィードバック制御ステップと、
電気角に応じた所定の相電圧に対応する第2の駆動信号を前記駆動回路に与える相電圧制御ステップと、
前記第1の駆動信号または前記第2の駆動信号を択一的に選択して前記駆動回路に与える選択ステップと、
を備え、
前記駆動回路の電源供給ラインに接続されたリップル吸収コンデンサの電荷の放電時に、前記選択ステップでは、前記第2の駆動信号を選択し、前記相電圧制御ステップでは、前記電荷の放電中に検出される電気角に応じたd軸電流を前記モータに供給する前記所定の相電圧に対応する前記第2の駆動信号を出力する、モータ制御方法。
【手続補正書】
【提出日】2024-10-09
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
モータを駆動する駆動回路と、
前記駆動回路の電源供給ラインに接続されたリップル吸収コンデンサと、
d軸電流およびq軸電流に対するフィードバック制御に基づいて前記駆動回路に電気角に応じた第1の駆動信号を与えるフィードバック制御部と、
所定の相電圧に対応する、前記第1の駆動信号とは異なる第2の駆動信号を前記駆動回路に与える相電圧制御部と、
前記第1の駆動信号または、前記第2の駆動信号を択一的に選択して前記駆動回路に与える選択部と、
を備え、
前記リップル吸収コンデンサの電荷の放電時に、前記選択部は、前記第2の駆動信号を選択し、前記相電圧制御部は、前記電荷の放電中に検出される電気角に応じたd軸電流を前記モータに供給する前記所定の相電圧に対応する前記第2の駆動信号を出力し、
前記所定の相電圧値の位相が前記d軸電流の位相に対応する、モータ制御装置。
【請求項2】
前記選択部により前記第2の駆動信号が選択されているときに、q軸電流の電流値を検知する検知部を備え、
前記相電圧制御部は、前記検知部により検知されるq軸電流の電流値に基づいて前記第2の駆動信号の位相をフィードバック制御する、請求項1に記載のモータ制御装置。
【請求項3】
前記相電圧制御部は、信号生成マップに基づいて、前記第2の駆動信号を生成し、
前記信号生成マップは、q軸電流の電流値を抑制するように、前記電気角と前記第2の駆動信号の値の関係を規定する、請求項1に記載のモータ制御装置。
【請求項4】
前記駆動回路の動作タイミングには、デッドタイムが含まれている、請求項2または請求項3に記載のモータ制御装置。
【請求項5】
d軸電流およびq軸電流に対するフィードバック制御に基づいて、モータを駆動する駆動回路に電気角に応じた第1の駆動信号を与えるフィードバック制御ステップと、
電気角に応じた所定の相電圧に対応する第2の駆動信号を前記駆動回路に与える相電圧制御ステップと、
前記第1の駆動信号または、前記第1の駆動信号とは異なる前記第2の駆動信号を択一的に選択して前記駆動回路に与える選択ステップと、
を備え、
前記駆動回路の電源供給ラインに接続されたリップル吸収コンデンサの電荷の放電時に、前記選択ステップでは、前記第2の駆動信号を選択し、前記相電圧制御ステップでは、前記電荷の放電中に検出される電気角に応じたd軸電流を前記モータに供給する前記所定の相電圧に対応する前記第2の駆動信号を出力し、
前記所定の相電圧値の位相が前記d軸電流の位相に対応する、モータ制御方法。