(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024170014
(43)【公開日】2024-12-06
(54)【発明の名称】アンテナ装置
(51)【国際特許分類】
H01Q 1/32 20060101AFI20241129BHJP
H01Q 1/22 20060101ALI20241129BHJP
【FI】
H01Q1/32 Z
H01Q1/22 B
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023086922
(22)【出願日】2023-05-26
(71)【出願人】
【識別番号】000006758
【氏名又は名称】株式会社ヨコオ
(74)【代理人】
【識別番号】110001667
【氏名又は名称】弁理士法人プロウィン
(72)【発明者】
【氏名】中村 大輔
(72)【発明者】
【氏名】生方 敦史
(72)【発明者】
【氏名】荒田 穣
(72)【発明者】
【氏名】萩原 好太郎
【テーマコード(参考)】
5J046
5J047
【Fターム(参考)】
5J046AA07
5J046AB06
5J046MA09
5J047AA07
5J047AB06
5J047EB01
(57)【要約】
【課題】低背化と小型化を実現できるアンテナ装置を提供する。
【解決手段】ケース部と、前記ケース部内に収容されるアンテナエレメントと、前記アンテナエレメントを配置するベース部と、前記ケース部と前記ベース部とを固定する固定部と、を備え、前記固定部は、前記アンテナエレメントの一部を貫通している、アンテナ装置。
【選択図】
図8
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ケース部と、
前記ケース部内に収容されるアンテナエレメントと、
前記アンテナエレメントを配置するベース部と、
前記ケース部と前記ベース部とを固定する固定部と、を備え、
前記固定部は、前記アンテナエレメントの一部を貫通している、
アンテナ装置。
【請求項2】
ケース部と、
前記ケース部内に収容される略板状のアンテナエレメントと、
前記アンテナエレメントを配置するベース部と、
前記ケース部と前記ベース部とを固定する固定部と、を備え、
前記固定部は、前記略板状のアンテナエレメントと略垂直な方向に延在するとともに
前記板状のアンテナエレメントの領域内に介在する、
アンテナ装置。
【請求項3】
前記固定部は、前記ケース部に設けられ、前記ベース部に向かって伸びる第1締結用ボスを有し、
前記第1締結用ボスは、前記アンテナエレメントを貫通する、
請求項1に記載のアンテナ装置。
【請求項4】
前記ベース部と前記ケース部との間を水密封止するパッキン部を備え、
前記第1締結用ボスは、前記パッキン部よりも内側に設けられている、
請求項3に記載のアンテナ装置。
【請求項5】
前記車両と前記ベース部の間に配置された防水パッド部を備え、
前記第1締結用ボスは、第1締結部材によって、前記防水パッド部に設けられた締結用孔を介して締結される、
請求項3に記載のアンテナ装置。
【請求項6】
前記アンテナエレメントは、前記回路部に接続される回路接続部を有し、
前記貫通孔は、前記アンテナエレメントにおける前記回路接続部と反対側に設けられている、
請求項3に記載のアンテナ装置。
【請求項7】
前記ベース部には、前記アンテナエレメントに向かって延びる第2締結用ボスが形成されており、
前記第2締結用ボスは、前記アンテナエレメントにおける前記回路接続部に近い側と、前記アンテナエレメントにおける前記回路接続部と反対側に設けられている、
請求項6に記載のアンテナ装置。
【請求項8】
前記貫通孔は、前記アンテナエレメントの外周から1mm以上離れた位置に設けられている、
請求項3に記載のアンテナ装置。
【請求項9】
前記貫通孔と前記第1締結用ボスとの間には、0.5mm以上の間隙が設けられている、
請求項3に記載のアンテナ装置。
【請求項10】
前記車両の表面から、前記ケース部の最大の高さは40mm以下である、
請求項1から9の何れか一つに記載のアンテナ装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、アンテナ装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、車両のルーフに装着されるアンテナ装置として、ポールアンテナやシャークフィンアンテナが提案されている(例えば特許文献1,2を参照)。ポールアンテナは、棒状のアンテナエレメントを用いる。ポールアンテナを備えたアンテナ装置の利用時には棒状のアンテナエレメントを立てて、当該アンテナ装置の非利用時には棒状のアンテナエレメントを倒す。シャークフィンアンテナは、例えば、板状のアンテナエレメントを折り曲げたりして車両のルーフ上に起立する。そうすることで、シャークフィンアンテナは、ある程度の低背化と搭載面積減少を図ることができる。
【0003】
しかし、ポールアンテナは、棒状のアンテナエレメントが車両のルーフ上においてその上方に起立して利用されるため、機械式洗車装置や機械式立体駐車場を利用する際には、棒状のアンテナエレメントを保護するために棒状のアンテナエレメントを倒すことや取り外すことが求められる。そのため、利用者の作業負担が増加する。
【0004】
また、シャークフィンアンテナでは、アンテナ利得を高めるために、例えば、アンテナエレメントを大面積化し、または、車両のルーフ上においてその上方への高さを確保する必要がある。そのため、シャークフィンアンテナの低背化には限界があった。また、シャークフィンアンテナは、車両のルーフ上においてその上方への高さを確保しなければならない関係から、法規等の外突規制によって車両のルーフ上においてその取り付け位置が限定されてしまう。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2015-142379号公報
【特許文献2】特開2012-161075号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明の目的の一例は、アンテナ装置を低背化や小型化することにある。本発明の他の目的は、本明細書の記載から明らかになるであろう。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の一態様は、ケース部と、前記ケース部内に収容されるアンテナエレメントと、
前記アンテナエレメントを配置するベース部と、前記ケース部と前記ベース部とを固定する固定部と、を備え、前記固定部は、前記アンテナエレメントの一部を貫通している、アンテナ装置である。
【0008】
本発明の上記態様によれば、アンテナ装置を低背化や小型化することができる。
【0009】
本発明の一態様は、ケース部と、前記ケース部内に収容される略板状のアンテナエレメントと、前記アンテナエレメントを配置するベース部と、前記ケース部と前記ベース部とを固定する固定部と、を備え、前記固定部は、前記平板状のアンテナエレメントと略垂直な方向に延在するとともに前記板状のアンテナエレメントの領域内に介在する、アンテナ装置である。
【0010】
本発明の上記態様によれば、アンテナ装置を低背化や小型化することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】第1実施形態に係るアンテナ装置1000を車両1に搭載した状態を示す模式図である。
【
図2】アンテナ装置1000の外観を示す模式斜視図である。
【
図3】アンテナ装置1000の構造を示す分解斜視図である。
【
図4】ケース部100の構造を示す模式斜視図である。
【
図5】ケース部100を取り外した状態でのアンテナ装置1000を示す模式斜視図である。
【
図6】ケース部100を装着した状態でのアンテナ装置1000を示す模式図であり、
図6(a)は天面111の直下位置A-Aでの断面視を示し、
図6(b)はA-A位置を示す側面視である。
【
図7】ケース部100を装着した状態でのアンテナ装置1000を示す模式図であり、
図7(a)は貫通孔420が設けられた位置B-Bでの断面視を示し、
図7(b)はB-B位置を示す上面視である。
【
図8】ケース部100を装着した状態でのアンテナ装置1000を示す模式図であり、
図7(b)の位置B-Bでの破断斜視図を示している。
【
図9】回路部500の構造例を示す模式図であり、
図9(a)は分解斜視図であり、
図9(b)は組み立てた状態を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
本発明を以下の実施形態を例として具体的に説明をするが、本発明はこれによって限定されるものではない。本実施形態における各装置、機構、手段等について特に詳細な言及がない場合には、これらについては当業者であれば周知の機械的装置、機構、手段等を用いることができる。本実施形態は、当業者が通常の知識に基づいて組み合わせることが可能であり、本実施形態について特記していない構成については、他の実施形態と同じ構成又はその実施形態に適した構成を有することができる。断面図において、他の部材と識別しやすくするために各部材の断面を様々な斜線で表しているが、これらの斜線の差異は、その部材の材質、形状等の差異を表すものではない。また、斜視図においても、他の部材と識別しやすくするために各部材を色又はドットで表す場合があるが、これらの差異も、その部材の材質、形状等の差異を表すものではない。
【0013】
(第1実施形態)
以下、本発明の第1実施形態について
図1~
図9を用いて説明する。
図1は、本実施形態に係るアンテナ装置1000を車両1に搭載した状態を示す模式図である。後述するように、本実施形態のアンテナ装置1000は、車両1のルーフ1aの表面からの高さを40mm以下とすることが好ましい。アンテナ装置1000の高さを40mm以下とすることで、外突規制の影響を受けず車両1のルーフ1aにおける前方に搭載することができる。
図1ではアンテナ装置1000をルーフ1aの前方中央に搭載した例を示しているが、後方であってもよく右側または左側に片寄った位置に搭載してもよい。また、アンテナ装置1000の搭載位置はルーフ1aに限定されない。なお、アンテナ装置1000は、例えば、AM/FM放送を受信するアンテナ装置、または FM放送を受信するアンテナ装置として用いられる。
【0014】
図1に示すように本実施形態では、車両1およびアンテナ装置1000に対する方向の定義として、便宜的に第1方向X、第2方向Y、第3方向Zとして説明する場合がある。なお、第1方向X、第2方向Y又は第3方向Zを示す矢印は、当該矢印の基端から先端に向かう方向が当該矢印によって示される方向の正方向であり、当該矢印の先端から基端に向かう方向が当該矢印によって示される方向の負方向であることを示している。第1方向Xは、車両1の幅方向に平行な方向となっている。第1方向Xの正方向は、車両1の右側から左側に向かう方向となっている。第1方向Xの負方向は、車両1の左側から右側に向かう方向となっている。第2方向Yは、第1方向Xに直交し、車両1の前後方向に平行な方向となっている。第2方向Yの正方向は、車両1の前方から後方に向かう方向となっている。第2方向Yの負方向は、車両1の後方から前方に向かう方向となっている。第3方向Zは、第1方向X及び第2方向Yの双方に直交し、車両1の高さ方向に平行な方向となっている。第3方向Zの正方向は、車両1の下方から上方に向かう方向となっている。第3方向Zの負方向は、車両1の上方から下方に向かう方向となっている。図面中の第1方向X、第2方向Y及び第3方向Zを、それぞれ幅方向、長さ方向及び高さ方向ともいう。
【0015】
図2は、アンテナ装置1000の外観を示す模式斜視図である。
図3は、アンテナ装置1000の構造を示す分解斜視図である。
図2および
図3に示したようにアンテナ装置1000は、ケース部100と、防水パッド部200と、車体取付用ネジ300と、アンテナエレメント400と、回路部500と、回路保持部600と、ベース部700と、連結部800を備えている。また、アンテナ装置1000を構成する各部は、締結部材10,20,30,40によって相互に組み合わされている。
【0016】
ケース部100は、防水パッド部200を覆うようにしてベース部700に取り付けられる。ケース部100は、内部空間を有する。ケース部100は、その内部空間にアンテナ装置1000を構成する各部を収容する。ケース部100を構成する材料は限定されないが、アンテナ装置1000で受信する電波を透過する材料で構成され、公知の樹脂材料を用いることができる。ケース部100の形状も限定されないが、
図1、
図2に示した例では第2方向Yに長く、第3方向Zに高さを有する収容部分と、防水パッド部200の外形に類似した形状の縁状部分とで構成されている。ケース部100の詳細な内部構造については、後述する。
【0017】
防水パッド部200は、車両1のルーフ1aとケース部100の間に配置された部材である。防水パッド部200は、その縁状部分がルーフ1aに密着することで、ケース部100の内部空間への外部からの水の浸入を防止する。また、防水パッド部200は、アンテナ装置1000が車両1のルーフ1aに設置された際に生じる車両1のルーフ1aとアンテナ装置1000との間隙を外部から目隠しする機能も有する。防水パッド部200を構成する材料は限定されないが、ケース部100の縁状部分を良好に密着させるとともに、ルーフ1aからケース部100を絶縁するために、ゴム状の弾性を有する樹脂を用いることが好ましい。防水パッド部200の詳細な構造については、後述する。
【0018】
車体取付用ネジ300は、ルーフ1aに設けられた接続用の孔(図示省略)に挿通されて、車室内側から防水パッド部200の下面側に取り付けられる部材である。車体取付用ネジ300の材料は限定されないが、アンテナ装置1000の接地確保するための導電性材料を用いることが好ましい。
【0019】
アンテナエレメント400は、板状の導体で構成されている。アンテナエレメント400は、所定周波数の電波を受信し、受信した電波信号を回路部500に伝達する。
図3に示した例では、アンテナエレメント400は、外形が第2方向Yに長い略方形状であり、XY平面内に延在して配置されている。アンテナエレメント400の詳細な構造については、後述する。
【0020】
回路部500は、アンテナエレメント400で受信した電波を電気信号に変換する電子回路を搭載している。回路部500は、アンテナエレメント400と電気的に接続される入力端子部を備え、入力端子部を介して伝達されたアンテナエレメント400の電圧変動を電子回路で電気信号に変換する。電子回路で得られた電気信号は、回路部500に接続されているケーブル540を介してアンテナ装置1000の外部、例えば、ケーブル540に接続されたオーディオ装置などの車両1の車室内に設けられた電子機器に伝達される。回路部500に搭載される電子回路の具体的な構成は限定されず、公知のアンテナ用回路を用いることができる。また、回路部500は、回路保持部600に固定されるための複数の締結用孔511,512を有する。回路部500の詳細な構造については後述する。
【0021】
回路保持部600は、回路部500をベース部700上に位置決めして保持する部材である。回路保持部600は、回路部500を位置決めし、固定するための複数の締結用孔511,512が設けられている。回路保持部600は、回路部500の複数の締結用孔511,512が複数のネジ穴610の各々に、上面視において重ねられた位置になることで回路部500を回路保持部600上に位置決めする。回路保持部600上に位置決めされた回路部500は、複数のネジ穴610の各々に締結部材20が回路部500の締結用孔511,512を介して締結することで、回路保持部600上に固定される。また、回路保持部600は、ベース部700に位置決めされて固定されるための複数のネジ穴620が設けられている。回路保持部600は、ベース部700の複数の貫通孔760の各々に複数のネジ穴620が上面視において重ねられた位置になることでベース部700上に位置決めされる。ベース部700上に位置決めされた回路保持部600は、複数のネジ穴620の各々に締結部材30がベース部700の貫通孔760を介して当該ベース部700の下側から締結することで、ベース部700上に固定される。また、回路保持部600の一部は、上面視においてベース部700に設けられた開口部770および防水パッド部200に設けられた開口部240の各々と重なる位置に位置している。そして、回路保持部600の一部は、そられ開口部770及び開口部240を介して、防水パッド部200の下面側から露出する。回路保持部600を構成する材料は限定されないが、アルミダイカスト等の導電性材料を用い、回路部500の接地端子と接触させて接地配線の一部として機能させるとしてもよい。
【0022】
ベース部700は、防水パッド部200上に搭載され、ケース部100、回路保持部600およびアンテナエレメント400を保持する部材である。ベース部700は、略板状の部分にボスやリブがその表面から起立するように設けられている。ベース部700は、回路保持部600の一部を下面側から露出させる開口部770が設けられている。また、ベース部700は、回路保持部600を位置決めし、固定するための複数の貫通孔760を有する。ベース部700を構成する材料は限定されないが、絶縁性の樹脂を用いることが好ましい。ベース部700のボス上に搭載されたアンテナエレメント400は、締結部材10で締結されて所定の高さ位置で位置決めおよび固定される。ベース部700の詳細な構造については後述する。
【0023】
連結部800は、ルーフ1aに設けられた不図示の貫通部を介して、車室内側から回路保持部600に組付けられて、アンテナ装置1000をルーフ1a上に固定する部材である。連結部800の具体的な構成は限定されず、従来公知のキャプチャーおよびキャプチャーファスナー等の構成を用いることができる。例えば、連結部800は、車体取付用ネジ300と回路保持部600の一部を構成する締結部630を有する。車体取付用ネジ300が車室内側からルーフ1aに設けられた不図示の貫通孔を介して回路保持部600の一部として設けられた締結部630に螺回することで、車体取付用ネジ300の周りに設けられ車体取付用ネジ300の螺回に従ってX方向に開く複数の爪部(不図示)が、ルーフ1aの下面に喰い込む。そして、アンテナ装置1000が連結部800により車両1のルーフ1aに固定される。なお、車体取付用ネジ300などからなる連結部800は、導通性の材質で形成されていることから回路保持部600と導通することで、グランドとしての機能も有している。
【0024】
図4は、ケース部100の構造を示す模式斜視図である。
図4ではケース部100の上下を裏返してルーフ1a側から見た内部構造の斜視図を示している。
図4に示したようにケース部100は、内部空間を形成する収容部分110と、縁状部分120と、内部壁130と、溝部140と、ボス支持部150と、締結用ボス160,170を備えている。
【0025】
収容部分110は、天面111と壁面112により囲まれ、筐体として機能する部分である。天面111と壁面112により囲まれる筐体として機能する部分の下端(第3方向Zの負方向端部)は開放されている。そして、収容部分110は、その開放から内部にアンテナエレメント400と回路部500と回路保持部600を収容可能となっている。天面111には複数のボス支持部150が当該天面111の内面から第3方向Zの負方向に向けて起立した状態で設けられており、
図4において第3方向Zの負方向側に位置するベース部700(
図4では不図示)に向けてボス支持部150および締結用ボス160が延伸されている。また、壁面112には複数の締結用ボス170が設けられており、第3方向Zの負方向に位置するベース部700に向けて締結用ボス170が延伸されている。壁面112の下端には、壁面112よりも外側に拡がった縁状部分120が形成されている。
【0026】
縁状部分120は、壁面112の下端部分から外側に拡がり、最外周が防水パッド部200(
図4では不図示)の位置する方向(第3方向Zの負方向)に向けて延伸する形状となっている。また縁状部分120は、防水パッド部200に向けて延伸した部分の先端が防水パッド部200に圧接されて、ケース部100内を水密封止する構造の一部を構成する。縁状部分120の内側には、縁状部分120と相似形状の内部壁130が形成されており、縁状部分120と内部壁130との間には両者を隔てる溝部140が設けられている。
【0027】
内部壁130は、縁状部分120の内側に設けられて防水パッド部200の位置する方向(第3方向Zの負方向)に延伸して形成された環状の壁である。内部壁130の形状は限定されないが、縁状部分120と相似形状であることが好ましい。また、内部壁130の先端は、縁状部分120の先端とは天面111からの高さに差が設けられており、縁状部分120の先端よりも天面111に近い位置(ルーフ1aから遠い位置)にまで形成されている。また内部壁130は、先端が防水パッド部200に圧接されて、ケース部100内を水密封止する構造の一部を構成する。内部壁130よりも外周には溝部140と縁状部分120のみが設けられており、締結用ボス160,170は内部壁130の内側に設けられている。また、本実施形態では内部壁130を設けた例を示したが、縁状部分120の先端と防水パッド部200との接触により十分に水密を確保できる場合には内部壁130を省略するとしてもよい。
【0028】
溝部140は、縁状部分120と内部壁130との間に設けられて両者を隔てる溝形状の部分である。溝部140の幅は限定されないが、縁状部分120と内部壁130の間隔が内部壁130と防水パッド部200の接触に十分な面積を確保できる幅(例えば2mm以上)であることが好ましい。また、本実施形態では溝部140を設けた例を示したが、縁状部分120および内部壁130の先端と防水パッド部200との接触により十分に水密を確保できる場合には溝部140を省略するとしてもよい。
【0029】
ボス支持部150は、天面111からベース部700の位置する方向に向けて起立されて締結用ボス160を支持する部分である。ボス支持部150の形状は限定されないが、
図4に示した例では、一対の板状の柱と先端を橋渡しする平面部を備えており、平面部から締結用ボス160が設けられている。ここではボス支持部150と締結用ボス160とを別部分として説明したが、両者が一体となって本発明における第1締結用ボスまたは固定部を構成すると見做すこともできる。
【0030】
締結用ボス160は、ボス支持部150の先端に設けられたベース部700の位置する方向に向けて延伸された柱状の部分である。締結用ボス160の先端には、締結部材40を締結するネジ穴が設けられている。締結用ボス160は、後述するアンテナエレメント400の貫通孔420に対応した位置に設けられており、本発明における第1締結用ボスまたは固定部に相当している。また、
図4に示した例ではボス支持部150の先端に締結用ボス160を設けた例を示したが、他の部分に設けるようにしてもよく、例えば、天面111に締結用ボス160を直接設けるとしてもよい。
【0031】
締結用ボス170は、ケース部100の内側に設けられ、ベース部700が位置する方向に向けて延伸された柱状の部分である。締結用ボス170の先端には、締結部材40を締結するネジ穴が設けられている。
図4では、締結用ボス170が設けられる領域として、壁面112の下端部分から縁状部分120に向かって拡がる平坦な領域を示しているが、締結用ボス170を設ける位置は限定されない。締結用ボス170も、本発明における第1締結用ボスに相当している。
【0032】
図5は、ケース部100を取り外した状態でのアンテナ装置1000を示す模式斜視図である。
図5に示すように、ベース部700は防水パッド部200に嵌め込まれている。締結部材20は、回路保持部600と回路部500を締結する。また、締結部材30は、回路保持部600をベース部700に締結する。また、アンテナエレメント400は、上面視において回路部500を覆うようにベース部700上に配置されている。アンテナエレメント400は、締結部材10で後述する締結用ボス730を介してベース部700上に締結されている。
【0033】
図5に示すように、防水パッド部200は、防水底部210と、パッキン部220を設ける。また、アンテナエレメント400は、エレメント本体410と、貫通孔420と、締結用孔430と、補強用凹凸440と、位置決孔450と、回路接続部460を設ける。また、ベース部700は、ベース底部710と、外周壁部720と、締結用ボス730と、位置決用リブ740と、位置決凸部741と、締結用孔750を設ける。
【0034】
防水底部210は、車両1のルーフ1aに沿って搭載され、ベース部700との間に配置される板状の部分である。防水底部210はベース部700のベース底部710よりも大きく、上面視においてベース底部710が防水底部210の内側に収まっている。パッキン部220は、防水底部210の外周に沿って設けられている。また、防水底部210は、回路保持部600に対応する位置に開口部(図示省略)を設けており、この開口部において回路保持部600と連結部800が機械的に連結されている。
【0035】
パッキン部220は、防水底部210の外周に沿って設けられた部分であり、上方に伸びる突起部分と、突起部分から内周方向に延長されたオーバーハング部を備えている。したがって、パッキン部220のオーバーハング部と防水底部210の間には所定の高さの空隙が確保されている。このオーバーハング部の下の空隙には、後述するようにベース部700のベース底部710が嵌め込まれている。パッキン部220の形状は限定されないが、ベース部700の外周壁部720に対応した形状であり、外周壁部720の外側面に当接することが好ましい。
【0036】
エレメント本体410は、導体で構成された略平板状の部分である。エレメント本体410を構成する材質は限定されないが、錫メッキを施した鉄等を用いることができる。エレメント本体410は、複数の貫通孔420と、締結用孔430と、位置決め孔450を設ける。また、エレメント本体410には、ベース部700の位置する方向に向けて凹凸として補強用凹凸440が形成されている。また、エレメント本体410の一端は回路部500方向に折り曲げられて回路接続部460を構成している。
【0037】
貫通孔420は、エレメント本体410に開口された孔である。貫通孔420はケース部100の締結用ボス160に対応した位置に設けられている。貫通孔420は、締結用ボス160の外径よりも大きく形成されて締結用ボス160を挿入可能とする。貫通孔420の大きさ及び数は限定されないが、製造誤差による干渉を防止するために、締結用ボス160が挿入された状態で0.5mm以上の間隙を確保できることが好ましい。貫通孔420と締結用ボス160が設けられる位置は、エレメント本体410の外周よりも内部であれば限定されない。
図5に示した例では、エレメント本体410が略矩形状であり、二つの貫通孔420を短辺に近い角部近傍に設けている。アンテナエレメント400の剛性を確保するためには、エレメント本体410の外周から1mm以上離れた位置に貫通孔420を設けることが好ましい、貫通孔420をエレメント本体410の外周よりも内側に設けることで、エレメント本体の外周に切込みが形成された場合の周波数帯域への影響を抑制することができる。
【0038】
締結用孔430は、締結用ボス730に対応した位置に形成され、締結部材10を用いてエレメント本体410を締結用ボス730に締結するための孔である。締結用孔430が設けられる位置は限定されないが、
図5に示した例では、二つの貫通孔420の間と回路接続部460に近い角部近傍に締結用孔430を設けている。
【0039】
補強用凹凸440は、エレメント本体410にプレス加工等によって形成された凹凸である。補強用凹凸440が形成されていることで、エレメント本体410の剛性を高めて、エレメント本体410の変形や振動を抑制することができる。補強用凹凸440を設ける位置と形状は限定されないが、
図5に示した例では、貫通孔420と回路接続部460の間の領域に補強用凹凸440が形成されている。また
図5に示した例では、補強用凹凸440として、長辺方向(第2方向Y)と短辺方向(第1方向X)に沿って延びる直線が2箇所の角部で屈曲して連続する形状を示している。
【0040】
位置決孔450は、位置決用リブ740に対応する位置に設けられた孔である。位置決孔450は、位置決凸部741の外径よりも大きく形成されて位置決凸部741が挿入可能とされている。位置決孔450は、位置決凸部741を挿入することでベース部700に対するアンテナエレメント400の位置を決めることが可能な程度のマージンを有する大きさに形成されている。位置決孔450と位置決用リブ740が設けられる位置は限定されないが、
図5に示した例では、貫通孔420と補強用凹凸440の中間と、回路接続部460に近い角部近傍に設けている。
【0041】
回路接続部460は、エレメント本体410の一部が折り曲げられて回路部500方向に伸びる部分である。回路接続部460を設ける位置は限定されないが、
図5に示した例では貫通孔420とは反対側の短辺に沿って帯状に切り出された形状としている。回路接続部460の先端は、回路部500が備える端子部分に電気的に接続されている。
【0042】
ベース底部710は、防水パッド部200上に搭載される板状の部分である。ベース底部710はアンテナエレメント400よりも大きく、上面視においてアンテナエレメント400を内側に収める。ベース底部710は、外周壁部720と、締結用ボス730と、位置決用リブ740を設ける、また、ベース底部710は、複数の締結用孔750を設ける。
図5では図示していないが、ベース底部710は外周壁部720よりも外側に延長されており、後述するようにその延長部分は防水パッド部200の防水底部210とパッキン部220の間に嵌め込まれている。また、ベース底部710は、防水パッド部200の開口部に対応する位置に開口部(図示省略)を設け、これらの開口部において回路保持部600と連結部800が機械的に連結されている。
【0043】
ベース底部710の形状は限定されないが、
図5に示した例では、ベース底部710のX方向の幅は、アンテナエレメント400の貫通孔420が設けられた第2方向Yの負方向端部において、アンテナエレメント400のX方向の幅と同程度とされている。また、ベース底部710のX方向の幅は、アンテナエレメント400の貫通孔420が設けられていない第2方向Yの正方向端部において、アンテナエレメント400のX方向の幅よりも大きく形成されている。
【0044】
外周壁部720は、ベース底部710の外周に沿って形成された壁状の部分である。外周壁部720の高さや幅は限定されないが、防水パッド部200のパッキン部220よりも高い位置にまで設けられることが好ましい。
図5に示した例では、ベース底部710に複数設けられた締結用孔750のうち、貫通孔420に対応した位置に設けられた締結用孔750は、外周壁部720よりも内側に位置している。また
図5に示した例では、上面視においてアンテナエレメント400よりも外側に位置する締結用孔750は、外周壁部720よりも外側に位置している。貫通孔420に対応していない締結用孔750を外周壁部720よりも内側に配置するとしてもよい。本実施形態では外周壁部720を設けた例を示したが、ケース部100と防水パッド部200の水密構造を確保できれば、外周壁部720を省略してもよい。
【0045】
締結用ボス730は、ベース底部710から上方(第3方向Zの正方向)に向かって起立された柱状の部分である。締結用ボス730の先端には、締結部材10を締結するネジ穴が設けられている。締結用ボス730は、アンテナエレメント400の締結用孔430に対応した位置に設けられており、本発明における第2締結用ボスに相当している。締結用孔430および締結用ボス730が設けられる位置は、外周壁部720よりも内側であれば限定されない。
【0046】
位置決用リブ740は、ベース底部710から上方(第3方向Zの正方向)に向かって起立された柱状の部分であり、先端には位置決凸部741が突出して形成されている。位置決用リブ740は、アンテナエレメント400の位置決孔450に対応した位置に設けられている。位置決孔450および位置決用リブ740が設けられる位置は、外周壁部720よりも内側であれば限定されない。
【0047】
位置決凸部741は、位置決用リブ740の先端に突出して設けられた突起であり、位置決孔450に挿入されて、アンテナエレメント400を位置決めする部分である。位置決凸部741の外径は、位置決孔450の内径と略同等であることが好ましい。また、位置決孔450に位置決凸部741を挿入した後に、位置決凸部741の先端を変形させて加締めるとしてもよい。
【0048】
締結用孔750は、締結用ボス160,170に対応した位置に設けられ、締結部材40を用いて防水パッド部200とベース部700を締結するための孔である。締結用孔750が設けられる位置は、防水パッド部200のパッキン部220よりも内側であれば限定されない。
図5に示した例では、締結用ボス160に対応する締結用孔750は、外周壁部720よりも内側に位置し、締結用ボス170に対応する締結用孔750は、外周壁部720よりも内側に位置している。
【0049】
図5に示したように、ベース部700のベース底部710外周は、防水パッド部200の防水底部210とパッキン部220の間に嵌め込まれており、外周壁部720の外側面がパッキン部220に接触している。また回路保持部600は、締結部材30によってベース底部710に固定される(図示省略)。回路保持部600の一部は、ベース底部710および防水底部210に設けられた開口部において、連結部800および車体取付用ネジ300を用いて車両1のルーフ1aに取り付けられる。回路部500は、締結部材20によって回路保持部600に固定される。アンテナエレメント400は、位置決孔450に位置決凸部741が挿入されて位置決めされたうえで、締結用孔430で締結用ボス730および締結部材10を用いて固定される。
【0050】
図6は、ケース部100を装着した状態でのアンテナ装置1000を示す模式図であり、
図6(a)は天面111の直下位置A-Aでの断面視を示し、
図6(b)はA-A位置を示す側面視である。
図7は、ケース部100を装着した状態でのアンテナ装置1000を示す模式図であり、
図7(a)は貫通孔420が設けられた位置B-Bでの断面視を示し、
図7(b)はB-B位置を示す上面視である。
図8は、ケース部100を装着した状態でのアンテナ装置1000を示す模式図であり、
図7(b)の位置B-Bでの破断斜視図を示している。
図6(a)では、
図6(b)において一点鎖線で示したA-A位置において、天面111側からアンテナエレメント400方向を上面視した状態を示している。
図7(a)では、
図7(b)において一点鎖線で示したB-B位置において、車両1の前方から後方(第2方向Yの正方向)を見た状態を示している。
【0051】
図6(a)、
図7(a)および
図8に示したように、アンテナエレメント400はケース部100の収容部分110内に収容されている。またアンテナエレメント400は、位置決孔450に位置決凸部741が挿入され、締結用孔430に締結部材10で固定された状態で、上面視において貫通孔420が締結用孔230と重なっている。また、ケース部100のボス支持部150は、貫通孔420に挿入されており、締結用ボス160の先端が締結用孔230に対向している。締結用ボス160はアンテナエレメント400の一部を貫通している。また締結用ボス160は、アンテナエレメント400と略垂直な方向に延在するとともに、アンテナエレメント400の領域内に介在する。また、締結用孔230において締結用ボス160,170が締結部材40によって締結されて(一部図示省略)、ケース部100がベース部700に固定されている。
【0052】
図7(a)に示すように、ベース部700のベース底部710は、外周が防水底部210とパッキン部220の間に嵌め込まれている。また、ベース部700の外周壁部720は、外側面がパッキン部220に当接している。また
図7(a)および
図8に示すように、ケース部100の縁状部分120は、下端が防水底部210の外周近傍において防水底部210の上面に当接している。また、ケース部100の内部壁130は、下端がパッキン部220の上面に当接している。
【0053】
締結部材40と締結用ボス160,170でケース部100をベース部700および防水パッド部200に締結すると、ケース部100には防水パッド部200方向に押し付けられる力が加わる。したがって、縁状部分120の下端は防水底部210の上面に圧接され、内部壁130の下端はパッキン部220に圧接される。これにより、ケース部100と防水パッド部200の間は水密封止される。
【0054】
また、アンテナエレメント400の外周よりも内側に設けられた貫通孔420に、締結用ボス160を挿入した状態でベース部700とケース部100を締結するため、アンテナエレメント400よりも外周側に設けられる締結のために必要な構造を減少させることができる。これにより、アンテナ利得を高めるためにアンテナエレメント400の面積を大きくしても、搭載面積が大きくなることを抑制できる。
【0055】
図9は、回路部500の構造例を示す模式図であり、
図9(a)は分解斜視図であり、
図9(b)は組み立てた状態を示す斜視図である。
図9に示した例では、回路部500は第1基板510と、基板ホルダー520と、第2基板530を備えている。第1基板510には、締結用孔511,512と、端子挿入孔513と、位置決孔514が設けられている。基板ホルダー520には、係止部521が設けられている。第2基板530には、電子部品531と、接続端子532が設けられている。また、第1基板510と基板ホルダー520は、基板ホルダー520に設けられた締結用孔534と、第1基板510に設けられた締結用孔535に、締結部材536が挿入されて固定される。
【0056】
第1基板510は、回路保持部600上に搭載される略板状の部材であり、表面や裏面に配線パターンと電子部品(図示省略)が設けられて電子回路を構成している。また、第1基板510はベース部700のベース底部710に対して略水平方向に延在して配置される。締結用孔511,512は、回路保持部600に設けられた締結用の孔に対応した位置に設けられ、第1基板510を回路保持部600に固定するための締結部材20が挿入される貫通孔である。端子挿入孔513は、接続端子532に対応する位置に設けられ、接続端子532が挿入される貫通孔である。位置決孔514は、後述する位置決めピン533に対応する位置に設けられ、位置決めピン533が挿入される貫通孔である。
【0057】
基板ホルダー520は、第2基板530を保持して第1基板510上に固定するための部材である。
図9に示した例では、基板ホルダー520は第2基板530の外周を囲む枠形状の部分を有し、枠内に第2基板530が嵌め込まれている。また、基板ホルダー520には接続端子532が挿入されて貫通する孔と、位置決めピン533が設けられている。係止部521は、基板ホルダー520の一部が屈曲された部分であり、第2基板530の表裏面に接触して第2基板530の位置決めと保持を行う。
【0058】
第2基板530は、第1基板510上に搭載される略板状の部材であり、表面や裏面に配線パターン(図示省略)と電子部品531が設けられて電子回路を構成している。また、第2基板530は基板ホルダー520で保持されて、第1基板510に対して略垂直に保持されている。電子部品531は、第2基板530上に搭載されて電子回路を構成する部品である。接続端子532は、第2基板530上に構成された電子回路と第1基板510を接続するための端子である。位置決めピン533は、基板ホルダー520の位置決孔514に対応する位置に設けられた突出部分である。締結用孔534,535は、締結部材536が挿入されて第1基板510と基板ホルダー520を固定するための孔である。第2基板530には、配線パターンに端子部分が設けられており、当該端子部分にアンテナエレメント400の回路接続部460が電気的に接続されている(図示省略)。
【0059】
図9(b)に示すように、位置決孔514に位置決めピン533が挿入され、端子挿入孔513に接続端子532が挿入され、締結用孔534,535を締結部材536で締結することで、第1基板510上に第2基板530が固定される。また、接続端子532が第1基板510に設けられた配線パターンに半田付けされることで、第1基板510と第2基板530は電気的に接続される。
【0060】
図9に示したように、本実施形態では第1基板510の面上に第2基板530を立てた状態で固定するため、アンテナエレメント400と第1基板510の距離が大きい場合にも、第2基板530の配線パターンをアンテナエレメント400に近づけることができる。したがって、アンテナエレメント400の回路接続部460を短くすることができ、アンテナエレメント400から回路部500に高周波信号が伝達される際の特性を改善することができる。
【0061】
上述したように、本実施形態のアンテナ装置1000では、アンテナエレメント400に設けられた貫通孔に、ケース部100に設けられた締結用ボス160が挿入されるため、締結のために必要なアンテナエレメント400よりも外周側の領域を小さくして、低背化による取付位置の自由度向上と搭載面積の縮小化を両立できる。
【0062】
(第2実施形態)
次に、本発明の第2実施形態について説明する。第1実施形態と重複する内容は説明を省略する。第1実施形態では、上面視において締結用ボス170をアンテナエレメント400よりも外側に位置させた例を示したが、締結用ボス170もアンテナエレメント400の外周よりも内側に位置させるとしてもよい。この場合には、アンテナエレメント400にさらに貫通孔420を設けて、貫通孔420に締結用ボス170を挿入して締結部材40で締結する。これにより、アンテナエレメント400よりも外側に位置する部分の面積をさらに小さくして、アンテナエレメント400の大面積化を図りつつ、搭載面積の増加を抑制することが可能となる。
【0063】
以上、図面を参照して本発明の実施形態について述べたが、これらは本発明の例示であり、上記以外の様々な構成を採用することもできる。本発明は上述した各実施形態に限定されるものではなく、請求項に示した範囲で種々の変更が可能であり、異なる実施形態にそれぞれ開示された技術的手段を適宜組み合わせて得られる実施形態についても本発明の技術的範囲に含まれる。
【0064】
本明細書によれば、以下の態様が提供される。
(態様1)
態様1では、ケース部と、前記ケース部内に収容されるアンテナエレメントと、前記アンテナエレメントを配置するベース部と、前記ケース部と前記ベース部とを固定する固定部と、を備え、前記固定部は、前記アンテナエレメントの一部を貫通している、アンテナ装置である。態様1によれば、アンテナエレメントの一部を固定部が貫通することで、アンテナエレメントよりも外周側の領域を小さくして、低背化や小型化を実現することができる。
【0065】
(態様2)
態様2では、ケース部と、前記ケース部内に収容される略板状のアンテナエレメントと、前記アンテナエレメントを配置するベース部と、前記ケース部と前記ベース部とを固定する固定部と、を備え、前記固定部は、前記平板状のアンテナエレメントと略垂直な方向に延在するとともに前記板状のアンテナエレメントの領域内に介在する、アンテナ装置である。態様2によれば、板状のアンテナエレメントの領域内に固定部が介在することで、アンテナエレメントよりも外周側の領域を小さくして、低背化や小型化を実現することができる。
【0066】
(態様3)
態様3では、前記固定部は、前記ケース部に設けられ、前記ベース部に向かって伸びる第1締結用ボスを有し、前記第1締結用ボスは、前記アンテナエレメントを貫通する、アンテナ装置である。態様3によれば、第1締結用ボスがアンテナエレメントを貫通した状態でベース部とケース部を締結することができ、締結のために必要なアンテナエレメントよりも外周側の領域を小さくして、低背化や小型化を実現することができる。
【0067】
(態様4)
態様4では、前記ベース部と前記ケース部との間を水密封止するパッキン部を備え、前記第1締結用ボスは、前記パッキン部よりも内側に設けられている。態様4によれば、第1締結用ボスがパッキン部よりも内側に設けられているため、防水のために必要な領域を小さくして、さらに搭載面積を縮小することができる。
【0068】
(態様5)
態様5では、前記車両と前記ベース部の間に配置された防水パッド部を備え、前記第1締結用ボスは、第1締結部材によって、前記防水パッド部に設けられた締結用孔を介して締結される。態様5によれば、防水パッド部に設けられた締結用孔を介して第1締結用ボスを第1締結部材で締結するため、防水のために必要な領域を小さくして、さらに搭載面積を縮小することができる。
【0069】
(態様6)
態様6では、前記アンテナエレメントは、前記回路部に接続される回路接続部を有し、前記貫通孔は、前記アンテナエレメントにおける前記回路接続部と反対側に設けられている。態様6によれば、回路接続部と反対側に設けられた貫通孔に第1締結用ボスを挿入して締結するため、ケース部とベース部をより確実に締結することができる。
【0070】
(態様7)
態様7では、前記ベース部には、前記アンテナエレメントに向かって延びる第2締結用ボスが形成されており、前記第2締結用ボスは、前記アンテナエレメントにおける前記回路接続部に近い側と、前記アンテナエレメントにおける前記回路接続部と反対側に設けられている。態様7によれば、回路接続部に近い側と反対側とに第2締結用ボスを設けているため、アンテナエレメントを確実に保持することができる。
【0071】
(態様8)
態様8では、前記貫通孔は、前記アンテナエレメントの外周から1mm以上離れた位置に設けられている。態様8によれば、貫通孔がアンテナエレメントの外周から1mm以上離れていることで、アンテナエレメントの剛性を確保することができる。
【0072】
(態様9)
態様9では、前記貫通孔と前記第1締結用ボスとの間には、0.5mm以上の間隙が設けられている。態様9によれば、貫通孔と第1締結用ボスとの間に間隙が設けられていることで、製造誤差による第1締結用ボスと貫通孔の干渉を防止することができる。
【0073】
(態様10)
態様10では、前記車両の表面から、前記ケース部の最大の高さは40mm以下である。態様10によれば、車両の表面からケース部の最大の高さが40mm以下であることにより、十分な低背化を実現することができる。
【符号の説明】
【0074】
1…車両
1a…ルーフ
1000…アンテナ装置
100…ケース部
200…防水パッド部
300…車体取付用ネジ
400…アンテナエレメント
500…回路部
600…回路保持部
700…ベース部
800…連結部
10,20,30,40,536…締結部材
110…収容部分
111…天面
112…壁面
120…縁状部分
130…内部壁
140…溝部
150…ボス支持部
160,170,730…締結用ボス
210…防水底部
220…パッキン部
230,430,511,512,534,535,750…締結用孔
240,770…開口部
410…エレメント本体
420,760…貫通孔
440…補強用凹凸
450,514…位置決孔
460…回路接続部
510…第1基板
513…端子挿入孔
520…基板ホルダー
521…係止部
530…第2基板
531…電子部品
532…接続端子
533…位置決めピン
540…ケーブル
610,620…ネジ穴
630…締結部
710…ベース底部
720…外周壁部
740…位置決用リブ
741…位置決凸部