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  • 特開-コンデンサおよびその製造方法 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024170017
(43)【公開日】2024-12-06
(54)【発明の名称】コンデンサおよびその製造方法
(51)【国際特許分類】
   H01G 9/048 20060101AFI20241129BHJP
   H01G 9/042 20060101ALI20241129BHJP
   H01G 9/00 20060101ALI20241129BHJP
   H01G 9/10 20060101ALI20241129BHJP
【FI】
H01G9/048 B
H01G9/042 500
H01G9/00 290J
H01G9/10 C
H01G9/048 D
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023086927
(22)【出願日】2023-05-26
(71)【出願人】
【識別番号】000228578
【氏名又は名称】日本ケミコン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100083725
【弁理士】
【氏名又は名称】畝本 正一
(74)【代理人】
【識別番号】100140349
【弁理士】
【氏名又は名称】畝本 継立
(74)【代理人】
【識別番号】100153305
【弁理士】
【氏名又は名称】畝本 卓弥
(74)【代理人】
【識別番号】100206933
【弁理士】
【氏名又は名称】沖田 正樹
(72)【発明者】
【氏名】岩田 英希
(72)【発明者】
【氏名】新井 孝
(72)【発明者】
【氏名】ムハンマド レストゥ ズルヒザ
(72)【発明者】
【氏名】相良 光軌
(72)【発明者】
【氏名】関 駿斗
(72)【発明者】
【氏名】板垣 力
(57)【要約】
【課題】 本開示は、たとえば、60mmを超える長さを有する長寸法コンデンサのタブの負荷を抑制することを目的とする。
【解決手段】 コンデンサ(2)は、60mmを超える長さを有する外装ケース(4)と、重ねられた陽極箔(44)、陰極箔(42)およびセパレータ(46)を含み、前記外装ケースに収納されるとともに前記外装ケースの底部(16)に加圧状態で接触するコンデンサ素子(8)と、を含み、前記外装ケースの前記底部側において、前記陰極箔が前記陽極箔の側端部(44-1)から突出している。
【選択図】 図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
60mmを超える長さを有する外装ケースと、
重ねられた陽極箔、陰極箔およびセパレータを含み、前記外装ケースに収納されるとともに前記外装ケースの底部に加圧状態で接触するコンデンサ素子と、
を備え、
前記外装ケースの前記底部側において、前記陰極箔が前記陽極箔の側端部から突出していることを特徴とするコンデンサ。
【請求項2】
前記陽極箔の前記側端部の外側において、前記コンデンサ素子は、前記陰極箔の突出部と前記セパレータとによる積層構造を有することを特徴とする請求項1に記載のコンデンサ。
【請求項3】
前記外装ケースの前記底部側において、前記陰極箔の側端部が前記陽極箔の前記側端部と前記セパレータの側端部との間の領域に配置されていることを特徴とする請求項1に記載のコンデンサ。
【請求項4】
前記外装ケースの前記底部側において、前記陰極箔の側端部と前記セパレータの側端部との間の陰極マージン距離が、前記陽極箔の前記側端部と前記セパレータの前記側端部との間の陽極マージン距離の2分の1以下であることを特徴とする請求項1に記載のコンデンサ。
【請求項5】
前記陰極マージン距離が前記陽極マージン距離の5分の1以下であることを特徴とする請求項4に記載のコンデンサ。
【請求項6】
前記陰極箔がカーボン層を含むことを特徴とする請求項1ないし請求項5のいずれか一項に記載のコンデンサ。
【請求項7】
重ねられた陽極箔、陰極箔およびセパレータを含み、一端部において前記陰極箔が前記陽極箔の側端部から突出しているコンデンサ素子を作製または準備する工程と、
有底筒状の外装ケースに前記コンデンサ素子を挿入して、前記コンデンサ素子の前記一端部を前記外装ケースの底部に加圧状態で接触させる工程と、
を備え、
前記外装ケースが60mmを超える長さを有することを特徴とするコンデンサの製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、コンデンサおよびその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
電解コンデンサなどのコンデンサは、たとえば、外装ケースに収納されたコンデンサ素子と、外装ケースの開口部を封口する封口板とを含む。封口板に取り付けられた外部端子は、コンデンサ素子から引き出された引き出しリード(タブ)に接続される(たとえば、特許文献1)。この外部端子と引き出しリードとの接続により、コンデンサ素子への蓄電およびコンデンサ素子からの電気の取り出しが可能になる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2012-44068号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、近年、コンデンサの高容量化が要求されている。また、コンデンサが採用される電気・電子装置および情報通信機器の高性能化、小型化および軽量化が積極的に推進され、これらの装置および機器に用いる電源装置の小型化および高効率化が望まれている。従って、コンデンサの高容量化が要求されるだけでなく、コンデンサの基板実装面積が小さくなる傾向にあり、基板の他の電子部品との配置の関係上、コンデンサを配置するスペースが限定される傾向にある。このような要求に対応すべく、たとえば、コンデンサを細長くすることが行われている。外装ケースの底面を基板から離すように、細長い外観形状を有するコンデンサを立てて載置することで、実装面積の小径化を実現できる。また、外装ケースの側面が基板に対して平行になるように、コンデンサを寝かせて載置することで、コンデンサを基板の細長いスペースに実装できる。しかしながら、細長いコンデンサにおいてコンデンサの高容量化を実現しようとすると、コンデンサ素子も長くなり、コンデンサ素子の重量も大きくなる。外装ケースの内部でコンデンサ素子が移動すると、引き出しリードに負荷が掛かることになる。引き出しリード(タブ)に掛かる負荷は、コンデンサ素子の重量の増加などにより大きくなる。そのため、たとえば60ミリメートル(以下「mm」と表す)を超える長さを有する長寸法コンデンサでは、短い通常のコンデンサとは異なる引き出しリード(タブ)への負荷軽減対策が必要になる。
【0005】
特許文献1には斯かる課題の開示や示唆はなく、特許文献1に開示された構成では斯かる課題を解決することができない。
【0006】
そこで、本開示は、たとえば、60mmを超える長さを有する長寸法コンデンサのタブの負荷を抑制することを第1の目的とする。
【0007】
本開示は、たとえば、長寸法コンデンサのタブの損傷を抑制することを第2の目的とする。
【0008】
本開示は、たとえば、長寸法コンデンサの素子重量増加に耐え得る耐振構造を提供し、長寸法コンデンサの耐振性または耐久性を向上させることを第3の目的とする。
【0009】
本開示は、たとえば、長寸法コンデンサの用途を拡大させることを第4の目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記目的を達成するため、本開示の第一の側面によれば、コンデンサは、60mmを超える長さを有する外装ケースと、重ねられた陽極箔、陰極箔およびセパレータを含み、前記外装ケースに収納されるとともに前記外装ケースの底部に加圧状態で接触するコンデンサ素子と、を含み、前記外装ケースの前記底部側において、前記陰極箔が前記陽極箔の側端部から突出している。
【0011】
前記陽極箔の前記側端部の外側において、前記コンデンサ素子は、前記陰極箔の突出部と前記セパレータとによる積層構造を有してもよい。
【0012】
前記外装ケースの前記底部側において、前記陰極箔の側端部が前記陽極箔の前記側端部と前記セパレータの側端部との間の領域に配置されてもよい。
【0013】
前記外装ケースの前記底部側において、前記陰極箔の側端部と前記セパレータの側端部との間の陰極マージン距離が、前記陽極箔の前記側端部と前記セパレータの前記側端部との間の陽極マージン距離の2分の1以下でもよい。前記陰極マージン距離が前記陽極マージン距離の5分の1以下でもよい。
【0014】
上記コンデンサにおいて、前記陰極箔がカーボン層を含んでもよい。
【0015】
上記目的を達成するため、本開示の第二の側面によれば、コンデンサの製造方法は、重ねられた陽極箔、陰極箔およびセパレータを含み、一端部において前記陰極箔が前記陽極箔の側端部から突出しているコンデンサ素子を作製または準備する工程と、有底筒状の外装ケースに前記コンデンサ素子を挿入して、前記コンデンサ素子の前記一端部を前記外装ケースの底部に加圧状態で接触させる工程と、を含み、前記外装ケースが60mmを超える長さを有する。
【発明の効果】
【0016】
本開示によれば、次のような効果が得られる。
【0017】
(1) 陰極箔が陽極箔の側端部から突出するので、外装ケースの底部側において、コンデンサ素子の剛性が高められる。そのため、加圧状態のコンデンサ素子では圧力の吸収が抑制され、コンデンサ素子の封口板などへの押圧力が向上する。
【0018】
(2) コンデンサ素子の移動およびタブへの負荷が抑制され、タブの損傷を抑制できる。
【0019】
(3) 長寸法コンデンサの耐振性または耐久性を向上させることができる。
【0020】
(4) 耐振性または耐久性の向上により、長寸法コンデンサの用途を拡大させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
図1】実施の形態に係るコンデンサの一例を示す図である。
図2】コンデンサ素子の構造の一例を示す図である。
図3】他のコンデンサ素子の構造の一例を示す図である。
図4】コンデンサ素子の圧縮応力の確認結果の一例を示すグラフである。
図5】コンデンサの実験結果の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
図1は、実施の形態に係るコンデンサの一例を示している。図1では、外装ケース4および封口板6が中央部における断面で示されている。図2は、コンデンサ素子の構造の一例を示している。図1および図2に示されている構成は一例であって、図1および図2に示されている構成に本開示の技術が限定されるものではない。
【0023】
コンデンサ2は、たとえば電解コンデンサである。コンデンサ2は、たとえば外装ケース4と、封口板6と、タブ32を有するコンデンサ素子8とを含む。コンデンサ素子8は外装ケース4の内部に収納され、封口板6は外装ケース4の開口部10に配置および固定される。また、封口板6の少なくとも外部端子22に押圧されたタブ32がコンデンサ素子8に押し込まれる。そのため、コンデンサ素子8の素子端面8-1、素子端面8-2がそれぞれ外装ケース4の底部16、タブ32や外部端子22を介して封口板6に加圧状態で接触して、コンデンサ素子8が、外装ケース4の底部16と封口板6とにより固定される。コンデンサ2は、たとえば60mmを超える長さLを有する。コンデンサ2の長さLは、端部加締め後の外装ケース4の底部16から端部加締め部14の頂点までの長さと一致する。
【0024】
外装ケース4は、たとえば、アルミニウムケースなどの金属ケースであって、有底筒状の容器である。外装ケース4は、開口部10側の側面に側面加締め部12を有し、開口部10側の端部に端部加締め部14を有する。側面加締め部12は、封口板6の配置位置を決定し、端部加締め部14は、封口板6を側面加締め部12に押し当てる。外装ケース4は、外装ケース4の底部16に脆弱部18を有してもよい。脆弱部18は、外装ケース4の内部圧力が設定値以上に上昇した時に破損し、外装ケース4の内部圧力を低下させる。脆弱部18は、コンデンサ2の破裂を防止する。
【0025】
封口板6は、外装ケース4の開口部10の内部であって、側面加締め部12と端部加締め部14との間に配置される。封口板6は、端部加締め部14により側面加締め部12に押し付けられ、これにより外装ケース4の開口部10に固定される。封口板6は、外装ケース4の開口部10を封止する。封口板6は、外装ケース4の開口部10の形状に応じた形状を有し、たとえば、円形の開口部10と同径またはそれに近い径の円盤形状を有する。封口板6は、多角形の開口部10に合わせた形状および大きさを有してもよい。封口板6は、たとえば、機能の異なる複数の部材を積層した積層体20と、たとえば二つの外部端子22とを含む。積層体20は、たとえばゴム層24と樹脂層26とを含む。ゴム層24は、気体を透過させるが、液体を遮断する機能を有する。ゴム層24は、たとえばエチレンプロピレンゴムやブチルゴム、シリコンゴムなどのゴム材料である。樹脂層26は、ゴム層24よりも剛性を有し、たとえば紙フェノール樹脂である。紙フェノール樹脂は、紙基材にフェノール系樹脂を含浸させた合成材料である。樹脂層26は、紙フェノール樹脂による単一の構成でよく、または図示しない他の材料を重ね合わせた積層の構成であってもよい。ゴム層24は、封口板6の外部側(つまり、外装ケース4の端部加締め部14側)に配置され、封口板6の外側面を形成する。樹脂層26は、封口板6の内部側(つまり、コンデンサ素子8側)に配置され、封口板6の内側面を形成する。積層体20は、外部端子22のリベット30が貫通する貫通孔27を有する。
【0026】
外部端子22は、電極端子28とリベット30とを含む。電極端子28は、封口板6の外側面に配置され、コンデンサ2の陽極端子または陰極端子として機能する。電極端子28は、たとえばL字形状を有し、積層体20に対して立設し、外部部品と接続するための立設部と、積層体20の表面に平行に配置される平坦部とを有する。平坦部は、リベット30が貫通する貫通孔を有する。
【0027】
リベット30は、積層体20を貫通し、積層体20の外側面および内側面から突出する。リベット30は、鍔部34-1、34-2、34-3と円柱部36とを有する。鍔部34-1は、封口板6の外側面側に配置され、鍔部34-2、34-3は、封口板6の内側面側に配置される。円柱部36は、鍔部34-1、34-2の間および鍔部34-2、34-3の間に配置され、鍔部34-1、34-2、34-3と一体化されている。円柱部36が電極端子28の平坦部および積層体20を貫通し、鍔部34-1、34-2が電極端子28の平坦部および積層体20を挟み込む。そのため、電極端子28が積層体20に固定される。円柱部36はタブ32の貫通孔を貫通し、鍔部34-2、34-3がタブ32を挟み込む。そのため、タブ32が外部端子22に固定される。つまり、リベット30は、たとえば、圧接または挟み込みにより、コンデンサ素子8のタブ32に接続される。リベット30に対するタブ32の接続部分は、リベット30と一体化し、外部端子22を形成する。リベット30は、通電可能な金属材料または表面に金属メッキが施されており、電極端子28およびタブ32と電気的に接続されている。
【0028】
外部端子22の一部はコンデンサ素子8の素子端面8-2に押し込まれている。コンデンサ素子8は、外部端子22の押し込みにより外装ケース4の底部16と封口板6に固定される。外部端子22の押し込みは、図1に示されているように、封口板6からコンデンサ素子8への圧力P1と、外装ケース4の底部16からコンデンサ素子8への圧力P2を生じさせる。圧力P2は圧力P1の反発力である。外部端子22の押し込み量が外部端子22の突出距離よりも小さいとき、図1に示されているように、外部端子22以外の部分において、素子端面8-2は封口板6から離間する。しかしながら、外部端子22の押し込み量は外部端子22の突出距離よりも大きくてもよく、外部端子22以外の部分において、素子端面8-2が封口板6に接触してもよい。
【0029】
コンデンサ素子8は、図2に示されているように、陰極箔42と、陽極箔44と、セパレータ46とを含む。セパレータ46が陰極箔42と陽極箔44の間に配置されるように、陰極箔42、陽極箔44およびセパレータ46は重ねられるとともに巻回されて、巻回素子が形成される。この巻回素子がコンデンサ素子8を形成する。
【0030】
陽極箔44の幅xおよび陰極箔42の幅yは、いずれもセパレータ46の幅zよりも短く、陽極箔44の幅xは、たとえば陰極箔42の幅yよりも短い。コンデンサ素子8の一端部8-3において、陰極箔42が陽極箔44の側端部44-1から突出している。そのため、陽極箔44の側端部44-1とセパレータ46の側端部46-1との間の領域(以下、「側端部44-1の外側領域」という)において、コンデンサ素子8が陰極箔42の突出部42-3とセパレータ46とによる積層構造58を有する。コンデンサ素子8の一端部8-3は、素子端面8-1およびその近傍部を含み、外装ケース4の底部16側に配置される。コンデンサ素子8の積層構造58により、側端部44-1の外側領域において、コンデンサ素子8の剛性が高められている。つまり、コンデンサ素子8は、全体として積層構造58を伴わないコンデンサ素子8よりも高い剛性を有する。
【0031】
コンデンサ素子8の一端部8-3において、陰極箔42の側端部42-1は、たとえばセパレータ46の側端部46-1に重なっている。陰極箔42の側端部42-1は、図3に示されているコンデンサ素子108のように、側端部44-1の外側領域内に配置されていてもよく、セパレータ46の側端部46-1の近傍部に配置されていてもよい。側端部46-1の近傍部は、陰極マージン距離w1(図3のA)が、たとえば陽極マージン距離v1の2分の1以下または5分の1以下となるような場所である。陰極マージン距離w1は、陰極箔42の側端部42-1とセパレータ46の側端部46-1との間の距離であって、側端部42-1が側端部46-1に重なる場合、0になる。陽極マージン距離v1は、陽極箔44の側端部44-1とセパレータ46の側端部46-1との間の距離である。陽極マージン距離v1は、蓄電により電位が上昇する陽極箔44を外装ケース4に接触させないようにするために必要な距離以上の距離を有し、たとえば2mmである。
【0032】
図2のAおよび図2のBに示されているように、コンデンサ素子8の他端部8-4において、陰極箔42の側端部42-2は、たとえば陽極箔44の側端部44-2に重なっている。陰極マージン距離w2は、陰極箔42の側端部42-2とセパレータ46の側端部46-2との間の距離であり、陽極マージン距離v2は、陽極箔44の側端部44-2と側端部46-2との間の距離である。陰極マージン距離w2および陽極マージン距離v2は、陰極箔42および陽極箔44を外部端子22に短絡させないようにするために必要な距離以上の距離を有し、たとえば3mmである。
【0033】
コンデンサ素子8は、素子端面8-2から突出する二つのタブ32を有する。タブ32は陽極箔44または陰極箔42に接続されており、タブ32の突出部分が外部端子22に接続される。
【0034】
陰極箔42は、電極箔の一例であって、コンデンサ2の陰極を構成する。陰極箔42は、たとえば帯状の箔であって、基材箔およびカーボン層を有する。
【0035】
基材箔は、陰極箔42の地金であって、たとえば、アルミニウム箔、タンタル箔、ニオブ箔、チタン箔、ハフニウム箔、ジルコニウム箔、亜鉛箔、タングステン箔、ビスマス箔、アンチモン箔などの弁作用金属箔である。基材箔の表面は、たとえばエッチングにより形成された凹凸を有し、基材箔の表面積が拡大されている。基材箔の表面は、たとえばトンネル状または海綿状のエッチングピットを含んでもよく、このトンネル状または海綿状のエッチングピットが凹凸を形成してもよい。
【0036】
カーボン層は、たとえば基材箔の両面または片面に配置されている。カーボン層は、部分的に凹凸の内部に侵入し、そのため基材箔の凹凸に密着かつ係合し、陰極箔42の強度を増加させる。カーボン層は、たとえば、主材として炭素材を含み、添加剤としてバインダーおよび分散剤を含む。
【0037】
炭素材は、活性炭、カーボンブラック、カーボンナノホーン、無定形炭素、天然黒鉛、人造黒鉛、黒鉛化ケッチェンブラック、メソポーラス炭素、繊維状炭素などである。活性炭は、たとえば、やしがらなどの天然植物組織、フェノールなどの合成樹脂、石炭、コークスまたはピッチなどの化石燃料由来のものを原料として生成される。カーボンブラックは、ケッチェンブラック、アセチレンブラック、チャネルブラックまたはサーマルブラックなどである。繊維状炭素は、カーボンナノチューブ、カーボンナノファイバなどである。カーボンナノチューブは、グラフェンシートが1層である単層カーボンナノチューブでも、2層以上のグラフェンシートが同軸状に丸まり、チューブ壁が多層をなす多層カーボンナノチューブ(MWCNT)でもよい。
【0038】
バインダーは、たとえばスチレンブタジエンゴム、ポリフッ化ビニリデンまたはポリテトラフルオロエチレンなどの樹脂系バインダーであって、炭素材を結合させる。分散剤は、たとえばカルボキシメチルセルロースナトリウムである。
【0039】
陽極箔44は、電極箔の一例であって、コンデンサ2の陽極を構成する。陽極箔44は、たとえば既述の弁作用金属箔であって、帯状の箔である。陽極箔44の表面には多孔質構造を有する拡面部が形成されている。多孔質構造は、たとえば、エッチングにより形成されたトンネル状のピット、海綿状のピット、または密集した紛体間の空隙により成る。拡面部の表面は、化成処理により形成された誘電体酸化皮膜を含んでいる。
【0040】
セパレータ46は、陽極箔44と陰極箔42の間に配置され、陽極箔44と陰極箔42の間の短絡を防止する。セパレータ46は、絶縁材料であって、セパレータ部材としてクラフトを含み、マニラ麻、エスパルト、ヘンプ、レーヨン、セルロース、これらの混合材などの他のセパレータ部材を含んでもよい。
【0041】
電解質は、電解液、ゲル電解質、導電性高分子を含む固体電解質などである。電解質が電解液またはゲル電解質と、導電性高分子を含む固体電解質とを備えて所謂ハイブリッド型の電解コンデンサが形成されてもよい。
【0042】
コンデンサ2は、たとえば以下の製造工程により作製することができる。以下の製造工程に示されている構成は一例であり、以下の製造工程に示されている構成により本開示の技術が限定されるものではない。
【0043】
コンデンサ2の製造工程は、本開示のコンデンサ2の製造方法の一例であって、たとえば外装ケース4の作製工程、封口板6の作製工程、コンデンサ素子8の作製工程、封口板6とコンデンサ素子8のタブ32との接続工程、コンデンサ素子8の封入工程、および加締め工程を含む。
【0044】
外装ケース4の作製工程では、アルミニウムなどの金属材料を有底筒状の形状にたとえば成形して、側面加締め部12および端部加締め部14を形成する前の外装ケース4を作製する。外装ケース4の作製工程では、たとえば購入により、側面加締め部12および端部加締め部14を形成する前の外装ケース4を準備してもよい。
【0045】
封口板6の作製工程は、積層体20の作製工程と、積層体20への外部端子22の取付け工程とを含む。
【0046】
積層体20の作製工程では、ゴム層24を形成するための既述のゴム材料を、樹脂層26を形成するためのたとえば紙フェノール樹脂に重ね、ゴム材料および紙フェノール樹脂を加熱圧着して、積層材を生成する。生成された積層材をたとえばプレス加工によって封口板6の形状および寸法に打ち抜いて、積層体20を作製する。プレス加工では、積層材がたとえばプレス機の剪断刃によって切断される。ドリル、打ち抜き装置などの孔開け装置により、外部端子22を通すための貫通孔27を積層体20に形成する。
【0047】
積層体20への外部端子22の取付け工程では、押し潰し前の円柱部36と鍔部34-2とを有するリベット30の円柱部36を樹脂層26側から積層体20の貫通孔27に挿通するとともに、電極端子28の平坦部の貫通孔に挿通する。鍔部34-2を樹脂層26に接触させた状態で、電極端子28の平坦部から突出する円柱部36を押し潰して、鍔部34-1を形成する。鍔部34-1、34-2の挟み込みにより、電極端子28、リベット30、および積層体20が一体化する。積層体20への外部端子22の取付け状態では、コンデンサ素子8のタブ32が取付けられるように、リベット30を樹脂層26の表面から突出させておく。封口板6の作製工程では、たとえば購入により、封口板6、積層体20、外部端子22、ゴム層24、樹脂層26、電極端子28またはリベット30を準備してもよい。
【0048】
コンデンサ素子8の作製工程は、陽極箔44の作製工程と、陰極箔42の作製工程と、セパレータ46の作製工程と、積層工程とを含む。
【0049】
陽極箔44の作製工程では、たとえば、既述の弁作用金属箔の表面に多孔質構造を有する拡面部を形成し、拡面部が形成された弁作用金属箔の表面に化成処理により誘電体酸化皮膜を形成する。拡面部は、直流エッチング、交流エッチング、または弁作用金属箔への金属粒子などの蒸着もしくは焼結により形成される。直流エッチングまたは交流エッチングでは、典型的には、塩酸などのハロゲンイオンを含む酸性水溶液中に漬けられた弁作用金属箔に直流電流または交流電流が印加される。誘電体酸化皮膜が形成された弁作用金属箔を裁断して、陽極箔44が作製される。
【0050】
陰極箔42の作製工程では、たとえば、エッチングにより既述の弁作用金属箔の表面に凹凸を形成して、基材箔が作製される。陰極箔42のエッチングは、陽極箔44のエッチングと同じでもよく、異なっていてもよい。基材箔にカーボン層を形成し、基材箔およびカーボン層を帯状に裁断して、陰極箔42が作製される。
【0051】
カーボン層は、たとえば次のように形成される。既述の炭素材、バインダーおよび分散剤を希釈液に加え、ミキサー、ジェットミキシング(噴流衝合)、超遠心処理、超音波処理などの分散処理によりこれらを混合して、スラリーを形成する。希釈液は、たとえばアルコール、炭化水素系溶媒、芳香族系溶媒、アミド系溶媒、水およびこれらの混合物などである。アルコールは、たとえばメタノール、エタノールまたは2-プロパノールである。アミド系溶媒は、たとえばN-メチル-2-ピロリドン(NMP)またはN,N-ジメチルホルムアミド(DMF)である。
【0052】
スラリーを基材箔に塗布し、溶媒を揮発させてカーボン層を形成し、カーボン層をプレスする。プレスは、たとえば炭素材を凹凸の細孔にまで押し込むことができ、また、炭素材が凹凸の細孔より大きい場合においては炭素材を凹凸の凹凸面に沿って変形させることができる。炭素材を凹凸の細孔にまで押し込む、または、炭素材を凹凸の凹凸面に沿って変形させることで、たとえばカーボン層と基材箔との密着性および定着性を向上させる。
【0053】
セパレータ46の作製工程では、既述のセパレータ部材を裁断して、セパレータ46が作製される。
【0054】
積層工程では、セパレータ46が陽極箔44と陰極箔42の間に配置されるように、陽極箔44、陰極箔42およびセパレータ46を重ね、陽極箔44、陰極箔42およびセパレータ46を巻回して、コンデンサ素子8が作製される。巻回前または巻回中に、陽極箔44および陰極箔42が、それぞれタブ32に接続され、タブ32を素子端面8-2から突出させる。素子端面8-1側において、陰極箔42が陽極箔44の側端部44-1から突出するように陽極箔44および陰極箔42を重ねると、一端部8-3に記述の積層構造58を形成することができる。コンデンサ素子8の作製工程では、たとえば購入により、陰極箔42、陽極箔44、セパレータ46、またはコンデンサ素子8を準備してもよい。
【0055】
封口板6とコンデンサ素子8のタブ32との接続工程では、封口板6の内側面から突出している円柱部36を、タブ32の貫通孔に挿通する。鍔部34-2をタブ32に接触させた状態で、タブ32から突出する円柱部36を押し潰して、鍔部34-3を形成する。鍔部34-2、34-3の挟み込みにより、タブ32および外部端子22が一体化する。
【0056】
コンデンサ素子8の封入工程では、電解液などの電解質が含浸されたコンデンサ素子8を外装ケース4の内部に挿入し、外装ケース4の開口部10に封口板6を配置する。このとき、収納のために、タブ32が封口板6とコンデンサ素子8の間の隙間に折り畳まれていてもよい。
【0057】
加締め工程では、外部端子22、または外部端子22と重なり外部端子22を形成するタブ32がコンデンサ素子8に押し込まれるように、封口板6の取付位置および側面加締め部12の形成位置を決定する。取付位置および形成位置は、計算処理により決定してもよく、以前に製造されたコンデンサ2の取付位置および形成位置とコンデンサ素子8の押し込みの有無または圧縮量との関係から決定してもよい。
【0058】
加締め工程では、決定した形成位置に、加締めにより側面加締め部12を形成する。また、外装ケース4の開口部10の端部を曲げて、端部加締め部14を形成する。端部加締め部14の形成により、封口板6が側面加締め部12に押付けられて固定されるとともに、外部端子22がコンデンサ素子8に押し込まれて、コンデンサ素子8が外装ケース4の底部16と封口板6との間に固定される。
【0059】
図4は、コンデンサ素子の圧縮応力の確認結果を示している。図4に示されているグラフにおいて、横軸は押し込み深さを表し、縦軸は圧縮応力を表す。図4に示されている確認結果は一例であり、斯かる確認結果に本開示の技術が限定されるものではない。
【0060】
陰極箔42の突出による作用、効果を確認するため、既述のコンデンサ素子8、図3に示されているコンデンサ素子108、および比較のためのコンデンサ素子(以下「比較素子」と言う)を作製した。
【0061】
図2のAおよび図2のBに示されているように、作製されたコンデンサ素子8では、側端部44-1の外側領域の全体またはほぼ全体において、積層構造58が形成された。図3のAおよび図3のBに示されているように、作製されたコンデンサ素子108では、側端部44-1の外側領域の一部において、積層構造58が形成された。比較素子では、比較素子が積層構造58を持たないように、陰極箔42の側端部42-1が陽極箔44の側端部44-1に重ねられた。
【0062】
コンデンサ素子8、108および比較素子は、表1に示されている素子長、素子径、陽極箔幅x、陰極箔幅y、セパレータ幅z、陰極マージン距離w1を有する。素子長はコンデンサ素子の長さであって、セパレータ幅zと一致する。素子径はコンデンサ素子の直径である。
【表1】
【0063】
陽極箔44は既述のトンネル状のピットを有し、セパレータ46は、密度0.95g/cm3、厚さ25μmのクラフトおよび密度0.85g/cm3、厚さ15μmのクラフトを含む。コンデンサ素子8、108および比較素子に電解液を含浸させた。電解液は、溶媒として、エチレングリコールを含み、溶質としてアゼライン酸ジエチルアミンを含み、耐圧向上剤としてポリオキシエチレングリセリンを含む。
【0064】
反発力の評価のために、電解液を含浸させたコンデンサ素子8、コンデンサ素子108または比較素子の素子端面8-2をフォースゲージで素子端面8-1に向けて0~3mmの押し込み深さの範囲で押圧した時の圧縮応力を3回計測および確認した。計測に用いたフォースゲージは、株式会社イマダ製、デジタルフォースゲージ(ZTA-5000N)である。
【0065】
図4のAに示されているように、積層構造58を有するコンデンサ素子8の圧縮応力は、積層構造58を持たない比較素子の圧縮応力よりも大きくなった。また、図4のBに示されているように、側端部44-1の外側領域の全体またはほぼ全体に積層構造58が形成されたコンデンサ素子8の圧縮応力は、側端部44-1の外側領域の一部において積層構造58が形成されたコンデンサ素子108の圧縮応力よりも大きくなった。これらの結果から、積層構造58が圧縮応力を大きくすることが解かるとともに、セパレータ46のみが積層されている領域が狭くなることで、圧縮応力、つまり反発力が大きくなることが解かった。
【0066】
図5は、コンデンサの実験結果を示している。図5に示されている実験結果は一例であり、斯かる実験結果に本開示の技術が限定されるものではない。
【0067】
陰極箔42の突出による作用または効果を確認するため、実施例として実験番号1、2に係るコンデンサ2、および比較例として実験番号3、4に係るコンデンサを作製した。
【0068】
実験番号1、2に係るコンデンサ2の基本的な構造は、既に述べたコンデンサ素子8を含むコンデンサ2と同様である。実験番号3、4に係るコンデンサの基本的な構造は、積層構造58を持たないことを除き、既に述べたコンデンサ2と同様である。実験番号1、2に係るコンデンサ2および実験番号3、4に係るコンデンサは、35mmの製品径および33.5mmの素子径を有し、図5に示されている製品高さ、素子長、陽極箔幅x、陰極箔幅y、セパレータ幅z、陰極マージン距離w1、および圧縮量を有する。製品径はコンデンサの直径であり、素子径はコンデンサ素子の直径である。製品高さは既述の長さLであり、素子長は外部端子22が押し込まれる前のコンデンサ素子の長さである。圧縮量は、外部端子22が押し込まれる前のコンデンサ素子の長さと、外部端子22が押し込まれている部分のコンデンサ素子の長さとの差である。
【0069】
陽極箔44は既述のトンネル状のピットを有し、セパレータ46は密度0.70g/cm3、厚さ50μmのクラフトである。電解液は、溶媒として、エチレングリコールを含む。
【0070】
実験番号1、2に係るコンデンサ2と実験番号3、4に係るコンデンサとを振動試験(修正振動試験)により評価した。修正振動試験は、日本産業規格(JIS) C5101-4:2019「電子機器用固定コンデンサ-第4部:品種別通則-固定アルミニウム固体(MnO2)及び非固体電解コンデンサ」の「4.8 振動」、およびJIS C5101-1:2019「電子機器用固定コンデンサ-第1部:品種別通則」の「4.17 振動」に準拠した規格振動試験の一部を修正した振動試験である。規格振動試験の条件は以下の通りである。なお、X方向、Y方向、Z方向は図1に示す通りである。
・周波数: 10~55Hz
・振幅または加速度: 片振幅0.75mm又は100m/s2(いずれか緩い方)
・掃引の割合: 10Hz-55Hz-10Hz(約1分)
・掃引方向と試験時間:(掃引方向) 最初にX方向、次にY方向、最後にZ方向
(試験時間) 各方向2時間(合計6時間)
【0071】
修正振動試験では、規格振動試験で使用される振幅(つまり片振幅0.75mm)の2.0倍の振幅(つまり片振幅1.50mm)の振幅が使用される。振幅が大きくなると、コンデンサ2に加わる振動エネルギーが大きくなる。つまり、修正振動試験は、規格振動試験よりも厳しい試験である。
【0072】
図5における「タブ損傷」は、コンデンサ2の評価項目である。「タブ損傷」の評価結果は、振動試験後のタブ32の損傷の有無を表し、評価結果「OK」はタブ32が損傷しなかったことを表し、評価結果「NG」はタブ32が損傷したことを表す。
実施例としての実験番号1、2に係るコンデンサ2は、評価結果「OK」を得ることが解り、比較例としての実験番号3、4に係るコンデンサは、評価結果「NG」を得ることが解った。つまり、実施例に係るコンデンサ2では、比較例に係るコンデンサに比べて、タブ損傷が発生し難いことが解った。
【0073】
実施の形態によれば、たとえば以下の効果が得られる。
【0074】
(1) 積層構造58により、側端部44-1の外側領域において、コンデンサ素子8の剛性が高められている。積層構造58により、コンデンサ素子8の圧縮応力(反発力)が増加し、コンデンサ素子8が固定され易くなる。コンデンサ素子8の振動によるタブ32への負荷が抑制され、タブ32の損傷(たとえばタブ32の破断)を抑制できる。
【0075】
(2) コンデンサ素子8が大きくなるにつれて、たとえばコンデンサ素子8が振動した時にタブ32に掛かる負荷が大きくなる。積層構造58は、60mmを超える長さを有する長寸法コンデンサ2の耐振性または耐久性を向上させることができ、長寸法コンデンサ特有の課題を解消させることができる。
【0076】
(3) コンデンサ素子8に圧縮応力を発生させることにより、タブ32の振動状態とコンデンサ素子8の振動状態を極力近付けることができる。タブ32の損傷は、タブ32に応力が加わることで生じる。タブ32への応力付加は、タブ32とコンデンサ素子8とが個別に振動することに起因することがある。コンデンサ2の振動によって、タブ32とコンデンサ素子8とが別個に振動しあるいは振動共振を生じさせる場合がある。このような揺動や振動共振にタブ32が晒されると、タブ32に過大な振動応力が集中する。この結果、タブ32が損傷する恐れがある。しかしながら、圧縮応力を発生させることによりタブ32とコンデンサ素子8を一体化させることで、振動共振を抑制し、タブ32への応力を低減できる。
【0077】
(4) 耐振性または耐久性の向上により、長寸法コンデンサ2の用途を拡大させることができる。
【0078】
(5) 陰極箔42がカーボン層を含む場合、陰極箔42およびコンデンサ素子8の強度が向上する。そのため、圧力P1、P2に対するコンデンサ素子8の耐圧力性が向上する。
【0079】
(6) 陰極マージン距離w2および陽極マージン距離v2が陰極マージン距離w1および陽極マージン距離v1よりも広い場合、製品高さを抑制しつつ、押し込まれた外部端子22と電極箔との間の短絡が抑制される。
【0080】
以上説明した実施の形態について、その特徴事項や変形例を以下に列挙する。
【0081】
(1) 外装ケース4、封口板6、コンデンサ素子8、電解質などは実施の形態で述べたものに限定されない。これらの素材は、アルミ電解コンデンサまたは類似のコンデンサで採用されている他の素材でもよい。コンデンサ素子8は、たとえば平坦な複数の陰極箔42、陽極箔44およびセパレータ46が積層された積層素子でもよい。カーボン層の素材は実施の形態で述べたものに限定されない。カーボン層を形成する素材は、カーボンを含む任意の導電性部材でもよい。基材箔に対するカーボン層の密着または係合状態は、実施の形態で述べたものに限定されない。陰極箔42は、カーボン層を含まなくてもよく、たとえば既述の弁作用金属箔のみから作られていてもよい。
【0082】
(2) 陰極箔42は、陽極箔44とは異なり基本的には電位上昇に無関係である。そのため、陰極箔42は、外装ケース4の底部16に接触していてもよく、セパレータ46の側端部46-1から突出していてもよい。
【0083】
(3) 陰極箔42は、他端部8-4において、外部端子22に対して非接触な状態で、陽極箔44の側端部44-2から突出していてもよい。つまり、コンデンサ素子8、108は、一端部8-3および他端部8-4の両方において、積層構造58を有してもよい。
【0084】
(4) 実施の形態では、鍔部34-1、34-2の挟み込みにより、電極端子28、リベット30、および積層体20が一体化し、鍔部34-2、34-3の挟み込みにより、タブ32および外部端子22が一体化する。しかしながら、電極端子28およびタブ32は、たとえば冷間圧接によりリベット30に取り付けられてもよい。
【0085】
(5) 積層構造58は、短い通常のコンデンサに適用されてもよい。
【0086】
(6) 実施の形態では、図1に示されているように、外装ケース4の底部16が平坦である。しかしながら、外装ケース4の底部16に突起が形成され、底部16の突起がコンデンサ素子8の素子端面8-1を押し込んでいてもよい。底部16の突起により、外部端子22による押し込みの負担を抑制することができる。
【0087】
(7) 外装ケース4は外装ケース4の内側面にリブを有してもよい。リブは、外装ケース4の内側面とコンデンサ素子8の側面との間の距離を減少させる。そのため、リブは、X方向およびY方向におけるコンデンサ素子8の移動を抑制し、コンデンサ2の耐振性を高めることができる。
【0088】
以上説明したように、本開示の最も好ましい実施の形態等について説明した。本開示の技術は、上記記載に限定されるものではない。特許請求の範囲に記載され、または明細書に開示された発明の要旨に基づき、当業者において様々な変形や変更が可能である。斯かる変形や変更が、本開示の範囲に含まれることは言うまでもない。
【産業上の利用可能性】
【0089】
本開示の技術は、耐振性または耐久性を有するコンデンサを提供することができ、有用である。
【符号の説明】
【0090】
2 コンデンサ
4 外装ケース
6 封口板
8、108 コンデンサ素子
8-1、8-2 素子端面
8-3 一端部
8-4 他端部
10 開口部
12 側面加締め部
14 端部加締め部
16 底部
18 脆弱部
20 積層体
22 外部端子
24 ゴム層
26 樹脂層
27 貫通孔
28 電極端子
30 リベット
32 タブ
34-1、34-2、34-3 鍔部
36 円柱部
42 陰極箔
44 陽極箔
46 セパレータ
42-1、42-2、44-1、44-2、46-1、46-2 側端部
42-3 突出部
58 積層構造
図1
図2
図3
図4
図5