(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024170027
(43)【公開日】2024-12-06
(54)【発明の名称】画像読取装置及び画像形成装置
(51)【国際特許分類】
H04N 1/191 20060101AFI20241129BHJP
H04N 1/00 20060101ALI20241129BHJP
H04N 1/028 20060101ALI20241129BHJP
【FI】
H04N1/191
H04N1/00 885
H04N1/00 L
H04N1/028 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023086942
(22)【出願日】2023-05-26
(71)【出願人】
【識別番号】000005049
【氏名又は名称】シャープ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000947
【氏名又は名称】弁理士法人あーく事務所
(72)【発明者】
【氏名】福留 正一
(72)【発明者】
【氏名】樋口 誠
【テーマコード(参考)】
5C051
5C062
5C072
【Fターム(参考)】
5C051AA01
5C051BA04
5C051DA03
5C051DB08
5C051DB15
5C051DB22
5C051DB28
5C051DE04
5C051DE15
5C051DE17
5C051DE18
5C051EA09
5C051FA01
5C062AA05
5C062AA13
5C062AA35
5C062AB02
5C062AB20
5C062AB25
5C062AB33
5C062AB38
5C062AB41
5C062AB42
5C062AB43
5C062AB44
5C062AB51
5C062AC02
5C062AC22
5C062AE15
5C062BA07
5C072AA01
5C072BA12
5C072CA02
5C072CA18
5C072DA03
5C072DA25
5C072EA07
5C072UA13
5C072WA02
(57)【要約】
【課題】形成される画像において電子部品配置箇所付近での画像と電子部品配置箇所から離れた箇所での画像とで濃度ムラの発生を抑制することができる画像読取装置及び画像形成装置を提供する。
【解決手段】画像読取装置400は、原稿Gを読み取るにあたり、電子部品(213)への電力供給が停止された電力供給停止状態で原稿Gを画像読取位置(R1,R2)に向けて搬送し、原稿Gを画像読取位置(R1,R2)で読み取る前に、電子部品(213)に電力が供給された電力供給状態にし、電力供給状態で原稿Gを画像読取位置(R1,R2)で読み取り、原稿Gを画像読取位置(R1,R2)で読み取った後に、電力供給停止状態にする。
【選択図】
図6
【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板に複数の読取素子及び電子部品が設けられた画像読取センサ部を備え、原稿を前記画像読取センサ部による画像読取位置に向けて搬送し、前記画像読取位置に搬送した前記原稿を前記画像読取センサ部にて読み取る画像読取装置であって、
前記画像読取センサ部における前記電子部品への電力の供給を制御する電力供給制御手段を備え、
前記原稿を読み取るにあたり、
前記電力供給制御手段にて前記電子部品への電力供給が停止された電力供給停止状態で前記原稿を前記画像読取位置に向けて搬送し、
前記原稿を前記画像読取位置で読み取る前に、前記電力供給制御手段にて前記電子部品に電力が供給された電力供給状態にし、前記電力供給状態で前記原稿を前記画像読取位置で読み取り、
前記原稿を前記画像読取位置で読み取った後に、前記電力供給停止状態にする、ことを特徴とする画像読取装置。
【請求項2】
請求項1に記載の画像読取装置であって、
1枚目の前記原稿を読み取るにあたり、前記電力供給状態にし、前記電力供給状態でシェーディング補正を実行し、
前記シェーディング補正を実行した後に、1枚目の前記原稿を前記画像読取位置で読み取り、
1枚目の前記原稿を前記画像読取位置で読み取った後に、前記電力供給停止状態にする、ことを特徴とする画像読取装置。
【請求項3】
請求項2に記載の画像読取装置であって、
1枚目の前記原稿を前記画像読取位置へ搬送する搬送処理と、前記シェーディング補正を実行する補正処理とを並行処理する、ことを特徴とする画像読取装置。
【請求項4】
請求項1に記載の画像読取装置であって、
当該画像読取装置を起動したときに、前記電力供給状態にし、前記電力供給状態でシェーディング補正を実行し、
前記シェーディング補正を実行した後に、前記電力供給停止状態にする、ことを特徴とする画像読取装置。
【請求項5】
請求項1に記載の画像読取装置であって、
前記原稿が搬送される原稿搬送路に設けられた原稿検知部を用いて検知した、前記原稿を前記画像読取位置で読み取る前のタイミング検知、及び、前記原稿を前記画像読取位置で読み取った後のタイミング検知に基づいて前記電力供給状態又は前記電力供給停止状態にする、ことを特徴とする画像読取装置。
【請求項6】
請求項1に記載の画像読取装置であって、
前記画像読取センサ部は、前記基板の、前記複数の読取素子が配置された読取素子配置側の面において、前記複数の読取素子が主走査方向に並設された領域である読取素子領域を有する密着型イメージセンサ部である、ことを特徴とする画像読取装置。
【請求項7】
請求項6に記載の画像読取装置であって、
前記電子部品は、前記画像読取センサ部における前記基板の前記読取素子配置側の面とは反対側の反対側の面において前記読取素子領域に対応する読取素子対応領域上又は前記読取素子対応領域の近傍の所定の電子部品配置箇所に設けられている、ことを特徴とする画像読取装置。
【請求項8】
請求項1に記載の画像読取装置であって、
前記電子部品は、半導体ICチップである、ことを特徴とする画像読取装置。
【請求項9】
請求項1から請求項7までの何れか1項に記載の画像読取装置を備えた、ことを特徴とする画像形成装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、基板に複数の読取素子及び電子部品が設けられた画像読取センサ部を備えた画像読取装置、及び、複写機、複合機等の画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
画像読取装置として、例えば、基板に複数の読取素子及び電子部品が設けられた画像読取センサ部を備え、原稿を画像読取センサ部による画像読取位置に向けて搬送し、画像読取位置に搬送した原稿を画像読取センサ部にて読み取るものがある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
このような画像読取装置では、大量の原稿を連続的に読み取ると、画像読取センサ部の連続使用で画像読取センサ部の温度が上昇し、形成される画像に濃度ムラが発生するという不都合がある。
【0005】
これについて、例えば、画像読取センサ部として、密着型イメージセンサ部を用い、電子部品として、半導体ICチップを用いる場合を例にとって以下に説明する。
【0006】
図13は、画像読取ユニット220の一例の内部構成を模式的に示す正面図である。
図14Aは、画像読取センサ部210の一例を主走査方向Xの一方側から視た正面図である。
図14Bは、画像読取センサ部210の一例を基板211の読取素子配置側の面211a側から視た平面図である。また、
図15Aは、シェーディング補正を行う前の初期において光源221,221が発光していないときの画像読取センサ部210における読取素子部212の各出力値を示すグラフである。
図15Bは、シェーディング補正前に複数の原稿G~Gを連続して読み取った温度上昇後において光源221,221が発光していないときでの画像読取センサ部210における読取素子部212の各出力値を示すグラフである。
【0007】
図13に示すように、画像読取ユニット220は、光源221,221と、集光レンズアレイ222と、画像読取センサ部210と、を備えている。画像読取ユニット220は、光源221,221から出射した出射光La,Laを原稿Gに照射し、原稿Gから反射した反射光Lbを読取素子部212で集光レンズアレイ222を介して読み取る。集光レンズアレイ222は、原稿Gから反射した反射光Lb(画像光)を画像読取センサ部210における読取素子部212に集光する。画像読取センサ部210は、集光レンズアレイ222を通じて読取素子部212で受光した反射光Lbを光電変換して画像データを出力する。読取素子部212は、主走査方向Xに沿って基板211に並設された複数の読取素子212a~212aから構成されている。
【0008】
図13から
図14Bに示すように、画像読取センサ部210は、基板211の複数の読取素子212a~212aが配置された読取素子配置側の面211aにおいて複数の読取素子212a~212aが主走査方向Xに並設された領域である読取素子領域α(
図14B参照)を有している。基板211に設けられる電子部品は、この例では、半導体ICチップ213とされている。半導体ICチップ213は、例えば、画像読取センサ部210における基板211の読取素子配置側の面211aとは反対側の反対側の面211bにおいて読取素子領域αに対応する読取素子対応領域β(
図14B参照)上又は読取素子対応領域βの近傍の所定の電子部品配置箇所βa(
図14B参照)に設けられることがある。この例では、半導体ICチップ213は、読取素子対応領域β上の電子部品配置箇所βaに設けられ、半導体ICチップ213には放熱部材214(放熱パッド)(
図14A参照)が設けられている。
【0009】
このような画像読取センサ部210では、
図15Aに示すように、シェーディング補正前の初期において光源221,221が発光していないときでは、読取素子212a~212aの各出力値を示す。
【0010】
これに対し、シェーディング補正後であっても、複数の原稿G~G(例えば100枚を超えるような大量の原稿)を連続して読み取ると、基板211における半導体ICチップ213の温度が上昇する。その結果、画像読取センサ部210における基板211の反対側の面211bにおいて読取素子対応領域βのうちの電子部品配置箇所βaの温度がそれ以外の領域βbよりも上昇し、電子部品配置箇所βa付近の読取素子212a~212aの温度がそれ以外の領域βb,βbの読取素子212a~212a,212a~212aの温度よりも高くなる。そうすると、光源221,221が発光していないときでの読取素子212a~212aの各出力値(
図15A参照)が、
図15Bに示すように、変動してしまう。このため、形成される画像において電子部品配置箇所βa付近での画像と電子部品配置箇所βaから離れた箇所での画像とで濃度ムラが発生する。
【0011】
この点に関し、特許文献1には、連続して搬送される記録媒体間の間隙部分で、光源部の光量を減ずる減光制御を行う構成が開示されている。
【0012】
しかしながら、特許文献1に記載の構成では、記録媒体間で光源部の光量を減ずる減光制御を行うものの、基板における電子部品の温度が上昇することによる不都合について何ら対応していない。
【0013】
そこで、本開示は、形成される画像において電子部品配置箇所付近での画像と電子部品配置箇所から離れた箇所での画像とで濃度ムラの発生を抑制することができる画像読取装置及び画像形成装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0014】
前記課題を解決するために、本開示に係る画像読取装置は、基板に複数の読取素子及び電子部品が設けられた画像読取センサ部を備え、原稿を前記画像読取センサ部による画像読取位置に向けて搬送し、前記画像読取位置に搬送した前記原稿を前記画像読取センサ部にて読み取る画像読取装置であって、前記画像読取センサ部における前記電子部品への電力の供給を制御する電力供給制御手段を備え、前記原稿を読み取るにあたり、前記電力供給制御手段にて前記電子部品への電力供給が停止された電力供給停止状態で前記原稿を前記画像読取位置に向けて搬送し、前記原稿を前記画像読取位置で読み取る前に、前記電力供給制御手段にて前記電子部品に電力が供給された電力供給状態にし、前記電力供給状態で前記原稿を前記画像読取位置で読み取り、前記原稿を前記画像読取位置で読み取った後に、前記電力供給停止状態にする、ことを特徴とする。
【0015】
また、本開示に係る画像形成装置は、前記本開示に係る画像読取装置を備えた、ことを特徴とする。
【発明の効果】
【0016】
本開示によると、形成される画像において電子部品配置箇所付近での画像と電子部品配置箇所から離れた箇所での画像との濃度ムラの発生を抑制することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【
図1】本実施の形態に係る画像読取装置を備えた画像形成装置を示す断面図である。
【
図2】
図1に示す画像読取部を上から視た平面図である。
【
図3A】画像形成装置における画像読取装置部分を正面側から視た断面図である。
【
図3B】画像形成装置における画像読取装置部分を側面側から視た断面図である。
【
図4】画像読取装置における画像読取センサ部の概略断面図である。
【
図5】画像形成装置の概略構成の一例を示すシステムブロック図である。
【
図6】上側の図が1枚目の原稿の読取制御において半導体ICチップに電力を供給する供給タイミングを示すタイミングチャートであり、下側の図が2枚目以降の原稿の読取制御において半導体ICチップに電力を供給する供給タイミングを示すタイミングチャートである。
【
図7A】第1の画像読取ユニットでの原稿の読み取り状態を模式的に示す正面図である。
【
図7B】第2の画像読取ユニットでの原稿の読み取り状態を模式的に示す正面図である。
【
図8】第1の画像読取センサ部による第1の画像読取制御における起動時での読取制御の一例のフローチャートである。
【
図9】第1の画像読取センサ部による第1の画像読取制御における原稿固定読取動作時での読取制御の一例のフローチャートである。
【
図10】第1の画像読取センサ部による第1の画像読取制御における表面の原稿移動読取動作時での読取制御の一例のフローチャートである。
【
図11】第2の画像読取センサ部による第2の画像読取制御における起動時での読取制御の一例のフローチャートである。
【
図12】第2の画像読取センサ部による第2の画像読取制御における裏面の原稿移動読取動作時での読取制御の一例のフローチャートである。
【
図13】画像読取ユニットの一例の内部構成を模式的に示す正面図である。
【
図14A】画像読取センサ部の一例を主走査方向の一方側から視た正面図である。
【
図14B】画像読取センサ部の一例を基板の読取素子配置側面側から視た平面図である。
【
図15A】シェーディング補正を行った後の初期において光源が発光していないときでの画像読取センサ部における読取素子部の各出力値を示すグラフである。
【
図15B】シェーディング補正後に複数の原稿を連続して読み取った温度上昇後において光源が発光していないときでの画像読取センサ部における読取素子部の各出力値を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本開示に係る実施の形態について図面を参照しながら説明する。以下の説明では、同一の部品には同一の符号を付してある。それらの名称及び機能も同じである。従って、それらについての詳細な説明は繰り返さない。
【0019】
[画像形成装置]
図1は、本実施の形態に係る画像読取装置400を備えた画像形成装置100を示す断面図である。
図2は、
図1に示す画像読取部200を上から視た平面図である。
図3A及び
図3Bは、それぞれ、画像形成装置100における画像読取装置400部分を正面側及び側面側から視た断面図である。
図4は、画像読取装置400における画像読取センサ部210(210a,210b)の概略断面図である。なお、
図4において、第1の画像読取センサ部210(210a)及び第2の画像読取センサ部210(210b)は、実質的に同じ構成であるため、同一符号を付し、1つの図で示している。また、
図5は、画像形成装置100の概略構成の一例を示すシステムブロック図である。
【0020】
画像形成装置100は、画像読取装置400及び画像形成装置本体110を備えている。
【0021】
画像読取装置400は、画像形成装置本体110の上部に設けられており、画像読取部200と原稿搬送部300(自動原稿送り装置)とを備えている。画像読取部200は、搬送される原稿Gの表面用の第1の画像読取位置R1(画像読取位置の一例)(
図3A参照)を規定する原稿読取部材200a(具体的には原稿読取ガラス)と、原稿Gが載置される原稿載置台200b(具体的には原稿載置ガラス)と、を備えている。画像読取部200は、原稿載置台200bに載置された原稿Gを読み取るか、或いは、原稿搬送部300にて搬送される原稿Gの表面を原稿読取部材200aの第1の画像読取位置R1で読み取り、さらに、原稿Gの裏面を読み取る場合には、第1の画像読取位置R1よりも搬送方向Dにおける下流側において原稿搬送部300にて搬送される原稿Gの裏面を裏面用の第2の画像読取位置R2(画像読取位置の他の例)(
図3A参照)で読み取るようになっている。
【0022】
原稿載置台200bは、画像読取部200の上側に設けられている。原稿搬送部300は、第1の画像読取位置R1及び第2の画像読取位置R2に向けて原稿Gを自動で搬送する。また、原稿搬送部300は、画像読取部200に対して主走査方向Xにおける一方側である背面側において副走査方向Yに沿った軸線回りに開閉可能に設けられている。ここで、主走査方向Xは原稿Gの搬送方向Dに直交する方向であり、副走査方向Yは原稿Gの搬送方向に平行な方向である。また、背面側(副走査方向Yの他方側Y2)は操作側(副走査方向Yの一方側Y1)とは反対側である。なお、符号Zは上下方向を示している。
【0023】
原稿搬送部300は画像読取部200に対してヒンジによって回動自在に軸支される。原稿搬送部300は、原稿載置台200b上を開放する一方、原稿載置台200b上に載置された原稿Gを上から押さえる原稿押さえ部の一例を兼ねている。
【0024】
画像形成装置100は、画像読取装置400により読み取った原稿Gの画像又は外部から受信した画像データに応じて、用紙P(記録紙等の記録シート)に対して多色及び単色の画像を形成する画像形成部111(
図1参照)を備えている。
【0025】
画像形成部111は、光走査装置11、現像装置12、感光体ドラム13、ドラムクリーニング装置14、帯電器15、中間転写ベルト装置20、定着装置17及び2次転写装置26を備えている。画像形成装置100において扱われる画像データは、ブラック(K)、シアン(C)、マゼンタ(M)、イエロー(Y)等の複数色(この例では4色)を用いたカラー画像に応じたものである。従って、この例では、現像装置12、感光体ドラム13、ドラムクリーニング装置14、帯電器15は、各色に応じた4種類の潜像を形成するようにそれぞれ4個ずつ設けられ、それぞれ、ブラック、シアン、マゼンタ、イエローに設定され、これらによって4つの画像ステーションPa,Pb,Pc,Pdが構成されている。画像形成装置100は、さらに、給紙トレイ18、排出トレイ39を備えている。
【0026】
画像形成装置100では、給紙トレイ18にて供給された用紙Pは搬送ローラ35にて用紙搬送路Raに沿って用紙レジストローラ34まで搬送される。次に、用紙Pは用紙レジストローラ34により用紙Pと周方向Cへ周回移動する中間転写ベルト21上のトナー像とを整合するタイミングで転写ローラ26aに搬送される。中間転写ベルト21上のトナーは転写ローラ26aにより用紙P上に転写される。その後、用紙Pは定着装置17における定着ローラ31及び加圧ローラ32に通過し、用紙排出ローラ36を経て排出トレイ39上に排出される。用紙Pの表面だけでなく、裏面に画像形成を行う場合は、用紙Pは用紙排出ローラ36から反転用紙搬送路Rbへ逆方向に搬送される。用紙Pは反転搬送ローラ35aを経て用紙Pの表裏を反転して用紙レジストローラ34へ再度導かれる。そして、用紙Pは、表面と同様にして、裏面にトナー像が形成されて定着された後、排出トレイ39へ向けて排出される。
【0027】
[画像読取装置]
画像読取装置400は、画像読取ユニット220(220a,220b)を備えている。
【0028】
-画像読取部-
画像読取部200は、透明な平板状の原稿読取部材200a、透明な平板状の原稿載置台200b、筐体200c、走査ユニット230(走査体)及び駆動部240(スキャナモータ)(
図3A、
図3B参照)を備えている。
【0029】
走査ユニット230には、第1の画像読取ユニット220(220a)が設けられている。第1の画像読取ユニット220(220a)は、原稿Gを読み取る第1の画像読取センサ部210(210a)(この例では密着型イメージセンサ)を備えている。走査ユニット230は、原稿読取部材200a及び原稿載置台200bの下方において、筐体200cに対して副走査方向Yに沿って往復移動自在に設けられ、駆動部240により駆動される。
【0030】
詳しくは、筐体200cには、案内シャフト200d(
図3B参照)が副走査方向Yに沿って設けられている。走査ユニット230は、支持ガイド231が案内シャフト200dに摺動自在に設けられている。駆動部240は、筐体200cの副走査方向Yの一方側Y1に設けられている。また、
図3Bに示すように、駆動部240の駆動ギヤ240aは、ベルトギヤ200eに噛み合わされ、ベルトギヤ200eには、駆動プーリー200fが設けられている。筐体200cの副走査方向Yの他方側Y2には、従動プーリー200gが設けられている。駆動プーリー200f及び従動プーリー200gに走査ベルト200hが巻き掛けられている。走査ベルト200hは、走査ユニット230の支持ガイド231に固定されている。これにより、駆動部240の駆動ギヤ240aが一方向及び他方向に回転することで、走査ユニット230を副走査方向Yに沿って往復移動させることができる。
【0031】
画像読取装置400は、制御部70の指示の下、原稿移動読取動作と、原稿固定読取動作とを行う構成とされている。
【0032】
画像読取装置400は、原稿移動読取動作では、駆動部240により走査ユニット230を原稿読取部材200aの下方の第1の画像読取位置R1に停止させて、原稿搬送部300により搬送されて原稿読取部材200a上を通過する原稿Gの表面を第1の画像読取ユニット220(220a)における第1の画像読取センサ部210(210a)で読み取る。原稿移動読取動作において原稿Gの裏面を読み取る場合には、原稿搬送部300により搬送されて第2の画像読取ユニット220(220b)を通過する原稿Gの裏面を第2の画像読取ユニット220(220b)における第2の画像読取センサ部210(210b)で読み取る。
【0033】
また、画像読取装置400は、原稿固定読取動作では、走査ユニット230を原稿載置台200bに沿って副走査方向Yの一方側Y1に移動させながら原稿載置台200b上に載置された原稿Gを第1の画像読取ユニット220(220a)における第1の画像読取センサ部210(210a)で読み取る。
【0034】
-原稿搬送部-
画像読取装置400では、原稿Gを画像読取センサ部210(210a,210b)による画像読取位置(R1,R2)に向けて搬送し、画像読取位置(R1,R2)に搬送した原稿Gを画像読取センサ部210(210a,210b)にて読み取りながら画像読取位置(R1,R2)よりも原稿Gの搬送方向Dにおける下流側に搬送する。
【0035】
原稿搬送部300は、原稿載置トレイ310、供給ローラ320、原稿搬送路S、第1搬送ローラ330、原稿レジストローラ340、第2搬送ローラ350、第3搬送ローラ360、原稿排出ローラ370及び原稿排出トレイ380を備えている。
【0036】
原稿載置トレイ310は、1枚又は複数枚の原稿Gを載置するものであり、原稿搬送部300の上部に配設されている。供給ローラ320は、原稿載置トレイ310に載置された原稿Gを1枚ずつ引き出す。供給ローラ320は、呼び込みローラ321(ピックアップローラ)と、送りローラ322と、分離ローラや分離パッド等の分離部材323(この例では分離ローラ)とで構成されている。呼び込みローラ321は、原稿載置トレイ310上に載置された原稿Gを原稿載置トレイ310から原稿Gの搬送方向Dに沿って原稿搬送路S内へ送り出す。送りローラ322は、呼び込みローラ321にて送られてきた原稿Gを分離部材323と共に挟持しつつさらに搬送方向Dの下流側へ搬送する。分離部材323は、送りローラ322に対峙された状態で送りローラ322との間に搬送される原稿Gが1枚になるように原稿Gを分離する。
【0037】
原稿搬送路Sは、供給ローラ320にて引き出された原稿Gを、原稿読取部材200aを経て排出側(原稿載置トレイ310の下方)へ導く。第1搬送ローラ330、原稿レジストローラ340、第2搬送ローラ350、第3搬送ローラ360及び原稿排出ローラ370は、原稿搬送路S上に設けられている。第1搬送ローラ330は、供給ローラ320にて引き出された原稿Gを原稿レジストローラ340に搬送する。原稿レジストローラ340は、第1搬送ローラ330にて搬送されてきた原稿Gを原稿読取部材200a上に搬送する。第2搬送ローラ350は、原稿読取部材200aから搬送されてきた原稿Gを第3搬送ローラ360に向けて搬送する。第3搬送ローラ360は、第2搬送ローラ350にて搬送されてきた原稿Gを第2の画像読取センサ部210(210b)に通過させて原稿排出ローラ370に向けて搬送する。原稿排出ローラ370は、第3搬送ローラ360から搬送されてきた原稿Gを原稿排出トレイ380に向けて排出する。原稿排出トレイ380は、原稿載置トレイ310の下方に配設されており、原稿排出ローラ370にて排出された原稿Gを載置する。
【0038】
また、原稿搬送部300は、
図3A及び
図5に示すように、第1の原稿検知部301(301a)(原稿検知部の一例)及び第2の原稿検知部301(301b)(原稿検知部の他の例)をさらに備えている。
【0039】
第1の原稿検知部301(301a)(この例ではアクチュエータ型フォトセンサ)は、原稿搬送路Sにおいて第1の画像読取位置R1よりも搬送方向Dにおける上流側(この例では原稿レジストローラ340の上流側の近傍)に設けられている。第2の原稿検知部301(301b)(この例ではアクチュエータ型フォトセンサ)は、原稿搬送路Sにおいて第2の画像読取位置R2よりも搬送方向Dにおける上流側(この例では第3搬送ローラ360の上流側の近傍)に設けられている。
【0040】
図4に示すように、画像読取ユニット220(220a,220b)は、1又は複数(この例では2つ)の光源221,221と、集光レンズアレイ222と、画像読取センサ部210(210a,210b)と、筐体223と、を備えている。光源221,221、集光レンズアレイ222及び画像読取センサ部210は、筐体223内に設けられている。画像読取ユニット220(220a,220b)は、光源221,221から出射した出射光La,Laを原稿Gに照射し、原稿Gから反射した反射光Lbを画像読取センサ部210における読取素子部212で集光レンズアレイ222を介して読み取る。
【0041】
光源221,221は、原稿Gに出射光La,Laを照射する。集光レンズアレイ222は、原稿Gから反射した反射光Lb(画像光)を画像読取センサ部210における読取素子部212に集光する。画像読取センサ部210(210a,210b)は、集光レンズアレイ222を通じて読取素子部212で受光した反射光Lbを光電変換して画像データを出力する。読取素子部212は、主走査方向Xに沿って基板211に並設された複数(具体的には5184個)の読取素子212a~212aから構成されており、この例では、ラインイメージセンサとされている。画像読取センサ部210(210a,210b)の基板211には、複数の読取素子212a~212a及び電子部品(この例では半導体ICチップ213)が設けられている。半導体ICチップとしては、アナログ信号をデジタル信号に変換するもの、アナログ信号を増幅するものなどを挙げることができ、代表的には、複数の読取素子212a~212aから出力されたアナログ信号を調整(例えばデジタル信号に変換)するアナログフロントエンドICチップ:AFE(この例では10mm×10mmチップ)を例示できる。
【0042】
画像読取ユニット220(220a,220b)は、前述した
図13から
図14Bに示す従来の構成と同様である。
【0043】
すなわち、
図13から
図14Bに示すように、画像読取センサ部210(210a,210b)は、基板211の、複数の読取素子212a~212aが配置された読取素子配置側の面211aにおいて、複数の読取素子212a~212aが主走査方向Xに並設された領域である読取素子領域α(
図14B参照)を有している。基板211に設けられる電子部品は、この例では、半導体ICチップ213(この例ではアナログフロントエンドICチップ:AFE)とされている。半導体ICチップ213は、第1の半導体ICチップ213aと第2の半導体ICチップ213bとを含んでいる。半導体ICチップ213(213a,213b)は、例えば、画像読取センサ部210(210a,210b)における基板211の読取素子配置側の面211aとは反対側の反対側の面211bにおいて読取素子領域αに対応する読取素子対応領域β(
図14B参照)上又は読取素子対応領域βの近傍の所定の電子部品配置箇所βa(
図14B参照)に設けられることがある。この例では、半導体ICチップ213(213a,213b)は、読取素子対応領域β上の電子部品配置箇所βaに設けられ、半導体ICチップ213(213a,213b)には放熱部材214(放熱パッド)(
図14A参照)が設けられている。
【0044】
画像読取センサ部210(210a,210b)は、原稿Gからの反射光Lbを画像データとして電気信号に変換する。
【0045】
画像読取センサ部210(210a,210b)は、この例では、CIS(Contact Image Sensor)と称されるものであり、主走査方向Xに長尺な形状とされている。詳しくは、光源221,221は、第1の画像読取センサ部210(210a)では、原稿Gの表面に、第2の画像読取センサ部210(210b)では、原稿Gの裏面に出射光La,Laを照射する。光源221,221は、発光ダイオード素子(LED)とされている。集光レンズアレイ222は、原稿Gから反射されてきた反射光Lbを等倍で結像する。集光レンズアレイ222は、正立等倍レンズとされている。複数の読取素子212a~212aは、集光レンズアレイ222を通過してきた反射光Lbを受光する。
【0046】
図5に示すように、画像形成装置100は、制御部70を備えている。制御部70は、画像読取装置400に備えられていてもよい。制御部70は、CPU等のマイクロコンピュータからなる処理部71と、ROM等の不揮発性メモリ72a、RAM等の揮発性メモリ72bを含む記憶部72と、を有している。制御部70は、処理部71が記憶部72の不揮発性メモリ72aに予め格納された制御プログラムを記憶部72の揮発性メモリ72b上にロードして実行することにより、各種構成要素の作動制御を行う。
【0047】
制御部70は、内部バス75を介して、記憶部72に接続されている。また、制御部70は、内部バス75を介して、画像読取装置400及び画像形成部111が接続されている。
【0048】
制御部70は、画像形成装置100の全体の制御を司る。不揮発性メモリ72aは、画像形成装置100の起動プログラムや各種情報についてのデフォルト値を記憶する。揮発性メモリ72bは、制御部70のワーキング領域及びバッファ領域として用いられる。
【0049】
半導体ICチップ213(213a,213b)(AFE)は、制御部70の出力系に電気的に接続されている。これにより、制御部70は、半導体ICチップ213(213a,213b)に電力を供給することができる。
【0050】
画像読取センサ部210(210a,210b)は、制御部70の入力系に電気的に接続されている。これにより、制御部70は、画像読取センサ部210(210a,210b)からの画像信号を受信することができる。
【0051】
原稿検知部301(301a,301b)は、制御部70の入力系に電気的に接続されている。これにより、制御部70は、原稿検知部301(301a,301b)にて原稿Gの先端を検知することにより画像読取位置(R1,R2)に到達する前、すなわち、半導体ICチップ213(213a,213b)(AFE)への電力供給により半導体ICチップ213(213a,213b)が立ち上がっているときに読取素子部212で読み取ることが可能なタイミングで半導体ICチップ213(213a,213b)に電力を供給することができる。
【0052】
<第1実施形態>
図6は、上側の図が1枚目の原稿Gの読取制御において半導体ICチップ213(213a,213b)(AFE)に電力を供給する供給タイミングを示すタイミングチャートであり、下側の図が2枚目以降の原稿Gの読取制御において半導体ICチップ213(213a,213b)(AFE)に電力を供給する供給タイミングを示すタイミングチャートである。
【0053】
ここで、1枚目の原稿Gは、原稿載置トレイ310に載置された原稿が、図示しない操作パネルに設けられた実行キーの実行により最初に原稿載置トレイ310から読取位置に向かって搬送される原稿である。また、2枚目以降の原稿Gは、1枚目の原稿が搬送された後、次に搬送される原稿である。
【0054】
図7A及び
図7Bは、それぞれ、第1の画像読取ユニット220(220a)及び第2の画像読取ユニット220(220b)での原稿Gの読み取り状態を模式的に示す正面図である。
【0055】
制御部70は、電力供給制御手段P1及び第1読取制御手段P2を備える。電力供給制御手段P1は、画像読取センサ部210(210a,210b)における電子部品〔半導体ICチップ213(213a,213b)〕への電力の供給を制御する。第1読取制御手段P2は、原稿Gを読み取るにあたり、電力供給制御手段P1にて電子部品〔213(213a,213b)〕への電力供給が停止された電力供給停止状態で原稿Gを画像読取位置(R1,R2)に向けて搬送する。第1読取制御手段P2は、原稿Gを画像読取位置(R1,R2)で読み取る前に、電力供給制御手段P1にて電子部品〔213(213a,213b)〕に電力が供給された電力供給状態にし、電力供給状態で原稿Gを画像読取位置(R1,R2)で読み取り、原稿Gを画像読取位置(R1,R2)で読み取った後に、電力供給停止状態にする。以下の説明では、電力供給状態は、パワーアップ状態といい、電力供給停止状態は、パワーダウン状態ということがある。
【0056】
この例では、第1読取制御手段P2は、複数の原稿G~Gを連続的に読み取るにあたり、2枚目以降の原稿G~Gの読み取りのときには、先行の原稿Gの画像読取位置(R1,R2)での読み取り終了後(ST6:
図6の下の図参照)、電力供給制御手段P1にて電子部品〔213(213a,213b)〕に供給すべき基準電力よりも抑制するか又は電子部品〔213(213a,213b)〕への電力供給をオフする状態であるパワーダウン状態(電力供給停止状態)にする(ST7:
図6の下の図参照)。次に、第1読取制御手段P2は、パワーダウン状態で原稿Gを画像読取位置(R1,R2)に向けて搬送する(ST8:
図6の下の図参照)。ここで、基準電力とは、電子部品〔213(213a,213b)〕が正常に作動することが可能な電圧である。
【0057】
次に、第1読取制御手段P2は、後続の原稿Gを画像読取位置(R1,R2)で読み取る前に、電力供給制御手段P1にて電子部品〔213(213a,213b)〕に基準電力を供給する状態であるパワーアップ状態(電力供給状態)にし(ST9:
図6の下の図参照)、所定の読取開始タイミングで原稿Gの画像読取位置(R1,R2)での読み取りを開始する(ST10:
図6の下の図参照)。
【0058】
詳しくは、
図7A及び
図7Bに示すように、原稿Gの表面を読み取るときは、第1読取制御手段P2は、第1の原稿検知部301(301a)にて原稿Gの先端G1を検出してから、予め認識している所定の第1上流側搬送距離L1(
図7A参照)と原稿Gの搬送速度とから算出した所定の第1時間経過後に第1の画像読取位置R1の手前で電力供給制御手段P1にてパワーアップ状態にする。その後、第1読取制御手段P2は、所定の読取開始タイミングで第1の画像読取位置R1において第1の画像読取センサ部210(210a)により原稿Gの表面の読み取りを開始する。また、原稿Gの裏面を読み取るときは、第2読取制御手段P3は、第2の原稿検知部301(301b)にて原稿Gの先端G1を検出してから、予め認識している所定の第2上流側搬送距離L3(
図7B参照)と原稿Gの搬送速度とから算出した所定の第3時間経過後に第2の画像読取位置R2の手前で電力供給制御手段P1にてパワーアップ状態にする。その後、第2読取制御手段P3は、所定の読取開始タイミングで第2の画像読取位置R2において第2の画像読取センサ部210(210b)により原稿Gの裏面の読み取りを開始する。
【0059】
次に、第1読取制御手段P2及び第2読取制御手段P3は、パワーアップ状態で原稿Gを画像読取位置(R1,R2)で読み取りながら原稿Gを搬送し(ST11:
図6の下の図参照)、所定の読取終了タイミングで原稿Gの表面又は裏面を画像読取位置(R1,R2)での読み取りが終了した後に(ST12:
図6の下の図参照)、電力供給制御手段P1にてパワーダウン状態にする(ST13:
図6の下の図参照)。
【0060】
次に、
図7A及び
図7Bに示すように、原稿Gの表面を読み取るときは、第1読取制御手段P2は、第1の原稿検知部301(301a)にて原稿Gの後端G2を検出してから、所定の読取終了タイミングよりも後であって予め認識している所定の第1下流側搬送距離L2(
図7A参照)と原稿Gの搬送速度とから算出した所定の第2時間経過後に原稿Gの後端G2が第1の画像読取位置R1を通過したことを検出した後に、電力供給制御手段P1にてパワーダウン状態にする。また、原稿Gの裏面を読み取るときは、第2読取制御手段P3は、第2の原稿検知部301(301b)にて原稿Gの後端G2を検出してから、所定の読取終了タイミングよりも後であって予め認識している所定の第2下流側搬送距離L4(
図7B参照)と原稿Gの搬送速度とから算出した所定の第4時間経過後に原稿Gの後端G2が第2の画像読取位置R2を通過したことを検出した後に、電力供給制御手段P1にてパワーダウン状態にする。
【0061】
ところで、原稿Gの読み取り毎に、シェーディング補正を実行することにより、形成される画像において電子部品配置箇所βa付近での画像と電子部品配置箇所βaから離れた箇所での画像との濃度ムラの発生を抑制することができるが、これでは、先行の原稿Gと後続の原稿Gとの間の限られた時間内にシェーディング補正を行うことができない。このことは、シェーディング位置R4(
図7A参照)と第1の画像読取位置R1(
図7A参照)との間の第1の画像読取センサ部210(210a)の移動を伴う(移動に時間を要する)シェーディング補正を行うときに、特に顕著となる。
【0062】
この点、本実施の形態によれば、2枚目以降の原稿Gの読み取りのときには、原稿Gの読み取り毎にシェーディング補正を実行することなく、パワーダウン状態(電力供給停止状態)で原稿Gを画像読取位置(R1,R2)に向けて搬送し、原稿Gを画像読取位置(R1,R2)で読み取る前に、パワーアップ状態(電力供給状態)にし、パワーアップ状態(電力供給状態)で原稿Gを画像読取位置(R1,R2)で読み取り、原稿Gを画像読取位置(R1,R2)で読み取った後に、パワーダウン状態(電力供給停止状態)にする。
【0063】
このように、原稿Gの読み取り毎にシェーディング補正を実行しなくても、連続的に読み取られる先行の原稿Gと後続の原稿Gとの間で電子部品〔213(213a,213b)〕に対してパワーダウン状態(電力供給停止状態)にすることができ、従って、たとえ複数の原稿G~Gを連続して読み取ったとしても、基板211における電子部品〔213(213a,213b)〕の温度が上昇することを抑制することができる。これにより、電子部品配置箇所βa付近の読取素子212a~212aの温度がそれ以外の領域βb,βbの読取素子212a~212aの温度よりも高くなることを抑制することができる。ひいては、形成される画像において電子部品配置箇所βa付近での画像と電子部品配置箇所βaから離れた箇所での画像とでの濃度ムラの発生を抑制することができる。
【0064】
このことは、画像読取センサ部210(210a,210b)が密着型イメージセンサ部であり、電子部品が画像読取センサ部210(210a,210b)における基板211の反対側の面211bにおいて読取素子対応領域β上又は読取素子対応領域βの近傍の所定の電子部品配置箇所βaに設けられた半導体ICチップ213(213a,213b)(この例ではアナログフロントエンドICチップ)である場合に、特に有効である。
【0065】
<第2実施形態>
ところで、ジョブが要求されたときにシェーディング補正を実行した方がよい場合がある。例えば、前回のジョブで複数の原稿G~Gを連続して読み取った場合、電子部品〔213(213a,213b)〕の温度が上昇するが、電子部品〔213(213a,213b)〕の温度が下がりきらない間に、次のジョブを実行することがある。
【0066】
この点、本実施の形態において、制御部70は、第2読取制御手段P3をさらに備える。
【0067】
第2読取制御手段P3は、1枚目の原稿Gを読み取るにあたり(すなわち、ジョブ要求毎に)、電力供給制御手段P1にてパワーアップ状態(電力供給状態)にし(ST1:
図6の上の図参照)、パワーアップ状態(電力供給状態)でシェーディング補正を実行する(ST2:
図6の上の図参照)。
【0068】
制御部70は、シェーディング補正を実行した後に、パワーアップ状態(電力供給状態)のままで1枚目の原稿Gを画像読取位置(R1,R2)で読み取る(ST3:
図6の上の図参照)。制御部70は、1枚目の原稿Gを画像読取位置(R1,R2)で読み取った後に(ST4:
図6の上の図参照)、電力供給制御手段P1にてパワーダウン状態(電力供給停止状態)にする(ST5:
図6の上の図参照)。
【0069】
こうすることで、ジョブ要求毎にシェーディング補正を実行することができ、従って、ジョブ要求毎に濃度ムラの発生を抑制することができる。例えば、前回のジョブで複数の原稿G~Gを連続して読み取った場合、電子部品〔213(213a,213b)〕の温度が上昇し、電子部品〔213(213a,213b)〕の温度が下がりきらない間、たとえ次のジョブを実行することがあっても、1枚目の原稿Gはシェーディング補正を行うことで、形成される画像において電子部品配置箇所βa付近での画像と電子部品配置箇所βaから離れた箇所での画像との濃度ムラの発生を抑制することができる。
【0070】
ここで、シェーディング補正とは、画像読取センサ部210(210a,210b)における複数の読取素子212a~212aへの光量ムラを補正するための補正であり、例えば、次の式で補正することができる。
【0071】
光源221,221を消灯したときの画像読取センサ部210(210a,210b)の出力値をK(i)(iは1~nまでの整数、nは読取素子212a~212aの素子数、この例ではn=5184)、光源221,221を点灯して基準白板224(224a,224b)(シェーディング板)(
図3A、
図7A、
図7B参照)から反射した反射光Lbを受信したときの画像読取センサ部210(210a,210b)の出力値をW(i)、光源221,221を点灯して原稿Gから反射した反射光Lbを受信したときの画像読取センサ部210(210a,210b)の出力値をP(i)、画像読取センサ部210(210a,210b)の出力値に対応する階調値の係数をγ(この例では200)とすると、
光源221,221を点灯して原稿Gから反射した反射光Lbを受信したときの画像読取センサ部210(210a,210b)の出力値のシェーディング補正後の階調値Pot(i)は、
Pout(i)={〔P(i)-K(i)〕/〔W(i)-K(i)〕}×γ
の式で算出することができる。この例では、Pout(i)=0~255とされている。
【0072】
<第3実施形態>
本実施の形態において、制御部70は、1枚目の原稿Gを画像読取位置(R1,R2)へ搬送する搬送処理と、シェーディング補正を実行する補正処理とを並行処理する。
【0073】
こうすることで、1枚目の原稿Gを画像読取位置(R1,R2)に搬送している間に、シェーディング補正、特に、第1の画像読取センサ部210(210a)の移動を伴うシェーディング補正を行うことができ、それだけ、1枚目の原稿Gの画像読取時間の短縮化を実現させることができる。
【0074】
<第4実施形態>
本実施の形態において、制御部70は、画像読取装置400(画像形成装置100)を起動したときに、パワーアップ状態(電力供給状態)にし、パワーアップ状態(電力供給状態)でシェーディング補正を実行し、シェーディング補正を実行した後に、パワーダウン状態(電力供給停止状態)にする。
【0075】
こうすることで、画像読取装置400(画像形成装置100)の起動毎にシェーディング補正を実行することができ、従って、起動毎に濃度ムラの発生を抑制することができる。
【0076】
<第5実施形態>
本実施の形態において、制御部70は、原稿搬送路Sに設けられた原稿検知部301(301a,301b)を用いて検知した、原稿Gを画像読取位置(R1,R2)で読み取る前のタイミング検知、及び、原稿Gを画像読取位置(R1,R2)で読み取った後のタイミング検知に基づいてパワーアップ状態(電力供給状態)又はパワーダウン状態(電力供給停止状態)にする。
【0077】
こうすることで、原稿Gの原稿搬送路Sに設けられた既存の原稿検知部301(301a,301b)を用いて、容易にパワーアップ状態(電力供給状態)又はパワーダウン状態(電力供給停止状態)にすることができる。
【0078】
〔第1の画像読取センサ部210(210a)による画像読取モード〕
図8から
図10は、それぞれ、第1の画像読取センサ部210(210a)による第1の画像読取制御における起動時、原稿固定読取動作時、表面の原稿移動読取動作時での読取制御の一例のフローチャートである。
【0079】
-起動時-
図8に示すように、制御部70は、起動時には、AFE〔半導体ICチップ213(213a)〕をパワーアップ状態にし(S101)、第1の画像読取ユニット220(220a)をスタンバイ位置R3(
図7A参照)から基準白板224(224a)のシェーディング位置R4(
図7A参照)の下へ移動させる(S102)。次に、制御部70は、AFE(213)における増幅器に対してゲインを調整し(S103)、シェーディング補正を行う(S104)。次に、制御部70は、第1の画像読取ユニット220(220a)をスタンバイ位置R3へ移動させ(S105)、AFE(213)をパワーダウン状態にする(S106)。ここで、増幅器に対するゲイン調整とは、AFEの出力レベルが許容範囲を逸脱しない程度に増幅器のゲインを調整する動作である。
【0080】
-原稿固定読取動作時-
図9に示すように、制御部70は、原稿固定読取動作時には、プリントキーのオン操作を受け付けると、AFE〔半導体ICチップ213(213a)〕をパワーアップ状態にし(S201)、第1の画像読取ユニット220(220a)をスタンバイ位置R3(
図7A参照)からリターンし(S202)、シェーディング位置R4(
図7A参照)でシェーディング補正を行い(S203)、第1の画像読取ユニット220(220a)をスタート位置R5(
図7A参照)へ移動させ(S204)、第1の画像読取ユニット220(220a)をフィードし(S205)、副走査方向Yの一方側Y1に移動させながら原稿Gを読み取る(S206,S207)。次に、制御部70は、第1の画像読取ユニット220(220a)をスタンバイ位置R3(
図7A参照)へ移動させ(S208)、AFE(213)をパワーダウン状態にする(S209)。
【0081】
-表面の原稿移動読取動作時-
図10に示すように、制御部70は、表面の原稿移動読取動作時には、プリントキーのオン操作を受け付けると、AFE〔半導体ICチップ213(213a)〕をパワーアップ状態にし(S301)、第1の画像読取ユニット220(220a)をスタンバイ位置R3(
図7A参照)からリターンし(S302)、シェーディング位置R4(
図7A参照)でシェーディング補正を行う(S303)。次に、制御部70は、第1の画像読取ユニット220(220a)を第1の画像読取位置R1(
図7A参照)へ移動させ(S304)、原稿Gを搬送させながら原稿Gの表面を第1の画像読取センサ部210(210a)で読み取る(S305,S306)。次に、制御部70は、AFE(213)をパワーダウン状態にし(S307)、次の原稿Gがないか否かを判断する(S308)。次に、制御部70は、次の原稿Gがあると判断した場合には(S308:N)、AFE(213)をパワーアップ状態にし(S309)、S305に移行し、次の原稿Gがないと判断した場合には(S308:Y)、第1の画像読取ユニット220(220a)をスタンバイ位置R3(
図7A参照)へ移動させる(S310)。
【0082】
〔第2の画像読取センサ部210(210b)による画像読取モード〕
図11及び
図12は、それぞれ、第2の画像読取センサ部210(210b)による第2の画像読取制御における起動時、裏面の原稿移動読取動作時での読取制御の一例のフローチャートである。
【0083】
-起動時-
図11に示すように、制御部70は、起動時には、AFE〔半導体ICチップ213(213b)〕をパワーアップ状態にし(S401)、AFE(213)における増幅器に対してゲインを調整し(S402)、シェーディング補正を行い(S403)、AFE(213)をパワーダウン状態にする(S404)。
【0084】
-裏面の原稿移動読取動作時-
図12に示すように、制御部70は、裏面の原稿移動読取動作時には、プリントキーのオン操作を受け付けると、AFE〔半導体ICチップ213(213b)〕をパワーアップ状態にし(S501)、シェーディング補正を行い(S502)、原稿Gを搬送させながら原稿Gの表面を第2の画像読取センサ部210(210b)で読み取る(S503,S504)。次に、制御部70は、AFE(213)をパワーダウン状態にし(S505)、次の原稿Gがないか否かを判断する(S506)。次に、制御部70は、次の原稿Gがあると判断した場合には(S506:N)、AFE(213)をパワーアップ状態にし(S507)、S503に移行し、次の原稿Gがないと判断した場合には(S506:Y)、処理を終了する。
【0085】
ここで、第2の画像読取センサ部210(210b)による画像読取モードの場合には、基準白板224(224b)の清掃が困難なため、シェーディング補正を省略してもよい。このことは、カラー画像読取モードの場合に特に有効となる。この場合、生産工程においてシェーディング補正を行うことで、シェーディング補正を省略しても特に支障はない。
【0086】
本開示は、以上説明した実施の形態に限定されるものではなく、他のいろいろな形で実施することができる。そのため、係る実施の形態はあらゆる点で単なる例示にすぎず、限定的に解釈してはならない。本開示の範囲は請求の範囲によって示すものであって、明細書本文には、なんら拘束されない。さらに、請求の範囲の均等範囲に属する変形や変更は、全て本開示の範囲内のものである。
【符号の説明】
【0087】
100 画像形成装置
200 画像読取部
210 画像読取センサ部
210a 第1の画像読取センサ部(画像読取センサ部の一例)
210b 第2の画像読取センサ部(画像読取センサ部の他の例)
211 基板
211a 読取素子配置側の面
211b 反対側の面
212 読取素子部
212a 読取素子
213 半導体ICチップ(電子部品の一例:AFE)
213a 第1の半導体ICチップ
213b 第2の半導体ICチップ
214 放熱部材
220 画像読取ユニット
220a 第1の画像読取ユニット
220b 第2の画像読取ユニット
221 光源
222 集光レンズアレイ
223 筐体
224 基準白板
230 走査ユニット
26 2次転写装置
26a 転写ローラ
300 原稿搬送部
301 原稿検知部
301a 第1の原稿検知部(原稿検知部の一例)
301b 第2の原稿検知部(原稿検知部の他の例)
400 画像読取装置
70 制御部
71 処理部
72 記憶部
D 搬送方向
G 原稿
G1 先端
G2 後端
L1 第1上流側搬送距離
L2 第1下流側搬送距離
L3 第2上流側搬送距離
L4 第2下流側搬送距離
P1 電力供給制御手段
P2 第1読取制御手段
P3 第2読取制御手段
R1 第1の画像読取位置(画像読取位置の一例)
R2 第2の画像読取位置(画像読取位置の他の例)
R3 スタンバイ位置
R4 シェーディング位置
R5 スタート位置
S 原稿搬送路
X 主走査方向
Y 副走査方向
Y1 一方側
Y2 他方側
α 読取素子領域
β 読取素子対応領域
βa 電子部品配置箇所
βb 電子部品配置箇所以外の領域