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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024170050
(43)【公開日】2024-12-06
(54)【発明の名称】ロボット用アクチュエータ
(51)【国際特許分類】
   B25J 17/00 20060101AFI20241129BHJP
   H02K 7/116 20060101ALI20241129BHJP
   B25J 19/00 20060101ALI20241129BHJP
【FI】
B25J17/00 E
H02K7/116
B25J19/00 M
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023086993
(22)【出願日】2023-05-26
(71)【出願人】
【識別番号】000144027
【氏名又は名称】株式会社ミツバ
(74)【代理人】
【識別番号】100161207
【弁理士】
【氏名又は名称】西澤 和純
(74)【代理人】
【識別番号】100126664
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 慎吾
(74)【代理人】
【識別番号】100196689
【弁理士】
【氏名又は名称】鎌田 康一郎
(72)【発明者】
【氏名】北爪 隼人
(72)【発明者】
【氏名】永井 伸幸
(72)【発明者】
【氏名】湯本 透
(72)【発明者】
【氏名】田中 裕人
【テーマコード(参考)】
3C707
5H607
【Fターム(参考)】
3C707CY36
3C707HS27
3C707HT25
3C707JS06
3C707KS03
3C707KS30
3C707KV01
5H607AA02
5H607AA12
5H607BB01
5H607BB09
5H607BB14
5H607CC07
5H607CC09
5H607DD03
5H607EE33
5H607FF33
5H607HH01
5H607HH09
(57)【要約】
【課題】ロボットの腕を細くできるロボット用アクチュエータを提供する。
【解決手段】本発明に係るロボット用アクチュエータ20は、第1モータ31が設けられた第1モータユニット21と、第1モータユニット21の第1出力軸に取り付けられたブラケット22と、ブラケット22に取り付けられ、第1出力軸に対して直交する第2出力軸が設けられた第2モータユニット23と、第1モータユニット21に設けられて、第1モータ31と第2モータユニット23に設けられた第2モータ41とを制御するドライバ33と、を備える。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1モータが設けられた第1モータユニットと、
前記第1モータユニットの第1出力軸に取り付けられたブラケットと、
前記ブラケットに取り付けられ、前記第1出力軸に対して交差する第2出力軸が設けられた第2モータユニットと、
前記第1モータユニットに設けられて、前記第1モータと前記第2モータユニットに設けられた第2モータとを制御する制御基板と、
を備える、
ことを特徴とするロボット用アクチュエータ。
【請求項2】
前記制御基板は、前記第1出力軸に沿って配置されている、
ことを特徴とする請求項1に記載のロボット用アクチュエータ。
【請求項3】
前記第2モータにおいて前記第2出力軸の反対側に設けられた回転検出部と、
前記制御基板に接続され、前記第1モータの外周面を経て前記第2モータの前記回転検出部側に接続されたケーブルと、
を備え、
前記第2モータユニットは、前記第1出力軸の中心から第2出力軸側の端面までの距離よりも、前記第1出力軸の中心から前記回転検出部側の端面までの距離が短くなるように、前記第1出力軸に対して交差するように配置されている、
ことを特徴とする請求項2に記載のロボット用アクチュエータ。
【請求項4】
前記回転検出部側の端面は、前記第1出力軸を中心とする径方向において前記外周面と同じ位置に配置されている、
ことを特徴とする請求項3に記載のロボット用アクチュエータ。
【請求項5】
前記第1モータにおける第1ステータの内径より外径が小さい第1キャリアを有する第1遊星減速機と、
前記第1モータの第1コイルと前記第1モータの第1モータケースとに接触された第1熱伝導シートと、
前記第2モータにおける第2ステータの内径より外径が小さい第2キャリアを有する第2遊星減速機と、
前記第2モータの第2コイルと前記第2モータの第2モータケースとに接触された第2熱伝導シートと、
を備える、
ことを特徴とする請求項1に記載のロボット用アクチュエータ。
【請求項6】
前記制御基板は、パワー基板及びECU基板を備え、
前記パワー基板には、前記第1モータ及び前記第2モータに電圧と電流とを供給する制御電源回路が接続されている、
ことを特徴とする請求項2に記載のロボット用アクチュエータ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ロボット用アクチュエータに関するものである。
【背景技術】
【0002】
ロボットの多関節アームを構成する2軸駆動用のアクチュエータとして、例えば2つのモータユニットが組み合わされたものが使用される。モータユニットとしては、モータ、コントローラ(ドライバ)、エンコーダ、及び減速機がまとめられたものが知られている(例えば、特許文献1,2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2019-147243号公報
【特許文献2】特開2017-159425号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1,2によれば、2つのモータユニットに各々コントローラが取り付けられている。このため、2つのモータユニットが大きくなり、ロボットの関節部分が張り出して腕が太くなってしまう。特に、近年人と共生するロボットが使用されており、腕を細くして外観的に違和感のないロボットの実用化が望まれている。
【0005】
そこで、本発明は、ロボットの腕を細くできるロボット用アクチュエータを提供する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記の課題を解決するために、本発明に係るロボット用アクチュエータは、第1モータが設けられた第1モータユニットと、前記第1モータユニットの第1出力軸に取り付けられたブラケットと、前記ブラケットに取り付けられ、前記第1出力軸に対して交差する第2出力軸が設けられた第2モータユニットと、前記第1モータユニットに設けられて、前記第1モータと前記第2モータユニットに設けられた第2モータとを制御する制御基板と、を備える。
【0007】
このように構成することで、2つのモータユニットをまとめることができる。そして、第1モータ及び第2モータ用の制御基板をまとめて第1モータユニットに設けるので、第2モータの駆動を制御する制御基板を第2モータユニットから除去できる。このため、ロボットの腕を細くできる。
【0008】
上記構成において、前記制御基板は、前記第1出力軸に沿って配置されていてもよい。
【0009】
このように構成することで、制御基板の形状やレイアウトの制約を緩めることができる。結果的にロボット用アクチュエータを小型化できる。
【0010】
上記構成において、前記第2モータにおいて前記第2出力軸の反対側に設けられた回転検出部と、前記制御基板に接続され、前記第1モータの外周面を経て前記第2モータの前記回転検出部側に接続されたケーブルと、を備え、前記第2モータユニットは、前記第1出力軸の中心から第2出力軸側の端面までの距離よりも、前記第1出力軸の中心から前記回転検出部側の端面までの距離が短くなるように、前記第1出力軸に対して交差するように配置されてもよい。
【0011】
このように構成することで、ケーブルの可動範囲を小さく抑えることができる。この分ロボット用アクチュエータを小型化できる。
【0012】
上記構成において、前記回転検出部側の端面は、前記第1出力軸を中心とする径方向において前記外周面と同じ位置に配置されていてもよい。
【0013】
このように構成することで、このため、第1出力軸を中心として第2モータユニットを回転させる際、ケーブルの可動範囲を一層小さくできる。
【0014】
上記構成において、前記第1モータにおける第1ステータの内径より外径が小さい第1キャリアを有する第1遊星減速機と、前記第1モータの第1コイルと前記第1モータの第1モータケースとに接触された第1熱伝導シートと、前記第2モータにおける第2ステータの内径より外径が小さい第2キャリアを有する第2遊星減速機と、前記第2モータの第2コイルと前記第2モータの第2モータケースとに接触された第2熱伝導シートと、を備えてもよい。
【0015】
このように構成することで、各モータユニットの外径を小さくできる。このため、ロボット用アクチュエータをさらに小型化できる。
【0016】
上記構成において、前記制御基板は、パワー基板及びECU基板を備え、前記パワー基板には、前記第1モータ及び前記第2モータに電圧と電流とを供給する制御電源回路が接続されていてもよい。
【0017】
このように構成することで、パワー基板に制御基板を接続する回路を不要にでき、パワー基板及びECU基板の接続回路を簡素化できる。このため、ロボット用アクチュエータをさらに小型化できる。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、第1モータユニットに制御基板を設けることによりロボットの腕を細くできる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
図1】本発明の実施形態におけるロボット用アクチュエータを備えたロボットの腕を示す斜視図である。
図2図1に示すロボットの腕のうち肘部の関節及び手首の関節を示す平面図である。
図3】本発明の実施形態におけるロボット用アクチュエータを示す斜視図である。
図4】本発明の実施形態におけるロボット用アクチュエータを示す概念図である。
図5図3の第1モータユニットをV-V線に沿って破断した断面図である。
図6】本発明の実施形態における第1モータユニットを示す斜視図である。
図7】本発明の実施形態におけるドライバを展開した状態を示す平面図である。
図8図5のVIII-VIII線に沿って破断した断面図である。
図9図8のIX部を拡大した断面図である。
図10】本発明の実施形態における第1モータユニット及び第2モータユニットのレイアウトを示す斜視図である。
図11】本発明の実施形態における第1モータユニット及び第2モータユニットのレイアウトを示す平面図である。
図12】本発明の実施形態における変形例のドライバを示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
次に、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。
【0021】
<ロボットの腕>
図1は、ロボット用アクチュエータを備えたロボットの腕を示す斜視図である。図2は、図1に示すロボットの腕のうち肘部の関節及び手首の関節を示す平面図である。
図1図2に示すように、ロボット1の腕2は、例えば、肩3に取り付けられる肩関節部4と、上腕5及び前腕6を連結する肘関節部7と、前腕6及び手8を連結する手首関節部9と、を備える。ロボット1の腕2のうち、例えば、肩関節部4、肘関節部7、及び手首関節部9にロボット用アクチュエータ20が用いられる。
【0022】
<ロボット用アクチュエータ>
図3は、ロボット用アクチュエータを示す斜視図である。
図2図3に示すように、ロボット用アクチュエータ20は、第1モータユニット21と、第1モータユニット21に取り付けられたブラケット22と、ブラケット22に取り付けられた第2モータユニット23と、を備える。第1モータユニット21は、例えばロボット1の肩本体3aの内部に配置されたり、上腕5や前腕6の長手方向に沿って配置されたりしている。第2モータユニット23は、第1モータユニット21の長手方向に対して交差(好ましくは、直交)する方向に向いて配置されている。
【0023】
図4は、ロボット用アクチュエータを示す概念図である。
図4に示すように、第1モータユニット21は、第1モータ31と、第1モータ31と並んで配置された第1エンコーダ(回転検出部)32、ドライバ(制御基板)33、第1遊星減速機34、及び第1熱伝導シート35(図9参照)と、を備える。
第2モータユニット23は、第2モータ41と、第2モータ41と並んで配置された第2エンコーダ(回転検出部)42、第2遊星減速機43、及び第2熱伝導シート(不図示)と、を備える。
【0024】
第1モータ31及び第2モータ41は、同じ構成のモータである。第1エンコーダ32及び第2エンコーダ42は、同じ構成のエンコーダである。第1遊星減速機34及び第2遊星減速機43は、同じ構成の遊星減速機である。第1熱伝導シート35及び第2熱伝導シートは、同じ熱伝導シートである。
すなわち、第2モータユニット23は、第1モータユニット21からドライバ33を除去した構成と概ね同様のユニットである。
【0025】
<第1モータユニット>
<第1モータ>
図5は、図3の第1モータユニットをV-V線に沿って破断した断面図である。
図5に示すように、第1モータ31は、モータケース(第1モータケース)51と、モータケース51の開口を塞ぐカバー52と、モータケース51内に収納された円筒状のステータ(第1ステータ)53と、ステータ53の径方向内側に配置されてステータ53に対して回転可能に設けられたロータ54と、を備える。第1モータ31は、例えば、ステータ53に電力を供給する際にブラシを必要としない、いわゆる扁平ブラシレスモータである。
【0026】
ステータ53は、積層した鋼板により形成されたステータコア53aと、ステータコア53aのティース53bに巻回された複数のコイル(第1コイル)56と、を備える。複数のコイル56は、ドライバ33からの給電により、ロータ54を回転させるための磁界を生成する。
ロータ54は、ステータ53の径方向内側に微小隙間を介して回転自在に配置されている。ロータ54は、ステータ53の磁界を受けて回転する。ロータ54は、回転軸58と、回転軸58に対して同軸上に設けられたロータコア59と、ロータコア59の外周部に組付けられた永久磁石61と、を備える。
【0027】
図6は、第1モータユニットを示す斜視図である。
図5図6に示すように、第1モータ31には、第1エンコーダ32及びドライバ33が設けられている。以下、回転軸58の軸線方向において、第1エンコーダ32及びドライバ33が設けられる第1モータ31の端部を第1端部31aとして説明する。回転軸58の軸線方向において、第1モータ31のうち第1端部31aの反対側設けられる第1遊星減速機34の端部を第2端部34aとして説明する。
以下の説明において、第1モータ31に設けられた回転軸58の中心を通る軸線を「第1軸線O1」ということがある。第1軸線O1に沿う方向を「第1軸線方向」ということがある。第1モータ31に設けられた回転軸58の径方向を「径方向」ということがある。
【0028】
<第1エンコーダ>
第1エンコーダ32は、第1モータ31の第1端部31aに設けられている。第1エンコーダ32は、例えば、回転位置情報を磁界の変化として検出し、電気信号に変換して出力する磁気式エンコーダが用いられている。第1エンコーダ32は、第1モータ31の回転数を検出する。
第1モータ31の第1端部31aには、第1軸線方向において、第1エンコーダ32から第1端部31aの反対側に間隔をあけてドライバ33が設けられている。
【0029】
<ドライバ>
ドライバ33は、例えば、入力電力から出力電力を生成するパワー基板71と、第1モータ31及び第2モータ41を制御するECU基板72と、データ転送や通信を行うインターフェイス基板73と、を備える。以下、インターフェイス基板73をI/F基板73ということがある。
【0030】
パワー基板71、ECU基板72、及びI/F基板73は、回転軸58に沿って配置されている。パワー基板71、ECU基板72、及びI/F基板73は、回転軸58に対して直交する方向に間隔をあけて平行に配置されている。
パワー基板71、ECU基板72、及びI/F基板73を備えたドライバ33と第1モータ31の第1端部31aとの間に第1エンコーダ32が配置されている。第1エンコーダ32は、第1モータ31の第1端部31aに設けられている。
ドライバ33は、ドライバカバー37(図3も参照)で覆われている。ドライバカバー37は、第1軸線O1を中心とする円形断面に形成されている。
【0031】
図7は、ドライバを展開した状態を示す平面図である。
図5から図7に示すように、パワー基板71には、制御用の素子として、制御電源回路75、第1モータ駆動回路76、及び第2モータ駆動回路77が接続されている。制御電源回路75は、第1モータ31及び第2モータ41の仕様で決められた電圧と電流を安定的に供給する。第1モータ駆動回路76は、第1モータ31に図示しない電源ケーブルを介して接続されている。第1モータ駆動回路76は、第1モータ31の回転状態を制御する。
【0032】
第2モータ駆動回路77は、第2モータ41に電源ケーブル(ケーブル)78を介して接続されている。第2モータ駆動回路77は、第2モータ41の回転状態を制御する。パワー基板71には、電源用のコネクタ79が取り付けられている。
ECU基板72には、制御用の素子として、マイコン81及び通信回路82が接続されている。マイコン81は、第1モータ31及び第2モータ41を制御する。
【0033】
I/F基板73には、制御用の素子として、エンコーダI/F回路83が接続されている。エンコーダI/F回路83は、第1エンコーダ32及び第2エンコーダ42とのデータ転送や通信を行う。I/F基板73には、第1エンコーダコネクタ84と、第2エンコーダコネクタ85と、が取り付けられている。
第1エンコーダコネクタ84は、第1エンコーダ32に図示しない検出ケーブルを介して接続されている。第2エンコーダコネクタ85は、第2エンコーダ42に検出ケーブル(ケーブル)86を介して接続されている。すなわち、ドライバ33は、第1モータ31と第2モータ41(図3参照)の駆動を制御する。電源ケーブル78及び検出ケーブル86については後で詳しく説明する。
【0034】
<第1遊星減速機>
図8は、図5のVIII-VIII線に沿って破断した断面図である。
図8に示すように、第1モータ31のうち、第1軸線方向において、第1端部31aの反対側の取付端部31bに第1遊星減速機34が設けられている。第1遊星減速機34は、第1モータ31の回転軸58に対して同軸上に連結されている。第1遊星減速機34は、第1モータ31の回転軸58から第2端部34a側へ同軸上に延びるサンギア91と、サンギア91に噛み合う複数のプラネタリギア92と、複数のプラネタリギア92を回転可能に支持するキャリア(第1キャリア)93と、複数のプラネタリギア92に外側から噛み合うアウタギア94と、を備える。
【0035】
プラネタリギア92は、キャリア93の支持軸95に一対の軸受96を介して回転可能に支持されている。支持軸95は、キャリア93の貫通孔93aから差し込まれ、圧入孔93bに圧入されている。キャリア93は、サンギア91の両端部に設けられた一対の軸受97を介して回転可能に支持されている。キャリア93は、モータケース51に支持部98が軸受99を介して回転可能に支持されている。キャリア93は、第1遊星減速機34の第1減速機ケース101に軸受102を介して回転可能に支持された第1出力軸103を有する。
【0036】
第1出力軸103は、第1軸線O1に対して同軸上に配置され、第1モータ31の回転軸58に同軸上に連結されている。第1出力軸103は、いわゆるロール軸である。以下、第1出力軸103の中心を第1軸線O1として説明することがある。第1出力軸103は、第1軸線方向において第1減速機ケース101の開口部99aを通過して第1減速機ケース101の外側に突出されている。第1出力軸103は、第1モータユニット21の出力軸を構成する。換言すれば、第1出力軸103は、第1モータ31の出力軸を構成する。
【0037】
アウタギア94は、複数のプラネタリギア92の外側において環状に形成され、内周歯が複数のプラネタリギア92に噛み合わされている。アウタギア94は、モータケース51に第1減速機ケース101とともに複数のボルト104により固定されている。第1遊星減速機34は、アウタギア94が固定されることにより、サンギア91の回転が複数のプラネタリギア92を介してキャリア93に減速された状態で伝達される。このため、第1モータ31の回転軸58でサンギア91を回転することにより、キャリア93が減速された状態で回転する。キャリア93には第1出力軸103が形成されている。よって、第1出力軸103は、第1モータ31が駆動することにより第1遊星減速機34で減速されて回転する。
【0038】
<第1熱伝導シート>
図9は、図8のIX部を拡大した断面図である。
図9に示すように、キャリア93の支持部98は、外周面98aの外径R1がステータ53(すなわち、ステータコア53a及びコイル56)の内径R2より小さく設定されている。よって、モータケース51にフランジ64を形成することができる。
【0039】
フランジ64は、モータケース51の内周壁51aから径方向内側に向けてコイル56に沿って支持部98の外周面98aに向けて環状に張り出されている。フランジ64は、コイル56に対して第1軸線方向に間隔をあけて配置されている。コイル56とステータ53との間には、第1熱伝導シート35が配置されている。第1熱伝導シート35は、フランジ64及びコイル56に沿って環状に形成されている。第1熱伝導シート35は、フランジ64とコイル56とに接触されている。第1熱伝導シート35は、コイル56に発生した熱を効率的に吸熱してフランジ64に伝達する。
【0040】
<ブラケット>
図3図4図8に示すように、キャリア93の第1出力軸103は、第1減速機ケース101の外側に突出されている。第1出力軸103の端部には、ブラケット22の第1固定部22aが複数のボルト112で取り付けられている。このため、第1モータ31の回転軸58が回転することにより、回転軸58の回転がサンギア91、複数のプラネタリギア92、及びキャリア93の第1出力軸103を介してブラケット22に伝達される。すなわち、第1モータ31の回転軸58が回転することによりブラケット22が回転する。
【0041】
ブラケット22は、第1出力軸103の端部に取り付けられる第1固定部22aと、第1固定部22aの端部から第1軸線方向に沿って延びる第2固定部22bと、を有する。ブラケット22は、第1固定部22aと第2固定部22bとが交差(好ましくは、直交)することによりL字状に形成されている。第2固定部22bには、第2モータユニット23が固定されている。
【0042】
<第2モータユニット>
第2モータユニット23は、第1モータユニット21からドライバ33を除去した構成と同様に構成されている。このため、第2モータユニット23に備える第2モータ41、第2エンコーダ42、第2遊星減速機43、及び図示しない第2熱伝導シートについての詳しい説明を省略する。
【0043】
図3図4に示すように、第2モータユニット23は、第2遊星減速機43に設けられたキャリアの第2出力軸121が第2減速機ケース122から突出されている。第2モータユニット23は、第2モータ41において第2出力軸121の反対側に設けられた第2エンコーダ42を備える。第2モータ41は、第2モータ駆動回路77(図7参照)に電源ケーブル78により接続されている。第2エンコーダ42は、第2エンコーダコネクタ85(図7参照)に検出ケーブル86により接続されている。電源ケーブル78及び検出ケーブル86は、第1モータ31の外周面31cを経て第2モータ41の第2エンコーダ42側に接続されている。
【0044】
第2モータユニット23は、第2減速機ケース122がブラケット22の第2固定部22bに複数の図示しないボルトで取り付けられている。第2遊星減速機43に設けられたキャリアの第2出力軸121は、第2固定部22bの開口部22c内に配置されている。第2固定部22bに第2減速機ケース122が固定されることにより、第2出力軸121は、第1出力軸103に対して交差(好ましくは、直交)するように配置される。すなわち、第2出力軸121は、第1軸線O1に対して交差(好ましくは、直交)するように配置されている。第2出力軸121は、いわゆるピッチ軸である。
【0045】
第2出力軸121は、第2モータ41に設けられた回転軸の中心に対して同軸上に配置されている。以下の説明において、第2モータ41に設けられた回転軸の中心を第2モータユニット23の「第2軸線O2」ということがある。すなわち、第2モータユニット23は、第1出力軸103(第1軸線O1)に対して交差するように配置されている。好ましくは、第2モータユニット23は、第1出力軸103(第1軸線O1)に対して直交するように配置される。
【0046】
図10は、ロボット用アクチュエータに設けられた第1モータユニット及び第2モータユニットのレイアウトを示す斜視図である。図11は、ロボット用アクチュエータに設けられた第1モータユニット及び第2モータユニットのレイアウトを示す平面図である。
図10図11に示すように、第2モータユニット23は、第1軸線O1から第2出力軸121側の第1端面(端面)23aまでの距離L1よりも、第1軸線O1から第2エンコーダ42側の第2端面(端面)23bまでの距離L2が短く設定されている。
好ましくは、第2モータユニット23の第2端面23bは、第1軸線O1を中心とする径方向において第1モータ31の外周面31cと同じ位置に配置されている。
【0047】
図3図4に示すように、第2遊星減速機43は、図示しないキャリア(第2キャリア)を備える。第2遊星減速機43のキャリアは、第2モータ41の回転軸(すなわち、第2軸線O2)に対して同軸上に連結されている。キャリアの支持部は、第2モータ41におけるステータ(第2ステータ)の内径より外径が小さい。第2モータ41のモータケース(第2モータケース)41aのフランジと、コイル(第2コイル)とに第2熱伝導シート(不図示)が接触されている。
【0048】
<実施形態の効果>
図1図3図4に示すように、実施形態のロボット用アクチュエータ20は、第1モータユニット21の第1出力軸103にブラケット22の第1固定部22aを取り付けた。ロボット用アクチュエータ20は、ブラケット22の第2固定部22bに第2モータユニット23を取り付けた。このように、第1モータユニット21及び第2モータユニット23を2軸駆動用のロボット用アクチュエータ20にまとめることができる。
【0049】
ここで、第1モータユニット21に、第1モータ31、第2モータ41を制御するドライバ33を設けた。このため、第1モータ31及び第2モータ41用の制御基板をドライバ33にまとめて第1モータユニット21に設けることができる。これにより、第2モータ41の駆動を制御する制御基板を第2モータユニット23から除去できる。したがって、第2モータユニット23が第2軸線O2の方向において外側に張り出して太くなることを抑制できる。
ロボット用アクチュエータ20は、例えば、肩関節部4、肘関節部7、及び手首関節部9にロボット用アクチュエータ20が用いられる。これにより、肩関節部4の幅、肘関節部7の幅W、及び手首関節部9の幅W(図2にWを示す)を細くでき、ロボット1の腕2を細くできる。
【0050】
図5図6に示すように、第1モータ31の外形が円形の場合、ドライバ33のドライバカバー37が第1モータ31に合わせて断面円形になることが考えられる。このため、例えば、ドライバ33のパワー基板71、ECU基板72、及びI/F基板73を第1軸線O1に対して直交させて配置した場合、各々の基板71,72,73の外形が円形になる。パワー基板71、ECU基板72、及びI/F基板73が円形の場合、外部接続コネクタや基板間コネクタのレイアウトが困難になる。さらに、制御用の素子を接続するAW(アートワーク)配線のレイアウトが困難になる。このため、パワー基板71、ECU基板72、及びI/F基板73のサイズが大きくなり、第1モータユニット21の外形が大きくなることが考えられる。
さらに、制御基板が円形の場合、一般的に使用されている四角形状の基板に対して製造の際の歩留りが悪くなることが考えられる。
【0051】
そこで、パワー基板71、ECU基板72、及びI/F基板73を第1軸線O1に沿って配置するようにした。このため、四角形状の基板を制御基板として採用できる。これにより、外部接続コネクタや基板間コネクタのレイアウト性を向上させることができ、さらにAW配線を容易にできる。よって、パワー基板71、ECU基板72、及びI/F基板73のサイズが必要以上に大きくなることを抑えることができる。
【0052】
四角形状のパワー基板71、ECU基板72、及びI/F基板73を制御基板として採用することにより、例えば、複数の外部接続コネクタを使用する場合、複数の外部接続コネクタの端面を揃えることができる。
また、パワー基板71、ECU基板72、及びI/F基板73が四角形状の場合、一般的に使用されている基板の形状を制御基板として採用できる。これにより、パワー基板71、ECU基板72、及びI/F基板73の製造の際の歩留りを向上させることができる。
【0053】
図1図5に示すように、第1モータユニット21の第1軸線O1に沿って、ドライバ33のパワー基板71、ECU基板72、及びI/F基板73を配置した。このような場合、パワー基板71、ECU基板72、及びI/F基板73が第1軸線O1の方向に突出され、第1モータユニット21が第1軸線O1に沿って長くなることが考えられる。
【0054】
ここで、第1モータユニット21は、例えば、ロボット1の肩本体3a、上腕5、及び前腕6に取り付けられる。このため、第1モータユニット21がドライバ33等により第1軸線O1に沿って長くなる場合でも、ドライバ33等をロボット1の肩本体3a、上腕5、及び前腕6に収納できる。これにより、ドライバ33による第1軸線O1の方向への突出を許容できる。
第1モータ31及び第2モータ41用の制御基板をドライバ33にまとめ、第1モータユニット21にドライバ33を設けた。第2モータユニット23から第2モータ41の制御基板を除去することにより、ロボット1の腕2(特に、関節部4,7,9)を細くできる。
【0055】
図3図10図11に示すように、第2モータ41の第2エンコーダ42側に電源ケーブル78及び検出ケーブル86を接続した。第2モータユニット23において、第1出力軸103の中心(第1軸線O1)から第1端面23aまでの距離L1よりも、第1軸線O1の中心から第2端面23bまでの距離L2を短くした。
このため、第1軸線O1を中心にして第2モータユニット23を回転させる際に、電源ケーブル78及び検出ケーブル86が接続される第2エンコーダ42側の第2端面23bの可動半径を小さくできる。これにより、電源ケーブル78及び検出ケーブル86の可動範囲を小さく抑えることができる。このため、電源ケーブル78及び検出ケーブル86を短くできる。
【0056】
ここで、第1モータ31は、第1モータユニット21に設けられている。電源ケーブル78及び検出ケーブル86は、第1モータ31の外周面31cを経て第2モータ41の第2エンコーダ42側に接続されている。このため、電源ケーブル78及び検出ケーブル86の可動範囲を小さく抑えることにより、第1モータユニット21のカバー(ドライバカバー37のみを図示する)の外径を小さくできる。第1モータユニット21のカバーは、第1モータ31及び第1遊星減速機34の図示しないカバーと、ドライバカバー37と、を備える。第1モータユニット21のカバーの外径を小さくすることにより、第1モータユニット21を小径に形成できる。
【0057】
好ましくは、第2端面23bは、第1軸線O1を中心とする径方向において第1モータ31の外周面31cと同じ位置に配置されている。このため、第2モータユニット23を、第1軸線O1を中心として回転させる際に、電源ケーブル78及び検出ケーブル86が接続される第2エンコーダ42側の第2端面23bの可動半径を一層小さくできる。これにより、電源ケーブル78及び検出ケーブル86の可動範囲を一層小さく抑えることができ、電源ケーブル78及び検出ケーブル86を一層短くできる。
さらに、第1モータユニット21のカバーの外径を一層小さくでき、第1モータユニット21を一層小径に形成できる。
【0058】
例えば、図8図9に示す第1遊星減速機34に設けられたキャリア93の外径R1が第1モータ31に設けられたステータ53の内径R2より大きい場合、回転するキャリア93が第1モータ31のコイル56に対向する位置に配置される。このため、コイル56の全面に第1熱伝導シート35を貼ることができない。したがって、コイル56の熱を有効に逃がすことができない。
【0059】
そこで、図8図9に示すように、キャリア93に支持部98を形成し、支持部98における外周面98aの外径R1をステータ53の内径R2より小さくした。このため、モータケース51のフランジ64をコイル56の全面に対向させることができる。これにより、フランジ64とコイル56との間に第1熱伝導シート35を配置させすることができる。第1熱伝導シート35をコイル56の全面に接触させるとともにフランジ64に接触させることができる。よって、コイル56(すなわち、第1モータ31)の熱をモータケース51から外部に効率よく放熱して、第1モータ31の熱引きの向上を図ることができる。
【0060】
図3に示す第2モータ41においても、ステータとコイルとの間に第2熱伝導シート(図示せず)を配置することにより、第2熱伝導シートをコイルの全面に接触させるとともにステータに接触させることができる。このため、コイル(すなわち、第2モータ41)の熱をモータケース51から外部に効率よく放熱して、第2モータ41の熱引きの向上を図ることができる。
【0061】
ところで、図7に示すように、制御電源回路75をパワー基板71に接続したが、制御電源回路75をECU基板72に接続することも考えられる。しかしながら、制御電源回路75をECU基板72に接続した場合、制御電源回路75をパワー基板71に接続する回路が必要になる。このため、パワー基板71及びECU基板72の接続回路が複雑になる。
そこで、パワー基板71に制御電源回路75を接続するようにした。これにより、制御電源回路75をパワー基板71に接続する回路を不要にできる。パワー基板71及びECU基板72の接続回路を簡素化できる。
【0062】
[変形例]
次に、実施形態のドライバ33の変形例としてドライバ(制御基板)200を図12に基づいて説明する。変形例のドライバ200において、実施形態のドライバ33と同一、類似部材については同じ符号を付して詳しい説明を省略する。
【0063】
図12は、変形例のドライバを示す断面図である。
ドライバ200は、パワー基板201と、ECU基板202と、I/F基板203と、を備える。パワー基板201、ECU基板202、及びI/F基板203は、回転軸58(第1軸線O1)に沿ってドライバカバー37の周辺にU字状に配置されている。
ドライバ200によれば、実施形態のドライバ33と同様の作用、効果を奏することができる。
【0064】
本発明は上述の実施形態に限られるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において、上述の実施形態に種々の変更を加えたものを含む。
【0065】
その他、本発明の趣旨に逸脱しない範囲で、前記実施形態における構成要素を周知の構成要素に置き換えることは適宜可能であり、また、前記した変形例を適宜組み合わせてもよい。
【符号の説明】
【0066】
1…ロボット、2…腕、3…肩、3a…肩本体、4…肩関節部、5…上腕、6…前腕、7…肘関節部、8…手、9…手首関節、20…ロボット用アクチュエータ、21…第1モータユニット、22…ブラケット、22a…第1固定部、22b…第2固定部、22c…開口部、23…第2モータユニット、23a…第1端面(第2出力軸側の端面)、23b…第2端面(第2エンコーダ42側の端面)、31…第1モータ、31a…第1端部、31b…取付端部、31c…外周面、32…第1エンコーダ、33…ドライバ(制御基板)、34…第1遊星減速機、34a…第2端部、35…第1熱伝導シート、37…ドライバカバー、41…第2モータ、41a…モータケース(第2モータケース)、42…第2エンコーダ(回転検出部)、43…第2遊星減速機、51…モータケース(第1モータケース)、51a…内周壁、52…カバー、53…ステータ(第1ステータ)、53a…ステータコア、53b…ティース、54…ロータ、56…コイル(第1コイル)、58…回転軸、59…ロータコア、61…永久磁石、64…フランジ、71…パワー基板、72…ECU基板、73…インターフェイス基板、75…制御電源回路、76…第1モータ駆動回路、77…第2モータ駆動回路、78…電源ケーブル(ケーブル)、79…コネクタ、81…マイコン、82…通信回路、83…エンコーダI/F回路、84…第1エンコーダコネクタ、85…第2エンコーダコネクタ、86…検出ケーブル(ケーブル)、91…サンギア、92…プラネタリギア、93…キャリア(第1キャリア)、93a…貫通孔、93b…圧入孔、94…アウタギア、95…支持軸、96…軸受、97…軸受、98…支持部、98a…外周面、99…軸受、99a…開口部、101…第1減速機ケース、102…軸受、103…第1出力軸、104…ボルト、112…ボルト、121…第2出力軸、122…第2減速機ケース、200…ドライバ(制御基板)、200…ドライバ、201…パワー基板、202…ECU基板、203…I/F基板、L1…第1軸線から第1端面までの距離、L2…第1軸線から第2端面までの距離、O1…第1軸線(第1出力軸の中心)、R1…外周面の外径、R2…ステータの内径
図1
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