(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024170053
(43)【公開日】2024-12-06
(54)【発明の名称】活性エネルギー線硬化性組成物、およびそれを用いた積層体
(51)【国際特許分類】
C08F 2/46 20060101AFI20241129BHJP
C09D 4/00 20060101ALI20241129BHJP
C09D 7/42 20180101ALI20241129BHJP
B32B 27/18 20060101ALI20241129BHJP
【FI】
C08F2/46
C09D4/00
C09D7/42
B32B27/18 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023087002
(22)【出願日】2023-05-26
(71)【出願人】
【識別番号】000222118
【氏名又は名称】artience株式会社
(72)【発明者】
【氏名】矢上 裕起
(72)【発明者】
【氏名】坂本 直紀
【テーマコード(参考)】
4F100
4J011
4J038
【Fターム(参考)】
4F100AK01A
4F100AK03A
4F100AK25A
4F100AK51A
4F100AT00B
4F100BA02
4F100CA30A
4F100CC00A
4F100DE01A
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4F100JB14A
4F100JN21
4F100JN26
4F100JN26A
4F100YY00A
4J011PA13
4J011PA64
4J011PA69
4J011PA95
4J011PB06
4J011PB40
4J011PC02
4J011PC08
4J011QA13
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4J011QB16
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4J011RA03
4J011RA10
4J011SA02
4J011SA14
4J011SA16
4J011SA20
4J011TA08
4J011UA01
4J011VA01
4J011WA02
4J038CB002
4J038CG002
4J038DG002
4J038FA111
4J038FA251
4J038GA01
4J038KA08
4J038MA14
4J038NA01
4J038NA12
4J038NA24
4J038PA17
(57)【要約】
【課題】優れた艶消し性と、優れた塗工性とを有する、活性エネルギー線硬化性組成物の提供、および、該組成物を用いた積層体の提供。
【解決手段】活性エネルギー線重合性化合物と、有機微粒子を含む艶消し剤とを含有する活性エネルギー線硬化性組成物であって、艶消し剤の含有量が、組成物全量中8~40質量%であり、組成物中の艶消し剤の下記式1で算出される粒度分布パラメータが、1.5以下であり、組成物の下記式2で算出されるチキソトロピック値が、1.0~1.2である活性エネルギー線硬化性組成物。
式1 粒度分布パラメータ=(D90-D10)/D50
(式中、D90、D50、D10はそれぞれ、構成する粒子の体積基準累積粒度分布の微粒側から累積90%、累積50%、累積10% の粒径を表す。)
式2 チキソトロピック値=(25℃、50rpmでの粘度)/( 25℃、100rpmでの粘度)
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
活性エネルギー線重合性化合物と、艶消し剤とを含有する活性エネルギー線硬化性組成物であって、
艶消し剤が有機微粒子を含有し、
艶消し剤の含有量が、組成物全量中8~40質量%であり、
組成物中の艶消し剤の下記式1で算出される粒度分布パラメータが、1.5以下であり、
組成物の下記式2で算出されるチキソトロピック値が、1.0~1.2である活性エネルギー線硬化性組成物。
式1
粒度分布パラメータ=(D90-D10)/D50
(式中、D90、D50、D10はそれぞれ、構成する粒子の体積基準累積粒度分布の微粒側から累積90%、累積50%、累積10% の粒径を表す。)
式2
チキソトロピック値=(25℃、50rpmでの粘度)/( 25℃、100rpmでの粘度)
【請求項2】
艶消し剤が、有機微粒子を艶消し剤全量中50~100質量%含む請求項1記載の活性エネルギー線硬化性組成物。
【請求項3】
有機微粒子が、(メタ)アクリル樹脂微粒子、ウレタン樹脂微粒子、および、ポリオレフィン樹脂微粒子からなる群より選ばれる1種以上を含有する請求項1記載の活性エネルギー線硬化性組成物。
【請求項4】
組成物中の艶消し剤のD50が、2~10μmである請求項1記載の活性エネルギー線硬化性組成物。
【請求項5】
基材と、請求項1~4いずれか記載の活性エネルギー線硬化性組成物の硬化物の層とを有する積層体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、活性エネルギー線硬化性組成物に関し、より詳細には、優れた艶消し性と優れた塗工性とを有する活性エネルギー線硬化性組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
紙、プラスチック、金属等の基材にコーティングを行った積層体において、高い艶消し効果が要求される場合があり、その製造に艶消し剤が配合されたコーティング組成物が用いられている。このような高い艶消し効果を得るためには、塗工面内での光沢差やざらつき感等の塗工面の問題が無く、塗工面内で均質な艶消し効果が得られることが必要であり、コーティング組成物においては、優れた艶消し性と優れた塗工性とを両立することが必要となる。
【0003】
通常、艶消し剤としてはシリカが使用されることが多い。シリカは、溶剤系のコーティング組成物中では固形分に対するシリカの割合が高い場合でも、溶剤で希釈されていること、また、溶剤がシリカ同士の水素結合を切断することより、コーティング組成物中で安定しておりその粘度も塗工適性内である。一方、活性エネルギー線硬化性組成物を用いた無溶剤型のコーティング組成物で、高い艶消し効果を得るためにシリカの含有量を多くした場合、溶剤を含有しないためにシリカ同士の水素結合が発生し、コーティング組成物が高粘度、高チキソトロピック性となり塗工性が低く、艶消し効果が悪いなどの問題が発生している(特許文献1)。
【0004】
また、特許文献1ではシリカを使用したコーティング組成物において、アルミキレートを使用することによりチキソトロピック性を低減して塗工適性向上を図っているが、塗工面内での光沢差やざらつき感などに関しては記載がなく不明である。
【0005】
さらに、シリカを含む無機材料の比重は有機材料に比べて大きいため、同じ質量%で添加しても、有機材料と比べて艶消しの効果が少ないことが、特許文献2に記載されている。加えて、シリカを含む無機材料の形状は不定形であり、塗工性の観点からは好ましくない。
【0006】
したがって、優れた艶消し性と優れた塗工性とを両立するという観点では、樹脂微粒子などの有機材料を使用することが好ましい。
【0007】
特許文献3では、平均粒子径の異なる2種類の樹脂微粒子を使用することで高い艶消し性が得られることが記載されているが、塗工面内での光沢差やざらつき感など塗工性に関する記載はない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開2002―121210号公報
【特許文献2】特開2001―081335号公報
【特許文献3】特開2010―241954号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明は、優れた艶消し性と、優れた塗工性とを有する、活性エネルギー線硬化性組成物の提供、および、該組成物を用いた積層体の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
発明者は前記課題に対して鋭意研究を重ねた結果、以下に記載の活性エネルギー線硬化性組成物を用いることで解決することを見出し、本発明を完成するに至った。
【0011】
すなわち本発明は、活性エネルギー線重合性化合物と、艶消し剤とを含有する活性エネルギー線硬化性組成物であって、
艶消し剤が有機微粒子を含有し、
艶消し剤の含有量が、組成物全量中8~40質量%であり、
組成物中の艶消し剤の下記式1で算出される粒度分布パラメータが、1.5以下であり、
組成物の下記式2で算出されるチキソトロピック値が、1.0~1.2である活性エネルギー線硬化性組成物に関する。
式1
粒度分布パラメータ=(D90-D10)/D50
(式中、D90、D50,D10はそれぞれ、構成する粒子の体積基準累積粒度分布の微粒側から累積90%、累積50%、累積10% の粒径を表す。)
式2
チキソトロピック値=(25℃、50rpmでの粘度)/( 25℃、100rpmでの粘度)
【0012】
また本発明は、艶消し剤が、有機微粒子を艶消し剤全量中50~100質量%含む上記活性エネルギー線硬化性組成物に関する。
【0013】
また本発明は、有機微粒子が、(メタ)アクリル樹脂微粒子、ウレタン樹脂微粒子、および、ポリオレフィン樹脂微粒子からなる群より選ばれる1種以上を含有する上記活性エネルギー線硬化性組成物に関する。
【0014】
また本発明は、組成物中の艶消し剤のD50が、2~10μmである上記活性エネルギー線硬化性組成物に関する。
【0015】
また本発明は、基材と、上記活性エネルギー線硬化性組成物の硬化物の層とを有する積層体に関する。
【発明の効果】
【0016】
本発明により、優れた艶消し性と、優れた塗工性とを有する、活性エネルギー線硬化性組成物の提供、および、該組成物を用いた積層体の提供が可能となった。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下に本発明の実施の形態を詳細に説明するが、以下に記載する構成要件の説明は、本
発明の実施態様の一例(代表例)であり、本発明はその要旨を超えない限りこれらの内容
に限定されない。
【0018】
以下の説明において、「(メタ)アクリル」、「(メタ)アクリレート」はそれぞれ「メタクリルおよび/またはアクリル」、「メタクリレートおよび/またはアクリレート」を意味する。また、「(メタ)アクリロイル」は「メタクリロイルおよび/またはアクリロイル」を意味する。また、「活性エネルギー線硬化性組成物」を単に「組成物」と表記する場合があるが同義である。
【0019】
本明細書における粒度分布は、マイクロトラックMT3300II(レーザー回折・散乱法粒径分布測定装置、マイクロトラック・ベル社製)を使用して得られた、体積基準の粒度分布である。D10、D50、D90は、得られた体積基準粒度分布の微粒側から累積10%、累積50%、累積90% の粒径を表す。
【0020】
<活性エネルギー線重合性化合物>
本発明の活性エネルギー線硬化性組成物は、活性エネルギー線重合性化合物を含む。活性エネルギー線重合性化合物としては公知のもの用いることができる。
【0021】
活性エネルギー線重合性化合物は、ラジカル重合可能なエチレン性不飽和結合を有する化合物であり、分子中に、少なくとも1個のエチレン性不飽和結合を有する化合物であればよく、モノマー、オリゴマー、ポリマー等の化学形態をもつものが含まれる。活性エネルギー線重合性化合物は、1種単独で用いてもよく、2種以上組み合わせて用いてもよい。
【0022】
活性エネルギー線重合性化合物の例としては、(メタ)アクリル酸、イタコン酸、マレイン酸等の不飽和カルボン酸及びそれらの塩、エチレン性不飽和基を有する無水物、アクリロニトニル、スチレン、さらに種々の不和飽ポリエステル、不飽和ポリエーテル、不飽和ポリアミド、不飽和ウレタン等が挙げられる。
【0023】
活性エネルギー線重合性化合物としては、具体的に、2-エチルヘキシル(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、β-カルボキシルエチル(メタ)アクリレート、4-tert-ブチルシクロヘキサノール(メタ)アクリレート、テトラヒドロフルフリルアクリレート、アルコキシ化テトラヒドロフルフリルアクリレート、カプロラクトン(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレート、イソアミル(メタ)アクリレート、2-フェノキシエチル(メタ)アクリレート、イソデシル(メタ)アクリレート、3,3,5-トリメチルシクロヘキサノール(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート、ノルボルニル(メタ)アクリレート、ジシクロペンタニル(メタ)アクリレート、ジシクロペンテニル(オキシエチル)(メタ)アクリレート、1,4-シクロヘキサンジメタノール(メタ)アクリレート、環状トリメチロールプロパンフォルマル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、EO変性(2)ノニルフェノールアクリレート、(2-メチル-2-エチル-1、3-ジオキソラン-4-イル)メチルアクリレート、アクリロイルモルフォリン、N-ビニルカルバゾール、1-ビニルイミダゾール、N-ビニル-2-ピロリドン、N-ビニルカプロラクタム、N-ビニルホルムアミドなどの1官能の活性エネルギー線重合性化合物、
1,3-ブチレングリコールジ(メタ)アクリレート、1,4-ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、3-メチル-1,5-ペンタンジオールジ(メタ)アクリレート、1,6-ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、1,9-ノナンジオールジ(メタ)アクリレート、1,10-デカンジオールジ(メタ)アクリレート、1,2-ドデカンジオールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコール(200)ジ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコール(300)ジ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコール(400)ジ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコール(600)ジ(メタ)アクリレート、ヒドロキシピバリン酸ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、ジプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、EO変性(2)1,6-ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、PO変性(2)ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、(ネオペンチルグリコール変性)トリメチロールプロパンジ(メタ)アクリレート、ジメチロールトリシクロデカンジ(メタ)アクリレート、EO変性(4)ビスフェノールAジ(メタ)アクリレート、PO変性(4)ビスフェノールAジ(メタ)アクリレート、シクロヘキサンジメタノールジ(メタ)アクリレート、ジメチロール-トリシクロデカンジ(メタ)アクリレート、ジシクロペンタニルジ(メタ)アクリレート、トリス(2-ヒドロキシエチル)イソシアヌレートジ(メタ)アクリレートなどの2官能の活性エネルギー線重合性化合物、
トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、EO変性(3)トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、PO変性(3)トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ε-カプロラクトン変性トリス-(2-アクリロキシエチル)イソシアヌレート、エトキシ化イソシアヌル酸トリ(メタ)アクリレート、トリス(2-ヒドロキシエチル)イソシアヌレートトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレートなどの3官能の活性エネルギー線重合性化合物、
ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジトリメチロールプロパンテトラ(メタ)アクリレートなどの4官能の活性エネルギー線重合性化合物、
ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレートなどの5官能の活性エネルギー線重合性化合物、
ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレートなどの6官能の活性エネルギー線重合性化合物等が挙げられる。
【0024】
また、活性エネルギー線重合性化合物としては、脂肪族ウレタンアクリレート、芳香族ウレタンアクリレートなどのウレタンアクリレート、ポリエステルアクリレート、ポリエーテルアクリレート、エポキシアクリレートなどを用いることができる。
【0025】
また、上述した活性エネルギー線重合性化合物において、分子中に3個以上の(メタ)アクリロイル基を有する活性エネルギー線重合性化合物を組成物全量中5~60質量%含むことが好ましい。分子中に3個以上の(メタ)アクリロイル基を有する活性エネルギー線重合性化合物の含有量が5質量%以上であることで塗膜の堅牢性が良好となり、60質量%以下であることで塗工性が良好となる。
【0026】
<艶消し剤>
本発明の活性エネルギー線硬化性組成物は、艶消し剤を含む。
本発明の組成物において、艶消し剤は艶消し性の機能を担う微粒子である。艶消し剤は、組成物として塗工された後に形状が保たれている必要がある。艶消し剤のD50は2~10μmであることが好ましい。
【0027】
本発明の組成物において、艶消し剤の粒度分布は小さい方が好ましい。この粒度分布を評価する指標として下記式1で表される粒度分布パラメータを使用した。
本発明においては、組成物中の艶消し剤の式1で求められる粒度分布パラメータが1.5以下であり、1.3以下であることが好ましい。粒度分布パラメータが当該範囲内に収まる場合、照射光の乱反射の程度が塗工表面内で均一となるため、ざらつき感が発生せずに良好な塗工状態が得られる。
艶消し剤は2種類以上を組み合わせて使用しても良いが、その場合、粒度分布は2種類以上の全ての艶消し剤を合わせた粒度分布となる。艶消し剤を併用する場合も粒度分布パラメータは当該範囲であることが必要である。
【0028】
式1
粒度分布パラメータ=(D90-D10)/D50
(式中、D90、D50,D10はそれぞれ、構成する粒子の体積基準累積粒度分布の微粒側から累積90%、累積50%、累積10% の粒径を表す。)
【0029】
艶消し剤は、配合量が多いほど艶消し性が高くなる一方、組成物のチキソトロピック性が大きくなり塗工性が低くなる。
このため、本発明の組成物においては、艶消し剤の配合量は、組成物全量中8~40質量%であり、15~30質量%であることが好ましい。艶消し剤の配合量を当該範囲内に収めることで、優れた艶消し性と低いチキソトロピック性(優れた塗工性)を両立することができる。
【0030】
本発明における艶消し剤は、有機微粒子を含む。有機微粒子を含むことで、組成物のチキソトロピック性が高くなりにくく、優れた塗工性が得られる。
有機微粒子としては、(メタ)アクリル樹脂微粒子、ウレタン樹脂微粒子、ポリオレフィン樹脂微粒子、シリコーン樹脂微粒子、メラミン樹脂微粒子、ベンゾグアナミン樹脂微粒子、メラミン-ベンゾグアナミン樹脂微粒子、ポリカーボネート樹脂微粒子、ポリスチレン樹脂微粒子等が挙げられる。
中でも、環境安全性、原料コストの点から、(メタ)アクリル樹脂微粒子、ウレタン樹脂微粒子、および、ポリオレフィン樹脂微粒子からなる群より選ばれる1種以上を用いることが好ましく、(メタ)アクリル樹脂微粒子、および、ウレタン樹脂微粒子からなる群より選ばれる1種以上を用いることがより好ましい。
【0031】
本発明における艶消し剤は、さらにシリカ等の無機微粒子を含んでも良い。
【0032】
本発明における艶消し剤は、有機微粒子を艶消し剤全量中50~100質量%含むことが好ましく、80~100質量%含むことがより好ましい。当該範囲であれば、組成物のチキソトロピック性が低く良好な塗工性が得られる。
【0033】
(メタ)アクリル樹脂微粒子の具体例としては、ガンツパールGM-0105、ガンツパール GM-0401S、ガンツパールGB―05S、ガンツパールGB-10S(アイカ工業株式会社製)、エポスターMA1002,エポスターMA1004、エポスターMA1006、エポスターMA1010(株式会社日本触媒製)等が挙げられる。
【0034】
ウレタン樹脂微粒子の具体例としては、例えば、アートパールC-1000T、アートパールC-800T、アートパールC-600T、アートパールC-400T、アートパールJB-800T、アートパールP-800T、アートパールP-400T(根上工業株式会社製)等が挙げられる。
【0035】
ポリオレフィン樹脂微粒子の具体例としてはミペロンXM-220、XM221U(ポリエチレン樹脂微粒子、三井化学株式会社製)、フロービーズLE-1080(ポリエチレン樹脂微粒子、住友精化株式会社製)、Ceraflour950(ポリエチレン樹脂微粒子、BYK社製)、Ceraflour970(ポリプロピレン樹脂微粒子、BYK社製)等が挙げられる。
【0036】
シリコーン樹脂微粒子の具体例としては、KMP-594、KMP-597、KMP-598、KMP-600、KMP-601、KMP-602(信越化学工業株式会社製)、トレフィルE-506S、EP-9215(東レ・ダウコーニング株式会社製)等が挙げられる。
【0037】
メラミン樹脂微粒子の具体例としては、エポスターSS、エポスターS、エポスターFS、エポスターS6、エポスターS12(株式会社日本触媒製)等が挙げられる。
ベンゾグアナミン樹脂微粒子の具体例としては、エポスターMS、エポスターM05、エポスターL15(株式会社日本触媒製)等が挙げられる。
メラミン-ベンゾグアナミン樹脂微粒子の具体例としては、エポスターM30(株式会社日本触媒製)が挙げられる。
【0038】
ポリカーボネート樹脂微粒子の具体例としては、特開2014-125495号公報記載の微粒子、特開2011-26471号公報記載の製造法によって得られる微粒子、特開2001-213970号公報記載の方法によって得られる微粒子等が挙げられる。
【0039】
ポリスチレン樹脂微粒子の具体例としては、ケミスノーSX-130H、SX-350H、SX-500H(綜研化学株式会社製)等が挙げられる。
【0040】
艶消し剤として、着色されたものを使用しても良い。具体例としては、ラブコロール224(SMD)ブラック、ラブコロール220(MD)ブラック、ラブコロール010(F)ホワイト(いずれも(メタ)アクリル樹脂微粒子、大日精化工業株式会社製)等が挙げられる。
【0041】
本発明の組成物は、さらに着色剤(着色された艶消し剤を除く)として有機顔料、無機顔料を含んでも良い。本発明に用いることができる顔料としては特に制限はなく、公知の顔料を用いることができる。
【0042】
有機顔料としては、β-ナフトール系、β-オキシナフトエ酸系、β-オキシナフトエ酸系アニリド系、アセト酢酸アニリド系、ピラゾロン系等の溶性アゾ顔料、 β-ナフトール系、β-オキシナフトエ酸系アニリド系、アセト酢酸アニリド系モノアゾ、アセト酢酸アニリド系ジスアゾ、ピラゾロン系等の不溶性アゾ顔料、銅フタロシアニンブルー、ハロゲン化(例えば、塩素化、臭素化など)銅フタロシアニンブルー、スルホン化銅フタロシアニンブルー、金属フリーフタロシアニン等のフタロシアニン系顔料;キナクリドン系、ジオキサジン系、スレン系(ピラントロン、アントアントロン、インダントロン、アントラピリミジン、フラバントロン、チオインジゴ系、アントラキノン系、ペリノン系、ペリレン系など)、イソインドリノン系、金属錯体系、キノフタロン系、ジケトピロロピロール系等の多環式顔料及び複素環式顔料が挙げられる。
【0043】
無機顔料としては、ファーネスブラック、ランプブラック、アセチレンブラック、チャネルブラックなどのカーボンブラック類、酸化鉄、酸化チタンなどが挙げられる
【0044】
本発明において、顔料は、1種単独で用いてもよく、2種以上組み合わせて用いてもよい。顔料の添加量としては、0.1~20質量%が好ましく、1~10質量%がより好ましい。前記範囲より少ない場合、着色剤としての効果が得られない。前記範囲より多い場合、組成物のチキソトロピック性が高くなり、塗工状態が悪化する恐れがある。
【0045】
<光重合開始剤>
また本発明の活性エネルギー線硬化性組成物は、光重合開始剤を含有することができる。
光重合開始剤は、光などの活性エネルギー線照射によってラジカルを発生し、前記活性エネルギー線重合性化合物のアクリレート基の架橋反応および重合反応を開始させる。
光重合開始剤としては、アセトフェノン系光重合開始剤、アルキルフェノン系光重合開始剤、ベンゾイン系光重合開始剤、ベンゾフェノン系光重合開始剤、アシルホスフィンオキサイド系光重合開始剤、などが好適に挙げられ、中でも、アルキルフェノン系光重合開始剤、アセトフェノン系光重合開始剤、アシルホスフィンオキサイド系光重合開始剤などが好ましい。光重合開始剤は組成物全量中に1~15質量%含むことが好ましく、5~12質量%含むことがより好ましい。
【0046】
アセトフェノン系光重合開始剤としては、4-フェノキシジクロロアセトフェノン、ジエトキシアセトフェノン、2-ヒドロキシ-2-メチル-1-フェニルプロパン-1-オン、1-(4-イソプロピルフェニル)-2-ヒドロキシ-2-メチルプロパン-1-オン、1-ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、4-(2-ヒドロキシエトキシ
)-フェニル(2-ヒドロキシ-2-プロピル)ケトン、2-メチル-[4-(メチルチオ)フェニル]-2-モルホリノ-1-プロパノン、2,2-ジメトキシ-2-フェニルアセトフェノン等が挙げられる。
【0047】
アルキルフェノン系光重合開始剤としては、2,2-ジメトキシ-1,2-ジフェニルエタン-1-オン、1-ヒドロキシ-シクロヘキシル-フェニル-ケトン、2-ヒドロキシ-2-メチル-1-フェニル-プロパン-1-オン、1-[4-(2-ヒドロキシエトキシ)-フェニル]-2-ヒドロキシ-2-メチル-1-プロパン-1-オン、2-ヒドロキシ-1-{4-[4-(2-ヒドロキシ-2-メチル-プロピオニル)-ベンジル]フェニル}-2-メチル-プロパン-1-オン、2-メチル-1-(4-メチルチオフェニル)-2-モルフォリノプロパン-1-オン、2-ベンジル-2-ジメチルアミノ-1-(4-モルフォリノフェニル)-ブタノン-1、2-(ジメチルアミノ)-2-[(4-メチルフェニル)メチル]-1-[4-(4-モルホリニル)フェニル]-1-ブタノン等が挙げられる。
【0048】
ベンゾイン系光重合開始剤としては、ベンゾイン、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインイソエチルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテル、ベンゾインイソブチルエーテル等が挙げられる。
【0049】
ベンゾフェノン系光重合開始剤としては、ベンゾフェノン、4-メチルベンゾフェノン、4,4’-ビス(ジメチルアミノ)ベンゾフェノン、4,4’-ビス(ジエチルアミノ)ベンゾフェノン、メチル-o-ベンゾイルベンゾエート、ベンゾイル安息香酸、ベンゾイル安息香酸メチル、4-フェニルベンゾフェノン、ヒドロキシベンゾフェノン、4-ベンゾイル-4’-メチルジフェニルサルファイド、3,3-ジメチル-4-メトキシベンゾフェノン等が挙げられる。
【0050】
アシルホスフィンオキサイド系光重合開始剤としては、2,4,6-トリメチルベンゾイルジフェニルホスフィンオキサイド、ビス(2,4,6-トリメチルベンゾイル)-フェニルホスフィンオキサイド、フェニル(2,4,6-トリメチルベンゾイル)ホスフィン酸エチル、エチル(3-ベンゾイル-2,4,6-(トリメチルベンゾイル)(フェニル)ホスフィネート等が挙げられる。
【0051】
前記光重合開始剤としては、1種または2種以上を組合せ使用しても良い。
【0052】
<添加剤>
本発明の活性エネルギー線硬化性組成物は、添加剤として公知のものを適宜含むことができる。
例えば、レベリング剤、重合禁止剤、紫外線吸収剤、光安定剤、増感剤、硬化剤、可塑剤、湿潤剤、接着補助剤、消泡剤、帯電防止剤等を使用することができ、特段の制限はない。
【0053】
<組成物中の有機溶剤>
有機溶剤としては、従来公知の溶剤を用いることができるが、作業者の健康や環境面から、有機溶剤を実質的に含まないことが好ましい。本発明において、有機溶剤を実質的に含まないとは、有機溶剤の含有量が組成物全量中の5質量%以下であることを意味し、1質量%以下であることが好ましい。
【0054】
<粘度>
本発明の活性エネルギー線硬化性組成物の粘度は、25℃で100~1500mPa・sであることが好ましい。粘度が当該範囲であれば、塗工時にヒーター等を使用して組成物の温度を変化させることにより、塗工に好適な粘度を得ることができる。ここでの粘度は、TVE-25形粘度計(E型粘度計、東機産業株式会社製)を使用してローター速度100rpmにおいて測定した粘度である。
【0055】
<チキソトロピック性>
本発明におけるチキソトロピック性とは、せん断応力を与えると粘度が下がり、これを放置すると粘度が元に戻る性質である。このチキソトロピック性を評価する指標として、チキソトロピック値を使用した。
本発明では、TVE-25形粘度計(E型粘度計、東機産業株式会社製)を使用して25℃における、ローター回転数50rpmおよび100rpmでの粘度を測定して、これらの測定値を基に式2を使用してチキソトロピック値を求めた。
【0056】
式2
チキソトロピック値=(25℃、50rpmでの粘度)/( 25℃、100rpmでの粘度)
【0057】
本発明の組成物においては、組成物のチキソトロピック値が小さくなるほど、塗工後にレベリングしやすくなることで塗工性が高くなる。
本発明の組成物において、組成物のチキトロピック値は1.0~1.2であり、1.0~1.1であることが好ましい。組成物のチキソトロピック値が当該範囲に収まっている場合、塗工後にレベリングすることで塗工性が高くなり、塗工面内での光沢差やざらつき感などが小さくなる。
【0058】
<活性エネルギー線硬化性組成物の製造>
本発明の活性エネルギー線硬化性組成物の製造方法としては、組成物の材料を羽根つき撹拌機(ディスパー)などで30分~3時間程度撹拌することにより製造することができる。なお、混合しにくく、粘度等が不均一になりやすい場合はローラーミル、ボールミル、ペブルミル、アトライター、サンドミルなどを用いてもよい。
【0059】
本発明の活性エネルギー線硬化性組成物に気泡や予期せずに粗大粒子などが含まれる場合は、印刷物品質を低下させるため、濾過などにより取り除くことが好ましい。濾過器は従来公知のものを使用することができる。
【0060】
<積層体の製造>
本発明の積層体の製造方法は特に限定されないが、好ましくは、基材上に活性エネルギー線硬化性組成物を塗工し、硬化した層が形成されることで製造される。なお、基材上に印刷インキ組成物からなる印刷層を形成しておき、更に当該印刷層上に本発明の活性エネルギー線硬化性組成物を塗工し、硬化して積層体を形成してもよい。
【0061】
本発明の活性エネルギー線硬化性組成物の塗工方法は特に限定されるものではなく、例えば、スプレー、シャワー、ディッピング、フローコート、グラビア印刷、フレキソ印刷、ロール、スピン、ディスペンサー、スクリーン印刷等のようなウェットコーティング法が挙げられる。
【0062】
活性エネルギー線としては、遠紫外線、紫外線、近紫外線などの紫外線が挙げられる。一方、電子線やプロトン線を使用することも可能であり、この場合は光重合開始剤を用いなくても硬化し得る。
硬化速度、照射装置の入手のし易さ、価格等の面からは、紫外線照射による硬化が好ましい。
【0063】
紫外線照射により硬化させる方法としては、150~450nm波長域の光を発する高圧水銀ランプ、超高圧水銀灯、カーボンアーク灯、メタルハライドランプ、キセノンランプ、ケミカルランプ、無電極放電ランプ、LED等を用いて、積算光量として30~5000mJ/cm2、好ましくは100~1000mJ/cm2照射すればよい。紫外線照射後は、必要に応じて加熱を行って硬化の完全を図ることもできる。
【0064】
本発明の活性エネルギー線硬化性組成物は、塗工したのち、活性エネルギー線照射して硬化される。
組成物を塗工する際の膜厚(硬化後の膜厚)としては、通常1~50μmであることが好ましく、1~30μmがより好ましく、1~20μmであることがなお好ましく、1~10μmであることが更に好ましく、1~5μmであることが特に好ましい。
【0065】
本発明で使用する基材は特に制限されず、紙、プラスチックフィルム、金属、ガラス、木材等を挙げられる。基材としては、アート紙、コート紙、マットコート紙、上質紙、コートボール紙等の紙およびオレフィン系樹脂フィルム等のプラスチックフィルムが好ましい。
【実施例0066】
以下、実施例をあげて本発明を詳細に説明するが、本発明はこれら実施例に限定される
ものではない。なお、本発明における「部」および「%」 は、特に注釈の無い場合、「質量部」および「質量%」 を表わす。
【0067】
実施例1
<活性エネルギー線硬化性組成物の製造>
下記材料を表1に示す配合量で混合し、羽根つき撹拌機で90分攪拌して活性エネルギー線硬化性組成物を得た。
<積層体の製造>
枚葉印刷機「リスロン26(株式会社小森コーポレーション製)」を用いて、紙基材であるオーロラコート(塗工紙ハイグロスタイプ、紙厚81μm、日本製紙社製)上にUV硬化型オフセットインキである「FDカルトンX墨M(東洋インキ製)」を、墨濃度が1.75(測定機:X―Rite eXact(エックスライト製)、条件:イルミナントD50、濃度ステータスE、フィルタなし)となるよう印刷し、UVランプで硬化させた。上記印刷の印刷速度は8000枚/時、UVランプの種類は空冷メタルハライドランプ2灯と高圧水銀ランプ1灯、UVランプの強度は上記3灯全て160W/cmとした(積算光量450mJ/cm2)。
次に、上記で得られたFDカルトンX墨Mの印刷物上に、リスロン26のフレキソコーティングユニットを用いて得られた活性エネルギー線硬化性組成物を塗工し、UVランプで硬化させ、積層体を得た。上記コーティングユニットのアニロックスロールとしては、彫刻パターンがトリヘリカル、線数が90line/inch、セル容積が25mL/m2のものを用いた。また、フレキソコーティングの際は、印刷速度が8000枚/時で、粘度が150mPa・sとなるように液温を制御した。なお、UVランプの種類、灯数、強度は上述のFDカルトンX墨Mの硬化条件と同じである。
【0068】
<活性エネルギー線重合性化合物>
・MIRAMER PE210(ビスフェノールAエポキシジアクリレート、Miwon Spechialty Chemical製)
・MIRAMER M3130(トリメチロールプロパンEO変性トリアクリレート、Miwon Spechialty Chemical製)
・TPGDA(トリプロピレングリコールジアクリレート、ダイセル・オルネクス製)
【0069】
<光重合開始剤>
・OMNIRAD 1173(2-ヒドロキシ-2-メチル-1-フェニル-プロパン-1-オン、IGM Regins製)
【0070】
<有機微粒子>
・ガンツパール GM-0105(アクリル樹脂微粒子、D50=1.8μm、アイカ工業株式会社製)
・ガンツパール GM-0401S(アクリル樹脂微粒子、D50=3.8μm、アイカ工業株式会社製)
・ガンツパール GB-05S(アクリル樹脂微粒子、D50=5.2μm、アイカ工業株式会社製)
・ガンツパール GB-10S(アクリル樹脂微粒子、D50=9.7μm、アイカ工業株式会社製)
・ART PEARL C-1000T(ウレタン樹脂微粒子、D50=4.7μm、根上工業株式会社製)
・ART PEARL C-800T(ウレタン樹脂微粒子、D50=8.1μm、根上工業株式会社製)
・ART PEARL C-600T(ウレタン樹脂微粒子、D50=13.8μm、根上工業株式会社製)
・ART PEARL C-300T(ウレタン樹脂微粒子、D50=21.4μm、根上工業株式会社製)
・Ceraflour950(ポリエチレン樹脂微粒子、D50=9.8μm、BYK社製)
・Ceraflour970(ポリプロピレン樹脂微粒子、D50=9.8μm、BYK社製)
【0071】
<無機微粒子>
・サイリシア350(ウレタン樹脂微粒子、D50=3.9μm、富士シリシア化学株式会社製)
【0072】
実施例2~22および比較例1~11
表1に示す材料と配合量に変更した以外は実施例1と同様に、活性エネルギー線硬化性組成物の製造と、積層体の製造を行った。
【0073】
<活性エネルギー線硬化性組成物の評価>
実施例および比較例で得られた各活性エネルギー線硬化性組成物について粘度、チキソトロピック値、粒度分布を測定した。
【0074】
<粘度・チキソトロピック値>
粘度測定については、液温25℃条件下でE型粘度計であるTVE-25形粘度計(東機産業株式会社製)を用いて測定を行った。粘度はローター回転数100rpmにおける測定値である。また、ローター回転数50rpmおよび100rpmで測定を行い、これらの測定値を基に前記した(式2)よりチキソトロピック値を求めた。
【0075】
<粒度分布>
粒度分布測定はマイクロトラックMT3300II(レーザー回折・散乱法粒径分布測定装置、マイクロトラック・ベル社製)を使用してD10、D50、D90を測定した。これらの測定値を基に前記した(式1)より粒度分布パラメータを求めた。
【0076】
<積層体の評価>
実施例および比較例で得られた積層体について、艶消し性、塗工性を評価した。
【0077】
<艶消し性>
実施例および比較例で得られた積層体について、塗工表面の光沢値を測定した。なお光沢値の測定はBYK社製マイクロトリグロスを使用して入射角60度で測定した。評価基準は次の通りである。
5(優):光沢値30未満
4(良):光沢値30以上40未満
3(可):光沢値40以上50未満
2(不可):光沢値50以上70未満
1(劣):光沢値70以上
なお、実用上使用可能な評価は3,4および5である。
【0078】
<塗工性>
実施例および比較例で得られた積層体について、表面の塗工状態を目視で確認を行った。評価基準は次の通りである。
5(優):塗工面内で艶消し効果のばらつきが全く無い状態
4(良):塗工面内で艶消し効果のばらつきがほとんど無い状態
3(可):塗工面内で艶消し効果のばらつきがわずかにある状態
2(不可):塗工面内で艶消し効果のばらつきが大きい状態
1(劣):塗工面内で艶消し効果のばらつきが極めて大きい状態
なお、実用上使用可能な評価は3,4および5である。
【0079】
実用上可能な活性エネルギー線硬化性組成物とは、優れた艶消し性と優れた塗工性を同時に満たしたものである。つまり、艶消し性評価3以上であることと、塗工性評価3以上であることを同時に満たすものである。
【0080】
【0081】
【0082】
【0083】
上記実施例より、本発明の活性エネルギー線硬化性組成物は、優れた艶消し性と、優れた塗工性とを有しており、得られる積層体において、高い艶消し効果を示す。