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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024170058
(43)【公開日】2024-12-06
(54)【発明の名称】床材の敷設方法及び梱包体
(51)【国際特許分類】
   E04F 15/16 20060101AFI20241129BHJP
   E04F 21/20 20060101ALI20241129BHJP
   B65D 71/42 20060101ALI20241129BHJP
【FI】
E04F15/16 G
E04F21/20 E
B65D71/42
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023087012
(22)【出願日】2023-05-26
(71)【出願人】
【識別番号】000222495
【氏名又は名称】東リ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002734
【氏名又は名称】弁理士法人藤本パートナーズ
(72)【発明者】
【氏名】佐々木 菜摘
(72)【発明者】
【氏名】松本 龍樹
(72)【発明者】
【氏名】山本 夏子
(72)【発明者】
【氏名】尾嵜 美歩
(72)【発明者】
【氏名】藤原 朋香
【テーマコード(参考)】
2E220
3E067
【Fターム(参考)】
2E220AA33
2E220AA51
2E220AC01
2E220AC11
2E220BA01
2E220BB01
2E220BC10
2E220DB03
2E220EA05
2E220FA11
2E220FA15
2E220FA19
2E220GA22X
2E220GA26X
2E220GB32Z
2E220GB34X
2E220GB48Z
3E067AA12
3E067AB64
3E067AC03
3E067BA05A
3E067BB01A
3E067EE02
3E067FA01
3E067FC01
(57)【要約】
【課題】単位片床材を簡単にカットしてデザイン貼りすることができる床材の敷設方法及び単位片床材を梱包した梱包体を提供する。
【解決手段】本発明の床材の敷設方法は、枚葉状の単位片床材2と、複数の構成面部31から形成され単位片床材を梱包する梱包箱3と、単位片床材を切断して形成される敷設床材の輪郭を示す線図を含む輪郭部4と、を備える、梱包体1を用いた床材の敷設方法であって、輪郭部を用いて、単位片床材を切断して少なくとも1つの敷設床材を形成するための型板を、構成面部から切り出す型板切出工程と、型板を用いて単位片床材を切断して、敷設床材を形成する床材切断工程と、敷設床材を床面に敷設する敷設工程と、を備える。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
枚葉状の単位片床材と、複数の構成面部から形成され前記単位片床材を梱包する梱包箱と、前記単位片床材を切断して形成される敷設床材の輪郭を示す輪郭部と、を備える、梱包体を用いた床材の敷設方法であって、
前記輪郭部を用いて、前記単位片床材を切断して少なくとも1つの敷設床材を形成するための型板を、前記構成面部から切り出す型板切出工程と、
前記型板を用いて前記単位片床材を切断して、前記敷設床材を形成する床材切断工程と、
前記敷設床材を床面に敷設する敷設工程と、を備える、床材の敷設方法。
【請求項2】
枚葉状の単位片床材と、複数の構成面部から形成され前記単位片床材を梱包する梱包箱と、前記単位片床材を切断して形成される敷設床材の輪郭を示す輪郭部と、を備え、
前記構成面部は、前記輪郭部を用いて、前記単位片床材を切断して少なくとも1つの敷設床材を形成するための型板を切り出し可能である、梱包体。
【請求項3】
前記輪郭部は、直線状に延びる直線輪郭と、曲線を含む曲線輪郭と、を含む、請求項2に記載の梱包体。
【請求項4】
前記輪郭部は、直線状に延びる直線輪郭を複数備える、請求項2又は3に記載の梱包体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、床材を敷設するための床材の敷設方法及び該床材を梱包した梱包体に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、床に敷設される床材として、正方形状のタイルカーペットが公知である。例えば、特許文献1に開示されているように、上記従来のタイルカーペットは、正方形状を有し、隣接するタイルカーペットの端縁同士を突き合わせた状態で床等に敷設される。タイルカーペットにはパターンや着色が施されることにより、様々な外観が与えられる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特表2004-520858号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、異なる色や形状の床材を敷設して、床面の意匠性を高めるいわゆるデザイン貼りが従来より行われている。デザイン貼りの施工では枚葉状の単位片床材を所定形状にカットして、カットして得られた敷設床材を敷設するが、単位片床材をイメージした形状や隙間なく敷設できる形状にカットするのは困難であった。よって、デザイン貼りの施工は、プロの床施工職人によって行われており、一般消費者が自ら行うことは困難であった。
【0005】
そこで、本発明は、単位片床材を簡単にカットしてデザイン貼りすることができる床材の敷設方法及び単位片床材を梱包した梱包体を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の床材の敷設方法は、枚葉状の単位片床材と、複数の構成面部から形成され前記単位片床材を梱包する梱包箱と、前記単位片床材を切断して形成される敷設床材の輪郭を示す線図を含む輪郭部と、を備える、梱包体を用いた床材の敷設方法であって、前記輪郭部を用いて、前記単位片床材を切断して少なくとも1つの敷設床材を形成するための型板を、前記構成面部から切り出す型板切出工程と、前記型板を用いて前記単位片床材を切断して、前記敷設床材を形成する床材切断工程と、前記敷設床材を床面に敷設する敷設工程と、を備える。
【0007】
かかる構成によれば、輪郭部を用いて梱包箱から型板を切り出し、型板を用いて単位片床材を切断して敷設床材を形成することができるので、単位片床材をカットして敷設床材を得やすい。よって、単位片床材を簡単にカットしてデザイン貼りすることができる。
【0008】
また、本発明の梱包体は、枚葉状の単位片床材と、複数の構成面部から形成され前記単位片床材を梱包する梱包箱と、前記単位片床材を切断して形成される敷設床材の輪郭を示す線図を含む輪郭部と、を備え、前記構成面部は、前記輪郭部を用いて、前記単位片床材を切断して少なくとも1つの敷設床材を形成するための型板を切り出し可能である。
【0009】
かかる構成によれば、輪郭部を用いて梱包箱から型板を切り出し、型板を用いて単位片床材を切断して敷設床材を形成することができる。よって、単位片床材を簡単にカットしてデザイン貼りすることができる。
【0010】
また、前記輪郭部は、直線状に延びる直線輪郭と、曲線を含む曲線輪郭と、を含む、こともできる。
【0011】
かかる構成によれば、輪郭部は、直線輪郭と曲線輪郭とを含むので、輪郭が直線状又は曲線状の型板を切り出すことができる。よって、所望の形状の敷設床材を形成することができる。
【0012】
また、前記輪郭部は、直線状に延びる直線輪郭を複数備えることもできる。
【0013】
かかる構成によれば、直線輪郭が複数設けられるので、様々な形の型板を切り出すことができる。よって、所望の形状の敷設床材を形成することができる。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、単位片床材を簡単にカットしてデザイン貼りすることができる床材の敷設方法及び単位片床材を梱包した梱包体を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】本発明の一実施形態にかかる梱包体を示す斜視図である。
図2】同梱包体に梱包される単位片床材の構成を示す端面図である。
図3】同梱包体の梱包箱の正面図である。
図4】扇形型板を用いた床材切断工程を示す図である。
図5図4に示す床材切断工程で形成された敷設床材の床面への敷設例を示す図である。
図6図4に示す床材切断工程で形成された敷設床材と単位片床材を組み合わせた床面への敷設例を示す図である。
図7】三角型板を用いた床材切断工程を示す図である。
図8図7に示す床材切断工程で形成された敷設床材の床面への敷設例を示す図である。
図9】四角型板を用いた床材切断工程を示す図である。
図10図9に示す床材切断工程で形成された敷設床材の床面への敷設例を示す図である。
図11】小扇形型板を用いた床材切断工程を示す図である。
図12図11に示す床材切断工程で形成された敷設床材の床面への敷設例を示す図である。
図13図5(a)に示すXIII-XIII切断部端面図である。
図14】本発明の第二の実施形態における梱包体の梱包箱の正面図である。
図15図14に示す梱包体を用いた敷設床材の床面への敷設例を示す図である。
図16】本発明の第三の実施形態における梱包体の梱包箱の正面図である。
図17】本発明の第四の実施形態における梱包体の梱包箱の正面図である。
図18図18に示す梱包体を用いた敷設床材の床面への敷設例を示す図である。
図19】本発明の第五の実施形態における梱包体の梱包箱の正面図である。
図20図19に示す梱包体を用いた敷設床材の床面への敷設例を示す図である。
図21】本発明の第六の実施形態における梱包体の梱包箱の正面図である。
図22】本発明の第七の実施形態における梱包体の梱包箱の正面図である。
図23】本発明の第八の実施形態における梱包体の梱包箱の正面図である。
図24】本発明の第九の実施形態における梱包体の梱包箱の正面図である。
図25】本発明の第十の実施形態における梱包体の梱包箱の正面図である。
図26】本発明の第十一の実施形態における梱包体の梱包箱の正面図である。
図27】本発明の第十二の実施形態にかかる梱包体における梱包箱の側面図である。
図28】同実施形態における床材切断工程を示す図である。
図29】同実施形態における床材切断工程で形成された敷設床材の床面への敷設例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
本発明の第一の実施形態にかかる梱包体1及び床材の敷設方法について、図1乃至図13を参照して説明する。なお、本明細書において、デザイン貼りとは、異なる色彩、模様、形状の床材を組み合わせて敷設し、床面の意匠性を高めることをいう。
【0017】
図1に示すように、梱包体1は、枚葉状の単位片床材2と、梱包箱3と、梱包箱3から型板7を切り出すための線図を有する輪郭部4と、を備え、単位片床材2が厚み方向に複数枚重ねた状態で梱包箱3に収容されている。
【0018】
単位片床材2は、表面及び裏面を有する板状で、裏面が床面に対向するように配置される床材である。本実施形態の単位片床材2には、床面に対して固定するための手段として、裏面に床面に対して吸着する吸着材が設けられる(図示しない)。吸着材は、発泡樹脂からなる吸着フォームであってもよい。単位片床材2は、例えば400mm×400mmの正方形状や500mm×500mmの正方形状である。なお、単位片床材2は正方形状に限らず、長方形状や円形など種々の構成を採用できる。
【0019】
図2に示すように、単位片床材2は、バッキング層21と、バッキング層21上に設けられた基布22と、基布22に対してタフトされた糸によって形成されたパイル23と、を備える。パイル23は、単位片床材2の表面の略全域を覆うように設けられ、基布22に対して表側に延出している。本実施形態の単位片床材2は主成分がポリ塩化ビニル樹脂などの熱可塑性樹脂で構成されており、可塑剤、その他の添加剤が含まれていてもよい。寸法安定性の向上、反り防止のために、無機繊維を中間に積層する構成であってもよい。無機繊維として、ガラスネット、ガラスマットなどが挙げられるが、特にガラスマットが好適に用いられる。また、単位片床材2は、カッタやハサミなどで切断可能な程度の硬さである。ポリ塩化ビニル樹脂及び可塑剤を含む構成であれば、柔軟性を付与でき、後述する床材切断工程における切断が容易になる。
【0020】
パイル23のうち基布22から露出した部分によって単位片床材2の表面が構成されている。単位片床材2の表面は無地、方向性を有する模様、ランダムな模様、又は、表面の凹凸模様等を有する。1つの梱包体1には、同じ形状でありながら異なる色又は模様の表面を有する複数種類の単位片床材2が梱包されていてもよく、全て同じ模様の単位片床材2が梱包されていてもよい。前者の場合、消費者は1つの梱包体1に含まれる複数の単位片床材2でデザイン貼りをすることができ、後者の場合、消費者は、複数の梱包体1に含まれる単位片床材2を組み合わせてデザイン貼りをすることができる。
【0021】
図2に示すように、梱包箱3は、複数の構成面部31を有する箱体であり、内部に複数枚の単位片床材2を収容可能である。梱包体1の構成面部31は、収容する単位片床材2の表面又は裏面と対向する一対の対向面部32と、該一対の対向面を連結する一対の側面部33と、底面又は蓋を構成するフラップ部34と、を備える。また、梱包箱3は、カッタやハサミなどで切断可能な程度の硬さである。梱包箱3は、例えば、樹脂や紙材で構成することができるが、後述する型板7を切り出す際の作業性の観点から紙材で構成することが好ましい。本実施形態の梱包箱3は段ボールで構成されている。また、本実施形態の梱包箱3は、上部が開閉可能に構成された箱であり、上部を開くことで、収容された単位片床材2を梱包箱に対して出し入れすることができる。
【0022】
対向面部32は、収容する単位片床材2の表面よりも大きい面を有する板状体である。具体的に、対向面部32は、正方形状の面を有する板状体であり、一辺の長さは、単位片床材2の一辺の長さよりも長い。
【0023】
側面部33及びフラップ部34は、単位片床材2の表面よりも小さい面を有する板状体であり、長方形状の面を有する。側面部33及びフラップ部34は、長辺が単位片床材2の一辺の長さよりも長く、短辺が単位片床材2の一辺の長さよりも短く、短辺が収容する単位片床材2の厚み方向に延びるように配置される。
【0024】
輪郭部4は、構成面部31から型板7を切り出すための輪郭を示す。具体的に、輪郭部4は、構成面部31から、外縁線図5と、敷設線図6と、を備える。本実施形態の輪郭部4は、梱包箱3の外面、具体的には対向面部32の外面に印刷されている線図である。なお、輪郭部4は、線図として構成される場合に限らない。例えば、後述する型板7となる領域を他の部分と視覚的に区別可能に表示すること、例えば、他の部分と異なる色で表示することもできる。つまり、輪郭部4は、作業者が視覚的に、構成面部31のうち型板7となる領域を認識可能な種々の構成を採用できる。
【0025】
図3に示すように、外縁線図5は、単位片床材2の外縁に対応した輪郭を示す線図である。本実施形態の外縁線図5は、単位片床材2の外縁に一致する表示であり、単位片床材2の表面と同じ形状の正方形の線図である。具体的に、外縁線図5は、単位片床材2の輪郭に一致する4つの外縁辺51及び4つの外縁角52を有する。本実施形態の外縁線図5は、実線で構成されている。
【0026】
敷設線図6は、敷設床材8の輪郭を示す線図であり、外縁線図5に囲まれた領域からを2以上の小領域を形成する線を複数有する。具体的に、敷設線図6は、直線状に延びる直線輪郭61と、曲線を含む曲線輪郭62と、を備える。直線輪郭61及び曲線輪郭62は、線の一端部及び他端部が外縁線図5、より詳細には外縁辺51又は外縁角52に接するように設けられている。本実施形態の敷設線図6は、実線のみで構成されているが、このような構成に限らず、破線や一点鎖線、二点鎖線等の線種で構成されていてもよいし、複数の線種を組み合わせて構成されていてもよい。また、敷設線図6を実線のみで構成する場合であっても、太さや色の異なる複数の実線を組み合わせて構成することもできる。
【0027】
直線輪郭61は、外縁線図5に囲まれた領域内に配置された直線であり、本実施形態では複数設けられている。直線線図は、外縁線図5に囲まれた領域から2以上の小領域を形成するように配置された直線である。具体的に、直線輪郭61は、角直線61Aと対辺直線61Bとを備える。角直線61Aは、外縁線図5の対角同士に亘って延びている。外縁線図5の対角同士とは、第一の外縁角52とその対角に位置する第二の外縁角52、並びに、第一の外縁角52及び第二の外縁角52と異なる第三の外縁角52とその対角に位置する第四の外縁角52である。また、対辺直線61Bは、外縁線図5の対辺同士に亘って延びている。外縁線図5の対辺同士とは、第一の外縁辺51とその対辺に位置する第二の外縁辺51、並びに、第一の外縁辺51及び第二の外縁辺51と異なる第三の外縁辺51とその対角に位置する第四の外縁辺51である。
【0028】
角直線61Aは、外縁線図5の外縁辺51に対して斜めに延びる直線である。角直線61Aは、第一の外縁角52から対角の第二の外縁角52まで延びる第一角直線61A1と、第三の外縁角52から対角の第四の外縁角52まで延びる第二角直線61A2と、を含む。第一角直線61A1及び第二角直線61A2は、外縁線図5に囲まれた領域内において互いに交差するように配置されており、本実施形態では、外縁線図5に囲まれた領域の中央部分で互いに直交している。
【0029】
第一角直線61A1は、外縁線図5に囲まれた領域から2つの合同な三角形状の小領域を形成するように配置された直線であり、具体的には、2つの合同な直角二等辺三角形状の小領域を形成するように配置された直線である。また、第二角直線61A2は、第一角直線61A1によって形成された三角形状の小領域から合同な2つの三角形状の領域を形成するように配置された直線であり、具体的には、2つの合同な直角二等辺三角形状の領域を形成するように配置されている。
【0030】
対辺直線61Bは、外縁線図5の外縁辺51に対して斜めに延びる直線である。対辺直線61Bは、外縁線図5の第一の外縁辺51の中途部分からその対辺の第二の外縁辺51まで延びる第一対辺直線61B1と、第三の外縁辺51の中途部分から対辺の第四の外縁辺51の中途部分まで延びる第二対辺直線61B2と、を含む。第一対辺直線61B1及び第二対辺直線61B2は、外縁線図5に囲まれた領域内において互いに交差するように配置されており、本実施形態では、外縁線図5に囲まれた領域の中央部分で互いに直交している。即ち、本実施形態の対辺直線61Bと角直線61Aは、全てが外縁線図5に囲まれた領域内の1点(具体的には中央部分の1点)で交わるように配置されている。
【0031】
第一対辺直線61B1は、外縁線図5に囲まれた領域から2つの合同な四角形状の小領域を形成するように配置された直線であり、具体的には、2つの合同な台形状の小領域を形成するように配置された直線である。また、第二対辺直線61B2は、第一対辺直線61B1によって形成された四角形状の小領域から合同な2つの四角形状の領域を形成するように配置された直線である。
【0032】
曲線輪郭62は、外縁線図5に囲まれた領域内に配置された曲線を含む線である。本実施形態の曲線輪郭62は、円弧状の線である。具体的に、曲線輪郭62は、第一の外縁角52から対角の第三の外縁角52まで延びる円弧である。このような曲線輪郭62は、外縁線図5に囲まれた領域から扇形の小領域と、残りの隅部分の小領域と、の2つの小領域を形成する。また、曲線輪郭62は、角直線61A及び対辺直線61Bと交差している。
【0033】
本実施形態の輪郭部4は、外縁線図5に囲まれた領域に、複数の基本図形が記載された、複合輪郭4Bである。具体的に、輪郭部4には、基本図形としての三角形、四角形(台形及び不等辺四角形)、及び、扇形が外縁線図5に囲まれた領域に重ねて記載されている。
【0034】
以上のような梱包体1を用いて、床材を敷設する方法について説明する。床材を敷設するには、主に(1)型板切出工程と、(2)床材切断工程と、(3)敷設工程と、でおこなわれる。
【0035】
床材を敷設するには、まず、準備段階として、輪郭部4を破損しないように、梱包箱3を開封して、収容されている単位片床材2を梱包箱3から取り出す。また、後述する型板切出工程のために、必要に応じて梱包箱3を展開する。
【0036】
(1)型板切出工程は、輪郭部4を用いて梱包箱3の構成面部31から型板7を切り出す工程である。図3に示す輪郭部4は、図4に示す中心角が約90度の扇形である扇形型板71、図7に示す三角形の三角型板72、図8に示す不等辺四角形の四角型板73、図11に示す中心角が約45度の小扇形型などの所望の形状の型板7を作成することができる。型板切出工程では、まず、外縁線図5に沿って構成面部31、本実施形態では対向面部32を切断して、切出板を構成面部31から切り出す。切出板は、単位片床材2の外縁に一致した形状であり、敷設線図6が記載された板である。次に、切出板を、敷設線図6に沿って切断して、型板7を切り出す。ここで、切出板は、敷設線図6に含まれる複数の線のうち、所望の形状の敷設床材8を得るべく選択された1又は複数の線に沿って、切断される。なお、切出板を敷設線図6に沿って切断する前に、単位片床材2を切断する作業者、例えば消費者は、どのような形状の型板7を得るかを選択し、その形状の型板7を得られるように選択された1又は複数の線に沿って、切出板を切断する。ここで、切出板は、単位片床材2の外縁に一致した形状であるので、作業者が切出板に記載された敷設線図6を参考にして得られる型板7の形状を想像しやすい。なお、構成面部31から切出板を切り出さず、直接型板7を切り出すこともできる。
【0037】
例えば、図4に示す円弧形状の輪郭を有する扇形の敷設床材8を得ようとする場合には、切り出した板を曲線輪郭62に沿って切断し、扇形の扇形型板71を得る。図7に示す三角形状の輪郭を有する敷設床材8を得ようとする場合には、切り出した板を角直線61Aに沿って切断し、三角形状の三角型板72を得る。
【0038】
複数の線に沿って切り出した板を切断することもできる。例えば、図9に示す四角形状の敷設床材8を得ようとする場合に、切り出した板を対辺直線61Bに沿って切断し、四角形状の四角型板73を得る。具体的には、切り出した板を第一対辺直線61B1及び第二対辺直線61B2で切断することで、四角型板73を得ることができる。また、図11(a)に示すように、扇形型板71をさらに直線輪郭61(第二角直線61A2)に沿って切断して、扇形型板71よりも中心角が小さい扇形の小扇形型板74を得ることもできる。
【0039】
切り出された型板7の輪郭は、切断する単位片床材2の外縁に合わせられる部分と、単位片床材2の切断すべき位置に対応した部分と、を含む。具体的に、切断する単位片床材2の外縁に合わせられる部分は、外縁線図5に対応した部分であり、切断すべき位置に対応した部分は、敷設線図6に対応した部分である。
【0040】
(2)床材切断工程は、(1)型板切出工程で切り出された型板7を用いて、単位片床材2を切断して、敷設床材8を形成する工程である。具体的に、床材切断工程では、単位片床材2に型板7をあてがって、型板7の輪郭に沿って単位片床材2を切断する工程である。単位片床材2に型板7をあてがう際には、単位片床材2の外縁と型板7の輪郭のうち外縁線図5に対応した部分を合わせることで、単位片床材2に対する型板7の位置合わせがなされる。そして、単位片床材2と型板7の位置合わせが完了した後に、型板7の輪郭のうち敷設線図6に対応した部分に沿って単位片床材2を切断して敷設床材8を形成する。
【0041】
本実施形態の梱包箱3は段ボールで構成されており適度な厚み(例えば単位片床材2以上の厚み)を有するので、消費者はカッタで切断する場合、型板7の縁部にカッタの刃を沿わせて容易に切断することができる。また、単位片床材2は表面側にパイル23が形成されるので、裏面側に型板7をあてがうほうが好ましく、これによって、例えば、型板7が単位片床材2に対してズレること起因する切断時のズレが少なくなり、切断作業が容易になる。
【0042】
図4に示す扇形型板71を用いて床材を切断した場合には、1枚の単位片床材2から扇形の扇形敷設床材81(敷設床材8)と、単位片床材2から扇形敷設床材81を除いた残りの部分である隅敷設床材82(敷設床材8)と、が形成される(図5参照)。また、図7に示す三角型板72を用いて床材を切断した場合には、1枚の単位片床材2から、三角形状の三角敷設床材83(敷設床材8)が2枚形成される(図8参照)。
【0043】
図9に示す四角型板73や、図11(a)に示す小扇形型板74を用いて床材を切断する場合には、単位片床材2と型板7の位置合わせが完了した後に、型板7の輪郭のうち敷設線図6に対応した部分に沿って単位片床材2を切断して1枚の敷設床材8を得てから、単位片床材2の残りの部分に型板7を再度位置合わせして、単位片床材2を切断して敷設床材8を得る。
【0044】
図9に示す四角型板73を用いて床材を切断した場合には、1枚の単位片床材2から、四角形状の四角敷設床材84(敷設床材8)が4枚形成される(図10参照)。また、図11(a)に示す小扇形型板74を用いて床材を切断した場合には、1枚の単位片床材2から扇形敷設床材81よりも中心角が小さい扇形の2枚の小扇形敷設床材85(敷設床材8)と、単位片床材2から小扇形敷設床材85を除いた残りの部分である隅敷設床材82(敷設床材8)と、が形成される(図11(b)参照)。
【0045】
(3)敷設工程は、形成された敷設床材8を床面Fに敷設する工程である。敷設工程では、形成された敷設床材8を、所望の組み合わせで床面Fに敷設することで、デザイン貼りをする工程である。前述のように、単位片床材2及び敷設床材8が、ポリ塩化ビニル樹脂及び可塑剤を含む構成であれば、柔軟性を付与でき、床面Fへの敷設や床面Fからの引き剥がしの際に敷設床材8が適度にしなるので、作業し易くなる。なお、この柔軟性とは、人力や自重で容易に曲げることができる程度をいう。
【0046】
例えば、図5に示す敷設例では、図4のように形成した扇形敷設床材81と隅敷設床材82を組み合わせて敷設している。図5(a)に示すように、4つの扇形敷設床材81を組み合わせて円形状に敷設し、その周りに4枚の隅敷設床材82を敷設することで、全体として正方形状となるように敷設床材8を敷設することができる。さらに、図5(b)に示すように、4枚の隅敷設床材82を中央部に敷設して、その周りに4枚の扇形敷設床材81を敷設することで全体として正方形状となるように敷設床材8を敷設することもできる。また、図5(c)に示すように、2枚の扇形敷設床材81と2枚の隅敷設床材82を組み合わせて、外縁が外向きに凸となる円弧と内向きに凸となる円弧の組み合わせとなるように敷設床材8を敷設することもできる。ここで、扇形敷設床材81の表面に形成される色彩や模様と隅敷設床材82の表面に形成される色彩や模様が同じであってもよく、色彩や模様が互いに異なるように配置してもよく、床面Fの意匠性を高める「デザイン貼り」ができる。同じ模様の敷設床材8を配置する場合であっても、平面視で様々な形状に敷設床材8を敷設することができ、また、模様の向きを互い違いに配置してより床面Fの意匠性を高めることもできる。色彩や模様が互いに異なる敷設床材8を配置する場合、平面視の形状に加え、より複雑な意匠を表すことができる。さらに、図5(a)~(c)に示すように、扇形敷設床材81と隅敷設床材82を組み合わせて敷設する場合に限らず、図6に示すように、4枚の単位片床材2と4枚の扇形敷設床材81を組み合わせて敷設することもできる。具体的には、複数の単位片床材2を全体として方形、具体的には正方形、となるように配置し、該方形の対辺部分に扇形敷設床材81を配置して、全体として長円形になる配置とすることもできる。このような配置において、単位片床材2と扇形敷設床材81の色彩や模様を互いに異なるようにすることもできる。なお、図6に示す敷設例では、単位片床材2と扇形敷設床材81が互いに同じ色彩や模様であっても、敷設された床材の形状によって床面Fの意匠性を高めることができる。
【0047】
図8に示す敷設例では、図7のように形成した複数の三角敷設床材83を組み合わせて敷設している。2枚の三角敷設床材83同士を平行四辺形状になるように組み合わせて、該組み合わせられた敷設床材8を8枚配置している。このような場合には、例えば、図8に示すように、中央部分から外側に放射状に広がるように配置することもできるし、前記平行四辺形を縦一列や横一列に並べることもできる。このような場合において、平行四辺形状に組み合わせられる三角敷設床材83の表面に形成される色彩や模様同じであってもよく、色彩や模様がそれぞれ異なるように配置してもよく、床面Fの意匠性を高める「デザイン貼り」ができる。
【0048】
図10に示す敷設例では、図9のように形成した複数の四角敷設床材84を組み合わせて敷設している。4枚の四角敷設床材84同士を正方形状になるように組み合わせて、該組み合わせられた敷設床材8を複数配置している。このような場合において、正方形状に組み合わせられる四角敷設床材84の表面に形成される色彩や模様をそれぞれ異なるように配置することで、床面Fの意匠性を高める「デザイン貼り」ができる。また、図10に示すように、正方形状に組み合わせられた四角敷設床材84を1単位として、複数単位を並べて敷設することもできる。このような場合に、単位ごとに四角敷設床材84の表面に形成される色彩や模様の組み合わせを変えることもできる。
【0049】
図12に示す敷設例では、図11のように形成した小扇形敷設床材85及び隅敷設床材82を複数枚組み合わせて敷設している。図12(a)に示すように、8枚の小扇形敷設床材85を組み合わせて円形状に敷設し、その周りに4枚の隅敷設床材82を敷設することで、全体として正方形状となるように敷設床材8を敷設することができる。さらに、図12(b)に示すように、4枚の隅敷設床材82を中央部に敷設して、その周りに8枚の小扇形敷設床材85を敷設することもできる。ここで、小扇形敷設床材85の表面に形成される色彩や模様と隅敷設床材82の表面に形成される色彩や模様が異なるように配置することで、床面Fの意匠性を高める「デザイン貼り」ができる。特に、隣り合う小扇形床材の表面に形成される色彩や模様を互いに異なるように配置することができるので、扇形敷設床材81を敷設する場合と比べて、床面Fの意匠の選択の余地が広がる。
【0050】
図13は、複数の敷設床材8を床面Fへ敷設したときの側面図である。敷設床材8を敷設した場合に、隣り合う敷設床材8同士の端面8a間に隙間が形成される場合がある。この隙間は、例えば、単位片床材2を切断する際に形成される歪みや凹凸に起因生じるものであり、プロの施工職人ではない一般消費者が切断することで発生し易くなる。また、直線輪郭よりも曲線輪郭のほうが、歪みや凹凸が生じやすくなる。ここで、敷設床材8は、表面にパイル23が延出しているので、延出したパイル23によって、隙間部分が覆われて、結果として隙間部分を隠すことができる。よって、隙間部分から床面Fが露出して意匠性を損ねることを抑制できる。
【0051】
以上のような構成の梱包体1及び床材の敷設方法によれば、輪郭部4を用いて梱包箱3から型板7を切り出し、型板7を用いて単位片床材2を切断して敷設床材8を形成することができるので、単位片床材2をカットして敷設床材8を得やすい。
【0052】
また、輪郭部4は、単位片床材2の外縁に対応した輪郭を示す外縁線図5を備えるので、単位片床材2に対応した形状の型板7を構成面部31から切り出しやすくなる。
【0053】
さらに、直線輪郭61は、互いに交差するように複数設けられるので、複数の直線輪郭61を組み合わせて所望の形状の型板7を切り出しやすい。特に、上記実施形態のように、各直線輪郭61が一点で交差する場合には、複数の直線輪郭61を組み合わせやすいので、所望の形状の型板7を切り出しやすい。
【0054】
また、単位片床材2(及び敷設床材8)は、上方に延出するパイル23を備えるので、敷設床材8を床面Fに敷設した際に形成された隙間をパイル23で隠すことができる。よって、隙間部分から床面Fが露出して意匠性を損ねることを抑制できる。即ち、本実施形態の梱包体1及び床材の敷設方法では、一般消費者が容易に単位片床材2を切断して敷設床材8を形成することができるようになり、しかも、敷設床材8を形成する際に生じた歪みなどによって、床面Fが露出することをパイル23で抑制できるので、簡単かつきれいにデザイン張りができるようになる。
【0055】
さらに、輪郭部4は、構成面部31に印刷されているので、型板7を切り出す際に輪郭部4が構成面部31に対してずれることがない。よって、輪郭部4のずれに起因して型板7の輪郭がずれることを抑制できる。また、輪郭部4は構成面部31の表面に印刷されているので、構成面部31から型板7を切り出す際に、梱包箱3を展開したり分解したりせずに型板7を切り出すことができる。よって、型板7を切り出しやすい。
【0056】
次に、本発明の他の実施形態に係る梱包体及び床材の敷設方法について説明する。第一の実施形態と共通する構成には、同一の符号を付して同じ説明を繰り返さない。なお、以下に示す各実施形態では、輪郭部4の構成が第一の実施形態と異なる。
【0057】
図14及び図15に示すように、第二の実施形態にかかる梱包体1は、敷設線図6として、直線輪郭61である隣接辺直線61Cを備える。また、本実施形態の輪郭部4は、基本図形としての六角形が記載された第一基本輪郭4A1である。
【0058】
隣接辺直線61Cは、一の外縁辺51の中途部分から外縁角52を介して隣り合う他の外縁辺51の中途部分に延びる直線である。具体的に、隣接辺直線61Cは、第一の外縁辺51から第三の外縁辺51に延びる第一隣接辺直線61C1と、第二の外縁辺51から第三の外縁辺51に延びる第二隣接辺直線61C2と、第一の外縁辺51から第四の外縁辺51に延びる第三隣接辺直線61C3と、第二の外縁辺51から第四の外縁辺51に延びる第四隣接辺直線61C4と、を備える。第一隣接辺直線61C1及び第二隣接辺直線61C2は、第一の外縁辺51及び第二の外縁辺51において、中央部よりも第三の外縁辺51寄りに位置している。また、第一隣接辺直線61C1及び第二隣接辺直線61C2は、第三の外縁辺51上で交差し、本実施形態では第三の外縁辺の中途部分で交差する。第三隣接辺直線61C3及び第四隣接辺直線61C4は、第一の外縁辺51及び第二の外縁辺51において、中央部よりも第四の外縁辺51寄りに位置している。また、第三隣接辺直線61C3及び第四隣接辺直線61C4は、第四の外縁辺51上で交差し、本実施形態では第四の外縁辺の中途部分で交差する。本実施形態では、各隣接辺直線61Cの長さは等しい。
【0059】
以上のような構成の梱包体1を用いて床材を敷設する場合には、まず、(1)型板切り出し工程として、梱包箱3の構成面部31を、外縁辺51及び隣接辺直線61Cに沿って切断し、六角形状の型板7(図示しない)を得る。
【0060】
次に、(2)床材切断工程として、六角形状の型板7を単位片床材2にあてがい、単位片床材2を、六角形状の型板7の輪郭に沿って切断する。六角形状の型板7を単位片床材2にあてがう際には、型板7のうち、第一の外縁辺51及び第二の外縁辺51に沿う部分を単位片床材2の外縁に合わせることで、型板7の単位片床材2に対する位置合わせがなされる。図15に示すように、型板7の位置合わせが完了した後に単位片床材2が切断されて、六角形状の六角敷設床材86が形成される。
【0061】
そして、図15に示すように、(3)敷設工程として、六角敷設床材86を床面に敷設する。六角敷設床材86を床面に敷設する場合には、六角敷設床材86のうち、外縁辺51に沿う部分同士が隣合い、隣接辺直線61Cに沿う部分同士が隣り合うように敷設する。ここで、隣り合う六角敷設床材86の表面に形成される色彩や模様が同じであってもよく、色彩や模様が互いに異なるように配置してもよい。このように貼ることで、全体として床面Fの意匠性を高める「デザイン貼り」ができる。同じ色彩や模様の床材を敷設する場合であっても、床材を全体としてハニカム形状にすることができ、床面Fの意匠性を高めることができる。また、単位片床材2(及び敷設床材8)は、上方に延出するパイル23を備えるので、敷設床材8を床面Fに敷設した際に形成された隙間をパイル23で隠すことができる。よって、敷設床材8同士の隙間によって意匠性が損なわれることを抑制できる。
【0062】
図16に示すように、第三の実施形態の梱包体1は、敷設線図6として、直線輪郭61である正六角形輪郭63を備える。また、本実施形態の輪郭部4は、基本図形としての正六角形が記載された第二基本輪郭4A2である。
【0063】
正六角形輪郭63は、外縁線図5に囲まれた範囲内に形成された正六角形状の線図である。本実施形態で、正六角形輪郭63は、形成される正六角形の対向する1対の頂点部631のそれぞれが、対向する外縁辺51上(第一の外縁辺51上及び第二の外縁辺51上)に位置するように形成されている。また、正六角形輪郭63は、頂点部631以外の部分において外縁線図5と接していない。
【0064】
以上のような構成の梱包体1を用いて床材を敷設する場合には、まず、(1)型板切り出し工程として、梱包箱3の構成面部31を、正六角形輪郭63に沿って切断し、正六角形状の型板7(図示しない)を得る。このとき、頂点部631が外縁辺51上に位置しているので、切出板を外縁辺51から切断することができる。よって、正六角形状の型板を得やすい。
【0065】
次に、(2)床材切断工程として、正六角形状の型板7を単位片床材2にあてがい、単位片床材2を、六角形状の型板7の輪郭に沿って切断する。六角形状の型板7を単位片床材2にあてがう際には、型板7のうち、頂点部631に対応する部分を単位片床材2の外縁に合わせることで、型板7の単位片床材2に対する位置合わせがなされる。型板7の位置合わせが完了した後に単位片床材2が切断されて、正六角形状の敷設床材8(正六角敷設床材)が形成される。
【0066】
そして、(3)敷設工程として、敷設床材8を床面に敷設する。敷設床材8(正六角敷設床材)を床面に敷設する場合には、敷設床材8(正六角敷設床材)の辺同士が隣り合うように敷設する。ここで、隣り合う敷設床材8の表面に形成される色彩や模様が同じであってもよく、色彩や模様が互いに異なるように配置してもよい。このように貼ることで、全体として床面Fの意匠性を高める「デザイン貼り」ができる。同じ色彩や模様の床材を敷設する場合であっても、床材を全体としてハニカム形状にすることができ、床面Fの意匠性を高めることができる。また、単位片床材2(及び敷設床材8)は、上方に延出するパイル23を備えるので、敷設床材8を床面Fに敷設した際に形成された隙間をパイル23で隠すことができる。よって、敷設床材8同士の隙間によって意匠性が損なわれることを抑制できる。
【0067】
図17に示すように、第四の実施形態における梱包体1は、敷設線図6として、一対の対辺直線61Bを備える。対辺直線61Bの構成は、第一の実施形態と同様である。また、本実施形態の輪郭部4は、基本図形としての不等辺四角形が記載された第三基本輪郭4A3である。
【0068】
以上のような構成の梱包体1を用いて床材を敷設する場合には、第一の実施形態における四角敷設床材84を敷設する方法と同様にする。具体的には、(1)型板切り出し工程にて四角型板73を切り出し、(2)床材切断工程で四角型板73に沿って単位片床材2を切断して四角敷設床材84を得る。そして、(3)敷設工程で四角敷設床材84を敷設する。なお、四角敷設床材84を敷設する場合には、例えば、図10に示すように床面Fに四角敷設床材84を敷設することもできる。また、図18に示すように、四角敷設床材84を互い違いの向きとなるように敷設することもできる。このような配置によれば、敷設床材8を全体として異形となるように配置できるので、意匠性が高まる。また、単位片床材2(及び敷設床材8)は、上方に延出するパイル23を備えるので、敷設床材8を床面Fに敷設した際に形成された隙間をパイル23で隠すことができる。よって、敷設床材8同士の隙間によって意匠性が損なわれることを抑制できる。
【0069】
また、図19に示すように、第五実施形態における梱包体1は、敷設線図6として、直線輪郭61である1本の角直線61A及び2本の垂直直線61Dを備える。角直線61Aの構成は、第一の実施形態と同様である。また、本実施形態の輪郭部4は、基本図形としての小三角形及び台形が記載された第四基本輪郭4A4である。
【0070】
垂直直線61Dは、外縁辺51に対して垂直に延びる直線であり、一の外縁辺から対向する外縁辺までの途中部分まで延びる。本実施形態の垂直直線61Dは、第一の外縁辺51に対して垂直に延びる第一垂直直線61D1と、第一の外縁辺51と外縁角52を介して隣り合う外縁辺(第四の外縁辺51)に対して垂直に延びる第二垂直直線61D2と、を備える。本実施形態で第一垂直直線61D1及び第二垂直直線61D2は、外縁辺51の中央部分から延びるように構成されており、第一垂直直線61D1及び第二垂直直線61D2が外縁線図5で囲まれる領域の中央において交差する。なお、第一垂直直線61D1及び第二垂直直線61D2は、外縁線図5で囲まれる領域の中央において角直線61Aとも交差する。
【0071】
以上のような構成の梱包体1を用いて床材を敷設する場合には、まず、(1)型板切り出し工程として、梱包箱3の構成面部31を、外縁辺51、角直線61A及び垂直直線61Dに沿って切断し、小三角形状と台形状の型板7(図示しない)を得る。
【0072】
次に、(2)床材切断工程として、小三角形状と台形状の型板7を単位片床材2にあてがい、単位片床材2を、小三角形状と台形状の型板7の輪郭に沿って切断する。型板7を単位片床材2にあてがう際には、型板7のうち、外縁辺51に沿う部分を単位片床材2の外縁に合わせることで、型板7の単位片床材2に対する位置合わせがなされる。型板7の位置合わせが完了した後に単位片床材2が切断されて、2枚の小三角形状の小三角敷設床材87と2枚の台形状の台形敷設床材88が形成される(図20参照)。
【0073】
そして、図20に示すように、(3)敷設工程として、小三角敷設床材87と台形敷設床材88を床面に敷設する。2枚の小三角敷設床材87と2枚の台形敷設床材88を正方形状になるように組み合わせて、該組み合わせられた敷設床材8を複数配置している。このような場合において、正方形状に組み合わせられる2枚の小三角敷設床材87と2枚の台形敷設床材88の表面に形成される色彩や模様をそれぞれ異なるように配置することで、床面Fの意匠性を高める「デザイン貼り」ができる。また、正方形状に組み合わせられた敷設床材8を1単位として、複数単位を並べて敷設することもできる。このような場合に、単位ごとに敷設床材8の表面に形成される色彩や模様の組み合わせを変えることもできる。また、単位片床材2(及び敷設床材8)は、上方に延出するパイル23を備えるので、敷設床材8を床面Fに敷設した際に形成された隙間をパイル23で隠すことができる。よって、敷設床材8同士の隙間によって意匠性が損なわれることを抑制できる。
【0074】
図21に示すように、第六の実施形態における梱包体1は、敷設線図6として、複数の基本図形が形成された複合輪郭4Bである。本実施形態の敷設線図6は、第一基本輪郭4A1と、第三基本輪郭4A3と、第四基本輪郭4A4を重ね合わせて形成されている。
【0075】
以上のような構成の梱包体1を用いて床材を敷設する場合には、(1)型板切り出し工程において、単位片床材2を切断する作業者がどのような形状の型板7を得るかを選択し、その形状の型板7を得られるように選択された1又は複数の線に沿って、切出板を切断して、所望の型板7を得る。敷設線図6として、複数の基本図形が記載されているので、作業者は、1つの輪郭部4から所望の形状の型板7を得やすい。型板7を得た後の手順((2)床材切断工程及び(3)敷設工程)は上記各実施形態と同様である。
【0076】
図22に示すように、第七の実施形態における梱包体1は、敷設線図6として、複数の基本図形が形成された複合輪郭4Bである。本実施形態の敷設線図6は、第一基本輪郭4A1と、第三基本輪郭4A3と、第四基本輪郭4A4を重ね合わせて形成されている。また、本実施形態では、各基本輪郭が異なる線種で記載されている。具体的に、第一基本輪郭4A1は破線で記載され、第三基本輪郭4A3は第一基本輪郭4A1の破線と線の間隔が異なる破線で記載され、第四基本輪郭4A4は実線で記載される。
【0077】
このような構成の梱包体1を用いて床材を敷設する方法は、第六の実施形態と同様である。ここで、基本輪郭毎に異なる線種で記載されているので、作業者が所望の形状の型板7を得るために切断すべき箇所を把握しやすい。
【0078】
図23に示すように、第八の実施形態における梱包体1は、敷設線図6として、複数の基本図形が形成された複合輪郭4Bである。本実施形態の敷設線図6は、第二基本輪郭4A2と、第三基本輪郭4A3と、第四基本輪郭4A4を重ね合わせて形成されている。
【0079】
以上のような構成の梱包体1を用いて床材を敷設する場合には、(1)型板切り出し工程において、単位片床材2を切断する作業者がどのような形状の型板7を得るかを選択し、その形状の型板7を得られるように選択された1又は複数の線に沿って、切出板を切断して、所望の型板7を得る。敷設線図6として、複数の基本図形が記載されているので、作業者は、1つの輪郭部4から所望の形状の型板7を得やすい。型板7を得た後の手順((2)床材切断工程及び(3)敷設工程)は上記各実施形態と同様である。
【0080】
図24に示すように、第九の実施形態における梱包体1は、敷設線図6として、複数の基本図形が形成された複合輪郭4Bである。本実施形態の敷設線図6は、第二基本輪郭4A2と、第三基本輪郭4A3と、第四基本輪郭4A4を重ね合わせて形成されている。また、本実施形態では、各基本輪郭が異なる線種で記載されている。具体的に、第二基本輪郭4A2は破線で記載され、第三基本輪郭4A3は第二基本輪郭4A2の破線と線の間隔が異なる破線で記載され、第四基本輪郭4A4は実線で記載される。
【0081】
このような構成の梱包体1を用いて床材を敷設する方法は、第八の実施形態と同様である。ここで、基本輪郭毎に異なる線種で記載されているので、作業者が所望の形状の型板7を得るために切断すべき箇所を把握しやすい。
【0082】
図25に示すように、第十の実施形態における梱包体1は、敷設線図6として、複数の基本図形が形成された複合輪郭4Bである。本実施形態の敷設線図6は、第三基本輪郭4A3と第四基本輪郭4A4を重ね合わせて形成されている。
【0083】
以上のような構成の梱包体1を用いて床材を敷設する場合には、(1)型板切り出し工程において、単位片床材2を切断する作業者がどのような形状の型板7を得るかを選択し、その形状の型板7を得られるように選択された1又は複数の線に沿って、切出板を切断して、所望の型板7を得る。敷設線図6として、複数の基本図形が記載されているので、作業者は、1つの輪郭部4から所望の形状の型板7を得やすい。型板7を得た後の手順((2)床材切断工程及び(3)敷設工程)は上記各実施形態と同様である。
【0084】
図26に示すように、第十一の実施形態における梱包体1は、敷設線図6として、複数の基本図形が形成された複合輪郭4Bである。本実施形態の敷設線図6は、第三基本輪郭4A3と第四基本輪郭4A4を重ね合わせて形成されている。また、本実施形態では、各基本輪郭が異なる線種で記載されている。具体的に、第三基本輪郭4A3は破線で記載され、第四基本輪郭4A4は実線で記載される。
【0085】
このような構成の梱包体1を用いて床材を敷設する方法は、第十の実施形態と同様である。ここで、基本輪郭毎に異なる線種で記載されているので、作業者が所望の形状の型板7を得るために切断すべき箇所を把握しやすい。
【0086】
さらに、図27に示すように、本発明の第十二の実施形態として、梱包箱3の側面部33に輪郭部4を設ける形態を採用することもできる。具体的に、輪郭部4は、外縁辺51として単位片床材2の一辺の長さに一致した長さの一対の外縁長辺51L、及び、単位片床材2の一辺の長さよりも短い一対の外縁短辺51Sを有する外縁線図5を備える。本実施形態の外縁線図5は、長方形状であり、具体的には、一対の外縁長辺51L同士が対向し、一対の外縁短辺51S同士が対向するとともに、外縁長辺51Lと外縁短辺51Sが直交するように配置されている。
【0087】
本実施形態の敷設線図6は、一対の外縁短辺51Sに亘って延びるように設けられた線である。具体的に、敷設線図6は、直線を組み合わせて構成された直線輪郭61と、曲線を組み合わせて構成された曲線輪郭62と、を備える。本実施形態では、直線輪郭61と曲線輪郭62の線種が異なり、具体的に、直線輪郭61は破線であり、曲線輪郭62は実線である。直線輪郭61は、三角形状の輪郭が外縁長辺51Lの延伸方向に複数並ぶように設けられた直線である。曲線輪郭62は、半円形状の輪郭が外縁長辺51Lの延伸方向に複数並ぶように設けられた曲線である。
【0088】
以上のような梱包体1を用いて、床材を敷設する方法について図28及び図29を参照して説明する。型板切出工程では、図27に示すように、外縁線図5及び敷設線図6(例えば曲線輪郭62)に沿って側面部33を切断して型板7を切り出す。
【0089】
床材切断工程では、型板7を用いて単位片床材2を切断する。図28(a)に示すように、単位片床材2を切断する際には、一の外縁長辺51Lが単位片床材2の一辺と一致するように、型板7を単位片床材2の端部に配置する。そして、型板7の外縁のうち敷設線図6に沿う部分に沿って単位片床材2を切断して敷設床材8を形成する。
【0090】
敷設工程では、形成した敷設床材8を床面Fに敷設する。図29に示すように、敷設床材8を敷設する場合には、例えば、単位片床材2を床面Fに敷設し、その周囲に敷設床材8を敷設することができる。このように配置することで、床面Fに配置された床材の輪郭を半円が並んだ形状とできるので、床面Fの意匠性を高める「デザイン貼り」ができる。具体的には、2枚の敷設床材8と4枚の単位片床材2を組み合わせて敷設し、敷設床材8の上側と下側に配置された敷設床材8によって、蛇行した縁取りが形成され、美観が向上する。また、敷設床材8は、床材切断工程にてカットされているが、表面にパイル23が延出しているので、一般消費者によるカットが多少ズレたとしても、パイル23で隠蔽することができ、美観の低下を抑制することができる。つまり、床材切断工程にてカットされた切断箇所である蛇行した縁取り部分について、カットの際に小さな凹凸が形成されたとしても、その凹凸をパイル23で隠蔽できるので、敷設床材8を床面Fに敷設した際に、形成された凹凸によって違和感が生じることを抑制できる。
【0091】
以上、本発明の各実施形態について例を挙げて説明したが、本発明は前記各実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々の変更を加えることができる。
【0092】
例えば、梱包箱3は紙製の段ボールで構成される場合について説明したが、このような構成に限らず、樹脂等で構成することもできる。紙製の段ボールは、軽量でカットし易いので型板を容易に形成でき、また、適度な厚みを有するので型板にカッタを添わせて床材を容易に切断できるので、好ましい。また、樹脂製の段ボールの場合、透明や半透明の材料を用いると型板から単位片床材が透けて見えるので、床材切断工程での作業性が向上する。さらに、梱包箱3、具体的には構成面部31、を、カッタの刃の側面を押し当てたとしても潰れない程度の剛性を有する材料(段ボールや厚みのある樹脂材料等)で構成することで、型板7で単位片床材2を複数回切断したとしても、切断する際に型板7の外縁部にかかる力で型板7が変形することを抑制できる。よって、1つの型板7で単位片床材2を複数回切断できる。また、梱包箱3の形状も、図示した形状に限らず、任意の形状とすることができる。
【0093】
また、輪郭部4は、構成面部31の外面に印刷されている場合について説明したが、このような構成に限らず、例えば、梱包箱3の内面に印刷された構成とすることや、梱包箱3とは別体として構成することもできる。例えば、梱包箱3に梱包される紙や、単位片床材2に設けられる離型紙に外縁線図5及び敷設線図6が記載される構成とすることもできる。特に、迅速かつ容易にカットして型板を作成できることから、輪郭部4が梱包箱3の外側又は内側に印刷されている構成が好ましい。さらに、輪郭部4が構成面部31の外面に印刷されている構成が特に好ましく、消費者にデザイン貼りが容易にできることを訴求することができる。また、例えば、輪郭部4を単位片床材2に設けられる離型紙に記載することもできる。このような場合には、離型紙の外縁で単位片床材2の外縁に対応した輪郭を示すこともできる。即ち、輪郭部4は、単位片床材2の外縁に対応した輪郭を示す種々の構成(外縁表示部)を採用でき、その一例として外縁線図5を備える構成を挙げることができる。
【0094】
さらに、構成面部31のうち、対向面部32から型板7を切り出す場合(第一~第十一実施形態)や、側面部33から型板7を切り出す場合(第十二実施形態)について説明したが、このような構成に限らず、フラップ部34から型板7を切り出すように構成することもできる。
【0095】
また、外縁線図5は、単位片床材2の外縁に対応した形状の枠である場合について説明したが、このような構成に限らない。例えば、外縁辺51を有さず、外縁角52のみを有する構成とすることもできる。このような構成であっても、単位片床材2の外縁に対応した輪郭を示すことができる。
【0096】
さらに、単位片床材2は、表面にパイル23が延出する構成について説明したが、表面にパイルを有さない構成でもよい。表面にパイルを有さない構成としては、例えば、表面が略平坦な板状の樹脂で構成された床材や、表面が織布で構成された織床材等が挙げられる。特に、表面にパイル23が延出する構成であれば、床材切断工程にて敷設床材のカットのずれなどに起因して敷設工程で敷設床材の同士の端面8a間に隙間が形成されたとしても、該隙間をパイル23で埋めることができる。
【0097】
また、敷設線図6として複数の例を挙げて説明したが、上記例以外の構成を採用することもできる。例えば、敷設線図6として直線輪郭61が1つだけ設けられる構成とすることもできるし、直線と曲線を組み合わせた図形を敷設線図6として記載することもできる。
【0098】
また、梱包箱3は、上部が開閉可能に構成される場合について説明したが、このような構成に限らない。例えば、梱包箱3は、対向面部32が側面部33を中心に内面同士が離間するように回動することで開閉できる構成や、構成面部31同士が接着されており、開閉不能であり、構成面部31の一面に孔をあけて収容された単位片床材2を取出し可能とされた構成など、種々の構成を採用できる。また、このような構成の梱包箱3では、フラップ部34を備えない構成とすることもできる。即ち、梱包箱3は、内部に単位片床材2を収容可能かつ取出し可能な種々の構成を採用できる。さらに、梱包箱3の形状、例えば、対向面部32と側面部33の大きさの比率も、図示した比率に限定されない。
【符号の説明】
【0099】
1…梱包体、2…単位片床材、21…バッキング層、22…基布、23…パイル、3…梱包箱、31…構成面部、32…対向面部、33…側面部、34…フラップ部、4…輪郭部、5…外縁線図、51…外縁辺、51L…外縁長辺、51S…外縁短辺、52…外縁角、6…敷設線図、61…直線輪郭、61A…角直線、61A1…第一角直線、61A2…第二角直線、61B…対辺直線、61B1…第一対辺直線、61B2…第二対辺直線、62…曲線輪郭、7…型板、71…扇形型板、72…三角型板、73…四角型板、74…小扇形型板、8…敷設床材、81…扇形敷設床材、82…隅敷設床材、83…三角敷設床材、84…四角敷設床材、85…小扇形敷設床材
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