(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024170059
(43)【公開日】2024-12-06
(54)【発明の名称】熱交換器、空調装置用室内機、空調装置、及びそれらの製造方法
(51)【国際特許分類】
F28F 9/02 20060101AFI20241129BHJP
【FI】
F28F9/02 301Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】16
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023087013
(22)【出願日】2023-05-26
(71)【出願人】
【識別番号】000006013
【氏名又は名称】三菱電機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100095407
【弁理士】
【氏名又は名称】木村 満
(74)【代理人】
【識別番号】100131152
【弁理士】
【氏名又は名称】八島 耕司
(74)【代理人】
【識別番号】100147924
【弁理士】
【氏名又は名称】美恵 英樹
(74)【代理人】
【識別番号】100148149
【弁理士】
【氏名又は名称】渡邉 幸男
(74)【代理人】
【識別番号】100181618
【弁理士】
【氏名又は名称】宮脇 良平
(74)【代理人】
【識別番号】100174388
【弁理士】
【氏名又は名称】龍竹 史朗
(72)【発明者】
【氏名】宮川 幸大
(72)【発明者】
【氏名】松本 武巳
(72)【発明者】
【氏名】遠原 晃一
(72)【発明者】
【氏名】福田 一紀
(57)【要約】
【課題】ヘッダ及び背後板を小型に実現することができる熱交換器、空調装置用室内機、空調装置、及びそれらの製造方法を提供する。
【解決手段】熱交換器において、固定具180Aは、ヘッダ170を背後板110に押し付けることにより、ヘッダ170を背後板110に固定している。ヘッダ170は、周壁部146を有する。周壁部146は、外部に面する外周面146aと、共通空間143a及び144aに面する内周面146bとを有する。固定具180Aの、X軸方向に関して背後板110からヘッダ170に向かう方である前方の端部は、ヘッダ170の、前方に位置する前端面に接している。固定具180Aは、X軸方向に背後板110へ投影した場合の固定具投影領域が、周壁部占有領域と重なりを有するか、又は固定具投影領域が前記周壁部占有領域と隣り合っている位置に配置されている。
【選択図】
図6
【特許請求の範囲】
【請求項1】
各々熱媒体が流れる複数の伝熱管と、
複数の前記伝熱管に貫かれた状態で、複数の前記伝熱管に固定された背後板と、
前記背後板を貫いている複数の前記伝熱管の各々の端部が挿入される挿入口で構成される挿入口群と、外部配管が接続される端部口とが開口しており、前記挿入口群のうちの少なくとも一部の複数の前記挿入口で構成される第1挿入口群と前記端部口とを連通させる接続流路であって、前記第1挿入口群と連通した共通空間を含む接続流路を内部に画定しているヘッダと、
複数の前記伝熱管の前記端部が前記挿入口群に挿入されている状態で、前記端部の長さ方向に平行な方向であるX軸方向に、前記ヘッダを前記背後板に押し付けることにより、前記ヘッダを前記背後板に固定している固定具と、
を備え、
前記ヘッダは、
外部に面する外周面と、前記共通空間に面する内周面とを有する周壁部であって、前記外周面を前記X軸方向に前記背後板へ投影した場合の外周輪郭線と、前記内周面を前記X軸方向に前記背後板へ投影した場合の内周輪郭線とで囲まれた周壁部占有領域が、前記挿入口群に挿入されている複数の前記伝熱管を取り囲む周回形状をもつ周壁部、
を有し、
前記固定具の、前記X軸方向に関して前記背後板から前記ヘッダに向かう方である前方の端部は、前記ヘッダの、前記前方に位置する前端面に接しており、
前記固定具は、前記X軸方向に前記背後板へ投影した場合の固定具投影領域が前記周壁部占有領域と重なりを有するか、又は前記固定具投影領域が前記周壁部占有領域と隣り合っている位置に配置されている、
熱交換器。
【請求項2】
前記ヘッダは、
前記挿入口群が開口しているとともに、前記挿入口に挿入された前記伝熱管の外面と、該挿入口の周縁との間を封止する弾性シール部材が配置される弾性シール部材配置空間を画定している後方ヘッダ本体と、
前記後方ヘッダ本体よりも前記前方に配置され、前記端部口が開口しているとともに、前記共通空間を画定している前方ヘッダ本体と、
を有する、請求項1に記載の熱交換器。
【請求項3】
前記挿入口群には、前記第1挿入口群の他に、前記接続流路との連通が断たれた複数の前記挿入口で構成される第2挿入口群が含まれており、
前記ヘッダは、
前記後方ヘッダ本体と前記前方ヘッダ本体との間に配置された中間ヘッダ本体、
をさらに有し、
前記中間ヘッダ本体には、
前記第1挿入口群を前記共通空間と連通させる連通路群と、
前記第2挿入口群に含まれる一対の前記挿入口どうしを、前記連通路群とは独立して連通させる折り返し部と、
が形成されている、請求項2に記載の熱交換器。
【請求項4】
前記ヘッダは、
前記接続流路を画定しているヘッダ本体と、
前記ヘッダ本体よりも前記前方において前記前端面を構成しており、前記背後板との間に前記ヘッダ本体を挟み込んでいる補強板と、
を有する、請求項1に記載の熱交換器。
【請求項5】
前記周壁部には、前記X軸方向に貫通した固定具挿通孔、又は前記X軸方向に延在する固定具配置溝が形成されており、
前記固定具は、
前記前端面に接している、前記前方の前記端部を構成している頭部と、
前記頭部から前記背後板に向かって前記X軸方向に延びている軸部であって、前記固定具挿通孔に挿通されているか、又は前記固定具配置溝に配置されており、前記X軸方向に関して前記ヘッダから前記背後板に向かう方である後方の端部が前記背後板に連結されている軸部と、
を有する、請求項1から4のいずれか1項に記載の熱交換器。
【請求項6】
前記挿入口群は、前記X軸方向に直角なZ軸方向に複数の前記挿入口が並ぶ列を少なくとも1列構成しており、
前記列から選択される、前記Z軸方向に隣り合う一対の前記挿入口の脇に、前記固定具挿通孔又は前記固定具配置溝が配置されており、該固定具挿通孔又は該固定具配置溝の前記Z軸方向の位置は、一対の前記挿入口の一方の前記Z軸方向の位置と、他方の前記Z軸方向の位置との間である、
請求項5に記載の熱交換器。
【請求項7】
前記周壁部は、
前記外周面から前記内周面に向かう壁厚方向内方に隆起していることにより、局所的に厚肉化された厚壁部、
を有し、
前記厚壁部に前記固定具挿通孔又は前記固定具配置溝が形成されている、
請求項6に記載の熱交換器。
【請求項8】
前記軸部は、
前記頭部から前記後方に延びた大径部と、
前記大径部よりも外径が小さい小径部であって、前記大径部から前記後方に延びており、前記背後板にねじ込まれる雄螺子部を有する小径部と、
前記大径部と前記小径部との境に位置するストッパ面と、
を有し、
前記背後板又は前記ヘッダは、
前記ストッパ面が当たる座ぐり面、
を有する、請求項5に記載の熱交換器。
【請求項9】
前記固定具は、
前記ヘッダと前記背後板とを前記X軸方向に弾性的に挟み込むクリップ、
である、請求項1から4のいずれか1項に記載の熱交換器。
【請求項10】
請求項1に記載の熱交換器で構成された室内熱交換器と、
前記室内熱交換器に、空気調和の対象とする空間の空気を通過させる室内ファンと、
を備える、空調装置用室内機。
【請求項11】
請求項10に記載の空調装置用室内機と、
冷凍サイクルを用いて前記熱媒体の温度を調整する協働機器と、
を備える、空調装置。
【請求項12】
各々熱媒体が流れる複数の伝熱管と、
複数の前記伝熱管に貫かれた状態で、複数の前記伝熱管に固定された背後板と、
前記背後板を貫いている複数の前記伝熱管の各々の端部が挿入される挿入口で構成される挿入口群と、外部配管が接続される端部口とが開口しており、前記挿入口群のうちの少なくとも一部の複数の前記挿入口で構成される第1挿入口群と前記端部口とを連通させる接続流路であって、前記第1挿入口群と連通した共通空間を含む接続流路を内部に画定しているヘッダと、
複数の前記伝熱管の前記端部が前記挿入口群に挿入されている状態で、前記端部の長さ方向に平行な方向であるX軸方向に、前記ヘッダを前記背後板に押し付けることにより、前記ヘッダを前記背後板に固定している固定具と、
を備える熱交換器、を製造する熱交換器製造方法であって、
複数の前記伝熱管に前記背後板を固定する背後板固定工程と、
外部に面する外周面と、前記共通空間に面する内周面とを有する周壁部であって、前記ヘッダが前記固定具によって前記背後板に固定された場合に、前記外周面を前記X軸方向に前記背後板へ投影したときの外周輪郭線と、前記内周面を前記X軸方向に前記背後板へ投影したときの内周輪郭線とで囲まれた周壁部占有領域が、前記挿入口群に挿入される複数の前記伝熱管を取り囲む周回形状をもつ周壁部、を有する前記ヘッダを製造するヘッダ製造工程と、
前記X軸方向に関して前記背後板から前記ヘッダに向かう方である前方の端部が、前記ヘッダの、前記前方に位置する前端面に接しており、前記X軸方向に前記背後板へ投影した場合の固定具投影領域が前記周壁部占有領域と重なりを有するか、又は前記固定具投影領域が前記周壁部占有領域と隣り合っている位置に配置される前記固定具によって、前記ヘッダを前記背後板に固定するヘッダ固定工程と、
を含む、熱交換器製造方法。
【請求項13】
前記ヘッダは、
前記X軸方向に積層されることにより協働して前記接続流路を画定している第1ヘッダ本体及び第2ヘッダ本体、
を有し、
前記ヘッダ製造工程は、
前記第1ヘッダ本体と前記第2ヘッダ本体とを前記X軸方向に接合する接合工程、
を含む、請求項12に記載の熱交換器製造方法。
【請求項14】
前記第1ヘッダ本体及び前記第2ヘッダ本体は、樹脂で形成されており、
前記接合工程では、前記第1ヘッダ本体と前記第2ヘッダ本体とを、前記X軸方向に嵌合させた状態で、互いの摩擦で生じる摩擦熱によって溶着させる、
請求項13に記載の熱交換器製造方法。
【請求項15】
請求項12から14のいずれか1項に記載の熱交換器製造方法を用いて、
前記熱交換器を備え、屋内に配置される空調装置用室内機、
を製造する、空調装置用室内機製造方法。
【請求項16】
請求項15に記載の空調装置用室内機製造方法を用いて、
前記空調装置用室内機を備え、冷凍サイクルを用いて前記熱媒体の温度を調整する空調装置、
を製造する、空調装置製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、熱交換器、空調装置用室内機、空調装置、及びそれらの製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1に開示されているように、各々熱媒体が流れる複数の伝熱管と、それら複数の伝熱管に固定された背後板と、その背後板に固定されたヘッダとを備える熱交換器が知られている。
【0003】
ヘッダには、複数の伝熱管の各々が挿入される挿入口と、外部配管が接続される端部口とが開口している。また、ヘッダの内部には、複数の挿入口と端部口とに連通している接続流路が画定されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記熱交換器においてヘッダは、接続流路を画定している本体部とは別に、その本体部を背後板に固定するための専用のフランジ部を有する。そして、そのフランジ部を貫通する螺子によって、ヘッダが背後板に固定される。
【0006】
この構成においては、本体部から外方に張り出したフランジ部の存在が、特にヘッダ及び背後板の小型化を妨げる要因となっている。
【0007】
本開示の目的は、ヘッダ及び背後板を小型に実現することができる熱交換器、空調装置用室内機、空調装置、及びそれらの製造方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本開示に係る熱交換器は、複数の伝熱管、背後板、ヘッダ、及び固定具を備える。
複数の伝熱管の各々には熱媒体が流れる。
背後板は、複数の伝熱管に貫かれた状態で、複数の伝熱管に固定される。
ヘッダには、背後板を貫いている複数の伝熱管の各々の端部が挿入される挿入口で構成される挿入口群と、外部配管が接続される端部口とが開口している。ヘッダは、挿入口群のうちの少なくとも一部の複数の挿入口で構成される第1挿入口群と端部口とを連通させる接続流路であって、第1挿入口群と連通した共通空間を含む接続流路を内部に画定している。
固定具は、複数の伝熱管の端部が挿入口群に挿入されている状態で、その端部の長さ方向に平行な方向であるX軸方向に、ヘッダを背後板に押し付けることにより、ヘッダを背後板に固定している。
ヘッダは、周壁部を有する。周壁部は、外部に面する外周面と、共通空間に面する内周面とを有する。周壁部は、外周面をX軸方向に背後板へ投影した場合の外周輪郭線と、内周面をX軸方向に背後板へ投影した場合の内周輪郭線とで囲まれた周壁部占有領域が、挿入口群に挿入されている複数の伝熱管を取り囲む周回形状をもつ。
固定具の、X軸方向に関して背後板からヘッダに向かう方である前方の端部は、ヘッダの、前方に位置する前端面に接している。
固定具は、X軸方向に背後板へ投影した場合の固定具投影領域が周壁部占有領域と重なりを有するか、又は固定具投影領域が周壁部占有領域と隣り合っている位置に配置されている。
【発明の効果】
【0009】
上記構成によれば、接続流路を画定している周壁部が、ヘッダを背後板に押し付けるための力が作用する部材の役割を兼ねることができる。従って、ヘッダを背後板に固定するための専用のフランジをヘッダに設ける必要がない。このため、ヘッダ及び背後板を小型に実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】実施の形態1に係る空調装置の構成を示す概念図
【
図5】実施の形態1に係るヘッダ構造体の斜め前方からみた分解斜視図
【
図6】実施の形態1に係るヘッダ構造体の斜め後方からみた分解斜視図
【
図7】実施の形態1に係る周壁部占有領域及び固定具投影領域を示す概念図
【
図8】実施の形態1に係る室内熱交換器製造方法のフローチャート
【
図9】実施の形態1に係る空調装置製造方法のフローチャート
【
図10】実施の形態2に係る周壁部占有領域及び固定具投影領域を示す概念図
【
図11】実施の形態3に係る周壁部占有領域及び固定具投影領域を示す概念図
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、図面を参照し、実施の形態に係る空調装置について説明する。図中、同一又は対応する部分に同一の符号を付す。
【0012】
[実施の形態1]
図1に示すように、本実施の形態に係る空調装置300は、冷媒が循環する冷媒閉回路310を備える。冷媒閉回路310は、冷媒を用いて冷凍サイクルを構成する。
【0013】
具体的には、冷媒閉回路310は、冷媒を圧縮する圧縮機311と、圧縮された冷媒を凝縮させる凝縮器として機能する室外熱交換器312と、凝縮された冷媒を膨張させる膨張器313と、膨張された冷媒を蒸発させる蒸発器として機能する中継熱交換器314と、蒸発された冷媒の圧縮機311への戻りを許容する一方、蒸発しきれなかった液状の冷媒を捕捉する気液分離器315とを有する。
【0014】
また、冷媒閉回路310は、冷凍サイクルにおける冷媒の流れの向きを逆転させる四方弁316も有する。
図1には、室外熱交換器312が凝縮器として機能し、中継熱交換器314が蒸発器として機能する状態を例示した。四方弁316で冷媒の流れの向きを逆転させることができるので、室外熱交換器312は蒸発器としての機能も有し、中継熱交換器314は凝縮器としての機能も有する。
【0015】
また、空調装置300は、冷媒閉回路310とは独立した熱媒体閉回路320も備える。熱媒体閉回路320には、冷媒閉回路310を循環する冷媒とは異なる熱媒体が循環する。本実施の形態では、熱媒体として水が用いられる。
【0016】
熱媒体閉回路320は、既述の中継熱交換器314の内部を通っている温調部321を有する。つまり、中継熱交換器314は、冷媒閉回路310と熱媒体閉回路320とで共用される。
【0017】
また、熱媒体閉回路320は、空気調和の対象とする空間の空気(以下、内気という。)との間で熱交換を行う室内熱交換器200と、室内熱交換器200を温調部321とつなぐ流路である外部配管322と、外部配管322を通して室内熱交換器200と温調部321との間で熱媒体を循環させるポンプ323とを有する。
【0018】
また、空調装置300は、室外熱交換器312における冷媒と屋外の空気(以下、外気という。)との熱交換を促進する室外ファン330と、室内熱交換器200における熱媒体と上記内気との熱交換を促進する室内ファン340とを有する。室外ファン330は、室外熱交換器312を通過する外気の気流を形成する。室内ファン340は、室内熱交換器200を通過する内気の気流を形成する。
【0019】
中継熱交換器314は、冷媒閉回路310を循環する冷媒と、熱媒体閉回路320を循環する熱媒体との間で熱交換を行わせる。
【0020】
具体的には、中継熱交換器314が冷媒閉回路310において蒸発器として機能している場合、熱媒体閉回路320を循環する熱媒体は、温調部321において冷却される。この結果、冷却された熱媒体が室内熱交換器200を流れるので、空気調和の対象とする空間が冷房される。
【0021】
一方、中継熱交換器314が冷媒閉回路310において凝縮器として機能している場合、熱媒体閉回路320を循環する熱媒体は、温調部321において加熱される。この結果、加熱された熱媒体が室内熱交換器200を流れるので、空気調和の対象とする空間が暖房される。
【0022】
このように、冷媒閉回路310は、室内熱交換器200を流れる熱媒体の温度を、冷凍サイクルを用いて調整する協働機器の役割を果たす。
【0023】
以上説明した空調装置300の構成要素のうち、室内熱交換器200及び室内ファン340は、空気調和の対象とする空間である屋内に配置される空調装置用室内機300aを構成している。
【0024】
また、圧縮機311、室外熱交換器312、気液分離器315、室外ファン330、及び四方弁316は、屋外に配置される空調装置用室外機300bを構成している。
【0025】
また、膨張器313、温調部321を含む中継熱交換器314、及びポンプ323は、空調装置用中継機300cを構成している。空調装置用中継機300cは、屋内における、空気調和の対象とする空間から隔離された場所に設置される。
【0026】
本実施の形態に係る空調装置300は、室内熱交換器200の構成に最大の特徴を有する。そこで、以下、室内熱交換器200について説明する。なお、室内熱交換器200は、本開示に係る熱交換器の一例である。
【0027】
図2に、室内熱交換器200の概観を示す。室内熱交換器200は、フィン群210と、フィン群210に挿通された複数の伝熱管220と、複数の伝熱管220に固定されたヘッダ構造体100とを備える。複数の伝熱管220の各々を既述の熱媒体が流れる。
【0028】
フィン群210は、平面視においてC字状に延在している。フィン群210の一端においては、複数の伝熱管220の各々が折り返されている。複数の伝熱管220の各々の折り返し部221が、フィン群210の一端から突出している。
【0029】
一方、フィン群210の他端からは、複数の伝熱管220の各々の端部222が引き出されている。それら複数の伝熱管220の、フィン群210から引き出された端部222に、ヘッダ構造体100が固定されている。
【0030】
ヘッダ構造体100は、複数の伝熱管220の、ヘッダ構造体100が固定されている端部222の長さ方向に平行な視線でみて、一方向を長手方向とする形状を有する。
【0031】
以下の説明を容易にするために、ヘッダ構造体100の上記長手方向に平行な方向をZ軸方向とし、複数の伝熱管220の端部222の長さ方向に平行な方向をX軸方向とする、仮想的な右手系のXYZ直交座標系を定義する。
【0032】
X軸方向に関して、ヘッダ構造体100からフィン群210に向かう向きを、X軸プラス方向とする。以下では、X軸プラス方向を“後方”とも呼び、X軸マイナス方向を“前方”とも呼ぶ。
【0033】
図3に、ヘッダ構造体100の概観を示す。ヘッダ構造体100は、複数の伝熱管220の端部222に固定された背後板110と、背後板110の前方に積層されたヘッダ170と、ヘッダ170を背後板110に固定している複数の螺子180Aとを有する。
【0034】
図4に示すように、背後板110は、複数の伝熱管220の端部222に貫かれた状態で、複数の伝熱管220の端部222に固定されている。このため、背後板110の、伝熱管220の端部222に対するX軸方向の相対変位は阻止されている。
【0035】
本実施の形態では、背後板110は、黄銅その他の金属で形成されている。伝熱管220への背後板110の固定は、金属どうしの溶着によって実現されている。即ち、背後板110の、各々の伝熱管220の端部222に貫かれた貫通部111は、伝熱管220の端部222の外周面に溶着している。
【0036】
以下、螺子180Aに関わる構成について具体的に説明する。各々の螺子180Aは、ヘッダ170を、X軸方向に背後板110に押し付けることにより、ヘッダ170を背後板110に固定している。
【0037】
各々の螺子180Aは、頭部181と、頭部181よりも外径の小さい軸部182とを有する。軸部182は、頭部181から背後板110に向かってX軸方向に延びている。軸部182には、螺子溝が形成されている。
【0038】
一方、ヘッダ170には、X軸方向に貫通した通し孔171が螺子180Aごとに形成されている。通し孔171は、本開示に係る固定具挿通孔の一例である。
【0039】
また、背後板110には、雌螺子部112が螺子180Aごとに形成されている。雌螺子部112には、螺子溝が形成されている。雌螺子部112と、その雌螺子部112に対応する通し孔171との、YZ仮想平面内での位置は一致している。
【0040】
そして、各々の螺子180Aの軸部182における後方の端部が、背後板110の雌螺子部112にねじ込まれている。軸部182の、後方の端部以外の部分は、通し孔17に挿通されている。各々の螺子180Aの前方の端部である頭部181は、ヘッダ170の、最も前方に位置する前端面172に接している。
【0041】
以上のように、各々の螺子180Aは、頭部181が前端面172に接し、軸部182の後方の端部が背後板110に連結されている状態で、ヘッダ170を背後板110に押し付ける押し付け力をヘッダ170に与えている。このようにして、各々の螺子180Aは、ヘッダ170を背後板110に固定する固定具の役割を果たしている。
【0042】
また、ヘッダ170は、螺子180Aの頭部181が当てられる前端面172を構成している補強板160と、補強板160と背後板110との間に介在するヘッダ本体150とを有する。
【0043】
本実施の形態では、補強板160は、背後板110と同様、金属製であり、ヘッダ本体150は、樹脂製である。螺子180Aの上記押し付け力によって、ヘッダ本体150が、補強板160と背後板110とによって挟み込まれている。
【0044】
次に、ヘッダ構造体100における、熱媒体の流路に関わる構成について説明する。
【0045】
図3に示すように、ヘッダ170の前端面172には、一対の端部口151が開口している。一対の端部口151は、前端面172の後方に位置するヘッダ本体150に開口している。前端面172を構成している補強板160には、各々の端部口151の位置に露出口161が形成されていて、その露出口161を通して端部口151が外部に露出している。
【0046】
なお、一対の端部口151の各々には、
図1に示した外部配管322が接続される。つまり、一対の端部口151の一方からヘッダ本体150に対して、
図1に示した温調部321で温度が調整された熱媒体が流入する。また、
図2に示す室内熱交換器200において既述の内気と熱交換した熱媒体が、一対の端部口151の他方から流出する。
【0047】
図4に示すように、ヘッダ本体150の、背後板110に面する位置には、挿入口152aも開口している。挿入口152aは、ヘッダ本体150に複数開口している。各々の挿入口152aには、背後板110を貫いている伝熱管220の端部222が挿入されている。つまり、ヘッダ本体150に開口している挿入口152aの個数は、背板板110を貫いている伝熱管220の本数に等しい。
【0048】
以下では、ヘッダ本体150に開口しているすべての挿入口152aの集まりを“挿入口群152”と記す。ヘッダ本体150は、複数の伝熱管220の端部222が挿入口群152に挿入されている状態で、背後板110に固定されている。
【0049】
また、ヘッダ本体150は、熱媒体が合流又は分岐する流路である第1接続流路153及び第2接続流路154を内部に画定している。第1接続流路153と第2接続流路154とは、互いに独立している。
【0050】
第1接続流路153は、挿入口群152のうちの一部の複数の挿入口152aと、
図3に示した一対の端部口151の一方とに連通している。第2接続流路154は、挿入口群152のうちの他の一部の複数の挿入口152aと、
図3に示した一対の端部口151の他方とに連通している。
【0051】
以下では、挿入口群152のうち、第1接続流路153に連通している複数の挿入口152aと、第2接続流路154に連通している他の複数の挿入口152aとの集まりを第1挿入口群152_1”という。
【0052】
なお、本実施の形態では、複雑な形状の第1接続流路153及び第2接続流路154を内部に画定しているヘッダ本体150の製造を容易にするために、ヘッダ本体150が、X軸方向に複数、具体的には3つに分割されて構成された積層構造を有する。
【0053】
具体的には、ヘッダ本体150は、背後板110に接する後方ヘッダ本体120と、後方ヘッダ本体120の前方に積層されている中間ヘッダ本体130と、中間ヘッダ本体130の前方に積層されている前方ヘッダ本体140とを有する。
【0054】
前方ヘッダ本体140及び中間ヘッダ本体130は、互いにX軸方向に嵌合する嵌合構造を有し、両者は嵌合した状態で接合されている。同様に、中間ヘッダ本体130及び後方ヘッダ本体120も互いにX軸方向に嵌合する嵌合構造を有し、両者は嵌合した状態で接合されている。以下、具体的に説明する。
【0055】
前方ヘッダ本体140は、YZ仮想平面に沿って延在する板状の本体部141と、その本体部141から後方に突出した凸部142とを有する。
【0056】
中間ヘッダ本体130は、YZ仮想平面に沿って延在する板状の本体部131と、その本体部131において後方に窪んだ凹部132と、その本体部131から後方に突出した凸部133とを有する。
【0057】
後方ヘッダ本体120は、YZ仮想平面に沿って延在する板状の本体部121と、その本体部121において後方に窪んだ凹部122とを有する。
【0058】
そして、前方ヘッダ本体140の凸部142が、中間ヘッダ本体130の凹部132に嵌っている。また、前方ヘッダ本体140の本体部141と凸部142との境に位置する入隅と、その入隅に面する中間ヘッダ本体130の出隅とを含む接合箇所156において、前方ヘッダ本体140と中間ヘッダ本体130とが接合されている。
【0059】
同様に、中間ヘッダ本体130の凸部133が、後方ヘッダ本体120の凹部122に嵌っている。また、中間ヘッダ本体130の本体部131と凸部133との境に位置する入隅と、その入隅に面する後方ヘッダ本体120の出隅とを含む接合箇所157において、中間ヘッダ本体130と後方ヘッダ本体120とが接合されている。
【0060】
本実施の形態では、接合箇所156及び157における“接合”とは、具体的には部材どうしの“溶着”を意味する。但し、接合は溶着に限られず、接着剤によって接合を実現してもよい。
【0061】
なお、
図3に示した一対の端部口151は、前方ヘッダ本体140に開口している。また、既述の挿入口群152は、後方ヘッダ本体120に開口している。
【0062】
また、後方ヘッダ本体120の、背後板110に面する後面には、前方に向かって窪んだ窪み部124が形成されている。窪み部124は、各々の挿入口群152aの位置に形成されている。一方、背後板110には、各々の窪み部124に嵌る突出部113が形成されている。
【0063】
そして、窪み部124と、その窪み部124に嵌った突出部113とで、弾性シール部材173が配置される弾性シール部材配置空間123が画定されている。
【0064】
弾性シール部材173は、窪み部124と突出部113とによって圧縮された状態で、挿入口152aに挿入された伝熱管220の外面と、その挿入口152aの周縁との間を、液密かつ気密に封止している。本実施の形態では、弾性シール部材173は、伝熱管220の外周面を全周にわたって取り囲むOリングによって構成されている。
【0065】
次に、
図5及び
図6を参照し、ヘッダ本体150の内部の構造について説明する。
【0066】
図5に示すように、既述の挿入口群152を構成する挿入口152aの各々は、後方ヘッダ本体120をX軸方向に貫通している。
【0067】
また、中間ヘッダ本体130には、挿入口群152のうちの、既述の第1挿入口群152_1を構成する挿入口152aとX軸方向に連続する連通路134aが複数形成されている。各々の連通路134aは、中間ヘッダ本体130をX軸方向に貫通している。以下では、中間ヘッダ本体130を貫通しているすべての連通路134aの集まりを“連通路群134”と記す。
【0068】
また、以下では、挿入口群152のうちの、既述の第1挿入口群152_1以外の残部を構成する複数の挿入口152aの集まりを“第2挿入口群152_2”と記す。中間ヘッダ本体130の、第2挿入口群152_2とX軸方向に対面する箇所には、連通路134aは形成されていない。
【0069】
図6に示すように、中間ヘッダ本体130の、第2挿入口群152_2とX軸方向に対面する箇所には、折り返し部135が形成されている。なお、
図6では、理解を容易にするために、挿入口群152のうち、第2挿入口群152_2のみを着色して示した。
【0070】
1つの折り返し部135が、第2挿入口群152_2に含まれる一対の挿入口152aと対面している。各々の折り返し部135は、前方に窪んでいる。第2挿入口群152_2に含まれる一対の挿入口152aは、折り返し部135によって画定される折り返し空間を通じて、互いに連通する。
【0071】
それら一対の挿入口152a及び折り返し空間は、連通路群134とは独立している。つまり、それら一対の挿入口152a及び折り返し空間の、既述の第1接続流路153及び第2接続流路154との連通は断たれている。
【0072】
一方、前方ヘッダ本体140には、各々Z軸方向に延在する溝状の第1共通空間画定部143及び第2共通空間画定部144が形成されている。第1共通空間画定部143は、
図4にも示す第1共通空間143aを画定し、第2共通空間画定部144は、
図4にも示す第2共通空間144aを画定する。
【0073】
ここで、第1共通空間143a及び第2共通空間144aは、本開示に係る共通空間の一例である。また、前方ヘッダ本体140は、第1共通空間143aを第2共通空間144aから仕切る仕切り部145も有する。
【0074】
そして、第1共通空間143aと第2共通空間144aとの一方が、
図3に示した一対の端部口151の一方と連通し、第1共通空間143aと第2共通空間144aとの他方が、
図3に示した一対の端部口151の他方と連通している。
【0075】
中間ヘッダ本体130を貫通している連通路群134のうちの一部の複数の連通路134aは、既述の第1挿入口群152_1のうちの一部の複数の挿入口152aを、第1共通空間143aと連通させる。
【0076】
また、中間ヘッダ本体130を貫通している連通路群134のうちの残部の複数の連通路134aは、既述の第1挿入口群152_1のうちの残部の複数の挿入口152aを、第2共通空間144aと連通させる。
【0077】
以上のようにして、ヘッダ本体150の内部には、第1共通空間143aを含む、
図4に示す第1接続流路153と、第2共通空間144aを含む、
図4に示す第2接続流路154とが画定されている。以下では、それら第1接続流路153と第2接続流路154とを“接続流路155”と総称する。
【0078】
次に、複数の螺子180Aが挿通されている部分の構成について説明する。
【0079】
図6に示すように、前方ヘッダ本体140は、接続流路155のうちの第1共通空間143a及び第2共通空間144aを画定している周壁部146を有する。周壁部146は、外周面146aと内周面146bとを有する。外周面146aは、外部に面している。内周面146bは、接続流路155のうちの第1共通空間143a又は第2共通空間144aに面している。
【0080】
周壁部146は、その周壁部146をX軸方向に背後板110へ投影した場合に画定される周壁部占有領域が、挿入口群152に挿入されている複数の伝熱管220を取り囲む周回形状をもつ。以下、周壁部占有領域について具体的に説明する。
【0081】
図7に、周壁部占有領域RAの一部を拡大して示す。
図7において、外周輪郭線L1は、
図6に示す外周面146aをX軸方向に背後板110へ投影して得られる仮想線である。内周輪郭線L2は、
図6に示す内周面146bをX軸方向に背後板100へ投影して得られる仮想線である。周壁部占有領域RAとは、背後板100において、外周輪郭線L1と内周輪郭線L2とで囲まれた仮想領域を指す。
【0082】
つまり、周壁部占有領域RAは、
図6に示す周壁部146をX軸方向に背後板110へ投影して得られる投影領域と、
図6に示す通し孔171をX軸方向に背後板110へ投影して得られる投影領域とを合わせた仮想領域を指す。
【0083】
また、
図7において、固定具投影領域RBは、
図6に示す螺子180AをX軸方向に背後板110へ投影して得られる投影領域である。なお、螺子180Aにおいて最も外径の大きい部分は、
図4に示す頭部181である。このため、本実施の形態では、固定具投影領域RBは、
図4に示す頭部181をX軸方向に背後板110へ投影して得られる投影領域と一致する。
【0084】
固定具投影領域RBは、周壁部占有領域RAと重なりを有する。具体的には、本実施の形態では、固定具投影領域RBは、周壁部占有領域RAに内包されている。つまり、複数の螺子180Aの各々は、周壁部146をX軸方向に貫通している。
【0085】
図6に戻り、説明を続ける。そして、各々周壁部146をX軸方向に貫通している複数の螺子180Aは、上記周回形状の周方向に間隔をあけて分布している。このような構成により、接続流路155のうちの第1共通空間143a及び第2共通空間144aを画定する周壁部146が、ヘッダ170を背後板110に押し付けるための押し付け力が作用する部材の役割を兼ねることができる。
【0086】
従って、ヘッダ170を背後板110に固定するための専用のフランジをヘッダ170に設ける必要がない。このため、ヘッダ170及び背後板110を小型に実現することができる。具体的には、ヘッダ170及び背後板110の、YZ仮想平面内での占有面積の狭小化が図られる。
【0087】
なお、ヘッダ170を背後板110に押し付けるための押し付け力が作用する方向は、ヘッダ本体150が分割されている方向、即ち、後方ヘッダ本体120、中間ヘッダ本体130、及び前方ヘッダ本体140が積層されている方向であるX軸方向と一致する。このため、上記押し付け力は、接続流路155の内圧に抗してヘッダ本体150のX軸方向の分離を阻止する役割を兼ねる。
【0088】
また、本実施の形態では、既述のとおり、固定具投影領域RBが周壁部占有領域RAに内包される。即ち、螺子180Aの、
図4に示す頭部181の外径は、周壁部146の厚さ以下である。ここで“周壁部146の厚さ”とは、外周面146aと内周面146bとの距離を表す。
【0089】
このため、螺子180Aを締め付ける力が大きい場合でも、前方ヘッダ本体140に無理な応力が作用しにくい。また、そのため、前方ヘッダ本体140のX軸方向の寸法を大きくする必要がない。このことも、ヘッダ170の小型化に資する。
【0090】
また、本実施の形態では、周壁部146は、局所的に厚肉化された厚壁部147を有する。厚壁部147は、外周面146aから内周面146bに向かう壁厚方向内方に隆起している。なお、
図7には、周壁部146の、厚壁部147を含む部分の投影によって画定される周壁部占有領域RAを示した。
【0091】
そして、その厚壁部147に固定具挿通孔としての通し孔171が形成されている。このため、前方ヘッダ本体140の、YZ仮想平面内での占有面積の狭小化が図られるにも関わらず、前方ヘッダ本体140に充分な強度を確保することができる。
【0092】
また、本実施の形態では、後方ヘッダ本体120において、Z軸方向に隣り合う一対の挿入口152aの脇に、固定具挿通孔としての通し孔171が配置されている。この点に関して、以下説明する。
【0093】
後方ヘッダ本体120において、挿入口群152は、Z軸方向に複数の挿入口152aが並ぶ列を2列構成している。そして、1つの列から選択される、Z軸方向に隣り合う一対の挿入口152aの脇に、通し孔171が配置されている。
【0094】
その通し孔171のZ軸方向の位置は、その通し孔171が脇に存在する一対の挿入口152aの一方のZ軸方向の位置と、他方のZ軸方向の位置との間である。具体的には、Z軸方向に関しては、挿入口152aと通し孔171とが交互に配置されている。
【0095】
なお、中間ヘッダ本体130においても同様に、Z軸方向に隣り合う一対の連通路134aの脇に、通し孔171が配置されている。その通し孔171のZ軸方向の位置は、その通し孔171が脇に存在する一対の連通路134aの一方のZ軸方向の位置と、他方のZ軸方向の位置との間である。
【0096】
以上の構成により、既述の厚壁部147を設けるにも関わらず、通し孔171のY軸方向の位置を、挿入口152a及び連通路134aのY軸方向の位置に寄せることが可能となる。この結果、ヘッダ170の強度の確保と小型化とを両立することができる。
【0097】
なお、後方ヘッダ本体120において、各々Z軸方向に並ぶ複数の挿入口152aで構成される2列において、挿入口152aどうしのZ軸方向の間隔であるピッチは、互いに等しい。そして、一方の列のZ軸方向の位置は、他方の列のZ軸方向の位置からずらされている。つまり、挿入口群152は、千鳥状に分布している。中間ヘッダ本体130における連通路群134についても同様である。このような構成も、ヘッダ170のY方向の寸法の狭小化に資する。
【0098】
以下、
図8を参照し、本実施の形態に係る室内熱交換製造方法について説明する。以下に述べる室内熱交換製造方法は、本開示に係る熱交換製造方法の一例である。
【0099】
図8に示すように、まず、複数の伝熱管220がフィン群210に挿通している本体部を製造する(ステップS11)。
図2に示したように、フィン群210の他端からは、複数の伝熱管220の各々の端部222が引き出されている。
【0100】
次に、フィン群210から引き出された複数の伝熱管220の端部222に、背後板110を固定する(ステップS12)。既述のとおり、複数の伝熱管220への背後板110の固定は、金属どうしの溶着による。なお、本ステップS12は、本開示に係る背後板固定工程の一例である。
【0101】
次に、後方ヘッダ本体120、中間ヘッダ本体130、及び前方ヘッダ本体140を製造する(ステップS13)。これら後方ヘッダ本体120、中間ヘッダ本体130、及び前方ヘッダ本体140の各々は、金型を用いて熱可塑性樹脂を成形することにより得ることができる。
【0102】
次に、後方ヘッダ本体120、中間ヘッダ本体130、及び前方ヘッダ本体140を積層させることにより、これら後方ヘッダ本体120、中間ヘッダ本体130、及び前方ヘッダ本体140が一体化されたヘッダ本体150を得る(ステップS14)。
【0103】
具体的には、
図4に示したように、後方ヘッダ本体120の凹部122と、中間ヘッダ本体130の凸部133と嵌合させた状態で、後方ヘッダ本体120と中間ヘッダ本体130とを、接合箇所157において接合させる。
【0104】
同様に、中間ヘッダ本体130の凹部132と、前方ヘッダ本体140の凸部142と嵌合させた状態で、中間ヘッダ本体130と前方ヘッダ本体140とを、接合箇所156において接合させる。
【0105】
既述のとおり、本実施の形態では、接合箇所156及び157における“接合”とは、具体的には樹脂どうしの“溶着”を意味する。
【0106】
図5に示すように、接合箇所156は、その接合箇所156をX軸方向に背後板110へ投影した場合の第1接合箇所投影領域が、挿入口群152に挿入されている複数の伝熱管220を取り囲む周回状に延在している。また、前方ヘッダ本体140において、
図6に示す厚壁部147がZ軸方向に並んでいることに対応して、
図5に示す接合箇所156は、Z軸方向に波型に湾曲して延在した部分を有する。
【0107】
図6に示すように、接合箇所157も同様、その接合箇所157をX軸方向に背後板110へ投影した場合の第2接合箇所投影領域が、挿入口群152に挿入されている複数の伝熱管220を取り囲む周回状に延在している。また、接合箇所157も、Z軸方向に波型に湾曲して延在した部分を有する。
【0108】
本実施の形態では、以上のように波型に湾曲しつつ周回状に延在する接合箇所156及び157での接合を、超音波溶着法(Ultrasonic welding)によって実現する。
【0109】
超音波溶着法によれば、後方ヘッダ本体120と中間ヘッダ本体130、及び中間ヘッダ本体130と後方ヘッダ本体120が、それぞれ互いの摩擦で生じる摩擦熱によって溶着する。摩擦を生じさせるための超音波が局所的に当たる箇所を、波型に湾曲させつつ周回状に移動させることができる。このため、接合箇所156及び157が波型に湾曲しているにも関わらず、周回方向に途切れのない溶着が可能である。
【0110】
なお、本ステップS14は、協働して接続流路155を画定する第1ヘッダ本体及び第2ヘッダ本体を接合する接合工程の一例である。後方ヘッダ本体120と中間ヘッダ本体130との組、又は中間ヘッダ本体130と後方ヘッダ本体120との組が、第1ヘッダ本体と第2ヘッダ本体との組の一例である。
【0111】
また、以上説明したステップS13及びS14は、ヘッダ170を製造するヘッダ製造工程の一例である。
【0112】
次に、
図4に示したように、螺子180Aによって、補強板160を含むヘッダ170を背後板110に固定する(ステップS15)。なお、本ステップS15は、本開示に係るヘッダ固定工程の一例である。以上で、本実施の形態に係る室内熱交換200が完成する。
【0113】
次に、
図9を参照し、本実施の形態に係る空調装置製造方法について説明する。
【0114】
図9に示すように、まず、上述した要領で室内熱交換器200を製造する(ステップS10)。次に、その室内熱交換器200と、室内ファン340とを、図示せぬ室内機用筐体に取り付け、空調装置用室内機300aを組み立てる(ステップS20)。
【0115】
なお、ステップS10及びS20は、屋内に配置される空調装置用室内機300aを製造する空調装置用室内機製造方法の一例である。
【0116】
次に、圧縮機311、室外熱交換器312、気液分離器315、室外ファン330、及び四方弁316を、図示せぬ室外機用筐体に取り付け、空調装置用室外機300bを組み立てる(ステップS30)。
【0117】
次に、膨張器313、温調部321を含む中継熱交換器314、及びポンプ323を、図示せぬ中継機用筐体に取り付け、空調装置用中継機300cを組み立てる(ステップS40)。
【0118】
以上で、本実施の形態に係る空調装置300が完成する。空調装置用室内機300aと空調装置用中継機300cとをつなぐ外部配管322の引き回し、及び空調装置用室外機300bと空調装置用中継機300cとをつなぐ冷媒配管の引き回しは、空調装置300が設置される現場で行われる。
【0119】
なお、ステップS20、S30、S40の順番は、特に
図9に例示した順番に限定されず、任意である。ステップS20、S30、S40が並行して行われてもよい。
【0120】
[実施の形態2]
上記実施の形態1では、周壁部146を含むヘッダ170に、X軸方向に貫通した固定具挿通孔としての通し孔171が形成された構成を例示した。
【0121】
本実施の形態では、通し孔171に代えて、X軸方向に延在する固定具配置溝(図示せず)を、周壁部146を含むヘッダ170の外面に形成する。この場合、各々の螺子180Aの軸部182は、固定具配置溝に配置される。
【0122】
図10に、本実施の形態に係る周壁部占有領域RAの一部を拡大して示す。本実施の形態では、周壁部146の外周面146aに、上述した固定具配置溝が形成される。このため、外周輪郭線L1が、固定具配置溝の形状を表す凹状の固定具配置溝投影線部L1aを有する。
【0123】
本実施の形態に係る固定具配置溝は、
図6に示した厚壁部147の外周面146aに形成される。Z軸方向に隣り合う一対の挿入口152aの脇に固定具配置溝が配置され、固定具配置溝のZ軸方向の位置が、その固定具配置溝が脇に存在する一対の挿入口152aの一方のZ軸方向の位置と、他方のZ軸方向の位置との間である点は、実施の形態1の場合と同様である。
【0124】
なお、本実施の形態では、
図7に示した構成とは異なり、固定具投影領域RBは、周壁部占有領域RAに内包されてはいない。但し、固定具投影領域RBは、周壁部占有領域RAと重なりを有する。
【0125】
[実施の形態3]
図11に示すように、固定具投影領域RBは、周壁部占有領域RAと重なりを有していなくてもよい。本実施の形態に係る固定具投影領域RBは、周壁部占有領域RAと隣り合っている。具体的には、固定具投影領域RBは、周壁部占有領域RAの、固定具配置溝投影線部L1aと接している。つまり、螺子180Aの軸部182は、周壁部146の外周面146a、具体的には、固定具配置溝の内面と対向している。
【0126】
このような構成でも、一例として補強板160をX軸方向に背後板100へ投影して得られる投影領域と周壁部占有領域RAとが重なりを有していることにより、螺子180Aがヘッダ170を背後板110に押し付ける役割を果たしうる。
【0127】
[実施の形態4]
図4に示した螺子180Aは、既述のとおり、ヘッダ170を背後板110に押し付けている。その押し付けの力(以下、押し付け力という。)のばらつきが抑える構成を、ヘッダ構造体100に付加してもよい。以下、その具体例を述べる。
【0128】
図12に示すように、本実施の形態では、螺子180Bの軸部182が、頭部181から後方に延びた大径部182aと、大径部182aから後方に延びた小径部182bとを有する。小径部182bの外径は、大径部182aの外径よりも小さい。このため、大径部182aと小径部182bとの境に、X軸と交差して延在するストッパ面182cが構成されている。
【0129】
本実施の形態では、小径部182bに、X軸方向の全長にわたって螺子溝が形成されている。即ち、本実施の形態では、小径部182bの全体が雄螺子部を構成している。大径部182aには螺子溝は形成されていない。
【0130】
一方、背後板110は、小径部182bがねじ込まれる螺子溝が形成された雌螺子部112と、ストッパ面182cが当たる座ぐり面114とを有する。
【0131】
本実施の形態によれば、小径部182bが全長にわたって雌螺子部112にねじ込まれたときに、ストッパ面182cが座ぐり面114に当たる。これにより、背後板110への螺子180Bの進入が自ずと阻止される。
【0132】
このため、螺子180Bの締め込みのトルクを厳密に管理せずとも、大径部182aのX軸方向の長さによって、ヘッダ本体150に付与される押し付け力を定めることができる。また、大径部182aのX軸方向の長さを、異なる螺子180Bの間で揃えることにより、異なる螺子180Bの間での押し付け力のばらつきを抑えることができる。
【0133】
なお、本実施の形態では、座ぐり面114が背後板110に形成された構成を例示したが、座ぐり面114をヘッダ本体150に形成し、小径部182bがヘッダ本体150及び背後板110に挿通されることとしてもよい。その場合、小径部182bの、背後板110にねじ込まれる端部のみが雄螺子部を構成してもよい。他の構成及び効果は、実施の形態1と同様である。
【0134】
[実施の形態5]
図4、
図12には、それぞれヘッダ本体150に挿通される固定具として、螺子180A、180Bを例示した。以下、ヘッダ本体150に挿通される固定具の他の例を述べる。
【0135】
図13に示すように、本実施の形態では、ヘッダ本体150に挿通される固定具をリベット180Cによって構成している。リベットCも、既述の螺子180A及び180Bと同様、前端面172に当たる頭部181と、通し孔171に挿通される軸部182とを有する。
【0136】
一方、リベットCは、軸部182の後方の端部を背後板110に連結するためのカシメ部183を有する点で、既述の螺子180A及び180Bとは異なる。
【0137】
また、本実施の形態では、背後板110に、
図4及び
図12に示した雌螺子部112に代えて、通し孔115が形成される。雌螺子部112とは異なり、通し孔115には、螺子溝は形成されていない。通し孔115は、ヘッダ本体150の通し孔171とX軸方向に連続する位置に配置される。本実施の形態によっても、実施の形態1と同様の効果が得られる。
【0138】
[実施の形態6]
図4、
図12、
図13には、それぞれヘッダ本体150に挿通される固定具としての、螺子180A、螺子180B、リベット180Cを例示した。しかし、固定具は、ヘッダ本体150に挿通されるものでなくてもよい。以下、固定具のさらに他の例を述べる。
【0139】
図14に示すように、本実施の形態では、固定具をクリップ180Dによって構成している。クリップ180Dは、ヘッダ170と背後板110とをX軸方向に弾性的に挟み込むことにより、ヘッダ170を背後板110に固定している。
【0140】
具体的には、クリップ180Dは、前端面172に接している端部を構成している前方押さえ部184と、背後板110の、ヘッダ110が押し付けられる前面とは反対側の後面に接している後方押さえ部185と、前方押さえ部184と後方押さえ部185とを連結している連結部186とを有する。
【0141】
クリップ180Dは、全体として弾性を有しており、前方押さえ部184と後方押さえ部185とを押し広げる向きに弾性変形された状態で、ヘッダ170及び背後板110の外面に装着されている。これにより、クリップ180Dは、前方押さえ部184と後方押さえ部185とを互いに近づける向きの弾性復元力力をヘッダ170及び背後板110に付与している。
【0142】
本実施の形態によれば、クリップ180Dがヘッダ170及び背後板110の外面に装着されるので、
図4、
図12、及び
図13に示した通し孔171をヘッダ170に形成する必要がない。また、
図4及び
図12に示した雌螺子部112、及び
図13に示した通し孔115を背後板110に形成する必要がない。他の構成及び効果は、実施の形態1と同様である。
【0143】
[実施の形態7]
図4、
図12、
図13、
図14には、ヘッダ本体150が補強板160と背後板110とによってX軸方向に挟み込まれた挟み込み構造を例示した。この挟み込み構造によれば、接続流路155が高圧でとりわけ高温となる場合であっても、ヘッダ本体150の変形が、ヘッダ本体150よりも耐熱性に優れた補強板160及び背後板110によって抑えられる。
【0144】
但し、補強板160は必須ではない。補強板160を省略してもヘッダ本体150の変形が生じ難い場合には、固定具とヘッダ本体150とが直接的に接触する条件でヘッダ本体150を背後板110に固定する構造を採ってもよい。
【0145】
そこで、本実施の形態では、
図4、
図12、
図13、
図14において、補強板160を省略した構造を提供する。この構造を採る場合は、前方ヘッダ本体140が、固定具が当たる前端面172を構成することとなる。
【0146】
本実施の形態によれば、補強板160を省略するので、ヘッダ170を構成する部品数を減らすことができ、かつヘッダ170のX軸方向の寸法を減少させうる。他の構成及び効果は実施の形態1と同様である。
【0147】
[実施の形態8]
図6には、局所的に厚肉化された厚壁部147がZ軸方向に並んでいることにより、X軸方向に平行な視線でみてZ軸方向に波形に延在する周壁部146を例示した。但し、厚壁部147は必須の構成要素ではない。
【0148】
本実施の形態では、周壁部146の、長手方向であるZ軸方向に延在する部分(以下、長手部分という。)において、
図6に示す厚壁部147を省略した構成を提供する。この構成によれば、周壁部146の、仕切り部145を介してY軸方向に対向する一対の長手部分の各々が、X軸方向に平行な視線でみてZ軸方向に直線状に延在する。
【0149】
本実施の形態によれば、周壁部146の長手部分が直線状に延在するので、前方ヘッダ本体140と中間ヘッダ本体130との接合箇所156における溶着の手法として、既述の超音波溶着法のみならず、振動溶着法を用いることもできる。
【0150】
即ち、周壁部146の長手部分が直線状に延在するので、前方ヘッダ本体140と中間ヘッダ本体130とを、振動溶着法で求められる振幅の程度だけ、Z軸方向に相対変位させることができる。中間ヘッダ本体130と後方ヘッダ本体120との接合箇所157についても同様である。他の構成及び効果は実施の形態1と同様である。
【0151】
以上、実施の形態1-8について説明した。以下に述べる変形も可能である。
【0152】
図6には、後方ヘッダ本体120における挿入口群152が、第1共通空間143a又は第2共通空間144aに連通した第1挿入口群152_1と、途中で折り返される第2挿入口群152_2とを含む構成を例示した。挿入口群152には、必ずしも第2挿入口群152_2が含まれていなくてもよい。つまり、挿入口群152の全部が第1挿入口群152_1であってもよい。その場合、折り返し部135は省略される。
【0153】
図4には、ヘッダ本体150がX軸方向に3つの部材に分割され、それら3つの部材がX軸方向に積層された構成を例示した。ヘッダ本体150の、X軸方向の分割数は2つであってもよいし、4つ以上であってもよい。
【0154】
図5には、Z軸方向に複数の挿入口152aが並んで構成される列を2列構成している挿入口群152を例示した。挿入口群152は、そのような列を1列のみ構成していてもよいし、3列以上構成していてもよい。
【0155】
上記実施の形態1では、室内熱交換器200の伝熱管220を流れる熱媒体として、水を用いたが、熱媒体は水に限られない。熱媒体として、水の他、ブライン、水とブラインとの混合液等を用いてもよい。
【0156】
図1には、室内熱交換器200を含む熱媒体閉回路320に封入された熱媒体の温度を、その熱媒体とは異なる冷媒を用いた冷凍サイクルで調整する構成を例示した。しかし、空調装置用中継機300cを省略し、熱媒体そのものを用いて冷凍サイクルが構成されてもよい。その場合は、熱媒体としてR32その他の冷媒が用いられる。
【0157】
以下、本開示の諸態様を付記する。
【0158】
(付記1)
各々熱媒体が流れる複数の伝熱管と、
複数の前記伝熱管に貫かれた状態で、複数の前記伝熱管に固定された背後板と、
前記背後板を貫いている複数の前記伝熱管の各々の端部が挿入される挿入口で構成される挿入口群と、外部配管が接続される端部口とが開口しており、前記挿入口群のうちの少なくとも一部の複数の前記挿入口で構成される第1挿入口群と前記端部口とを連通させる接続流路であって、前記第1挿入口群と連通した共通空間を含む接続流路を内部に画定しているヘッダと、
複数の前記伝熱管の前記端部が前記挿入口群に挿入されている状態で、前記端部の長さ方向に平行な方向であるX軸方向に、前記ヘッダを前記背後板に押し付けることにより、前記ヘッダを前記背後板に固定している固定具と、
を備え、
前記ヘッダは、
外部に面する外周面と、前記共通空間に面する内周面とを有する周壁部であって、前記外周面を前記X軸方向に前記背後板へ投影した場合の外周輪郭線と、前記内周面を前記X軸方向に前記背後板へ投影した場合の内周輪郭線とで囲まれた周壁部占有領域が、前記挿入口群に挿入されている複数の前記伝熱管を取り囲む周回形状をもつ周壁部、
を有し、
前記固定具の、前記X軸方向に関して前記背後板から前記ヘッダに向かう方である前方の端部は、前記ヘッダの、前記前方に位置する前端面に接しており、
前記固定具は、前記X軸方向に前記背後板へ投影した場合の固定具投影領域が前記周壁部占有領域と重なりを有するか、又は前記固定具投影領域が前記周壁部占有領域と隣り合っている位置に配置されている、
熱交換器。
【0159】
(付記2)
前記ヘッダは、
前記挿入口群が開口しているとともに、前記挿入口に挿入された前記伝熱管の外面と、該挿入口の周縁との間を封止する弾性シール部材が配置される弾性シール部材配置空間を画定している後方ヘッダ本体と、
前記後方ヘッダ本体よりも前記前方に配置され、前記端部口が開口しているとともに、前記共通空間を画定している前方ヘッダ本体と、
を有する、付記1に記載の熱交換器。
【0160】
(付記3)
前記挿入口群には、前記第1挿入口群の他に、前記接続流路との連通が断たれた複数の前記挿入口で構成される第2挿入口群が含まれており、
前記ヘッダは、
前記後方ヘッダ本体と前記前方ヘッダ本体との間に配置された中間ヘッダ本体、
をさらに有し、
前記中間ヘッダ本体には、
前記第1挿入口群を前記共通空間と連通させる連通路群と、
前記第2挿入口群に含まれる一対の前記挿入口どうしを、前記連通路群とは独立して連通させる折り返し部と、
が形成されている、付記2に記載の熱交換器。
【0161】
(付記4)
前記ヘッダは、
前記接続流路を画定しているヘッダ本体と、
前記ヘッダ本体よりも前記前方において前記前端面を構成しており、前記背後板との間に前記ヘッダ本体を挟み込んでいる補強板と、
を有する、付記1から3のいずれかに記載の熱交換器。
【0162】
(付記5)
前記周壁部には、前記X軸方向に貫通した固定具挿通孔、又は前記X軸方向に延在する固定具配置溝が形成されており、
前記固定具は、
前記前端面に接している、前記前方の前記端部を構成している頭部と、
前記頭部から前記背後板に向かって前記X軸方向に延びている軸部であって、前記固定具挿通孔に挿通されているか、又は前記固定具配置溝に配置されており、前記X軸方向に関して前記ヘッダから前記背後板に向かう方である後方の端部が前記背後板に連結されている軸部と、
を有する、付記1から4のいずれかに記載の熱交換器。
【0163】
(付記6)
前記挿入口群は、前記X軸方向に直角なZ軸方向に複数の前記挿入口が並ぶ列を少なくとも1列構成しており、
前記列から選択される、前記Z軸方向に隣り合う一対の前記挿入口の脇に、前記固定具挿通孔又は前記固定具配置溝が配置されており、該固定具挿通孔又は該固定具配置溝の前記Z軸方向の位置は、一対の前記挿入口の一方の前記Z軸方向の位置と、他方の前記Z軸方向の位置との間である、
付記5に記載の熱交換器。
【0164】
(付記7)
前記周壁部は、
前記外周面から前記内周面に向かう壁厚方向内方に隆起していることにより、局所的に厚肉化された厚壁部、
を有し、
前記厚壁部に前記固定具挿通孔又は前記固定具配置溝が形成されている、
付記5又は6に記載の熱交換器。
【0165】
(付記8)
前記軸部は、
前記頭部から前記後方に延びた大径部と、
前記大径部よりも外径が小さい小径部であって、前記大径部から前記後方に延びており、前記背後板にねじ込まれる雄螺子部を有する小径部と、
前記大径部と前記小径部との境に位置するストッパ面と、
を有し、
前記背後板又は前記ヘッダは、
前記ストッパ面が当たる座ぐり面、
を有する、付記5から7のいずれかに記載の熱交換器。
【0166】
(付記9)
前記固定具は、
前記ヘッダと前記背後板とを前記X軸方向に弾性的に挟み込むクリップ、
である、付記1から4のいずれかに記載の熱交換器。
【0167】
(付記10)
付記1から9のいずれかに記載の熱交換器で構成された室内熱交換器と、
前記室内熱交換器に、空気調和の対象とする空間の空気を通過させる室内ファンと、
を備える、空調装置用室内機。
【0168】
(付記11)
付記10に記載の空調装置用室内機と、
冷凍サイクルを用いて前記熱媒体の温度を調整する協働機器と、
を備える、空調装置。
【0169】
(付記12)
各々熱媒体が流れる複数の伝熱管と、
複数の前記伝熱管に貫かれた状態で、複数の前記伝熱管に固定された背後板と、
前記背後板を貫いている複数の前記伝熱管の各々の端部が挿入される挿入口で構成される挿入口群と、外部配管が接続される端部口とが開口しており、前記挿入口群のうちの少なくとも一部の複数の前記挿入口で構成される第1挿入口群と前記端部口とを連通させる接続流路であって、前記第1挿入口群と連通した共通空間を含む接続流路を内部に画定しているヘッダと、
複数の前記伝熱管の前記端部が前記挿入口群に挿入されている状態で、前記端部の長さ方向に平行な方向であるX軸方向に、前記ヘッダを前記背後板に押し付けることにより、前記ヘッダを前記背後板に固定している固定具と、
を備える熱交換器、を製造する熱交換器製造方法であって、
複数の前記伝熱管に前記背後板を固定する背後板固定工程と、
外部に面する外周面と、前記共通空間に面する内周面とを有する周壁部であって、前記ヘッダが前記固定具によって前記背後板に固定された場合に、前記外周面を前記X軸方向に前記背後板へ投影したときの外周輪郭線と、前記内周面を前記X軸方向に前記背後板へ投影したときの内周輪郭線とで囲まれた周壁部占有領域が、前記挿入口群に挿入される複数の前記伝熱管を取り囲む周回形状をもつ周壁部、を有する前記ヘッダを製造するヘッダ製造工程と、
前記X軸方向に関して前記背後板から前記ヘッダに向かう方である前方の端部が、前記ヘッダの、前記前方に位置する前端面に接しており、前記X軸方向に前記背後板へ投影した場合の固定具投影領域が前記周壁部占有領域と重なりを有するか、又は前記固定具投影領域が前記周壁部占有領域と隣り合っている位置に配置される前記固定具によって、前記ヘッダを前記背後板に固定するヘッダ固定工程と、
を含む、熱交換器製造方法。
【0170】
(付記13)
前記ヘッダは、
前記X軸方向に積層されることにより協働して前記接続流路を画定している第1ヘッダ本体及び第2ヘッダ本体、
を有し、
前記ヘッダ製造工程は、
前記第1ヘッダ本体と前記第2ヘッダ本体とを前記X軸方向に接合する接合工程、
を含む、付記12に記載の熱交換器製造方法。
【0171】
(付記14)
前記第1ヘッダ本体及び前記第2ヘッダ本体は、樹脂で形成されており、
前記接合工程では、前記第1ヘッダ本体と前記第2ヘッダ本体とを、前記X軸方向に嵌合させた状態で、互いの摩擦で生じる摩擦熱によって溶着させる、
付記13に記載の熱交換器製造方法。
【0172】
(付記15)
付記12から14のいずれかに記載の熱交換器製造方法を用いて、
前記熱交換器を備え、屋内に配置される空調装置用室内機、
を製造する、空調装置用室内機製造方法。
【0173】
(付記16)
付記15に記載の空調装置用室内機製造方法を用いて、
前記空調装置用室内機を備え、冷凍サイクルを用いて前記熱媒体の温度を調整する空調装置、
を製造する、空調装置製造方法。
【符号の説明】
【0174】
100 ヘッダ構造体、110 背後板、111 貫通部、112 雌螺子部、113 突出部、114 座ぐり面、115 通し孔、120 後方ヘッダ本体、121 本体部、122 凹部、123 弾性シール部材配置空間、124 窪み部、130 中間ヘッダ本体、131 本体部、132 凹部、133 凸部、134 連通路群、134a 連通路、135 折り返し部、140 前方ヘッダ本体、141 本体部、142 凸部、143 第1共通空間画定部、143a 第1共通空間(共通空間)、144 第2共通空間画定部、144a 第2共通空間(共通空間)、145 仕切り部、146 周壁部、146a 外周面、146b 内周面、147 厚壁部、150 ヘッダ本体、151 端部口、152 挿入口群、152a 挿入口、152_1 第1挿入口群、152_2 第2挿入口群、153 第1接続流路、154 第2接続流路、155 接続流路、156,157 接合箇所、160 補強板、161 露出口、170 ヘッダ、171 通し孔(固定具挿通孔)、172 前端面、173 弾性シール部材、180A,180B 螺子(固定具)、180C リベット(固定具)、180D クリップ(固定具)、181 頭部、182 軸部、182a 大径部、182b 小径部(雄螺子部)、182c ストッパ面、183 カシメ部、184 前方押さえ部、185 後方押さえ部、186 連結部、200 室内熱交換器(熱交換器)、210 フィン群、220 伝熱管、221 折り返し部、222 端部、300 空調装置、300a 空調装置用室内機、300b 空調装置用室外機、300c 空調装置用中継機、310 冷媒閉回路(協働機器)、311 圧縮機、312 室外熱交換器、313 膨張器、314 中継熱交換器、315 気液分離器、316 四方弁、320 熱媒体閉回路、321 温調部、322 外部配管、323 ポンプ、330 室外ファン、340 室内ファン、L1 外周輪郭線、L1a 固定具配置溝投影線部、L2 内周輪郭線、RA 周壁部占有領域、RB 固定具投影領域。