(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024170061
(43)【公開日】2024-12-06
(54)【発明の名称】電子機器
(51)【国際特許分類】
G06F 1/16 20060101AFI20241129BHJP
H05K 5/02 20060101ALI20241129BHJP
【FI】
G06F1/16 312F
H05K5/02 A
【審査請求】有
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023087017
(22)【出願日】2023-05-26
(11)【特許番号】
(45)【特許公報発行日】2024-09-24
(71)【出願人】
【識別番号】505205731
【氏名又は名称】レノボ・シンガポール・プライベート・リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】梅島 一哉
(72)【発明者】
【氏名】山内 武仁
(72)【発明者】
【氏名】橋倉 誠
(72)【発明者】
【氏名】土井畑 禅
【テーマコード(参考)】
4E360
【Fターム(参考)】
4E360AB05
4E360AB12
4E360AB42
4E360BD03
4E360BD05
4E360CA02
4E360EA14
4E360ED07
4E360GA12
4E360GB04
4E360GB46
4E360GC02
4E360GC08
4E360GC17
(57)【要約】
【課題】衝撃を受けた際の破損を抑制することができ、さらに外観品質の低下を抑制する。
【解決手段】電子機器は、縁部に立壁を有する筐体部材と、表示面を有し、該表示面とは反対側の裏面が前記筐体部材の内面で支持され、前記表示面と前記裏面との間で起立する外周側面が前記立壁と対向するディスプレイパネルとを備える。ディスプレイパネルは、前記外周側面にコーナー部を有する。立壁は、前記外周側面と対向する内壁面に前記コーナー部を回り込むように配置されるコーナー壁部を有する。コーナー壁部には、前記コーナー部から離間する方向に凹んだ凹状部が設けられている。
【選択図】
図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
電子機器であって、
縁部に立壁を有する筐体部材と、
表示面を有し、該表示面とは反対側の裏面が前記筐体部材の内面で支持され、前記表示面と前記裏面との間で起立する外周側面が前記立壁と対向するディスプレイパネルと、
を備え、
前記ディスプレイパネルは、前記外周側面にコーナー部を有し、
前記立壁は、前記外周側面と対向する内壁面に前記コーナー部を回り込むように配置されるコーナー壁部を有し、
前記コーナー壁部には、前記コーナー部から離間する方向に凹んだ凹状部が設けられている
ことを特徴とする電子機器。
【請求項2】
請求項1に記載の電子機器であって、
前記凹状部は、円弧状である
ことを特徴とする電子機器。
【請求項3】
請求項2に記載の電子機器であって、
前記立壁は、前記内壁面とは反対側で前記筐体部材の外面を形成する外壁面を有し、
前記外壁面は、前記コーナー壁部の外側に設けられた円弧状の外コーナー壁部を有し、
前記凹状部及び前記外コーナー壁部は、少なくとも一部が同心円である
ことを特徴とする電子機器。
【請求項4】
請求項1~3のいずれか1項に記載の電子機器であって、
前記立壁は、
前記コーナー壁部の一方を形成する縦壁と、
前記縦壁と直交し、前記コーナー壁部の他方を形成する横壁と、
を有し、
前記縦壁及び前記横壁の厚みが異なる場合に、前記凹状部は、前記縦壁及び前記横壁のうちの厚みが小さい一方側よりも、厚みが大きい他方側への凹み幅が大きい
ことを特徴とする電子機器。
【請求項5】
請求項1に記載の電子機器であって、
さらに、
前記筐体部材を有し、矩形状の外形を有する第1筐体と、
矩形状の外形を有し、前記第1筐体と隣接する第2筐体と、
前記第1筐体の一縁部と、前記第2筐体の一縁部とを相対的に回動可能に連結するヒンジと、
を備え、
前記立壁は、
前記ヒンジが連結される前記第1筐体の一縁部と直交する一対の縁部に沿って延在し、前記コーナー壁部の一方を形成する一対の縦壁と、
前記ヒンジが連結される前記第1筐体の一縁部とは反対側で前記一対の縦壁と直交するように延在し、前記コーナー壁部の他方を形成する横壁と、
を有し、
前記凹状部は、前記一対の縦壁と前記横壁との間に形成される一対のコーナー壁部のそれぞれに設けられている
ことを特徴とする電子機器。
【請求項6】
請求項5に記載の電子機器であって、
前記一対の縦壁は、前記横壁よりも厚みが薄く形成され、
前記凹状部は、前記コーナー壁部を形成する前記縦壁及び前記横壁のうち、前記縦壁には設けられず、且つ、前記横壁を前記縦壁の長手方向に沿う方向に凹ませて形成されている
ことを特徴とする電子機器。
【請求項7】
ディスプレイパネルを支持する筐体部材であって、
前記ディスプレイパネルのコーナー部を回り込むように配置され、該コーナー部と対向するコーナー壁部が設けられた立壁を備え、
前記コーナー壁部には、前記コーナー部から離間する方向に凹んだ凹状部が設けられている
ことを特徴とする筐体部材。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子機器及び筐体部材に関する。
【背景技術】
【0002】
ノート型PCのような電子機器は、液晶ディスプレイ等で構成されたディスプレイパネルを備える。例えば特許文献1には、縁部に立壁を有する筐体部材の内面でディスプレイパネルを支持した構成が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記のようなディスプレイパネルはコーナー部を有する。一方で、ディスプレイパネルを支持する筐体部材の立壁も、ディスプレイパネルのコーナー部を回り込むように配置されるコーナー壁部を有する。従って、このような電子機器が落下等の衝撃を受けると、ディスプレイパネルのコーナー部が立壁のコーナー壁部に衝突し、一方又は両方が破損する懸念がある。そこで、従来はディスプレイパネルと立壁との間に十分な隙間をあけておき、両者の衝突を防いでいた。ところがディスプレイパネルと立壁との隙間を拡大することは、ディスプレイパネルの表示面の周囲を囲むベゼル幅の拡大に繋がり、電子機器の外観品質を低下させる。
【0005】
本発明は、上記従来技術の課題を考慮してなされたものであり、衝撃を受けた際の破損を抑制することができ、さらに外観品質の低下を抑制することができる電子機器及び筐体部材を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の第1態様に係る電子機器は、縁部に立壁を有する筐体部材と、表示面を有し、該表示面とは反対側の裏面が前記筐体部材の内面で支持され、前記表示面と前記裏面との間で起立する外周側面が前記立壁と対向するディスプレイパネルと、を備え、前記ディスプレイパネルは、前記外周側面にコーナー部を有し、前記立壁は、前記外周側面と対向する内壁面に前記コーナー部を回り込むように配置されるコーナー壁部を有し、前記コーナー壁部には、前記コーナー部から離間する方向に凹んだ凹状部が設けられている。
【0007】
本発明の第2態様に係る筐体部材は、ディスプレイパネルを支持する筐体部材であって、前記ディスプレイパネルのコーナー部を回り込むように配置され、該コーナー部と対向するコーナー壁部が設けられた立壁を備え、前記コーナー壁部には、前記コーナー部から離間する方向に凹んだ凹状部が設けられている。
【発明の効果】
【0008】
本発明の上記態様によれば、衝撃を受けた際の破損を抑制することができ、さらに外観品質の低下を抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】
図1は、一実施形態に係る電子機器を上から見下ろした模式的な平面図である。
【
図3】
図3は、筐体部材及びディスプレイパネルの一部を拡大した斜視図である。
【
図4】
図4は、
図3に示す筐体部材及びディスプレイパネルの平面図である。
【
図5】
図5は、変形例に係る凹状部を備える筐体部材及びディスプレイパネルの一部を拡大した平面図である。
【
図6】
図6は、別の変形例に係る凹状部を備える筐体部材及びディスプレイパネルの一部を拡大した平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明に係る電子機器及び筐体部材について好適な実施の形態を挙げ、添付の図面を参照しながら詳細に説明する。
【0011】
図1は、一実施形態に係る電子機器10を上から見下ろした模式的な平面図である。
図1に示すように、本実施形態の電子機器10は、クラムシェル型のノート型PCであり、第1筐体11と第2筐体12とをヒンジ14によって相対的に回動可能に連結した構成である。本実施形態では、ノート型PCの電子機器10を例示しているが、電子機器はノート型PC以外、例えば単体のディスプレイ装置、タブレット型PC、スマートフォン、又は携帯用ゲーム機等でもよい。
【0012】
第2筐体12は、矩形状の外形を有する扁平な箱体であり、第1筐体11と隣接している。第2筐体12の内部には、CPU等を搭載したマザーボード、バッテリ装置、メモリ、アンテナ装置等の各種電子部品が収容されている。第2筐体12の上面には、キーボード16及びタッチパッド17が臨んでいる。
【0013】
第1筐体11は、矩形状の外形を有し、第2筐体12よりも薄い扁平な箱体である。第1筐体11は、ディスプレイパネル18を搭載している。以下、第1筐体11及びこれに搭載された各構成要素について、ディスプレイパネル18の表示面18aを視認するユーザから見た方向を基準とし、左右方向をそれぞれX1,X2方向、上下方向をそれぞれY1,Y2方向、奥行方向をそれぞれZ1,Z2方向と呼んで説明する。X1,X2方向をまとめてX方向と呼ぶこともあり、Y1,Y2方向及びZ1,Z2方向についても同様にY方向、Z方向と呼ぶことがある。
【0014】
ディスプレイパネル18の表示面18aは、第1筐体11のZ1側表面(正面11a)を臨んでいる。第1筐体11は、Z2側表面(背面11b)を形成する筐体部材20と、正面11aの周縁部を形成するベゼル部材22とを有する。第1筐体11の上下左右の側面は、筐体部材20の四周縁部から起立した立壁23によって形成されている。ベゼル部材22は、ディスプレイパネル18の外周縁部を囲む枠状の薄いプレートである。ヒンジ14は、第1筐体11のY2側縁部(縁部11c)に連結され、X方向に延在する棒状のヒンジカバーで覆われている。
【0015】
ディスプレイパネル18は、例えば液晶ディスプレイや有機ELディスプレイで構成される。ディスプレイパネル18は、例えばガラス、液晶層、及び導光板等を積層してそれぞれの層の外周縁部同士を両面テープや接着剤等で固定した構造である。ディスプレイパネル18は、表示面18aとは反対側の裏面18bが筐体部材20の内面20aに固定される。この固定は例えば両面粘着テープ26を用いる(
図2参照)。
図2中の参照符号28は、ヒンジ14がねじ止めされる左右一対の金属ブラケットである。金属ブラケット28は、内面20aに固定され、縁部11cに沿って配置される。
【0016】
図2は、第1筐体11の模式的な正面図である。
図2は、ベゼル部材22の図示を省略し、ディスプレイパネル18の外形を2点鎖線で図示している。これにより
図2では、筐体部材20の内面20a(背面11bの裏面)と、この内面20aに設置された所定の構成要素とが図示されている。
【0017】
図2に示すように、筐体部材20は、例えばプレート部20Aの外周縁部にフレーム部20Bを接合した構成である。立壁23はフレーム部20Bに形成されている。プレート部20Aは、例えば炭素繊維強化樹脂の積層プレートである。フレーム部20Bは、プレート部20Aの縁部に射出成形によって接合された樹脂フレームである。筐体部材20は、プレート部20A及びフレーム部20Bを同一の樹脂材料や金属材料で一体に形成した構成等でもよい。
【0018】
図3は、筐体部材20及びディスプレイパネル18の一部を拡大した斜視図である。
図4は、
図3に示す筐体部材20及びディスプレイパネル18の平面図である。
【0019】
図2~
図4に示すように、立壁23は、第1筐体11の内側を臨む内壁面23aと、内壁面23aと反対側で第1筐体11の外側を臨む外壁面23bとを有する。内壁面23aは、ディスプレイパネル18の外周側面18cと対向する。外周側面18cは、表示面18aと裏面18bの縁部間でZ方向に起立する端面である。外壁面23bは、必要に応じて表面が塗装され、筐体部材20の外面を形成する。
【0020】
立壁23は、X方向に沿って延びる一対の横壁30,31と、Y方向に沿って延びる一対の縦壁32,33とを有する。これにより立壁23は第1筐体11の四周を囲むように延在している。
【0021】
一方の横壁30は第1筐体11のY1側縁部(縁部11d)を構成する。横壁30は縁部11dの全長に亘って延在している。本実施形態の第1筐体11は、縁部11dの中央部にY1側に膨出した突出部34を有する。突出部34はカメラモジュール等の設置スペースを拡大する部分であり、省略してもよい。他方の横壁31は第1筐体11の縁部11cを構成する。横壁31は中央部及びその周辺部が適宜切り欠かれ、ヒンジ14の構成部品や筐体11,12間を接続する配線の設置スペースとなる。
【0022】
縦壁32,33はY方向に沿って延在し、それぞれ横壁30,31と直交する。これにより立壁23は、内壁面23aの四隅にそれぞれコーナー壁部CW1~CW4が形成されている。横壁30と縦壁32,33が交差するコーナー壁部CW1,CW2はそれぞれ凹状部36を備えるが、詳細は後述する。他のコーナー壁部CW3,CW4は、例えば直角の壁面である。立壁23は、さらに、外壁面23bの四隅にそれぞれ外コーナー壁部CW5~CW8を有する。外コーナー壁部CW5~CW8は、それぞれコーナー壁部CW1~CW4の外側に設けられ、例えば円弧状(R形状)の壁面である。
【0023】
図2~
図4に示すように、本実施形態のディスプレイパネル18は平面視で矩形状に形成されている。このため、立壁23の内壁面23aと対向する外周側面18cは、四隅にコーナー部C1~C4を有する。
【0024】
コーナー部C1~C4は、立壁23のコーナー壁部CW1~CW4とそれぞれ対向する位置にある。本実施形態の場合、幅狭なベゼル部材22で覆われるY1側のコーナー部C1,C2とコーナー壁部CW1,CW2は、互いに近接した位置で対向する。つまりコーナー壁部CW1,CW2は、それぞれコーナー部C1,C2を回り込むように互いに近接して配置される。これによりベゼル部材22の幅狭化を図っている。ベゼル部材22の幅は、横壁30を覆う部分では例えば5.5mm程度にでき、縦壁32,33を覆う部分では例えば4.5mm程度にできる。
【0025】
一方、比較的幅広なベゼル部材22で覆われるY2側のコーナー部C3,C4は、コーナー壁部CW3,CW4からある程度の距離をあけた位置に配置される。すなわち、ベゼル部材22は、幅方向で一方側が立壁23のZ1側表面(貼着面23c)に両面テープ等で固定され、他方側が表示面18aのアクティブ領域18dの外側(非アクティブ領域)に両面テープ等で固定される。この際、縁部11cには金属ブラケット28等が配置されるため、ベゼル部材22の幅狭化には限界がある。ベゼル部材22の幅は、横壁31を覆う部分では例えば10mm以上となる。このため、縁部11cに対応するコーナー部C3,C4とコーナー壁部CW3,CW4との間にはある程度の距離を設けている。勿論、ヒンジ14や金属ブラケット28の構造等によっては、コーナー壁部CW3,CW4がコーナー部C3,C4を回り込むように近接配置される場合もあり得る。
【0026】
このように、本実施形態の電子機器10は、少なくともコーナー部C1,C2とコーナー壁部CW1,CW2が互いに近接した位置で対向する。他方で、ディスプレイパネル18は内面20aに対して両面粘着テープ26で固定されている。このため、電子機器10が落下等の衝撃を受けた際、ディスプレイパネル18が筐体部材20に対して相対移動し、コーナー部C1,C2がコーナー壁部CW1,CW2に衝突する可能性がある。そうするとディスプレイパネル18及び立壁23の一方又は両方が破損する懸念がある。
【0027】
そこで、本実施形態の電子機器10は、このような問題の発生を抑制するため、立壁23のコーナー壁部CW1,CW2に凹状部36を設けている。勿論、コーナー部C3,C4とコーナー壁部CW3,CW4とが互いに近接している場合等では、凹状部36はコーナー壁部CW3,CW4にも設けてもよい。
図3及び
図4では、X2側のコーナー壁部CW2の凹状部36について代表的に図示しているが、X1側のコーナー壁部CW1の凹状部36はX2側のものと左右対称である以外は同一又は同様な構成でよい。
【0028】
図3及び
図4に示すように、凹状部36は、コーナー壁部CW2を形成する内壁面23aをコーナー部C2から離間する方向(Y1方向)に凹ませた構成である。凹状部36はポケット状に形成され、コーナー部C1,C2の逃げ部として機能する。凹状部36の形状は限定されず、円弧状、矩形状又は多角形状等でもよいが、本実施形態では衝撃時の応力集中を抑制するため、円弧状を採用している。
【0029】
このように本実施形態の電子機器10は、コーナー壁部CW1,CW2に凹状部36を備える。これにより電子機器10は、落下等の衝撃を受けてディスプレイパネル18が立壁23に衝突した場合であっても、エッジであるコーナー部C1,C2が立壁23のコーナー壁部CW1,CW2に衝撃的に衝突すること、いわゆる角当たりを回避できる。すなわち電子機器10は、立壁23とディスプレイパネル18との隙間を可能な限り小さく構成してベゼル部材22の幅狭化を図り、外観品質を向上させることができる。そして、電子機器10は、このように立壁23とディスプレイパネル18との隙間を可能な限り小さく構成しつつも、衝撃時のディスプレイパネル18の破損や立壁23のクラック等の問題の発生を抑制できる。
【0030】
例えば凹状部36を持たない従来の電子機器は、外周側面18cと内壁面23aとの隙間を1mm程度は必要としていた。これに対し、本実施形態の電子機器10は、凹状部36を備える。このため電子機器10は外周側面18cと内壁面23aとの隙間を0.7mm程度まで縮小しても同様な衝撃に耐えることが可能となった。
【0031】
特に本実施形態の凹状部36は円弧状に形成されている。このため、凹状部36はディスプレイパネル18が衝突した際の応力集中を一層緩和でき、ディスプレイパネル18及び立壁23の破損を一層抑制できる。
【0032】
図4に示すように、凹状部36は、横壁30側(Y1側)には凹んでいるが、縦壁33側(X2側)には凹んでいない。つまり凹状部36は、横壁30を縦壁32,33の長手方向に沿うY1方向に凹ませた構成であり、縦壁32,33には設けられず。すなわち、横壁30は突出部34及びその周辺部に適宜切欠き等が形成され、ここにカメラモジュール等のデバイスが設置される。このため、横壁30の幅(Y方向幅)は、横壁31よりは薄いものの、縦壁32,33と比べると大きな厚みを有する。一方で、左右の縦壁32,33は、当該電子機器10を含め、一般的なノート型PC等ではカメラモジュール等のデバイスが設置されず、縦壁32,33の幅(X方向幅)は横壁30よりも十分に小さい。例えば横壁30の厚みは3~4mm程度が想定され、縦壁32,33の厚みは2~3mm程度が想定される。
【0033】
このため、仮に凹状部36を縦壁32,33側にも凹ませると、元々肉厚の薄い縦壁32,33の一部にさらに薄肉部分が形成され、筐体部材20の強度低下の問題を生じる可能性があった。そこで、本実施形態の凹状部36は、比較的肉厚の厚い横壁30側のみに形成し、縦壁32,33側には形成していない。なお、凹状部36は、横壁30側には凹ませず、縦壁32,33側にのみ凹ませた構成としてもよいことは言うまでもない。
【0034】
勿論、縦壁32,33の肉厚が十分である場合や、材質によって十分な強度が担保できる場合等には、
図5に示す変形例に係る凹状部38を用いることができる。凹状部38は、横壁30側及び縦壁32,33側のそれぞれに凹んだ構成である。但し、
図5に示すように横壁30と縦壁32,33の厚みが異なる場合には、凹状部38は、横壁30及び縦壁32,33のうち、厚みが小さい縦壁32,33に対する凹み幅W1よりも、厚みが大きい横壁30に対する凹み幅W2が大きいことが好ましい。これにより立壁23の強度低下を最小限に抑えることができる。
【0035】
なお、ベゼル部材22は、立壁23のZ1側表面(貼着面23c)と、ディスプレイパネル18の表示面18aの周縁部とに跨るように、それぞれ両面粘着テープ等で固定される(
図4及び
図5参照)。このため、凹状部36,38は、ディスプレイパネル18の外周側面18cと立壁23の内壁面23aとの間の隙間と共にベゼル部材22によって隠され、外観上に露出することはない。
【0036】
図6に示すように、電子機器10は、凹状部36,38に代えて凹状部40を用いてもよい。凹状部40は、少なくとも一部が第1筐体11の外面を形成する外コーナー壁部CW6と同心円である。
図6中に1点鎖線で示す円Aは、凹状部40が描く円弧の軌跡に沿った仮想円であり、例えば半径2mmである。
図6中に1点鎖線で示す円Bは、外コーナー壁部CW6が描く円弧の軌跡に沿った仮想円であり、例えば半径4.2mmである。これら円A,Bは、互いの中心Oが一致する同心円である。凹状部40は、このように外コーナー壁部CW6と同心円の円弧形状を有することで、凹状部40と外コーナー壁部CW6との間の立壁23の肉厚が均一化し、衝撃時の応力集中を一層抑えることができる。特にこのような凹状部40はディスプレイパネル18の衝突時の立壁23の破損防止に高い効果が得られる。
【0037】
なお、本発明は、上記した実施形態に限定されるものではなく、本発明の主旨を逸脱しない範囲で自由に変更できることは勿論である。
【符号の説明】
【0038】
10 電子機器
11 第1筐体
12 第2筐体
14 ヒンジ
18 ディスプレイパネル
18c 外周側面
20 筐体部材
23 立壁
23a 内壁面
23b 外壁面
30,31 横壁
32,33 縦壁
36,38,40 凹状部
C1~C4 コーナー部
CW1~CW4 コーナー壁部
CW5~CW8 外コーナー壁部
【手続補正書】
【提出日】2024-07-30
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
電子機器であって、
縁部に立壁を有し、前記立壁の外壁面によって外面が形成された筐体部材と、
表示面を有し、該表示面とは反対側の裏面が前記筐体部材の内面で支持され、前記表示面と前記裏面との間で起立する外周側面が前記立壁と対向するディスプレイパネルと、
を備え、
前記ディスプレイパネルの前記外周側面は、前記立壁自体の内壁面との間に隙間を挟んで直接的に対向し、
前記ディスプレイパネルは、前記外周側面にコーナー部を有し、
前記立壁は、前記外周側面と対向する前記内壁面に前記コーナー部を回り込むように配置されるコーナー壁部を有し、
前記コーナー壁部には、前記コーナー部から離間する方向に凹んだ凹状部が設けられている
ことを特徴とする電子機器。
【請求項2】
請求項1に記載の電子機器であって、
前記凹状部は、円弧状である
ことを特徴とする電子機器。
【請求項3】
請求項2に記載の電子機器であって、
前記立壁の前記外壁面は、前記コーナー壁部の外側に設けられた円弧状の外コーナー壁部を有し、
前記凹状部及び前記外コーナー壁部は、少なくとも一部が同心円である
ことを特徴とする電子機器。
【請求項4】
電子機器であって、
縁部に立壁を有する筐体部材と、
表示面を有し、該表示面とは反対側の裏面が前記筐体部材の内面で支持され、前記表示面と前記裏面との間で起立する外周側面が前記立壁と対向するディスプレイパネルと、
を備え、
前記ディスプレイパネルは、前記外周側面にコーナー部を有し、
前記立壁は、前記外周側面と対向する内壁面に前記コーナー部を回り込むように配置されるコーナー壁部を有し、
前記コーナー壁部には、前記コーナー部から離間する方向に凹んだ凹状部が設けられており、
前記立壁は、
前記コーナー壁部の一方を形成する縦壁と、
前記縦壁と直交し、前記コーナー壁部の他方を形成する横壁と、
を有し、
前記縦壁及び前記横壁の厚みが異なる場合に、前記凹状部は、前記縦壁及び前記横壁のうちの厚みが小さい一方側よりも、厚みが大きい他方側への凹み幅が大きい
ことを特徴とする電子機器。
【請求項5】
請求項4に記載の電子機器であって、
前記凹状部は、円弧状である
ことを特徴とする電子機器。
【請求項6】
請求項5に記載の電子機器であって、
前記立壁は、前記内壁面とは反対側で前記筐体部材の外面を形成する外壁面を有し、
前記外壁面は、前記コーナー壁部の外側に設けられた円弧状の外コーナー壁部を有し、
前記凹状部及び前記外コーナー壁部は、少なくとも一部が同心円である
ことを特徴とする電子機器。
【請求項7】
電子機器であって、
縁部に立壁を有する筐体部材と、
表示面を有し、該表示面とは反対側の裏面が前記筐体部材の内面で支持され、前記表示面と前記裏面との間で起立する外周側面が前記立壁と対向するディスプレイパネルと、
を備え、
前記ディスプレイパネルは、前記外周側面にコーナー部を有し、
前記立壁は、前記外周側面と対向する内壁面に前記コーナー部を回り込むように配置されるコーナー壁部を有し、
前記コーナー壁部には、前記コーナー部から離間する方向に凹んだ凹状部が設けられており、
当該電子機器は、さらに、
前記筐体部材を有し、矩形状の外形を有する第1筐体と、
矩形状の外形を有し、前記第1筐体と隣接する第2筐体と、
前記第1筐体の一縁部と、前記第2筐体の一縁部とを相対的に回動可能に連結するヒンジと、
を備え、
前記立壁は、
前記ヒンジが連結される前記第1筐体の一縁部と直交する一対の縁部に沿って延在し、前記コーナー壁部の一方を形成する一対の縦壁と、
前記ヒンジが連結される前記第1筐体の一縁部とは反対側で前記一対の縦壁と直交するように延在し、前記コーナー壁部の他方を形成する横壁と、
を有し、
前記凹状部は、前記一対の縦壁と前記横壁との間に形成される一対のコーナー壁部のそれぞれに設けられており、
前記一対の縦壁は、前記横壁よりも厚みが薄く形成され、
前記凹状部は、前記コーナー壁部を形成する前記縦壁及び前記横壁のうち、前記縦壁には設けられず、且つ、前記横壁を前記縦壁の長手方向に沿う方向に凹ませて形成されている
ことを特徴とする電子機器。