(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024170063
(43)【公開日】2024-12-06
(54)【発明の名称】半導体装置
(51)【国際特許分類】
H01L 21/336 20060101AFI20241129BHJP
H01L 29/06 20060101ALI20241129BHJP
【FI】
H01L29/78 301W
H01L29/78 301R
H01L29/06 301F
【審査請求】未請求
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023087019
(22)【出願日】2023-05-26
(71)【出願人】
【識別番号】000106276
【氏名又は名称】サンケン電気株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100102532
【弁理士】
【氏名又は名称】好宮 幹夫
(74)【代理人】
【識別番号】100194881
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 俊弘
(74)【代理人】
【識別番号】100215142
【弁理士】
【氏名又は名称】大塚 徹
(72)【発明者】
【氏名】青木 宏憲
【テーマコード(参考)】
5F140
【Fターム(参考)】
5F140AA18
5F140AC01
5F140BA01
5F140BF42
5F140BH14
5F140BH17
5F140BH30
5F140CB07
5F140CB10
5F140CD09
(57)【要約】 (修正有)
【課題】分離領域からドレイン領域へのパンチスルー電流を抑制した半導体装置を提供する。
【解決手段】半導体素子20(高耐圧のP型MOSFET)と分離領域8とを備えた半導体装置であって、半導体素子は第1導電型の基板1上の第2導電型の第1半導体領域2と、第1半導体領域上の第1導電型の第2半導体領域3と、第2半導体領域から離間し、第1半導体領域上の第1導電型の第3半導体領域4と、第2、第3半導体領域の間の第1半導体領域の表面領域に形成されたチャネル領域12と、チャネル領域上のゲート電極5と、第2半導体領域上の第1主電極6と、第3半導体領域上の第2主電極7と、分離電極11と、第2主電極とゲート電極との間の第1の容量性フィールドプレート(MFFP)群9と、第2主電極と分離電極との間の第2のMFFP群10と、を備え、第1のMFFP群及び第2のMFFP群における第2主電極に隣接した導電体膜が接続していない。
【選択図】
図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
半導体素子と、前記半導体素子を平面的に囲繞する第1導電型の分離領域とを備えた半導体装置であって、
前記半導体素子は、
第1導電型の半導体基板上に形成された第2導電型の第1半導体領域と、
該第1半導体領域上に形成された第1導電型の第2半導体領域と、
該第2半導体領域から離間し且つ前記第1半導体領域上に形成された第1導電型の第3半導体領域と、
前記第2半導体領域と前記第3半導体領域の間の前記第1半導体領域の表面領域に形成されたチャネル領域と、
該チャネル領域上に絶縁膜を介して形成されたゲート電極と、
前記第2半導体領域と電気的に接続した第1主電極と、
前記第3半導体領域と電気的に接続した第2主電極と、
前記分離領域上に設けられ、前記分離領域と電気的に接続した分離電極と、
前記第2主電極と前記ゲート電極との間に設けられ、複数の導体膜が互いに離間して並置された第1の容量性フィールドプレート群と、
前記第2主電極7と分離電極との間に設けられ、複数の導体膜が互いに離間して並置された第2の容量性フィールドプレート群と、を備え、
前記第1の容量性フィールドプレート群を構成する前記複数の導電体膜のうちの前記第2主電極に隣接した導電体膜と、前記第2の容量性フィールドプレート群を構成する前記複数の導電体膜のうちの前記第2主電極に隣接した導電体膜とが物理的に接続していないものであることを特徴とする半導体装置。
【請求項2】
前記第1の容量性フィールドプレート群及び前記第2の容量性フィールドプレート群は、それぞれ、断面視で高さ位置の異なる上部導電体群と下部導電体群を備え、
前記半導体装置を平面視したときに、前記第2の容量性フィールドプレート群を構成する上部導電体群と下部導電体群が重なる領域の面積は、前記第1の容量性フィールドプレート群を構成する上部導電体群と下部導電体群が重なる領域の面積よりも大きいものであることを特徴とする請求項1に記載の半導体装置。
【請求項3】
前記半導体素子を含む前記分離領域に囲まれた領域は、平面視で、対向する2つの直線と、該2つの直線の端部同士を接続する2つの曲線で囲まれた形状であり、
前記半導体素子は、前記対向する2つの直線に挟まれた領域に設けられたものであることを特徴とする請求項1又は2に記載の半導体装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体素子と、該半導体素子を平面的に囲繞する分離領域とを備えた半導体装置に関する。
【背景技術】
【0002】
半導体素子として高耐圧P型MOSFETの一例(断面図)を
図4に示す。
図4に示すように、高耐圧のP型MOSFET(半導体素子)20は、例えば、第1導電型(P型)の半導体基板1上に第2導電型(N型)の第1半導体領域2が形成され、N型の第1半導体領域2上に形成されたP型の第2半導体(ソース)領域3と、P型の第2半導体(ソース)領域3から離間し且つN型半導体領域2上に形成されたP型ドレイン領域4と、P型の第2半導体(ソース)領域3とP型の第3半導体(ドレイン)領域4の間のN型半導体領域2の表面領域に形成されたチャネル領域12と、チャネル領域12上に絶縁膜5aを介して形成されたゲート電極5と、P型の第2半導体(ソース)領域3と電気的に接続した第1主電極(ソース電極)6と、P型の第3半導体(ドレイン)領域4と電気的に接続した第2主電極(ドレイン電極)7と、高耐圧P型MOSFETを他の半導体素子から分離するP型の分離領域8とを備える。
【0003】
さらに、第2主電極(ドレイン電極)7とゲート電極5との間において複数の導体膜が互いに離間して並置されて容量結合された第1の容量性フィールドプレート(MFFPともいう)群9が設けられており、導体膜間に生じる容量によりドレイン・ゲート間電圧が分配されることで、各導体膜直下の半導体領域表面の電位も分配される。また、第2主電極(ドレイン電極)7とP型の分離領域8との間において複数の導体膜が互いに離間して並置されて容量結合された第2の容量性フィールドプレート群10が設けられており、導体膜間に生じる容量によりドレイン・P型分離領域間電圧が分配されることで、各導体膜直下の半導体領域表面の電位も分配される。なお、P型の分離領域は例えばグランド電位に接地される。
【0004】
また、平面的に見て、略円形又は略四角形に形成された半導体素子領域の一部分を切り取り、切り取られた部分にその半導体素子とは別に高耐圧P型MOSFETを設けるなどした、複合半導体素子などもある。例えば、特許文献1などがある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上述のような高耐圧MOSFETなどの半導体素子を備えた半導体装置では、パンチスルー電流が分離領域からドレイン領域へと流れてしまう問題がある。
【0007】
本発明は、上記問題を解決するためになされたものであり、分離領域からドレイン領域へとパンチスルー電流が流れることを抑制した半導体装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、上記目的を達成するためになされたものであり、半導体素子と、前記半導体素子を平面的に囲繞する第1導電型の分離領域とを備えた半導体装置であって、
前記半導体素子は、
第1導電型の半導体基板上に形成された第2導電型の第1半導体領域と、
該第1半導体領域上に形成された第1導電型の第2半導体領域と、
該第2半導体領域から離間し且つ前記第1半導体領域上に形成された第1導電型の第3半導体領域と、
前記第2半導体領域と前記第3半導体領域の間の前記第1半導体領域の表面領域に形成されたチャネル領域と、
該チャネル領域上に絶縁膜を介して形成されたゲート電極と、
前記第2半導体領域と電気的に接続した第1主電極と、
前記第3半導体領域と電気的に接続した第2主電極と、
前記分離領域上に設けられ、前記分離領域と電気的に接続した分離電極と、
前記第2主電極と前記ゲート電極との間に設けられ、複数の導体膜が互いに離間して並置された第1の容量性フィールドプレート群と、
前記第2主電極7と分離電極との間に設けられ、複数の導体膜が互いに離間して並置された第2の容量性フィールドプレート群と、を備え、
前記第1の容量性フィールドプレート群を構成する前記複数の導電体膜のうちの前記第2主電極に隣接した導電体膜と、前記第2の容量性フィールドプレート群を構成する前記複数の導電体膜のうちの前記第2主電極に隣接した導電体膜とが物理的に接続していないものである半導体装置を提供する。
【0009】
このような半導体装置によれば、分離領域からドレイン領域へとパンチスルー電流が流れることを抑制できるものとなる。
【0010】
このとき、前記第1の容量性フィールドプレート群及び前記第2の容量性フィールドプレート群は、それぞれ、断面視で高さ位置の異なる上部導電体群と下部導電体群を備え、
前記半導体装置を平面視したときに、前記第2の容量性フィールドプレート群を構成する上部導電体群と下部導電体群が重なる領域の面積は、前記第1の容量性フィールドプレート群を構成する上部導電体群と下部導電体群が重なる領域の面積よりも大きいものである半導体装置とすることができる。
【0011】
これにより、パンチスルー電流が流れることをより効果的に抑制できるものとなる。
【0012】
このとき、前記半導体素子を含む前記分離領域に囲まれた領域は、平面視で、対向する2つの直線と、該2つの直線の端部同士を接続する2つの曲線で囲まれた形状であり、
前記半導体素子は、前記対向する2つの直線に挟まれた領域に設けられたものである半導体装置とすることができる。
【0013】
本発明はこのような構造のものに対して、パンチスルー電流が流れることをより効果的に抑制できるものとなる。
【発明の効果】
【0014】
以上のように、本発明の半導体装置によれば、分離領域からドレイン領域へとパンチスルー電流が流れることを抑制できるものとなる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【
図2】本発明に係るフィールドプレートの配置例(平面図)を示す。
【
図3】本発明の変形例に係るフィールドプレートの配置例(平面図及び断面図)を示す。
【
図5】参考例に係るフィールドプレートの例を示す。
【
図6】参考例に係るフィールドプレートの他の例を示す。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明を詳細に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
【0017】
上述のように、分離領域からドレイン領域へとパンチスルー電流が流れることを抑制した半導体装置が求められていた。
【0018】
本発明者らは、上記課題について鋭意検討を重ねた結果、半導体素子と、前記半導体素子を平面的に囲繞する第1導電型の分離領域とを備えた半導体装置であって、
前記半導体素子は、
第1導電型の半導体基板上に形成された第2導電型の第1半導体領域と、
該第1半導体領域上に形成された第1導電型の第2半導体領域と、
該第2半導体領域から離間し且つ前記第1半導体領域上に形成された第1導電型の第3半導体領域と、
前記第2半導体領域と前記第3半導体領域の間の前記第1半導体領域の表面領域に形成されたチャネル領域と、
該チャネル領域上に絶縁膜を介して形成されたゲート電極と、
前記第2半導体領域と電気的に接続した第1主電極と、
前記第3半導体領域と電気的に接続した第2主電極と、
前記分離領域上に設けられ、前記分離領域と電気的に接続した分離電極と、
前記第2主電極と前記ゲート電極との間に設けられ、複数の導体膜が互いに離間して並置された第1の容量性フィールドプレート群と、
前記第2主電極7と分離電極との間に設けられ、複数の導体膜が互いに離間して並置された第2の容量性フィールドプレート群と、を備え、
前記第1の容量性フィールドプレート群を構成する前記複数の導電体膜のうちの前記第2主電極に隣接した導電体膜と、前記第2の容量性フィールドプレート群を構成する前記複数の導電体膜のうちの前記第2主電極に隣接した導電体膜とが物理的に接続していないものである半導体装置により、分離領域からドレイン領域へとパンチスルー電流が流れることを抑制できるものとなることを見出し、本発明を完成した。
【0019】
以下、図面を参照して説明する。
【0020】
まず、本発明者が、パンチスルー電流が分離領域8からドレイン領域4へと流れてしまう原因について検討を行った結果について説明する。ドレイン電極7には高電圧が印加されるため、第1の容量性フィールドプレート群9のドレイン電極7側の一部と第2の容量性フィールドプレート群10のドレイン電極7側の一部はドレイン電極7を囲むように互いに接続し、第1の容量性フィールドプレート群9の残りは高耐圧P型MOSFETだけでなく他の半導体素子を含めて囲むように形成されることがある。このような例を
図5、
図6に示す。
図5に示す例は、第1の容量性フィールドプレート群9のうちドレイン電極7に隣接する導電体9aと第2の容量性フィールドプレート群10のうちドレイン電極7に隣接する導電体10aとが一体となってドレイン電極7を囲繞しているものである。
図6に示す例は、1本の導電体が、第1の容量性フィールドプレート群9のうちドレイン電極7に隣接する導電体9aと、第2の容量性フィールドプレート群10のうちドレイン電極7に隣接する導電体10aとに枝分かれしてドレイン電極7を囲繞しているものである。
【0021】
上述のような参考例の場合について、
図7に、Bの容量を1.0とした時の各キャパシタの容量、及び、分離領域8とドレイン電極7の間に30V印加したときの各キャパシタの電圧をシミュレーションにより求めた結果を示す。
図7に示すように、ドレイン電極7を囲むように形成された導電体膜間で生じる第1の容量性フィールドプレート群9の一部の容量(A、B)は第1の容量性フィールドプレート群9の他の導電体膜間で生じる容量(C1~C7)よりも十分小さくなることがわかった。
【0022】
シミュレーションの結果、P型の分離領域8とN型の第1半導体領域2との界面から延びる空乏層が第1の容量性フィールドプレート群9の導電体膜間の容量が略等容量の場合に比べて十分伸びやすくなってしまい、導電体膜間の容量が略等容量の場合に比べてドレイン電極側の導電体膜の電位がかなり高くなってしまい、平面的に見てP型ドレイン領域4がドレイン電極を囲むように形成された第1、2の容量性フィールドプレート群9、10の一部よりもゲート電極側まで形成されていると、高耐圧MOSFETでは、パンチスルー電流が分離領域からドレイン領域へと、
図7の破線矢印に示す経路で流れてしまうことがわかった。
【0023】
そこで本発明者は、
図2に示すように、第1の容量性フィールドプレート群9を構成する複数の導電体膜9a、9b、9c・・・のうちの第2主電極(ドレイン電極)に隣接した導電体膜9aと、第2の容量性フィールドプレート群10を構成する複数の導電体膜10a、10b、10c・・・のうちの第2主電極(ドレイン電極)に隣接した導電体膜10aとが物理的に接続していないものとすることで、分離領域からドレイン領域へとパンチスルー電流が流れることを抑制できることを見出した。
【0024】
[半導体装置]
次に、
図1の平面図に基づいて半導体装置100について説明する。半導体装置100は、半導体素子20と、半導体素子20を平面的に囲繞する第1導電型の分離領域8とを備えたものである。また、
図4の半導体装置の断面図は、
図1のA-A’断面に対応する。なお、以下の説明に用いる
図1~7では、説明及び図面の簡略化のために導電体の本数は統一していない。
【0025】
以下の説明では、第1導電型がP型、第2導電型がN型の例で説明するが、P型とN型の関係は逆であってもよい。半導体素子20は、例えばP型MOSFETでありうる。この場合、第2半導体領域3はP型ソース領域、第1主電極6はソース電極、第3半導体領域4はP型ドレイン領域、第2主電極7はドレイン電極でありうる。以下、半導体素子20としてP型MOSFETを形成した例で説明するが、半導体素子20はこれに限定されない。
【0026】
半導体装置100は、
図1に示すように、第1導電型(P型)の分離領域8の内側に半導体素子(P型MOSFET)20が設けられている。
【0027】
半導体素子(P型MOSFET)20は、
図4の断面図に示すように、第1導電型(P型)の半導体基板1上に、例えばエピタキシャル成長により形成された第2導電型(N型)の第1半導体領域2と、第1半導体領域2の上に形成された第1導電型の第2半導体(ソース)領域3と、第2半導体領域3から離間し且つ第1半導体領域上に形成された第1導電型の第3半導体(ドレイン)領域4と、第2半導体(ソース)領域3と第3半導体(ドレイン)領域4の間の第1半導体領域の表面領域に形成されたチャネル領域12と、チャネル領域12上に絶縁膜を介して形成されたゲート電極5と、第2半導体領域3と電気的に接続した第1主電極(ソース電極)6と、第3半導体領域4と電気的に接続した第2主電極(ドレイン電極)7と、分離領域8上に設けられ、分離領域8と電気的に接続した分離電極11と、第2主電極7とゲート電極5との間に設けられ、複数の導体膜が互いに離間して並置された第1の容量性フィールドプレート群9と、第2主電極7と分離電極との間に設けられ、複数の導体膜が互いに離間して並置された第2の容量性フィールドプレート群10とを備えている。
【0028】
また、
図1に示すように半導体素子(P型MOSFET)20は左右対称に形成されている。第2の容量性フィールドプレート群10は左右に設けられた半導体素子(P型MOSFET)20を外側から囲むように形成されている。また、第1の容量性フィールドプレート群9は半導体素子(P型MOSFET)20の左右のゲート電極5と第1主電極(ソース電極)6を囲むように、ゲート電極5と第2主電極(ドレイン電極)7の間に形成されている。
【0029】
そして、第1の容量性フィールドプレート群9を構成する複数の導電体膜のうちの第2主電極7に隣接した導電体膜と、第2の容量性フィールドプレート群10を構成する複数の導電体膜のうちの第2主電極に隣接した導電体膜とが物理的に接続していないものである。言い換えると、第2主電極に隣接した導電体膜がドレイン電極7を連続的に囲むように形成されていない。
図1における第2主電極(ドレイン電極)7部の近傍を拡大した図を
図2に示す。このような構造とすることで、ドレイン-分離領域間の容量性フィールドプレートにおける各導電体における容量が比較的同程度になるため、半導体表面には比較的均等な電圧がかかるようになり、ドレイン電極7近傍における空乏層の伸びが
図5や
図6の半導体装置と比較して比較的緩やかになる。その結果、分離領域からドレイン領域へとパンチスルー電流が流れることを抑制できる。
【0030】
第2主電極に隣接していない第1の容量性フィールドプレート群9を構成する導電体膜と第2主電極に隣接していない第2の容量性フィールドプレート群10を構成する導電体膜とが物理的に接続したものが存在していてもよいが、第2主電極に隣接していない第1の容量性フィールドプレート群9を構成する導電体膜と第2主電極に隣接していない第2の容量性フィールドプレート群10を構成する導電体膜の全てが物理的に分離されていることが好ましい。
【0031】
本発明に係る半導体装置においては、
図1、3に示すように、第1の容量性フィールドプレート群9及び第2の容量性フィールドプレート群10は、それぞれ、断面視で高さ位置の異なる下部導電体群9L、10Lと上部導電体群9U、10Uを備えるものであることが好ましい。なお、高さ位置の異なる更なる導電体群がさらに設けられていてもよい。この場合さらに、
図3(a)の平面図、
図3(b)の断面図に示すように、半導体装置を平面視したときに、第2の容量性フィールドプレート群10を構成する上部導電体群10Uと下部導電体群10Lが重なる領域の面積が、第1の容量性フィールドプレート群9を構成する上部導電体群9Uと下部導電体群9Lが重なる領域の面積よりも大きいものであることが好ましい。このような
図3(b)に示す本発明の変形例に係るフィールドプレートの配置例(断面図)では、W10>W9のように、重なる領域の広さ(幅)が異なる。このようなものは、第2の容量性フィールドプレート群10の導電体膜間に生じる容量が増加し、分離領域8と第2主電極(ドレイン電極)7間の電位固定が高まり、第2の容量性フィールドプレート群10よりも上部にある他の電極からの電位の影響を受けにくくなる。その結果、パンチスルー電流が流れることをより効果的に抑制できる。
【0032】
また、
図1に示されるように、半導体素子20が形成される分離領域8に囲まれた領域を、平面視で、対向する2つの直線L1、L2と、2つの直線L1、L2の端部同士を接続する2つの曲線C1、C2で囲まれた形状とし、半導体素子20を、対向する2つの直線L1、L2に挟まれた領域Lに設けることがより好ましい。パンチスルー電流が流れることをより効果的に抑制できるものとなる。2つの直線L1、L2に挟まれた領域では、近傍に曲線部分がないものとなるため、曲線に近い部分で電界集中が生じる可能性を低くできるためである。なお、分離領域8に囲まれた領域内には半導体素子20以外の半導体素子を設けることも可能である。
【0033】
なお、本発明は、上記実施形態に限定されるものではない。上記実施形態は例示であり、本発明の特許請求の範囲に記載された技術的思想と実質的に同一な構成を有し、同様な作用効果を奏するものは、いかなるものであっても本発明の技術的範囲に包含される。
【符号の説明】
【0034】
1…半導体基板、 2…第1半導体領域、 3…第2半導体(ソース)領域、
4…第3半導体(ドレイン)領域、 5…ゲート電極、 5a…ゲート酸化膜、
6…第1主電極(ソース電極)、 7…第2主電極(ドレイン電極)、
8…分離領域、
9…第1の容量性フィールドプレート群、
9L…下部導電体群、 9U…上部導電体群、
9a、9b、9c…導電体膜、
10…第2の容量性フィールドプレート群、
10L…下部導電体群、 10U…上部導電体群、
10a、10b、10c…導電体膜、
12…チャネル領域、
20…半導体素子、 100…半導体装置。
L…直線で挟まれた領域、 L1、L2…直線、 C1、C2…曲線。