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特開2024-170075画像形成装置、同装置の汚れ検出方法及びプログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024170075
(43)【公開日】2024-12-06
(54)【発明の名称】画像形成装置、同装置の汚れ検出方法及びプログラム
(51)【国際特許分類】
   G03G 21/00 20060101AFI20241129BHJP
   B41J 29/38 20060101ALI20241129BHJP
【FI】
G03G21/00 510
G03G21/00 386
B41J29/38 301
【審査請求】未請求
【請求項の数】16
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023087035
(22)【出願日】2023-05-26
(71)【出願人】
【識別番号】000001270
【氏名又は名称】コニカミノルタ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100099885
【弁理士】
【氏名又は名称】高田 健市
(72)【発明者】
【氏名】堤 敬典
(72)【発明者】
【氏名】廣田 創
(72)【発明者】
【氏名】豊福 克也
(72)【発明者】
【氏名】内貴 繁喜
(72)【発明者】
【氏名】中野 統成
【テーマコード(参考)】
2C061
2H270
【Fターム(参考)】
2C061AQ06
2C061HJ07
2C061HK11
2C061HV08
2C061HV32
2H270KA04
2H270KA32
2H270LA99
2H270LC10
2H270LD03
2H270LD08
2H270LD15
2H270MA01
2H270MA14
2H270MB25
2H270MB29
2H270MB30
2H270MB43
2H270MC01
2H270MD10
2H270MD29
2H270QB05
2H270QB08
2H270RA15
2H270RA27
2H270RB09
2H270RC03
2H270RC18
2H270ZC03
(57)【要約】
【課題】汚れ検出専用のセンサを追加することなく、しかも熱等に影響されることなく、機内の汚れを判断することができる画像形成装置、同装置の汚れ検出方法およびプログラムを提供する。
【解決手段】画像形成装置1は、画像データを印刷媒体2に印刷する印刷手段10、印刷媒体の搬送経路上に設けられ、印刷媒体の有無を光により検知する少なくとも1個の印刷媒体検知手段30~34、印刷媒体検知手段の出力変化から、自装置の汚れ状態を判断する判断手段50a、判断手段により判断した汚れ状態に応じて警告を通知する通知手段50aを備えている。
【選択図】図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
画像データを印刷媒体に印刷する印刷手段と、
前記印刷媒体の搬送経路上に設けられ、前記印刷媒体の有無を光により検知する少なくとも1個の印刷媒体検知手段と、
前記印刷媒体検知手段の出力変化から、自装置の汚れ状態を判断する判断手段と、
前記判断手段により判断した汚れ状態に応じて警告を通知する通知手段と、
を備えたことを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
第1の印刷媒体検知手段と第2の印刷媒体検知手段を含む複数個の前記印刷媒体検知手段が、前記搬送経路上の少なくとも2か所の位置に設けられ、
前記判断手段は、第1の印刷媒体検知手段の出力を基準にしたときの第2の印刷媒体検知手段の相対出力と閾値との比較を基に、汚れ状態と判断する請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記判断手段により、前記第2の印刷媒体検知手段の近傍が汚れ状態と判断された場合、前記通知手段は前記第2の印刷媒体検知手段の近傍を汚れ該当箇所として警告を通知する請求項2に記載の画像形成装置。
【請求項4】
相対出力を算出するための基準となる前記第1の印刷媒体検知手段は、前記第2の印刷媒体検知手段よりも搬送経路上の下流側に位置する請求項2または3に記載の画像形成装置。
【請求項5】
前記印刷媒体を排紙する排紙部を備え、
前記第1の印刷媒体検知手段は前記排紙部の近傍に備えられている請求項4に記載の画像形成装置。
【請求項6】
自装置内の汚れ状態の判断に用いられる前記印刷媒体検知手段の出力は、前記印刷媒体に対する複数回の検知動作による出力の平均値である請求項1~3の何れかに記載の画像形成装置。
【請求項7】
前記印刷媒体に対する複数回の検知動作は、1枚の印刷媒体に対する複数回の検知動作、または複数枚の印刷媒体に対する検知動作である請求項6に記載の画像形成装置。
【請求項8】
前記閾値として、機内汚れを判断するための第1の閾値と印刷媒体検知手段の汚れを判断するための第2の閾値を有し、前記通知手段は、前記第1の閾値に基づいて機内汚れと判断される場合は機内汚れの警告を、前記第2の閾値に基づいて印刷媒体検知手段の汚れと判断される場合は印刷媒体検知手段の汚れの警告を、それぞれ通知する請求項2または3に記載の画像形成装置。
【請求項9】
機内汚れが印刷媒体検知手段の汚れよりも先に検知されるように、前記第1の閾値と第2の閾値が設定されている請求項8に記載の画像形成装置。
【請求項10】
前記印刷手段は、
像担持体と、
像担持体を帯電させる帯電部と、
前記像担持体上にトナー画像を形成する現像部と、
前記像担持体上のトナー画像を前記印刷媒体に転写する転写部と、
を備え、
前記判断手段により、前記転写部の最近傍の印刷媒体検知手段の汚れと判断される場合、前記帯電部と前記現像部の印可電圧ギャップを広げることを特徴とする請求項1~3のいずれかに記載の画像形成装置。
【請求項11】
前記判断手段により、前記転写部の最近傍の印刷媒体検知手段の汚れと判断される場合、前記現像部のトナーを強制的に消費させることを特徴とする請求項10に記載の画像形成装置。
【請求項12】
前記印刷手段は、
像担持体と、
像担持体を帯電させる帯電部と、
前記像担持体上にトナー画像を形成する現像部と、
前記像担持体上のトナー画像を前記印刷媒体に転写する転写部と、
を備え、
前記判断手段により、前記転写部の最近傍の印刷媒体検知手段よりも上流部の印刷媒体検知手段の汚れと判断される場合、前記印刷媒体の搬送速度を減速させることを特徴とする請求項1~3のいずれかに記載の画像形成装置。
【請求項13】
前記印刷手段は、
像担持体と、
像担持体を帯電させる帯電部と、
前記像担持体上にトナー画像を形成する現像部と、
前記像担持体上のトナー画像を前記印刷媒体に転写する転写部と、
前記像担持体上のトナー量を光検知するトナー量検知手段と、
を備え、
前記トナー量検知手段は、前記像担持体上の非トナー部での出力が所定の範囲となる様に発光値を制御する光量制御部を備え、
前記判断手段は、前記トナー量検知手段の光量変化と前記印刷媒体検知手段の出力変化からトナー量検知手段の汚れを判断し、前記通知手段は、前記推定手段により判断したトナー量検知手段の汚れ状態に応じて警告を通知する請求項1~3のいずれかに記載の画像形成装置。
【請求項14】
前記トナー量検知手段の光量変化量は、前記像担持体が新品の時からの光量差分であることを特徴とする請求項13に記載の画像形成装置。
【請求項15】
画像データを印刷媒体に印刷する印刷手段と、
前記印刷媒体の搬送経路上に設けられ、前記印刷媒体の有無を光により検知する少なくとも1個の印刷媒体検知手段と、
を備えた画像形成装置が、
前記印刷媒体検知手段の出力変化から、自装置の汚れ状態を判断する判断ステップと、
前記判断ステップで判断した汚れ状態に応じて警告を通知する通知ステップと、
を実施することを特徴とする画像形成装置の汚れ検出方法。
【請求項16】
画像データを印刷媒体に印刷する印刷手段と、
前記印刷媒体の搬送経路上に設けられ、前記印刷媒体の有無を光により検知する少なくとも1個の印刷媒体検知手段と、
を備えた画像形成装置のコンピュータに、
前記印刷媒体検知手段の出力変化から、自装置の汚れ状態を判断する判断ステップと、
前記判断ステップで判断した汚れ状態に応じて警告を通知する通知ステップと、
を実行させるためのプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、複写機、プリンタ、あるいはMFPと称される多機能デジタル複合機等の画像形成装置、同装置の汚れ検出方法およびプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
上記のような画像形成装置として、一定量の印刷枚数毎や一定期間ごとに各種ユニットがクリーニング動作を行い、各種ユニットの付着物を除去する機能を備えたものが知られている。またサービスマンやユーザーに一定量の印刷枚数や一定期間ごとに清掃を促すように警告を通知する技術も知られている。
【0003】
特許文献1には、定着ユニットの汚れ量を検知する手段と画像データの属性情報から汚れを軽減させるよう画像形成装置の動作を制御する技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2011-64791号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記特許文献1に記載の技術では、定着ユニットの汚れを検知するセンサは、定着ユニットの反射光を検知し汚れを判断している。しかし、この判断方法では、定着ユニットに生じる熱の影響で誤検知してしまうという課題がある。また定着ユニットに付着した汚れを判断することは出来るが、画像形成装置の全体の汚れを判断するには対象ユニットごとにセンサが必要となってしまう。このため、コストの観点から好ましくない。
【0006】
この発明は、このような技術的背景に鑑みてなされたものであって、汚れ検出専用のセンサを追加することなく、しかも熱等に影響されることなく、機内の汚れを判断することができる画像形成装置、同装置の汚れ検出方法およびプログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的は、以下の手段によって達成される。
(1)画像データを印刷媒体に印刷する印刷手段と、
前記印刷媒体の搬送経路上に設けられ、前記印刷媒体の有無を光により検知する少なくとも1個の印刷媒体検知手段と、
前記印刷媒体検知手段の出力変化から、自装置の汚れ状態を判断する判断手段と、
前記判断手段により判断した汚れ状態に応じて警告を通知する通知手段と、
を備えたことを特徴とする画像形成装置。
(2)第1の印刷媒体検知手段と第2の印刷媒体検知手段を含む複数個の前記印刷媒体検知手段が、前記搬送経路上の少なくとも2か所の位置に設けられ、
前記判断手段は、第1の印刷媒体検知手段の出力を基準にしたときの第2の印刷媒体検知手段の相対出力と閾値との比較を基に、汚れ状態と判断する前項1に記載の画像形成装置。
(3)前記判断手段により、前記第2の印刷媒体検知手段の近傍が汚れ状態と判断された場合、前記通知手段は前記第2の印刷媒体検知手段の近傍を汚れ該当箇所として警告を通知する前項2に記載の画像形成装置。
(4)相対出力を算出するための基準となる前記第1の印刷媒体検知手段は、前記第2の印刷媒体検知手段よりも搬送経路上の下流側に位置する前項2または3に記載の画像形成装置。
(5)前記印刷媒体を排紙する排紙部を備え、
前記第1の印刷媒体検知手段は前記排紙部の近傍に備えられている前項4に記載の画像形成装置。
(6)自装置内の汚れ状態の判断に用いられる前記印刷媒体検知手段の出力は、前記印刷媒体に対する複数回の検知動作による出力の平均値である前項1~3の何れかに記載の画像形成装置。
(7)前記印刷媒体に対する複数回の検知動作は、1枚の印刷媒体に対する複数回の検知動作、または複数枚の印刷媒体に対する検知動作である前項6に記載の画像形成装置。
(8)前記閾値として、機内汚れを判断するための第1の閾値と印刷媒体検知手段の汚れを判断するための第2の閾値を有し、前記通知手段は、前記第1の閾値に基づいて機内汚れと判断される場合は機内汚れの警告を、前記第2の閾値に基づいて印刷媒体検知手段の汚れと判断される場合は印刷媒体検知手段の汚れの警告を、それぞれ通知する前項2または3に記載の画像形成装置。
(9)機内汚れが印刷媒体検知手段の汚れよりも先に検知されるように、前記第1の閾値と第2の閾値が設定されている前項8に記載の画像形成装置。
(10)前記印刷手段は、
像担持体と、
像担持体を帯電させる帯電部と、
前記像担持体上にトナー画像を形成する現像部と、
前記像担持体上のトナー画像を前記印刷媒体に転写する転写部と、
を備え、
前記判断手段により、前記転写部の最近傍の印刷媒体検知手段の汚れと判断される場合、前記帯電部と前記現像部の印可電圧ギャップを広げることを特徴とする前項1~3のいずれかに記載の画像形成装置。
(11)前記判断手段により、前記転写部の最近傍の印刷媒体検知手段の汚れと判断される場合、前記現像部のトナーを強制的に消費させることを特徴とする前項10に記載の画像形成装置。
(12)前記印刷手段は、
像担持体と、
像担持体を帯電させる帯電部と、
前記像担持体上にトナー画像を形成する現像部と、
前記像担持体上のトナー画像を前記印刷媒体に転写する転写部と、
を備え、
前記判断手段により、前記転写部の最近傍の印刷媒体検知手段よりも上流部の印刷媒体検知手段の汚れと判断される場合、前記印刷媒体の搬送速度を減速させることを特徴とする前項1~3のいずれかに記載の画像形成装置。
(13)前記印刷手段は、
像担持体と、
像担持体を帯電させる帯電部と、
前記像担持体上にトナー画像を形成する現像部と、
前記像担持体上のトナー画像を前記印刷媒体に転写する転写部と、
前記像担持体上のトナー量を光検知するトナー量検知手段と、
を備え、
前記トナー量検知手段は、前記像担持体上の非トナー部での出力が所定の範囲となる様に発光値を制御する光量制御部を備え、
前記判断手段は、前記トナー量検知手段の光量変化と前記印刷媒体検知手段の出力変化からトナー量検知手段の汚れを判断し、前記通知手段は、前記推定手段により判断したトナー量検知手段の汚れ状態に応じて警告を通知する前項1~3のいずれかに記載の画像形成装置。
(14)前記トナー量検知手段の光量変化量は、前記像担持体が新品の時からの光量差分であることを特徴とする前項13に記載の画像形成装置。
(15)画像データを印刷媒体に印刷する印刷手段と、
前記印刷媒体の搬送経路上に設けられ、前記印刷媒体の有無を光により検知する少なくとも1個の印刷媒体検知手段と、
を備えた画像形成装置が、
前記印刷媒体検知手段の出力変化から、自装置の汚れ状態を判断する判断ステップと、
前記判断ステップで判断した汚れ状態に応じて警告を通知する通知ステップと、
を実施することを特徴とする画像形成装置の汚れ検出方法。
(16)画像データを印刷媒体に印刷する印刷手段と、
前記印刷媒体の搬送経路上に設けられ、前記印刷媒体の有無を光により検知する少なくとも1個の印刷媒体検知手段と、
を備えた画像形成装置のコンピュータに、
前記印刷媒体検知手段の出力変化から、自装置の汚れ状態を判断する判断ステップと、
前記判断ステップで判断した汚れ状態に応じて警告を通知する通知ステップと、
を実行させるためのプログラム。
【発明の効果】
【0008】
この発明によれば、印刷媒体の搬送経路上に設けられ、印刷媒体の有無を光により検知する少なくとも1個の印刷媒体検知手段の出力変化から、自装置の汚れ状態が判断される。つまり、印刷媒体の有無を光により検知する印刷媒体検知手段を利用して、自装置内の汚れ状態が判断されるから、汚れ検出専用のセンサを追加することなく、しかも熱等に影響されることなく、汚れを判断することができる。また、汚れ状態に応じて警告が通知されるから、この警告通知によりユーザーやサービスマンに適切に機内清掃を行わせることができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】この発明の一実施形態に係る画像形成装置の概略構成を示す図である。
図2】(A)は通紙センサに用いられている反射型フォトセンサ(PS)の動作説明図であり、(B)は通紙センサの出力信号を示す図である。
図3】汚れ状態の判定結果の一例を示す表である。
図4】画像形成装置によって実行される汚れ状態の判断処理を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、この発明の実施形態を図面に基づいて説明する。但し、本発明の範囲は、図示の実施形態に限定されない。
【0011】
先ず、本実施の形態における画像形成装置の構成について説明する。
【0012】
図1は、画像形成装置1の要部構成を示す概略図である。画像形成装置1は複数の給紙カセット26、36と手差しトレイ27を有し、各給紙カセット26、36には異なるサイズの印刷媒体(例えば用紙)2が収容されている。
【0013】
給紙カセット26、36に収容されあるいは手差しトレイ27にセットされた印刷媒体2は、印刷時には、所定の搬送経路60を通過して後述の2次転写部24に搬送され、定着部25、排紙部28を経由し排出される。
【0014】
給紙カセット26、36から排紙部28に至る搬送経路60上の異なる位置には、印刷媒体2の有無を検知し印刷媒体2の搬送詰まり等が発生したことを判断するための複数個の通紙センサ(印刷媒体検知手段に相当)30~34が搭載されている。通紙センサ30~34としては光学式の通紙センサが用いられている。光学式の通紙センサは、搬送経路60に向けて光を照射し、記録媒体2からの反射または記録媒体2による遮光を検知して印刷媒体2の有無を検知するものである。この実施形態では反射型のセンサが用いられている。なお、通紙センサは1個でも良い。
【0015】
通紙センサ30は、タイミングローラー40の上流側の近傍に配置されている。通紙センサ31、32は、それぞれ給紙カセット26、36の近傍に配置されている。通紙センサ33は、2次転写部24の下流側の近傍に配置されている。通紙センサ34は、排紙部28の上流側の近傍に配置されている。
【0016】
画像形成装置1は、外部装置から送信された画像形成ジョブ(以下、単に「ジョブ」という)に基づいて、記録媒体2に画像を形成するための印刷部10を備えている。印刷部10は、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、及びブラック(K)の各有色トナーによる画像を形成するための画像形成ユニット20、露光部21、転写ユニット23等を備えている。図1において、Y、M、C、Kは各色のトナーボトルを示す。
【0017】
画像形成ユニット20は、帯電部20a、現像部20b、感光体20c、除電部(図示せず)、イレーサー(図示せず)等を備えた公知の構成である。
【0018】
帯電部20aは、光導電性を有する感光体20cの表面を一様に負極性に帯電させる。露光部21は、例えば半導体レーザーで構成され、感光体20cに対して各色成分の画像に対応するレーザー光を照射する。感光体20cの表面には、周囲との電位差により各色成分の静電潜像が形成される。現像部20bは、各色成分の現像剤を収容しており、感光体20cの表面に各色成分のトナーを付着させることにより静電潜像を可視化してトナー像を形成する。
【0019】
転写ユニット23は、中間転写ベルト23a、1次転写ローラー(一次転写部)22、2次転写部24、駆動ローラー23b、従動ローラー23c、及びベルトクリーニング部23d等を備えている。中間転写ベルト23aは無端状ベルトで構成され、駆動ローラー23b及び従動ローラー23cに掛け渡される。中間転写ベルト23aは、駆動ローラー23bの回転により一定速度で走行する。中間転写ベルト23aが感光体20cに圧接されると、1次転写ローラー22によって、中間転写ベルト23aに各色トナー像が順次重ねられて1次転写される。そして、中間転写ベルト23aが2次転写部24によって印刷媒体2に圧接されると、中間転写ベルト23aに1次転写された中間トナー像が印刷媒体2に2次転写される。印刷媒体2に中間トナー像を転写するタイミングは2次転写部24の上流のタイミングローラー40でコントロールし、印刷媒体2をタイミングローラー40で待機状態とする。そして、中間トナー像の到達タイミングに合わせて印刷媒体2を搬送し、2次転写を行う。
【0020】
2次転写部24の近傍にはトナー濃度センサ29が設けられている。トナー濃度センサ29は中間転写ベルト23a上に付着させたトナーの量を検出するものである。トナー濃度センサ29の検知結果を基に、画像形成ユニット20や露光部21が調整され、所望の画像濃度が形成されるように制御が行われる。
【0021】
定着部25は、印刷媒体2上に転写されたトナー像を定着させる。例えば、定着部25は、印刷媒体2を挟持するための加熱ローラー25aと加圧ローラー25bを備えている。 加熱ローラー25aは、加熱源であるヒーターによって所定の温度に加熱される。加圧ローラー25bは、図示しない弾性部材によって加熱ローラー25aへ向かって付勢されている。トナー像が転写された印刷媒体2は、加熱ローラー25aと加圧ローラー25bとのニップ部を通ることにより熱と圧力が加えられ、トナー像が記録媒体に溶融定着する。
【0022】
さらに、画像形成装置1は操作パネル部35を備えている。この操作パネル部35は、表示部35aを備え、この表示部35aには画像形成装置1を操作するための操作画面や、ユーザー等に通知を行うためのメッセージ等が表示される。
【0023】
図1において、符号50は制御部である。制御部50は、例えば、CPU(Central Processing Unit)50a、RAM(Random Access Memory)50b、記憶部50c等により構成される。制御部50のCPU50aは、記憶部50cに記憶されているシステムプログラムや処理プログラム等の各種プログラムを読み出してRAM50bに展開し、展開されたプログラムに従って画像形成装置1の全体を制御する。具体的には、画像形成処理、通紙センサ30~34の検知結果に基づく印刷媒体2の有無判定、同じく通紙センサ30~34の検知結果に基づく汚れ状態の判断と警告通知、などの処理を実行する。
【0024】
記憶部50cは、例えば、HDD(Hard Disk Drive)や半導体の不揮発性メモリー等で構成されている。
【0025】
記憶部50cには、制御部で実行されるシステムプログラムや処理プログラムを始めとする各種プログラム、これらのプログラムの実行に必要なデータが記憶されている。例えば、記憶部50cには、画像形成処理の実行に必要な設定情報が記憶されている。
【0026】
図2(A)は、通紙センサ30~34に用いられている反射型フォトセンサ(PS)の動作説明図である。このセンサは垂直反射型の光学センサであり、印刷媒体2の通紙の有無を判断するために用いる。一般的には、検知対象物である印刷媒体2との距離Lは約10mm以内に設定される。センサから印刷媒体2の搬送経路に向けて照射された光R1が印刷媒体2の通過時に反射され、その反射光R2が受光部に到達するとセンサが応答しセンサは信号を出力する。印刷媒体2の先端の通過からセンサの出力応答までの時間は約数ms以内である。同図(B)のように、センサの出力の立ち上がりエッジを印刷媒体2の先頭通過、センサの出力の立下りエッジを印刷媒体2の後端通過として、印刷媒体2の通紙状態を検知判断する。
【0027】
次に、本実施の形態における画像形成装置1の動作について説明する。
【0028】
画像形成装置1により印刷が繰り返し行われ、耐久が進むと、印刷媒体2に付着している紙粉やトナーが飛散し、画像形成装置1の機内を汚してしまう。通紙センサ30~34はその受発光部が汚れるとセンサ出力が低下する。機内が汚れやすい個所はトナー及び紙粉の両方の影響を受ける2次転写部24の近傍である。このため、2次転写部24の近傍の通紙センサ33が影響を受ける。また、紙粉による汚れが最も大きいタイミングローラー40の近傍の通紙センサ30も紙粉の影響を受ける。印刷媒体2がタイミングローラー40から下流側に搬送されるのに伴って紙粉が減るため、定着部25によるトナー定着後に印刷媒体2が通過する排紙部28の近傍の通紙センサ34が、汚れの影響を最も受けにくい。
【0029】
この実施形態では、上述したような通紙センサ30~34の出力変化を基に機内の汚れ状態及び各通紙センサ30~34の汚れ状態を判断する。通紙センサ30~34毎の出力変化を基に汚れ状態を判断しても良い。しかし、通紙する印刷媒体2の色、坪量によって出力が変化してしまうため、通紙センサ30~34の出力変化が、汚れによる出力変化なのか印刷媒体2による出力変化なのかを切り分けることが出来ない。このため、通紙センサ単体での出力変化を基に画像形成装置1の汚れを判断することは容易でない。
【0030】
そこで、この実施形態では、印刷媒体2の影響を除外して汚れを判断するために、望ましくは、1つの通紙センサ(第1の通紙センサ)の出力を基準にする。そして、この基準出力と他の通紙センサ(第2の通紙センサ)の出力を比較した相対出力を基に汚れ状態を判断する。
【0031】
この実施形態では、限定はされないが、最も汚れにくい個所に配置されている排紙部28の近傍の通紙センサ34における印刷媒体2の通過時の出力を基準にする。そして、通紙センサ34の基準出力と、他の通紙センサ30~33の印刷媒体2の通過時の出力を比較して相対出力を演算し、求めた相対出力を予め設定された閾値と比較して汚れ状態を判断する。相対出力は基準出力との差分であっても良いし、基準出力に対する比率であっても良い。本実施形態では、図3に示すように基準出力との比率で判断を行っている。
【0032】
図3は汚れ状態の判定結果の一例を示す表である。この例では、汚れ状態を判断するための閾値を2水準設定している。第1の閾値は機内汚れを判断するための閾値であり、例えば比率で80%に設定される。第2の閾値は各通紙センサ30~34の汚れを判断するための閾値であり、例えば比率で40%に設定される。従って、相対比率が80%以上で問題なし(汚れなし)、50%以上80%未満で機内汚れあり、50%未満で通紙センサの汚れあり、と判断される。
【0033】
図3において、「通紙センサの番号」の項目には各通紙センサ31、30、33が示されており、「出力値」の項目には、これら3個の通紙センサ31、30、33の通紙時の出力値が示されている。
【0034】
また、「基準出力」の項目には、基準となる排紙部28の近傍の通紙センサ34の出力値が示されている。「出力比」は通紙センサ31、30、33の出力値と通紙センサ34の出力値との比率である。通紙センサ31、30、33の各出力値と、基準出力値との比は、それぞれ93%、73%、32%となっている。
【0035】
これらの出力比を基に汚れの有無を判断している。給紙トレイ26の近傍の通紙センサ31については出力比が93%であり、第1の閾値90%以上であるので、問題なし(汚れ無し)と判定される。タイミングローラー40の近傍の通紙センサ30については出力比が73%であり、第1の閾値90%と第2の閾値40%の間であるので機内汚れと判定される。2次転写部24の近傍の通紙センサ33については出力比が32%であり、第2の閾値40%未満であるので通紙センサ33の汚れと判定される。
【0036】
こうして、印刷媒体2の有無を検知するための通紙センサ30~34を用いて、機内汚れ、通紙センサ30~34の汚れの有無が判断される。汚れていると判断された場合には、汚れと判断された通紙センサの近傍を汚れ該当箇所として機内汚れが発生していること、あるいは通紙センサの汚れが発生していることを示すメッセージ等を、操作パネル部35の表示部35aに警告表示して、ユーザー等に通知する。またはネットワークを介して汚れ状態をコールセンタ、保守サービスの拠点に通知してもよい。第1の閾値の方が第2の閾値よりも大きいから、機内汚れが先に検出される。従って、機内汚れの警告の通知が、通紙センサ30~34の汚れの警告通知よりも先に行われる。
【0037】
通紙センサ30~34の汚れが著しい場合には、印刷媒体2の通紙の有無を検知できなくなってしまうなどの実使用上の問題につながる。このため、通紙センサ30~34の汚れの場合は、より強いメッセージを表示する等して、警告レベルを引き上げても良い。
【0038】
また、通紙センサ30~34として用いられている反射式の光学センサは、検知対象物である印刷媒体2との距離のばらつきによって出力が変化してしまう。このため、1回の出力値で判断するのではなく、複数回の出力値を平均化して出力値を算出するのが望ましい。1枚の印刷媒体2に対して複数回の有無検知処理を行った場合の平均値であっても良い。あるいは、複数枚の印刷媒体2に対してそれぞれ1回または複数回の有無検知処理を行った場合の平均値であっても良い。このように複数回の出力値の平均値を、汚れ状態の判断に用いることにより、通紙センサ30~34と印刷媒体2との距離のばらつき等を吸収して、精度の高い汚れ状態の判断を行うことができる。
【0039】
さらに、印刷媒体2上の画像領域と非画像領域とでは、照射光の反射出力が変化してしまう。このため、印刷媒体の先端部の非画像領域を抽出し、この非画像領域に光を照射したときの出力値を用いるのが望ましい。これによって、汚れ状態の判断をより高精度に行うことができる。
【0040】
各通紙センサ30~34の位置によって、汚れの種類が異なる。例えば通紙センサ30、31、32は紙粉による汚れが考えられる。このため、通紙センサ30、31、32によって汚れありと判断された場合には、給紙搬送速度を遅くするなど紙粉の影響を抑える制御が実施されても良い。
【0041】
また、通紙センサ33によって汚れ有りと判断され、通紙センサ30によって汚れ無しと判断された場合には、トナー噴煙による汚れが発生していることが考えられる。このため、この場合は、画像形成ユニット20の帯電部20aと現像部20bの電位差(印加電圧ギャップ)を広げてかぶりマージンを広げることにより、トナー噴煙を抑える制御が実施されても良い。あるいは、現像部20bのトナーを強制的に消費してトナーの入れ替えを促進すること等により、トナー噴煙を抑える制御が実施されても良い。トナーの入れ替えを促進するのは、トナーが劣化するとトナー噴煙が飛び易いことから、劣化したトナーを新しいトナーに入れ替えて、トナー噴煙を抑制するためである。
【0042】
また、トナー濃度センサ29は、トナー濃度の適正な制御を行うために、中間転写ベルト23a上のトナー量を検出する。中間転写ベルト23aの耐久による反射率変化やトナー噴煙などの影響により、トナー濃度センサ29の出力が変化してしまうことがある。このため、中間転写ベルト23aの非画像領域において、発光量の調整によりトナー濃度センサ29から一定の出力が得られるようにキャリブレーションが行われる。
【0043】
しかし、キャリブレーションにも限界があり、汚れが著しい場合にはトナー制御が適正に行われなくなる。このため、トナー濃度センサ29の汚れ状態を判断し適切に清掃を行う必要がある。しかしながら、汚れが転写ユニット23による影響を受けて発生しているか、トナー噴煙による影響を受けて発生しているか、判断が困難である。
【0044】
そこで、2次転写部24の近傍の通紙センサ33が汚れていると判断された場合に、トナー濃度センサ29の発光値が閾値以上変化しているかどうかを判断することで、トナー濃度センサ29の汚れかどうかを判断することが可能となる。
【0045】
具体的には、通紙センサ33が汚れていると判断され、かつトナー濃度センサ29の発光値が閾値以上変化している場合は、トナー濃度センサ29が汚れていると判断され、警告が通知される。一方、通紙センサ33が汚れていると判断されても、トナー濃度センサ29の発光値が閾値以上変化していない場合は、トナー濃度センサ29は汚れていないと判断される。
【0046】
トナー濃度センサ29の発光値の変化量(光量変化量)は、像担持体である中間転写ベルト23aが新品の時からの光量差分を算出すればよく、算出した光量差分が閾値以上であるかどうかを判断すればよい。閾値は、例えば20%であり、20%以上の光量変化の場合はトナー濃度センサ29の汚れと判断される。
【0047】
図4は、画像形成装置1によって実行される汚れ状態の判断処理を示すフローチャートである。この処理は、画像形成装置1の制御部50のCPU50aが、記憶部50c等に格納されRAM50bに展開された動作プログラムに従って動作することにより実行される。
【0048】
ステップS1では、通紙センサ30~33の出力値と基準となる通紙センサ34の出力値の相対値が算出され、算出された相対値と第1及び第2の閾値が比較される。相対値が第1の閾値である80%以上であれば、汚れは発生していないので、そのまま処理を終了する。
【0049】
相対値が、第2の閾値である50%以上で第1の閾値である80%未満の場合は、機内の汚れと判断される。このため、ステップS2に進み、該当する通紙センサの近傍で機内汚れが発生していることの警告を操作パネル部35の表示部35aに表示して、ユーザーに通知する。あるいはネットワークを介してコールセンタ、保守サービスの拠点に通知する。次いでステップS3で、給紙搬送速度を減少させて紙粉の影響を抑制する。
【0050】
ステップS1で、相対値が、第2の閾値である50%未満の場合、ステップS4に進む。ステップS4では、該当の通紙センサ30~33が汚れていることの警告を操作パネル部35の表示部35aに表示して、ユーザーに通知する。あるいはネットワークを介してコールセンタ、保守サービスの拠点に通知する。
【0051】
次に、ステップS5で、2次転写部24の近傍の通知センサ33が汚れているかどうかを判断する。通知センサ33が汚れていない場合(ステップS5でNO)、ステップS3に進み、給紙搬送速度を減少させる。
【0052】
通知センサ33が汚れている場合(ステップS5でYES)、ステップS6で、帯電部20aと現像部20bの印加電圧ギャップを広げてかぶりマージンを広げる。この処理によりトナー噴煙が抑えられる。
【0053】
次に、ステップS7に進み、トナー濃度センサ29の発光値が20%以上変化しているかどうかを判断する。20%以上変化している場合(ステップS7でYES)、ステップS8で、トナー濃度センサ29が汚れていると判断し、その旨を表示部35aに警告表示する。あるいはネットワークを介してコールセンタ、保守サービスの拠点に通知する。20%以上変化していなければ(ステップS7でNO)、何もしない。
【0054】
以上説明したように、この実施形態によれば、印刷媒体2の搬送経路上に設けられ、印刷媒体2の有無を光により検知する少なくとも1個の通紙センサの出力変化から、自装置の汚れ状態、例えば機内汚れや通紙センサの汚れが判断される。つまり、印刷媒体2の有無を光により検知する通紙センサ30~34を利用して、自装置内の汚れ状態が判断されるから、汚れ検出専用のセンサを追加することなく、しかも熱等に影響されることなく、汚れを判断することができる。また、汚れ状態に応じて警告が通知されるから、この警告通知によりユーザーやサービスマンに適切に機内清掃を行わせることができる。
【0055】
さらにこの実施形態では、汚れの少ない通紙センサ34の出力値を基準として、他の通紙センサ30~33の出力値の相対値に基づいて汚れ状態が判断される。このため、精度の高い汚れ状態の判断が行われる。
【符号の説明】
【0056】
1 画像形成装置
2 印刷媒体
10 印刷部
20 画像形成ユニット
20a 帯電部
20b 現像部
20c 感光体
21 露光部
22 一次転写ローラー
23 転写ユニット
23a 中間転写ベルト
24 2次転写部
25 定着部
26、36 給紙カセット
27 手差しトレイ
28 排紙部
29 トナー濃度センサ
35 操作パネル部
35a 表示部
40 タイミングローラー
50 制御部
50a CPU
50b RAM
50c 記憶部
60 搬送経路
図1
図2
図3
図4