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特開2024-170078情報処理システム及びマルチディスプレイ制御方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024170078
(43)【公開日】2024-12-06
(54)【発明の名称】情報処理システム及びマルチディスプレイ制御方法
(51)【国際特許分類】
   G06F 3/0488 20220101AFI20241129BHJP
   G06F 3/14 20060101ALI20241129BHJP
   G06F 3/041 20060101ALI20241129BHJP
【FI】
G06F3/0488
G06F3/14 360Z
G06F3/041 500
【審査請求】有
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023087038
(22)【出願日】2023-05-26
(71)【出願人】
【識別番号】311012169
【氏名又は名称】NECパーソナルコンピュータ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100112737
【弁理士】
【氏名又は名称】藤田 考晴
(74)【代理人】
【識別番号】100136168
【弁理士】
【氏名又は名称】川上 美紀
(74)【代理人】
【識別番号】100140914
【弁理士】
【氏名又は名称】三苫 貴織
(74)【代理人】
【識別番号】100172524
【弁理士】
【氏名又は名称】長田 大輔
(72)【発明者】
【氏名】白川 貴久
(72)【発明者】
【氏名】福島 秀樹
【テーマコード(参考)】
5B069
5E555
【Fターム(参考)】
5B069BA05
5B069CA14
5B069JA06
5E555AA29
5E555AA63
5E555BA02
5E555BA05
5E555BA06
5E555BB02
5E555BB05
5E555BB06
5E555BC08
5E555BC14
5E555CA12
5E555CA44
5E555CB21
5E555CC03
5E555DB03
5E555DC07
5E555FA00
(57)【要約】
【課題】タッチパネルディスプレイを備える情報処理装置をマルチディスプレイ環境で使用する場合のユーザエクスペリエンスを向上させること。
【解決手段】情報処理システム1は、ディスプレイ2を有する第1情報処理装置10と、タッチパネルディスプレイ52と、姿勢センサとを有し、第1情報処理装置10に外部機器として接続された第2情報処理装置50とを備える。第2情報処理装置50は、姿勢センサによって検出された姿勢情報を第1情報処理装置10に通知する姿勢情報通知部を備え、第1情報処理装置10は、姿勢情報に基づいて、タッチパネルディスプレイ52の使用モードを切り替えるモード切替部と、使用モードがタッチパネルディスプレイ52を入力操作画面として使用する入力操作モードに切り替えられた場合に、タッチパネルディスプレイ52を入力操作画面として機能させるための準備処理を行う制御部とを備える。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ディスプレイを有する第1情報処理装置と、
タッチパネルディスプレイと、姿勢センサとを有し、前記第1情報処理装置に外部機器として接続された第2情報処理装置と
を備え、
前記第2情報処理装置は、前記姿勢センサによって検出された姿勢情報を前記第1情報処理装置に通知する姿勢情報通知部を備え、
前記第1情報処理装置は、
前記姿勢情報に基づいて、前記タッチパネルディスプレイの使用モードを切り替えるモード切替部と、
前記使用モードが前記タッチパネルディスプレイを入力操作画面として使用する入力操作モードに切り替えられた場合に、前記タッチパネルディスプレイを入力操作画面として機能させるための準備処理を行う制御部と
を備える情報処理システム。
【請求項2】
前記制御部は、前記使用モードが前記入力操作モードに切り替えられた場合に、前記ディスプレイに表示されているフォアグランドウィンドウを前記タッチパネルディスプレイに表示させるウィンドウ制御部を備える請求項1に記載の情報処理システム。
【請求項3】
前記ウィンドウ制御部は、前記フォアグランドウィンドウがペン入力可能なアプリケーションである場合に、前記フォアグランドウィンドウを前記タッチパネルディスプレイに表示させる請求項2に記載の情報処理システム。
【請求項4】
前記ウィンドウ制御部は、前記使用モードが前記入力操作モードに切り替えられた場合に、前記第1情報処理装置において起動済みのペン入力可能なアプリケーションのウィンドウを前記タッチパネルディスプレイに表示させる請求項2に記載の情報処理システム。
【請求項5】
前記制御部は、前記使用モードが前記入力操作モードに切り替えられた場合に、マルチウィンドウ環境設定における前記ディスプレイと前記タッチパネルディスプレイとのディスプレイ配置設定を前後に設定するディスプレイ配置制御部を備える請求項1に記載の情報処理システム。
【請求項6】
前記制御部は、前記入力操作モードにおいて、前記タッチパネルディスプレイ上で文字入力を行うための入力操作が検出されたときに、ソフトウェアキーボードを前記タッチパネルディスプレイに表示させるソフトウェアキーボード制御部を備える請求項1に記載の情報処理システム。
【請求項7】
前記第2情報処理装置は、カメラを備え、
前記制御部は、前記使用モードが前記入力操作モードに切り替えられた場合に、前記第2情報処理装置の前記カメラをミュートにするカメラ制御部を備える請求項1に記載の情報処理システム。
【請求項8】
前記モード切替部は、前記姿勢情報に基づいて、前記タッチパネルディスプレイを情報参照用のサブディスプレイとして使用するサブディスプレイモードと、前記入力操作モードとを切り替え、
前記制御部は、前記使用モードが前記入力操作モードから前記サブディスプレイモードに切り替えられた場合に、予め登録されているカメラ設定に基づいて前記カメラを制御する請求項7に記載の情報処理システム。
【請求項9】
前記モード切替部は、水平面又は鉛直面に対する前記第2情報処理装置の筐体の傾斜角度と予め登録されている判定基準値とを比較し、比較結果に応じて前記使用モードを切り替える請求項1に記載の情報処理システム。
【請求項10】
ディスプレイと、タッチパネルディスプレイとを制御するマルチディスプレイ制御方法であって、
前記タッチパネルディスプレイの姿勢を検出する工程と、
前記タッチパネルディスプレイの姿勢に基づいて、前記タッチパネルディスプレイの使用モードを切り替える工程と、
前記使用モードが前記タッチパネルディスプレイを入力操作画面として使用する入力操作モードに切り替えられた場合に、前記タッチパネルディスプレイを入力操作画面として機能させるための準備処理を行う工程と
をコンピュータが実行するマルチディスプレイ制御方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、情報処理システム及びマルチディスプレイ制御方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、タッチペン(ペン型入力デバイス)によるペン入力が可能なタッチパネルディスプレイを備えた情報処理装置の一つとしてタブレット端末が知られている(例えば、特許文献1参照)。近年、パーソナルコンピュータとタブレット端末とを有線又は無線で接続することにより、マルチディスプレイ環境で作業を行う機会が増加している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2021-111011号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
タブレット端末をマルチディスプレイ環境で使用する場合、タブレット端末をサブディスプレイとして利用する場合と、ペン入力を行う入力操作画面として利用する場合とを切り替えながら作業を行う場合がある。この場合、切り替え時に、ユーザがその都度手動で各種設定を切り替える必要があり、操作が煩雑であった。
【0005】
本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであって、タッチパネルディスプレイを備える情報処理装置をマルチディスプレイ環境で使用する場合のユーザエクスペリエンスを向上させることのできる情報処理システム及びマルチディスプレイ制御方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一態様は、ディスプレイを有する第1情報処理装置と、タッチパネルディスプレイと、姿勢センサとを有し、前記第1情報処理装置に外部機器として接続された第2情報処理装置とを備え、前記第2情報処理装置は、前記姿勢センサによって検出された姿勢情報を前記第1情報処理装置に通知する姿勢情報通知部を備え、前記第1情報処理装置は、前記姿勢情報に基づいて、前記タッチパネルディスプレイの使用モードを切り替えるモード切替部と、前記使用モードが前記タッチパネルディスプレイを入力操作画面として使用する入力操作モードに切り替えられた場合に、前記タッチパネルディスプレイを入力操作画面として機能させるための準備処理を行う制御部とを備える情報処理システムである。
【0007】
ここで、ディスプレイを備える第1情報処理装置とは、ノートPCのように、情報処理装置が備える筐体にディスプレイが設けられている場合の他、デスクトップ型PCのように、ディスプレイとPC本体とが物理的に別体とされているが、有線又は無線によって接続され、ノートPCと同様にPC本体によってディスプレイの表示が制御される構成も含む。
【0008】
本発明の一態様は、ディスプレイと、タッチパネルディスプレイとを制御するマルチディスプレイ制御方法であって、前記タッチパネルディスプレイの姿勢を検出する工程と、前記タッチパネルディスプレイの姿勢に基づいて、前記タッチパネルディスプレイの使用モードを切り替える工程と、前記使用モードが前記タッチパネルディスプレイを入力操作画面として使用する入力操作モードに切り替えられた場合に、前記タッチパネルディスプレイを入力操作画面として機能させるための準備処理を行う工程とをコンピュータが実行するマルチディスプレイ制御方法である。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、タッチパネルディスプレイを備える情報処理装置をマルチディスプレイ環境で使用する場合のユーザエクスペリエンスを向上させることができるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】本発明の一実施形態に係る情報処理システムの全体構成を概略的に示したシステム構成図である。
図2】本発明の一実施形態に係るタッチパネルディスプレイを入力操作画面として利用する入力操作モードにおける一配置例を示した図である。
図3】本発明の一実施形態に係る第1情報処理装置のハードウェア構成の一例を示した概略構成図である。
図4】本発明の一実施形態に係る第2情報処理装置のハードウェア構成の一例を示した概略構成図である。
図5】本発明の一実施形態に係る情報処理システムが有するマルチディスプレイ制御機能の一例を示した機能構成図である。
図6】本発明の一実施形態に係る情報処理システムによって実行されるマルチディスプレイ制御方法の処理手順の一例を示したフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下に、本発明の一実施形態に係る情報処理装置及びマルチディスプレイ制御方法について、図面を参照して説明する。図1は、本実施形態に係る情報処理システム1の全体構成を概略的に示したシステム構成図である。図1に示すように、情報処理システム1は、第1情報処理装置10及び第2情報処理装置50を備えている。
【0012】
第1情報処理装置10は、ノートPCであり、例えば、ディスプレイ2、入力デバイス3、及びカメラ6等を備えている。ディスプレイ2は、例えば、LCD(Liquid Crystal Display)、有機EL(Electro Luminescence)等で構成される。入力デバイス3は、例えば、キーボード、タッチパッド等である。また、入力デバイス3として、有線又は無線により、マウスなどのポインティングデバイスが接続されていてもよい。第1情報処理装置10は、後述する第2情報処理装置50の表示等を制御可能なマルチディスプレイ機能を備えている。なお、本実施形態では、第1情報処理装置10としてノートPCを例示して説明するが、これに限られない。第1情報処理装置10は、例えば、デスクトップ型PC等でもよい。
【0013】
第2情報処理装置50は、タブレット端末であり、例えば、タッチパネルディスプレイ52及びカメラ56を備えている。
タッチパネルディスプレイ52は、例えば、LCD(Liquid Crystal Display)、有機EL(Electro Luminescence)等に複数のタッチセンサが重畳されたタッチパネルを有しており、タッチペン(ペン型入力デバイス)55(図2参照)や指等の指示体による直接的な入力操作が可能とされている。タッチセンサは、例えば、静電容量式、感圧式等の方式を採用することができる。
【0014】
第2情報処理装置50は、第1情報処理装置10と有線又は無線で接続することにより、マルチディスプレイ環境で使用可能な構成とされている。本実施形態では、第1情報処理装置10と第2情報処理装置50とは、Wi-Fi接続されている場合を例示して説明するが、これに限られない。例えば、Bluetooth(登録商標)、USB(Universal Serial Bus)等を用いて接続されていてもよい。
【0015】
第2情報処理装置50のタッチパネルディスプレイ52は、マルチディスプレイ環境において、図1に示すように、情報参照用のサブディスプレイとして利用することができ、また、図2に示すように、入力操作画面として利用することができる。ユーザは、利用態様を切り替えながら作業を効率的に行うことが可能である。
以下、図1に示すように、タッチパネルディスプレイ52をサブディスプレイとして利用するモードをサブディスプレイモード、図2に示すように、タッチパネルディスプレイ52を入力操作画面として利用するモードを入力操作モードという。
【0016】
図3は、本実施形態に係る第1情報処理装置10のハードウェア構成の一例を示した概略構成図である。図3に示すように、第1情報処理装置10は、上述したディスプレイ2、入力デバイス3、カメラ6に加えて、CPU(プロセッサ)11、メインメモリ12、二次記憶装置13、マイク15、外部インターフェース16、通信インターフェース17等を備えている。これら各部は直接的にまたはバスを介して間接的に相互に接続されており互いに連携して各種処理を実行する。
【0017】
CPU11は、例えば、バスを介して接続された二次記憶装置13に格納されたOS(Operating System)により第1情報処理装置10全体の制御を行うとともに、二次記憶装置13に格納された各種プログラムを実行することにより各種処理を実行する。CPU11は、複数設けられており、互いに協働して処理を実現させてもよい。
【0018】
メインメモリ12は、キャッシュメモリ、RAM(Random Access Memory)等の書き込み可能なメモリで構成され、CPU11の実行プログラムの読み出し、実行プログラムによる処理データの書き込み等を行う作業領域として利用される。
【0019】
二次記憶装置13は、非一時的な記録媒体(non-transitory computer readable storage medium)である。二次記憶装置13の一例として、ROM(Read Only Memory)、HDD(Hard Disk Drive)、フラッシュメモリなどが挙げられる。二次記憶装置13は、例えば、Windows(登録商標)、iOS(登録商標)、Android(登録商標)等の第1情報処理装置10全体の制御を行うためのOS、BIOS(Basic Input/Output System)、周辺機器類をハードウェア操作するための各種デバイスドライバ、各種アプリケーションソフトウェア、及び各種データやファイル等を格納する。また、二次記憶装置13には、各種処理を実現するためのプログラムや、各種処理を実現するために必要とされる各種データが格納されている。二次記憶装置13は、複数設けられていてもよく、各二次記憶装置13に上述したようなデータが分割されて格納されていてもよい。
【0020】
外部インターフェース16は、外部機器と接続するためのインターフェースである。外部機器の一例として、外部モニタ、USBメモリ、外付けHDD、外付けカメラ等が挙げられる。なお、図1に示した例では、外部インターフェース16は、1つしか図示されていないが、複数の外部インターフェースを備えていてもよい。
【0021】
通信インターフェース17は、ネットワークに接続して他の装置と通信を行い、情報の送受信を行うためのインターフェースとして機能する。例えば、通信インターフェース17は、有線又は無線により他の装置と通信を行う。無線通信として、Bluetooth(登録商標)、Wi-Fi、3G、4G、5G、LTE、無線LANなどの回線を通じた通信が挙げられる。有線通信の一例として、USB(Universal Serial Bus)、有線LAN(Local Area Network)などを通じた通信が挙げられる。
【0022】
図4は、本実施形態に係る第2情報処理装置50のハードウェア構成の一例を示した概略構成図である。図4に示すように、第2情報処理装置50は、上述したタッチパネルディスプレイ52、カメラ56に加えて、CPU(プロセッサ)61、メインメモリ62、二次記憶装置63、マイク65、外部インターフェース66、通信インターフェース67、姿勢センサ68等を備えている。これら各部は直接的にまたはバスを介して間接的に相互に接続されており互いに連携して各種処理を実行する。
【0023】
第2情報処理装置50において、CPU61、メインメモリ62、二次記憶装置63、マイク65、外部インターフェース66、通信インターフェース67については、第1情報処理装置10が備える構成とほぼ同等であるため、ここでの詳細な説明は省略する。
姿勢センサ68は、第2情報処理装置50の筐体54の姿勢、換言すると、タッチパネルディスプレイ52の姿勢を検出する。姿勢センサ68は、例えば、3Dジャイロセンサ、3D加速度センサ等を採用することができる。3Dジャイロセンサは、3つの互いに直交する検出軸を備え、3次元空間における角速度を検出する。3D加速度センサは、3つの互いに直交する検出軸を備え、3次元空間における加速度を検出する。このような姿勢センサを用いることで、例えば、水平面又は鉛直面に対する第2情報処理装置50の筐体54の姿勢、例えば、傾斜角度を検出することができる。
【0024】
図5は、本実施形態に係る情報処理システム1が有するマルチディスプレイ制御機能の一例を示した機能構成図である。以下に示す機能を実現するための一連の処理は、一例として、プログラム(例えば、マルチディスプレイ制御プログラム)の形式で主に二次記憶装置13に記憶されており、このプログラムをCPU11がメインメモリ12に読み出して、情報の加工・演算処理を実行することにより、各種機能が実現される。プログラムは、二次記憶装置13に予めインストールされている形態や、他のコンピュータ読み取り可能な記憶媒体に記憶された状態で提供される形態、有線又は無線による通信手段を介して配信される形態等が適用されてもよい。コンピュータ読み取り可能な記憶媒体とは、磁気ディスク、光磁気ディスク、CD-ROM、DVD-ROM、半導体メモリ等である。
【0025】
図5に示すように、第1情報処理装置10は、マルチディスプレイ制御部20を備えている。マルチディスプレイ制御部20は、一例として、モード切替部21、制御部22、及び記憶部23を備えている。また、第2情報処理装置50は、姿勢情報通知部41を備えている。
【0026】
第2情報処理装置50の姿勢情報通知部41は、姿勢センサ68によって検出された姿勢情報を第1情報処理装置10に通知する。本実施形態では、姿勢情報として、鉛直面に対する第2情報処理装置50の筐体54の傾斜角度を用いるがこれに限られない。例えば、水平面に対する筐体54の傾斜角度を姿勢情報として通知することとしてもよいし、鉛直面に対するタッチパネルディスプレイ52の法線方向の角度、又は、水平面に対するタッチパネルディスプレイ52の法線方向の角度を姿勢情報として用いることとしてもよい。このように、姿勢情報は、タッチパネルディスプレイ52がどのような状態で設置されているかが把握できる情報であればよく、また、採用する姿勢情報に応じて後述する判定基準値を予め設定しておけばよい。
【0027】
モード切替部21は、例えば、第2情報処理装置50から受け付けた姿勢情報に基づいてタッチパネルディスプレイ52の使用モードを切り替える。例えば、モード切替部21は、姿勢情報と予め登録されている判定基準値とを比較し、比較結果に応じて使用モードを切り替える。具体的には、モード切替部21は、姿勢情報と判定基準値との比較結果に応じて、タッチパネルディスプレイ52を入力操作画面として使用する入力操作モードと、タッチパネルディスプレイ52を情報参照用のサブディスプレイとして使用するサブディスプレイモードとを切り替える。
【0028】
例えば、姿勢情報として鉛直面に対する筐体の傾斜角度を採用する場合、モード切替部21は、姿勢情報が判定基準値以上である場合に、入力操作モードであると判定する。また、モード切替部21は、姿勢情報が判定基準値未満である場合に、サブディスプレイモードであると判定する。判定基準値は、ユーザがタッチパネルディスプレイ52に対して入力操作を行いやすい角度に基づいて設定されており、例えば、45°以上90°以下の範囲で適宜設定される。
【0029】
制御部22は、使用モードがサブディスプレイモードから入力操作モードに切り替えられた場合に、タッチパネルディスプレイ52を入力操作画面として機能させるための準備処理を行う。
制御部22は、例えば、ウィンドウ制御部31、ディスプレイ配置制御部32、ソフトウェアキーボード(SWK)制御部33、及びカメラ制御部34を備えている。
【0030】
ウィンドウ制御部31は、準備処理として、第1情報処理装置10のディスプレイ2に表示されているフォアグランドウィンドウをタッチパネルディスプレイ52に表示させる。具体的には、ウィンドウ制御部31は、タッチパネルディスプレイ52の使用モードが入力操作モードに切り替えられた場合に、ディスプレイ2に表示されているフォアグランドウィンドウがペン入力可能なアプリケーションであるか否かを判定し、ペン入力可能なアプリケーションである場合に、フォアグランドウィンドウをタッチパネルディスプレイ52に表示させる。
【0031】
本処理の対象ウィンドウはフォアグランドウィンドウに限定されず、起動済みのペン入力可能なアプリケーションのウィンドウを対象にしてもよい。これにより、ユーザによるマウス操作によるウィンドウの表示画面位置の手動設定を不要にすることが可能になる。
また、ディスプレイ配置制御部32は、タッチパネルディスプレイ52の使用モードが入力操作モードからサブディスプレイモードに切り替えられた場合には、移動したウィンドウの表示ディスプレイを元の設定に戻してもよい。例えば、サブディスプレイモードで使用されているときのウィンドウ配置を記憶部23に格納しておき、使用モードがサブディスプレイモードに切り替えられた場合には、記憶部23に格納されているウィンドウ配置を読み出して移動すればよい。
【0032】
ディスプレイ配置制御部32は、入力操作モードにおいて、マルチウィンドウ環境設定におけるディスプレイ2とタッチパネルディスプレイ52とのディスプレイ配置設定を前後に設定する。例えば、図2に示すように、タッチパネルディスプレイ52を入力操作画面として利用する場合、第2情報処理装置50は、第1情報処理装置10の手前側に配置されることが一般的である。これに対し、タッチパネルディスプレイ52をサブディスプレイとして利用する場合、第2情報処理装置50は、第1情報処理装置10の左側又は右側に配置されることが一般的である。したがって、タッチパネルディスプレイ52の使用モードがサブディスプレイモードから入力操作モードに切り替えられた場合には、ディスプレイ配置制御部32が、自動的にディスプレイ配置を前後に設定する。これにより、ユーザによるマルチディスプレイの配置に関する手動の設定を不要にすることが可能となる。
【0033】
また、ディスプレイ配置制御部32は、タッチパネルディスプレイ52の使用モードが入力操作モードからサブディスプレイモードに切り替えられた場合には、ディスプレイ配置を元の設定に戻す。例えば、サブディスプレイモードで使用されているときのディスプレイ配置を記憶部23に格納しておき、使用モードがサブディスプレイモードに切り替えられた場合には、記憶部23に格納されているディスプレイ配置を読み出して設定すればよい。
【0034】
ソフトウェアキーボード制御部(SWK制御部)33は、入力操作モードにおいて、タッチパネルディスプレイ52上において文字入力を行うための入力操作が検出されたときに、ソフトウェアキーボードをタッチパネルディスプレイ52に表示させる。
例えば、ソフトウェアキーボード制御部33は、入力操作モードにおいて、文字入力を行うための入力操作が行われた場合には、その旨を通知するようにOS(オペレーティングシステム)に対して要求する。そして、入力操作モードにおいて、OSから文字入力を行うための入力操作が行われた旨の通知を受け付けると、タッチパネルディスプレイ52にソフトウェアキーボードを表示させる。
また、ソフトウェアキーボード制御部33は、入力操作モードからサブディスプレイモードに切り替えられた場合には、OSに対する上記要求を取り消すとともに、タッチパネルディスプレイ52上にソフトウェアキーボードが現在表示されているか否かを判定し、表示されている場合には、ソフトウェアキーボードを非表示とする。
【0035】
カメラ制御部34は、サブディスプレイモードから入力操作モードに切り替えられた場合に、第2情報処理装置50のカメラ56をミュートにする。また、カメラ制御部34は、入力操作モードからサブディスプレイモードに切り替えられた場合に、予め登録されているカメラ設定に基づいてカメラ56のミュート/非ミュートを制御する。例えば、サブディスプレイモードにおけるカメラの設定を予め記憶部23に設定しておき、サブディスプレイモードに切り替えられた場合には、記憶部23からカメラ設定を読み出して、その設定に基づいてカメラを制御してもよい。
【0036】
記憶部23には、上述したマルチディスプレイ制御機能を実現するために必要な各種データが格納される。例えば、記憶部23には、ディスプレイ配置制御部32によって登録されるサブディスプレイモードの際のディスプレイ2とタッチパネルディスプレイ52との配置情報、カメラ制御部34が参照するカメラのミュート/非ミュート設定等の情報が格納されている。
【0037】
次に、本実施形態に係る情報処理システム1によって実行されるマルチディスプレイ制御方法について、図6を参照して説明する。図6は、本実施形態に係る情報処理システム1によって実行されるマルチディスプレイ制御方法の処理手順の一例を示したフローチャートである。以下の一連の処理は、二次記憶装置13に記憶されているプログラムをCPU11がメインメモリ12に読み出して、情報の加工・演算処理を実行することにより実行される。
また、以下の処理は、マルチディスプレイ環境で使用されている場合に実行される。
また、以下の処理では、姿勢情報として鉛直面に対する筐体54の傾斜角度を採用する場合について説明する。
【0038】
まず、第1情報処理装置10は、第2情報処理装置50から姿勢情報を取得すると(SA1)、姿勢情報が判定基準値以上であるかを判定し、判定基準値以上であれば(SA2:YES)、入力操作モードと判定する(SA3)。続いて、判定した使用モードが現在設定されている使用モードと同じモードか否かを判定する(SA4)。この結果、現在設定されている使用モードと同じ場合には(SA4:YES)、モード切替を行わずに、ステップSA1に戻る。
【0039】
一方、現在設定されている使用モードと、判定された使用モードとが異なる場合には(SA4:NO)、使用モードを切り替える(SA5)。これにより、使用モードは、サブディスプレイモードから入力操作モードに切り替えられることとなる。続いて、タッチパネルディスプレイを入力操作画面として機能させるための準備処理を実行する(SA6)。
【0040】
この準備処理の実行では、以下の(1)~(4)の処理が行われる。
(1)第1情報処理装置10のディスプレイ2に表示されているフォアグランドウィンドウがペン入力可能なウィンドウである場合には、フォアグランドウィンドウをタッチパネルディスプレイ52に表示させる。
(2)マルチウィンドウ環境設定におけるディスプレイ2とタッチパネルディスプレイ52とのディスプレイ配置設定を前後に設定する。
(3)タッチパネルディスプレイ52上で文字入力を行うための入力操作が検出されたときに、ソフトウェアキーボードをタッチパネルディスプレイに表示可能な状態とする。
(4)カメラ56をミュート状態とする。
【0041】
そして、準備処理が終了すると、ステップSA1に戻る。
一方、ステップSA2において、姿勢情報が判定基準値未満である場合には(SA2:NO)、サブディスプレイモードと判定する(SA7)。
続いて、判定した使用モードが現在設定されている使用モードと同じモードか否かを判定する(SA8)。この結果、現在設定されている使用モードと同じ場合には(SA8:YES)、モード切替を行わずに、ステップSA1に戻る。
【0042】
一方、現在設定されている使用モードと、判定された使用モードとが異なる場合には(SA8:NO)、使用モードを切り替える(SA9)。これにより、使用モードは、入力操作モードからサブディスプレイモードに切り替えられる。続いて、予め登録された設定に基づいて切替制御が実行される(SA10)。
【0043】
この切替制御の実行では、以下の(1)~(3)の処理が行われる。
(1)タッチパネルディスプレイ52にソフトウェアキーボードが表示されている場合には、ソフトウェアキーボードを非表示とする。
(2)予め登録されているディスプレイ配置情報に基づいてマルチディスプレイ環境設定における第1情報処理装置10と第2情報処理装置50とのディスプレイ配置設定を変更する。
(3)カメラ56を予め登録されている状態に基づいてミュート又は非ミュートに設定する。
(4)SA6にて、移動したウィンドウを元の位置に戻す。
【0044】
そして、切替制御が終了すると、ステップSA1に戻り、上述した処理が繰り返し行われる。
【0045】
以上説明してきたように、本実施形態によれば、第1情報処理装置10は、第2情報処理装置50から取得した姿勢情報に基づいてタッチパネルディスプレイ52の使用モードを切り替えるモード切替部21と、使用モードが入力操作モードに切り替えられた場合に、タッチパネルディスプレイを入力操作画面として機能させるための準備処理を行う制御部22とを備えている。
【0046】
このような情報処理システム1によれば、例えば、サブディスプレイモードで使用されている状態(図1参照)において、ユーザがタッチパネルディスプレイ52を入力操作画面として使用するために手元近くに移動させ、第2情報処理装置50を水平状態に近い状態に設置した場合には、タッチパネルディスプレイ52を入力操作画面として機能させるための準備処理が自動的に実行される。これにより、ペン入力を行いやすい環境をユーザに速やかに提供することができる。この結果、ユーザエクスペリエンスを向上させることができ、また、ユーザの作業効率を向上させることができる。
【0047】
準備処理では、例えば、第1情報処理装置10のディスプレイ2に表示されていたフォアグランドウィンドウが自動的にタッチパネルディスプレイ52に表示される。これにより、ユーザは、フォアグランドウィンドウをディスプレイ2からタッチパネルディスプレイ52に移動させる操作を行うことなく、速やかにペン入力による入力作業を開始することが可能となる。
【0048】
また、マルチウィンドウ環境設定におけるディスプレイ2とタッチパネルディスプレイ52とのディスプレイ配置設定が自動的に前後に設定されるので、ユーザが手動によりディスプレイ配置を設定する手間を省略することが可能となる。
【0049】
また、入力操作モードにおいて、タッチパネルディスプレイ52上で文字入力を行うための入力操作が検出されたときには、ソフトウェアキーボードが速やかに表示される。これにより、ペン入力からキーボード入力の切り替えを円滑に行うことが可能となる。
【0050】
また、入力操作モードでは、カメラがミュートに切り替えられるので、ユーザが手動でカメラ設定を切り替える手間を省略することができる。
【0051】
また、入力操作モードからサブディスプレイモードに切り替えられた場合には、前回の設定と同じ設定に戻るので、ユーザは煩雑な操作を行うことなく、サブディスプレイとしてタッチパネルディスプレイ52を速やかに使用することが可能となる。
【0052】
以上、本発明について実施形態を用いて説明したが、本発明の技術的範囲は上記実施形態に記載の範囲には限定されない。発明の要旨を逸脱しない範囲で上記実施形態に多様な変更又は改良を加えることができ、該変更又は改良を加えた形態も本発明の技術的範囲に含まれる。また、上記実施形態を適宜組み合わせてもよい。
また、上記実施形態で説明した処理の流れも一例であり、本発明の主旨を逸脱しない範囲内において不要なステップを削除したり、新たなステップを追加したり、処理順序を入れ替えたりしてもよい。
【0053】
例えば、上記実施形態では、第2情報処理装置50の一例としてタブレット端末を例示して説明したがこれに限られない。例えば、第2情報処理装置50は、タッチパネルディスプレイ52を備えていればよい。例えば、第2情報処理装置50として、第1筐体と、第2筐体とがヒンジ等の連結部材によって連結され、かつ、第1筐体と第2筐体とのなす角度が0°以上360°以下の範囲で開閉できる情報処理装置であって、第1筐体と第2筐体のそれぞれにタッチパネルディスプレイ52が設けられているような情報処理装置を採用することも可能である。この場合、姿勢情報として、第1筐体と第2筐体とのなす角度を採用することとしてもよい。
【0054】
また、上記実施形態では、使用モードに応じてカメラ56の制御を行うこととしたが、これに加えて、マイク65の制御を行うこととしてもよい。この場合、入力操作モードではマイク65をミュートにし、サブディスプレイモードでは、予め登録されている設定に基づいてマイク65の制御を行うこととしてもよい。
【符号の説明】
【0055】
1 :情報処理システム
2 :ディスプレイ
3 :入力デバイス
6 :カメラ
10 :第1情報処理装置
11 :CPU
12 :メインメモリ
13 :二次記憶装置
15 :マイク
16 :外部インターフェース
17 :通信インターフェース
20 :マルチディスプレイ制御部
21 :モード切替部
22 :制御部
23 :記憶部
31 :ウィンドウ制御部
32 :ディスプレイ配置制御部
33 :ソフトウェアキーボード制御部
34 :カメラ制御部
41 :姿勢情報通知部
50 :第2情報処理装置
52 :タッチパネルディスプレイ
54 :筐体
56 :カメラ
61 :CPU
62 :メインメモリ
63 :二次記憶装置
65 :マイク
66 :外部インターフェース
67 :通信インターフェース
68 :姿勢センサ
図1
図2
図3
図4
図5
図6