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特開2024-170081車両の情報処理装置、及び情報処理システム
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  • 特開-車両の情報処理装置、及び情報処理システム 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024170081
(43)【公開日】2024-12-06
(54)【発明の名称】車両の情報処理装置、及び情報処理システム
(51)【国際特許分類】
   B60W 40/06 20120101AFI20241129BHJP
   B60W 30/18 20120101ALI20241129BHJP
   B60W 40/105 20120101ALI20241129BHJP
   G08G 1/00 20060101ALI20241129BHJP
【FI】
B60W40/06
B60W30/18
B60W40/105
G08G1/00 J
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023087043
(22)【出願日】2023-05-26
(71)【出願人】
【識別番号】000003207
【氏名又は名称】トヨタ自動車株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】301065892
【氏名又は名称】株式会社アドヴィックス
(74)【代理人】
【識別番号】100105957
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100068755
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 博宣
(72)【発明者】
【氏名】上野 浩司
(72)【発明者】
【氏名】神田 渉
(72)【発明者】
【氏名】竹本 毅
(72)【発明者】
【氏名】高木 秀行
(72)【発明者】
【氏名】山田 芳久
(72)【発明者】
【氏名】田中 智弥
(72)【発明者】
【氏名】江波 康文
【テーマコード(参考)】
3D241
5H181
【Fターム(参考)】
3D241BB58
3D241CE01
3D241CE02
3D241CE04
3D241CE05
3D241DA52Z
3D241DB02Z
3D241DC45Z
3D241DC46A
3D241DC46Z
5H181AA01
5H181BB04
5H181CC04
5H181EE13
5H181FF04
5H181FF13
5H181FF22
5H181FF27
5H181FF33
5H181MC16
5H181MC27
(57)【要約】
【課題】冠水などの道路の異常を判定したり推定したりするためのデータを得る。
【解決手段】車両の情報処理装置は、車両の駆動力である車両駆動力を取得する。情報処理装置は、車両の運動に対する見かけ上の抵抗力である慣性抵抗を取得する。情報処理装置は、車両が位置する地点の位置座標を取得する。情報処理装置は、車両が位置する地点の勾配による抵抗力である勾配抵抗を取得する。情報処理装置は、車両駆動力から慣性抵抗及び勾配抵抗を減算した値である走行抵抗を算出する(S13)。情報処理装置は、位置座標と、当該位置座標での車両駆動力、当該位置座標での慣性抵抗、及び当該位置座標での勾配抵抗に基づき算出された走行抵抗とを含むデータを、収集データとして、車両の外部に送信する(S14)。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両の駆動力である車両駆動力を取得することと、
前記車両の運動に対する見かけ上の抵抗力である慣性抵抗を取得することと、
前記車両が位置する地点の位置座標を取得することと、
前記車両が位置する地点の勾配による抵抗力である勾配抵抗を取得することと、
前記車両駆動力から前記慣性抵抗及び前記勾配抵抗を減算した値である走行抵抗を算出することと、
前記位置座標と、当該位置座標での前記車両駆動力、当該位置座標での前記慣性抵抗、及び当該位置座標での前記勾配抵抗に基づき算出された前記走行抵抗とを含むデータを、収集データとして、前記車両の外部に送信することと、
を実行する
車両の情報処理装置。
【請求項2】
前記車両の速度である車速を取得すること、
を実行し、
前記収集データは、前記位置座標及び前記走行抵抗に加えて、当該位置座標での前記車速を含む
請求項1に記載の車両の情報処理装置。
【請求項3】
前記車両のステアリングホイールの角度位置である舵角を取得すること、
を実行し、
前記収集データは、前記位置座標及び前記走行抵抗に加えて、当該位置座標での前記舵角を含む
請求項1又は請求項2に記載の車両の情報処理装置。
【請求項4】
車両に搭載された情報処理装置と、前記情報処理装置と無線通信可能であるサーバと、を備え、
前記情報処理装置は、
前記車両の駆動力である車両駆動力を取得することと、
前記車両の運動に対する見かけ上の抵抗力である慣性抵抗を取得することと、
前記車両が位置する地点の位置座標を取得することと、
前記車両が位置する地点の勾配による抵抗力である勾配抵抗を取得することと、
前記車両駆動力から前記慣性抵抗及び前記勾配抵抗を減算した値である走行抵抗を算出することと、
前記位置座標と、当該位置座標での前記車両駆動力、当該位置座標での前記慣性抵抗、及び当該位置座標での前記勾配抵抗に基づき算出された前記走行抵抗とを含むデータを、収集データとして、前記車両の外部に送信することと、
を実行し、
前記サーバは、
前記収集データを取得することと、
取得した前記収集データに含まれる前記走行抵抗に基づいて、当該収集データに含まれる前記位置座標での道路の異常の有無を判定することと、
を実行する
情報処理システム。
【請求項5】
前記情報処理装置は、
前記車両の速度である車速を取得することと、
前記車両のステアリングホイールの角度位置である舵角を取得することと、
を実行し、
前記収集データは、前記位置座標及び前記走行抵抗に加えて、当該位置座標での前記車速、及び当該位置座標での前記舵角を含み、
前記サーバは、
取得した前記収集データに含まれる前記走行抵抗の増加量が予め定められた規定抵抗値以上であり、且つ、当該収集データに含まれる前記車速が予め定められた規定車速以下であることを条件に、当該収集データに含まれる前記位置座標において道路の異常として冠水が生じていると特定することと、
取得した前記収集データに含まれる前記走行抵抗の増加量が前記規定抵抗値以上であり、且つ、当該収集データに含まれる前記車速が前記規定車速よりも高く、且つ、当該収集データに含まれる前記舵角の変動量が予め定められた規定舵角以上であることを条件に、当該収集データに含まれる前記位置座標において道路の異常として横風が生じていると特定することと、
を実行する
請求項4に記載の情報処理システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両の情報処理装置、及び情報処理システムに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1の情報処理システムは、車両と、情報センタとを備えている。車両は、情報処理装置と、カメラとを備えている。情報処理装置は、情報センタから道路情報を取得することにより、道路で冠水が生じている冠水地点を把握する。また、情報処理装置は、車両が冠水地点を走行する際に、カメラにより冠水地点を撮影する。さらに、情報処理装置は、撮影した画像に基づいて、冠水地点の冠水度合を推定する。そして、情報処理装置は、走行した冠水地点の位置情報と、その冠水地点で推定した冠水度合とを、情報センタに送信する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2016-149015号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1のような情報処理システムでは、車両が冠水地点を撮影するためのカメラを備えていることが必須である。また、車両がカメラを備えていたとしても、そのカメラが冠水地点を撮影できる画角になっていたり、冠水度合いを推定できるに足る性能を備えていたりするとは限らない。したがって、特許文献1のような情報処理システムでは、専用のカメラを要したり、高性能なカメラを要したりする。なお、ここでは、道路の冠水を例として説明したが、道路における何らかの異常を判定したり推定したりする場合にも、同様の課題がある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記課題を解決するための車両の情報処理装置は、車両の駆動力である車両駆動力を取得することと、前記車両の運動に対する見かけ上の抵抗力である慣性抵抗を取得することと、前記車両が位置する地点の位置座標を取得することと、前記車両が位置する地点の勾配による抵抗力である勾配抵抗を取得することと、前記車両駆動力から前記慣性抵抗及び前記勾配抵抗を減算した値である走行抵抗を算出することと、前記位置座標と、当該位置座標での前記車両駆動力、当該位置座標での前記慣性抵抗、及び当該位置座標での前記勾配抵抗に基づき算出された前記走行抵抗とを含むデータを、収集データとして、前記車両の外部に送信することと、を実行する。
【0006】
上記課題を解決するための情報処理システムは、車両に搭載された情報処理装置と、前記情報処理装置と無線通信可能であるサーバと、を備え、前記情報処理装置は、前記車両の駆動力である車両駆動力を取得することと、前記車両の運動に対する見かけ上の抵抗力である慣性抵抗を取得することと、前記車両が位置する地点の位置座標を取得することと、前記車両が位置する地点の勾配による抵抗力である勾配抵抗を取得することと、前記車両駆動力から前記慣性抵抗及び前記勾配抵抗を減算した値である走行抵抗を算出することと、前記位置座標と、当該位置座標での前記車両駆動力、当該位置座標での前記慣性抵抗、及び当該位置座標での前記勾配抵抗に基づき算出された前記走行抵抗とを含むデータを、収集データとして、前記車両の外部に送信することと、を実行し、前記サーバは、前記収集データを取得することと、取得した前記収集データに含まれる前記走行抵抗に基づいて、当該収集データに含まれる前記位置座標での道路の異常の有無を判定することと、を実行する。
【発明の効果】
【0007】
上記構成によれば、走行抵抗が位置座標と共に収集データとして送信されるので、冠水などの道路の異常を判定したり推定したりするためのデータが得られる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1図1は、情報処理システムの概略構成図である。
図2図2は、運動マネージャの基本構成を示す機能ブロック図である。
図3図3は、収集制御、判定制御、及び配信制御を示すシーケンス図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
<情報処理システムの概略構成>
以下、本発明の一実施形態を図1図3にしたがって説明する。先ず、情報処理システムISの概略構成について説明する。
【0010】
図1に示すように、情報処理システムISは、車両100を備えている。車両100は、パワートレイン装置71、ステアリング装置72、及びブレーキ装置73を備えている。
【0011】
パワートレイン装置71は、エンジン、モータジェネレータ、及びトランスミッション等を含んでいる。エンジンは、トランスミッションを介して車両100の駆動輪へと駆動力を付与可能である。また、モータジェネレータは、トランスミッションを介して車両100の駆動輪へと駆動力を付与可能である。
【0012】
ステアリング装置72の一例は、ラック&ピニオン式の電動ステアリング装置である。ステアリング装置72は、図示しないラック及びピニオンを制御することにより、車両100の転舵輪の向きを変更可能である。
【0013】
ブレーキ装置73は、車両100の車輪を機械的に制動する、いわゆる機械式のブレーキ装置である。本実施形態において、ブレーキ装置73の一例は、ディスクブレーキである。
【0014】
図1に示すように、車両100は、セントラルECU10、パワートレインECU20、ステアリングECU30、ブレーキECU40、及び先進運転支援ECU50を備えている。また、車両100は、第1外部バス61、第2外部バス62、第3外部バス63、第4外部バス64、及び第5外部バス65を備えている。なお、「ECU」は、Electronic Control Unitの略称である。
【0015】
セントラルECU10は、車両100の全体を統括して制御する。セントラルECU10は、実行装置11、及び記憶装置12を備えている。実行装置11の一例は、CPUである。記憶装置12は、読み出しのみが可能なROMと、読み出し及び書き込みが可能な揮発性のRAMと、読み出し及び書き込みが可能な不揮発性のストレージとを含んでいる。記憶装置12は、各種のプログラム及び各種のデータを予め記憶している。実行装置11は、記憶装置12に記憶されたプログラムを実行することにより、各種の処理を実現する。
【0016】
パワートレインECU20は、第1外部バス61を介してセントラルECU10と通信可能である。パワートレインECU20は、パワートレイン装置71に制御信号を出力することにより、パワートレイン装置71を制御する。パワートレインECU20は、実行装置21、及び記憶装置22を備えている。実行装置21の一例は、CPUである。記憶装置22は、ROM、RAM、及びストレージを含んでいる。記憶装置22は、各種のプログラム及び各種のデータを予め記憶している。また、記憶装置22は、各種のプログラムの一つとして、パワートレインアプリ23Aを予め記憶している。パワートレインアプリ23Aは、パワートレイン装置71を制御するためのアプリケーションソフトウェアである。実行装置21は、記憶装置22に記憶されたパワートレインアプリ23Aを実行することにより、後述するパワートレイン制御部23としての機能を実現する。
【0017】
ステアリングECU30は、第2外部バス62を介してセントラルECU10と通信可能である。ステアリングECU30は、ステアリング装置72に制御信号を出力することにより、ステアリング装置72を制御する。ステアリングECU30は、実行装置31、及び記憶装置32を備えている。実行装置31の一例は、CPUである。記憶装置32は、ROM、RAM、及びストレージを含んでいる。記憶装置32は、各種のプログラム及び各種のデータを予め記憶している。また、記憶装置32は、各種のプログラムの一つとして、ステアリングアプリ33Aを予め記憶している。ステアリングアプリ33Aは、ステアリング装置72を制御するためのアプリケーションソフトウェアである。実行装置31は、記憶装置32に記憶されたステアリングアプリ33Aを実行することにより、後述するステアリング制御部33としての機能を実現する。
【0018】
ブレーキECU40は、第3外部バス63を介してセントラルECU10と通信可能である。ブレーキECU40は、ブレーキ装置73に制御信号を出力することにより、ブレーキ装置73を制御する。ブレーキECU40は、実行装置41、及び記憶装置42を備えている。実行装置41の一例は、CPUである。記憶装置42は、ROM、RAM、及びストレージを含んでいる。記憶装置42は、各種のプログラム及び各種のデータを予め記憶している。また、記憶装置42は、各種のプログラムの一つとして、ブレーキアプリ43Aを予め記憶している。ブレーキアプリ43Aは、ブレーキ装置73を制御するためのアプリケーションソフトウェアである。さらに、記憶装置42は、各種のプログラムの一つとして、運動マネージャアプリ45Aを予め記憶している。運動マネージャアプリ45Aは、複数の運動要求を調停するためのアプリケーションソフトウェアである。実行装置41は、記憶装置42に記憶されたブレーキアプリ43Aを実行することにより、後述するブレーキ制御部43としての機能を実現する。また、実行装置41は、記憶装置42に記憶された運動マネージャアプリ45Aを実行することにより、後述する運動マネージャ45としての機能を実現する。本実施形態において、ブレーキECU40は、情報処理装置の一例である。
【0019】
先進運転支援ECU50は、第4外部バス64を介してセントラルECU10と通信可能である。先進運転支援ECU50は、各種の運転支援を実行する。先進運転支援ECU50は、実行装置51、及び記憶装置52を備えている。実行装置51の一例は、CPUである。記憶装置52は、ROM、RAM、及びストレージを含んでいる。記憶装置52は、各種のプログラム及び各種のデータを予め記憶している。各種のプログラムは、第1支援アプリ56A、第2支援アプリ57A、及び第3支援アプリ58Aを含んでいる。第1支援アプリ56Aの一例は、車両100への衝突の被害を軽減させるために自動的に制動をかける衝突被害軽減ブレーキ、いわゆるAEB(Autonomous Emergency Braking)用のアプリケーションソフトウェアである。第2支援アプリ57Aの一例は、車両100が走行している車線の維持を行う車線維持支援、いわゆるLKA(Lane Keeping Assist)用のアプリケーションソフトウェアである。第3支援アプリ58Aの一例は、車両100に先行して走行する先行車両との車間距離を一定に保ちながら走行する追従走行、いわゆるACC(Adaptive Cruise Control)用のアプリケーションソフトウェアである。本実施形態において、第1支援アプリ56A、第2支援アプリ57A、及び第3支援アプリ58Aのそれぞれは、車両100の運転支援機能を実現するアプリケーションソフトウェアである。実行装置51は、記憶装置52に記憶された第1支援アプリ56Aを実行することにより、後述する第1支援部56としての機能を実現する。また、実行装置51は、記憶装置52に記憶された第2支援アプリ57Aを実行することにより、後述する第2支援部57としての機能を実現する。実行装置51は、記憶装置52に記憶された第3支援アプリ58Aを実行することにより、後述する第3支援部58としての機能を実現する。
【0020】
図1に示すように、車両100は、加速度センサ81、車輪速センサ82、及びGNSS受信機83を備えている。また、車両100は、アクセル操作量センサ86、舵角センサ87、及びブレーキ操作量センサ88を備えている。
【0021】
加速度センサ81は、いわゆる三軸センサである。すなわち、加速度センサ81は、前後加速度GX、左右加速度GY、及び上下加速度GZを検出可能である。前後加速度GXは、車両100の前後軸に沿う加速度である。左右加速度GYは、車両100の左右軸に沿う加速度である。上下加速度GZは、車両100の上下軸に沿う加速度である。
【0022】
車輪速センサ82は、車両100の車輪の回転速度である車輪速WSを検出する。車輪速センサ82は、車両100の各車輪の近傍に位置している。本実施形態において、車両100は、当該車両100が備える4つの車輪に対応して4つの車輪速センサ82を備えている。なお、図1では、1つの車輪速センサ82のみを代表して図示している。
【0023】
GNSS受信機83は、図示しないGNSS用の衛星との通信により車両100が位置する地点の座標である位置座標PCを検出する。なお、「GNSS」は、Global Navigation Satellite Systemの略称である。
【0024】
アクセル操作量センサ86は、運転者が操作するアクセルペダルの操作量であるアクセル操作量ACCを検出する。舵角センサ87は、運転者が操作するステアリングホイールの角度位置である舵角RAを検出する。ブレーキ操作量センサ88は、運転者が操作するブレーキペダルの操作量であるブレーキ操作量BRAを検出する。
【0025】
パワートレインECU20は、アクセル操作量センサ86からアクセル操作量ACCを示す信号を取得する。ステアリングECU30は、舵角センサ87から舵角RAを示す信号を取得する。ブレーキECU40は、加速度センサ81から前後加速度GX、左右加速度GY、及び上下加速度GZを示す信号を取得する。また、ブレーキECU40は、GNSS受信機83から位置座標PCを示す信号を取得する。ブレーキECU40は、4つの車輪速センサ82から4つの車輪速WSを示す信号を取得する。ブレーキECU40は、ブレーキ操作量センサ88からブレーキ操作量BRAを示す信号を取得する。なお、ブレーキECU40は、セントラルECU10を介して、アクセル操作量ACC及び舵角RAを含む各種の値を取得可能である。
【0026】
ブレーキECU40は、予め定められた制御周期毎に、車両100の速度である車速SPを算出する。例えば、ブレーキECU40は、4つの車輪速WSの平均値に予め定められた係数を乗算することにより車速SPを算出する。すなわち、ブレーキECU40は、車速SPを取得可能である。
【0027】
ブレーキECU40は、予め定められた制御周期毎に、前後加速度GX、左右加速度GY、及び上下加速度GZに基づいて、車両100が位置する地点の路面の勾配である路面勾配ARを算出する。
【0028】
図1に示すように、車両100は、DCM91、及びディスプレイ92を備えている。DCM91は、第5外部バス65を介してセントラルECU10と接続している。DCM91は、通信ネットワークNWを介して車両100の外部の機器と無線通信可能である。なお、「DCM」は、Data Communication Moduleの略称である。ディスプレイ92は、セントラルECU10と接続している。ディスプレイ92は、セントラルECU10から出力される画像データに基づき各種の情報を表示可能である。
【0029】
図1に示すように、情報処理システムISは、サーバ200を備えている。サーバ200は、実行部210、記憶部220、及び通信部230を備えている。通信部230は、通信ネットワークNWを介してサーバ200の外部の機器と通信可能である。記憶部220は、ROM、RAM、及びストレージを含んでいる。記憶部220は、各種のプログラム及び各種のデータを予め記憶している。実行部210の一例は、CPUである。実行部210は、記憶部220に記憶された各種のプログラムを実行することにより、各種の処理を実現する。
【0030】
<運動マネージャに関する基本構成>
次に、図2を参照して、運動マネージャ45に関する基本的な構成を説明する。図2に示すように、運動マネージャ45は、第1支援部56、第2支援部57、及び第3支援部58と互いに通信可能である。また、運動マネージャ45は、パワートレイン制御部23、ステアリング制御部33、及びブレーキ制御部43と互いに通信可能である。
【0031】
第1支援部56、第2支援部57、及び第3支援部58は、各種の制御を実行するにあたって、運動マネージャ45に対して運動要求を出力する。このとき、第1支援部56、第2支援部57、及び第3支援部58は、例えば各種の制御が必要になってからその制御が必要でなくなるまで運動要求の出力を継続する。ここで、運動要求は、車両100の前後軸に沿う加速度を制御するための要求前後加速度GXR等を含んでいる。
【0032】
運動マネージャ45は、第1支援部56、第2支援部57、及び第3支援部58からの運動要求として要求前後加速度GXRを受け付ける。また、運動マネージャ45は、受け付けた要求前後加速度GXRを調停する。例えば、運動マネージャ45が複数の支援部から要求前後加速度GXRを受け付けたときには、運動マネージャ45は、受け付けたタイミングが最も早かった要求前後加速度GXRを調停結果として選択する。また、例えば、運動マネージャ45が複数の支援部から要求前後加速度GXRを受け付けたときには、運動マネージャ45は、最も小さい要求前後加速度GXRを調停結果として選択する。このように、運動マネージャ45は、車両100の運転状況に応じて予め定められたルールに従って、運動要求を調停する。
【0033】
運動マネージャ45は、調停結果として選択した要求前後加速度GXRに基づいて、各種のアクチュエータを制御するための動作要求の指示信号を生成する。ここで、各種のアクチュエータは、パワートレイン装置71、ステアリング装置72、及びブレーキ装置73等である。例えばパワートレイン装置71を制御させる場合、運動マネージャ45は、パワートレイン制御部23に対して動作要求の指示信号を出力する。そして、パワートレイン制御部23は、動作要求の指示信号に基づいて、パワートレイン装置71に制御信号を出力する。このように、運動マネージャ45が出力した指示信号は、制御しようとするアクチュエータに対応する制御部に受信され、当該制御部によりアクチュエータが制御される。
【0034】
パワートレイン制御部23、ステアリング制御部33、及びブレーキ制御部43の各々は、運動マネージャ45からの動作要求の指示信号に加えて、車両100の運転者からの動作要求の指示信号を受信可能である。そして、パワートレイン制御部23、ステアリング制御部33、及びブレーキ制御部43は、車両100の運転者からの動作要求の指示信号を受信している場合、その車両100の運転者からの動作要求の指示信号に基づいて、アクチュエータに制御信号を出力する。つまり、車両100の運転者からの動作要求の指示信号を受信している場合、各制御部は、運動マネージャ45からの動作要求の指示信号を無効にする。なお、パワートレイン制御部23は、運転者の操作に基づいてアクチュエータを制御するための動作要求の指示信号として、アクセル操作量センサ86からのアクセル操作量ACCを受信可能である。また、ステアリング制御部33は、運転者の操作に基づいてアクチュエータを制御するための動作要求の指示信号として、舵角センサ87からの舵角RAを受信可能である。さらに、ブレーキ制御部43は、運転者の操作に基づいてアクチュエータを制御するための動作要求の指示信号として、ブレーキ操作量センサ88からのブレーキ操作量BRAを受信可能である。
【0035】
<収集制御>
次に、図3を参照して、車両100及びサーバ200が実行する収集制御について説明する。この収集制御は、サーバ200が車両100から各種の値を収集するための制御である。収集制御は、複数の車両100と、1つのサーバ200との間で、それぞれ並行して実行される。本実施形態において、車両100の運動マネージャ45は、予め定められた制御周期毎に、収集制御を実行する。
【0036】
図3に示すように、車両100の運動マネージャ45は、収集制御を開始すると、ステップS11の処理を実行する。ステップS11において、運動マネージャ45は、予め定められた前提条件を満たしているか否かを判定する。ここで、前提条件の一例は、各種のセンサが正常であり、且つ、各種のECUが正常であるという条件である。なお、センサが正常であるか否かの判定、及びECUが正常であるか否かの判定は、公知の手法を用いればよい。ステップS11において、前提条件を満たしていないと運動マネージャ45が判定した場合、運動マネージャ45は、今回の収集制御を終了する。一方、ステップS11において、前提条件を満たしていると運動マネージャ45が判定した場合、運動マネージャ45は、処理をステップS12に進める。
【0037】
ステップS12において、運動マネージャ45は、車両駆動力FV、慣性抵抗RI、及び勾配抵抗RGに基づいて、走行抵抗RRを算出する。なお、前提として、車両100が走行する際には、以下の式(1)の関係が成立する。また、式(1)を変換することにより、以下の式(2)が導き出せる。
【0038】
式(1)車両駆動力FV=慣性抵抗RI+勾配抵抗RG+走行抵抗RR
式(2)走行抵抗RR=車両駆動力FV-慣性抵抗RI-勾配抵抗RG
ここで、車両駆動力FVは、車両100の駆動力である。したがって、例えば、運動マネージャ45は、エンジン及びモータジェネレータのトルク、トランスミッション等による変速比、及び車両100の駆動輪の半径に基づくことにより、車両駆動力FVを取得可能である。本実施形態において、車両駆動力FVの単位は「N(ニュートン)」である。
【0039】
また、慣性抵抗RIは、車両100の運動に対する見かけ上の抵抗力である。したがって、例えば、運動マネージャ45は、車両100の前後軸に沿う加速度、及び車両100の総重量に基づくことにより、慣性抵抗RIを取得可能である。本実施形態において、慣性抵抗RIの単位は「N(ニュートン)」である。
【0040】
さらに、勾配抵抗RGは、車両100が位置する地点の勾配による抵抗力である。したがって、例えば、運動マネージャ45は、路面勾配AR、重力加速度、及び車両100の総重量に基づくことにより、勾配抵抗RGを取得可能である。なお、例えば車両100が上り坂に位置している場合、勾配抵抗RGは正の値である。一方、例えば車両100が下り坂に位置している場合、勾配抵抗RGは負の値である。本実施形態において、勾配抵抗RGの単位は「N(ニュートン)」である。
【0041】
また、走行抵抗RRは、車両100の走行に伴う空気抵抗、転がり抵抗、及び引きずり抵抗等を含む抵抗力である。そして、上記の式(2)のように、走行抵抗RRは、車両駆動力FVから慣性抵抗RI及び勾配抵抗RGを減算した値である。本実施形態において、走行抵抗RRの単位は「N(ニュートン)」である。
【0042】
運動マネージャ45は、車両駆動力FV、慣性抵抗RI、及び勾配抵抗RGを、式(2)に代入することにより、走行抵抗RRを算出する。ステップS12の後、運動マネージャ45は、処理をステップS13に進める。
【0043】
ステップS13において、運動マネージャ45は、収集データDCを生成する。本実施形態において、運動マネージャ45は、位置座標PC、走行抵抗RR、車速SP、及び舵角RA等を含むデータを、収集データDCとして生成する。ここで、収集データDCに含まれる走行抵抗RR、車速SP、及び舵角RAは、当該収集データDCに含まれる位置座標PCに対応するものである。すなわち、収集データDCに含まれる走行抵抗RRは、当該収集データDCに含まれる位置座標PCでの車両駆動力FV、当該位置座標PCでの慣性抵抗RI、及び当該位置座標PCでの勾配抵抗RGに基づき算出されたものである。同様に、収集データDCに含まれる車速SPは、当該収集データDCに含まれる位置座標PCでの車速SPである。また、収集データDCに含まれる舵角RAは、当該収集データDCに含まれる位置座標PCでの舵角RAである。ステップS13の後、運動マネージャ45は、処理をステップS14に進める。
【0044】
ステップS14において、車両100の運動マネージャ45は、収集データDCを、サーバ200に送信する。その結果、サーバ200の実行部210は、収集データDCを取得する。このとき、サーバ200の実行部210は、取得した収集データDCを記憶部220に記憶する。なお、収集制御が繰り返し実行されることにより、サーバ200の実行部210は、各車両100から送信された収集データDCの履歴を取得可能である。ステップS14の後、サーバ200の実行部210は、今回の収集制御を終了する。
【0045】
<判定制御>
次に、図3を参照して、サーバ200が実行する判定制御について説明する。この判定制御は、道路の異常を判定するための制御である。本実施形態において、サーバ200の実行部210は、上記の収集制御で収集データDCを取得する度に、判定制御を実行する。このとき、サーバ200の実行部210は、収集データDCを送信した車両100毎の収集データDCを用いて判定制御を実行する。
【0046】
図3に示すように、サーバ200の実行部210は、判定制御を開始すると、ステップS31の処理を実行する。ステップS31において、サーバ200の実行部210は、収集データDCに含まれる走行抵抗RRに基づいて、当該収集データDCに含まれる位置座標PCでの道路の異常の有無を判定する。具体的には、サーバ200の実行部210は、最も新しい収集データDCに含まれる走行抵抗RRを特定する。また、実行部210は、同一の車両100からの収集データDCであって、最も新しい収集データDCの取得時点に対して所定期間前に取得した収集データDCに含まれる走行抵抗RRを特定する。そして、実行部210は、最も新しい走行抵抗RRから所定期間前の走行抵抗RRを減算した値を、走行抵抗RRの増加量として算出する。なお、所定期間の一例は、コンマ数秒~数秒程度である。その上で、サーバ200の実行部210は、走行抵抗RRの増加量が予め定められた規定抵抗値A以上であるか否かを判定する。ここで、例えば、車両100が、冠水が生じている地点及び横風が生じている地点などの異常がある地点を通過する際には、その車両100で算出される走行抵抗RRが増加する傾向がある。そこで、規定抵抗値Aは、実験及びシミュレーション等により、道路の異常を判定するための閾値として予め定められている。そして、サーバ200の実行部210は、走行抵抗RRの増加量が規定抵抗値A未満である場合に、最も新しい収集データDCに含まれる位置座標PCにおいて道路の異常がないと判定する。このように、ステップS31において、道路の異常がないとサーバ200の実行部210が判定した場合、サーバ200の実行部210は、今回の判定制御を終了する。一方、サーバ200の実行部210は、走行抵抗RRの増加量が規定抵抗値A以上である場合に、最も新しい収集データDCに含まれる位置座標PCにおいて道路の異常があると判定する。このように、ステップS31において、道路の異常があるとサーバ200の実行部210が判定した場合、サーバ200の実行部210は、処理をステップS32に進める。
【0047】
ステップS32において、サーバ200の実行部210は、最も新しい収集データDCに基づいて、当該収集データDCに含まれる位置座標PCでの道路の異常内容を特定する。具体的には、ステップS32において、サーバ200の実行部210は、予め定められた第1異常条件を満たしているか否かを判定する。ここで、サーバ200の実行部210は、以下の要件(1)及び要件(2)を全て満たす場合に、第1異常条件を満たしていると判定する。
【0048】
要件(1):収集データDCに含まれる走行抵抗RRの増加量が予め定められた規定抵抗値A以上であること。
ここで、要件(1)の走行抵抗RRの増加量は、上記のステップS31で用いた走行抵抗RRの増加量と同じである。また、要件(1)の規定抵抗値Aは、上記のステップS31で用いた規定抵抗値Aと同じである。
【0049】
要件(2):収集データDCに含まれる車速SPが予め定められた規定車速B以下であること。
ここで、要件(2)の収集データDCは、要件(1)の収集データDCと同じである。また、規定車速Bは、実験及びシミュレーション等により、道路の異常として冠水が生じていることを判定するための閾値として予め定められている。
【0050】
そして、サーバ200の実行部210は、収集データDCが第1異常条件を満たす場合に、当該収集データDCに含まれる位置座標PCにおいて道路の異常として冠水が生じていると特定する。換言すると、サーバ200の実行部210は、収集データDCに含まれる走行抵抗RRの増加量が規定抵抗値A以上であり、且つ、当該収集データDCに含まれる車速SPが規定車速B以下であることを条件に、当該収集データDCに含まれる位置座標PCにおいて道路の異常として冠水が生じていると特定する。
【0051】
また、ステップS32において、サーバ200の実行部210は、予め定められた第2異常条件を満たしているか否かを判定する。ここで、サーバ200の実行部210は、上記の要件(1)と、以下の要件(3)及び要件(4)との全て満たす場合に、第2異常条件を満たしていると判定する。
【0052】
要件(3):収集データDCに含まれる車速SPが予め定められた規定車速Bよりも高いこと。
ここで、要件(3)の収集データDCは、要件(1)の収集データDCと同じである。また、要件(3)の規定車速Bは、上記の要件(2)の規定車速Bと同じである。
【0053】
要件(4):収集データDCに含まれる舵角RAの変動量が予め定められた規定舵角C以上であること。
ここで、要件(4)の収集データDCは、要件(1)の収集データDCと同じである。また、サーバ200の実行部210は、最も新しい収集データDCに含まれる舵角RAを特定する。また、実行部210は、同一の車両100からの収集データDCであって、最も新しい収集データDCの取得時点に対して所定期間前に取得した収集データDCに含まれる舵角RAを特定する。そして、実行部210は、最も新しい舵角RAから所定期間前の舵角RAを減算した値の絶対値を、舵角RAの変動量として算出する。なお、規定舵角Cは、実験及びシミュレーション等により、道路の異常として横風が生じていることを判定するための閾値として予め定められている。
【0054】
そして、サーバ200の実行部210は、収集データDCが第2異常条件を満たす場合に、当該収集データDCに含まれる位置座標PCにおいて道路の異常として横風が生じていると特定する。換言すると、サーバ200の実行部210は、収集データDCに含まれる走行抵抗RRの増加量が規定抵抗値A以上であり、且つ、当該収集データDCに含まれる車速SPが規定車速Bよりも高く、且つ、当該収集データDCに含まれる舵角RAの変動量が規定舵角C以上であることを条件に、当該収集データDCに含まれる位置座標PCにおいて道路の異常として横風が生じていると特定する。
【0055】
さらに、サーバ200の実行部210は、収集データDCが第1異常条件及び第2異常条件の何れも満たさない場合に、異常内容が不明であると判定する。ステップS32の後、サーバ200の実行部210は、今回の判定制御を終了する。
【0056】
<配信制御>
次に、図3を参照して、車両100及びサーバ200が実行する配信制御について説明する。この配信制御は、サーバ200から車両100に道路情報IRを送信するための制御である。配信制御は、複数の車両100と、1つのサーバ200との間で、それぞれ並行して実行される。本実施形態において、サーバ200の実行部210は、判定制御により新たに道路の異常があると判定したことを条件に、配信制御を実行する。
【0057】
図3に示すように、サーバ200の実行部210は、配信制御を開始すると、ステップS51の処理を実行する。ステップS51において、サーバ200の実行部210は、道路情報IRを生成する。本実施形態において、サーバ200の実行部210は、ステップS31で道路の異常があると判定した位置座標PC、及びステップS32で特定した道路の異常内容の組み合わせを含む情報を、道路情報IRとして生成する。ステップS51の後、サーバ200の実行部210は、処理をステップS52に進める。
【0058】
ステップS52において、サーバ200の実行部210は、道路情報IRを、車両100に送信する。本実施形態において、道路情報IRの送信対象とする車両100の一例は、道路情報IRに含まれる位置座標PCから予め定められた規定距離以内に位置する車両100である。規定距離は、例えば、数キロメートル~数十キロメートル程度である。その結果、車両100の運動マネージャ45は、道路情報IRを取得する。このとき、車両100の運動マネージャ45は、セントラルECU10を介してディスプレイ92に制御信号を出力することにより、道路情報IRを車両100の運転者等に報知する。ステップS52の後、運動マネージャ45は、今回の配信制御を終了する。
【0059】
<本実施形態の作用>
例えば、道路の異常として冠水が生じている地点を車両100が通過する際には、その車両100の走行に伴う抵抗、すなわち走行抵抗RRが増加する。また、例えば、道路の異常として横風が生じている地点を車両100が通過する際にも、横風に起因して車両100の周囲の空気の流れが乱されること等により走行抵抗RRが増加する。ここで、上記の式(1)で記載したように、車両100が走行しているとき、車両駆動力FVは、慣性抵抗RI、勾配抵抗RG、及び走行抵抗RRの和と一致する。そのため、車両駆動力FV、慣性抵抗RI、及び勾配抵抗RGに基づけば、走行抵抗RRを算出可能である。そこで、収集制御のステップS12において、運動マネージャ45は、車両駆動力FV、慣性抵抗RI、及び勾配抵抗RGを、上記の式(2)に代入することにより、走行抵抗RRを算出する。また、収集制御のステップS13において、運動マネージャ45は、位置座標PC、走行抵抗RR、車速SP、及び舵角RA等を含むデータを、収集データDCとして生成する。さらに、収集制御のステップS14において、車両100の運動マネージャ45は、収集データDCを、サーバ200に送信する。
【0060】
<本実施形態の効果>
(1)本実施形態によれば、収集制御において位置座標PC及び走行抵抗RRを含む収集データDCがサーバ200に送信されるので、サーバ200の実行部210が収集データDCを得られる。すなわち、サーバ200の実行部210は、冠水などの道路の異常を判定したり推定したりするためのデータを得られる。
【0061】
(2)例えば、道路の異常として冠水が生じている地点を車両100が通過しようとする際には、冠水が生じている地点に車両100が到達する前に、当該車両100の運転者の操作等により車速SPが低くなる可能性が高い。そのため、一般的に、車両100が冠水地点を通過する際には、当該車両100の車速SPが低い傾向がある。
【0062】
本実施形態において、収集データDCは、位置座標PC及び走行抵抗RRに加えて、当該位置座標PCでの車速SPを含んでいる。これにより、サーバ200の実行部210は、道路の異常として冠水が生じていることを特定するためのデータを得られる。
【0063】
(3)例えば、道路の異常として横風が生じているものとする。このとき、車両100が横風を受けると、その横風の影響により車両100の運転者が操作する舵角RAが変動する可能性が高い。
【0064】
本実施形態において、収集データDCは、位置座標PC及び走行抵抗RRに加えて、当該位置座標PCでの舵角RAを含んでいる。これにより、サーバ200の実行部210は、道路の異常として横風が生じていることを特定するためのデータを得られる。
【0065】
(4)判定制御のステップS31において、サーバ200の実行部210は、収集データDCに含まれる走行抵抗RRに基づいて、当該収集データDCに含まれる位置座標PCでの道路の異常の有無を判定する。これにより、収集データDCに含まれる位置座標PCでの道路の異常の有無を把握できる。
【0066】
(5)上述したように、一般的に、車両100が冠水地点を通過する際には、当該車両100の車速SPが低い傾向がある。この点、判定制御のステップS32において、サーバ200の実行部210は、収集データDCに含まれる走行抵抗RRの増加量が規定抵抗値A以上であり、且つ、当該収集データDCに含まれる車速SPが規定車速B以下であることを条件に、当該収集データDCに含まれる位置座標PCにおいて道路の異常として冠水が生じていると特定する。これにより、サーバ200の実行部210は、収集データDCに含まれる車速SPを加味することにより、道路の異常として冠水が生じていることを特定できる。
【0067】
(6)上述したように、車両100が横風を受けると、その横風の影響により車両100の運転者が操作する舵角RAが変動する可能性が高い。この点、判定制御のステップS32において、サーバ200の実行部210は、収集データDCに含まれる走行抵抗RRの増加量が規定抵抗値A以上であり、且つ、当該収集データDCに含まれる車速SPが規定車速Bよりも高く、且つ、当該収集データDCに含まれる舵角RAの変動量が規定舵角C以上であることを条件に、当該収集データDCに含まれる位置座標PCにおいて道路の異常として横風が生じていると特定する。これにより、サーバ200の実行部210は、収集データDCに含まれる舵角RAを加味することにより、道路の異常として横風が生じていることを特定できる。しかも、比較的に車速SPが高い状況、すなわち横風の影響が大きくなりやすい状況において、道路の異常として横風が生じていることを特定できる。
【0068】
<変更例>
本実施形態は、以下のように変更して実施することができる。本実施形態及び以下の変更例は、技術的に矛盾しない範囲で互いに組み合わせて実施することができる。
【0069】
・上記実施形態において、収集制御は変更してもよい。
例えば、ステップS12において、走行抵抗RRの単位は、「N(ニュートン)」に限らない。具体例として、走行抵抗RRの単位は、「m/(s×s)」であってもよい。
【0070】
・例えば、収集制御において、運動マネージャ45は、ステップS31及びステップS32の処理を実行してもよい。具体例として、ステップS12よりも後であってステップS13よりも前において、運動マネージャ45は、ステップS31及びステップS32の処理を実行してもよい。
【0071】
・例えば、ステップS13において、運動マネージャ45は、位置座標PC、走行抵抗RR、車速SP、及び舵角RAに限らず、他の値を含むデータを、収集データDCとして生成してもよい。具体例として、収集データDCは、車輪速WSなどの各種の値、及び車両100が備えるカメラが撮影した画像データ等を含んでいてもよい。また、具体例として、上記のように収集制御において運動マネージャ45がステップS31及びステップS32の処理を実行した場合、収集データDCは、ステップS31及びステップS32の処理での判定結果を含んでいてもよい。
【0072】
・上記実施形態において、判定制御は変更してもよい。
例えば、ステップS32において、道路の異常として冠水及び横風以外の他の異常内容を特定してもよい。具体例として、サーバ200の実行部210は、道路の異常として雪によるスタックが生じ得ることを特定するために、予め定められた第3異常条件を満たしているか否かを判定してもよい。ここで、サーバ200の実行部210は、上記の要件(1)と、以下の要件(5)との全て満たす場合に、第3異常条件を満たしていると判定する。
【0073】
要件(5):収集データDCに含まれる4つの車輪速WSの最大値及び最小値の差の絶対値が予め定められた規定差以上であること。
したがって、例えば、雪が降っており、且つ、積雪により車両100が立ち往生する可能性があるような状況において、サーバ200の実行部210は、第3異常条件を満たしていると判定する。そして、サーバ200の実行部210は、収集データDCが第3異常条件を満たす場合に、当該収集データDCに含まれる位置座標PCにおいて道路の異常として雪によるスタックが生じ得ると特定してもよい。
【0074】
・上記実施形態において、情報処理システムISの構成は変更してもよい。
例えば、運動マネージャ45の機能を実現するECUは、ブレーキECU40以外であってもよい。具体例として、ブレーキECU40に代えて、セントラルECU10の実行装置11は、記憶装置12に記憶された運動マネージャアプリ45Aを実行することにより、運動マネージャ45の機能を実現してもよい。すなわち、セントラルECU10、パワートレインECU20、ステアリングECU30、ブレーキECU40、及び先進運転支援ECU50は、情報処理装置として採用でき得る。
【符号の説明】
【0075】
DC…収集データ FV…車両駆動力 IR…道路情報 IS…情報処理システム NW…通信ネットワーク RG…勾配抵抗 RI…慣性抵抗 RR…走行抵抗 10…セントラルECU 20…パワートレインECU 30…ステアリングECU 40…ブレーキECU 41…実行装置 42…記憶装置 45…運動マネージャ 50…先進運転支援ECU 71…パワートレイン装置 72…ステアリング装置 73…ブレーキ装置 100…車両 200…サーバ 210…実行部 220…記憶部 230…通信部
図1
図2
図3