(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024170088
(43)【公開日】2024-12-06
(54)【発明の名称】産業用ロボット
(51)【国際特許分類】
H01L 21/677 20060101AFI20241129BHJP
B25J 9/06 20060101ALI20241129BHJP
B25J 15/00 20060101ALI20241129BHJP
【FI】
H01L21/68 A
B25J9/06 D
B25J15/00 F
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023087055
(22)【出願日】2023-05-26
(71)【出願人】
【識別番号】000002233
【氏名又は名称】ニデックインスツルメンツ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100125690
【弁理士】
【氏名又は名称】小平 晋
(72)【発明者】
【氏名】栗林 保
【テーマコード(参考)】
3C707
5F131
【Fターム(参考)】
3C707AS24
3C707BS15
3C707BS26
3C707EV23
3C707MT02
3C707NS13
5F131AA02
5F131CA32
5F131DA32
5F131DA33
5F131DA35
5F131DA36
5F131DA42
5F131DA43
5F131DB04
5F131DB22
5F131DB42
5F131DB52
5F131DB58
5F131DB62
5F131DB76
5F131DB86
5F131DB88
5F131GA14
(57)【要約】
【課題】搬送対象物が搬出される搬出場所から搬送対象物が搬入される搬入場所まで短時間でより多くの搬送対象物を搬送することが可能な産業用ロボットを提供する。
【解決手段】産業用ロボット1は、搬送対象物が搭載されるハンド4、5と、ハンド4、5が連結されるアーム6と、搬送対象物が搭載可能であるとともにハンド4、5に対して昇降可能な搭載部材37、38と、アーム6に対してハンド4、5を回動させるハンド回動機構と、ハンド4、5に対して搭載部材37、38を昇降させる昇降機構39とを備えている。ハンド4、5は、ハンド4、5と搭載部材37、38との間で搬送対象物の受渡しが可能となる受渡し可能位置4A、5Aまでアーム6に対して回動可能となっており、搭載部材37、38は、ハンド4、5と搭載部材37、38との間での搬送対象物の受渡し時にハンド4、5に対して昇降する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
搬送対象物が搭載されるハンドと、前記ハンドが先端側に回動可能に連結されるアームと、前記アームが連結される本体部と、前記搬送対象物が搭載可能であるとともに前記ハンドに対して昇降可能な搭載部材と、前記アームに対して前記ハンドを回動させるハンド回動機構と、前記ハンドに対して前記搭載部材を昇降させる昇降機構とを備え、
前記ハンドは、前記アームよりも上側に配置され上下方向を回動の軸方向として前記アームに対して回動可能になっているとともに、前記ハンドと前記搭載部材との間で前記搬送対象物の受渡しが可能となる受渡し可能位置まで前記アームに対して回動可能となっており、
前記搭載部材は、前記ハンドと前記搭載部材との間での前記搬送対象物の受渡し時に前記ハンドに対して昇降することを特徴とする産業用ロボット。
【請求項2】
前記アームは、前記ハンドが先端側に回動可能に連結される先端側アーム部と、前記先端側アーム部の基端側が先端側に回動可能に連結される支持側アーム部とを備え、
前記搭載部材は、前記先端側アーム部の基端側に前記昇降機構を介して取り付けられ、
前記受渡し可能位置に配置される前記ハンドは、上下方向において前記先端側アーム部と重なっていることを特徴とする請求項1記載の産業用ロボット。
【請求項3】
前記アームは、前記本体部に基端側が回動可能に連結される第1アーム部と、前記第1アーム部の先端側に基端側が回動可能に連結される前記支持側アーム部としての第2アーム部と、前記第2アーム部の先端側に基端側が回動可能に連結される前記先端側アーム部としての第3アーム部とを備えることを特徴とする請求項2記載の産業用ロボット。
【請求項4】
前記受渡し可能位置に配置されているときに上下方向で重なる2個の前記ハンドと、上下方向で重なる2個の前記搭載部材と、2個の前記搭載部材を一緒に昇降させる1個の前記昇降機構とを備えることを特徴とする請求項1から3のいずれかに記載の産業用ロボット。
【請求項5】
前記搬送対象物は、円板状に形成され、
上下方向から見たときの前記搭載部材の形状は、U形状になっていることを特徴とする請求項1から3のいずれかに記載の産業用ロボット。
【請求項6】
前記搭載部材に搭載される前記搬送対象物を吸引して前記搭載部材上で保持するための吸引機構を備えることを特徴とする請求項1から3のいずれかに記載の産業用ロボット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、搬送対象物を搬送するための産業用ロボットに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、半導体ウエハを搬送するための水平多関節型の産業用ロボットが知られている(たとえば、特許文献1参照)。特許文献1に記載の産業用ロボットは、半導体ウエハが搭載される2個のハンドと、2個のハンドが先端側に回動可能に連結されるアームと、アームの基端側が回動可能に連結される本体部とを備えている。この産業用ロボットは、半導体製造システムに組み込まれて使用されており、FOUPと半導体ウエハ処理装置との間で半導体ウエハを搬送する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に記載の産業用ロボットが組み込まれる半導体製造システムでは、システムの生産効率を高めるために、産業用ロボットは、FOUPと半導体ウエハ処理装置との間において、短時間でより多くの半導体ウエハを搬送できることが好ましい。
【0005】
そこで、本発明の課題は、搬送対象物が搬出される搬出場所から搬送対象物が搬入される搬入場所まで短時間でより多くの搬送対象物を搬送することが可能な産業用ロボットを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記の課題を解決するため、本発明の産業用ロボットは、搬送対象物が搭載されるハンドと、ハンドが先端側に回動可能に連結されるアームと、アームが連結される本体部と、搬送対象物が搭載可能であるとともにハンドに対して昇降可能な搭載部材と、アームに対してハンドを回動させるハンド回動機構と、ハンドに対して搭載部材を昇降させる昇降機構とを備え、ハンドは、アームよりも上側に配置され上下方向を回動の軸方向としてアームに対して回動可能になっているとともに、ハンドと搭載部材との間で搬送対象物の受渡しが可能となる受渡し可能位置までアームに対して回動可能となっており、搭載部材は、ハンドと搭載部材との間での搬送対象物の受渡し時にハンドに対して昇降することを特徴とする。
【0007】
本発明の産業用ロボットは、搬送対象物が搭載されるハンドに加えて、搬送対象物が搭載可能な搭載部材を備えている。また、本発明では、ハンドは、ハンドと搭載部材との間で搬送対象物の受渡しが可能となる受渡し可能位置までアームに対して回動可能となっており、搭載部材は、ハンドと搭載部材との間での搬送対象物の受渡し時にハンドに対して昇降する。そのため、本発明では、搬送対象物が搬出される搬出場所においてハンドおよび搭載部材に搬送対象物を搭載した状態で、搬送対象物が搬入される搬入場所に向かってハンド等を動作させることが可能になる。
【0008】
したがって、本発明では、搬出場所においてハンドのみに搬送対象物が搭載される場合と比較して、産業用ロボットによって搬出場所から搬入場所まで同じ枚数の搬送対象物を搬送するときの、ハンド等の動作回数を減らしたり、動作距離を短くしたりすることが可能になる。その結果、本発明では、搬出場所から搬入場所まで短時間でより多くの搬送対象物を搬送することが可能になる。
【0009】
本発明において、アームは、ハンドが先端側に回動可能に連結される先端側アーム部と、先端側アーム部の基端側が先端側に回動可能に連結される支持側アーム部とを備え、搭載部材は、先端側アーム部の基端側に昇降機構を介して取り付けられ、受渡し可能位置に配置されるハンドは、上下方向において先端側アーム部と重なっていることが好ましい。
【0010】
このように構成すると、たとえば、搭載部材が昇降機構を介して支持側アーム部や本体部に取り付けられている場合と比較して、ハンドと搭載部材との間での搬送対象物の受渡しをより短時間で行うことが可能になる。したがって、搬出場所から搬入場所まで短時間でさらに多くの搬送対象物を搬送することが可能になる。また、このように構成すると、たとえば、搭載部材が昇降機構を介して支持側アーム部や本体部に取り付けられている場合と比較して、産業用ロボットが動作するときの、産業用ロボットの各部分と搭載部材との干渉を防止しやすくなる。したがって、産業用ロボットが搭載部材を備えていても、搭載部材が昇降機構を介して支持側アーム部や本体部に取り付けられている場合と比較して、産業用ロボットの動作を簡素化することが可能になる。
【0011】
本発明において、たとえば、アームは、本体部に基端側が回動可能に連結される第1アーム部と、第1アーム部の先端側に基端側が回動可能に連結される支持側アーム部としての第2アーム部と、第2アーム部の先端側に基端側が回動可能に連結される先端側アーム部としての第3アーム部とを備えている。
【0012】
本発明において、たとえば、産業用ロボットは、受渡し可能位置に配置されているときに上下方向で重なる2個のハンドと、上下方向で重なる2個の搭載部材と、2個の搭載部材を一緒に昇降させる1個の昇降機構とを備えている。この場合には、1個の昇降機構によって2個の搭載部材を昇降させることが可能になるため、産業用ロボットの構成を簡素化することが可能になる。
【0013】
本発明において、たとえば、搬送対象物は、円板状に形成され、上下方向から見たときの搭載部材の形状は、U形状になっている。また、本発明において、産業用ロボットは、たとえば、搭載部材に搭載される搬送対象物を吸引して搭載部材上で保持するための吸引機構を備えている。
【発明の効果】
【0014】
以上のように、本発明の産業用ロボットでは、搬送対象物が搬出される搬出場所から搬送対象物が搬入される搬入場所まで短時間でより多くの搬送対象物を搬送することが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【
図1】本発明の実施の形態にかかる産業用ロボットの斜視図である。
【
図2】
図1に示す産業用ロボットが使用される半導体製造システムの概略平面図である。
【
図4】
図1に示す産業用ロボットの上端部の側面図である。
【
図5】
図1に示す産業用ロボットの構成を説明するためのブロック図である。
【
図6】本発明の他の実施形態にかかる産業用ロボットの平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、図面を参照しながら、本発明の実施の形態を説明する。
【0017】
(産業用ロボットの構成)
図1は、本発明の実施の形態にかかる産業用ロボット1の斜視図である。
図2は、
図1に示す産業用ロボット1が使用される半導体製造システム9の概略平面図である。
図3は、
図1に示す産業用ロボット1の平面図である。
図4は、
図1に示す産業用ロボット1の上端部の側面図である。
図5は、
図1に示す産業用ロボット1の構成を説明するためのブロック図である。
【0018】
本形態の産業用ロボット1(以下、「ロボット1」とする。)は、搬送対象物である半導体ウエハ2(以下、「ウエハ2」とする。)を搬送するための水平多関節型のロボットである。ロボット1は、ウエハ2が搭載される2個のハンド4、5と、ハンド4、5が先端側に回動可能に連結されるアーム6と、アーム6が連結される本体部7とを備えている。半導体ウエハ2は、円板状に形成されている。
【0019】
図2に示すように、ロボット1は、半導体製造システム9に組み込まれて使用される。半導体製造システム9は、EFEM10と、ウエハ2に対して所定の処理を行う半導体ウエハ処理装置11とを備えている。以下の説明では、上下方向(鉛直方向、
図2のZ方向)に直交する
図2のX方向を「前後方向」とし、上下方向と前後方向とに直交する
図2のY方向を「左右方向」とする。また、前後方向の一方側である
図2のX1方向側を「前」側とし、その反対側である
図2のX2方向側を「後ろ」側とする。
【0020】
EFEM10は、半導体ウエハ処理装置11の前側に配置されている。ロボット1は、EFEM10の一部を構成している。EFEM10は、FOUP12を開閉する複数のロードポート13と、ロボット1が収容される筺体14とを備えている。FOUP12は、SEMI規格に基づいて製造されており、FOUP12には、たとえば、25枚のウエハ2が収容可能となっている。ロードポート13は、筺体14の前側に配置されている。EFEM10は、たとえば、左右方向に所定のピッチで配列される4個のロードポート13を備えており、EFEM10では、4個のFOUP12が左右方向に所定のピッチで配列される。ロボット1は、4個のFOUP12と半導体ウエハ処理装置11との間でウエハ2を搬送する。
【0021】
アーム6は、本体部7に基端側が回動可能に連結される第1アーム部17と、第1アーム部17の先端側に基端側が回動可能に連結される第2アーム部18と、第2アーム部18の先端側に基端側が回動可能に連結される第3アーム部19とを備えている。本形態のアーム6は、第1アーム部17と第2アーム部18と第3アーム部19との3個のアーム部によって構成されており、アーム6の基端側が本体部7に回動可能に連結されている。アーム6は、水平方向に動作する。
【0022】
上下方向から見たときの第1アーム部17、第2アーム部18および第3アーム部19の形状は、所定方向に細長い長円形状になっている。本体部7と第1アーム部17と第2アーム部18と第3アーム部19とは、上下方向において、下側からこの順番で配置されている。本体部7は、第1アーム部17の基端側が回動可能に連結される昇降体20(
図1参照)と、昇降体20を昇降可能に保持する筐体21とを備えている。第1アーム部17の基端側は、昇降体20の上端部に回動可能に連結されている。
【0023】
ハンド4、5は、上下方向から見たときの形状が略Y形状となるように形成されている。ハンド4、5の基端部は、第3アーム部19の先端側に回動可能に連結されている。ハンド4、5は、上下方向を回動の軸方向としてアーム6に対して回動可能になっている。本形態の第3アーム部19は、ハンド4、5が先端側に回動可能に連結される先端側アーム部となっており、第2アーム部18は、先端側アーム部である第3アーム部19の基端側が先端側に回動可能に連結される支持側アーム部となっている。
【0024】
第3アーム部19に対するハンド4の回動中心と第3アーム部19に対するハンド5の回動中心とは一致している。ハンド4、5は、第3アーム部19に対して個別に回動可能となっている。ハンド4、5は、第3アーム部19よりも上側に配置されている。すなわち、ハンド4、5は、アーム6よりも上側に配置されている。また、ハンド4は、ハンド5の上側に配置されている。ハンド4、5が所定の位置まで回動すると、ハンド4とハンド5とが上下方向で重なる。
【0025】
ハンド4、5は、第3アーム部19に連結される連結部22と、ウエハ2が搭載されるウエハ搭載部23と、ウエハ搭載部23に搭載されるウエハ2を下側から支持する支持部材24、25とを備えている。連結部22は、ハンド4、5の基端側部分を構成している。ウエハ搭載部23は、ハンド4、5の先端側部分を構成しており、二股状に形成されている。ウエハ搭載部23は、平板状に形成されている。ウエハ搭載部23の厚さ方向は、上下方向と一致している。ウエハ搭載部23は、連結部22から水平方向に伸びている。支持部材24、25は、ウエハ搭載部23の上面に固定されている。具体的には、支持部材24は、ウエハ搭載部23の先端側の上面の2箇所に固定され、支持部材25は、ウエハ搭載部23の基端側の上面の2箇所に固定されている。
【0026】
ロボット1は、第3アーム部19に対してハンド4を回動させるハンド回動機構30と、第3アーム部19に対してハンド5を回動させるハンド回動機構31とを備えている。すなわち、ロボット1は、アーム6に対してハンド4、5を回動させるハンド回動機構30、31を備えている。また、ロボット1は、昇降体20と一緒にアーム6を昇降させるアーム昇降機構32と、第1アーム部17および第2アーム部18を回動させて第1アーム部17と第2アーム部18とからなるアーム6の一部を伸縮させるアーム部駆動機構33と、第2アーム部18に対して第3アーム部19を回動させる第3アーム部回動機構34とを備えている。
【0027】
ハンド回動機構30は、モータと、モータの動力を減速してハンド4に伝達するための減速機とを備えている。ハンド回動機構31は、モータと、モータの動力を減速してハンド5に伝達するための減速機とを備えている。ハンド回動機構30、31のモータは、中空状に形成される第3アーム部19の内部に配置されている。アーム昇降機構32は、たとえば、モータおよびボールねじ等を備えている。アーム昇降機構32は、筐体21の内部に配置されている。
【0028】
アーム部駆動機構33は、モータと、モータの動力を減速して第1アーム部17および第2アーム部18に伝達するための2個の減速機とを備えている。モータは、筐体21の内部に配置されるとともに昇降体20に保持されている。2個の減速機のうちの一方の減速機は、昇降体20と第1アーム部17とを繋ぐ関節部に配置され、他方の減速機は、第1アーム部17と第2アーム部18とを繋ぐ関節部に配置されている。第3アーム部回動機構34は、モータと、モータの動力を減速して第3アーム部19に伝達するための減速機とを備えている。モータは、中空状に形成される第2アーム部18の内部に配置されている。減速機は、第2アーム部18と第3アーム部19とを繋ぐ関節部に配置されている。
【0029】
また、ロボット1は、ウエハ2が搭載可能であるとともにハンド4、5に対して昇降可能な搭載部材37、38と、ハンド4、5に対して搭載部材37、38を昇降させる昇降機構39とを備えている。本形態のロボット1は、上下方向で重なる2個の搭載部材37、38と、2個の搭載部材37、38を一緒に昇降させる1個の昇降機構39とを備えている。昇降機構39は、エアシリンダである。したがって、以下の説明では、昇降機構39を「エアシリンダ39」とする。
【0030】
エアシリンダ39は、エアシリンダ39のロッドが上側に突出するように配置されている。エアシリンダ39は、第3アーム部19の基端側に取り付けられている。本形態では、上下方向から見たときの形状が半円弧状となる第3アーム部19の基端の側面に、エアシリンダ39の本体部が固定されている。エアシリンダ39は、第3アーム部19と一緒に第2アーム部18に対して回動する。
【0031】
搭載部材37、38は、ハンド4、5、アーム6および本体部7に対して昇降可能となっている。搭載部材37、38は、平板状に形成されている。搭載部材37、38の厚さ方向は、上下方向と一致している。搭載部材37、38は、第3アーム部19よりも上側に配置されている。搭載部材37は、搭載部材38の上側に配置されている。搭載部材37と搭載部材38とは、同形状に形成されている。上下方向から見たときに、搭載部材38は、搭載部材37と完全に重なっている。上下方向において、搭載部材37と搭載部材38との間には、隙間が形成されている。
【0032】
搭載部材37、38の厚さは、ウエハ搭載部23の厚さとほぼ等しくなっているか、あるいは、ウエハ搭載部23の厚さよりも若干薄くなっている。搭載部材37と搭載部材38との上下方向のピッチは、ハンド4とハンド5とが上下方向で重なっているときの、ハンド4のウエハ搭載部23とハンド5のウエハ搭載部23との上下方向のピッチとほぼ等しくなっている。また、搭載部材37と搭載部材38との上下方向のピッチは、ウエハ搭載部23の厚さよりも広くなっている。
【0033】
上下方向から見たときの搭載部材37の形状は、U形状になっており、搭載部材37は、互いに平行な直線状の2個の直線部37aと、2個の直線部37aを繋ぐ曲線状の曲線部37bとから構成されている。同様に、上下方向から見たときの搭載部材38の形状は、U形状になっており、搭載部材38は、互いに平行な直線状の2個の直線部38aと、2個の直線部38aを繋ぐ曲線状の曲線部38bとから構成されている。
【0034】
曲線部37bと曲線部38bとは、スペーサ部材40を介して互いに固定されている。スペーサ部材40の上面は、曲線部37bの中心部の下面に固定され、スペーサ部材40の下面は、曲線部38bの中心部の上面に固定されている。搭載部材37、38は、連結部材41を介してエアシリンダ39に取り付けられている。すなわち、搭載部材37、38は、連結部材41およびエアシリンダ39を介して第3アーム部19の基端側に取り付けられている。
【0035】
上下方向から見たときの形状が長円形状をなす第3アーム部19の長手方向のうちの第3アーム部19の基端が配置される側を第1方向側とし、その反対側(すなわち、第3アーム部19の先端が配置される側)を第2方向側とすると、曲線部37b、38bは、第3アーム部19の基端よりも第1方向側に配置されている。連結部材41の第1方向側の端部は、曲線部38bの中心部の下面に固定され、連結部材41の第2方向側の端部は、エアシリンダ39のロッドの上端面に固定されている。
【0036】
搭載部材37、38は、第3アーム部19の長手方向と直線部37a、38aの長手方向とが一致するように配置されている。2個の直線部37aは、曲線部37bから第2方向側に伸び、2個の直線部38aは、曲線部38bから第2方向側に伸びている。直線部37a、38aの先端(第2方向側端)は、第3アーム部19の長手方向において、第3アーム部19の基端と先端との間に配置されている。たとえば、直線部37a、38aの先端は、第3アーム部19の長手方向において、第3アーム部19の中心とほぼ同じ位置に配置されている。
【0037】
2個の直線部37aは、第3アーム部19の短手方向において第3アーム部19よりも外側に配置されており、第3アーム部19の基端側部分は、第3アーム部19の短手方向において2個の直線部37aの間に配置されている。同様に、2個の直線部38aは、第3アーム部19の短手方向において第3アーム部19よりも外側に配置されており、第3アーム部19の基端側部分は、第3アーム部19の短手方向において2個の直線部38aの間に配置されている。上下方向から見たときに、第3アーム部19の短手方向における搭載部材37、38の中心は、第3アーム部19の短手方向における第3アーム部19の中心とほぼ一致している。
【0038】
搭載部材37、38が下降しているときには、搭載部材38は、ハンド5のウエハ搭載部23よりも下側に配置され、搭載部材37は、ハンド5のウエハ搭載部23よりも上側であって、かつ、ハンド4のウエハ搭載部23よりも下側に配置されている(
図4(A)参照)。また、このときには、搭載部材37は、ハンド5の支持部材24、25よりも上側に配置されている。
【0039】
搭載部材37、38が上昇しているときには、搭載部材37は、ハンド4のウエハ搭載部23よりも上側に配置され、搭載部材38は、ハンド5のウエハ搭載部23よりも上側であって、かつ、ハンド4のウエハ搭載部23よりも下側に配置されている(
図4(B)参照)。また、このときには、搭載部材37は、ハンド4の支持部材24、25よりも上側に配置され、搭載部材38は、ハンド5の支持部材24、25よりも上側に配置されている。なお、連結部材41は、搭載部材37、38が上昇していてもハンド5と干渉しない位置に配置されている。
【0040】
ハンド4は、ハンド4と搭載部材37との間でウエハ2の受渡しが可能となる受渡し可能位置4Aまでアーム6に対して回動可能となっている。ハンド5は、ハンド5と搭載部材38との間でウエハ2の受渡しが可能となる受渡し可能位置5Aまでアーム6に対して回動可能となっている。受渡し可能位置4Aに配置されるハンド4は、上下方向において第3アーム部19と重なっている。同様に、受渡し可能位置5Aに配置されるハンド5は、上下方向において第3アーム部19と重なっている。受渡し可能位置4Aに配置されるハンド4と受渡し可能位置5Aに配置されるハンド5とは、上下方向で重なっている。すなわち、2個のハンド4、5は、受渡し可能位置4A、5Aに配置されているときに上下方向で重なっている。
【0041】
受渡し可能位置4A、5Aにハンド4、5が配置されているときには、第3アーム部19の長手方向とハンド4、5の長手方向とが一致している。また、受渡し可能位置4A、5Aにハンド4、5が配置されているときには、2個の直線部37a、38aは、第3アーム部19の短手方向においてハンド4、5よりも外側に配置されている。また、受渡し可能位置4A、5Aにハンド4、5が配置されているときには、曲線部37b、38bの大半部分は、ハンド4、5よりも第1方向側に配置されており、上下方向から見たときに、ハンド4、5と搭載部材37、38とが重なっていない。
【0042】
ハンド4から搭載部材37へのウエハ2の受渡し時には、搭載部材37、38が下降している状態で、ウエハ2が搭載されているハンド4が受渡し可能位置4Aまで回動する(
図4(A)参照)。その後、搭載部材37、38が上昇する。搭載部材37、38が上昇すると、ハンド4に搭載されるウエハ2が搭載部材37に搭載される(
図4(B)参照)。搭載部材37からハンド4へのウエハ2の受渡し時には、搭載部材37、38が上昇している状態で、ハンド4が受渡し可能位置4Aまで回動する(
図4(B)参照)。その後、搭載部材37、38が下降する。搭載部材37、38が下降すると、搭載部材37に搭載されるウエハ2がハンド4に搭載される(
図4(A)参照)。すなわち、搭載部材37は、ハンド4と搭載部材37との間でのウエハ2の受渡し時に昇降する。
【0043】
同様に、ハンド5から搭載部材38へのウエハ2の受渡し時には、搭載部材37、38が下降している状態で、ウエハ2が搭載されているハンド5が受渡し可能位置5Aまで回動してから、搭載部材37、38が上昇する。搭載部材37、38が上昇すると、ハンド5に搭載されるウエハ2が搭載部材38に搭載される。搭載部材38からハンド5へのウエハ2の受渡し時には、搭載部材37、38が上昇している状態で、ハンド5が受渡し可能位置5Aまで回動してから、搭載部材37、38が下降する。搭載部材37、38が下降すると、搭載部材38に搭載されるウエハ2がハンド5に搭載される。すなわち、搭載部材38は、ハンド5と搭載部材38との間でのウエハ2の受渡し時に昇降する。
【0044】
また、ハンド4、5から搭載部材37、38へのウエハ2の受渡し時には、搭載部材37、38が下降している状態で、ウエハ2が搭載されているハンド4、5が受渡し可能位置4A、5Aまで回動してから、搭載部材37、38が上昇する。搭載部材37、38が上昇すると、ハンド4、5に搭載されるウエハ2が搭載部材37、38に搭載される。搭載部材37、38からハンド4、5へのウエハ2の受渡し時には、搭載部材37、38が上昇している状態で、ハンド4、5が受渡し可能位置4A、5Aまで回動する。その後、搭載部材37、38が下降する。搭載部材37、38が下降すると、搭載部材37、38に搭載されるウエハ2がハンド4、5に搭載される。すなわち、搭載部材37、38は、ハンド4、5と搭載部材37、38との間でのウエハ2の受渡し時に昇降する。
【0045】
(本形態の主な効果)
以上説明したように、本形態では、ロボット1は、ハンド4、5に加えて搭載部材37、38を備えている。また、本形態では、ハンド4、5は、ハンド4、5と搭載部材37、38との間でウエハ2の受渡しが可能となる受渡し可能位置4A、5Aまでアーム6に対して回動可能となっており、ロボット1では、搭載部材37、38が昇降して、ハンド4、5と搭載部材37、38との間でウエハ2の受渡しが行われる。そのため、本形態では、FOUP12においてハンド4、5および搭載部材37、38にウエハ2を搭載した状態で、半導体ウエハ処理装置11までハンド4、5等を動作させたり、半導体ウエハ処理装置11においてハンド4、5および搭載部材37、38にウエハ2を搭載した状態で、FOUP12までハンド4、5等を動作させたりすることが可能になる。
【0046】
したがって、本形態では、FOUP12や半導体ウエハ処理装置11においてハンド4、5のみにウエハ2が搭載される場合と比較して、ロボット1によってFOUP12と半導体ウエハ処理装置11との間で同じ枚数のウエハ2を搬送する場合の、ハンド4、5等の動作回数を減らしたり、動作距離を短くしたりすることが可能になる。その結果、本形態では、FOUP12と半導体ウエハ処理装置11との間において短時間でより多くのウエハ2を搬送することが可能になる。
【0047】
本形態では、搭載部材37、38は、ハンド4、5が先端側に回動可能に連結される第3アーム部19の基端側にエアシリンダ39等を介して取り付けられている。そのため、本形態では、たとえば、搭載部材37、38がエアシリンダ39を介して第1アーム部17、第2アーム部18または本体部7に取り付けられている場合と比較して、ハンド4、5と搭載部材37、38との間でのウエハ2の受渡しをより短時間で行うことが可能になる。したがって、本形態では、FOUP12と半導体ウエハ処理装置11との間において短時間でさらに多くのウエハ2を搬送することが可能になる。
【0048】
また、本形態では、搭載部材37、38が第3アーム部19の基端側にエアシリンダ39等を介して取り付けられているため、たとえば、搭載部材37、38がエアシリンダ39を介して第1アーム部17、第2アーム部18または本体部7に取り付けられている場合と比較して、ロボット1が動作するときの、ロボット1の各部分と搭載部材37、38との干渉を防止しやすくなる。したがって、本形態では、ロボット1が搭載部材37、38を備えていても、ロボット1の動作を簡素化することが可能になる。また、本形態では、1個のエアシリンダ39によって2個の搭載部材37、38を昇降させているため、ロボット1の構成を簡素化することが可能になる。
【0049】
(他の実施の形態)
上述した形態は、本発明の好適な形態の一例ではあるが、これに限定されるものではなく本発明の要旨を変更しない範囲において種々変形実施が可能である。
【0050】
上述した形態において、ロボット1は、搭載部材37、38に搭載されるウエハ2を吸引して搭載部材37、38上で保持するための吸引機構45(
図5参照)を備えていても良い。この場合には、
図6に示すように、上下方向から見たときの搭載部材37、38の形状は、第3アーム部19の長手方向に伸びる直線状となっていても良い。
図6に示すように、上下方向から見たときに、直線状に形成される搭載部材37、38は、ウエハ搭載部23の二股部分に入り込んでおり、上下方向から見たときに、ハンド4、5と搭載部材37、38とが重なっていない。
【0051】
図6に示す例では、搭載部材37の先端部37eにウエハ2を吸引するための吸引穴が形成されている。先端部37eは、搭載部材37に搭載されるウエハ2の中心部の下側に配置されており、ウエハ2の中心部が先端部37eに吸引される。同様に、搭載部材38に搭載されるウエハ2の中心部の下側に配置される搭載部材38の先端部にウエハ2を吸引するための吸引穴が形成されており、ウエハ2の中心部が搭載部材38の先端部に吸引される。
【0052】
上述した形態において、アーム6は、第1アーム部17と第2アーム部18との2個のアーム部によって構成されていても良い。この場合には、第2アーム部18の先端側にハンド4、5が回動可能に連結されている。また、搭載部材37、38は、第2アーム部18の基端側にエアシリンダ39等を介して取り付けられている。この場合の第2アーム部18は先端側アーム部であり、第1アーム部17は支持側アーム部である。
【0053】
上述した形態において、搭載部材37、38は、エアシリンダ39等を介して第2アーム部18に取り付けられていても良いし、第1アーム部17に取り付けられていても良い。また、搭載部材37、38は、エアシリンダ39等を介して本体部7に取り付けられていても良い。また、上述した形態において、昇降機構39は、エアシリンダでなくても良い。この場合には、昇降機構39は、たとえば、モータおよびボールねじ等を備えている。
【0054】
上述した形態において、ロボット1が有する搭載部材の数は、1個であっても良いし、3個以上であっても良い。また、上述した形態において、第3アーム部19の先端側に、1個のハンドが取り付けられても良いし、3個以上のハンドが取り付けられていても良い。さらに、上述した形態において、ロボット1は、ウエハ2以外の搬送対象物を搬送しても良い。この場合には、搬送対象物は、円板状に形成されていなくても良い。
【0055】
(本技術の構成)
なお、本技術は以下のような構成を取ることが可能である。
(1)搬送対象物が搭載されるハンドと、前記ハンドが先端側に回動可能に連結されるアームと、前記アームが連結される本体部と、前記搬送対象物が搭載可能であるとともに前記ハンドに対して昇降可能な搭載部材と、前記アームに対して前記ハンドを回動させるハンド回動機構と、前記ハンドに対して前記搭載部材を昇降させる昇降機構とを備え、
前記ハンドは、前記アームよりも上側に配置され上下方向を回動の軸方向として前記アームに対して回動可能になっているとともに、前記ハンドと前記搭載部材との間で前記搬送対象物の受渡しが可能となる受渡し可能位置まで前記アームに対して回動可能となっており、
前記搭載部材は、前記ハンドと前記搭載部材との間での前記搬送対象物の受渡し時に前記ハンドに対して昇降することを特徴とする産業用ロボット。
(2)前記アームは、前記ハンドが先端側に回動可能に連結される先端側アーム部と、前記先端側アーム部の基端側が先端側に回動可能に連結される支持側アーム部とを備え、
前記搭載部材は、前記先端側アーム部の基端側に前記昇降機構を介して取り付けられ、
前記受渡し可能位置に配置される前記ハンドは、上下方向において前記先端側アーム部と重なっていることを特徴とする(1)記載の産業用ロボット。
(3)前記アームは、前記本体部に基端側が回動可能に連結される第1アーム部と、前記第1アーム部の先端側に基端側が回動可能に連結される前記支持側アーム部としての第2アーム部と、前記第2アーム部の先端側に基端側が回動可能に連結される前記先端側アーム部としての第3アーム部とを備えることを特徴とする(2)記載の産業用ロボット。
(4)前記受渡し可能位置に配置されているときに上下方向で重なる2個の前記ハンドと、上下方向で重なる2個の前記搭載部材と、2個の前記搭載部材を一緒に昇降させる1個の前記昇降機構とを備えることを特徴とする(1)から(3)のいずれかに記載の産業用ロボット。
(5)前記搬送対象物は、円板状に形成され、
上下方向から見たときの前記搭載部材の形状は、U形状になっていることを特徴とする(1)から(4)のいずれかに記載の産業用ロボット。
(6)前記搭載部材に搭載される前記搬送対象物を吸引して前記搭載部材上で保持するための吸引機構を備えることを特徴とする(1)から(5)のいずれかに記載の産業用ロボット。
【符号の説明】
【0056】
1 ロボット(産業用ロボット)
2 ウエハ(半導体ウエハ、搬送対象物)
4、5 ハンド
4A、5A 受渡し可能位置
6 アーム
7 本体部
17 第1アーム部
18 第2アーム部(支持側アーム部)
19 第3アーム部(先端側アーム部)
30、31 ハンド回動機構
37、38 搭載部材
39 エアシリンダ(昇降機構)
45 吸引機構