(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024170098
(43)【公開日】2024-12-06
(54)【発明の名称】ソール及び履物
(51)【国際特許分類】
A43B 13/14 20060101AFI20241129BHJP
A43B 13/16 20060101ALI20241129BHJP
【FI】
A43B13/14 B
A43B13/16
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023087067
(22)【出願日】2023-05-26
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用申請有り ウェブサイトのアドレス及び掲載日:意願2023-010693の令和5年6月26日付提出の新規性の喪失の例外証明書提出書に添付のウェブサイトのアドレス及び公開日のリストに記載の通り [刊行物等] ゴールドウイン2023 SPRING/SUMMER総合展示会 展示日:令和4年6月16日 [刊行物等] 販売場所及び販売日:意願2023-010693の令和5年6月26日付提出の新規性の喪失の例外証明書提出書に添付の販売場所及び公開日のリストに記載の通り [刊行物等] 販売場所及び販売日:意願2023-010693の令和5年6月26日付提出の新規性の喪失の例外証明書提出書に添付の販売場所、公開日及び公開者のリストに記載の通り
(71)【出願人】
【識別番号】594137960
【氏名又は名称】株式会社ゴールドウイン
(74)【代理人】
【識別番号】100099759
【弁理士】
【氏名又は名称】青木 篤
(74)【代理人】
【識別番号】100123582
【弁理士】
【氏名又は名称】三橋 真二
(74)【代理人】
【識別番号】100139022
【弁理士】
【氏名又は名称】小野田 浩之
(74)【代理人】
【識別番号】100192463
【弁理士】
【氏名又は名称】奥野 剛規
(74)【代理人】
【識別番号】100169328
【弁理士】
【氏名又は名称】藤本 健治
(74)【代理人】
【識別番号】100148253
【弁理士】
【氏名又は名称】今枝 弘充
(72)【発明者】
【氏名】鎌田 佑介
(72)【発明者】
【氏名】富永 広起
(72)【発明者】
【氏名】イーモン ピユ トゥン
(72)【発明者】
【氏名】小池 修司
【テーマコード(参考)】
4F050
【Fターム(参考)】
4F050AA11
4F050BA25
4F050BA31
4F050BA46
4F050BA55
4F050HA58
4F050HA70
(57)【要約】
【課題】足裏のアーチ形状を保持しやすいソールを提供する。
【解決手段】ソール10は、互いに直交する上下方向V、前後方向L及び幅方向Wを有し、弾性変形可能な上層14と、上層14より硬度が高く、上層14の下側に設けられた下層16と、を備える。上層14は着用者の足を受ける足受け部18を有する。下層16は足受け部18に対応した足受け対応部28と、足受け対応部28の周縁に設けられた、足受け対応部28の表面から上方へ突出した周縁部30と、を有する。周縁部30は、足の土踏まずに対応する前後方向Lの位置であって、幅方向Wの内側に設けられた内側周縁部38と、幅方向Wの外側に設けられた外側周縁部40と、を含む。内側周縁部38の上下方向Vの長さH1は、外側周縁部40の上下方向Vの長さH2より大きい。
【選択図】
図6
【特許請求の範囲】
【請求項1】
互いに直交する上下方向、前後方向及び幅方向を有し、
弾性変形可能な上層と、
前記上層より硬度が高く、前記上層の下側に設けられた下層と、を備えたソールであって、
前記上層は、着用者の足を受ける足受け部を有し、
前記下層は、
前記足受け部に対応した足受け対応部と、
前記足受け対応部の周縁に設けられた、前記足受け対応部の表面から上方へ突出した周縁部と、を有し、
前記周縁部は、前記足の土踏まずに対応する前記前後方向の位置であって、
前記幅方向の内側に設けられた内側周縁部と、
前記幅方向の外側に設けられた外側周縁部と、を含み、
前記内側周縁部の前記上下方向の長さは、前記外側周縁部の前記上下方向の長さより大きい、ソール。
【請求項2】
前記足受け部の前記足と接する表面の高さは、前記内側周縁部の高さより高い、請求項1に記載のソール。
【請求項3】
前記内側周縁部の前記上下方向の長さH1と、前記外側周縁部の前記上下方向の長さH2との比(H1/H2)は2~4である、請求項1又は2に記載のソール。
【請求項4】
前記周縁部は、前記足の指の付け根からつま先に対応した前記足受け対応部の周縁に設けられたつま先周縁部を有し、
前記つま先周縁部の前記上下方向の長さは、前記外側周縁部の前記上下方向の長さより大きく、前記内側周縁部の前記上下方向の長さより小さい、請求項1又は2に記載のソール。
【請求項5】
前記周縁部は、前記足の踵に対応した前記足受け対応部の周縁に設けられた踵周縁部を有し、
前記踵周縁部の前記上下方向の長さは、前記外側周縁部の前記上下方向の長さ以下である、請求項1又は2に記載のソール。
【請求項6】
請求項1又は2に記載のソールを備えた、履物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ソール及び履物に関する。
【背景技術】
【0002】
靴底は、足への負担を軽減するため、多層構造としたものが知られている。例えば、特許文献1は、上層と比較して相対的に硬い弾性材料を利用した第一層と、下層である第一層と比較して相対的に柔らかい弾性材料を利用した第二層と、からなり、第一層は、足裏の周縁部に対応する外縁部全周が足裏の央部に対応する足受部よりも高い多層構造のインソールを開示している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記特許文献1のインソールは、上下方向の変形量が十分ではないため、着用者の足裏のアーチ形状を十分に保持することが困難である、という問題があった。
本発明は、足裏のアーチ形状を保持しやすいソールを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の一態様のソールは、互いに直交する上下方向、前後方向及び幅方向を有し、弾性変形可能な上層と、前記上層より硬度が高く、前記上層の下側に設けられた下層と、を備えたソールであって、前記上層は、着用者の足を受ける足受け部を有し、前記下層は、前記足受け部に対応した足受け対応部と、前記足受け対応部の周縁に設けられた、前記足受け対応部の表面から上方へ突出した周縁部と、を有し、前記周縁部は、前記足の土踏まずに対応する前記前後方向の位置であって、前記幅方向の内側に設けられた内側周縁部と、前記幅方向の外側に設けられた外側周縁部と、を含み、前記内側周縁部の前記上下方向の長さは、前記外側周縁部の前記上下方向の長さより高い、ソールである。
【発明の効果】
【0006】
本発明によれば、足裏のアーチ形状を保持しやすい。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図2】一実施形態に係るソールの
図1におけるII-II線端面図である。
【
図5】一実施形態に係るソールの
図1におけるV-V線端面図である。
【
図6】一実施形態に係るソールの
図1におけるVI-VI線端面図である。
【
図7】一実施形態に係るソールの
図1におけるVII-VII線端面図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
本発明の実施形態は、以下の態様に関する。
[態様1]
互いに直交する上下方向、前後方向及び幅方向を有し、
弾性変形可能な上層と、
前記上層より硬度が高く、前記上層の下側に設けられた下層と、を備えたソールであって、
前記上層は、着用者の足を受ける足受け部を有し、
前記下層は、
前記足受け部に対応した足受け対応部と、
前記足受け対応部の周縁に設けられた、前記足受け対応部の表面から上方へ突出した周縁部と、を有し、
前記周縁部は、前記足の土踏まずに対応する前記前後方向の位置であって、
前記幅方向の内側に設けられた内側周縁部と、
前記幅方向の外側に設けられた外側周縁部と、を含み、
前記内側周縁部の前記上下方向の長さは、前記外側周縁部の前記上下方向の長さより大きい、ソール。
【0009】
上層は弾性変形可能であり、下層より硬度が低いので、下層に比べ変形しやすい。下層は、上層より硬度が高いので、着用者の自重によって変形しにくい。そうすると、ソールは、足の幅方向の内側の方が足の幅方向の外側より高く保持しやすい。したがってソールは、土踏まずの高さを保持しやすいので、足裏のアーチ形状を保持しやすい。
【0010】
[態様2]
前記足受け部の前記足と接する表面の高さは、前記内側周縁部の高さより高い、態様1に記載のソール。
足受け部の表面は、内側周縁部より高いので、着用者の自重によって変形する自由度が高い。内側周縁部の高さは外側周縁部の高さより高いので、足受け部は足の幅方向の内側より外側の方が着用者の自重によって変形しやすい。したがって、ソールは、着用者の自重によって着用者の足の裏に沿って変形し、土踏まずの高さを保持しやすいので、足裏のアーチ形状を保持しやすい。
【0011】
[態様3]
前記内側周縁部の前記上下方向の長さH1と、前記外側周縁部の前記上下方向の長さH2との比(H1/H2)は2~4である、態様1又は2に記載のソール。
ソールは、内側周縁部の前記上下方向の長さと外側周縁部の前記上下方向の長さの比(H1/H2)が、上記範囲内であることによって、足裏の凹凸の高低差が大きい着用者の土踏まずの高さを保持しやすい。
【0012】
[態様4]
前記周縁部は、前記足の指の付け根からつま先に対応した前記足受け対応部の周縁に設けられたつま先周縁部を有し、
前記つま先周縁部の前記上下方向の長さは、前記外側周縁部の前記上下方向の長さより大きく、前記内側周縁部の前記上下方向の長さより小さい、態様1から3のいずれか1つに記載のソール。
ソールは、つま先周縁部の前記上下方向の長さが上記範囲内であることによって、つま先に対応した足受け部の沈み込みを制限できる。したがってソールは、歩行の際の蹴り出し時に良好な反発力を着用者の足に与えることができる。
【0013】
[態様5]
前記周縁部は、前記足の踵に対応した前記足受け対応部の周縁に設けられた踵周縁部を有し、
前記踵周縁部の前記上下方向の長さは、前記外側周縁部の前記上下方向の長さ以下である、態様1~4のいずれか1つに記載のソール。
踵周縁部の前記上下方向の長さが外側周縁部の前記上下方向の長さ以下であることによって、足受け部は踵に対応した位置において外側周縁部と同様に変形しやすい。したがってソールは、歩行の際の踏み込み時に良好なクッション性が得られる。
【0014】
[態様6]
態様1~5のいずれか1つに記載のソールを備えた、履物。
上記ソールの効果を備えた履物を提供することができる。
【0015】
(全体構成)
以下、図面を参照して本発明の一実施形態についてより詳細に説明する。
図1は一実施形態に係るソールの正面図、
図2は一実施形態に係るソールの
図1におけるII-II線端面図、
図3は一実施形態に係るソールの左側面図、
図4は一実施形態に係るソールの右側面図、
図5は一実施形態に係るソールの
図1におけるV-V線端面図、
図6は一実施形態に係るソールの
図1におけるVI-VI線端面図、
図7は一実施形態に係るソールの
図1におけるVII-VII線端面図である。
【0016】
一実施形態に係るソール10は、履物として例えば、サンダルや靴に適用される。
図1は、鼻緒11を有するビーチサンダル12に適用されたソール10を示す。ソール10は、右足用のみを示している。左足用のソールは、右足用のソール10と左右対称である。以下の説明では、右足用のソール10のみを説明し、左足用のソールの説明を省略する。
【0017】
ソール10は、互いに直交する上下方向V、前後方向L、及び幅方向Wを有する。上下方向Vは、ソール10を備えた履物を着用者が着用した時の、上下方向を意味し、鉛直方向と同義である。前後方向Lは、上下方向Vと直交する方向であり、ソール10を備えた履物を着用者が着用した時の、着用者のつま先と踵とを結ぶ方向であり、長さ方向と同義である。幅方向Wは、上下方向V及び前後方向Lに直交する方向である。ソール10は着用者の足裏に近い向き及び側をそれぞれ上向き及び上側、地面に近い向き及び側を下向き及び下側とする。着目する部材の上下方向Vの長さを、「厚さ」ともいう。ソール10は着用者から見て前へ向かう向き及び側を前向き及び前側、後へ向かう向き及び側を後ろ向き及び後側とする。ソール10は着用者から見て、幅方向の中心から、着用者の土踏まずに近い側を内側、土踏まずと反対側を外側とする。
【0018】
ソール10は、
図2に示すように、上層14と、下層16とを備える。上層14は、着用者の足を受ける足受け部18を有する。足受け部18は、着用者の足裏全体に対応する位置に配置されている。足受け部18は、着用者の足裏が接する表面19と、表面19と反対側の下面21とを含む。足受け部18は、
図5に示すように、幅方向Wの断面において幅方向Wの略中央が下方に向かって窪む湾曲形状を有してもよい。
【0019】
足受け部18は、足受け部18の外周に沿う位置に、内側部20、外側部22、つま先部24及び踵部26を有する(
図1)。内側部20は、着用者の足の土踏まずに対応する位置に配置されている。外側部22は、内側部20の前後方向Lの位置に対し幅方向Wの外側に配置されている。つま先部24は、着用者の足の指の付け根からつま先に対応した位置に配置されている。踵部26は、着用者の足の踵に対応した位置に配置されている。
【0020】
内側部20、外側部22、つま先部24及び踵部26は、厳密に区画される必要はない。内側部20、外側部22、つま先部24及び踵部26は、それぞれ、足受け部18の外縁から内側へ一定の幅を有し、それぞれが対応する位置を中心とする一定の領域である。例えば、内側部20は、着用者の土踏まずを中心とする、前後方向L及び幅方向Wに一定の広がりを有する領域である。外側部22は、内側部20の前後方向Lの位置に対応した幅方向Wの外側の位置を中心とする前後方向L及び幅方向Wに一定の広がりを有する領域である。つま先部24は、着用者の足の指の付け根からつま先に対応した位置を中心とする足受け部18の外周から足受け部18の内側へ一定の広がりを有する領域である。踵部26は、着用者の足の踵を中心とする足受け部18の外周から足受け部18の内側へ一定の広がりを有する領域である。
【0021】
図3及び
図4に示すように、内側部20の厚さh1は、外側部22の厚さh2よりも小さいことが好ましい。つま先部24の厚さh3は、外側部22の厚さh2より薄く、内側部20の厚さh1より厚いことが好ましい。踵部26の厚さh4は、外側部22の厚さh3より厚いことが好ましい。厚さh1,h2,h3,h4は、それぞれが対応する下層16の周縁部(後述する)の頂部と接する位置における厚さをいう。
【0022】
着用者の足の土踏まず、つま先及び踵に対応したそれぞれの位置における幅方向Wの中心の足受け部18の厚さ、すなわちそれぞれの位置における足受け部18の表面19と下面21との間の長さは、厚さh1,h2,h3,h4よりも大きいことが好ましい。足受け部18の厚さが厚さh1,h2,h3,h4よりも厚いことによって、足受け部18の上下方向の変形量は、内側部20、外側部22、つま先部24及び踵部26の上下方向の変形量に比べ大きい。
【0023】
内側部20の厚さh1は、外側部22の厚さh2よりも小さいことによって、外側部22に比べ上下方向Vへの変形量が小さい。内側部20の厚さh1は、厚さh2,h3,h4と比べて最も小さいことが好ましい。内側部20の厚さh1は、厚さh2,h3,h4と比べて最も小さいことによって、外側部22、つま先部24及び踵部26に比べ上下方向Vへの変形量が小さい。踵部26の厚さh4は、厚さh2,h3,h4と比べて最も大きいことが好ましい。踵部26の厚さh4は、厚さh2,h3,h4と比べて最も大きいことによって、内側部20、外側部22及びつま先部24に比べ上下方向Vへの変形量が大きい。
【0024】
上層14は、下層16より硬度が低い弾性材により形成されている。具体的に上層14の材料は、エチレン-酢酸ビニル共重合体(EVA)等の熱可塑性合成樹脂やその発泡体、ポリウレタン(PU)等の熱硬化性樹脂やその発泡体、ブタジエンラバーやクロロプレンラバー等のラバーやその発泡体などを用いることができる。
【0025】
下層16は、上層14の下側に設けられている。下層16は、上層14の足受け部18の下面21に、設けられている。下層16は、接着剤または一体成型によって上層14の下面21に設けられる。下層16は、上層14より硬度が高い硬質弾性部材により形成されている。具体的に下層16の材料としては、エチレン-酢酸ビニル共重合体(EVA)等の熱可塑性合成樹脂やその発泡体、ポリウレタン(PU)等の熱硬化性樹脂やその発泡体、ブタジエンラバーやクロロプレンラバー等のラバーやその発泡体などを用いることができる。下層16の硬度は、デュロメータAにおいて、例えば52~58または54~56に設定される。デュロメータA硬さは、ソールから厚さ6mm以上、幅方向長さ25mm、前後方向長さ25mmを切り出して試料とし、測定温度23℃の条件で、JIS K6253に準拠し、デュロメータを用いて測定した値とする。下層16の硬度と、上層14の硬度の差は、例えば32~45または35~42とすることができる。
【0026】
下層16は、
図5に示すように、足受け対応部28と、周縁部30とを有する。足受け対応部28は、上層14の足受け部18に対応した位置に配置される。足受け対応部28は、上層14の下面21に接する上面32と、上面32と反対側であって地面に接する接地面34とを有する。足受け対応部28の厚さ、すなわち、上面32と接地面34との間の長さは、足受け部18の厚さよりも小さい。周縁部30は、足受け対応部28の周縁に設けられている。周縁部30は、足受け対応部28の表面から上方へ突出している。周縁部30は、足受け対応部28の周縁に沿って連続して設けられた、環状である。
【0027】
周縁部30の高さは、全周に亘って足受け部18の表面より低いことが好ましい。すなわち、足受け部18の表面の高さは、周縁部30の高さより高いことがこのましい。周縁部30は、上下方向Vの上端に頂部36を有する。周縁部30は、頂部36において足受け部18の周縁に接している。言い換えると周縁部30は、足受け部18の周縁を下方から支持している。
【0028】
周縁部30は、
図3及び
図4に示すように、内側周縁部38と、外側周縁部40と、つま先周縁部42と、踵周縁部44とを有する。内側周縁部38は、着用者の足の土踏まずに対応する足の前後方向Lの位置であって、足受け対応部28の幅方向Wの内縁に設けられている。内側周縁部38は、足受け部18の内側部20を下方から支持している。内側周縁部38は、
図1において前後方向Lに沿う方向に延在している。外側周縁部40は、着用者の足の土踏まずに対応する足の前後方向Lの位置であって、足受け対応部28の幅方向Wの外縁に設けられている。外側周縁部40は、足受け部18の外側部22を下方から支持している。外側周縁部40は、
図1において前後方向Lに沿う方向に延在している。
【0029】
図6に示すように、内側周縁部38の厚さH1は、外側周縁部40の厚さH2より大きい。内側周縁部38の厚さH1は、内側周縁部38における接地面34から内側周縁部38の頂部36までの長さである。外側周縁部40の厚さH2は、外側周縁部40における接地面34から外側周縁部40の頂部36までの長さである。内側周縁部38の厚さH1と外側周縁部40の厚さH2とが上記関係であることによって、ソール10は、足の幅方向Wの内側の方を足の幅方向Wの外側より高く保持しやすい。
【0030】
内側周縁部38の厚さH1と外側周縁部40の厚さH2との比(H1/H2)は、2~4であるのが好ましく、2~4であるのがより好ましい。ソール10は、内側周縁部38の厚さH1と外側周縁部40の厚さH2の比(H1/H2)が、上記範囲内であることによって、足裏の凹凸の高低差が大きい着用者の土踏まずの高さを保持しやすい。
【0031】
内側周縁部38の厚さH1は、内側部20の厚さh1より大きいことが好ましい。内側周縁部38の厚さH1と内側部20の厚さh1との比(H1/h1)は、2~4であるのが好ましく、2~4であるのがより好ましい。ソール10は、内側周縁部38の厚さH1と内側部20の厚さh1との比(H1/h1)が上記範囲内であることによって、内側部20が着用者の体重によってより変形しにくい。
【0032】
外側周縁部40の厚さH2は、外側部22の厚さh2より小さいことが好ましい。言い換えると、外側部22の厚さh2は外側周縁部40の厚さH2より大きいことが好ましい。外側周縁部40の厚さH2と外側部22の厚さh2との比(H2/h2)は、2~4であるのが好ましく、2~4であるのがより好ましい。ソール10は、外側周縁部40の厚さH2と外側部22の厚さh2との比(H2/h2)が上記範囲内であることによって、外側部22が着用者の体重によって変形しやすい。
【0033】
足受け部18は、土踏まずに対応した内側部20において内側周縁部38によって下方から支持されている。足受け部18は、内側周縁部38の厚さH1が外側周縁部40の厚さH2に比べ大きく、内側部20の厚さh1が外側部22の厚さh2より小さいことによって、内側部20の方が外側部22に比べ上下方向に変形しにくい。したがって、内側部20の方が外側部22に比べより高い位置に維持されやすい。
【0034】
図6に示すように、足受け部18の表面19は、着用者の足の土踏まずに対応する位置における幅方向Wの断面において、内側から外側へ向かって下方へ傾斜していてもよい。足受け部18の表面19が上記断面において内側から外側へ向かって下方へ傾斜していることによって、ソール10は着用者の足裏に沿いやすい。
【0035】
図5に示すように、つま先周縁部42は、着用者の足の指の付け根からつま先に対応した足受け対応部28の周縁に設けられている。つま先周縁部42は、
図1において逆U字状である。つま先周縁部42は、足受け部18のつま先部24を下方から支持している。つま先周縁部42の厚さH3は、外側周縁部40の厚さH2より大きく、内側周縁部38の厚さH1より小さいことが好ましい。つま先周縁部42の厚さH3は、つま先周縁部42における接地面34からつま先周縁部42の頂部36までの長さである。つま先周縁部42の厚さH3と外側周縁部40の厚さh2とが上記関係であることによって、つま先部24が着用者の体重によって変形しにくい。
【0036】
つま先周縁部42の厚さH3は、つま先部24の厚さh3より大きいことが好ましい。つま先周縁部42の厚さH3とつま先部24の厚さh3との比(H3/h3)は、1.2~2.0であるのが好ましく、1.4~1.8であるのがより好ましい。つま先周縁部42の厚さH3とつま先部24の厚さh3との比が上記範囲内であることによって、つま先部24が着用者の体重によってより変形しにくい。
【0037】
足受け部18は、着用者の足のつま先に対応したつま先部24において、つま先周縁部42によって下方から支持されている。足受け部18は、つま先周縁部42の厚さH3が外側周縁部40の厚さH2より高く、つま先周縁部42の厚さH3がつま先部24の厚さh3より大きいことによって、つま先部24が上下方向に圧縮変形しにくい。
【0038】
図7に示すように、踵周縁部44は、着用者の踵に対応した足受け対応部28の周縁に設けられている。踵周縁部44は、
図1においてU字状である。踵周縁部44は、足受け部18の踵部26を下方から支持している。踵周縁部44の厚さH4は、外側周縁部40の厚さH2以下であることが好ましい。踵周縁部44の厚さH4は、踵周縁部44における接地面34から踵周縁部44の頂部36までの長さである。踵周縁部44の厚さH4と外側周縁部40の厚さH2とが上記関係であることによって、踵部26が着用者の体重によって変形しやすい。
【0039】
踵周縁部44の厚さH4と踵部26の厚さh4との比(H4/h4)は、2~4であるのが好ましく、2~4であるのがより好ましい。踵周縁部44の厚さH4と踵部26の厚さh4との比が上記範囲内であることによって、踵部26が着用者の体重によってより変形しやすい。
【0040】
足受け部18は、着用者の足の踵に対応した踵部26において、踵周縁部44によって下方から支持されている。足受け部18は、踵周縁部44の厚さH4が外側周縁部40の厚さH2以下であり、踵部26の厚さh4が踵周縁部44の厚さH4より大きいことによって、踵部26が上下方向に圧縮変形しやすい。
【0041】
(作用及び効果)
次に、上記一実施形態のソール10の作用及び効果を説明する。ソール10は、足受け部18の表面に、着用者の足裏が接した状態で着用者の足に着用される。すなわち、着用者の足のつま先は足受け部18のつま先部24に接し、着用者の足の土踏まずは内側部20に接し、着用者の足裏の幅方向外側は外側部22に接し、着用者の足の踵は踵部26に接し得る。そうするとソール10は、着用者の足から下方向の荷重(体重)を受けるとともに、地面から当該荷重に対応した上方向の反力を受ける。
【0042】
一般的に、足裏のアーチは、筋群によって支えられている。特に内側アーチは、荷重及び反力を継続して受けることによって、筋群の張力が弱まると、内側に倒れこみやすくなる。
【0043】
着用者及び地面から受ける荷重及び反力によって、ソール10は圧縮変形し、足受け部18の表面19の位置が下方向へ移動する。上層14である足受け部18は、上層14より硬度の高い下層16の足受け対応部28によって下方から支えられている。下層16における内側周縁部38の厚さH2は、外側周縁部40の厚さH1より高い。これにより上層14における内側部20は、外側部22より上下方向Vに変形しにくく、外側部22より高さが高い状態を維持しやすい。したがってソール10は土踏まずの高さを保持しやすいので、着用者の足裏の内側アーチ形状を保持しやすい。
【0044】
足受け部18の外側部22の厚さh2は、下層16の外側周縁部40の厚さH2より大きいことにより、上層14が変形しやすいので、幅方向Wの外側の足受け部18が下方へ変形しやすい。そうすると、ソール10は着用者の足裏の幅方向Wの内側を外側より高く維持しやすい。したがってソール10は、着用者の内側アーチ形状をより保持しやすい。
【0045】
本実施形態に係るソール10は、内側周縁部38が内側部20を下方から支持することによって足裏を支える。さらにソール10は外側部22が内側部20より下方へ沈むことによって、着用者の足裏の幅方向Wの内側を外側より高く維持する。したがってソール10は、着用者の内側アーチ形状をより保持しやすい。
【0046】
ソール10は、着用者による歩行中、踵から着地する踏み込み時と、つま先から離地する蹴り出し時とにおいて、それぞれ、着用者から荷重(体重)と、地面から当該荷重に応じた反力とを受ける。
【0047】
ソール10は、踵部26が上下方向Vに圧縮変形しやすいので、踏み込み時において、地面から受ける反力が着用者の踵に伝達されることが抑制される。すなわち踵部26は、圧縮変形することによって地面から受ける反力の一部を吸収する。これによってソール10は、着用者による歩行中の踏み込み時に良好なクッション性が得られる。
【0048】
ソール10は、つま先部24が上下方向Vに圧縮変形しにくいので、蹴り出し時において、着用者のつま先の沈み込みを制限できる。すなわち、つま先部24は、圧縮変形を抑制し地面から受ける反力を着用者の足裏へ効率よく伝達する。これによってソール10は、着用者による歩行の際の蹴り出し時に良好は反発力を着用者の足に与えることができる。
【0049】
(変形例)
本発明は上記一実施形態に限定されず、本発明の趣旨の範囲内で適宜変更することができる。例えば、上記実施形態の場合、ソールは履物としてのビーチサンダルに適用された場合について説明したが、本発明はこれに限らない。ソールは、アンクルベルトなどを有するスポーツサンダル、つま先を覆うスリッパ、及び足の甲と踵とを覆う靴に適用してもよい。
【0050】
上記実施形態の場合、下層の周縁部の高さは、全周に亘って足受け部の表面より低い場合について説明したが、本発明はこれに限らない。例えば、周縁部は、一部、例えばつま先周縁部の一部の高さが足受け部の表面より高くてもよい。
【0051】
上記実施形態の場合、つま先周縁部の高さは、外側周縁部の高さより高い場合について説明したが、本発明はこれに限らない。例えば、つま先周縁部の高さは、つま先部の高さより高くすることで、つま先部の沈み込みを制限できれば、外側周縁部の高さより低くてもよい。
【0052】
上記実施形態の場合、踵周縁部の高さは、外側周縁部の高さ以下である場合について説明したが、本発明はこれに限らない。例えば、踵周縁部の高さは、踵部の高さより低くすることで、踵部が容易に圧縮変形できれば、外側周縁部の高さより高くてもよい。
【符号の説明】
【0053】
10 ソール
11 鼻緒
12 ビーチサンダル
14 上層
16 下層
18 足受け部
19 表面(足受け部)
20 内側部
21 下面(足受け部)
22 外側部
24 つま先部
26 踵部
28 足受け対応部
30 周縁部
32 上面
34 接地面
36 頂部
38 内側周縁部
40 外側周縁部
42 つま先周縁部
44 踵周縁部
V 上下方向
L 前後方向
W 幅方向