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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024001701
(43)【公開日】2024-01-10
(54)【発明の名称】除湿装置
(51)【国際特許分類】
   B03C 3/40 20060101AFI20231227BHJP
   B03C 3/41 20060101ALI20231227BHJP
   B03C 3/47 20060101ALI20231227BHJP
   D06F 58/02 20060101ALI20231227BHJP
【FI】
B03C3/40 A
B03C3/41 A
B03C3/47
B03C3/41 H
D06F58/02 Q
D06F58/02 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022100536
(22)【出願日】2022-06-22
(71)【出願人】
【識別番号】512128645
【氏名又は名称】青島海爾洗衣机有限公司
【氏名又は名称原語表記】QINGDAO HAIER WASHING MACHINE CO.,LTD.
(71)【出願人】
【識別番号】307036856
【氏名又は名称】アクア株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100160794
【弁理士】
【氏名又は名称】星野 寛明
(74)【代理人】
【識別番号】100135356
【弁理士】
【氏名又は名称】若林 邦彦
(74)【代理人】
【識別番号】100169694
【弁理士】
【氏名又は名称】荻野 彰広
(72)【発明者】
【氏名】乾 浩章
(72)【発明者】
【氏名】山内 智博
【テーマコード(参考)】
3B166
4D054
【Fターム(参考)】
3B166AA02
3B166AA05
3B166AA24
3B166AB22
3B166AB30
3B166AE02
3B166AE07
3B166BA55
3B166CA01
3B166CA11
3B166CB01
3B166CB11
3B166CC02
3B166DE02
3B166DE04
3B166EA03
3B166EA12
3B166EA25
3B166EA35
3B166EA37
3B166EC02
3B166EC13
3B166EC22
3B166EC40
3B166ED01
3B166ED02
3B166ED05
3B166EE01
3B166GA02
3B166GA14
3B166JM01
3B166JM02
3B166JM03
4D054AA09
4D054BA01
4D054BB02
4D054BB28
4D054BC02
(57)【要約】
【課題】風路内において均一に電界を生じさせることができ、かつ、風路内に流速の速い風が流れても各電極間の間隔及び張力を保つ除湿装置を提供する。
【解決手段】通風路に配置された複数の高電圧電極部材36及び複数の低電圧電極部材37とを有する除湿ユニット33を含み、各高電圧電極部材は、窓39を区画する絶縁材製のフレーム38と、窓の中を一定の間隔を空けて複数回縦断するように、1本のワイヤ線がフレームに張設されて保持された放電用ワイヤ40とを有し、放電用ワイヤの複数の縦断線部が通風路31内の入口から出口に向かって順に並ぶようにフレームが通風路内に配置され、各低電圧電極部材は、導電性薄板で形成され、高電圧電極部材の放電用ワイヤと所定の間隔を空けて対向するように通風路内に配置されている。
【選択図】図9
【特許請求の範囲】
【請求項1】
循環路を通る空気を除湿する除湿装置であって、
入口及び出口を有し、前記入口から前記出口へ直線状に、かつ、均一な開口空間として延びる通風路を備えたケースと、
前記通風路に配置された複数の高電圧電極部材及び複数の低電圧電極部材と、を有する除湿ユニットを含み、
各前記高電圧電極部材は、
窓を区画する絶縁材製のフレームと、
前記窓の中を一定の間隔を空けて複数回縦断するように、1本のワイヤ線が前記フレームに張設されて保持された放電用ワイヤとを有し、
前記放電用ワイヤの複数の縦断線部が前記通風路内の前記入口から前記出口に向かって順に並ぶように前記フレームが前記通風路内に配置され、
各前記低電圧電極部材は、導電性薄板で形成され、前記高電圧電極部材の前記放電用ワイヤと所定の間隔を空けて対向するように前記通風路内に配置されている、除湿装置。
【請求項2】
前記導電性薄板と前記放電用ワイヤとは、前記通風路内において、空気の通過方向に直交する方向に見て、所定の間隔Sを空けて対向しており、
前記フレームに張設された前記放電用ワイヤの複数の縦断線部は、前記通風路内において、空気の通過方向に見て、一定の間隔0.5S~5Sを空けて配置されている、請求項1に記載の除湿装置。
【請求項3】
前記フレームには、前記フレームに張設された前記放電用ワイヤの張力を調整する張力調整部材が備えられている、請求項1又は2に記載の除湿装置。
【請求項4】
前記張力調整部材は、前記放電用ワイヤに弾性力で張力を付与する張力調整ばねを含む、請求項3に記載の除湿装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、乾燥装置に備えられる除湿装置に関する。
【背景技術】
【0002】
下記特許文献1に記載の空気処理装置は、キャビネットと、キャビネットの奥側に設けられた吸い込みフードとを含む。吸い込みフードには、吸い込み口が設けられている。キャビネットには、吸い込み口に連通した風路と、風路内に配置された送風機、フィルタ及び集塵手段と、風路に連通した吹き出し口とが設けられている。送風機が作動すると、空気処理装置の周辺の空気が吸い込み口から風路内に吸い込まれて、フィルタ及び集塵手段を通過する。
【0003】
フィルタは、フィルタを通過する空気から油煙や水蒸気や臭気を除去する。集塵手段は、隙間を隔てて対向配置された放電電極及び対向電極を含む。フィルタで除去できない小さな油煙や水蒸気は、放電電極及び対向電極との間で生じる放電によって帯電されて捕集される。風路内に流入した空気は、このようにフィルタ及び集塵手段を通過することによって清浄化された後に、吹き出し口から空気処理装置の外に吹き出される。
【0004】
いわゆる電気集塵に用いられる電極の構成としては、針状放電極と平行平板式電極を用いた、ナフコ式電気集塵機の電極構造が知られている(非特許文献1参照)。たとえば、風路が形成される乾燥装置の風路内に放電電極の放電によって水分を帯電させて捕集する除湿装置における電極の構成を考える場合、前述した電極構造では、放電電極が針状に形成されるため、風路内において均一に電界を生じさせることが困難である。
【0005】
この課題を解決するための手段として、複数の線状放電極を板状の集塵電極の中間に配置し、各線状放電極の間隔を一定に保つために、各線状放電極の下端にゆれ止めの錘を配置するコットレル方式の電極を用いることが考えられる(非特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特許第4657168号公報
【非特許文献】
【0007】
【非特許文献1】https://www.nafco.info/page3 ナフコ株式会社ホームページ
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
非特許文献1で示す、コットレル方式の電極は、各線状放電極の下端にゆれ止めの錘を配置する構成であるので、放電電極を風路内に均一に配置することができるが、風路内に流速の早い風が流れると各線状放電極がゆれ動き、各線状放電極間の隙間および張力を一定に保つことができない、という問題がある。
【0009】
本発明は、かかる背景のもとでなされたもので、風路内において均一に電界を生じさせることができ、かつ、風路内に流速の速い風が流れても各電極間の間隔及び張力を維持することができる除湿装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明は、循環路を通る空気を除湿する除湿装置であって、入口及び出口を有し、前記入口から前記出口へ直線状に、かつ、均一な開口空間として延びる通風路を備えたケースと、前記通風路に配置された複数の高電圧電極部材及び複数の低電圧電極部材と、を有する除湿ユニットを含み、各前記高電圧電極部材は、窓を区画する絶縁材製のフレームと、前記窓の中を一定の間隔を空けて複数回縦断するように、1本のワイヤ線が前記フレームに張設されて保持された放電用ワイヤとを有し、前記放電用ワイヤの複数の縦断線部が前記通風路内の前記入口から前記出口に向かって順に並ぶように前記フレームが前記通風路内に配置され、各前記低電圧電極部材は、導電性薄板で形成され、前記高電圧電極部材の前記放電用ワイヤと所定の間隔を空けて対向するように前記通風路内に配置されている。
【0011】
また、本発明は、前記導電性薄板と前記放電用ワイヤとは、前記通風路内において、空気の通過方向に直交する方向に見て、所定の間隔Sを空けて対向しており、前記フレームに張設された前記放電用ワイヤの複数の縦断線部は、前記通風路内において、空気の通過方向に見て、一定の間隔0.5S~5Sを空けて配置されている。
【0012】
また、本発明は、前記フレームには、前記フレームに張設された前記放電用ワイヤの張力を調整する張力調整部材が備えられている。
【0013】
また、本発明は、前記張力調整部材は、前記放電用ワイヤに弾性力で張力を付与する張力調整ばねを含んでいる。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、通風路に配置された高電圧電極部材である放電用ワイヤと低電圧電極部材である導電性薄板とは、空気の通過方向に平行に設けられている。また、通風路を空気が通過しても放電用ワイヤが揺れることはないし、導電性薄板との間隔が変化することもない。そして、高電圧電極部材である放電用ワイヤに高電圧を印加することにより放電用ワイヤが放電をし、電界を発生させる。通風路を通過する空気に含まれる水分(ミスト)は電界によって帯電し、低電圧電極部材である導電性薄板の表面に捕集されて集水される。よって、通風路を通過する空気を効率良く除湿することができる。
【0015】
また、本発明によれば、通風路内において、放電用ワイヤと導電性薄板とは、空気の流れる方向に直交方向に所定の間隔Sを空けて対向しており、放電用ワイヤは、空気の流れる方向に沿って、一定の間隔0.5S~5Sを空けて配列されている。よって、放電用ワイヤの放電によって通風路内に適切な電界が生じ、空気に含まれる水分(ミスト)は帯電され、かつ、導電性薄板にスムーズに捕集される。
【0016】
本発明によれば、放電用ワイヤは、張力調整部材により適切な張力に保たれるので、一定の放電能力を常に担保できる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】本発明の一実施形態に係る乾燥装置が備えられた洗濯乾燥機の模式的な縦断面右側面図である。
図2】洗濯乾燥機に設けられた乾燥装置の具体的な構成を説明するための図であり、乾燥装置を右斜め後方から描いた図である。
図3】洗濯乾燥機に設けられた乾燥装置の具体的な構成を説明するための図であり、乾燥装置を右斜め前方から描いた図である。
図4】除湿装置を正面側右上方から描いた斜視図であり、通風路内が透視状態で描かれている。
図5】除湿装置の分解斜視図である。
図6】除湿装置の正面図である。
図7】除湿装置の平面図である。
図8】除湿装置の背面図である。
図9】除湿装置を背面側左上方から描いた斜視図である。
図10】高電圧電極部材の構成例を示す斜視図である。
図11】高電圧電極部材のフレームの一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下には、図面を参照して、本発明の実施形態について具体的に説明をする。実施形態の説明においては、除湿装置30を正面から見た状態において、前後方向をY(前方Y1,後方Y2)、左右方向をX(左方X1,右方X2)、上下方向をZ(上方Z1,下方Z2)とし、明細書及び図面に方向を記載した。
【0019】
図1は、本発明の一実施形態に係る乾燥装置が備えられた洗濯乾燥機1の模式的な縦断面右側面図である。
【0020】
洗濯乾燥機1は、筺体2と、筺体2内に配置された水槽3及び回転槽4を含む洗濯物を収容する収容槽5と、水槽3に接続された排水路7と、回転槽4を回転させるモータ8とを含んでいる。排水路7には、排水路7を開閉する排水弁7Aが設けられている。
【0021】
洗濯乾燥機1では、収容槽5が乾燥対象物を収容する収容庫である。
【0022】
収容槽5の後面のたとえば下方位置には、ダクト10の下端部11が連通されている。ダクト10は収容庫5の後面の外側に沿って上方へ延び上がり、前方へ曲がり、収容庫5の上面の上側に沿って前方へ延びる循環路12を有している。循環路12の先端側、すなわち、ダクト10の先端部13は、下方へ曲がり、収容庫5のたとえば上方前方位置から収容庫5内に連通されている。
【0023】
ダクト10には、送風機15、加熱器16及び除湿装置30が備えられている。
【0024】
送風機15は、収容庫5内の空気をダクト10の下端部11からダクト10内へ流出させ、循環路12を通してダクト10の先端部13から収容庫5内へ流入させるものである。送風機15によってダクト10内の空気に気圧差が生じ、送風機15から見て、上流側の循環路12aから下流側の循環路12bへと流れる空気流が生成される。
【0025】
加熱器16は、循環路12を流れる空気流を加熱して暖める装置である。加熱器16は、本実施形態では、循環路12内において、除湿装置30の下流側に隣接して配置されている。
【0026】
除湿装置30は、循環路12を流れる空気に含まれる水分を除去するための装置である。循環路12を流れ出る空気は、一般に湿度が高く、多量の水分(ミスト、水滴、水蒸気など)を含んでいる。除湿装置30は、循環路12を流れる多湿空気に含まれるミスト、水滴又は水蒸気を放電によって帯電させる帯電部と、帯電したミスト、水滴又は水蒸気を捕集するコレクター部とを備えている。除湿装置30の具体的な構成については後述する。
【0027】
本実施形態では、ダクト10、送風機15、加熱器16及び除湿装置30によって乾燥装置14が構成されている。
【0028】
除湿装置30には、コレクター部によって捕集されて集水された水を排水するための専用の排水路17が接続されていてもよい。排水路17の下端部は、水槽3の下方部又は排水路7に接続されている。
【0029】
ダクト10には、除湿装置30の配置位置よりも循環路12の上流側に第1の温度湿度センサ18Aが設けられ、除湿装置30の配置位置よりも循環路12の下流側に第2の温度湿度センサ18Bが設けられていてもよい。循環路12を循環する空気の温度及び湿度は、第1の温度湿度センサ18A及び第2の温度湿度センサ18Bで測定され、乾燥装置14の動作制御に利用される。
【0030】
なお、ダクト10には、循環路12を流れる空気を筺体2の外部へ放出する排気口19が設けられていてもよい。排気口19には、空気を循環路12内を循環させるか、排気口19から外部へ排気するかを切り換える排気切り換え弁19Aが備えられている。
【0031】
図1に示す洗濯乾燥機1において、符号6は、収容槽5を開閉するドアである。ドア6は、筺体2の前面開口に設けられている。ドア6は、閉じられると、図示しないドアパッキンを介して、収容槽5の前面開口を気密的・液密的に封鎖する。また、符号9は、洗濯乾燥機1の動作を電気的に制御する制御部である。
【0032】
図2及び図3は、洗濯乾燥機1に設けられた乾燥装置14の具体的な構成を説明するための図である。図2は、洗濯乾燥機1の収容槽5(水槽3)及び収容槽5に取り付けられた乾燥装置14を、洗濯乾燥機1の右斜め後方から描いた図である。また、図3は、洗濯乾燥機1の収容槽5(水槽3)及び収容槽5に取り付けられた乾燥装置14を、洗濯乾燥機1の右斜め前方から描いた図である。
【0033】
なお、図2及び図3においては、収容槽5(水槽3)は前後方向に2分割できる収容槽5が用いられており、収容槽5の後部だけが示されている。
【0034】
図2及び図3を参照して、収容槽5の後面の右下方には排気孔21が形成されている。収容槽5の後面には、ダクト10が配置されている。ダクト10の下端部11は、収容槽5の後面に形成された排気孔21と連通している。
【0035】
ダクト10は、下端部11から上方へ向かって延び上がっている。ダクト10の上端には、送風機15が接続されている。送風機15は、収容槽5内の空気を排気孔21から流出させ、ダクト10を介して収容槽5内の空気を吸い上げる。
【0036】
そして、吸い上げられた空気は、送風機15によって、収容槽5の上面の上方に沿って前方へと送り出される。
【0037】
送風機15の前方側には、ユニット化された除湿装置30及び加熱器16がこの順で配置されている。
【0038】
なお、図2及び図3においては、作図の関係上、ダクト10の一部及び循環路12は示されていないが、循環路12を流れる空気の流れが、黒太矢印A1、A2で示されている。
【0039】
図4は、除湿装置30を正面側右上方から描いた斜視図であり、通風路31内が透視状態で描かれている。図5は、除湿装置30の分解斜視図である。図6は、除湿装置30の正面図、図7は、除湿装置30の平面図、図8は、除湿装置30の背面図である。さらに、図9は、除湿装置30を背面側左上方から描いた斜視図である。
【0040】
図4図9を参照して、本実施形態に係る除湿装置30について詳細に説明する。
【0041】
除湿装置30は、通風路31を備えたケース32と、通風路31内に配置された除湿ユニット33とを含んでいる。ケース32は、絶縁素材、たとえば絶縁性プラスチックにより形成されている。ケース32に形成された通風路31は、循環路12の一部を構成する。通風路31は、ケース32の背面側(Y2方向)に開口した入口34及びケース32の正面側(Y1方向)に開口した出口35を有し、入口34から出口35へY方向に直線状に延びる略正方形状の開口空間を区画している。
【0042】
通風路31内に配置された除湿ユニット33は、複数、たとえば3つの高電圧電極部材36と、複数、たとえば4つの低電圧電極部材37とを含んでいる。3つの高電圧電極部材36は、循環路12の一部を構成する通風路31を流れる多湿空気に含まれるミスト、水滴又は水蒸気を放電によって帯電させる帯電部として機能する。4つの低電圧電極部材37は、帯電したミスト、水滴又は水蒸気を捕集するコレクター部として機能する。
【0043】
図10は、高電圧電極部材36の構成例を示す斜視図である。図10に示す高電圧電極部材36において、左は除湿装置30に装着された状態での前方(Y1方向)、右は後方(Y2方向)となる。高電圧電極部材36は、絶縁素材で形成された略矩形のフレーム38を有し、フレーム38によって囲まれた略矩形に開口した窓39が区画されている。窓39には、窓39の中を上下に縦断する複数の放電用ワイヤ40が、窓39内の前側(Y1方向)から後側(Y2方向)に向かって等間隔で配列されている。窓39内を縦断する複数(図10の例では、6本)の放電用ワイヤ40は、6本が一連に繋がった1本のワイヤ線で構成されている。すなわち、1本のたとえばタングステンワイヤ線40が、フレーム38の上フレーム38Uの前側から下フレーム38Dの前側へ窓39内を縦断するように一定の張力で張設され、下フレーム38Dに沿って後側へ一定間隔送られ、下フレーム38Dから上フレーム38Uへ向けて窓39内を縦断するように一定の張力で張設され、上フレーム38Uに沿って後側へ一定間隔送られ、上フレーム38Uから下フレーム38Dへ向けて窓39内を縦断するように一定の張力で張設され、これが繰り返されることによって窓39内を縦断する6本の放電用ワイヤ40が張設されている。
【0044】
そして、1本のタングステンワイヤ線40の前側端部は、フレーム38の前フレーム38Fの上方に設けられた電極板41に接続されている。
【0045】
また、1本のタングステンワイヤ線40の後側端部は、フレーム38の後フレーム38Bに設けられた張力調整部材42を介して、後フレーム38Bに固定されている。張力調整部材42は、たとえばばね部材で構成することができる。
【0046】
なお、本実施形態では、窓39の中を上下に縦断する放電用ワイヤ40は、1本のタングステンワイヤ線が使用されてフレーム38内に上下方向Zに前方Y1から後方Y2に向かって平行に6本設けられたものを例示したが、放電用ワイヤ40の本数は、6本に限らず、複数本であればよい。
【0047】
図11は、高電圧電極部材36を構成するフレーム38の一例である。フレーム38は、図11に示すように、メインフレーム38Mと、サブフレーム38Sとが張り合わされるように嵌合されたものでもよい。フレーム38を、メインフレーム38Mとサブフレーム38Sとの貼り合わせ嵌合構造にすると、フレーム38の窓39内を縦断する複数の放電用ワイヤ40をフレーム38に張設する際に、メインフレーム38Mとサブフレーム38Sとによって放電用ワイヤ40の両端を挟持でき、放電用ワイヤ40を所定の張力で容易に張設できるという利点がある。
【0048】
また、メインフレーム38Mの外縁部に張力調整用の突起381を設けてもよく、同様に、サブフレーム38Sの外縁部に張力調整用の突起382を設けてもよい。突起381、382を設けることで、メインフレーム38Mとサブフレーム38Sとによって放電用ワイヤ40を挟持する際に、挟持部位に凸凹を作り、放電用ワイヤ40に対し突起381、382で張力を加えながら張設でき、しかも加えた張力が緩みにくいという利点がある。
【0049】
図4図9を再び参照して、ケース32の通風路31内において、正面視で、高電圧電極部材36はそれぞれ縦に立設され、左右方向に等間隔を空けて3つの高電圧電極部材36が並列配置されている。よって、各高電圧電極部材36の複数の放電用ワイヤ40は、通風路31の入口34から出口35に向かって等間隔で左右方向Xに並んだ状態となる。このため、通風路31を入口34から出口35に向かって流れる空気は、各高電圧電極部材36の窓39に沿って、窓39の両側を後側から前側へと流れ、複数の放電用ワイヤ40と順に接する。
【0050】
通風路31内に上述のように左右方向Xに並列配置された3つの高電圧電極部材36の配置状態を維持するために、ワイヤ支持ステー43が設けられている。ワイヤ支持ステー43は、導電材、たとえば銅、ニッケル、アルミ、ステンレス等の金属で形成されており、ケース32の正面側を横方向(X方向)に横切るように設けられている。ワイヤ支持ステー43は、ケース32の正面から前方Y1へ一定間隔離れている。ワイヤ支持ステー43の右端431及び左端432は平面視において、後方Y2へ直角に曲げられて、ケース32の側面に突設された固定用突部44に固定されている。
【0051】
ワイヤ支持ステー43は、通風路31内に配置された3つの高電圧電極部材36の各電極板41に電気的に接続され、3つの高電圧電極部材36を保持している。
【0052】
ケース32の通風路31内において、4つの低電圧電極部材37は、3つの高電圧電極部材36の両側に対向するように配置されている。低電圧電極部材37は、たとえばステンレス板又はアルミニウム板等の導電板で形成された薄い板状をしている。低電圧電極部材37は、正面視において、通風路31内の左端及び右端に配置されると共に、高電圧電極部材36と高電圧電極部材36との間にも配置されている。
【0053】
低電圧電極部材37は、薄い板状であるから、たとえば、その下辺を受け止めて保持する保持突起45が通風路31のたとえば底面に設けられていてもよい。
【0054】
ケース32の背面側には、4つの低電圧電極部材37に電気的に接続され、4つの低電圧電極部材37を保持する金属板製のコレクター支持ステー46が設けられている。このコレクター支持ステー46の左端部462は、ケース32の左側面に沿って下方へ曲げられており、接地用電極として機能し得るようにされている。
【0055】
通風路31内を流れる空気の通過方向(Y方向)に直交する方向である正面視の左右方向Xにおいて、通風路31内における高電圧電極部材36と低電圧電極部材37との対向間隔は、たとえば間隔Sとされている(図6を参照)。間隔Sは、一例として10mm程度であってもよい。
【0056】
一方、図10を参照して説明した放電用ワイヤ40と放電用ワイヤ40との間隔Vは、一例として、V=0.5S~5Sとされていてもよい。つまり、間隔Vは、一例として5~50mm程度であってもよい。
【0057】
本実施形態における除湿装置30の作用は次の通りである。
【0058】
ワイヤ支持ステー43の左端部432に高電圧回路基板50から高電圧、たとえば数kV~数十kVの高電圧が印加される。このとき、4つの低電圧電極部材37に電気的に接続されたコレクター支持ステー46の左端部462は、グランド電位に接続されている。ワイヤ支持ステー43を介して高電圧が印加されると、高電圧電極部材36の各放電用ワイヤ40が放電する。すると、放電用ワイヤ40の周囲の空気がプラズマ状態になり、この空気の分子が陽イオン化して低電圧電極部材37へ移動する。これにより、高電圧電極部材36と低電圧電極部材37との間に数10μAの電流が流れる。
【0059】
ケース32の通風路31内において、高電圧電極部材36と低電圧電極部材37との間を流れる空気に含まれる水分(つまりミスト、水滴又は水蒸気)は、放電用ワイヤ40の放電により生じる陽イオンや電子に衝突することによって正極に帯電される。正極に帯電された水分(つまりミスト、水滴又は水蒸気)は、グランド電位の低電圧電極部材37に引き寄せられて捕集される。これにより、通風路31内を通過する空気が除湿される。
【0060】
以上のように、本実施形態に係る除湿装置30は、ケース32の通風路31を流れる多湿空気に含まれる水分(つまりミスト、水滴又は水蒸気)を、放電用ワイヤ40からの放電によって帯電させる帯電部としての高電圧電極部材36を備える。また、除湿装置30は、帯電した水分(つまりミスト、水滴又は水蒸気)を捕集するコレクター部としての低電圧電極部材37を備える。
【0061】
除湿装置30のワイヤ支持ステー43の左端部432に高電圧を印加する高電圧回路基板50は、図3を参照して、除湿装置30の左方向X1の左奥側に設けられているのが望ましい。なぜなら、本実施形態では、除湿装置30のケース32は、通風路31からワイヤ支持ステー43の左端部432が遠ざかるように、左側が突出している。よって、左側に高電圧回路基板50を設けることで、高電圧回路基板50の漏電が防止され、放電不良等が生じ難くなるからである。
【0062】
低電圧電極部材37に捕集された水分は、薄い板状の低電圧電極部材37の表面で相対的に大きな水滴となり、自重によって低電圧電極部材37の表面を伝わって通風路31の底面に流れ落ちる。
【0063】
通風路31の底面は、前下がり傾斜を有する底面であってもよい。そうすると、低電圧電極部材37で捕集された水分は、通風路31の底面を前方Y1側へ流れ易い。
【0064】
ケース32は、ダクト区画部材10Bの内に納められているから、ケース32の通風路31の底面に溜まった水分は、ダクト区画部材10Bに連通された専用の排水路17を通って排水される。
【0065】
図3を参照して、本実施形態においては、循環路12を流れる空気の流れ方向に見て、除湿装置30の下流側に、除湿装置30に隣接するように加熱器16が配置されている。また、除湿装置30においては、高電圧電極部材36を支持するワイヤ支持ステー43が、除湿装置30の通風路31の下流側に設けられている。よって、ワイヤ支持ステー43は、常時、加熱器16により加熱されており、結露が防がれている。
【0066】
本実施形態においては、除湿装置30のケース32は、正面視において、右側に通風路31が区画され、通風路31の左側には、上面がフラットで下面が上方へ傾斜した台形状に左側へ延びるケース外形を有する構成を説明した。ケース32を上記の形状としたのは、除湿装置30を循環路12に装着するための便宜のためであり、かつ、通風路31と高電圧電極部材36とを離すためである。よって、除湿装置30のケース32の形状は、上述の実施形態に限定されるものではない。
【0067】
さらに、本実施形態では、通風路31内に配置された除湿ユニット33は、3つの高電圧電極部材36と4つの低電圧電極部材37とを含む構成として説明したが、通風路の断面積等に応じて、高電圧電極部材は、複数個が配列されればよく、低電圧電極部材も複数個が配列されればよい。その場合に、通風路における空気の流れ方向(Y方向)に直交するX方向に見て、高電圧電極部材と低電圧電極部材とは、交互に対向するように配置されていればよい。
【0068】
また、本実施形態においては、洗濯乾燥機に組み込まれた乾燥装置を例にとって説明したが、本発明に係る乾燥装置及び除湿装置は、乾燥機能付き洗濯機、衣類乾燥機、食器洗い機等の乾燥装置や除湿装置としても適用することができる。
【0069】
本発明は、以上説明した実施形態の構成に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載の範囲内で種々の変更が可能である。
【符号の説明】
【0070】
1 洗濯乾燥機
2 筺体
3 水槽
4 回転槽
5 収容槽
6 ドア
7 排水路
8 モータ
9 制御部
10 ダクト
11 下端部
12 循環路
13 先端部
14 乾燥装置
15 送風機
16 加熱器
17 排水路
18A、18B 温度湿度センサ
19 排気口
19A 排気切り替え弁
21 排気孔
30 除湿装置
31 通風路
32 ケース
33 除湿ユニット
34 入口
35 出口
36 高電圧電極部材
37 低電圧電極部材
38 フレーム
39 窓
40 放電用ワイヤ
41 電極板
42 張力調整部材
43 ワイヤ支持ステー
44 固定用突部
45 保持突起
46 コレクター支持ステー
50 高電圧回路基板
381、382 突起
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11