(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024170115
(43)【公開日】2024-12-06
(54)【発明の名称】浄化装置
(51)【国際特許分類】
B01D 53/52 20060101AFI20241129BHJP
B01D 53/81 20060101ALI20241129BHJP
H01M 50/35 20210101ALI20241129BHJP
【FI】
B01D53/52 ZAB
B01D53/81
H01M50/35 201
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023087097
(22)【出願日】2023-05-26
(71)【出願人】
【識別番号】391002498
【氏名又は名称】フタバ産業株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】000003207
【氏名又は名称】トヨタ自動車株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000578
【氏名又は名称】名古屋国際弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】都築 裕介
(72)【発明者】
【氏名】浅井 竜司
(72)【発明者】
【氏名】小熊 泰正
【テーマコード(参考)】
4D002
5H012
【Fターム(参考)】
4D002AA03
4D002AC10
4D002BA03
4D002BA04
4D002BA06
4D002CA07
4D002DA06
4D002DA12
4D002DA41
4D002DA46
4D002HA03
4D002HA10
5H012BB01
(57)【要約】
【課題】二次電池で発生したガスを浄化する浄化装置において、粒状の浄化材の微細化に起因するショートパスの発生を抑制するための技術を提供する。
【解決手段】二次電池で発生したガスを浄化する浄化装置は、流路部材と、浄化材と、弾性部材と、を備える。流路部材は、ガスの流路を形成する。浄化材は、ガスを浄化する。浄化材は、粒状である。流路部材は、充填部と、配置部と、を有する。充填部は、流路に浄化材が充填される。配置部は、充填部に隣接し、弾性部材が配置される。弾性部材は、浄化材を押圧するように配置されている。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
二次電池で発生したガスを浄化する浄化装置であって、
前記ガスの流路を形成する流路部材と、
前記ガスを浄化する粒状の浄化材と、
弾性部材と、
を備え、
前記流路部材は、
前記流路に前記浄化材が充填された充填部と、
前記充填部に隣接し、前記弾性部材が配置された配置部と、
を有し、
前記弾性部材は、前記浄化材を押圧するように配置されている、浄化装置。
【請求項2】
請求項1に記載の浄化装置であって、
前記流路部材には、前記流路部材内へ前記ガスを導入する導入口が形成され、
前記導入口は、鉛直方向において前記二次電池と重なる位置又は前記二次電池よりも低い位置に形成されている、浄化装置。
【請求項3】
請求項1又は請求項2に記載の浄化装置であって、
前記流路部材には、前記流路部材内へ前記ガスを導入する導入口と、前記流路部材から前記ガスを排出する排出口と、が形成され、
前記排出口は、鉛直方向において前記導入口よりも低い位置に形成されている、浄化装置。
【請求項4】
請求項1又は請求項2に記載の浄化装置であって、
前記配置部は、前記充填部に対して前記流路の上流側又は下流側に設けられ、
前記弾性部材は、前記流路の上流側又は下流側から前記浄化材を押圧するように配置されている、浄化装置。
【請求項5】
請求項1又は請求項2に記載の浄化装置であって、
前記充填部は、筒状であって、少なくとも1か所において中心軸が屈曲している、浄化装置。
【請求項6】
請求項1又は請求項2に記載の浄化装置であって、
前記流路部材は、前記充填部の内面から前記流路内へ延びる板状の仕切り板を更に有する、浄化装置。
【請求項7】
請求項1又は請求項2に記載の浄化装置であって、
複数の孔が形成された板状の通気板を更に備え、
前記通気板は、前記浄化材と前記弾性部材との間に配置されている、浄化装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、二次電池で発生したガスを浄化する浄化装置に関する。
【背景技術】
【0002】
二次電池で発生したガスを浄化する浄化装置がある。例えば特許文献1には、二次電池で発生したガスが通過する管の内部に、ガスを無害化する除去部が配置された構成が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
二次電池で発生したガスの流路にガスを浄化する浄化材が充填された浄化装置において、粒状の浄化材が用いられる場合がある。しかしながら、粒状の浄化材は、振動等によって微細化され得る。粒状の浄化材が微細化された場合、浄化材層に空隙が生じ、ガスが浄化材と接触せずに外部へ排出されるショートパスが発生してしまう可能性がある。
【0005】
本開示の一局面は、二次電池で発生したガスを浄化する浄化装置において、粒状の浄化材の微細化に起因するショートパスの発生を抑制するための技術を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の一態様は、二次電池で発生したガスを浄化する浄化装置である。浄化装置は、流路部材と、浄化材と、弾性部材と、を備える。流路部材は、ガスの流路を形成する。浄化材は、ガスを浄化する。浄化材は、粒状である。流路部材は、充填部と、配置部と、を有する。充填部は、流路に浄化材が充填される。配置部は、充填部に隣接し、弾性部材が配置される。弾性部材は、浄化材を押圧するように配置されている。
【0007】
このような構成によれば、浄化材が微細化したとしても、浄化材層に空隙が生じることを抑制することができる。したがって、粒状の浄化材の微細化に起因するショートパスの発生を抑制することができる。
【0008】
本開示の一態様では、流路部材には、流路部材内へガスを導入する導入口が形成されてもよい。導入口は、鉛直方向において二次電池と重なる位置又は二次電池よりも低い位置に形成されていてもよい。
【0009】
このような構成によれば、ガスの比重が空気よりも重い場合に、ガスを導入口から流路部材内へ導入しやすくすることができる。したがって、ガスを浄化しやすくすることができる。
【0010】
本開示の一態様では、流路部材には、流路部材内へガスを導入する導入口と、流路部材からガスを排出する排出口と、が形成されてもよい。排出口は、鉛直方向において導入口よりも低い位置に形成されていてもよい。
【0011】
このような構成によれば、ガスの比重が空気よりも重い場合に、流路においてガスを流れやすくすることができる。したがって、ガスを浄化しやすくすることができる。
【0012】
本開示の一態様では、配置部は、充填部に対して流路の上流側又は下流側に設けられてもよい。弾性部材は、流路の上流側又は下流側から浄化材を押圧するように配置されていてもよい。
【0013】
このような構成によれば、浄化材が微細化したとしても、浄化材層に空隙が生じることを一層抑制することができる。したがって、粒状の浄化材の微細化に起因するショートパスの発生を一層抑制することができる。
【0014】
本開示の一態様では、充填部は、筒状であって、少なくとも1か所において中心軸が屈曲していてもよい。
【0015】
このような構成によれば、ガスが浄化材層を通過する経路長を長くすることができる。したがって、ガスを浄化しやすくすることができる。
【0016】
本開示の一態様は、流路部材は、充填部の内面から流路内へ延びる板状の仕切り板を更に有してもよい。
【0017】
ガスが浄化材層を通過する経路長を長くすることができる。したがって、ガスを浄化しやすくすることができる。
【0018】
本開示の一態様は、複数の孔が形成された板状の通気板を更に備えてもよい。通気板は、浄化材と弾性部材との間に配置されていてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【
図1】第1実施形態の電池システムの模式的な上面図である。
【
図3】第1実施形態の浄化装置の模式的な右側面図である。
【
図4】
図4Aは、第2実施形態の浄化装置の模式的な上面図である。
図4Bは、第2実施形態の浄化装置の模式的な断面図である。
図4Cは、第2実施形態の浄化装置の模式的な右側面図である。
【
図5】
図5Aは、第3実施形態の浄化装置の模式的な上面図である。
図5Bは、第3実施形態の浄化装置の模式的な断面図である。
図5Cは、第3実施形態の浄化装置の模式的な右側面図である。
【
図6】第4実施形態の浄化装置の模式的な断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、本開示の例示的な実施形態について図面を参照しながら説明する。
【0021】
[1.第1実施形態]
[1-1.構成]
図1及び
図2に示す電池システム100は、電気自動車等の車両に搭載される。以下の説明における鉛直方向及び水平方向とは、電池システム100が車両に搭載された状態における鉛直方向及び水平方向を意味する。電池システム100は、外殻部材1と、二次電池2と、浄化装置3と、を備える。
【0022】
図2に示すように、外殻部材1は、二次電池2及び浄化装置3を収容するための収容空間11を形成する部材である。本実施形態の外殻部材1の外形は、直方体状である。外殻部材1の外面には、浄化装置3の後述する排出口43に対応する位置に、連通口12が形成されている。連通口12は、外殻部材1の内外、つまり収容空間11と外部とを連通する開口である。本実施形態の連通口12は、外殻部材1の下面に形成されている。
【0023】
二次電池2は、収容空間11内に配置されている。二次電池2は、正極と、負極と、正極と負極との間に介在する電解質と、を備える。正極、負極及び電解質の少なくとも1つは、硫黄系材料を含む。二次電池2の具体例としては、電解質として硫化物系の固体電解質を用いた全固体電池が挙げられる。二次電池2は、例えば、電池システム100が車両に搭載された状態において、車両を走行させるためのモータに電力を供給する。
【0024】
二次電池2からは、ガスGが発生する。具体的には、硫黄系材料が水分と反応することにより、硫化水素を含むガスGが発生する。浄化装置3は、このガスGを浄化する装置である。浄化装置3は、流路部材40と、2つの通気板50a,50bと、2つのフィルタ60a,60bと、浄化材70と、弾性部材80と、を備える。
【0025】
流路部材40は、ガスGの流路41を形成する部材である。流路部材40は、筒状である。本実施形態の流路部材40は、
図2及び
図3に示すように、L字状に屈曲した四角筒状である。流路部材40の軸方向における両端の開口が、それぞれ、導入口42及び排出口43として機能する。すなわち、流路部材40には、導入口42及び排出口43が形成されている。導入口42は、流路部材40内へガスGを導入する開口である。排出口43は、流路部材40からガスGを排出する開口である。
【0026】
図2に示すように、流路部材40における導入口42側の端部には、導入口42を塞ぐように通気板50aが配置されている。通気板50aは、複数の通気孔51が形成された板状の部材である。通気孔51は、通気板50aを板厚方向に貫通する孔である。通気板50aの大きさは、導入口42と略同一又は導入口42よりも大きい。本実施形態の通気板50aは、導入口42と略同一の大きさであって、導入口42に嵌め込まれている。
【0027】
流路部材40における排出口43側の端部には、排出口43を塞ぐようにフィルタ60aが配置されている。フィルタ60aは、浄化材70を通過させない一方、ガスGを含む気体を通過可能に構成されている。フィルタ60aの大きさは、排出口43と略同一又は排出口43よりも大きい。本実施形態のフィルタ60aは、排出口43よりも大きく、排出口43を外側から覆うように流路部材40に取り付けられている。
【0028】
流路部材40内には、通気板50b及びフィルタ60bが、流路41を上流側及び下流側(つまり導入口42側及び排出口43側)の2つの部分に区画するように配置されている。具体的には、通気板50b及びフィルタ60bは、互いに重ね合わされ、通気板50bを上流側、フィルタ60bを下流側へ向けた状態で、流路41に配置されている。これにより、流路41が上流側及び下流側の2つの部分に区画される。以下では、通気板50b及びフィルタ60bにより区画された流路41の上流側及び下流側の各部分を、上流部41a及び下流部41bという。通気板50b及びフィルタ60bの構成は、前述した通気板50a及びフィルタ60aと概ね同一である。ただし、通気板50b及びフィルタ60bの大きさは、軸方向から視た流路部材40の内形と略同一である。
【0029】
流路部材40は、配置部44と、充填部45と、を有する。配置部44は、上流部41aを形成する部分である。充填部45は、下流部41bを形成する部分である。配置部44及び充填部45は、互いに隣接している。本実施形態では、配置部44が、充填部45に対して流路41の上流側に設けられている。また、本実施形態では、前述したように流路部材40がL字状に屈曲した筒状であるところ、充填部45が、流路部材40におけるL字状に屈曲した部分を構成する。言い換えれば、充填部45は、筒状であって、1か所において中心軸Xが屈曲している。
【0030】
充填部45には、2つのフィルタ60a,60bに挟まれた下流部41bに、浄化材70が密に充填されている。浄化材70は、吸着又は改質によりガスGを浄化する。浄化材70は、粒状である。浄化材70は、下流部41bに充填されることにより、浄化材層を形成している。浄化材70の材料としては、例えば、活性炭、アルミナ等の金属酸化物、水酸化マグネシウム等の金属水酸化物が挙げられる。
【0031】
配置部44には、2つの通気板50a,50bに挟まれた上流部41aに、弾性部材80が配置されている。弾性部材80は、弾性力によって対象物を所定の方向へ付勢する部材である。弾性部材80の具体例としては、コイルスプリングが挙げられる。上流部41aにおいて、弾性部材80は、浄化材70との間に配置された通気板50b及びフィルタ60bを介して、浄化材70を押圧するように配置されている。具体的には、弾性部材80は、流路41の上流側から、浄化材層へのガスGの導入方向Fに沿って、浄化材70を押圧するように配置されている。
【0032】
浄化装置3は、収容空間11内において、二次電池2と水平方向に並んで配置されている。この状態において、導入口42は、鉛直方向において二次電池2と重なる位置に位置している。言い換えれば、導入口42は、鉛直方向において二次電池2と重なる位置に形成されている。
【0033】
また、本実施形態では、浄化装置3は、流路部材40が鉛直方向下側へ屈曲する向きで配置されている。このため、排出口43は、鉛直方向において導入口42よりも低い位置に位置している。言い換えれば、排出口43は、鉛直方向において導入口42よりも低い位置に形成されている。流路部材40の排出口43側の端部は、フィルタ60aが取り付けられた状態において、外殻部材1の内側から連通口12に嵌め込まれている。
【0034】
二次電池2から発生したガスGは、導入口42から(より詳細には導入口42に嵌め込まれた通気板50aの通気孔51から)配置部44内へ導入される。そして、ガスGは、配置部44を通過して充填部45へ入り、充填部45を通過する間に浄化材70により浄化されて、排出口43から外部へ排出される。
【0035】
[1-2.効果]
以上詳述した第1実施形態によれば、以下の効果を奏する。
【0036】
(1a)浄化装置3では、充填部45における流路41(つまり下流部41b)に、浄化材70が充填されている。そして、充填部45に隣接する配置部44に、浄化材70を押圧するように弾性部材80が配置されている。
【0037】
浄化材70は粒状であるため、振動等によって微細化する可能性がある。しかし、上記のような構成によれば、浄化材70が微細化したとしても、弾性部材80によって浄化材70が押圧され、浄化材層に空隙が生じることを抑制することができる。したがって、浄化材70の微細化に起因するショートパスの発生を抑制することができる。
【0038】
(1b)二次電池2から発生するガスGは、硫化水素を含むため、空気よりも比重が重い。そこで、浄化装置3では、導入口42が、鉛直方向において二次電池2と重なる位置に形成されている。
【0039】
このような構成によれば、導入口42が例えば鉛直方向において二次電池2よりも高い位置に形成されている構成と比較して、ガスGを導入口42から流路部材40内へ導入しやすくすることができる。したがって、ガスGを浄化しやすくすることができる。
【0040】
(1c)浄化装置3では、排出口43は、鉛直方向において導入口42よりも低い位置に形成されている。このような構成によれば、流路41における少なくとも一部の区間において、鉛直方向下側へ向かうガスGの流れを形成することができる。流路41を流れるガスGは、浄化材70により十分に浄化されるまで硫化水素を含み、空気よりも比重が重いと考えられる。このため、鉛直方向下側へ向かうガスGの流れが形成されることにより、流路41においてガスGを流れやすくすることができる。結果として、ガスGを一層浄化しやすくすることができる。
【0041】
(1d)浄化装置3において、弾性部材80は、流路41の上流側から浄化材70を押圧するように配置されている。このような構成によれば、浄化材70が微細化したとしても、浄化材層の特に上流側の部分に空隙が生じることを抑制することができる。したがって、浄化材70の微細化に起因するショートパスの発生を一層抑制することができる。
【0042】
(1e)なかでも本実施形態では、弾性部材80は、流路41の上流側から、浄化材層へのガスGの導入方向Fに沿って、浄化材70を押圧するように配置されている。このような構成によれば、浄化材70が微細化したとしても、浄化材層の特に上流端に空隙が生じることを抑制することができる。したがって、浄化材70の微細化に起因するショートパスの発生をより一層抑制することができる。
【0043】
(1f)浄化装置3において、充填部45は、筒状であって、1か所において中心軸Xが屈曲している。このような構成によれば、中心軸Xが屈曲していない構成と比較して、充填部45における流路41(つまり下流部41b)の流路長を長くすることができる。すなわち、ガスGが浄化材層を通過する経路長を長くすることができる。したがって、ガスGをより一層浄化しやすくすることができる。
【0044】
[2.第2実施形態]
[2-1.構成]
第2実施形態は、第1実施形態と基本的な構成は同様であるため、相違点について以下に説明する。なお、第1実施形態と同一の符号は、同一の構成を示すものであって、先行する説明を参照する。
【0045】
第2実施形態の電池システムは、前述した浄化装置3に代えて、
図4A~
図4Cに示す浄化装置3Aを備える。第2実施形態の浄化装置3Aは、第1実施形態の浄化装置3と概ね同一の構成である。
【0046】
ただし、第2実施形態の浄化装置3Aでは、流路部材40Aの軸方向における一方の開口(第1実施形態の浄化装置3において導入口42として機能していた開口)が、板状の閉塞板46により閉塞されている。そして、流路部材40Aの上面に、導入口42が形成されている。具体的には、導入口42は、配置部44の上面に形成されている。配置部44における導入口42を構成する部分には、導入口42を塞ぐように通気板50aが配置されている。
【0047】
[2-2.効果]
以上詳述した第2実施形態によれば、第1実施形態と同様の効果を奏する。
【0048】
[3.第3実施形態]
[3-1.構成]
第3実施形態は、第1実施形態と基本的な構成は同様であるため、相違点について以下に説明する。なお、第1実施形態と同一の符号は、同一の構成を示すものであって、先行する説明を参照する。
【0049】
第3実施形態の電池システムは、前述した浄化装置3に代えて、
図5A~
図5Cに示す浄化装置3Bを備える。第3実施形態の浄化装置3Bは、第1実施形態の浄化装置3と概ね同一の構成である。
【0050】
ただし、第3実施形態の浄化装置3Bでは、流路部材40Bの軸方向における一方の開口(第1実施形態の浄化装置3において導入口42として機能していた開口)が、板状の閉塞板46aにより閉塞されている。そして、流路部材40Bの上面に、導入口42が形成されている。具体的には、導入口42は、充填部45の上面に形成されている。充填部45における導入口42を構成する部分には、導入口42を塞ぐように通気板50aが配置され、更に内側にフィルタ60cが配置されている。フィルタ60cの構成は、フィルタ60aと概ね同一である。ただし、フィルタ60cの大きさは、導入口42と同一又は導入口42よりも大きい。
【0051】
さらに、第3実施形態の浄化装置3Bでは、配置部44Bと充填部45との間に、通気板50b及びフィルタ60bではなく、板状の閉塞板46bが配置されている。閉塞板46bの大きさは、軸方向から視た流路部材40Bの内形と略同一である。閉塞板46bは、流路部材40Bの内部空間を2つの部分に区画している。そのうちの一方の部分、言い換えれば充填部45により形成される部分が、流路41に該当し、浄化材70が密に充填されている。他方の部分、言い換えれば配置部44Bにより形成される部分には、弾性部材80が、閉塞板46bを介して浄化材70を押圧するように配置されている。当該他方の部分には、ガスGは導入されない。すなわち、第3実施形態の配置部44Bは、第1実施形態の配置部44と共通して、充填部45に隣接し、弾性部材80が配置された部分であるものの、第1実施形態の配置部44と異なり、流路41の一部を形成する部分ではない。
【0052】
[3-2.効果]
以上詳述した第3実施形態によれば、上記(1a)~(1d),(1f)の効果を奏する。
【0053】
[4.第4実施形態]
[4-1.構成]
第4実施形態は、第1実施形態と基本的な構成は同様であるため、相違点について以下に説明する。なお、第1実施形態と同一の符号は、同一の構成を示すものであって、先行する説明を参照する。
【0054】
第4実施形態の電池システムは、前述した浄化装置3に代えて、
図6に示す浄化装置3Cを備える。第3実施形態の浄化装置3Cは、第1実施形態の浄化装置3と概ね同一の構成である。ただし、第3実施形態の浄化装置3Cでは、流路部材40Cが、複数の仕切り板47a~47dを更に有する。
【0055】
仕切り板47a~47dは、流路部材40Cの内面から流路41内へ延びる板状の部材である。具体的には、仕切り板47a~47dは、充填部45の内面から下流部41b内へ延びている。言い換えれば、仕切り板47a~47dは、浄化材層内へ延びている。また、仕切り板47a~47dは、仕切り板47a~47dが設けられていない状態におけるガスGの流れ方向と交差する方向へ延びている。
【0056】
なお、仕切り板の形状は、特に限定されず、例えば、仕切り板47a~47cのように単なる平板状であってもよいし、仕切り板47dのように一部が折り曲げられた平板状であってもよいし、少なくとも一部が湾曲した板状であってもよい。
【0057】
[4-2.効果]
以上詳述した第4実施形態によれば、第1実施形態と同様の効果を奏し、更に以下の効果を奏する。
【0058】
第4実施形態では、流路部材40Cが仕切り板47a~47dを有する。このような構成によれば、充填部45における流路41(つまり下流部41b)において、蛇行したガスGの流れを形成することができる。すなわち、ガスGが浄化材層を通過する経路長を長くすることができる。したがって、ガスGをより一層浄化しやすくすることができる。
【0059】
[5.他の実施形態]
以上、本開示の実施形態について説明したが、本開示は、上記実施形態に限定されることなく、種々の形態を採り得ることは言うまでもない。
【0060】
(5a)上記実施形態では、充填部45は、1か所において中心軸Xが屈曲した筒状の部分であるが、充填部45の形状は特に限定されない。例えば、充填部は、2か所以上において中心軸Xが屈曲した筒状の部分であってもよい。また例えば、
図7に示す浄化装置3Dの流路部材40Dのように、充填部45Dは、中心軸Xが直線状である筒状の部分であってもよい。
【0061】
これらのような構成においても、浄化装置が収容空間11内に配置される際には、排出口43が鉛直方向において導入口42よりも低くなるように配置されることが好ましい。言い換えれば、排出口43は、鉛直方向において導入口42よりも低い位置に形成されていることが好ましい。この場合、上記(1c)の効果を得ることができる。
【0062】
(5b)上記実施形態では、導入口42は、鉛直方向において二次電池2と重なる位置に形成されているが、導入口42の位置は特に限定されない。例えば、導入口42は、鉛直方向において二次電池2よりも低い位置に形成されてもよい。この場合も、上記(1b)の効果を得ることができる。
【0063】
(5c)上記実施形態では、配置部44は、充填部45に対して流路41の上流側に設けられている。そして、配置部44には、弾性部材80が、流路41の上流側から浄化材70を押圧するように配置されている。
【0064】
しかし、配置部は、充填部45に隣接するいずれの位置に設けられてもよい。例えば、配置部は、充填部45に対して流路41の下流側に設けられてもよい。そして、その配置部には、弾性部材80が、流路41の下流側から浄化材70を押圧するように配置されてもよい。具体的には、弾性部材80は、流路部材40の下流側から、浄化材層からのガスGの排出方向と反対方向に沿って、浄化材70を押圧するように配置されてもよい。このような構成によれば、浄化材70が微細化したとしても、浄化材層の特に下流側の部分に空隙が生じることを抑制することができる。
【0065】
(5d)流路部材及び仕切り板の材質は、特に限定されない。流路部材及び仕切り板は、例えば、樹脂製であってもよいし、金属製であってもよい。また例えば、流路部材の充填部及び仕切り板の少なくとも一方に、浄化材70の摩耗を軽減するための表面処理が施されてもよい。
【0066】
(5e)流路部材の外形は特に限定されない。流路部材は、例えば、上記実施形態のような四角筒状であってもよいし、四角筒状以外の角筒状であってもよいし、円筒状であってもよい。
【0067】
(5f)上記実施形態における1つの構成要素が有する機能を複数の構成要素として分散させたり、複数の構成要素が有する機能を1つの構成要素に統合したりしてもよい。また、上記実施形態の構成の一部を省略してもよい。また、上記実施形態の構成の少なくとも一部を、他の上記実施形態の構成に対して付加、置換等してもよい。
【0068】
[本明細書が開示する技術思想]
[項目1]
二次電池で発生したガスを浄化する浄化装置であって、
前記ガスの流路を形成する流路部材と、
前記ガスを浄化する粒状の浄化材と、
弾性部材と、
を備え、
前記流路部材は、
前記流路に前記浄化材が充填された充填部と、
前記充填部に隣接し、前記弾性部材が配置された配置部と、
を有し、
前記弾性部材は、前記浄化材を押圧するように配置されている、浄化装置。
【0069】
[項目2]
項目1に記載の浄化装置であって、
前記流路部材には、前記流路部材内へ前記ガスを導入する導入口が形成され、
前記導入口は、鉛直方向において前記二次電池と重なる位置又は前記二次電池よりも低い位置に形成されている、浄化装置。
【0070】
[項目3]
項目1又は項目2に記載の浄化装置であって、
前記流路部材には、前記流路部材内へ前記ガスを導入する導入口と、前記流路部材から前記ガスを排出する排出口と、が形成され、
前記排出口は、鉛直方向において前記導入口よりも低い位置に形成されている、浄化装置。
【0071】
[項目4]
項目1から項目3までのいずれか1項に記載の浄化装置であって、
前記配置部は、前記充填部に対して前記流路の上流側又は下流側に設けられ、
前記弾性部材は、前記流路の上流側又は下流側から前記浄化材を押圧するように配置されている、浄化装置。
【0072】
[項目5]
項目1から項目4までのいずれか1項に記載の浄化装置であって、
前記充填部は、筒状であって、少なくとも1か所において中心軸が屈曲している、浄化装置。
【0073】
[項目6]
項目1から項目5までのいずれか1項に記載の浄化装置であって、
前記流路部材は、前記充填部の内面から前記流路内へ延びる板状の仕切り板を更に有する、浄化装置。
【0074】
[項目7]
項目1から項目6までのいずれか1項に記載の浄化装置であって、
複数の孔が形成された板状の通気板を更に備え、
前記通気板は、前記浄化材と前記弾性部材との間に配置されている、浄化装置。
【符号の説明】
【0075】
1…外殻部材、2…二次電池、3,3A~3D…浄化装置、40,40A~40D…流路部材、41…流路、42…導入口、43…排出口、44,44B…配置部、45,45D…充填部、47a~47d…仕切り板、50a,50b…通気板、51…通気孔、60a~60c…フィルタ、70…浄化材、80…弾性部材、100…電池システム、G…ガス。