(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024017012
(43)【公開日】2024-02-08
(54)【発明の名称】遊技機
(51)【国際特許分類】
A63F 7/02 20060101AFI20240201BHJP
【FI】
A63F7/02 320
A63F7/02 304D
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022119366
(22)【出願日】2022-07-27
(71)【出願人】
【識別番号】599104196
【氏名又は名称】株式会社サンセイアールアンドディ
(74)【代理人】
【識別番号】110000992
【氏名又は名称】弁理士法人ネクスト
(72)【発明者】
【氏名】久保 幸治
【テーマコード(参考)】
2C088
2C333
【Fターム(参考)】
2C088BC22
2C088EB53
2C333AA11
2C333CA77
2C333EA04
2C333EA10
2C333GA05
(57)【要約】
【課題】保留表示物を用いた先読み演出を行う場合において、保留表示物の表示態様を変化させる新たな契機を設けることによって、遊技に対する興味を失わせることのない遊技機を提供する。
【解決手段】保留として記憶されている遊技情報に対応する保留表示物を表示する一方で、発射装置によって遊技盤上に発射された遊技球が転動する遊技領域の内、特定領域を遊技球が通過したことを契機として、保留表示物の表示態様を変化させることで、保留表示物を用いた先読み演出を行うように構成する。
【選択図】
図24
【特許請求の範囲】
【請求項1】
発射装置によって遊技盤上に発射された遊技球が転動する遊技領域と、
始動条件が成立したことに基づいて遊技情報を取得する遊技情報取得手段と、
前記遊技情報に基づいて特典を付与するか否かを判断する特典付与判断手段と、
図柄の変動を用いて前記特典付与判断手段の判断結果を報知する報知手段と、
前記遊技情報取得手段を介して取得した前記遊技情報を、前記報知手段の報知に供されるまで、所定の最大保留記憶個数を上限として時系列順に保留として記憶するとともに、前記報知手段による報知が終わった段階で最も古く記憶された保留を新たに消化する保留記憶手段と、
前記保留記憶手段に保留として記憶されている遊技情報に対応する保留表示物を表示する保留表示手段と、
前記遊技領域の内、特定領域を遊技球が通過したことを契機として、前記保留表示物の表示態様を変化させる保留演出手段と、を有することを特徴とする遊技機。
【請求項2】
入球口の上方に配置され、前記遊技領域の一部として遊技球が転動する転動領域を上面に備えたステージを有し、
前記特定領域は、前記転動領域内に設けることを特徴とする請求項1に記載の遊技機。
【請求項3】
前記保留表示物は、前記転動領域内の前記特定領域又はその周辺に配置され、
前記特定領域を遊技球が通過したことを契機として、遊技球が通過した特定領域又はその周辺にある前記保留表示物の表示態様を変化させることを特徴とする請求項2に記載の遊技機。
【請求項4】
前記特定領域は前記転動領域内の複数箇所に設けられ、
前記保留表示物は前記最大保留記憶個数に対応する数だけあって、前記転動領域内の各特定領域又はその周辺に分かれて配置されることを特徴とする請求項3に記載の遊技機。
【請求項5】
前記転動領域は、上面に凹凸形状を有する複数の領域に区分され、
前記ステージに移動した遊技球は前記複数の領域を段階的に移動し、
前記複数の領域の上面に形成された凹部に前記特定領域が設けられていることを特徴とする請求項2乃至請求項4のいずれかに記載の遊技機。
【請求項6】
現在消化中の保留の遊技情報に対応する変動保留表示物を表示する変動保留表示手段と、
前記遊技領域の内、特定領域を遊技球が通過したことを契機として、前記変動保留表示物の表示態様を変化させる変動保留演出手段と、を有することを特徴とする請求項1に記載の遊技機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、パチンコ遊技機等の遊技機に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来より、例えば遊技機の一つであるパチンコ遊技機では、始動入球口にパチンコ球が入球すると画像表示装置に表示された図柄が変動を開始するとともに、一定時間後に停止され、停止した図柄が特定の組み合わせに揃うと大入賞口が開放され、遊技者が多くのパチンコ球を獲得できる構成となっている。また、図柄が変動している間、並びに図柄の変動終了後においても、遊技者を飽きさせないように画像、音、ランプ、役物を用いて様々な演出を行っている。
【0003】
また、上記パチンコ遊技機で行われる演出では、演出内容によって大当たりの信頼度を示唆することが行われている。更に、現在の変動だけではなく消化前の保留されている変動に対する大当たりの信頼度を示唆する先読み演出も行われている。この先読み演出の一つとして、従来より保留記憶に係る保留表示物(保留ランプや保留画像)を用いた演出がある。例えば特開2012-24130号公報には、保留アイコンの表示色を白色、青色、黄色、緑色、赤色、虹色などの特殊な表示態様に変化させ、当該保留において大当りの信頼度を示すことについて開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ここで、上記特許文献1のような保留表示物を変化させる先読み演出では、基本的に遊技盤中央に配置された表示装置に表示される演出に対応させて保留表示物の表示態様を変化させていた。例えば、保留表示物の近傍にキャラクタを出現させて、キャラクタのアクションに合わせて保留表示物の色を変化させる等が良く行われている。従って、表示装置において上記のような演出が行われない状況では、遊技者は保留表示物の表示態様が変化することに対する期待が持てず、遊技に対する興味を失わせる結果となっていた。
【0006】
本発明は前記従来における問題点を解消するためになされたものであり、保留表示物を用いた先読み演出を行う場合において、保留表示物の表示態様を変化させる新たな契機を設けることによって、遊技に対する興味を失わせることのない遊技機を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前記目的を達成するため本発明に係る遊技機は、発射装置によって遊技盤上に発射された遊技球が転動する遊技領域と、始動条件が成立したことに基づいて遊技情報を取得する遊技情報取得手段と、前記遊技情報に基づいて特典を付与するか否かを判断する特典付与判断手段と、図柄の変動を用いて前記特典付与判断手段の判断結果を報知する報知手段と、前記遊技情報取得手段を介して取得した前記遊技情報を、前記報知手段の報知に供されるまで、所定の最大保留記憶個数を上限として時系列順に保留として記憶するとともに、前記報知手段による報知が終わった段階で最も古く記憶された保留を新たに消化する保留記憶手段と、前記保留記憶手段に保留として記憶されている遊技情報に対応する保留表示物を表示する保留表示手段と、前記遊技領域の内、特定領域を遊技球が通過したことを契機として、前記保留表示物の表示態様を変化させる保留演出手段と、を有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
前記構成を有する本発明に係る遊技機によれば、保留表示物を用いた先読み演出を行う場合において、遊技球が遊技領域の特定領域を通過することを契機に保留表示物の表示態様を変化させるので、保留表示物の表示態様を変化させる新たな契機を設けることが可能となる。また、遊技者は遊技球の挙動に対してより注目することとなり、遊技に対する興味を失わせることがない。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】本発明の実施形態に係るパチンコ遊技機の正面図である。
【
図2】
図1に示すパチンコ遊技機のステージを拡大して示した図である。
【
図3】
図1に示すパチンコ遊技機のステージを側方から視認した側面図である。
【
図4】ステージを転動する際にパチンコ球が通過可能なルートを示した図である。
【
図5】ステージを転動する際にパチンコ球が通過可能なルートを示した図である。
【
図6】ステージを転動する際にパチンコ球が通過可能なルートを示した図である。
【
図7】
図1に示すパチンコ遊技機に設けられた表示器類を拡大して示す説明図である。
【
図8】
図1に示すパチンコ遊技機に設けられた主制御基板および周辺機器の電気的構成をブロックで示す説明図である。
【
図9】
図1に示すパチンコ遊技機に設けられたサブ制御基板および周辺機器の電気的構成をブロックで示す説明図である。
【
図11】大当たり種別判定テーブルの説明図である。
【
図13】特図変動パターン選択テーブルの説明図である。
【
図14】第1特図保留記憶部の記憶内容を示す説明図である。
【
図15】第2特図保留記憶部の記憶内容を示す説明図である。
【
図18】演出制御用マイコンが実行するサブ側主制御処理のフローチャートである。
【
図19】演出制御用マイコンが
図18に示すサブ側主制御処理において実行する1msタイマ割込処理のフローチャートである。
【
図20】演出制御用マイコンが
図18に示すサブ側主制御処理において実行する10msタイマ割込処理のフローチャートである。
【
図21】演出制御用マイコンが
図20に示す10msタイマ割込処理において実行する受信コマンド解析処理のフローチャートである。
【
図22】演出制御用マイコンが
図21に示す受信コマンド解析処理において実行する変動演出開始処理のフローチャートである。
【
図23】演出制御用マイコンが
図21に示す受信コマンド解析処理において実行する保留演出処理のフローチャートである。
【
図24】保留表示部の表示態様を変化させる演出の一例を示した図である。
【
図25】保留表示部の表示態様を段階的に変化させる演出の一例を示した図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本発明の実施形態に係る遊技機について図を参照しつつ説明する。本実施形態では、本発明の実施形態に係る遊技機としてパチンコ遊技機について説明する。なお、以下の説明において、パチンコ遊技機の各部の方向を説明する場合は、そのパチンコ遊技機と対向して遊技を行う遊技者から見た方向を基準とする。具体的には、パチンコ遊技機の各部の左右方向および上下方向は、遊技者から見た左右方向および上下方向とする。また、遊技者に近づく方向を前方とし、遊技者から遠ざかる方向を後方とする。
【0011】
[パチンコ遊技機の主要構成]
図1に示すように、パチンコ遊技機1は、遊技機枠16を備える。遊技機枠16は、前方側から順に、前面枠18、内枠(図示せず)、外枠(図示せず)によって構成される。前面枠18は、ハンドル4と、打球供給皿(上皿ともいう)24と、余剰球受皿(下皿ともいう)25と、演出ボタン9と、演出レバー6と、スピーカ8と、左サイドランプ23aと、右サイドランプ23bとを備えている。
【0012】
ハンドル4は、前面枠18のうち右下、つまり、パチンコ遊技機1と対向して遊技を行う遊技者が右手で握ることができる位置に設けられている。ハンドル4は、タッチスイッチ92(
図8)と、発射レバー4aと、発射停止ボタン4bとを備えている。タッチスイッチ92は、遊技者がハンドル4に触れたことを示す信号を出力するものであり、ハンドル4を握った遊技者の右手が触れる部分に配置されている。発射レバー4aは、遊技球の発射強度を調整するためのものであり、ハンドル4に回動可能に設けられている。発射停止ボタン4bは、遊技球が発射されているときに遊技球の発射を停止するためのものであり、ハンドル4を握った右手の親指により操作可能な位置に設けられている。打球供給皿(上皿ともいう)24は、前面枠18のうち中央下側に設けられている。打球供給皿24は、発射装置90(
図8)に供給する遊技球を貯留するためのものである。打球供給皿24は、貸球払出装置80(
図8)および賞球払出装置400(
図8)から払出された遊技球を貯留する。余剰球受皿(下皿ともいう)25は、前面枠18のうち打球供給皿24の下方に設けられている。余剰球受皿25は、打球供給皿24の貯留可能数を超えた遊技球を貯留する。
【0013】
演出ボタン9は、前面枠18のうち打球供給皿24の上方を覆う部分に設けられている。換言すると、演出ボタン9は、前面枠18のうち、パチンコ遊技機1と対向する遊技者が右手または左手で押圧操作可能な位置に設けられている。本実施形態では、演出ボタン9はプッシュオン式のボタンスイッチである。演出ボタン9には、演出ボタンランプ9c(
図9)と、演出ボタン振動モータ9b(
図9)とが内蔵されている。演出ボタンランプ9cは、演出ボタン9の押圧操作が有効な期間に演出ボタン9が押圧操作されたときに点灯または点滅する。演出ボタン9の表面は透光性材料によって形成されており、演出ボタンランプ9cが発した光を遊技者が視認できるように工夫されている。演出ボタン振動モータ9bは、演出ボタン9を振動させるものであり、演出ボタン9の押圧操作が有効な期間において所定のタイミングで振動する。本実施形態では、演出ボタンランプ9cはLEDである。
演出ボタン9には、押圧操作された演出ボタン9を押圧操作前の位置に復帰させるためのバネなどの弾性部材(図示せず)が内蔵されており、演出ボタン9は、押圧操作状態が解除されると、上記弾性部材の復元力によって押圧操作前の状態に復帰する。遊技者が、演出ボタン9の押圧操作が有効な期間に演出ボタン9を押圧操作すると、特定の演出が行われる。以下、演出ボタン9の操作を契機として行われる特定の演出のことをボタン演出という。
【0014】
前面枠18のうち余剰球受皿25の左方、つまり、前面枠18のうち下側の左端寄りには、演出レバー6が設けられている。換言すると、演出レバー6は、前面枠18のうち、パチンコ遊技機1と対向した遊技者が左手で操作可能な位置に設けられている。つまり、演出レバー6は、前面枠18のうち、パチンコ遊技機1と対向した遊技者が左手で操作可能な位置に設けられており、演出ボタン9は、前面枠18のうち、遊技者が左手で演出レバー6を操作している状態で、右手で押圧操作可能な位置に設けられている。
演出レバー6は、左手で掴むことができる棒状に形成されており、右回転または左回転の回転操作の他、後方への押し込み操作が可能である。また、演出レバー6には、演出レバー振動モータ6d(
図9)が設けられている。演出レバー振動モータ6dは、演出レバー6を振動させるものであり、演出レバー6の操作が有効な期間において所定のタイミングで振動する。遊技者が、演出レバー6の操作が有効な期間に演出レバー6を操作すると、特定の演出が行われる。以下、演出レバー6の操作を契機として行われる特定の演出のことをレバー演出という。
【0015】
前面枠18のうち、左側には左サイドランプ23aが設けられており、右側には右サイドランプ23bが設けられている。左サイドランプ23aおよび右サイドランプ23bが設けられている部分の前面枠18は透光性を有し、その透光性を有する部分の内側には複数のLEDが配置されている。各LEDは、それぞれ複数色を発光可能であり、演出内容に応じて点灯または点滅し、さらに発光色を変化させる。スピーカ8は、前面枠18のうち上部の左右の隅部にそれぞれ設けられており、音楽、効果音および報知音などの音を演出内容に応じて出力する。
【0016】
また、パチンコ遊技機1は、遊技盤2と、ガラス板5と、演出表示装置7と、ステージ35とを備える。遊技盤2は、パチンコ遊技機1の略中央、つまり、遊技者の顔と略正対する位置に配置されている。演出表示装置7は、遊技盤2の後側に配置されており、その画面が遊技盤2の略中央から露出している。また、ステージ35は演出表示装置7の下方に配置されている。遊技盤2は、遊技盤2は、固定入賞装置10と、大入賞装置30と、ゲート12と、普通可変入賞装置(普通電動役物、電チューともいう)20と、一般入賞口13と、表示器類50と、センター装飾体14と、レール部材17とを備える。
【0017】
遊技盤2の盤面には、遊技球が流下(転動)する遊技領域3が形成されている。遊技領域3は、演出表示装置7の画面の左方に形成された左遊技領域3aと、演出表示装置7の画面の右方に形成された右遊技領域3bとを有する。遊技盤2の盤面には、遊技球の流下方向を変化させるための複数の遊技釘(図示せず)が打ち込まれている。遊技盤2の盤面の前方は、透明のガラス板5によって覆われている。また、
図1には示さないが、遊技盤2の複数箇所には、LEDが設けられている。それら各LEDを総称して盤ランプ(
図9において符号2aで示す)という。盤ランプ2aを構成する各LEDは、複数色を発光可能であり、演出内容に応じて点灯または点滅し、さらに発光色を変化させる。つまり、パチンコ遊技機1は、遊技制御中に演出内容に応じて左サイドランプ23a、右サイドランプ23bおよび盤ランプ2aを点灯または点滅させ、各スピーカ8から音を出力する。
【0018】
固定入賞装置10は、遊技盤2のうち下側の略中央に配置されている。固定入賞装置10は、遊技球が1個ずつ入賞(入球)可能な第1始動口11を有する。第1始動口11は常時開口しており、遊技球が第1始動口11に入賞する確率は略変動しない。ゲート12は、右遊技領域3bに配置されており、右遊技領域3bを流下する遊技球が通過可能に構成されている。普通可変入賞装置20は、右遊技領域3bのうちゲート12の下方に配置されている。普通可変入賞装置20は、可動部材21を備える。可動部材21は、基端を回動軸にして回動可能に構成されており、可動部材21が開閉動作することにより、第2始動口22が開閉する。可動部材21が開作動すると、第2始動口22が開口され、遊技球が第2始動口22に1個ずつ入賞(入球)し易い状態になる。また、可動部材21が閉作動すると、第2始動口22が閉口され、遊技球が第2始動口22に入賞することができない状態になる。
尚、
図1に示す例では普通可変入賞装置20は遊技領域3の右側に配置されているが、遊技領域3の下側に配置しても良い。
【0019】
大入賞装置30は、遊技盤2のうち固定入賞装置10の右方に配置されている。大入賞装置30は、大入賞口32を開閉する開閉部材31を備える。大入賞口32は、複数の遊技球が入賞(入球)可能な大きさに形成されている。本実施形態では、開閉部材31は、左右方向に長い板状に形成されており、左右の下端を回動軸にして回動可能に構成されている。
【0020】
遊技盤2の略中央左側には、左遊技領域3aを流下する遊技球が1個ずつ入賞(入球)可能なワープ入口36aを有する。同じく、遊技盤2の略中央右側においても、右遊技領域3bを流下する遊技球が1個ずつ入賞(入球)可能なワープ入口36bを有する。ワープ入口36a及びワープ入口36bは常時開口しており、遊技球がワープ入口36a及びワープ入口36bに入球する確率は略変動しない。例えば左遊技領域3aを流下する遊技球の内、20球に1球程度がワープ入口36aに入球するように設計され、右遊技領域3bを流下する遊技球の内、10球に1球程度がワープ入口36bに入球するように設計される。そして、ワープ入口36aから入球した遊技球はワープ通路37aを通って盤面中央にあるステージ35へと運ばれ、ワープ入口36bから入球した遊技球はワープ通路37bを通って盤面中央にあるステージ35へと運ばれる。
尚、
図1に示す例ではワープ入口は遊技領域3の左側や右側に配置されているが、ワープ入口の位置は遊技領域3の上側に配置しても良い。また、遊技領域3の左側と右側のいずれか一方のみに配置しても良い。
【0021】
一方、ステージ35は、演出表示装置7の下方で且つ第1始動口11の上方に配置され、遊技領域3の一部としてパチンコ球が転動する転動領域を上面に備える。ここで、
図2はステージ35周辺を拡大して示した図、
図3はステージ35を側方から視認した側面図である。
図2及び
図3に示すようにステージ35においてパチンコ球が転動する転動領域は、大きく分けて最も上方に位置する上段領域40、中程に位置する中段領域41、最も下方に位置する下段領域42の3つの領域に区分される。各領域は、
図2に示すように上面に波型の凹凸形状を有している。そして、ワープ通路37a又はワープ通路37bを通ってステージ35へと導かれたパチンコ球は、先ず上段領域40に案内される。そして、
図3に示すように上段領域40に案内されたパチンコ球は上段領域40を転動した後に上段領域40に形成された3つの凹部の内のいずれかの凹部に導かれて、そこから落下し、下方にある中段領域41へと移動する。そして、中段領域41に案内されたパチンコ球は中段領域41を転動した後に中段領域41に形成された4つの凹部の内のいずれかの凹部に導かれて、そこから落下し、下方にある下段領域42へと移動する。更に、下段領域42に案内されたパチンコ球は下段領域42を転動した後に下段領域42に形成された5つの凹部の内のいずれかの凹部に導かれて、ステージ35から落下し遊技盤2上の遊技領域3へと復帰する。尚、特に下段領域42の中央の凹部から最終的に落下したパチンコ球については基本的に第1始動口11へと入賞するように設計されている。
【0022】
また、上記ステージ35の転動領域を転動する際のパチンコ球が通過可能なルートは基本的にパターンが決まっており、例えば
図4のように上段領域40の最も左側にある凹部から落下した場合には、(a)~(d)の4つのルートのいずれかを通ってステージ35から落下することとなる。尚、(a)のルートでは中段領域41の最も左側の凹部と下段領域42の最も左側の凹部を夫々通過する。(b)のルートでは中段領域41の最も左側の凹部と下段領域42の左から2番目の凹部を夫々通過する。(c)のルートでは中段領域41の左から2番目の凹部と下段領域42の左から2番目の凹部を夫々通過する。(d)のルートでは中段領域41の左から2番目の凹部と下段領域42の左から3番目(中央)の凹部を夫々通過する。
また、
図5のように上段領域40の中央にある凹部から落下した場合には、(e)~(h)の4つのルートのいずれかを通ってステージ35から落下することとなる。尚、(e)のルートでは中段領域41の左から2番目の凹部と下段領域42の左から2番目の凹部を夫々通過する。(f)のルートでは中段領域41の左から2番目の凹部と下段領域42の左から3番目(中央)の凹部を夫々通過する。(g)のルートでは中段領域41の左から3番目の凹部と下段領域42の左から3番目(中央)の凹部を夫々通過する。(h)のルートでは中段領域41の左から3番目の凹部と下段領域42の左から4番目の凹部を夫々通過する。
また、
図6のように上段領域40の右側にある凹部から落下した場合には、(i)~(l)の4つのルートのいずれかを通ってステージ35から落下することとなる。尚、(i)のルートでは中段領域41の左から3番目の凹部と下段領域42の左から3番目(中央)の凹部を夫々通過する。(j)のルートでは中段領域41の左から3番目の凹部と下段領域42の左から4番目の凹部を夫々通過する。(k)のルートでは中段領域41の最も右側の凹部と下段領域42の左から4番目の凹部を夫々通過する。(l)のルートでは中段領域41の最も右側の凹部と下段領域42の最も右側の凹部を夫々通過する。
即ち、上記ステージ35の転動領域を転動する際のパチンコ球のルートとしては(a)~(l)の計16つのルートがある。尚、各ルートの選択率は同程度となるように設計されている。
【0023】
また、中段領域41にある4箇所の凹部(特定領域)及び下段領域42にある5箇所の凹部(特定領域)には、夫々パチンコ球が通過したことを検出する近接センサ43a~43iが設けられている。更に、同じく中段領域41にある4箇所の凹部及び下段領域42の中央を除く4箇所の凹部には、保留表示部44a~44hが設けられている。また、下段領域42の中央の凹部には、変動保留表示部44iが設けられている。近接センサ43aと保留表示部44a、近接センサ43bと保留表示部44b、近接センサ43cと保留表示部44c、近接センサ43dと保留表示部44d、近接センサ43eと保留表示部44e、近接センサ43fと保留表示部44f、近接センサ43gと保留表示部44g、近接センサ43hと保留表示部44h、近接センサ43iと変動保留表示部44iとは、それぞれ同じ凹部に配置され一対一の関係にある。
図2では近接センサの上方に保留表示部が配置されているがその位置関係は逆でも良い。
【0024】
保留表示部44a~44h及び変動保留表示部44iについては、
図3に示すように光を照射する為の保留LED(発光手段)45a~45iが背後に配置されており、保留LED45a~45iの点灯を制御することによって各表示部を任意の色や発光態様で発光させることが可能である。そして、発光させている保留表示部44a~44hの数によって第1特図の保留数や第2特図の保留数を遊技者に報知する。具体的には、発光手段によって点灯状態にある保留表示部44a~44hの数が第1特図の保留数と第2特図の保留数の合計数に対応する。また、保留表示部44a~44hは夫々保留として記憶されている遊技情報(大当たり乱数、大当たり種別乱数、リーチ乱数、変動パターン乱数など)に対応しており、発光色や発光態様(点滅パターンなど)によって保留の信頼度を遊技者に報知することについても行う。一方、変動保留表示部44iは現在消化中の保留の遊技情報に対応しており、発光色や発光態様(点滅パターンなど)によって現在の変動の信頼度を遊技者に報知する。
【0025】
ここで、保留表示部44a~44hでは左側に位置する表示部程、古く記憶された保留に対応する。即ち、最も古い保留として記憶されている遊技情報に対応するのが保留表示部44aであり、2番目に古い保留として記憶されている遊技情報に対応するのが保留表示部44bであり、3番目に古い保留として記憶されている遊技情報に対応するのが保留表示部44cであり、4番目に古い保留として記憶されている遊技情報に対応するのが保留表示部44dであり、5番目に古い保留として記憶されている遊技情報に対応するのが保留表示部44eであり、6番目に古い保留として記憶されている遊技情報に対応するのが保留表示部44fであり、7番目に古い保留として記憶されている遊技情報に対応するのが保留表示部44gであり、8番目に古い保留として記憶されている遊技情報に対応するのが保留表示部44hである。例えば第1特図の保留数が4で第2特図の保留数が0である場合には、保留表示部44a~44dが点灯状態にあり、保留表示部44e~44hが消灯状態となる。尚、本実施形態では第2特図の優先消化ではなく入賞順の消化とする。また、時短遊技状態や確変遊技状態等の右打ちを行う状態では、第2始動口22に加えてワープ入口36bからステージ35を経由して第1始動口11にも入球可能となっている。即ち右打ち状態では第1特図保留数と第2特図保留数を合わせて最大8個の保留が記憶される場合がある。
【0026】
尚、保留が消化されるのに伴って保留表示部44a~44hは順にスライドし、発光色や発光態様は引き継がれる。例えば保留表示部44bが青色、保留表示部44cが緑色に点灯している場合において、保留が1消化されると次は保留表示部44aが青色、保留表示部44bが緑色に点灯することとなる。特に変動保留表示部44iは保留消化直前の保留表示部44aの発光色や発光態様が引き継がれることとなる。
【0027】
本実施形態では第1特図の保留数と第2特図の保留数を合わせた最大数である8個の保留表示部44a~44hを設けているが、第1特図の保留数と第2特図の保留数のいずれか一方のみに対応する4個の保留表示部のみ設けるようにしても良い。その場合には、例えば通常遊技状態ではメインとなる第1特図の保留数のみを保留表示部を用いて表示し、時短遊技状態や確変遊技状態ではメインとなる第2特図の保留数のみを保留表示部を用いて表示するようにする。
【0028】
また、前述したように保留表示部44a~44hは発光色や発光態様(点滅パターンなど)によって保留の信頼度を遊技者に報知するが、例えば信頼度の高い発光色(例えば赤色)や発光態様(例えば高速点滅)とする場合に、保留開始時点からそのような態様で表示しても良いし、保留開始時点は通常と変わらずその後に変化させても良い。そして、その後に変化させる場合については、保留表示部44a~44hと対応する位置(同じ凹部)にある近接センサ43a~43hによってパチンコ球を検出したタイミング、即ち中段領域41や下段領域42の凹部をパチンコ球が通過したタイミングとする。同じく変動保留表示部44iの発光色や発光態様を変化させるタイミングについても対応する位置にある近接センサ43iによってパチンコ球を検出したタイミング、即ち下段領域42の中央の凹部をパチンコ球が通過したタイミングとする。保留演出の詳細については後述する。
【0029】
表示器類50は、遊技盤2のうち遊技領域3の外側であって大入賞装置30の下方に設けられている。
図7に示すように、表示器類50は、第1特別図柄(第1特図ともいう)を変動表示する第1特別図柄表示器51と、第2特別図柄(第2特図ともいう)を変動表示する第2特別図柄表示器52と、普通図柄(普図ともいう)を変動表示する普通図柄表示器53とを備える。さらに、表示器類50は、第1特別図柄表示器51の作動保留の記憶数を表示する第1特図保留表示器51aと、第2特別図柄表示器52の作動保留の記憶数を表示する第2特図保留表示器52aと、普通図柄表示器53の作動保留の記憶数を表示する普図保留表示器53aとを備える。以下、第1特別図柄および第2特別図柄に共通の事項を説明する場合は、単に特別図柄という。また、第1特別図柄表示器51および第2特別図柄表示器52に共通の事項を説明する場合は、単に特別図柄表示器という。
【0030】
本実施形態では、第1特別図柄表示器51および第2特別図柄表示器52は、それぞれ8個のLEDから構成されている。点灯したLED(□)および消灯したLED(■)がそれぞれ特別図柄を表しており、LEDの点灯箇所が所定方向(たとえば、左から右)へ流れる状態が特別図柄の変動表示を表している。以下、特別図柄が変動表示を開始してから特別図柄が確定表示されるまでの特別図柄の変動パターンを特図変動パターンという。
また、本実施形態では、普通図柄表示器53は、2個のLEDから構成されている。点灯したLED(□)および消灯したLED(■)が普通図柄を表しており、各LEDが交互に点灯する状態が普通図柄の変動表示を表している。また、遊技球がゲート12を通過すると、当たりか否かを判定する普通図柄の抽選が実行され、普通図柄表示器53が普通図柄を変動表示する。そして、普通図柄表示器53は、普通図柄の変動表示を開始してから所定時間経過後に、普通図柄の抽選結果に対応する普通図柄を確定表示する。普通図柄表示器53が確定表示した普通図柄が、当たりを示す普通図柄であった場合は、普通可変入賞装置20が作動して可動部材21が開閉し、第2始動口22が開閉する。
【0031】
遊技球が第1始動口11に入賞すると大当たりか否かを判定する大当たり判定(大当たり抽選ともいう)が実行され、第1特別図柄表示器51が第1特別図柄を変動表示する。そして、第1特別図柄表示器51は、第1特別図柄の変動表示を開始してから所定時間経過後に、大当たり判定の結果に対応する第1特別図柄を確定表示する。ここで、確定表示された第1特別図柄が、大当たりを示す特別図柄であった場合は、大当たりが発生し、大入賞装置30が作動して開閉部材31が開閉し、大入賞口32が開閉する。第1特別図柄表示器51が第1特別図柄を変動表示しているときに遊技球が第1始動口11に入賞したときは、その入賞を契機とする第1特別図柄表示器51の作動が保留され、その作動保留の数を示す記憶数が第1特図保留表示器51aによって表示される。以下、第1特別図柄表示器51の作動保留の記憶数を第1特図保留数という。尚、本実施形態では第1特別図柄表示器51の作動保留の記憶数は、第1特図保留表示器51aに加えて上述したステージ35に配置された保留表示部44a~44h(
図2)に対しても表示される。
【0032】
また、遊技球が第2始動口22に入賞すると大当たり判定(大当たり抽選ともいう)が実行され、第2特別図柄表示器52が第2特別図柄を変動表示する。そして、第2特別図柄表示器52は、第2特別図柄の変動表示を開始してから所定時間経過後に、大当たり判定の結果に対応する第2特別図柄を確定表示する。ここで、確定表示された第2特別図柄が、大当たりを示す特別図柄であった場合は、大当たりが発生し、大入賞装置30が作動して開閉部材31が開閉し、大入賞口32が開閉する。第2特別図柄表示器52が第2特別図柄を変動表示しているときに遊技球が第2始動口22に入賞したときは、その入賞を契機とする第2特別図柄表示器52の作動が保留され、その作動保留の数を示す記憶数が第2特図保留表示器52aによって表示される。以下、第2特別図柄表示器52の作動保留の記憶数を第2特図保留数という。尚、本実施形態では第2特別図柄表示器52の作動保留の記憶数は、第2特図保留表示器52aに加えて上述したステージ35に配置された保留表示部44a~44h(
図2)に対しても表示される。また、第1特図保留数および第2特図保留数に共通の事項を説明する場合は、単に特図保留数という。
【0033】
以下、特別図柄表示器が特別図柄の変動表示を開始してから特別図柄を確定表示するまでを特別図柄の1回の変動という。また、特別図柄が1回変動される毎に特図保留数が1個ずつ減少することを特図保留数の消化という。また、大入賞口が開口してから閉口するまでに要する期間を大入賞口の開口期間といい、大入賞口が開口してから次回開口するまでの期間をラウンドという。また、最初のラウンド開始から最終ラウンドが終了するまでの遊技を大当たり遊技という。また、大当たり判定において大当たりと判定された場合は、大当たりの種類が抽選により決定される。大当たりの種類によって、大入賞口の開口期間、実行可能な最大ラウンド数などが異なる。
【0034】
パチンコ遊技機1には、大当たり判定において大当たりと判定される確率(以下、大当たり確率という)として、通常の確率(以下、通常確率という)と、通常確率よりも高い確率(以下、高確率という)とが設定されている。以下、大当たり確率が通常確率に設定されている遊技状態を通常確率状態といい、大当たり確率が高確率に設定されている遊技状態を高確率状態という。尚、上記高確率状態と通常確率状態のどちらに移行するかは、大当たり時の抽選によって基本的に決定される。本実施形態のパチンコ遊技機1は、いわゆる確変機と呼ばれる機種である。
【0035】
一般入賞口13は、遊技盤2のうち固定入賞装置10の左方に配置されている。レール部材17は、遊技盤2の周囲に沿って配置されている。レール部材17は、発射装置90(
図8)によって発射された遊技球を遊技領域3に案内する。遊技盤2の下部中央には、どこにも入賞しなかった遊技球を排出するためのアウト口19が開口している。センター装飾体14は、遊技盤2のうち上部に配置されている。センター装飾体14は透光性を有し、その内側には、演出内容に応じて点灯・点滅する複数のLEDが設けられている。
また、パチンコ遊技機1は、可動体15を備える。可動体15は、センター装飾体14の後方に配置されている。
図1は、可動体15がセンター装飾体14に略隠れた状態を示す。可動体15は、演出内容に応じて所定のタイミングで下方に降下し、遊技者から視認可能な状態に変位する。
【0036】
演出表示装置7は、演出画像、メッセージ画像、デモンストレーション画像などの動画像および静止画像を表示する。遊技者は、それらの画像をパチンコ遊技機1の前方から見ながら遊技を行う。演出表示装置7は、演出画像として、演出(装飾)図柄を特別図柄の変動表示と同期させて変動表示する。本実施形態では、演出図柄は、1~9の算用数字を表した図柄である。なお、演出図柄には、アルファベットや特別なキャラクタなど、数字以外を表した図柄を含めてもよいし、数字以外を表した図柄と組み合わせてもよい。本実施形態では、演出表示装置7が演出図柄を変動表示する領域として、左から順に、左演出図柄表示領域、中演出図柄表示領域、右演出図柄表示領域が設定されている。左演出図柄表示領域では左演出図柄9Lが、中演出図柄表示領域では中演出図柄9Cが、右演出図柄表示領域では右演出図柄9Rがそれぞれ変動表示される。以下、左演出図柄表示領域、中演出図柄表示領域および右演出図柄表示領域に共通の事項を説明する場合は、単に演出図柄表示領域という。
【0037】
本実施形態では、各演出図柄の主な変動パターン(変動態様)は、演出図柄が表す数字が昇順となるように画面の上から下に移動する変動パターン、つまり、縦方向にスクロールする変動パターンである。なお、変動パターンとして、演出図柄が画面の左右の一方から他方へ移動する横スクロール方式、演出図柄が同じ表示位置にて数字の昇順に順番に表示される方式などを用いることもできる。また、演出表示装置7は、演出画像として各演出図柄の背景に背景画像を表示する。たとえば、背景画像は、テレビドラマや映画などの動画像、その動画像をアニメ化した動画像、アニメーション、パチンコ遊技機メーカーオリジナルの動画像などである。本実施形態では、演出表示装置7は、液晶表示装置である。なお、演出表示装置7として、有機EL表示装置、ドットマトリクスLEDを使った表示装置などを用いることもできる。
演出表示装置7は、各演出図柄を特別図柄の変動表示と同期させて変動表示し、特別図柄が確定表示されると同時に各演出図柄を確定表示し、大当たり判定結果を表示する。ここで、確定表示とは、演出図柄が上下に揺れたり、再変動したりすることなく、完全に停止した停止表示状態のことである。
【0038】
以下、大当たり判定の結果が大当たりであったことを表す演出図柄を大当たり演出図柄といい、大当たり判定の結果がハズレであったことを表す演出図柄をハズレ演出図柄という。本実施形態では、大当たり演出図柄は、各演出図柄が同じ数字を表す演出図柄で揃った状態、いわゆる、ぞろ目の状態である。たとえば、
図1に示すように、確定表示された左演出図柄9L、中演出図柄9Cおよび右演出図柄9Rがそれぞれ「7」で揃った状態である。また、ハズレ演出図柄は、各演出図柄が同じ数字を表す演出図柄で揃っていない状態、つまり、ぞろ目ではない状態の図柄である。たとえば、確定表示された左演出図柄9Lが「7」、中演出図柄9Cが「6」、右演出図柄9Rが「7」の状態である。
以下、演出表示装置7が特別図柄と同期させて変動表示する演出図柄を演出図柄変動パターンといい、その演出図柄変動パターンの背景に表示される画像を背景画像という。背景画像は、静止画像または動画像である。
【0039】
演出図柄変動パターンは、特図変動パターンの変動表示と同期して変動表示され、特別図柄表示器の作動保留が発生した場合は、演出表示装置7の作動も保留される。つまり、特別図柄表示器の作動保留数と、演出表示装置7の作動保留数とは一致する。尚、第1特図保留数に対応する演出表示装置7の作動保留数、及び第2特図保留数に対応する演出表示装置7の作動保留数は、上述したステージ35に配置された保留表示部44a~44h(
図2)においても表示される。従って、遊技者は、保留表示部44a~44hにおいて点灯状態にある表示部の数を数えることにより、第1特図保留数や第2特図保留数を知ることができるとともに、第1特図保留数や第2特図保留数に起因する演出表示装置7の作動保留数を知ることができる。
【0040】
また、パチンコ遊技機1では、上記演出図柄による大当たり判定の結果の報知に加えて、演出表示装置7に表示される背景画像、スピーカ8から出力される音、盤ランプ2aの点灯、役物の動作等を複合的に用いて、大当たり判定の結果の報知を行う。具体的には、予告演出、リーチ演出等の各種演出が該当する。
【0041】
[パチンコ遊技機の主な電気的構成]
次に、パチンコ遊技機1の主な電気的構成について
図8および
図9を参照しつつ説明する。
パチンコ遊技機1は、主制御基板60(
図8)と、払出制御基板73(
図8)と、サブ制御基板100(
図9)と、画像制御基板200(
図9)と、ランプ制御基板79(
図9)と、音声制御基板78(
図9)とを備えている。
【0042】
図8に示すように、主制御基板60には、遊技制御用ワンチップマイコン(以下、遊技制御用マイコンという)61が実装されている。遊技制御用マイコン61は、CPU62と、ROM63と、RAM64と、入出力回路65とを備えている。CPU62は、入賞の検出、大当たり判定、各種乱数の更新などを実行する。ROM63には、CPU62が実行するコンピュータプログラム、大当たり判定テーブルTa1(
図10)、大当たり種別判定テーブルTa2(
図11)、リーチ判定テーブルTa3(
図12)、特図変動パターン選択テーブルTa4(
図13)などの各種のテーブルが記憶されている。遊技制御用マイコン61は、大当たり乱数、大当たり種別乱数、リーチ乱数、変動パターン乱数など、各種の判定(抽選)にて使用する乱数を発生する。
【0043】
RAM64は、CPU62がコンピュータプログラムを実行するときのワークメモリなどとして使用される。また、RAM64には、第1特図保留記憶部64aと、第2特図保留記憶部64bと、普図保留記憶部64cとが設けられている。
図14に示すように、第1特図保留記憶部64aは、第1ないし第4記憶領域を備えている。つまり、記憶可能な第1特図保留数は最大4個である。各記憶領域には、遊技球が第1始動口11(
図1)に入賞したことに起因して遊技制御用マイコン61が取得した大当たり乱数、大当たり種別乱数、リーチ乱数および変動パターン乱数が記憶される。第1特別図柄表示器51(
図2)が第1特別図柄を変動表示しているときに遊技球が第1始動口11(
図1)に入賞したときは、その入賞に起因する第1特別図柄の変動表示は一旦保留(作動保留)され、その入賞に起因して取得された大当たり乱数などは第1特図保留記憶部64aに記憶される。
【0044】
一方、
図15に示すように、第2特図保留記憶部64bは、第1ないし第4記憶領域を備えている。つまり、記憶可能な第2特図保留数は最大4個である。各記憶領域には、遊技球が第2始動口22(
図1)に入賞したことに起因して遊技制御用マイコン61が取得した大当たり乱数、大当たり種別乱数、リーチ乱数および変動パターン乱数が記憶される。第2特別図柄表示器52(
図7)が第2特別図柄を変動表示しているときに遊技球が第2始動口22(
図1)に入賞したときは、その入賞に起因する第2特別図柄の変動表示は一旦保留(作動保留)され、その入賞に起因して取得された大当たり乱数などは第2特図保留記憶部64bに記憶される。
【0045】
大当たり乱数などは作動保留の発生順、つまり、遊技制御用マイコン61による取得順に第1特図保留記憶部64aおよび第2特図保留記憶部64bの各第1記憶領域から順番に記憶される。このため、大当たり乱数などが第1ないし第4記憶領域まで記憶されている場合は、第4記憶領域に記憶されている大当たり乱数などが時間的に最も新しい情報であり、第1記憶領域に記憶されている大当たり乱数などが時間的に最も古い情報である。各記憶領域に記憶されている大当たり乱数などは、特別図柄の変動表示が1回終了する毎に、記憶の順番が古い方の記憶領域に1つずつシフトする。たとえば、第2記憶領域に記憶されていた大当たり乱数などは第1記憶領域にシフトする。また、第1記憶領域に記憶されている大当たり乱数などに基づく判定(抽選)は、特別図柄表示器による特別図柄の当該変動表示が終了し、次の変動表示が始まる前に実行される。
【0046】
普図保留記憶部64c(
図8)は、遊技球がゲート12(
図1)を通過したことに起因して遊技制御用マイコン61が取得した普通当たり乱数(普通図柄が当たりか否かを判定(抽選)するための乱数)が記憶される。普通図柄表示器53が普通図柄を変動表示しているときに遊技球がゲート12を通過したときは、その通過に起因する普通図柄表示器53の作動は一旦保留(作動保留)され、その通過に起因して取得された普通当たり乱数は普図保留記憶部64cに記憶される。普通図柄の保留された変動表示は、現在行われている普通図柄の変動表示が終了した次に行われる。本実施形態では、普図保留記憶部64cは、計4個の保留を行うための記憶領域を有し、普通図柄表示器53の作動保留の記憶数は最大4個である。以下、普通図柄表示器53の作動保留の記憶数を普図保留数という。
【0047】
また、主制御基板60には、RAMクリアスイッチ66が搭載されている。パチンコ遊技機1は、RAMクリアスイッチ66が押下された状態で起動すると、RAM64およびサブ制御基板100のRAM120(
図9)を初期化する。また、主制御基板60には、表示器類50が電気的に接続されている。さらに、主制御基板60には、中継基板74を介して第1始動口センサ11aと、第2始動口センサ22aと、ゲートセンサ12aと、大入賞口センサ32aと、一般入賞口センサ13aと、電チューソレノイド20aと、大入賞口ソレノイド30aとが電気的に接続されている。
【0048】
第1始動口センサ11aは、第1始動口11(
図1)の直下に設けられており、遊技球が第1始動口11に入賞したことを示す信号を主制御基板60へ出力する。第2始動口センサ22aは、第2始動口22(
図1)の直下に設けられており、遊技球が第2始動口22に入賞したことを示す信号を主制御基板60へ出力する。ゲートセンサ12aは、ゲート12(
図1)のうち遊技球の通過領域に設けられており、遊技球がゲート12を通過したことを示す信号を主制御基板60へ出力する。大入賞口センサ32aは、大入賞口32(
図1)の直下に設けられており、遊技球が大入賞口32に入賞したことを示す信号を主制御基板60へ出力する。一般入賞口センサ13aは、一般入賞口13(
図1)の直下に設けられており、遊技球が一般入賞口13に入賞したことを示す信号を主制御基板60へ出力する。
【0049】
電チューソレノイド20aは、普通可変入賞装置20の可動部材21(
図1)を開閉駆動する。大入賞口ソレノイド30aは、大入賞装置30の開閉部材31(
図1)を開閉駆動する。
また、主制御基板60には、払出制御基板73を介して貸球払出装置80と、カードユニット76と、賞球払出装置400とが電気的に接続されている。カードユニット76は、パチンコ遊技機1に隣接して設けられており、プリペイドカードに対して残高の読取りや書き込みなどを行う。貸球払出装置80は、球貸モータ81と、球貸センサ82とを備えている。球貸モータ81は、貸球としての遊技球を払出す部材を駆動し、球貸センサ82は、その部材によって遊技球が払出されたことを示す信号を払出制御基板73を介して主制御基板60へ出力する。遊技制御用マイコン61は、払出制御基板73から出力される信号に基づいて、貸球払出装置80が払出した貸球数を計数する。カードユニット76に挿入されたプリペイドカードに、払出可能な最小残高以上の残高が記録されているときに、球貸ボタン(図示せず)が操作されると、貸球払出装置80が作動し、最小単位個数の貸球が打球供給皿24に払出される。
【0050】
賞球払出装置400は、賞球モータ401と、賞球センサ402とを備えている。賞球モータ401は、賞球としての遊技球を払出す部材を駆動し、賞球センサ402は、その部材によって遊技球が払出されたことを示す信号を払出制御基板73を介して主制御基板60へ出力する。遊技制御用マイコン61は、払出制御基板73から出力される信号に基づいて、賞球払出装置400が払出した賞球数を計数する。
また、主制御基板60には、発射制御回路75を介して発射装置90が電気的に接続されている。発射装置90は、発射モータ91と、タッチスイッチ92と、発射ボリューム93とを備えている。発射モータ91は、遊技球を打撃して発射する打撃槌(図示せず)を駆動する。タッチスイッチ92は、遊技者がハンドル4に触れたことを示す信号を出力する。発射ボリューム93は、発射レバー4a(
図1)の回転量に応じて、上記打撃槌が遊技球を打撃する強度を調節する。
【0051】
また、パチンコ遊技機1は、電源基板70を備えている。電源基板70は、主制御基板60および払出制御基板73に電力を供給する。また、電源基板70は、払出制御基板73に電気的に接続された各装置に対して、払出制御基板73を介して電力を供給する。また、電源基板70は、中継基板74に電気的に接続された各センサおよびソレノイドに対して、主制御基板60から中継基板74を介して電力を供給する。また、電源基板70は、主制御基板60に電気的に接続された表示器類50に対して、主制御基板60を介して電力を供給する。
電源基板70には、バックアップ電源回路71が設けられている。バックアップ電源回路71は、パチンコ遊技機1に対して外部から電力が供給されていない場合に、主制御基板60のRAM64などに対して情報の保持に必要な電力を供給する。電源基板70には、電源基板70へ電力を供給する主電源をオンオフするための電源スイッチ72が電気的に接続されている。
【0052】
主制御基板60は、サブ制御基板100(
図9)に対して各種コマンドを送信する。主制御基板60は、コマンドをサブ制御基板100へ送信することはできるが、サブ制御基板100は、主制御基板60へコマンドを送信することができない。つまり、主制御基板60とサブ制御基板100との通信は、主制御基板60からサブ制御基板100へ送信することのみが可能な単方向通信となっている。
【0053】
図9に示すように、サブ制御基板100には、演出制御用ワンチップマイコン(以下、演出制御用マイコンという)101が実装されている。演出制御用マイコン101は、CPU102と、ROM110と、RAM120と、入出力回路103とを備えている。CPU102は、遊技に伴って演出を制御する。ROM110には、CPU102が演出を制御するためのコンピュータプログラムの他、演出選択テーブルTa5などの各種のテーブルが記憶されている。RAM120は、CPU102がコンピュータプログラムを実行するときのワークメモリとして使用される。また、RAM120には、第1特図保留演出記憶部121と、第2特図保留演出記憶部122と、当該変動用演出記憶部123とが設けられている。なお、演出制御用マイコン101が、本発明の制御手段の一例である。
【0054】
図16に示すように、第1特図保留演出記憶部121は、第1ないし第4記憶領域から成る4つの記憶領域を有し、各記憶領域は、主制御基板60から出力される第1始動入賞コマンドなどを記憶する。第1始動入賞コマンドは、遊技球が第1始動口11に入賞したことを契機として、遊技制御用マイコン61が取得した大当たり乱数、大当たり種別乱数、変動パターン乱数およびリーチ乱数を含むコマンドである。
一方、
図17に示すように、第2特図保留演出記憶部122は、第1ないし第4記憶領域から成る4つの記憶領域を有し、各記憶領域は、主制御基板60から出力される第2始動入賞コマンドなどを記憶する。第2始動入賞コマンドは、遊技球が第2始動口22に入賞したことを契機として、遊技制御用マイコン61が取得した大当たり乱数、大当たり種別乱数、変動パターン乱数およびリーチ乱数を含むコマンドである。
当該変動用演出記憶部123は、変動演出パターンの当該変動に用いる第1始動入賞コマンドまたは第2始動入賞コマンドを記憶する。
入出力回路103は、サブ制御基板100に接続された各基板などとの間でデータの送信または受信を行う。
【0055】
サブ制御基板100には、画像制御基板200が電気的に接続されている。画像制御基板200には、画像制御用CPU202と、VDP201(Video Display Processor)と、制御用ROM203と、制御用RAM204と、CGROM(Character Generator Read Only Memory)205と、VRAM(Video Random Access Memory)206とが実装されている。画像制御用CPU202は、変動演出パターン、ボタン演出画像、レバー演出画像および予告画像などの演出画像を表示するよう演出表示装置7を制御する。制御用ROM203には、画像制御用CPU202が演出表示装置7を制御するためのコンピュータプログラムが記憶されている。制御用RAM204は、画像制御用CPU202がコンピュータプログラムを実行するときのワークメモリとして使用される。CGROM205には、演出表示装置7が演出画像を表示するための画像データが記憶されている。VDP201は、画像制御用CPU202によって作成されるディスプレイリストに従って、CGROM205から画像データを読み出し、その読出した画像データをVRAM206内の展開領域に展開する。そして、VDP201は、VRAM206内に展開した画像データを合成し、その合成した画像データをVRAM206内のフレームバッファに記憶する。そして、VDP201は、VRAM206内のフレームバッファに記憶した画像データをRGB信号に変換して演出表示装置7に出力する。これにより、演出表示装置7は演出画像を表示する。CGROM205が本発明の演出記憶手段の一例である。
【0056】
サブ制御基板100には、ランプ制御基板79を介して左サイドランプ23a、右サイドランプ23b、保留LED45a~45iおよび盤ランプ2aが電気的に接続されている。演出制御用マイコン101は、ROM110に記憶されているデータを用いて各ランプの発光態様を決める発光パターンデータを作成し、その発光パターンデータをランプ制御基板79に送信する。そして、ランプ制御基板79は、受信した発光パターンデータに従って各ランプの発光制御を行う。なお、左サイドランプ23a、右サイドランプ23b、盤ランプ2a、演出ボタンランプおよびランプ制御基板79が、本発明の演出手段の一例である。また、保留LED45a~45iについては第1特図保留演出記憶部121及び第2特図保留演出記憶部122に記憶されている保留の数に対応させて発光制御を行う。更に、後述のようにパチンコ球がステージ35の特定領域を通過することを契機に発光色や発光態様を変更することについても行う。
【0057】
ランプ制御基板79には、中継基板77を介して可動体15が電気的に接続されている。可動体15は、可動体15を動作させるための装置(図示せず)が接続されており、その装置には、その装置を駆動するための可動体モータ(図示せず)が接続されている。演出制御用マイコン101は、ROM110に記憶されているデータを用いて可動体15の動作パターンを決める動作パターンデータを作成し、その動作パターンデータをランプ制御基板79に送信する。そして、動作パターンデータを受信したランプ制御基板79は、その動作パターンに従って中継基板77を介して上記可動体モータを駆動し、可動体15の動作制御を行う。
【0058】
サブ制御基板100には、音声制御基板78を介して各スピーカ8が電気的に接続されている。音声制御基板78には、音声制御用CPU(図示せず)と、音声データROM(図示せず)と、音声合成回路(図示せず)と、アンプ(図示せず)とが搭載されている。音声データROMには、各スピーカ8が音楽や効果音などの音を出力するための音声データが記憶されている。音声制御用CPUは、サブ制御基板100から受信したコマンドに基づいて音声データROMから音声データを読出し、その読出した音声データを音声合成回路に出力する。音声合成回路は、入力した音声データを合成するとともに、その合成した合成音声データをアナログの音声信号に変換してアンプに出力する。アンプは、入力した音声信号を増幅して各スピーカ8に出力する。そして、各スピーカ8は、入力した音声信号により示される音を出力する。
【0059】
また、サブ制御基板100には、近接センサ43a~43iと、演出ボタン検出スイッチ9aと、演出レバー押込検出スイッチ6gと、演出レバー回転検出スイッチ6hと、演出ボタン振動モータ9bと、演出レバー振動モータ6dとが電気的に接続されている。近接センサ43a~43iは
図2に示したようにステージ35の転動領域である中段領域41の凹部及び下段領域42の凹部に配置され、それらの領域を通過するパチンコ球を検出するとともに、パチンコ球を検出した場合については検出信号をサブ制御基板100に出力する。演出制御用マイコン101は、それに応じて保留LED45a~45iの発光制御(具体的には保留表示部44a~44hや変動保留表示部44iの発光色や発光態様の変化)を行う。演出ボタン検出スイッチ9aは、演出ボタン9が押圧操作されたことを示す信号をサブ制御基板100に出力し、演出制御用マイコン101は、演出ボタン検出スイッチ9aから入力した信号に基づいて、ボタン演出を実行する。演出レバー押込検出スイッチ6gは、演出レバー6が押込操作されたことを示す信号をサブ制御基板100に出力し、演出制御用マイコン101は、演出レバー押込検出スイッチ6gから入力した信号に基づいて、演出レバー6が押込操作されたときに行うレバー演出を実行する。演出レバー回転検出スイッチ6hは、演出レバー6が回転操作されたことを示す信号をサブ制御基板100に出力し、演出制御用マイコン101は、演出レバー回転検出スイッチ6hから入力した信号に基づいて、演出レバー6が回転操作されたときに行うレバー演出を実行する。
【0060】
演出ボタン振動モータ9bは、演出ボタン9を振動させる部材であり、演出ボタン9の内部に収容されている。演出レバー振動モータ6dは、演出レバー6を振動させる部材であり、演出レバー6と接する部位または演出レバー6の内部に設けられている。ROM110には、演出ボタン振動モータ9bの動作パターンを決める動作パターンデータと、演出レバー振動モータ6dの動作パターンを決める動作パターンデータとが記憶されている。演出制御用マイコン101は、演出ボタン9を振動させる演出タイミングになったときに、ROM110から動作パターンデータを読出し、その読出した動作パターンデータに基づいて演出ボタン振動モータ9bを駆動制御する。また、演出制御用マイコン101は、演出レバー6を振動させる演出タイミングになったときに、ROM110から動作パターンデータを読出し、その読出した動作パターンデータに基づいて演出レバー振動モータ6dを駆動制御する。
【0061】
また、サブ制御基板100には、リアルタイムクロック(RTC)124が実装されている。RTC124は、現時点の日時(日付及び時刻)を計測するものである。RTC124は、例えば、外部の電源装置からパチンコ遊技機1へ電力が供給されているときにはその電力によって動作し、外部の電源装置から電力が供給されていないときには、電源基板70が備えるバックアップ電源回路71から供給される電力によって動作する。このため、RTC124は、パチンコ遊技機1の電源が投入されていないときにも現在の日時を計測することが可能である。なお、RTC124へ電力を供給するバックアップ電源回路をサブ制御基板100に設けてもよい。
【0062】
[遊技状態の説明]
次に、パチンコ遊技機1の遊技状態について説明する。パチンコ遊技機1の特別図柄表示器および普通図柄表示器53には、それぞれ、確率変動機能と変動時間短縮機能とが備わっている。特別図柄表示器の確率変動機能が作動している状態を「高確率状態」といい、作動していない状態を「通常確率状態(非高確率状態)」という。高確率状態では、大当たり確率が通常確率状態よりも高くなっている。
また、特別図柄表示器の変動時間短縮機能が作動している状態を「時短状態」といい、作動していない状態を「非時短状態」という。時短状態では、特別図柄の変動時間(変動表示開始から確定表示までに要する時間)が、非時短状態よりも短くなっている。
【0063】
特別図柄表示器の確率変動機能と変動時間短縮機能とは同時に作動することもあるし、片方のみが作動することもある。そして、普通図柄表示器53の確率変動機能および変動時間短縮機能は、特別図柄表示器の変動時間短縮機能に同期して作動するようになっている。つまり、普通図柄表示器53の確率変動機能および変動時間短縮機能は、時短状態において作動し、非時短状態において作動しない。したがって、時短状態では、普通図柄の抽選において当たりと判定される確率が非時短状態よりも高くなっている。つまり、普通図柄表示器53の確率変動機能が作動すると、作動していないときに比して、普通図柄表示器53が確定表示する普通図柄が、普通当たり図柄(普通図柄の抽選において当たりと判定されたことを示す普通図柄)となる確率が高くなる。
【0064】
また、時短状態では、普通図柄の変動時間が非時短状態よりも短くなっている。たとえば、普通図柄の変動時間は非時短状態では10秒であるが、時短状態では1秒である。さらに時短状態では、普通可変入賞装置20の開放時間が、非時短状態よりも長くなっている。つまり、普通可変入賞装置20の開放時間延長機能が作動している。例えば非時短状態での普通可変入賞装置20の開放時間は0.5秒、時短状態での普通可変入賞装置20の開放時間は3秒とする。加えて時短状態では、補助遊技における普通可変入賞装置20の開放回数が非時短状態よりも多くなっている。つまり、普通可変入賞装置20の開放回数増加機能が作動している。補助遊技とは、確定表示された普通図柄が予め定めた特定の普通図柄である場合に、現在の遊技状態に応じた開放パターンにて第2始動口22を開閉させる遊技のことである。
【0065】
普通図柄表示器53の確率変動機能および変動時間短縮機能と、普通可変入賞装置20の開放時間延長機能および開放回数増加機能とが作動している状況下では、これらの機能が作動していない場合に比して、普通可変入賞装置20が頻繁に開放され、第2始動口22へ遊技球が頻繁に入賞することとなる。その結果、発射球数に対する賞球数の割合が高くなるため、遊技者は、手持ちの遊技球を大きく減らすことなく大当たりを狙うことができる。なお、このように、普通図柄表示器53の確率変動機能および変動時間短縮機能と、普通可変入賞装置20の開放時間延長機能および開放回数増加機能とが作動している状況下で、普通可変入賞装置20により第2始動口22への入賞をサポートする制御を電サポ制御という。
本実施形態のパチンコ遊技機1では、後述する確変大当たりで当選した後の大当たり遊技が終了した後の遊技状態は、電サポ制御が行われるとともに高確率状態かつ時短状態である。この遊技状態は、大当たりに当選してその大当たり遊技が実行されることにより一旦終了し、当選した大当たりが再度確変大当たりである場合には高確率状態が再度開始されることとなる。
【0066】
また、通常大当たりに当選した場合には、その大当たり遊技が終了した後の遊技状態は、電サポ制御が行われるとともに通常確率状態かつ時短状態である。この遊技状態は、所定回数(例えば50回)の特別図柄の変動表示が実行されるか、あるいは、大当たりに当選してその大当たり遊技が実行されることにより終了する。
なお、パチンコ遊技機1を初めて遊技する場合において電源投入後の遊技状態は、電サポ制御は行わないとともに通常確率状態かつ非時短状態である。
【0067】
[大当たり判定テーブル]
図10に示す大当たり判定テーブルTa1は、遊技制御用マイコン61(
図8)が大当たりか否かの大当たり判定を実行する際に参照するテーブルである。大当たり判定テーブルTa1は、遊技状態と大当たり乱数とを対応付けて構成されている。大当たり乱数は、大当たり乱数カウンタが発生する大当たり乱数の中から所定の乱数を選択したものである。大当たり乱数カウンタを動作させるためのコンピュータプログラムは、ROM63に記憶されており、そのコンピュータプログラムをCPU62が実行することにより、大当たり乱数カウンタが動作して大当たり乱数が発生する。大当たり乱数カウンタは、カウンタICなどの乱数生成回路を利用したものでも良い。本実施形態では、大当たり乱数カウンタは、0~65535の計65536個の大当たり乱数をカウントする。つまり、0~65535の計65536個の大当たり乱数を発生する。本実施形態では、大当たり判定テーブルTa1には、遊技状態が通常確率状態のときの大当たり乱数として、0~204の計205個の大当たり乱数が設定されている。遊技制御用マイコン61は、遊技状態が通常確率状態のときに大当たり乱数カウンタから取得した大当たり乱数が0~204のいずれかであった場合は、大当たり判定において大当たりと判定し、0~65535のうち0~204以外であった場合は、大当たりではない、つまり、ハズレと判定する。
【0068】
また、本実施形態では、大当たり判定テーブルTa1には、遊技状態が高確率状態のときの大当たり乱数として、0~1309の計1310個の大当たり乱数が設定されている。つまり、通常確率状態のときよりも多くの大当たり乱数が設定されており、通常確率状態のときよりも大当たり判定において大当たりと判定される確率が高くなっている。遊技制御用マイコン61は、遊技状態が高確率状態のときに大当たり乱数カウンタから取得した大当たり乱数が0~1309のいずれかであった場合は、大当たり判定において大当たりと判定し、0~65535のうち0~1309以外であった場合は、大当たりではない、つまり、ハズレと判定する。尚、大当たり判定テーブルTa1は特
図1の抽選と特
図2の抽選で共通とする。
【0069】
[大当たり種別判定テーブル]
図11に示す大当たり種別判定テーブルTa2は、大当たりと判定された場合に遊技制御用マイコン61(
図8)が大当たりの種別判定を実行する際に参照するテーブルである。大当たり種別判定テーブルTa2は、抽選の種類(特
図1の抽選か特
図2の抽選か)と大当たり種別乱数とを対応付けて構成されている。大当たり種別乱数は、大当たり種別乱数カウンタが発生する大当たり種別乱数の中から所定の乱数を選択したものである。大当たり種別乱数カウンタを動作させるためのコンピュータプログラムは、ROM63に記憶されており、そのコンピュータプログラムをCPU62が実行することにより、大当たり種別乱数カウンタが動作して大当たり種別乱数が発生する。大当たり種別乱数カウンタは、カウンタICなどの乱数生成回路を利用したものでも良い。本実施形態では、大当たり種別乱数カウンタは、0~9の計10個の大当たり種別乱数をカウントする。つまり、0~9の計10個の大当たり種別乱数を発生する。本実施形態のパチンコ遊技機1では,大当たりの種別として、「5R通常大当たり」と、「10R通常大当たり」と、「5R確変大当たり」と、「10R確変大当たり」がある。そして、パチンコ遊技機1では、
図6に示すように第1特別図柄の抽選(特
図1の抽選)では、大当たり種別乱数が0~2の範囲内の値であれば、「5R通常大当たり」に当選したと判定し、3であれば、「10R通常大当たり」に当選したと判定し、4~8の範囲内の値であれば、「5R確変大当たり」に当選したと判定し、9であれば、「10R確変大当たり」に当選したと判定する。一方、第2特別図柄の抽選(特
図2の抽選)では、大当たり種別乱数が0~1の範囲内の値であれば、「5R通常大当たり」に当選したと判定し、2~3の範囲内の値であれば、「10R通常大当たり」に当選したと判定し、4~6の範囲内の値であれば、「5R確変大当たり」に当選したと判定し、7~9の範囲内の値であれば、「10R確変大当たり」に当選したと判定する。
【0070】
また、大当たりの種別毎に大当たり遊技後のa時短の時短回数が設定されている。a時短の時短回数は、大当たり遊技が終了した後に移行する電サポ制御が行われるとともに時短状態となる時短遊技状態が維持される上限を示したものである。例えば「5R通常大当たり」や「10R通常大当たり」については時短回数が50回に設定されており、特別図柄の変動表示が50回行われることを上限として時短遊技状態が維持される。尚、a時短の時短回数の上限回数に到達する前に大当たりに当選した場合については、その大当たり遊技が実行されることによりa時短は一旦終了する。また、「5R確変大当たり」や「10R確変大当たり」についてはa時短の回数が次回大当たりまでに設定されており、次回大当たりに当選するまで電サポ制御且つ時短遊技状態が継続する。また、a時短中が高確率状態であることから、遊技者は持ち球をほとんど減らさず、且つその後に短時間で次の大当たりに当選するので、実質的に次回の大当たりを保障した大当たりとなる。
【0071】
[リーチ判定テーブル]
図12に示すリーチ判定テーブルTa3は、遊技制御用マイコン61(
図8)が大当たり判定の結果がハズレであった場合に、リーチが出現する特図変動パターンを選択するか否かを判定する際に参照するテーブルである。ここで、リーチとは、複数の特別図柄のうち変動表示されている特別図柄が残り1つとなっている状態であって、変動表示されている特別図柄がどの特別図柄で確定表示されるか次第で大当たりを示す特別図柄の組み合わせとなる状態のことである。また、リーチとは、演出表示装置7の複数の表示領域においてそれぞれ変動表示されている演出図柄のうち、変動表示されている演出図柄が残り1つとなっている状態であって、変動表示されている演出図柄がどの演出図柄で確定表示されるか次第で大当たり演出図柄の組み合わせとなる状態のことである。
たとえば、大当たり演出図柄の組み合わせの1つが「777」である場合に、左演出図柄表示領域において左演出図柄9Lとして「7」が確定表示されており、右演出図柄表示領域において右演出図柄9Rとして「7」が確定表示されており、中演出図柄表示領域において中演出図柄9Cが変動表示されている状態のことである。なお、リーチの概念には、中演出図柄9Cがスクロールしている状態の他、揺れている状態、拡大と縮小を繰り返す状態などが含まれる。
【0072】
リーチ乱数は、大当たり判定の結果がハズレであった場合に、リーチが出現する特図変動パターンを選択するか否かを判定するための乱数である。リーチ判定テーブルTa3は、遊技状態とリーチ乱数とを対応付けて構成されている。リーチ乱数は、リーチ乱数カウンタが発生するリーチ乱数の中から所定の乱数を選択したものである。本実施形態では、リーチ乱数カウンタは、0~255の計256個のリーチ乱数をカウントする。つまり、0~256の計256個のリーチ乱数を発生する。リーチ乱数カウンタを動作させるためのコンピュータプログラムは、ROM63に記憶されており、そのコンピュータプログラムをCPU62が実行することにより、リーチ乱数カウンタが動作してリーチ乱数が発生する。本実施形態では、遊技状態が非時短状態のときのリーチ乱数として、0~27の計28個のリーチ乱数が設定されている。遊技制御用マイコン61は、遊技状態が非時短状態のときにリーチ乱数カウンタから取得したリーチ乱数が0~27のいずれかであった場合は、リーチ判定においてリーチ有りと判定し、0~255のうち0~27以外であった場合は、リーチ無しと判定する。
【0073】
また、本実施形態では、遊技状態が時短状態のときのリーチ乱数として、0~11の計12個のリーチ乱数が設定されている。遊技制御用マイコン61は、遊技状態が時短状態のときにリーチ乱数カウンタから取得したリーチ乱数が0~11のいずれかであった場合は、リーチ判定においてリーチ有りと判定し、0~255のうち0~11以外であった場合は、リーチ無しと判定する。
リーチ有りと判定されるリーチ乱数は、非時短状態よりも時短状態の方が少なく設定されている。これにより、時短状態ではリーチ有りと判定される確率が非時短状態よりも低くなる。つまり、リーチ無しと判定される確率が高くなるため、その分、特図変動パターンを選択する際に、リーチ無しの特図変動パターンを選択する確率が高くなる。このため、時短状態では、特図保留数の消化のペースが速くなる。
【0074】
尚、
図12は基本的に第1特別図柄に対応するリーチ判定テーブルを示す。第2特別図柄に対応するリーチ判定テーブルは、第1特別図柄と同一内容にしても良いし、異なるテーブルとしても良い。
【0075】
[特図変動パターン選択テーブル]
図13に示す特図変動パターン選択テーブルTa4は、遊技制御用マイコン61(
図8)が特図変動パターンを抽選により決定する際に参照するテーブルである。特図変動パターン選択テーブルTa4は、遊技状態と、判定(大当たり判定およびリーチ判定)結果と、特図保留数と、変動パターン乱数と、特図変動パターンと、変動時間と、停止時間とを対応付けて構成されている。尚、大当たり種別について対応付けても良い。特図変動パターン選択テーブルTa4における変動演出パターンは、選択された特図変動パターンに対応して演出表示装置7が変動表示する変動演出パターンであり、参考のために記載してある。変動パターン乱数は、変動パターン乱数カウンタが発生する変動パターン乱数の中から所定の乱数を選択したものである。本実施形態では、変動パターン乱数カウンタは、0~99の計100個の変動パターン乱数をカウントする。つまり、0~99の計100個の変動パターン乱数を発生する。変動パターン乱数カウンタを動作させるためのコンピュータプログラムは、ROM63に記憶されており、そのコンピュータプログラムをCPU62が実行することにより、変動パターン乱数カウンタが動作して変動パターン乱数が発生する。
【0076】
遊技状態が非時短状態のときに大当たり判定において大当たりと判定され、変動パターン乱数カウンタから取得した変動パターン乱数が0~94のいずれかであった場合は、特図保留数に関係無く、特図変動パターンP1が選択される。つまり、特図変動パターンP1が選択される確率は95%である。また、変動パターン乱数が95~99のいずれかであった場合は、保留球数に関係無く、特図変動パターンP2が選択される。つまり、特図変動パターンP2が選択される確率は5%である。特図変動パターンP1の変動時間は400,000msであり、特別図柄の停止時間、つまり、特別図柄を確定表示している時間は500msである。特図変動パターンP2の変動時間は150,000msであり、特別図柄の停止時間は500msである。また、特図変動パターンP1が選択された場合は、演出表示装置7は、変動演出パターンとしてリーチ状態から発展したSP(スーパー)リーチを表示する。また、特図変動パターンP2が選択された場合は、演出表示装置7は、変動演出パターンとしてノーマルリーチを表示する。
【0077】
また、遊技状態が非時短状態のときにハズレと判定され、かつ、リーチ判定においてリーチ有りと判定された場合、つまり、リーチ有りハズレの場合であって、変動パターン乱数カウンタから取得した変動パターン乱数が0~9のいずれかであった場合は、特図保留数に関係無く、特図変動パターンP3が選択される。つまり、特図変動パターンP3が選択される確率は10%である。また、変動パターン乱数が10~99のいずれかであった場合は、保留球数に関係無く、特図変動パターンP4が選択される。つまり、特図変動パターンP4が選択される確率は90%である。特図変動パターンP3の変動時間は400,000msであり、特別図柄の停止時間は500msである。特図変動パターンP4の変動時間は150,000msであり、特別図柄の停止時間は500msである。また、特図変動パターンP3が選択された場合は、演出表示装置7は、変動演出パターンとしてリーチ状態から発展したSPリーチを表示する。また、特図変動パターンP4が選択された場合は、演出表示装置7は、変動演出パターンとしてノーマルリーチを表示する。
【0078】
また、遊技状態が非時短状態のときにハズレと判定され、かつ、リーチ判定においてリーチ無しと判定された場合、つまり、リーチ無しハズレの場合であって、特図保留数が0~2個であり、変動パターン乱数カウンタから取得した変動パターン乱数が0~99のいずれかであった場合は、特図変動パターンP5が選択される。つまり、特図変動パターンP5が選択される確率は100%である。また、特図保留数が3~4個であり、変動パターン乱数カウンタから取得した変動パターン乱数が0~99のいずれかであった場合は、特図変動パターンP6が選択される。つまり、特図変動パターンP6が選択される確率は100%である。特図変動パターンP5の変動時間は10,000msであり、特別図柄の停止時間は500msである。特図変動パターンP6の変動時間は5,000msであり、特別図柄の停止時間は500msである。また、特図変動パターンP5または特図変動パターンP6が選択された場合は、演出表示装置7は、変動演出パターンとして通常変動を表示する。
【0079】
遊技状態が時短状態のときに大当たりと判定され、変動パターン乱数カウンタから取得した変動パターン乱数が0~99のいずれかであった場合は、特図保留数に関係無く、特図変動パターンP11が選択される。つまり、特図変動パターンP11が選択される確率は100%である。また、遊技状態が時短状態のときにハズレと判定され、かつ、リーチ判定においてリーチ有りと判定された場合、つまり、リーチ有りハズレの場合であって、変動パターン乱数カウンタから取得した変動パターン乱数が0~99のいずれかであった場合は、特図保留数に関係無く、特図変動パターンP12が選択される。つまり、特図変動パターンP12が選択される確率は100%である。特図変動パターンP11および特図変動パターンP12の変動時間はそれぞれ400,000msであり、特別図柄の停止時間はそれぞれ500msである。また、特図変動パターンP11または特図変動パターンP12が選択された場合は、演出表示装置7は、変動演出パターンとしてリーチ状態から発展したSPリーチを表示する。
【0080】
また、遊技状態が時短状態のときにハズレと判定され、かつ、リーチ判定においてリーチ無しと判定された場合、つまり、リーチ無しハズレの場合であって、特図保留数が0~1個であり、変動パターン乱数カウンタから取得した変動パターン乱数が0~99のいずれかであった場合は、特図変動パターンP13が選択される。つまり、特図変動パターンP13が選択される確率は100%である。また、特図保留数が2~4個であり、変動パターン乱数カウンタから取得した変動パターン乱数が0~99のいずれかであった場合は、特図変動パターンP14が選択される。つまり、特図変動パターンP14が選択される確率は100%である。特図変動パターンP13の変動時間は10,000msであり、特別図柄の停止時間は500msである。特図変動パターンP14の変動時間は2,500msであり、特別図柄の停止時間は500msである。また、特図変動パターンP13または特図変動パターンP14が選択された場合は、演出表示装置7は、変動演出パターンとして通常変動を表示する。
【0081】
上述したように、非時短状態のときにSPリーチまで発展が選択される確率は、大当たり判定において大当たりと判定された場合は95%であるが、大当たり判定においてハズレと判定され、かつ、リーチ有りと判定された場合は10%である。また、非時短状態のときにノーマルリーチ止まりが選択される確率は、大当たり判定において大当たりと判定された場合は5%であるが、大当たり判定においてハズレと判定され、かつ、リーチ有りと判定された場合は90%である。
つまり、演出表示装置7が変動演出パターンとしてSPリーチまで発展した場合は、大当たりが発生する可能性が高い。換言すると、SPリーチは、大当たりの発生に対する期待度がノーマルリーチ止まりの場合よりも高い変動演出パターンである。
【0082】
尚、
図13は基本的に第1特別図柄に対応する特図変動パターン選択テーブルTa4を示す。第2特別図柄に対応する特図変動パターン選択テーブルTa4は、第1特別図柄と同一内容にしても良いし、異なるテーブルとしても良い。
【0083】
[遊技制御用マイコン61や演出制御用マイコン101の主な処理]
次に、演出制御用マイコン101(
図9)が実行するサブ側主制御処理について図を参照しつつ説明する。尚、遊技制御用マイコン61が実行するメイン側主制御処理の内容については省略する。
【0084】
(サブ側主制御処理)
以下に演出制御用マイコン101(
図9)が実行するサブ側主制御処理についてそれを示す
図18を参照しつつ説明する。
最初に、演出制御用マイコン101は、初期設定を実行する(S110)。この初期設定では、たとえば、スタックの設定、定数の設定、割込時間の設定、CPU102(
図9)の設定、SIO(System Input/Output)、PIO(Parallel Input/Output)、CTC(Counter/Timer Circuit:割込時間を管理するための回路)の設定、各種のフラグ、カウンタおよびタイマなどのリセットなどを行う。続いて、演出制御用マイコン101は、電源断信号がONしており、かつ、RAM120(
図9)の内容が正常であるか否かを判定し(S111)、ここで否定判定した場合は(S111:No)、RAM120を初期化し(S112)、S113に進む。また、S111において肯定判定した場合は(S111:Yes)、RAM120を初期化しないでS113に進む。つまり、電源断信号がONになっていない場合、または、電源断信号がONになっていてもRAM120の内容が正常でない場合には(S111:No)、RAM120を初期化するが、停電などで電源断信号がONとなったがRAM120の内容が正常に保たれている場合には(S111:Yes)、RAM120を初期化しない。また、RAM64の初期化(ラムクリ)が行われた場合についてはRAM120も初期化される。なお、RAM120を初期化すれば、各種のフラグ、カウンタおよびタイマなどの値はリセットされる。また、このS110~S112は、電源投入後に一度だけ実行され、それ以降は実行されない。
【0085】
続いて、演出制御用マイコン101は、割込禁止を行い(S113)、乱数更新処理を実行する(S114)。この乱数更新処理では、種々の演出決定用乱数カウンタの初期値を更新する。なお、演出決定用乱数には、変動演出パターンを決定するための変動演出パターン乱数、種々の予告演出を決定するための予告演出乱数などがある。乱数の更新方法は、前述の遊技制御用マイコン61が行う乱数更新処理と同様の方法をとることができる。続いて、演出制御用マイコン101は、コマンド送信処理を実行する(S115)。このコマンド送信処理では、演出制御用マイコン101のRAM120内の出力バッファに格納されている各種のコマンドを、画像制御基板200、音声制御基板78およびランプ制御基板79などに送信する。続いて、演出制御用マイコン101は割込許可を実行する(S116)。以降、S113~S116を繰り返し実行する。また、割込許可中においては、受信割込処理(S117)、1msタイマ割込処理(S118)および10msタイマ割込処理(S119)の実行が可能となる。
【0086】
(受信割込処理)
次に、演出制御用マイコン101が実行する受信割込処理(
図18のS117)について説明する。
演出制御用マイコン101は、主制御基板60(
図8)から、演出制御用マイコン101の外部INT(割込)入力部に与えられるストローブ信号(STB信号)の信号レベルが変化したか否か、つまり、コマンドを受信するタイミングであるか否かを判定する。具体的には、たとえば、ストローブ信号の信号レベルがハイレベルからローレベルに変化したか否かを判定する。そして、受信するタイミングでなはないと判定した場合は、この受信割込処理を終え、受信するタイミングであると判定した場合は、主制御基板60から送信されてきた各種のコマンドを受信し、それら受信した各種のコマンドをRAM120(
図9)の受信バッファに格納する。この受信割込処理は、他の割込処理(S118、S119)に優先して実行される処理である。
【0087】
(1msタイマ割込処理)
次に、演出制御用マイコン101が実行する1msタイマ割込処理(
図18のS118)についてそれを示す
図19を参照しつつ説明する。
演出制御用マイコン101は、サブ制御基板100に1msec周期の割込パルスが入力される度に、この1msタイマ割込処理を実行する。演出制御用マイコン101は、入力処理を実行する(S120)。この入力処理では、演出ボタン検出スイッチ9a、演出レバー押込検出スイッチ6gおよび演出レバー回転検出スイッチ6h(
図4)からの検出信号に基づいて、スイッチがONしたことを示すスイッチデータ(エッジデータおよびレベルデータ)を作成する。また、近接センサ43a~43iからの検出信号に基づいて、ステージ35の特定領域をパチンコ球が通過したことを示す通過データを作成する。続いて、演出制御用マイコン101は、出力処理を実行する(S121)。この出力処理では、後述する変動演出開始処理のS165(
図22)においてRAM120(
図9)のコマンドバッファにセットされる変動開始コマンドを画像制御基板200に出力する。
【0088】
また、演出表示装置7の表示に合わせて盤ランプ2a、左サイドランプ23aおよび右サイドランプ23b(
図9)を発光させるために、後述する10msタイマ割込処理におけるランプ処理(
図20のS133)などで作成したランプデータをランプ制御基板79(
図9)に出力する。つまり、ランプデータに従って盤ランプ2a、左サイドランプ23aおよび右サイドランプ23bを所定の発光態様で発光させる。また、演出表示装置7の表示に合わせて可動体15(
図9)を駆動させるために、駆動データ(可動体15を駆動するためのデータ)を作成し、その作成した駆動データを出力する。つまり、駆動データにしたがって可動体15を所定の動作パターンで駆動させる。
【0089】
続いて、演出制御用マイコン101は、変動開始コマンドを出力したか否かを判定する(S122)。変動開始コマンドは、後述する変動演出開始処理のS165(
図22)においてRAM120(
図9)のコマンドバッファにセットされ、S121において画像制御基板200に出力される。ここで、演出制御用マイコン101は、変動開始コマンドを出力したと判定した場合は(S122:Yes)、変動演出パターンの変動時間の計測を開始する(S123)。続いて、ウォッチドッグタイマのリセット設定を行うウォッチドッグタイマ処理を行い(S124)、この1msタイマ割込処理を終える。
【0090】
(10msタイマ割込処理)
次に、演出制御用マイコン101が実行する10msタイマ割込処理(
図28のS119)についてそれを示す
図20を参照しつつ説明する。
演出制御用マイコン101は、サブ制御基板100に10msec周期の割込パルスが入力される度に、この10msタイマ割込処理を実行する。演出制御用マイコン101は、後述する受信コマンド解析処理(
図21)を実行し(S130)、スイッチ状態取得処理を実行する(S131)。このスイッチ状態取得処理では、1msタイマ割込処理の入力処理(
図19のS120)において作成したスイッチデータを10msタイマ割込処理用のスイッチデータとしてRAM120に格納する。続いて、スイッチ状態取得処理にて格納したスイッチデータ、即ち演出ボタン9、演出レバー6の各操作手段の操作に基づいて、演出表示装置7が表示するボタン演出やレバー演出などの表示内容を設定するスイッチ処理を実行する(S132)。続いて、演出制御用マイコン101は、ランプ処理を実行する(S133)。このランプ処理では、演出表示装置7の表示に合わせて各ランプ(盤ランプ2a、左サイドランプ23aおよび右サイドランプ23bなど)の発光を制御するためのランプデータの作成や発光演出の時間管理などを行う。これにより、各ランプは、演出表示装置7の表示に合った発光演出を行う。
【0091】
続いて、演出制御用マイコン101は、音声制御処理を実行する(S134)。この音声制御処理では、音声制御データ(各スピーカ8からの音声の出力を制御するためのデータ)の作成、その作成した音声制御データの音声制御基板78(
図9)への出力、音声演出の時間管理などを行う。これにより、演出表示装置7の表示に合わせて音声が各スピーカ8から出力される。続いて、演出制御用マイコン101は、その他の処理を実行し(S135)、この10msタイマ割込処理を終える。その他の処理(S135)では、変動演出パターン乱数、予告演出を決定するための予告演出乱数などを更新するなどの処理を実行する。
【0092】
(受信コマンド解析処理)
次に、演出制御用マイコン101が実行する受信コマンド解析処理(
図20のS130)についてそれを示す
図21を参照しつつ説明する。
演出制御用マイコン101は、主制御基板60(
図8)から遊技状態指定コマンドを受信したか否かを判定し(S140)、受信したと判定した場合は(S140:Yes)、サブ側遊技状態設定処理を実行する(S141)。遊技状態指定コマンドには、遊技状態(通常確率状態か高確率状態か、時短状態か非時短状態か)を示す情報などが含まれている。このサブ側遊技状態設定処理では、受信した遊技状態指定コマンドを解析し、遊技状態指定コマンドに含まれている情報に基づき、遊技状態フラグを設定する。遊技状態フラグは、現時点で設定されている遊技状態を示すフラグである。遊技状態指定コマンドに含まれている情報が通常確率状態かつ非時短状態を示している場合は、遊技状態フラグ「1」をセットする。また、通常確率状態かつ時短状態を示している場合は、遊技状態フラグ「2」をセットする。また、高確率状態かつ時短状態を示している場合は、遊技状態フラグ「3」をセットする。
【0093】
続いて、演出制御用マイコン101は、主制御基板60からオープニングコマンドを受信したか否かを判定し(S142)、受信したと判定した場合は(S142:Yes)、オープニング演出選択処理を実行する(S143)。このオープニング演出選択処理では、オープニングコマンドを解析し、その解析結果に基づいて、大当たり遊技のオープニング中に実行するオープニング演出のパターン(内容)を選択する。詳しくは、オープニングコマンド毎にオープニング演出パターンが対応付けて設定されたオープニング演出パターン選択テーブル(図示せず)を参照し、受信したオープニングコマンドと対応付けられているオープニング演出パターンを選択する。そして、選択したオープニング演出パターンにてオープニング演出を開始するためのオープニング演出開始コマンドをRAM120(
図4)の出力バッファにセットする。
続いて、演出制御用マイコン101は、主制御基板60からラウンド指定コマンドを受信したか否かを判定し(S144)、受信したと判定した場合は(S144:Yes)、ラウンド演出選択処理を実行する(S145)。このラウンド演出選択処理では、大当たり遊技の各ラウンドにおいて実行する演出の種類を選択する。この演出は、演出表示装置7が表示する画像および各スピーカ8が出力する音声などによる演出であり、大当たりの種類によって異なる。詳しくは、ラウンド指定コマンド毎にラウンド演出が対応付けられたラウンド演出テーブル(図示せず)を参照し、受信したラウンド指定コマンドと対応付けられているラウンド演出を選択する。
【0094】
続いて、演出制御用マイコン101は、主制御基板60からエンディングコマンドを受信したか否かを判定し(S146)、受信したと判定した場合は(S146:Yes)、エンディング演出選択処理を実行する(S147)。このエンディング演出選択処理では、実行中の大当たり遊技の契機となった大当たりの種類に応じて、大当たりの終了時に演出表示装置7および各スピーカ8により実行するエンディング演出の種類を選択することなどを行う。続いて、演出制御用マイコン101は、主制御基板60から変動開始コマンドを受信したか否かを判定し(S148)、受信したと判定した場合は(S148:Yes)、後述する変動演出開始処理(
図22)を実行する(S149)。
【0095】
続いて、演出制御用マイコン101は、1msタイマ割込処理の入力処理(
図19のS120)において作成した通過データ(ステージ35の特定領域をパチンコ球が通過したことを示すデータ)に基づいて、保留表示部44a~44h及び変動保留表示部44iの発光色や発光態様を変化させる後述の保留演出処理(
図23)を実行する(S150)。
【0096】
更に、演出制御用マイコン101は、主制御基板60から変動停止コマンドを受信したか否かを判定し(S151)、受信したと判定した場合は(S151:Yes)、図柄の停止表示を契機として変動演出終了処理を実行する(S153)。この変動演出終了処理では、演出制御用マイコン101は、変動演出を終了させるための変動演出終了コマンドをRAM120(
図4)の出力バッファにセットする。セットした変動演出終了コマンドがコマンド送信処理(
図21のS115)によって画像制御基板200(
図4)に送信されると、画像制御基板200は、演出表示装置7において左演出図柄9L、中演出図柄9Cおよび右演出図柄9R(
図1)を所定の停止パターンを経て確定表示する。
【0097】
続いて、演出制御用マイコン101は、その他の処理を実行し(S153)、この受信コマンド解析処理を終える。その他の処理(S153)では、上記各コマンド以外のコマンド(たとえば、普通図柄変動開始コマンドや普通図柄変動停止コマンド)に基づく処理などを行う。
【0098】
(変動演出開始処理)
次に、演出制御用マイコン101が実行する変動演出開始処理(
図21のS149)についてそれを示す
図22を参照しつつ説明する。
演出制御用マイコン101は、主制御基板60から受信した変動開始コマンドを解析する(S160)。変動開始コマンドには、特図変動パターンの情報、特図停止図柄(大当たり種別判定結果)等が含まれている。続いて、演出制御用マイコン101は、S160において解析した変動開始コマンドが第1特図変動開始コマンドである場合は、第1特図保留演出カウンタの値を「1」減算し、第2特図変動開始コマンドである場合は、第2特図保留演出カウンタの値を「1」減算する(S161)。続いて、演出制御用マイコン101は、特図保留演出記憶部(第1特図保留演出記憶部121または第2特図保留演出記憶部122:
図14、
図15)に記憶されている始動入賞コマンドおよび先読み大当たりフラグなどの各データを古い記憶領域の方にシフトする(S162)。続いて、演出制御用マイコン101は、演出表示装置7が変動演出パターンを表示する際に最終的に確定表示する左演出図柄9L、中演出図柄9Cおよび右演出図柄9R(
図1)の組み合わせを、演出図柄選択テーブル(図示せず)を参照して選択する(S163)。
【0099】
続いて、演出制御用マイコン101は、演出内容選択処理を実行する(S164)。演出内容選択処理では、演出図柄の変動に伴ってパチンコ遊技機1で行われる演出の内容を演出選択テーブルTa5を用いて選択する。演出選択テーブルTa5は、特図変動パターンと、判定結果と、演出選択乱数と、演出内容とを対応付けて構成されている。特図変動パターンは、S160における解析により得た特図変動パターンと対応している。演出選択乱数は、演出選択乱数カウンタがカウントする乱数の範囲の中で選択した乱数である。演出制御用マイコン101は、演出選択乱数カウンタがカウントする演出選択乱数を取得する。そして、演出選択テーブルTa5を参照し、S160における解析により得た特図変動パターンの情報に基づいて、その特図変動パターンと対応付けられている演出内容のうち、上記の取得した演出選択乱数と対応付けられている演出内容を選択する。
【0100】
続いて、演出制御用マイコン101は、S164において選択した演出内容の表示を演出表示装置7に開始させるための演出図柄変動表示開始コマンドをRAM120の出力バッファにセットする(S165)。
【0101】
(保留演出処理)
次に、演出制御用マイコン101が実行する保留演出処理(
図21のS150)についてそれを示す
図23を参照しつつ説明する。
演出制御用マイコン101は、先ずS170においてステージ35の転動領域である中段領域41にある4箇所の凹部及び下段領域42にある5箇所の凹部(以下、それらをまとめて特定領域という)のいずれかを遊技領域が通過したか否か判定する。尚、
図2に示すように中段領域41にある4箇所の凹部及び下段領域42にある5箇所の凹部には、夫々パチンコ球が通過したことを検出する近接センサ43a~43iが設けられており、前述の1msタイマ割込処理の入力処理(
図19のS120)では、近接センサ43a~43iから検出信号の入力があった場合に、特定領域をパチンコ球が通過したことを示す通過データを生成する。従って、前記S170では前記S120で生成された通過データに基づいて、特定領域のいずれかを遊技領域が通過したか否か判定する。
【0102】
そして、特定領域のいずれかをパチンコ球が通過したと判定された場合(S170:Yes)には、S171へと移行する。それに対して特定領域をパチンコ球が通過していないと判定された場合(S170:No)には、S151へと移行する。
【0103】
次に演出制御用マイコン101は、通過したと判定された特定領域に対応する保留又は変動があるか否かを判定する(S171)。具体的には、通過したと判定された特定領域に配置された保留表示部44a~44hに表示される保留があるか否かが判定される。但し、通過したと判定された特定領域が特に下段領域42の中央の凹部である場合については現在消化中の保留があるか否か、即ち特図の変動中か否かが判定される。
【0104】
例えば通過したと判定された特定領域が特に下段領域42の最も左側の凹部である場合については同特定領域に配置された保留表示部44aにおいて表示される保留があるか否か判定される。通過したと判定された特定領域が特に中段領域41の最も左側の凹部である場合については同特定領域に配置された保留表示部44bにおいて表示される保留があるか否か判定される。通過したと判定された特定領域が特に下段領域42の左側から2番目の凹部である場合については同特定領域に配置された保留表示部44cにおいて表示される保留があるか否か判定される。通過したと判定された特定領域が特に中段領域41の左側から2番目の凹部である場合については同特定領域に配置された保留表示部44dにおいて表示される保留があるか否か判定される。通過したと判定された特定領域が特に中段領域41の左側から3番目の凹部である場合については同特定領域に配置された保留表示部44eにおいて表示される保留があるか否か判定される。通過したと判定された特定領域が特に下段領域42の左側から4番目の凹部である場合については同特定領域に配置された保留表示部44fにおいて表示される保留があるか否か判定される。通過したと判定された特定領域が特に中段領域41の最も右側の凹部である場合については同特定領域に配置された保留表示部44gにおいて表示される保留があるか否か判定される。通過したと判定された特定領域が特に下段領域42の最も右側の凹部である場合については同特定領域に配置された保留表示部44hにおいて表示される保留があるか否か判定される。
【0105】
そして、通過したと判定された特定領域に対応する保留又は変動があると判定された場合(S171:Yes)には、S172へと移行する。それに対して通過したと判定された特定領域に対応する保留又は変動がないと判定された場合(S171:No)には、S151へと移行する。
【0106】
続いて演出制御用マイコン101は、通過したと判定された特定領域に対応する保留及び変動について、保留表示部44a~44h及び変動保留表示部44iの表示態様が変化対象(保留演出の対象)であるか否かを判定する(S172)。ここで、通過したと判定された特定領域に対応する保留及び変動について、保留表示部44a~44h及び変動保留表示部44iが変化対象であるか否かについては、特図保留演出記憶部(第1特図保留演出記憶部121または第2特図保留演出記憶部122:
図14、
図15)に記憶されている始動入賞コマンドおよび先読み大当たりフラグなどの各データを用いて判定する。特に変動保留表示部44iの表示態様が変化対象(保留演出の対象)であるか否かについては現在の変動に対する変動用演出記憶部123に記憶されている始動入賞コマンド等のデータを用いて判定する。尚、始動入賞コマンドには、遊技球が第1始動口11や第2始動口22に入賞したことを契機として、遊技制御用マイコン61が取得した大当たり乱数、大当たり種別乱数、変動パターン乱数およびリーチ乱数を含む。
【0107】
ここで、本実施形態では保留表示部44a~44h及び変動保留表示部44iの表示色によって大当たりの信頼度を示す。変動保留表示部44iについては特に消化中の保留、即ち現在の変動の大当たりの信頼度を示す。具体的には「白色→青色→緑色→赤色→金色」の順に信頼度が高くなり、表示開始時点では白色で表示することとする。但し、表示色ではなく点灯パターンによって大当たりの信頼度を示しても良い。具体的には「通常点灯→低速点滅→高速点滅」の順に信頼度を高くする。
【0108】
従って、前記S172では特図保留演出記憶部や変動用演出記憶部123に記憶されている始動入賞コマンドおよび先読み大当たりフラグを用いて、大当たりの信頼度が高い保留及び変動については、保留表示部44a~44h及び変動保留表示部44iの表示態様が変化対象であると判定する。大当たりの信頼度が高い保留及び変動とは、先読み大当たりフラグがオンされていたり、変動時間がある程度長い変動パターン(具体的にはSPリーチを実行する変動)が選択されている保留や変動が該当する。また、表示態様の変化対象と判定された場合については更に発光色の上限についても設定する。発光色の上限は大当たりの信頼度に対応しており、「白色→青色→緑色→赤色→金色」の順で大当たりの信頼度が高い保留や変動程、より信頼度の高い発光色が上限として選択されやすい。例えば、先読み大当たりフラグがオンされていたり、特に変動時間の長い変動パターン(信頼度の高い予告演出やSPリーチを実行する変動)が選択されている保留や変動については、赤色や金色が発光色の上限として選択されやすくする。一方で、変動時間の比較的短い変動パターンが選択されている保留や変動については、表示態様の変化対象としない、或いは青色や緑色を発光色の上限とする。
【0109】
そして、通過したと判定された特定領域に対応する保留及び変動について、保留表示部44a~44h及び変動保留表示部44iの表示態様が変化対象(保留演出の対象)であると判定された場合(S172:Yes)には、S173へと移行する。それに対して表示態様の変化対象(保留演出の対象)でないと判定された場合(S172:No)には、S151へと移行する。
【0110】
S173において演出制御用マイコン101は、表示態様の変化対象とする保留表示部44a~44h及び変動保留表示部44iに対応する保留LED45a~45iを制御し、表示態様の変化を行う。例えば、
図24に示すようにパチンコ球が中段領域41の最も左側の凹部及び下段領域42の最も左側の凹部を通過する場合であって、且つ保留表示部44aについて表示態様の変化対象である場合については、保留LED45aの発光色を白色から青色に制御することによって、保留表示部44aの発光色を青色に変化させる。一方、保留表示部44bについては表示態様の変化対象でないので、保留LED45bの発光色は変化させず、保留表示部44bの発光色は白色から変化しないこととなる。尚、表示態様の変化対象、即ち遊技球が通過した特定領域に対応する保留表示部44a~44h及び変動保留表示部44iが既に上限の発光色である場合については、仮にパチンコ球が特定領域を通過した場合であっても表示態様はそれ以上変化しない。
【0111】
尚、前記S173において保留表示部44a~44h及び変動保留表示部44iの表示態様を変化させる場合においては、パチンコ球が特定領域を1球でも通過した時点で上限の発光色へ変化させても良いし、パチンコ球が特定領域を1球通過する度に段階的に上限の発光色へ近づくように変化させても良い。例えば、
図25は上限の発光色が緑色に設定されている保留の例であり、先ず1球目のパチンコ球が特定領域を通過した時点で「白色→青色」に変化し、2球目のパチンコ球が特定領域を通過した時点で「青色→緑色」に変化するようにしても良い。それによって、遊技者はパチンコ球の挙動に対してより注目することとなり、遊技に対する興味を失わせることがない。更に、上記のように一度に上限まで発光色を変化させるか、或いは段階的に発光色を変化させるかの違いによって大当たりの信頼度を示唆することも可能である。
【0112】
[実施形態の効果]
(1)上述した実施形態のパチンコ遊技機1を実施すれば、発射装置によって遊技盤上に発射された遊技球が転動する遊技領域と、始動条件が成立したことに基づいて遊技情報を取得する遊技情報取得手段と、前記遊技情報に基づいて特典を付与するか否かを判断する特典付与判断手段と、図柄の変動を用いて前記特典付与判断手段の判断結果を報知する報知手段と、前記遊技情報取得手段を介して取得した前記遊技情報を、前記報知手段の報知に供されるまで、所定の最大保留記憶個数を上限として時系列順に保留として記憶するとともに、前記報知手段による報知が終わった段階で最も古く記憶された保留を新たに消化する保留記憶手段と、前記保留記憶手段に保留として記憶されている遊技情報に対応する保留表示物を表示する保留表示手段と、前記遊技領域の内、特定領域を遊技球が通過したことを契機として、前記保留表示物の表示態様を変化させる保留演出手段と、を有する。その結果、保留表示物を用いた先読み演出を行う場合において、遊技球が遊技領域の特定領域を通過することを契機に保留表示物の表示態様を変化させるので、保留表示物の表示態様を変化させる新たな契機を設けることが可能となる。また、遊技者は遊技球の挙動に対してより注目することとなり、遊技に対する興味を失わせることがない。
(2)また、入球口の上方に配置され、前記遊技領域の一部として遊技球が転動する転動領域を上面に備えたステージを有し、前記特定領域は、前記転動領域内に設ける。その結果、保留表示物を用いた先読み演出を行う場合において、遊技球がステージ上の特定領域を通過することを契機に保留表示物の表示態様を変化させるので、保留表示物の表示態様を変化させる新たな契機を設けることが可能となる。また、遊技者はステージ上における遊技球の挙動に対してより注目することとなり、遊技に対する興味を失わせることがない。
(3)また、前記保留表示物は、前記転動領域内の前記特定領域又はその周辺に配置され、前記特定領域を遊技球が通過したことを契機として、遊技球が通過した特定領域又はその周辺にある前記保留表示物の表示態様を変化させる。その結果、遊技球が通過するルートによって表示態様を変化させる対象となる保留表示物が変わるという新たな遊技を提供することが可能となる。
(4)また、前記特定領域は前記転動領域内の複数箇所に設けられ、前記保留表示物は前記最大保留記憶個数に対応する数だけあって、前記転動領域内の各特定領域又はその周辺に分かれて配置される。その結果、遊技球が通過するルートによって表示態様を変化させる対象となる保留表示物が変わるという新たな遊技を提供することが可能となる。
(5)また、前記転動領域は、上面に凹凸形状を有する複数の領域に区分され、前記ステージに移動した遊技球は前記複数の領域を段階的に移動し、前記複数の領域の上面に形成された凹部に前記特定領域が設けられている。その結果、保留表示物を用いた先読み演出を行う場合において、遊技球がステージ上の凹部を通過することを契機に保留表示物の表示態様を変化させるので、保留表示物の表示態様を変化させる新たな契機を設けることが可能となる。また、遊技者はステージ上における遊技球の挙動に対してより注目することとなり、遊技に対する興味を失わせることがない。
(6)また、現在消化中の保留の遊技情報に対応する変動保留表示物を表示する変動保留表示手段と、前記遊技領域の内、特定領域を遊技球が通過したことを契機として、前記変動保留表示物の表示態様を変化させる変動保留演出手段と、を有する。その結果、保留表示物を用いた先読み演出に加えて、現在の変動に対する演出についても遊技球が遊技領域の特定領域を通過することを契機に行うことで、遊技者は遊技球の挙動に対してより注目することとなり、遊技に対する興味を失わせることがない。
【0113】
〈他の実施形態〉
(1)前述した実施形態では、保留を表示する保留表示部44a~44hを特にLEDを用いたランプとしているが、保留表示部としては例えば小型の液晶表示装置を用いても良い。また、7セグ等を用いても良い。
(2)また、前述した実施形態では、ステージ35の転動領域を上段領域40と中段領域41と下段領域42の3段の波型からなる形状としているが、遊技球が通過する特定領域が存在する形状であればステージ35の形状については適宜変更可能である。
(3)また、前述した実施形態では、ステージ35の特定領域である中段領域41の凹部及び下段領域42の凹部内に保留表示部44a~44hを配置しているが、凹部内ではなく凹部の周辺に配置するようにしても良い。
(4)また、前述した実施形態では、ステージ35の転動領域に対して保留の表示態様を変化させる契機となる特定領域を設けているが、発射装置によって遊技盤上に発射された遊技球がその後に転動可能な遊技領域内であれば、ステージ35の転動領域外に特定領域を設けても良い。例えば、左遊技領域3a内のいずれかの地点に特定領域を設定し、その特定領域の通過を契機として保留表示部の表示態様を変化させるようにしても良い。
(5)また、前述した実施形態では、特定領域をパチンコ球が通過したことのみを契機として保留の表示態様を変化させているが、仮に特定領域をパチンコ球が通過しなかったとしても信頼度の高い保留については予め決められたタイミング(例えば1つ前の保留の消化時)で保留の表示態様を変化させるようにしても良い。
(6)また、前述した実施形態では、確変機に本願発明を適用した例について説明したが、確変機以外にも適用することが可能である。例えば、第2種パチンコ機、1種2種混合機やST機であっても良い。
【符号の説明】
【0114】
1 パチンコ遊技機
2 遊技盤
2a 盤ランプ
7 演出表示装置
11 第1始動口
35 ステージ
36a,36b ワープ入口
37a,37b ワープ通路
43a~43i 近接センサ
44a~44h 保留表示部
44i 変動保留表示部
45a~45i 保留LED
101 演出制御用マイコン