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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024170121
(43)【公開日】2024-12-06
(54)【発明の名称】機能デバイス
(51)【国際特許分類】
   H03H 9/10 20060101AFI20241129BHJP
   H03B 5/32 20060101ALI20241129BHJP
【FI】
H03H9/10
H03B5/32 H
【審査請求】未請求
【請求項の数】15
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023087108
(22)【出願日】2023-05-26
(71)【出願人】
【識別番号】000002369
【氏名又は名称】セイコーエプソン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100091292
【弁理士】
【氏名又は名称】増田 達哉
(74)【代理人】
【識別番号】100173428
【弁理士】
【氏名又は名称】藤谷 泰之
(74)【代理人】
【識別番号】100091627
【弁理士】
【氏名又は名称】朝比 一夫
(72)【発明者】
【氏名】橋 幸弘
(72)【発明者】
【氏名】竹内 淳一
(72)【発明者】
【氏名】鎌倉 知之
(72)【発明者】
【氏名】宮坂 英男
【テーマコード(参考)】
5J079
5J108
【Fターム(参考)】
5J079AA04
5J079BA43
5J079BA47
5J079HA03
5J079HA07
5J079HA25
5J079HA29
5J108BB02
5J108CC04
5J108DD02
5J108EE07
5J108EE18
5J108FF13
5J108GG03
5J108GG14
(57)【要約】
【課題】衝撃や応力を効果的に吸収または緩和することのできる機能デバイスを提供する。
【解決手段】機能デバイスは、表裏関係にある第1面および第2面を有するベース基板と、前記第1面に配置されている第1導電層と、前記ベース基板の前記第1面側に配置されている素子基板および前記素子基板の前記ベース基板側の面に配置されている第2導電層を備える機能素子と、前記ベース基板と前記第1導電層との間および前記素子基板と前記第2導電層との間の少なくとも一方に配置されている中空層と、を有し、前記ベース基板の平面視で前記中空層と重なる位置において、前記第1導電層と前記第2導電層とが接合されている。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
表裏関係にある第1面および第2面を有するベース基板と、
前記第1面に配置されている第1導電層と、
前記ベース基板の前記第1面側に配置されている素子基板および前記素子基板の前記ベース基板側の面に配置されている第2導電層を備える機能素子と、
前記ベース基板と前記第1導電層との間および前記素子基板と前記第2導電層との間の少なくとも一方に配置されている中空層と、を有し、
前記ベース基板の平面視で前記中空層と重なる位置において、前記第1導電層と前記第2導電層とが接合されていることを特徴とする機能デバイス。
【請求項2】
前記第1導電層と前記第2導電層とを接合している接合部材を有する請求項1に記載の機能デバイス。
【請求項3】
前記ベース基板と前記第1導電層との間に配置されている第1樹脂層を有し、
前記第1樹脂層と前記第1導電層との間に前記中空層が形成されている請求項1に記載の機能デバイス。
【請求項4】
前記第1導電層の前記中空層上に位置している部分は、前記第2導電層との接合部分の周囲において円弧上に湾曲している請求項3に記載の機能デバイス。
【請求項5】
前記ベース基板と前記第1導電層との間に配置されている第1樹脂層を有し、
前記第1樹脂層と前記ベース基板との間に前記中空層が形成されている請求項1に記載の機能デバイス。
【請求項6】
前記中空層は、前記ベース基板と前記第1導電層とによって気密に囲まれた空間内に位置している請求項1ないし5のいずれか1項に記載の機能デバイス。
【請求項7】
前記素子基板と前記第2導電層との間に配置されている第2樹脂層を有し、
前記第2樹脂層と前記第2導電層との間に前記中空層が形成されている請求項1に記載の機能デバイス。
【請求項8】
前記第2導電層の前記中空層上に位置している部分は、前記第1導電層との接合部分の周囲において円弧上に湾曲している請求項7に記載の機能デバイス。
【請求項9】
前記素子基板と前記第2導電層との間に配置されている第2樹脂層を有し、
前記第2樹脂層と前記素子基板との間に前記中空層が形成されている請求項1に記載の機能デバイス。
【請求項10】
前記中空層は、前記素子基板と前記第2導電層とによって気密に囲まれた空間内に位置している請求項1または7ないし9のいずれか1項に記載の機能デバイス。
【請求項11】
前記機能素子は、振動素子である請求項1ないし5および7ないし9のいずれか1項に記載の機能デバイス。
【請求項12】
前記ベース基板および前記素子基板は、線膨張係数が互いに異なる請求項11に記載の機能デバイス。
【請求項13】
前記ベース基板は、半導体基板であり、
前記ベース基板の前記第2面側に配置され、前記振動素子を発振させる発振回路を有する請求項11に記載の機能デバイス。
【請求項14】
前記ベース基板は、半導体基板であり、
前記ベース基板の前記第1面側に配置され、前記振動素子を発振させる発振回路を有する請求項11に記載の機能デバイス。
【請求項15】
前記ベース基板に接合され、前記ベース基板との間に前記振動素子を収容するリッドを有する請求項12に記載の機能デバイス。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、機能デバイスに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、筐体と、金属バンプを介して筐体に接合された水晶振動片と、筐体との間に水晶振動片を収容するように筐体に接合されている蓋体と、を有する圧電振動デバイスが開示されている。
【0003】
また、特許文献2には、ベースと、ベースの上面側に位置する振動素子と、上面に配置されている導電層と、ベースと振動素子との間に配置され、ベースと振動素子とを接合する金属バンプと、ベースと導電層との間に介在し、金属バンプよりも弾性率が小さい低弾性率層と、を有する振動デバイスが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2009-206614号公報
【特許文献2】特開2022-085834号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1の場合、硬質な金属バンプにより筐体と水晶振動片とが接合されているため、金属バンプによる衝撃緩和効果が小さく、衝撃が金属バンプを介して水晶振動片に伝わり易い。したがって、十分な耐衝撃性を発揮することができない。これに対して、特許文献2の場合、低弾性率層による衝撃緩和効果によって衝撃が金属バンプを介して振動素子に伝わり難くなるが、それでも、十分な耐衝撃性を発揮することができないおそれがある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の機能デバイスは、表裏関係にある第1面および第2面を有するベース基板と、
前記第1面に配置されている第1導電層と、
前記ベース基板の前記第1面側に配置されている素子基板および前記素子基板の前記ベース基板側の面に配置されている第2導電層を備える機能素子と、
前記ベース基板と前記第1導電層との間および前記素子基板と前記第2導電層との間の少なくとも一方に配置されている中空層と、を有し、
前記ベース基板の平面視で前記中空層と重なる位置において、前記第1導電層と前記第2導電層とが接合されている。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】第1実施形態に係る機能デバイスを示す断面図である。
図2】ベース基板の上面図である。
図3】内部端子の断面図である。
図4】内部端子の断面図である。
図5】振動素子の上面図である。
図6】機能デバイスの製造方法を説明するための断面図である。
図7】機能デバイスの製造方法を説明するための断面図である。
図8】機能デバイスの製造方法を説明するための断面図である。
図9】機能デバイスの製造方法を説明するための断面図である。
図10】機能デバイスの製造方法を説明するための断面図である。
図11】機能デバイスの製造方法を説明するための断面図である。
図12】機能デバイスの製造方法を説明するための断面図である。
図13】機能デバイスの製造方法を説明するための断面図である。
図14】第2実施形態に係る機能デバイスを示す断面図である。
図15】第2実施形態に係る機能デバイスを示す断面図である。
図16】第3実施形態に係る機能デバイスを示す断面図である。
図17】振動素子が有する端子の断面図である。
図18】振動素子が有する端子の断面図である。
図19】第4実施形態に係る機能デバイスを示す断面図である。
図20】第4実施形態に係る機能デバイスを示す断面図である。
図21】第5実施形態に係る機能デバイスを示す断面図である。
図22】第5実施形態に係る機能デバイスを示す断面図である。
図23】第6実施形態に係る機能デバイスを示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、本発明の機能デバイスを添付図面に示す実施形態に基づいて詳細に説明する。
【0009】
<第1実施形態>
図1は、第1実施形態に係る機能デバイスを示す断面図である。図2は、ベース基板の上面図である。図3および図4は、内部端子の断面図である。図5は、振動素子の上面図である。図6ないし図13は、それぞれ、機能デバイスの製造方法を説明するための断面図である。なお、説明の便宜上、各図には、互いに直交する3軸をX軸、Y軸およびZ軸として図示している。また、Z軸方向の矢印が向く側を「上」とも言い、反対側を「下」とも言う。また、Z軸方向からの平面視を単に「平面視」とも言う。
【0010】
図1に示す機能デバイス1は、発振器である。このような機能デバイス1は、ベース基板2と、ベース基板2の上面2a側に配置された機能素子である振動素子3と、振動素子3とベース基板2とを接合する接合部材B1、B2と、振動素子3を覆ってベース基板2の上面2aに接合されたリッド4と、ベース基板2の下面2b側に配置された発振回路6と、を有する。このような機能デバイス1では、ベース基板2とリッド4とで形成されたパッケージPが有する収容空間Sに振動素子3が収容されている。
【0011】
ベース基板2は、半導体基板、特に、シリコン基板である。ただし、ベース基板2としては、特に限定されず、例えば、Ge、GaP、GaAs、InP等のシリコン以外の半導体材料で構成された基板を用いてもよい。
【0012】
また、ベース基板2は、表裏関係にある第1面としての上面2aおよび第2面としての下面2bを有する。また、ベース基板2には、上面2aと下面2bとを貫通する一対の貫通孔21、22が形成されている。貫通孔21、22は、それぞれ、上面2a側の開口が下面2b側の開口よりも大きいテーパー状をなす。また、ベース基板2の表面は、絶縁層20で覆われている。絶縁層20は、例えば、酸化シリコン(SiO)で構成されている。絶縁層20は、例えば、スパッタリングやCVD(Chemical Vapor Deposition)により形成することができる。ただし、絶縁層20の構成材料や形成方法は、特に限定されない。
【0013】
また、ベース基板2の上面2aには、第1樹脂層511、512が配置されている。これら第1樹脂層511、512は、後述するように、振動素子3の端子323、324と重なるように配置されている。また、第1樹脂層511、512の弾性率(ヤング率)は、接合部材B1、B2の弾性率よりも小さい。つまり、第1樹脂層511、512は、接合部材B1、B2よりも柔らかい。なお、第1樹脂層511、512の弾性率は、特に限定されないが、接合部材B1、B2の弾性率の1/10以下であることが好ましく、1/50以下であることがより好ましく、1/100以下であることがさらに好ましい。これにより、十分に柔らかい第1樹脂層511、512となる。
【0014】
第1樹脂層511、512の構成材料としては、特に限定されないが、例えば、エポキシ樹脂、ポリイミド樹脂、フェノール樹脂等の紫外線硬化型等の感光性樹脂材料であることが好ましい。特に、本実施形態では、フェノール樹脂を用いている。これにより、第1樹脂層511、512の微細加工が可能となり、第1樹脂層511、512を精度よく形成することができると共に、機能デバイス1の小型化を図ることができる。また、半導体プロセスを用いて第1樹脂層511、512を形成することができるため、機能デバイス1を効率的に製造することができる。なお、第1樹脂層511、512には、例えば、線膨張係数を調整する目的、導電性を付与する目的、その他の目的等によって金属フィラー等の添加物が混合されていてもよい。
【0015】
なお、本実施形態では、第1樹脂層511、512が上面2aに配置されているが、これに限定されず、第1樹脂層511、512と上面2aとの間に別の層が介在していてもよい。
【0016】
また、ベース基板2の下面2b側には、振動素子3と電気的に接続された発振回路6が形成されている。発振回路6は、振動素子3を発振させてクロック信号等の基準信号の周波数を生成する。これにより、機能デバイスが発振器となり、高い汎用性および需要を期待することができる。
【0017】
また、発振回路6は、ベース基板2の下面2bに形成されたトランジスタ等の複数の素子60と、下面2bに積層された絶縁層61と、絶縁層61の下面に積層された配線層62と、配線層62の下面に積層された絶縁層63と、絶縁層63の下面に積層されたパッシベーション膜64と、パッシベーション膜64の下面に積層された端子層65と、を有する。そして、配線層62に含まれる配線や層間を貫通する貫通電極を介して複数の素子60同士が電気的に接続されることで発振回路6が構成されている。
【0018】
このように、ベース基板2に発振回路6を形成することで、ベース基板2の空きスペースを有効活用することができる。特に、下面2b側に発振回路6を形成することで、リッド4との接合領域がない分、上面2a側に発振回路6を形成する場合と比べて、発振回路6の形成可能領域が広くなる。そのため、発振回路6の設計自由度が増す。なお、本実施形態では、発振回路6が1つの配線層62を含む構成であるが、これに限定されず、複数の配線層62が絶縁層63を介して積層されていてもよい。つまり、絶縁層61とパッシベーション膜64との間に、配線層62と絶縁層63とが交互に複数回積層されていてもよい。これにより、配線の引き回し自由度が向上し、回路設計が容易となる。
【0019】
また、絶縁層61には、上面と下面とを貫通する貫通孔611、612が形成されている。貫通孔611は、貫通孔21と同軸的に形成され、貫通孔21と連通している。また、貫通孔611は、貫通孔21の下側開口よりも小径であり、貫通孔21と貫通孔611との間に絶縁層61の上面からなる段差面が形成されている。以下では、貫通孔21および貫通孔611が連通してなり、上面2aから絶縁層61の下面までを貫通する貫通孔を「貫通孔H1」とも言う。同様に、貫通孔612は、貫通孔22と同軸的に形成され、貫通孔22と連通している。また、貫通孔612は、貫通孔22の下側開口よりも小径であり、貫通孔22と貫通孔612との間に絶縁層61の上面からなる段差面が形成されている。以下では、貫通孔22および貫通孔612が連通してなり、上面2aから絶縁層61の下面までを貫通する貫通孔を「貫通孔H2」とも言う。
【0020】
また、配線層62は、貫通孔H1と重なり、貫通孔H1内に露出する電極パッド621と、貫通孔H2と重なり、貫通孔H2内に露出する電極パッド622と、を有する。また、端子層65は、発振回路6を外部装置と接続するための複数の外部端子651を有する。各外部端子651は、絶縁層63およびパッシベーション膜64を貫通して配線層62と電気的に接続されている。
【0021】
また、ベース基板2には、ベース基板2の上面2a側から貫通孔H1内を通って電極パッド621と電気的に接続された配線層71と、ベース基板2の上面2a側から貫通孔H2内を通って電極パッド622と電気的に接続された配線層72と、を有する。また、図2に示すように、配線層71は、上面2aに配置され、振動素子3が接合される第1導電層としての内部端子711を有する。同様に、配線層72は、上面2aに配置され、振動素子3が接合される第1導電層としての内部端子721を有する。
【0022】
また、図3および図4に示すように、内部端子711は、第1樹脂層511の表面全域を覆い、内部端子721は、第1樹脂層512の表面全域を覆っている。つまり、中空層81、82は、ベース基板2と内部端子711、721とによって気密に囲まれた空間内に位置している。そのため、第1樹脂層511、512から発生するガス(アウトガス)を内部端子711、721内に閉じ込めることができ、ガスが収容空間S内に放出されるのを抑制することができる。そのため、例えば、ガスに起因した収容空間S内の雰囲気の汚染や圧力変化等による振動素子3の振動特性の変化、悪化を抑制することができる。そのため、信頼性に優れた機能デバイス1となる。
【0023】
また、内部端子711と第1樹脂層511との間には中空層81が形成され、内部端子721と第1樹脂層512との間には中空層82が形成されている。つまり、内部端子711の一部が第1樹脂層511から浮き上がり、内部端子721の一部が第1樹脂層512から浮き上がっている。そして、内部端子711は、平面視で中空層81と重なる部分つまり第1樹脂層511から浮き上がっている部分である易変形部711aにおいて接合部材B1を介して振動素子3と接合され、内部端子721は、平面視で中空層82と重なる部分つまり第1樹脂層512から浮き上がっている部分である易変形部721aにおいて接合部材B2を介して振動素子3と接合されている。
【0024】
このような構成によれば、易変形部711a、721aが変形することで、パッケージPに印加された衝撃を効果的に吸収、緩和することができる。したがって、振動素子3に衝撃が伝わり難く、優れた耐衝撃性を有する機能デバイス1となる。特に、中空層81、82が第1樹脂層511、512から発生したガスによって満たされることでダンパーとして機能し、易変形部711a、721aが弾性変形することで、衝撃によって生じた振動素子3全体を揺らす不要振動をより短い時間で収束させることもできる。そのため、機能デバイス1の振動特性がより安定する。
【0025】
なお、中空層81、82が位置している、ベース基板2と内部端子711、721とによって囲まれた空間は、気密空間でなくてもよい。例えば、中空層81、82と内部端子711の外側の空間とを連通する孔が内部端子711に形成されていてもよい。そのような構成によっても、易変形部711a、721aが変形することで、パッケージPに印加された衝撃を効果的に吸収、緩和することができる。
【0026】
また、変形した易変形部711a、721aが直下にある第1樹脂層511、512に接触することにより、それ以上の過度な変形が抑制され、易変形部711a、721aの過度な塑性変形、破損等を効果的に抑制することもできる。また、本実施形態では、ベース基板2がシリコン基板であり、素子基板31が後述するように水晶基板であるため、これらの線膨張係数が互いに異なっている。このような線膨張係数の差に起因して両者の間に生じる熱応力についても、易変形部711a、721aの弾性変形によって効果的に吸収、緩和することができる。したがって、振動素子3に応力が伝わり難く、優れた振動特性を有する機能デバイス1となる。
【0027】
また、易変形部711aは、ベース基板2の上面2aに垂直な断面視で、接合部材B1との接合部分つまり端子323との接合部分711bの周囲において円弧上に湾曲している。同様に、易変形部721aは、ベース基板2の上面2aに垂直な断面視で、接合部材B2との接合部分つまり端子324との接合部分721bの周囲において円弧上に湾曲している。言い換えると、易変形部711a、721aは、接合部材B1、B2との接合部分711b、721bの周囲において角部を有さない。これにより、弾性変形時の応力集中が緩和され、易変形部711a、721aの機械的強度が増す。そのため、より大きな衝撃にも耐えることができ、優れた耐衝撃性を有する機能デバイス1となる。ただし、易変形部711a、721aの構成は、特に限定されず、角部を有していてもよい。
【0028】
配線層71、72の構成としては、特に限定されないが、例えば、本実施形態では、TiW(チタンタングステン合金)層とCu(銅)層との積層体で構成された下地層に、TiW(チタンタングステン合金)層とAu(金)層との積層体で構成された表層を積層した4層構成となっている。つまり、上面2a側からTiW層、Cu層、TiW層、Au層が順に積層された構成となっている。このような構成によれば、高価なAu層を薄くしたまま、Cu層を厚くすることにより配線層71、72全体を厚くすることができる。そのため、比較的安価に、衝撃印加時の変形にも十分に耐え得る機械的強度を有する配線層71、72を形成することができる。なお、配線層71、72の構成としては、上面2a側からTi層、Cu層、Ti層、Au層が順に積層された構成としてもよい。
【0029】
配線層71、72の厚さとしては、特に限定されないが、例えば、1200nm以上であることが好ましく、1500nm以上であることがより好ましい。これにより、配線層71、72の機械的強度が十分となり、前述した変形にもより確実に耐えることができる。
【0030】
リッド4は、ベース基板2と同様、シリコン基板である。これにより、ベース基板2とリッド4との線膨張係数が等しくなり、熱膨張に起因する熱応力の発生が抑えられ、優れた振動特性を有する機能デバイス1となる。また、機能デバイス1を半導体プロセスによって形成することができるため、機能デバイス1を精度よく製造することができると共に、その小型化を図ることができる。ただし、リッド4としては、特に限定されず、シリコン以外の半導体基板、例えば、Ge、GaP、GaAs、InP等の半導体基板を用いてもよい。
【0031】
図1に示すように、リッド4は、その下面に開口し、内部に振動素子3を収容する有底の凹部41を有する。そして、リッド4は、その下面において接合部材を介してベース基板2の上面に接合されている。これにより、リッド4とベース基板2との間に振動素子3を収容する収容空間Sが形成される。そのため、振動素子3が保護される。収容空間Sは、気密であり、減圧状態、好ましくはより真空に近い状態となっている。これにより、粘性抵抗が減り、振動素子3の発振特性が向上する。ただし、収容空間Sの雰囲気は、特に限定されない。
【0032】
図5に示すように、振動素子3は、素子基板31と、素子基板31の表面に配置された電極と、を有する。素子基板31は、厚みすべり振動モードを有し、本実施形態ではATカット水晶基板から形成されている。ATカット水晶基板は、三次の周波数温度特性を有しているため、優れた温度特性を有する振動素子3となる。また、電極は、素子基板31の上面に配置された励振電極321と、下面に励振電極321と対向して配置された励振電極322と、を有する。また、電極は、素子基板31の下面に配置された第2導電層としての一対の端子323、324と、端子323と励振電極321とを電気的に接続する配線325と、端子324と励振電極322とを電気的に接続する配線326と、を有する。
【0033】
なお、振動素子3の構成は、上述の構成に限定されない。例えば、振動素子3は、励振電極321、322に挟まれた振動領域がその周囲から突出したメサ型となっていてもよいし、逆に、振動領域がその周囲から凹没した逆メサ型となっていてもよい。また、素子基板31の周囲を研削するベベル加工や、上面および下面を凸曲面とするコンベックス加工が施されていてもよい。
【0034】
また、振動素子3としては、厚みすべり振動モードで振動するものに限定されず、例えば、複数の振動腕が面内方向に屈曲振動する振動素子であってもよい。つまり、素子基板31は、ATカット水晶基板から形成されたものに限定されず、ATカット水晶基板以外の水晶基板、例えば、Xカット水晶基板、Yカット水晶基板、Zカット水晶基板、BTカット水晶基板、SCカット水晶基板、STカット水晶基板等から形成されていてもよい。また、本実施形態では、素子基板31が水晶で構成されているが、これに限定されず、例えば、ニオブ酸リチウム、タンタル酸リチウム、四ホウ酸リチウム、ランガライト、ニオブ酸カリウム、リン酸ガリウム等の圧電単結晶体により構成されていてもよいし、これら以外の圧電単結晶体で構成されていてもよい。更にまた、振動素子3は、圧電駆動型の振動素子に限らず、静電気力を用いた静電駆動型の振動素子であってもよい。
【0035】
このような振動素子3は、導電性の接合部材B1、B2によって内部端子711、721に接合されている。接合部材B1は、内部端子711の易変形部711aと端子323とを機械的に接合すると共に電気的に接続する。また、接合部材B2は、内部端子721の易変形部721aと端子324とを機械的に接合すると共に電気的に接続する。これにより、振動素子3がベース基板2に支持されると共に、振動素子3が発振回路6に電気的に接続される。
【0036】
接合部材B1、B2は、金バンプ、銀バンプ、銅バンプ、はんだバンプ等の各種金属バンプである。これにより、接合部材B1、B2からのガスの発生を抑制でき、例えば、ガスに起因した収容空間S内の雰囲気の汚染や圧力変化等による振動素子3の振動特性の変化、悪化を抑制することができる。そのため、信頼性に優れた機能デバイス1となる。また、接合部材B1、B2が濡れ広がらないので、接合部材B1、B2およびこれらの離間距離を小さくすることができ、機能デバイス1の小型化を図ることもできる。ただし、接合部材B1、B2としては、特に限定されず、ポリイミド系、エポキシ系、シリコーン系、アクリル系の各種接着剤に銀フィラー等の導電性フィラーを分散させた導電性接着剤等であってもよい。
【0037】
以上、機能デバイス1の構成について説明した。次に、機能デバイス1の製造方法の一例について説明する。ただし、機能デバイス1の製造方法は、特に限定されない。
【0038】
まず、図6に示すように、下面2b側に発振回路6を有するベース基板2が多数形成されたウエハWを準備する。次に、図7に示すように、フォトリソグラフィー法を用いてベース基板2の上面2aに第1樹脂層511、512を形成する。次に、図8に示すように、スパッタリングを用いてベース基板2に配線層71、72を形成する。次に、図9に示すように、レジストパターンを形成し、内部端子711、721上に金メッキを成長させることで接合部材B1、B2を形成する(ただし、内部端子711および接合部材B1については図示しない。以下同様。)。次に、レジストパターンを除去した後、図10に示すように、ボンディングツールBTで振動素子3を加熱しながら接合部材B1、B2に押し当てて熱圧着し、振動素子3と接合部材B1、B2とを接合する。また、ボンディングツールBTによる加圧によって、第1樹脂層511、512と内部端子711、721との境界に応力を加え、これらの密着性を弱める。つまり、本工程は、振動素子3と接合部材B1、B2との接合と、第1樹脂層511、512と内部端子711、721との密着性の低下と、を実現できる力で行われる。なお、本工程では、さらに超音波を印加してもよい。
【0039】
次に、ベース基板2を加熱する。本実施形態では、例えば270℃程度に加熱する。当該加熱によって、図11に示すように、内部端子711、721が加熱により変形し、内部端子711、721の一部が第1樹脂層511、512から剥がれることで、易変形部711a、721aおよび中空層81、82が形成される。なお、加熱の温度は、本実施形態では270℃程度であるが、これに限られない。具体的には、加熱により内部端子711、721が変形して、中空層81、82が形成されるほどの温度に設定することができる。また、中空層81、82の形成方法としては、上述の方法に限定されず、加熱により第1樹脂層511、512を収縮させて、第1樹脂層511、512の一部が内部端子711、721から剥がれることで、中空層81、82を形成してもよい。
【0040】
次に、図12に示すように、ベース基板2の上面2aにリッド4を接合する。これにより、ウエハW上に多数の機能デバイス1が一体形成される。最後に、図13に示すように、機能デバイス1を個片化する。以上より、機能デバイス1が得られる。このような製造方法によれば、中空層81、82を容易に形成することができる。
【0041】
以上、機能デバイス1について説明した。このような機能デバイス1は、前述したように、表裏関係にある第1面である上面2aおよび第2面である下面2bを有するベース基板2と、上面2aに配置されている第1導電層である内部端子711、721と、ベース基板2の上面2a側に配置されている素子基板31および素子基板31のベース基板2側の面に配置されている第2導電層である端子323、324を備える機能素子である振動素子3と、ベース基板2と内部端子711、721との間および素子基板31と端子323、324との間の少なくとも一方、本実施形態では前者に配置されている中空層81、82と、を有し、ベース基板2の平面視で中空層81、82と重なる位置において、内部端子711、721と端子323、324とが接合されている。このような構成によれば、易変形部711a、721aの変形によって印加された衝撃を効果的に吸収、緩和することができる。したがって、振動素子3に衝撃が伝わり難く、優れた耐衝撃性を有する機能デバイス1となる。
【0042】
また、前述したように、機能デバイス1は、内部端子711、721と端子323、324とを接合している接合部材B1、B2を有する。これにより、内部端子711、721と端子323、324とを容易に接合することができる。
【0043】
また、前述したように、機能デバイス1は、ベース基板2と内部端子711、721との間に配置されている第1樹脂層511、512を有し、第1樹脂層511、512と内部端子711、721との間に中空層81、82が形成されている。これにより、印加された衝撃によって変形した易変形部711a、721aが直下にある第1樹脂層511、512に接触することで、それ以上の過度な変形が抑制される。そのため、易変形部711a、721aの過度な塑性変形、破損等を効果的に抑制することができる。
【0044】
また、前述したように、内部端子711、721の中空層81、82上に位置している部分である易変形部711a、721aは、端子323、324との接合部分の周囲において円弧上に湾曲している。これにより、印加された衝撃による弾性変形時の応力集中が緩和され、易変形部711a、721aの機械的強度が増す。そのため、より大きな衝撃にも耐えることができ、優れた耐衝撃性を有する機能デバイス1となる。
【0045】
また、前述したように、中空層81、82は、ベース基板2と内部端子711、721とによって気密に囲まれた空間内に位置している。これにより、第1樹脂層511、512から発生するガスを内部端子711、721内に閉じ込めることができる。特に、本実施形態の場合には、ガスが収容空間S内に放出されるのを抑制することができ、ガスに起因した収容空間S内の雰囲気の汚染や圧力変化等による振動素子3の振動特性の変化、悪化を抑制することができる。
【0046】
また、前述したように、機能素子は、振動素子3である。これにより、機能デバイス1を振動子として用いることができる。
【0047】
また、前述したように、ベース基板2および素子基板31は、線膨張係数が互いに異なる。これにより、ベース基板2および素子基板31の線膨張係数の差に起因して生じる熱応力についても、易変形部711a、721aの弾性変形によって効果的に吸収、緩和することができる。
【0048】
また、前述したように、機能デバイス1は、ベース基板2の下面2b側に配置され、振動素子3を発振させる発振回路6を有する。これにより、機能デバイス1を発振デバイスとして用いることができる。
【0049】
また、前述したように、機能デバイス1は、ベース基板2に接合され、ベース基板2との間に振動素子3を収容するリッド4を有する。これにより、振動素子3を保護することができる。
【0050】
<第2実施形態>
図14および図15は、それぞれ、第2実施形態に係る機能デバイスを示す断面図である。
【0051】
本実施形態に係る機能デバイス1は、中空層81、82の位置が異なること以外は、前述した第1実施形態の機能デバイス1と同様である。なお、以下の説明では、本実施形態の機能デバイス1に関し、前述した第1実施形態との相違点を中心に説明し、同様の事項に関してはその説明を省略する。また、本実施形態の各図では、前述した実施形態と同様の構成について、同一符号を付している。
【0052】
図14および図15に示すように、本実施形態の機能デバイス1では、中空層81がベース基板2と第1樹脂層511との間に配置され、中空層82がベース基板2と第1樹脂層512との間に配置されている。このような構成では、内部端子711と第1樹脂層511との積層体および内部端子721と第1樹脂層512との積層体が弾性することにより、パッケージPに印加された衝撃が吸収、緩和される。そのため、前述した第1実施形態と同様、振動素子3に衝撃が伝わり難く、優れた耐衝撃性を有する機能デバイス1となる。特に、易変形部711a、721aが第1樹脂層511、512で補強されるため、前述した第1実施形態と比べて易変形部711a、721aの機械的強度が増す。
【0053】
以上のような機能デバイス1は、前述したように、ベース基板2と内部端子711、721との間に配置されている第1樹脂層511、512を有し、第1樹脂層511、512とベース基板2との間に中空層81、82が形成されている。このような構成では、内部端子711と第1樹脂層511との積層体および内部端子721と第1樹脂層512との積層体が弾性することにより、印加された衝撃が吸収、緩和される。そのため、前述した第1実施形態と同様、振動素子3に衝撃が伝わり難く、優れた耐衝撃性を有する機能デバイス1となる。
【0054】
このような第2実施形態によっても、前述した第1実施形態と同様の効果を発揮することができる。
【0055】
<第3実施形態>
図16は、第3実施形態に係る機能デバイスを示す断面図である。図17および図18は、それぞれ、振動素子が有する端子の断面図である。
【0056】
本実施形態に係る機能デバイス1は、中空層81、82の位置が異なること以外は、前述した第1実施形態の機能デバイス1と同様である。なお、以下の説明では、本実施形態の機能デバイス1に関し、前述した第1実施形態との相違点を中心に説明し、同様の事項に関してはその説明を省略する。また、本実施形態の各図では、前述した実施形態と同様の構成について、同一符号を付している。
【0057】
図16に示すように、本実施形態の機能デバイス1では、ベース基板2上から第1樹脂層511、512および中空層81、82が省略され、その代わりに、振動素子3上に第2樹脂層521、522および中空層81、82が配置されている。以下、本実施形態の構成について具体的に説明する。
【0058】
図17および図18に示すように、素子基板31の下面には、第2樹脂層521、522が配置されている。これら第2樹脂層521、522は、平面視で、内部端子711、721と重なるように配置されている。第2樹脂層521、522の構成としては、特に限定されないが、例えば、前述した第1実施形態の第1樹脂層511、512と同様の構成とすることができる。これにより、第1樹脂層511、512と同様の効果を発揮することができる。
【0059】
また、端子323は、第2樹脂層521の表面全域を覆い、端子324は、第2樹脂層522の表面全域を覆っている。つまり、中空層81、82は、素子基板31と端子323、324とによって気密に囲まれた空間内に位置している。そのため、第2樹脂層521、522から発生するガスを端子323、324内に閉じ込めることができ、ガスが収容空間S内に放出されるのを抑制することができる。そのため、例えば、ガスに起因した収容空間S内の雰囲気の汚染や圧力変化等による振動素子3の振動特性の変化、悪化を抑制することができる。そのため、信頼性に優れた機能デバイス1となる。
【0060】
また、端子323と第2樹脂層521との間には中空層81が形成され、端子324と第2樹脂層522との間には中空層82が形成されている。そして、端子323は、平面視で中空層81と重なる部分である易変形部323aにおいて接合部材B1を介して内部端子711と接合され、端子324は、平面視で中空層82と重なる部分である易変形部324aにおいて接合部材B2を介して内部端子721と接合されている。
【0061】
このような構成によれば、易変形部323a、324aが変形することで、パッケージPに印加された衝撃を効果的に吸収、緩和することができる。したがって、振動素子3に衝撃が伝わり難く、優れた耐衝撃性を有する機能デバイス1となる。特に、中空層81、82が第2樹脂層521、522からのアウトガスによって満たされることでダンパーとして機能し、易変形部323a、324aが弾性変形することで、衝撃によって生じた振動素子3全体を揺らす不要振動をより短い時間で収束させることもできる。そのため、機能デバイス1の振動特性がより安定する。また、変形した易変形部323a、324aが直上にある第2樹脂層521、522に接触することにより、それ以上の過度な変形が抑制され、易変形部323a、324aの過度な塑性変形、破損等を効果的に抑制することもできる。
【0062】
また、易変形部323aは、ベース基板2の上面2aに垂直な断面視で、接合部材B1との接合部分つまり内部端子711との接合部分323bの周囲において円弧上に湾曲している。同様に、易変形部324aは、ベース基板2の上面2aに垂直な断面視で、接合部材B2との接合部分つまり内部端子721との接合部分324bの周囲において円弧上に湾曲している。言い換えると、易変形部323a、324aは、接合部材B1、B2との接合部分の周囲において角部を有さない。これにより、弾性変形時の応力集中が緩和され、易変形部323a、324aの機械的強度が増す。そのため、より大きな衝撃にも耐えることができ、優れた耐衝撃性を有する機能デバイス1となる。ただし、易変形部323a、324aの構成は、特に限定されず、角部を有していてもよい。
【0063】
なお、端子323、324の構成としては、特に限定されないが、例えば、前述した第1実施形態の配線層71、72と同様の構成とすることができる。これにより、比較的安価に、かつ、衝撃時の変形にも十分に耐え得る機械的強度を有する端子323、324を形成することができる。
【0064】
以上のような機能デバイス1は、前述したように、素子基板31と第2導電層である端子323、324との間に配置されている第2樹脂層521、522を有し、第2樹脂層521、522と端子323、324との間に中空層81、82が形成されている。これにより、印加された衝撃によって変形した易変形部323a、324aが直上にある第2樹脂層521、522に接触することで、それ以上の過度な変形が抑制される。そのため、易変形部323a、324aの過度な塑性変形、破損等を効果的に抑制することができる。
【0065】
また、前述したように、端子323、324の中空層81、82上に位置している部分である易変形部323a、324aは、内部端子711、721との接合部分323b、324bの周囲において円弧上に湾曲している。これにより、印加された衝撃による弾性変形時の応力集中が緩和され、易変形部323a、324aの機械的強度が増す。そのため、より大きな衝撃にも耐えることができ、優れた耐衝撃性を有する機能デバイス1となる。
【0066】
また、前述したように、中空層81、82は、素子基板31と端子323、324とによって気密に囲まれた空間内に位置している。これにより、第2樹脂層521、522から発生するガスを端子323、324内に閉じ込めることができる。特に、本実施形態の場合には、ガスが収容空間S内に放出されるのを抑制することができ、ガスに起因した収容空間S内の雰囲気の汚染や圧力変化等による振動素子3の振動特性の変化、悪化を抑制することができる。
【0067】
このような第3実施形態によっても、前述した第1実施形態と同様の効果を発揮することができる。
【0068】
<第4実施形態>
図19および図20は、それぞれ、第4実施形態に係る機能デバイスを示す断面図である。
【0069】
本実施形態に係る機能デバイス1は、中空層81、82の位置が異なること以外は、前述した第3実施形態の機能デバイス1と同様である。なお、以下の説明では、本実施形態の機能デバイス1に関し、前述した第3実施形態との相違点を中心に説明し、同様の事項に関してはその説明を省略する。また、本実施形態の各図では、前述した実施形態と同様の構成について、同一符号を付している。
【0070】
図19および図20に示すように、本実施形態の機能デバイス1では、中空層81が素子基板31と第2樹脂層521との間に配置され、中空層82が素子基板31と第2樹脂層522との間に配置されている。このような構成では、端子323と第2樹脂層521との積層体および端子324と第2樹脂層522との積層体が弾性することにより、パッケージPに印加された衝撃が吸収、緩和される。そのため、前述した第3実施形態と同様、振動素子3に衝撃が伝わり難く、優れた耐衝撃性を有する機能デバイス1となる。特に、易変形部323a、324aが第2樹脂層521、522で補強されるため、前述した第3実施形態と比べて易変形部323a、324aの機械的強度が増す。
【0071】
以上のような機能デバイス1は、前述したように、素子基板31と端子323、324との間に配置されている第2樹脂層521、522を有し、第2樹脂層521、522と素子基板31との間に中空層81、82が形成されている。このような構成では、端子323と第2樹脂層521との積層体および端子324と第2樹脂層522との積層体が弾性することにより、印加された衝撃が吸収、緩和される。そのため、前述した第3実施形態と同様、振動素子3に衝撃が伝わり難く、優れた耐衝撃性を有する機能デバイス1となる。
【0072】
このような第4実施形態によっても、前述した第1実施形態と同様の効果を発揮することができる。
【0073】
<第5実施形態>
図21および図22は、それぞれ、第5実施形態に係る機能デバイスを示す断面図である。
【0074】
本実施形態に係る機能デバイス1は、中空層81、82の位置が異なること以外は、前述した第1実施形態の機能デバイス1と同様である。なお、以下の説明では、本実施形態の機能デバイス1に関し、前述した第1実施形態との相違点を中心に説明し、同様の事項に関してはその説明を省略する。また、本実施形態の各図では、前述した実施形態と同様の構成について、同一符号を付している。
【0075】
本実施形態の機能デバイス1は、前述した第1実施形態と第3実施形態とを組み合わせた構成である。つまり、機能デバイス1は、図21および図22に示すように、ベース基板2側および振動素子3側の両方に中空層81、82を有する。そのため、内部端子711、721の易変形部711a、721aと端子323、324の易変形部323a、324aとの変形によって、印加された衝撃を効果的に吸収、緩和することができる。したがって、振動素子3に衝撃が伝わり難く、優れた耐衝撃性を有する機能デバイス1となる。
【0076】
このような第5実施形態によっても、前述した第1実施形態と同様の効果を発揮することができる。
【0077】
<第6実施形態>
図23は、第6実施形態に係る機能デバイスを示す断面図である。
【0078】
本実施形態に係る機能デバイス1は、発振回路6の配置が異なること以外は、前述した第1実施形態の機能デバイス1と同様である。なお、以下の説明では、本実施形態の機能デバイス1に関し、前述した第1実施形態との相違点を中心に説明し、同様の事項に関してはその説明を省略する。また、本実施形態の図では、前述した実施形態と同様の構成について、同一符号を付している。
【0079】
本実施形態の機能デバイス1では、ベース基板2の上面2a側に発振回路6が形成されている。このように、ベース基板2の上面2a側に発振回路6を形成することで、発振回路6がパッケージP内に収容され、保護される。また、端子層65は、発振回路6を振動素子3と接続するための第1導電層としての2つの内部端子652、653を有する。そして、内部端子653が第1樹脂層512を覆い、内部端子653と第1樹脂層512との間に中空層82が配置されている。図示しないが、これと同様に、内部端子652が第1樹脂層511を覆い、内部端子652と第1樹脂層511との間に中空層81が配置されている。
【0080】
また、配線層71は、ベース基板2の下面2b側から貫通孔H1内を通って電極パッド621と電気的に接続されており、配線層72は、ベース基板2の下面2b側から貫通孔H2内を通って電極パッド622と電気的に接続されている。このような配線層71、72によって発振回路6から外部に配線が引き出される。
【0081】
以上のように、本実施形態の機能デバイス1は、ベース基板2の上面2a側に配置され、振動素子3を発振させる発振回路6を有する。これにより、機能デバイス1を発振デバイスとして用いることができる。
【0082】
以上のような第6実施形態によっても、前述した第1実施形態と同様の効果を発揮することができる。
【0083】
以上、本発明の機能デバイスを図示の実施形態に基づいて説明したが、本発明は、これに限定されない。各部の構成は、同様の機能を有する任意の構成のものに置換することができる。また、本発明に他の任意の構成物が付加されていてもよい。また、本発明は、前記各実施形態のうちの、任意の2以上の構成を組み合わせたものであってもよい。
【0084】
また、前述した実施形態では、機能デバイス1を発振デバイスに適用した例について説明したが、機能デバイス1の適用例は、特に限定されず、例えば、角速度センサー、加速度センサー等の物理量センサー等、如何なる機器にも適用することができる。
【0085】
また、前述した実施形態では、パッケージPがシリコン製のベース基板2と、シリコン製のリッド4と、で構成されているが、パッケージPの構成は、特に限定されない。例えば、セラミックス製のベース基板と、金属製のリッドと、で構成されていてもよい。また、前述した実施形態では、ベース基板2に発振回路6が形成されているが、発振回路6は、省略してもよい。
【符号の説明】
【0086】
1…機能デバイス、2…ベース基板、2a…上面、2b…下面、20…絶縁層、21…貫通孔、22…貫通孔、3…振動素子、31…素子基板、321…励振電極、322…励振電極、323…端子、323a…易変形部、323b…接合部分、324…端子、324a…易変形部、324b…接合部分、325…配線、326…配線、4…リッド、41…凹部、511…第1樹脂層、512…第1樹脂層、521…第2樹脂層、522…第2樹脂層、6…発振回路、60…素子、61…絶縁層、611…貫通孔、612…貫通孔、62…配線層、621…電極パッド、622…電極パッド、63…絶縁層、64…パッシベーション膜、65…端子層、651…外部端子、652…内部端子、653…内部端子、71…配線層、711…内部端子、711a…易変形部、711b…接合部分、72…配線層、721…内部端子、721a…易変形部、721b…接合部分、81…中空層、82…中空層、B1…接合部材、B2…接合部材、BT…ボンディングツール、H1…貫通孔、H2…貫通孔、P…パッケージ、S…収容空間、W…ウエハ
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19
図20
図21
図22
図23