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特開2024-170122腹膜透析装置、腹膜透析ユニット、および、腹膜透析治療システム
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  • 特開-腹膜透析装置、腹膜透析ユニット、および、腹膜透析治療システム 図1
  • 特開-腹膜透析装置、腹膜透析ユニット、および、腹膜透析治療システム 図2
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024170122
(43)【公開日】2024-12-06
(54)【発明の名称】腹膜透析装置、腹膜透析ユニット、および、腹膜透析治療システム
(51)【国際特許分類】
   A61M 1/14 20060101AFI20241129BHJP
   A61M 1/28 20060101ALI20241129BHJP
   G16H 20/40 20180101ALI20241129BHJP
【FI】
A61M1/14 100
A61M1/28 130
G16H20/40
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023087109
(22)【出願日】2023-05-26
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用申請有り 日本医工学治療学会第39回学術大会 開催日:令和5年5月13日
(71)【出願人】
【識別番号】000153030
【氏名又は名称】株式会社ジェイ・エム・エス
(74)【代理人】
【識別番号】110000040
【氏名又は名称】弁理士法人池内アンドパートナーズ
(72)【発明者】
【氏名】森田 祐卓
【テーマコード(参考)】
4C077
5L099
【Fターム(参考)】
4C077AA06
4C077BB01
4C077JJ24
4C077KK25
5L099AA00
(57)【要約】
【課題】腹膜透析装置を患者の寝室内に配置した場合など、腹膜透析装置の配置場所における通信環境に左右されることなく安定した情報通信を行うことが可能な、腹膜透析装置、腹膜透析ユニット、および、腹膜透析システムを提供すること。
【解決手段】上記課題を解決するため、本願で開示する腹膜透析装置10は、透析患者に対して、透析液を注液、貯留、排液する工程を有する腹膜透析を実施する腹膜透析装置10であって、実施した腹膜透析結果データを集約して外部の機器に送信することができる形式に変更、保持し、情報伝達ケーブル21を介して有線接続された通信装置20に送信可能である。また、本願で開示する腹膜透析ユニット30は、本願で開示する腹膜透析装置10と、前記腹膜透析装置10と前記情報伝達ケーブル21で接続された通信装置20とを備え、前記通信装置20のデータ送受信部を介してインターネット環境に、前記結果データを送信可能である。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
透析患者に対して、透析液を注液、貯留、排液する工程を有する腹膜透析を実施する腹膜透析装置であって、
実施した腹膜透析結果データを集約して外部の機器に送信することができる形式に変更、保持し、
情報伝達ケーブルを介して有線接続された通信装置に送信可能であることを特徴とする、腹膜透析装置。
【請求項2】
前記腹膜透析の条件を定めた腹膜透析プログラムを、前記情報伝達ケーブルを介して受信可能である、請求項1に記載の腹膜透析装置。
【請求項3】
請求項1に記載された腹膜透析装置と、前記腹膜透析装置と前記情報伝達ケーブルで接続された通信装置とを備え、
前記通信装置のデータ送受信部を介してインターネット環境に、前記結果データを送信可能であることを特徴とする、腹膜透析ユニット。
【請求項4】
前記インターネット環境から、前記腹膜透析の条件を定めた腹膜透析プログラムを受信可能な、請求項3に記載の腹膜透析ユニット。
【請求項5】
前記透析患者の生体情報を測定可能な測定装置を含む、請求項3に記載の腹膜透析ユニット。
【請求項6】
請求項3に記載の腹膜透析ユニットと、インターネット環境上に配置されたクラウドサーバと、前記クラウドサーバとインターネット環境を介して接続された情報端末とを含むことを特徴とする、腹膜透析システム。
【請求項7】
前記情報端末が、前記透析患者の担当医が使用する医師端末である、請求項6に記載の腹膜透析システム。
【請求項8】
前記情報端末が、前記腹膜透析システム全体の管理を行う管理者が使用する管理端末である、請求項6に記載の腹膜透析システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願は、透析を必要とする腎臓病患者が、在宅で就寝中に腹膜透析を行うことができる腹膜透析装置、この腹膜透析装置と腹膜透析装置をインターネット環境に接続して外部とのデータの送受信を可能とする通信装置とを含んだ腹膜透析ユニット、さらに、腹膜透析ユニットと、インターネット環境上に配置されたサーバと、インターネット環境を介して腹膜透析ユニットやサーバと接続される医療機関などの外部の機関の情報端末とを含めた腹膜透析システムに関する。
【背景技術】
【0002】
透析が必要な患者の負担を軽減することができる血液浄化療法の1つとして、患者の腹腔内に透析液を注入し、所定時間経過後に注入した透析液を排出することで、血液中に含まれる老廃物等を体外に排出する腹膜透析が行われている。腹膜透析を行う透析装置として、特に、患者が就寝中に、必要に応じた量の透析液を用いて複数回の腹膜透析を行うことができる(自動)腹膜透析装置(APD装置:Automatic Peritoneal Dialysis装置)の普及が進んでいる。
【0003】
近年のデータ通信技術や情報通信網の進展に伴って、患者の自宅に配置された腹膜透析装置と担当医が勤務する医療機関との間をインターネット環境を介して繋ぐことで、実施された腹膜透析の結果や患者から取得された体重、血圧、体温などの各種の生体情報、医師が作成した腹膜透析プログラムなどの必要な情報を互いに送受信することができる腹膜透析支援システムが知られている(特許文献1参照)。
【0004】
特許文献1に記載された腹膜透析支援システムでは、腹膜透析装置と、体重計、血圧計などの周辺機器と、これらの機器全体を制御する端末機などから構成された患者サイトが、腹膜透析装置、または、端末機に設けられたデータの送受信を行う外部通信部によってインターネット環境である情報通信ネットワークに接続される。患者サイトは、情報通信ネットワークを介して腹膜透析支援システム全体の情報管理やデータ記憶等を行うサーバサイトや、患者の担当医が勤務する病院等の情報システムである医療サイト、医療機器メーカーや医薬品メーカーの情報システムである支援サイトと接続されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2003- 47657号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上記従来の腹膜透析支援システムでは、情報通信ネットワークを介して患者サイトと医療サイトとが繋がることで、腹膜透析の結果を示すデータや患者の生体情報を患者が医療機関まで持参して伝達する必要がなくなる。また、医療サイトの医師がオンタイムで腹膜透析結果データを確認することができ、必要に応じて腹膜透析プログラムを変更し、変更された腹膜透析プログラムを情報通信ネットワークを介して患者サイトの端末機に送信することでき、患者サイトでは、腹膜透析装置で直ちに新しい腹膜透析プログラムを実行することが可能となる。また、例えば腹膜透析プログラムの変更などによって患者の自宅に保管されている透析液が当初の想定よりも早く無くなりそうな場合には、製薬メーカーは支援サイトからその情報を入手して追加の透析液が届けられるように手配することができる。
【0007】
患者の負担を軽減する上では患者の就寝中に腹膜透析が行われることが好ましいが、上記従来の腹膜透析支援システムでは、腹膜透析装置をはじめ体重計などの生体情報取得機器やサイトの動作を管理しデータを記憶する端末機などの多数の機器が接続された患者サイトを構成していて、患者サイトを設置するためには患者の寝室に大きなスペースが必要となる。また、患者の寝室の電波状態などの通信環境によっては、患者サイトとインターネット環境との接続が確実に行えない場合も考えられる。
【0008】
本願は、上記従来技術の有する課題を解決することを目的とするものであり、腹膜透析装置を患者の寝室内に配置した場合など、腹膜透析装置の配置場所における通信環境に左右されることなく安定した情報通信を行うことが可能な、腹膜透析装置、腹膜透析ユニット、および、腹膜透析システムを提供することを目的とする[課題をシンプルにしました]。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を解決するため、本願で開示する腹膜透析装置は、透析患者に対して、透析液を注液、貯留、排液する工程を有する腹膜透析を実施する腹膜透析装置であって、実施した腹膜透析結果データを集約して外部の機器に送信することができる形式に変更、保持し、情報伝達ケーブルを介して有線接続された通信装置に送信可能であることを特徴とする。
【0010】
また、本願で開示する腹膜透析ユニットは、本願で開示する腹膜透析装置と、前記腹膜透析装置と前記情報伝達ケーブルで接続された通信装置とを備え、前記通信装置のデータ送受信部を介してインターネット環境に、前記結果データを送信可能であることを特徴とする。
【0011】
さらに、本願で開示する腹膜透析システムは、本願で開示する腹膜透析ユニットと、インターネット環境上に配置されたクラウドサーバと、前記クラウドサーバとインターネット環境を介して接続された情報端末とを含むことを特徴とする。
【発明の効果】
【0012】
上記構成により、本願で開示する腹膜透析装置は、透析患者が腹膜透析を行う場所の通信環境に関わらず、安定して外部の機器とのデータ通信を行うことができる。
【0013】
また、本願で開示する腹膜透析ユニットは、腹膜透析装置と腹膜透析装置と有線接続された通信装置とを備え、通信装置によってインターネット環境へのデータの送受信が可能であり、腹膜透析装置の配置の選択肢が増える。
【0014】
さらに、本願で開示する腹膜透析システムは、腹膜透析のデータの処理と保存とを行うクラウドサーバと、患者宅に配置された腹膜透析ユニット、さらに、医師や管理者が使用する情報端末とを、インターネット環境を介して接続することができ、それぞれの間での情報通信を迅速、かつ、確実に行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1図1は、実施形態として説明する腹膜透析システムの全体構成を示すイメージ図である。
図2図2は、実施形態として説明する腹膜透析装置の外観を示す斜視図である。
図3図3は、腹膜透析装置によって行われる腹膜透析の工程を示すイメージ図である。
図4図4は、本実施形態で説明する腹膜透析システムにおける、腹膜透析ユニットからクラウドサーバへのデータ送信の動作を説明するフローチャートである。
図5図5は、本実施形態で説明する腹膜透析システムにおける、クラウドサーバのデータを情報端末で確認、処理する際の動作を説明するフローチャートである。
図6図6は、本実施形態で説明する腹膜透析システムにおける、クラウドサーバから腹膜透析ユニットへのデータ送信における動作を説明するフローチャートである
【発明を実施するための形態】
【0016】
本願で開示する腹膜透析装置は、透析患者に対して、透析液を注液、貯留、排液する工程を有する腹膜透析を実施する腹膜透析装置であって、実施した腹膜透析結果データを集約して外部の機器に送信することができる形式に変更、保持し、情報伝達ケーブルを介して有線接続された通信装置に送信可能である。
【0017】
このように構成することで、本願で開示する腹膜透析装置は、腹膜透析装置が配置されている場所の通信環境に左右されることなく、腹膜透析の結果データを外部に伝達することができる。
【0018】
上記構成の腹膜透析装置において、前記腹膜透析の条件を定めた腹膜透析プログラムを、前記情報伝達ケーブルを介して受信可能とすることが好ましい。このようにすることで、腹膜透析装置が配置されている場所の通信環境に関わらず、必要な腹膜透析プログラムを取得することができる。
【0019】
本願で開示する腹膜透析ユニットは、本願で開示する腹膜透析装置と、前記腹膜透析装置と前記情報伝達ケーブルで接続された通信装置とを備え、前記通信装置のデータ送受信部を介してインターネット環境に、前記結果データを送信可能である。
【0020】
このようにすることで、本願で開示する腹膜透析ユニットは、腹膜透析装置の配置場所の通信環境に関わらず、通信装置を介してインターネット環境上に配置された外部機器へのデータ送信を確実に行うことができる。
【0021】
上記構成の腹膜透析装置において、前記インターネット環境から、前記腹膜透析の条件を定めた腹膜透析プログラムを受信可能とすることが好ましい。このようにすることで、腹膜透析装置が配置されている場所の通信環境に関わらず、通信装置を介して必要な腹膜透析プログラムをインターネット環境から取得することができる。
【0022】
なお、腹膜透析ユニットに、前記透析患者の生体情報を測定可能な測定装置を含むことができる。
【0023】
本願で開示する腹膜透析システムは、本願で開示する腹膜透析ユニットと、インターネット環境上に配置されたクラウドサーバと、前記クラウドサーバとインターネット環境を介して接続された情報端末とを含む。
【0024】
このようにすることで、本願で開示する腹膜透析システムは、腹膜透析装置で得られた腹膜透析結果データを、通信装置を介してクラウドサーバが確実に取得することができ、さらに、そのデータを腹膜透析システム内の情報端末で共有することができる。
【0025】
上記構成の腹膜透析システムにおいて、前記情報端末が、前記透析患者の担当医が使用する医師端末であること、また、前記情報端末が、前記腹膜透析システム全体の管理を行う管理者が使用する管理端末であることが好ましい。このようにすることで、透析患者の担当医による透析データの管理や、システムの管理者による腹膜透析システム全体の管理を迅速、かつ、確実に行うことができる。
【0026】
以下、本願で開示する腹膜透析装置、腹膜透析ユニット、腹膜透析システムについて、図面を用いて説明する。
【0027】
(実施の形態)
<腹膜透析システム>
図1は、本実施形態で例示する腹膜透析システムの全体構成を示すイメージ図である。
【0028】
図1に示すように、本実施形態で示す腹膜透析システム100は、患者に腹膜透析を行う(自動)腹膜透析装置10と、腹膜透析装置10と有線接続されて腹膜透析装置10をインターネット環境に接続してデータの送受信を行うための通信装置20とを含む腹膜透析ユニット30と、インターネット環境上に配置されたクラウドサーバ40と、インターネット環境を介して腹膜透析ユニット30やクラウドサーバ40との間での情報通信が可能な医師端末50と、インターネット環境を介してクラウドサーバ40に接続してクラウドサーバ40や腹膜透析ユニット30との間でのデータ通信が可能であり、クラウドサーバ40のデータ管理や腹膜透析システム100全体の制御や管理などを行う管理端末60とを有している。
【0029】
また、図1に示すように本実施形態で開示する腹膜透析システム100では、腹膜透析装置10の周辺機器として、患者の生体情報を測定する測定装置である体重計31、血圧計32、体温計33が腹膜透析ユニット30に含まれている。これら体重計31、血圧計32、体温計33は、ブルートゥース(Bluetooth:登録商標(以下この注記は省略する))などの短距離無線通信手段を用いてそれぞれが腹膜透析装置10と接続され、各測定装置(31、32、33)で測定された患者の生体情報(体重、血圧、体温)は、腹膜透析装置10に集約されて記録されている。
【0030】
また、本実施形態で説明する腹膜透析システム100は、患者の個人データを共有して相互にデータ通信を行うものであるため、腹膜透析ユニット30、クラウドサーバ40、医師端末50、管理端末60相互間のインターネット環境を介してのデータ通信は、データを暗号化する暗号化通信技術が適用されている。
【0031】
以下、本実施形態にかかる腹膜透析システム100を構成する各機器について、順次説明する。
【0032】
<腹膜透析装置>
図2は、本実施形態にかかる腹膜透析システムで用いられる腹膜透析装置の外観を示す斜視図である。また、図3は、腹膜透析装置で行われる腹膜透析の工程を説明するためのイメージ図である。
【0033】
図2に示すように、本実施形態で説明する腹膜透析装置10は、比較的薄型の略直方体形状の本体部11と、本体部11の右側後端部分に配置された操作パネル12、操作パネル12の前方、すなわち、本体部11の右側上面に形成された回路装着部13、回路装着部13と操作パネル12との間に配置されたプリンタ14、本体部11の左側上面に形成された加温部15を有している。
【0034】
腹膜透析装置10の本体部11は、一例として幅約60cm、奥行き約50cm、高さが前面側約20cm、後面側約25cmの全体として略直方体形状で、その上面11aは手前側が低く奥側が高い傾斜面となっていて、上面11aの左側に形成された加温部15に加温用透析液バッグ(図2では図示省略)を載置しやすいようになっている。
【0035】
図示は省略するが、本体部11の内部には、腹膜透析装置10の動作を制御する制御部、制御部を動作させるプログラムや、腹膜透析関連のデータ、後述する体重計31、血圧計32、体温計33などの測定装置から取得した患者の生体情報などを記憶する記憶部、操作パネルに必要な情報を表示するための画像表示部、タッチパネルとして機能する操作パネルによって入力された情報を検出する入力回路部、腹膜透析装置10を動作させる電源部などが収容されている。なお、本実施形態で説明する腹膜透析装置10は、停電などの電源喪失時に治療を安全に終了させるための予備電源としてバッテリーを内蔵しているが、設置場所の選択肢を増やすことを目的として、一連の動作を完結できる容量のバッテリーを備えていてもよい。
【0036】
操作パネル12は、タッチパネル部12aが支持部12bによって本体部11と接続され、タッチパネル部12aの本体部11に対しての回転とパネル面の傾斜とが可能となっていて、操作パネル12を患者が見やすい向きと角度に設定することができる。操作パネル12のタッチパネル部12aには、腹膜透析装置10の操作手順や動作状況、腹膜透析プログラムの進捗状況、体重計31等の測定装置により測定された患者の生体情報の測定値など、腹膜透析装置10が取得している各種情報が表示される。また、操作パネル12のタッチパネル部12aには、腹膜透析を開始して良いか否かや、後述するように医師が腹膜透析プログラムを変更することを提案した場合に患者が同意するか否かなど、患者の意思を確認するためのボタンが表示されて、患者が画面上に表示されたボタンをタッチすることで、腹膜透析装置10を操作することができる。
【0037】
操作パネル12のタッチパネル部12aの下方には、腹膜透析装置10の電源ボタン12cと、腹膜透析装置10の動作状況を表示する運転ランプ12d、腹膜透析装置10を動作させる動作電源である内蔵バッテリー(図示省略)の充電状態を点灯または点滅速度によって表示する充電ランプ12eとが配置されている。
【0038】
回路装着部13は、図2に示された蓋部13aの中に配置された図2での図示を省略するカセット装着部と流路開閉機構とを有している。
【0039】
図3に示すように、腹膜透析装置10での腹膜透析では、透析液が入った複数の透析液バッグ16と濃度変更用透析液バッグ17内の透析液を、都度、腹膜透析装置10の加温部(15)上に載置した加温用透析バッグ18内で加温して、APD回路を患者80の腹部に取り付けられたカテーテル81と接続することで、腹膜透析装置10の本体11内に配置されたダイヤフラムポンプ等を用いて患者80の腹腔内に注入する(注液)。一定時間の貯留が終了した後、APD回路で患者80のカテーテル81を排液バッグ19に接続して、患者の腹腔内から透析液を排出する(排液)という動作(透析工程)が数回繰り返される。
【0040】
本実施形態で説明する腹膜透析装置10では、回路装着部13内に配置されたAPD回路と流路開閉機構とによって、設定された腹膜透析プログラムに従ってそれぞれの透析液バッグに接続されたチューブの開閉を制御することで、腹膜透析が自動的に行われる。
【0041】
なお、図示は省略するが、排液バッグ19の重量から排液量を計測する排液計量器をオプションとして備えることができ、排液計量器で測定された排液量の情報は腹膜透析装置10に伝達される。
【0042】
プリンタ14は、内部に収納された記録紙に透析液の使用量や注液時間、貯留時間、排液時間、注入回数などの腹膜透析治療の結果データや、治療中にアラームが動作した場合の警報履歴などを印字して、患者やその家族などの付き添い者が腹膜透析治療の状況を把握することができるようにする。
【0043】
加温部15は、加温用透析バッグ(18)を載置する部分で、本体部11の内部に配置された図示しないヒータと温度センサによって、患者の体内に注入される透析液の温度を体温相当の約37℃に保つことができる。
【0044】
<腹膜透析ユニット>
本実施形態にかかる腹膜透析システム100では、上述した腹膜透析装置10と、腹膜透析装置10をインターネット環境に接続して外部とのデータの送受信を行うための通信装置20、さらに、患者の生体情報を測定する周辺機器としての、体重計31、血圧計32、体温計33とが、腹膜透析装置ユニット30を構成する。
【0045】
通信装置20は、腹膜透析装置10とは別体の機器であり、図示は省略するが、インターネット環境に対してデータの送信が可能な送信部と、インターネット環境からデータを受信可能な受信部、通信装置20の動作を制御する制御部、制御部を動作させるためのプログラムや、必要に応じて、送信データと受信データとを記憶できる記憶部とを備えている。
【0046】
また、本実施形態にかかる腹膜透析システム100の通信装置20は、インターネット環境に接続する通信手段としてLTE(Long Term Evolution)を用いていて、LTEの複数の主要キャリアを利用することでインターネット環境に配置されているクラウドサーバとの通信が行われる。なお、通信装置20の本体内に通信アンテナや送信部回路、受信部回路が配置される形態の他にも、パソコンなどをインターネット環境に容易に接続できる市販の送受信ユニットを通信装置20の端子に接続して用いることでインターネット環境とのデータの送受信を可能とする形態も採用することができる。
【0047】
通信装置20は、腹膜透析装置10とUSBケーブル21などの情報伝達ケーブルで接続されていて、腹膜透析装置10から腹膜透析結果や、体重計31などの周辺機器によって測定されて腹膜透析装置10に送られた患者の生体情報などの、腹膜透析治療の関連データを受け取って、送信部からインターネット環境のクラウドサーバへと送信する。また、後述するように、医療機関の医師端末50から変更された腹膜透析プログラムがクラウドサーバ40に送信された場合には、インターネット環境を介してこれを受信し、USBケーブル21を用いて腹膜透析装置10に伝達する。
【0048】
本実施形態の腹膜透析システム100では、腹膜透析装置10とインターネット環境に配置されたクラウドサーバとのデータ通信のための送受信部を腹膜透析装置10自体には設けずに、腹膜透析装置10と有線接続された別体の通信装置20を用いている。このようにすることで、患者が普段就寝している環境に腹膜透析装置10を配置することで、患者がよりリラックスした状態での腹膜透析治療の実施を可能とするとともに、腹膜透析装置10とインターネット環境とのデータ通信に適した場所に通信装置20を配置して、腹膜透析装置10とインターネット環境との接続を確実に行うことができる。
【0049】
このため、例えば患者が就寝するベッドの近くにはデータ通信のための電波が届きにくい場合には、通信装置20を電波環境が良い場所に配置することで、安定して腹膜透析装置10とインターネット環境との接続を確保することができる。また、特に、通信装置20とインターネット環境との接続にLTEを利用することで、患者がいる環境でブロードバンドによるデータ通信ができない場合でも、通信装置20をLTEの電波が届く位置に配置することによって、腹膜透析装置10とインターネット環境との接続を実現することができる。特に、情報伝達ケーブルとして接続部の形状が規格で定められているUSBケーブル21を用いることで、腹膜透析装置10と通信装置20との距離に応じた長さのUSBケーブル21を使用して、腹膜透析装置10と通信装置20とを接続することができる。
【0050】
本実施形態にかかる腹膜透析システム100では、体重計31、血圧計32、体温計33が腹膜透析ユニット30に含まれている。体重計31、血圧計32、体温計33は、いずれも腹膜透析装置10とブルートゥース規格での情報通信を行うことができ、それぞれで取得された患者の生体情報を自動的に腹膜透析装置10に送信することができる。
【0051】
なお、体重計31、血圧計32、体温計33などの測定装置から腹膜透析装置10への間のデータ送信は、赤外線通信やNFCなどのブルートゥース規格以外の短距離無線通信手段を用いて行うことができる。また、ケーブルの設置が煩雑でなく、患者の就寝環境に大きな悪影響を与えない場合には、測定装置と腹膜透析装置10との間を有線で接続することや、測定装置により得られた患者の生体情報を腹膜透析装置10に直接入力することも可能である。
【0052】
なお、上述した体重、血圧、体温以外の患者の生体情報である血糖値や脈拍、SpO2(酸素飽和度)などを測定する装置を、腹膜透析装置10の周辺機器として腹膜透析ユニット30に加えることができる。
【0053】
<腹膜透析システムの構成部材>
クラウドサーバ40は、インターネット環境上に配置されたデータ処理とデータ保存等を行うコンピュータであり、本システム専用の装置として配置することができるとともに、商用のクラウドコンピューティングサービスを利用して実現することも可能である。
【0054】
クラウドサーバ40は、腹膜透析装置10により作成された、透析液の注液量、貯留時間、排液量、透析回数などの腹膜透析治療結果データや、測定装置(31、32、33)で測定された体重、血圧、体温などの患者の生体情報を受信してそのデータを記憶部に記録するとともに、得られたデータから、当該患者の腹膜透析治療の履歴や、生体情報の推移などの腹膜透析治療を続ける上で必要となる情報に加工するなどのデータ処理を行って、その結果を記憶部に記録する。
【0055】
医師端末50は、病院、診療所などの医療機関内に配置され、これら医療機関の情報ネットワークを介して、または、単独で直接に、クラウドサーバ40が配置されているインターネット環境に接続可能なパソコン等の情報端末である。本実施形態にかかる腹膜透析システム100では、医師端末50が備えるWebブラウザを利用して、クラウドサーバ40内の情報を閲覧、操作することが可能となっているため、医師端末50において、本実施形態に示す腹膜透析システム100を活用するためのソフトウェアやアプリケーションのインストールを不要としている。
【0056】
担当医は、医師端末50から腹膜透析治療を行っている患者についての、腹膜透析治療のデータや各自の生体情報を把握することができ、腹膜透析治療が順調に行われているか否かを確認することができる。
【0057】
例えば、腹膜透析装置10や体重計31などの腹膜透析ユニット30から得られた情報に、予め定められた閾値を超えたデータが含まれている場合には、本実施形態に示す腹膜透析システム100を通じて、または、電話やメールなどの他の手段を用いて直接に、患者本人またはその家族などに連絡することで、腹膜透析プログラムの修正や、問題発生時の対応を迅速に行うことができる。
【0058】
また、担当医が、透析液の注入量や注入回数などの腹膜透析プログラムの変更が必要であると考えた場合には、医師端末50からクラウドサーバ40にアクセスして、クラウドサーバ40上で修正した腹膜透析プログラムを作成し、腹膜透析ユニット30に送信することができる。
【0059】
管理端末60は、本実施形態にかかる腹膜透析システム100の管理者が所有する情報端末であり、管理者が勤務する会社の情報通信ネットワークなどを通じて、または、直接にクラウドサーバ40にアクセスすることができる。
【0060】
本実施形態に示す腹膜透析システムの管理者は、管理端末60から、本実施形態に示す腹膜透析システム100に含まれる腹膜透析装置10や通信装置20の動作状況を確認することができる。患者本人や医師端末を使用する担当医から申し出があった場合には、患者本人や担当医に代わってシステムの管理者が、音量、画面の明るさ、警報感度など治療に直接影響しないパラメータの設定やオプション機能の使用の有無を選択することができる。また、システムの管理者は、通信異常などのシステム運用に影響する不具合を早期に把握し、対応するための情報を収集することができる。
【0061】
なお、腹膜透析システム100全体のバージョンアップなどの際には、システムの管理者が管理端末60から新たなデータや更新プログラムなどをクラウドサーバ40に送信して、システム全体のメンテナンスを行う機能を備えていてもよい。
【0062】
なお、本実施形態に示した腹膜透析システム100において、腹膜透析ユニット30、サーバコンピュータ40、医師端末50、管理端末60間のデータ通信は、患者の生体情報や治療データが扱われることを考慮して、SSL/TLS(Secure Sockets Layer/Transport Layer Security)などのLTEにおける暗号化技術であるストリーム暗号方式や、対象鍵暗号や非対称暗号化ブロック暗号方式など周知の暗号化技術を使用した暗号化通信として行われている。
【0063】
また、図1に示したように、腹膜透析装置10と医師端末50との間の情報伝達においては、バックアップ手段としてSDカードやコンパクトフラッシュ(登録商標)などの汎用のメモリカード70を用いる方法が設定されている。より具体的には、図2では図示しない、腹膜透析装置10の本体部11に設けられているカードスロットにメモリカード70を挿入し、操作パネル12からデータの移動を指示することで、腹膜透析装置10内の必要データをメモリカード70内に転送することができ、このメモリカード70を医療機関に届けて医師端末50で読み取ることで必要な情報を伝達することができる。なお、腹膜透析装置10と医師端末50との間の情報伝達のバックアップ手段としては、上述したメモリカード70を用いる方法以外にも、USBメモリなどの各種の記憶媒体を用いる方法を採用することができる。
【0064】
<腹膜透析システムの稼働例>
続いて、図4図6を用いて、本実施形態にかかる腹膜透析システムの動作例について説明する。
【0065】
図4は、腹膜透析装置での腹膜透析終了時における、腹膜透析結果データのクラウドサーバへの送信についての動作を示すフローチャートである。
【0066】
図4に示すように、腹膜透析装置10での所定の腹膜透析プログラムが終了すると(START)、腹膜透析装置10は、透析結果を示すデータと患者の生体情報を新たに取得している場合にはその測定結果情報とを集約し(ステップS101)、外部の装置に送信することができる形式に変更して保持し、通信装置20を通じてクラウドサーバ40に送信する(ステップS102)。なお、このデータ送信は、腹膜透析装置10において腹膜透析のプログラムが終了した際に自動的に行われるようにしても良いし、腹膜透析装置の電源ボタンが長押しされるなどして腹膜透析装置の電源をOFFとする操作が行われたことをトリガーにしても良い。腹膜透析装置10の電源をOFFとする操作が行われたことをトリガーとすることで、管理端末60からデータ送信の有無を確認することによって、腹膜透析装置10の電源がOFFにされているか否かを把握することができる。また、腹膜透析装置10の電源がOFFになっていない場合には、患者にシステムを通じて、若しくはメールや電話等の別の手段によって連絡することができ、腹膜透析装置10が確実に電源OFFにされるように管理できる。上述したように、本実施形態で例示する腹膜透析装置10は、バッテリーでの動作が可能であるため、装置の電源が確実にOFFされていないことを検出することで、電源であるバッテリーの不所望な容量減を防止することができる。
【0067】
通信装置20から送信された腹膜透析結果などのデータは、クラウドサーバ40の受信部で受信され(ステップS201)、クラウドサーバ40は、そのデータを記憶部に記憶する(ステップS202)。引き続き、クラウドサーバ40は、受信、保存した腹膜透析結果データや患者の生体情報に基づいて、腹膜透析治療の効果が現れているかなどの医療的判断に資する医療用データや、腹膜透析がプログラム通り行われたか否かを判断できる管理用データなどを作成して(ステップS203)、自身の記憶部に記録する。
【0068】
以上で、腹膜透析装置10からクラウドサーバ40への腹膜透析結果データの伝達処理が終了する(END)。
【0069】
図5は、医師端末や管理端末である情報端末から、クラウドサーバに保存されている特定の患者の腹膜透析結果データを把握する際の動作を説明するフローチャートである。
【0070】
図5に示すように、医師端末50や管理端末60から、クラウドサーバ40に保存されているWebサイトを参照して、施設IDやログインIDなどの所定のパスワードを入力することで、本実施形態にかかる腹膜透析システム100にアクセスすることができ、腹膜透析結果を確認したい患者を選択することで、担当医やシステムの管理者がクラウドサーバ40の記憶部に保存されている腹膜透析結果データを参照することができる(ステップS311)。
【0071】
クラウドサーバ40は、自身が保存する特定の患者の腹膜透析結果データへのアクセスがあると、データ処理後のものを含めて提示可能なデータ一覧を示すことができ(ステップS211)、担当医または管理者は自身の情報端末(50、60)で必要な情報データを選択することができる(ステップS312)。クラウドサーバ40は、選択されたデータが既に保存されていればそのデータを、新たにデータ処理が必要な場合は当該データを作成するデータ処理を行って必要な情報を担当医や管理者に対して示す(ステップS212)。
【0072】
担当医または管理者は、自身の情報端末(50、60)上でそのデータを確認することができる(ステップS313)。
【0073】
担当医が、腹膜透析結果データから透析装置10において腹膜透析を制御するプログラムに問題は無くプログラムの修正が必要ないと判断した場合(ステップS314で「No」の場合)には、一連の確認作業は終了する(END)。一方、担当医が、現在の腹膜透析を制御するプログラムを新しいプログラムに変更した方が良いと判断した場合には(ステップS314で「Yes」の場合)、医師端末50からクラウドサーバ40にアクセスし(ステップS315)、クラウドサーバ40上で修正プログラムを作成して(ステップS213)、その修正プログラムをクラウドサーバ40に保存する(ステップS214)。[「処方」という表現は削除しました]
クラウドサーバ40は、腹膜透析装置10から通信装置20を通じてのアクセスがあったときに、すぐに修正されたプログラムを送信できる状態で待機する(END)。
【0074】
図6は、腹膜透析の修正されたプログラムが作成された場合の、クラウドサーバと腹膜透析ユニットとの動作を示すフローチャートである。
【0075】
図6に示すように、腹膜透析を行うタイミングとなると、患者が腹膜透析装置10の電源を入れる(START)。
【0076】
電源がONされると、腹膜透析装置10は自身が保持する動作プログラムにしたがって、制御部がクラウドサーバ40への腹膜透析の動作を制御する腹膜透析プログラムの確認を指示する(ステップS121)。腹膜透析装置10からの腹膜透析プログラムを確認する信号は、通信装置20を介してインターネット環境上のクラウドサーバ40に伝達されて、アクセスされたクラウドサーバ40は、アクセス信号に含まれる患者IDに基づいて当該患者に対して行われる腹膜透析の修正されたプログラムがある場合にはそのプログラムを呼び出して(ステップS221)、腹膜透析ユニット30へと送信する(ステップS222)。
【0077】
通信装置20を介してクラウドサーバから修正された腹膜透析プログラムを受信すると(ステップS122)、腹膜透析装置10は修正プログラムにおける変更内容を操作パネル12に表示する(ステップS123)。
【0078】
患者は、操作パネル12に表示された変更された腹膜透析プログラムにおける変更内容を確認し、変更内容を承認する場合には(ステップS124で「Yes」の場合)、修正された新たな腹膜透析プログラムでの腹膜透析治療が行われる(ステップS125)。
【0079】
なお、患者が修正された腹膜透析プログラムの変更内容を承認しない場合には(ステップS124で「No」の場合)、従来の腹膜透析を制御するプログラムでの腹膜透析が行われる(ステップS126)。
【0080】
以上で、腹膜透析が終了し(END)、図4の状態に戻って、腹膜透析の結果データが集約されて(ステップS101)、通信装置20によってクラウドサーバ40に送信される(ステップS102)。このとき、修正された腹膜透析を制御するプログラムが患者に承認されなかったことを示す情報を特別に添付してクラウドサーバ40に送信することで、担当医や管理者が状況をいち早く確認することができ、患者に直接連絡を取るなどの対応を行うことができる。
【0081】
以上説明したように、本実施形態にかかる腹膜透析システムでは、患者に腹膜透析治療を行う腹膜透析装置が、通信装置を介してインターネット環境上のクラウドサーバに接続されて、患者に関連する必要な情報を即座に伝達することができる。そして、担当医や、システムの管理者などが、インターネット環境に接続されるそれぞれの情報端末からクラウドサーバ上の患者データにアクセスすることができるので、腹膜透析プログラムの修正や、問題発生時の対応を迅速に行うことができる。このため、本実施形態で例示した腹膜透析システムでは、透析患者が安心して腹膜透析治療を受けることができる。
【0082】
なお、上記実施形態において、腹膜透析装置のデータとインターネット環境上のクラウドサーバとの間のデータ送受信を行う通信装置として、情報の送受信が可能な専用の通信装置を用いる例を示して説明した。しかし、本願で開示する腹膜透析ユニット、および、腹膜透析システムで使用される通信装置は、上記例示したデータの送受信に特化した装置には限られない。通信装置としては、腹膜透析装置と有線接続されることで相互間の情報の伝達が可能で、かつ、その情報をLTEなどの汎用のデータ通信手段を用いてインターネット環境上のクラウドサーバに送受信することが可能な各種の機器を使用することができる。例えば、有線接続による情報の転送が可能なパソコン、タブレット端末、スマートフォンなどの、情報の送受信以外の多機能を有する通信端末を用いて、その機能の内の情報の送受信機能のみを利用することも可能である。
【0083】
また、上記実施形態では、腹膜透析システムを構成する情報端末として、透析患者の担当医が使用する医師端末と、システム全体を管理する管理者が使用する管理端末との両方を含む場合を説明した。しかし、例えば、クラウドサーバが透析患者の担当医が勤務する病院等に設置された情報処理装置である場合や、クラウドサーバがシステムの管理者が勤務する企業の社内に配置された情報処理装置である場合など、医師端末と管理端末のいずれか一方の代わりに、担当医または管理者が直接情報処理装置にアクセスして、腹膜透析プログラムの確認と修正や、腹膜透析システムの管理業務を行う場合があり、この場合、医師端末と管理端末とのいずれか一方のみが本願で開示する腹膜透析システムの構成要素となる場合がある
【産業上の利用可能性】
【0084】
本願で開示する腹膜透析装置、腹膜透析ユニット、腹膜透析システムは、腹膜透析装置とインターネット環境上のクラウドサーバとを通信装置を介して接続することで、腹膜透析装置の配置場所の制約が少なく、かつ、安定したデータ通信を行うことができる。このため、患者の負担を軽減し、信頼性の高い腹膜透析装置、腹膜透析ユニット、腹膜透析システムとして有用である。
【符号の説明】
【0085】
10 腹膜透析装置
20 通信装置
21 USBケーブル(情報伝達ケーブル)
30 腹膜透析ユニット
40 クラウドサーバ
50 医師端末(情報端末)
60 管理端末(情報端末)
図1
図2
図3
図4
図5
図6