(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024170126
(43)【公開日】2024-12-06
(54)【発明の名称】カラーチャート
(51)【国際特許分類】
H04N 1/46 20060101AFI20241129BHJP
H04N 1/60 20060101ALI20241129BHJP
H04N 9/64 20230101ALI20241129BHJP
G01J 3/52 20060101ALI20241129BHJP
A61B 5/00 20060101ALN20241129BHJP
【FI】
H04N1/46
H04N1/60
H04N9/64
G01J3/52
A61B5/00 D
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023087119
(22)【出願日】2023-05-26
(71)【出願人】
【識別番号】520477429
【氏名又は名称】合同会社画像技術研究所
(74)【代理人】
【識別番号】100186129
【弁理士】
【氏名又は名称】滝川 水大
(72)【発明者】
【氏名】高橋 雅人
(72)【発明者】
【氏名】津村 徳道
【テーマコード(参考)】
2G020
4C117
5C066
【Fターム(参考)】
2G020AA08
2G020DA02
2G020DA04
2G020DA13
2G020DA15
2G020DA32
2G020DA34
2G020DA51
2G020DA65
4C117XG22
5C066AA01
5C066AA03
5C066BA20
5C066CA08
(57)【要約】 (修正有)
【課題】カラーチャートに対する光の当たり方によってカラーチャートの色が変化した場合であっても、変化前のカラーチャートの色を特定するカラーチャートを提供する。
【解決手段】所定の色で形成された複数のパッチを備えるカラーチャートであって、前記所定の色で形成された複数のパッチは、形状が異なる複数のパッチと、形状が同一の複数のパッチとを有して構成され、前記形状が異なる複数のパッチは、その形状ごとに異なる色で形成され、前記形状が同一の複数のパッチは、同一の色で形成されているようにした。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
所定の色で形成された複数のパッチを備えるカラーチャートであって、
前記所定の色で形成された複数のパッチは、形状が異なる複数のパッチと、形状が同一の複数のパッチとを有して構成され、
前記形状が異なる複数のパッチは、その形状ごとに異なる色で形成され、
前記形状が同一の複数のパッチは、同一の色で形成されている、
ことを特徴するカラーチャート。
【請求項2】
前記形状が異なる複数のパッチは、有彩色のパッチである、
ことを特徴とする請求項1記載のカラーチャート。
【請求項3】
前記所定の色で形成された複数のパッチのそれぞれが粘着シールで形成されている、
ことを特徴とする請求項1または2記載のカラーチャート。
【請求項4】
前記所定の色で形成された複数のパッチを備えるカラーチャートに関する情報を有する自動識別用マーカを備えている、
ことを特徴とする請求項1または2記載のカラーチャート。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、カラーチャートに関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、デジタルビデオカメラなどで人物や風景などを撮影し、その画像をモニターに表示した場合において、モニターに表示される人物や風景の画像の色調が、実際の人物や風景の色調と異なって表示される場合がある。
【0003】
ところで、近年の医療分野においては、医師と異なる場所に居る患者をデジタルビデオカメラなどで撮影するとともに、医師がモニターなどで患者の撮影画像を確認しながら診察を行う遠隔診察が行われるようになっている。このような遠隔診察では、モニターに写し出される患者の画像の色調と実際の患者の色調とが異なると、例えば、患者の顔色などからその時の患者の体調などを医師が把握することが難しくなる。そのため、モニターに表示される患者の画像の色調と、実際の患者の色調とが一致するのが好ましい。
【0004】
そこで従来、モニターに表示される画像の色彩再現性を確認するために、カラーチャートを用いてモニターに表示される画像について色の補正を行うことが知られている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、従来にあっては、カラーチャートに対する光の当たり方によってはカラーチャートをモニターに表示した際に、カラーチャートの色が変化してしまうことがあり、変化前の色を特定することができないことがある。これによりモニターに表示された画像についてカラーチャートを用いて適切な色の補正ができないことがある。
【0007】
そこで本発明は、上記課題を解決するために行われたものであり、カラーチャートに対する光の当たり方によってモニターに表示されたカラーチャートの色が変化した場合であっても、変化前の色を特定することができるカラーチャートを提供すること目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、所定の色で形成された複数のパッチを備えるカラーチャートであって、前記所定の色で形成された複数のパッチは、形状が異なる複数のパッチと、形状が同一の複数のパッチとを有して構成され、前記形状が異なる複数のパッチは、その形状ごとに異なる色で形成され、前記形状が同一の複数のパッチは、同一の色で形成されている。
【0009】
また、前記形状が異なる複数のパッチは、有彩色のパッチである。
【0010】
また、前記所定の色で形成された複数のパッチのそれぞれが粘着シールで形成されている。
【0011】
また、前記所定の色で形成された複数のパッチを備えるカラーチャートに関する情報を有する自動識別用マーカを備えている。
【発明の効果】
【0012】
本発明によると、カラーチャートに対する光の当たり方によってモニターに表示されたカラーチャートの色が変化しても変化する前の色を特定することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1】本実施の形態にかかる画像表示システム全体の構成を示す全体図である。
【
図2】本実施の形態にかかる情報処理装置の機能を示すブロック図である。
【
図3】本実施の形態にかかるカラーチャートを示した図である
【
図4】本実施の形態にかかるカラーチャートを構成するカラーパッチの形状と色との関係を表した図である。
【
図5】本実施の形態にかかる画像システムを用いた遠隔診療の流れを示したフローチャートである。
【
図6】本実施の形態にかかるカラーチャートの使用態様の一例を示した図である。
【
図7】本実施の形態にかかるカラーチャートの使用態様の一例を示した図である。
【
図8】本実施の形態にかかる変形例のカラーチャートを示した図である。
【
図9】本実施の形態にかかる変形例のカラーチャートを示した図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
本発明にかかる実施の形態について
図1~
図9を参照しつつ説明する。なお、以下の説明における方向については、特に指示がない限り、図面を見た時の方向を基準として説明する。
【0015】
<<画像表示システム>>
本発明にかかるカラーチャートCを有して構成される画像表示システムSは、
図1に示すように、カラーチャートCの他、撮影手段100と、表示手段200とを少なくとも備えて構成されている。
【0016】
<撮影手段>
撮影手段100は、画像を取得するためのものであり、本実施の形態では、RGBカメラで撮影手段100が構成されている。RGBカメラ100としては、例えば、デジタルビデオカメラやデジタルカメラやスマートフォンのカメラなどがあげられる。
【0017】
<表示手段>
表示手段200は、RGBカメラ100によって取得(撮影)された画像を表示するものである。例えば、テレビや、パソコンのモニターや、スマートフォンのモニターなどがあげられる。そして、本実施の形態では、パソコンで表示手段200が構成されている。パソコン200はRGBカメラ100によって取得された画像を表示するためのモニター装置210を備えるとともに、種々の情報(データ)を処理するための情報処理装置220を備えて構成されている。さらに、パソコン200は、図示しないが、例えば、キーボードやマウスなど所定の情報を入力するための入力装置を備えて構成されている。
【0018】
情報処理装置220は、
図2に示すように、パソコン200全体の動作を制御する制御部221や、種々の情報を記憶しておく記憶部222や、例えば、他の端末装置とインターネットを介して種々の情報を送受信するための通信部223など有して構成されている。
【0019】
また、制御部221は、図示しないが、CPU(Central Processing Unit)や、ROM(Read Only Memory)及びRAM(Random Access Memory)などのメモリを有して構成されており、メモリに記憶されているプログラムをCPUが実行することで種々の情報処理手段として機能するようにもなっている。
【0020】
そして、本実施の形態において制御部221は、CPUがメモリに記憶されている情報処理プログラムを実行することで画像識別手段221a及び色補正手段221bとして機能するようになっている。
【0021】
ここで、画像識別手段221a及び色補正手段221bについて説明する。画像識別手段221aは、モニター装置210に表示される所定の画像を識別(認識)する処理を行うものである。そして、画像識別手段221aは、モニター装置210に表示された後述するARマーカMについて特定し、識別するようになっている。
【0022】
色補正手段221bは、モニター装置210に表示される画像についての色の補正処理を行うためのものである。ここで、色補正手段221bによって行われる色補正処理とは、カラーチャートCがRGBカメラ100によって撮影され、そのカラーチャートCの画像がモニター装置210に表示された際に、その画像における後述するカラーチャートCのパッチP1,P2の色が、モニター装置210がある場所の光源下において測定されるカラーチャートCの対応するパッチP1,P2の色と一致するか、または、近づくようにモニター装置210に表示されている画像の色を補正する処理である。
【0023】
<カラーチャート>
カラーチャートCは、RGBカメラ100によって取得された(撮影された)画像について色補正を行うためのものである。カラーチャートCについて説明する。
【0024】
<カラーチャート全体の構成>
本実施の形態にかかるカラーチャートCは、
図3に示すように、主面が矩形形状に形成された板状(シート状)のもので構成されている。また、カラーチャートCを作成する際に用いられる材質は、後述する明度の異なる複数の無彩色のパッチP1、及び、異なる複数の有彩色のパッチP2を印刷することができるか、または、それらが印刷されたシートなどを貼ることができるものであれば何れのものであってもよく、例えば、紙やプラスチックなどでカラーチャートCを構成してもよい。
【0025】
また、カラーチャートCの大きさについては、自由に設定することができる。例えば、容易に片手でカラーチャートCを持つことができ、更には、片手で持ったカラーチャートCを顔に近づけても邪魔にならない程度の大きさにするのが好適である。
【0026】
<パッチ>
カラーチャートCは、
図3に示すように、明度の異なる複数の無彩色のパッチP1、及び、異なる複数の有彩色のパッチP2(以下、無彩色のパッチP1及び有彩色のパッチP2を単にパッチP1,P2と表示することがある)を備えて構成されている。ここで、カラーチャートCを構成するパッチP1,P2とは、一定の領域を有し、予め設定された所定の色、濃度、及び形状の画像である。そして、本実施の形態では、板状に形成されたプラチック部材にパッチP1,P2が直接印刷されるようになっている。
【0027】
無彩色のパッチP1は、明度の異なる3種類のパッチP1から構成されている。本実施の形態では、黒色のパッチP11、白色のパッチP12、及び灰色(グレー)のパッチP13の3色のパッチP1があり、その3色のパッチP1の全てが矩形(長方形)状であって同一の大きさで形成されている。
【0028】
なお、図面上では、無彩色パッチP1及び有彩色のパッチ(以下、この有彩色のパッチのことをカラーパッチと表示することがある)P2の色についてグレースケールで表現されているが、実際のパッチP1,P2は、図面の色とは異なる色で構成されている。特にカラーパッチP2については、後述するように赤色、青色、緑色など各カラーパッチP2が異なる色で構成されている。
【0029】
そして本実施の形態において、3種類の無彩色のパッチP1は、黒色のパッチP11、白色のパッチP12、及び灰色のパッチP13の順番であって繰り返しながらカラーチャートCの外周を囲うようにして設けられている。
【0030】
なお、本実施の形態では、無彩色のパッチを黒色のパッチP11、白色のパッチP12、灰色のパッチP13の3種類としたがこれに限らず、この3つの色以外の色で構成してもよい。但し、色補正の精度の低下の防止の観点から無彩色のパッチについては色が3種類以上のパッチで構成する必要があり、さらにいえば、色補正の精度の向上の観点から5種類以上のパッチで構成するのが好ましい。
【0031】
カラーパッチP2は、カラーチャートCの外周を囲うように設けられた無彩色のパッチP1の内側に複数設けられている。そして、それらのカラーパッチP2は、その外周部分(輪郭部分)の形状が異なる複数種類のカラーパッチP2で構成されている。
【0032】
そして、本実施の形態では、星形の形状で形成されたカラーパッチP21と、円形の形状で形成されたカラーパッチP22と、三角形の形状で形成されたカラーパッチP23と、五角形の形状で形成されたカラーパッチP24と、台形の形状で形成されたカラーパッチP25と、十字の形状で形成されたカラーパッチP26の6種類の形状をしたカラーパッチP2がある。
【0033】
また、カラーパッチP2は、形状ごとにその色が異なっている。具体的には、
図4に示すように、星形の形状で形成されたカラーパッチP21の実際の色は赤色であり、円形の形状で形成されたカラーパッチP22の実際の色は青色であり、三角形の形状で形成されたカラーパッチP23の実際の色は緑色であり、五角形の形状で形成されたカラーパッチP24の実際の色は黄色であり、台形の形状で形成されたカラーパッチP25の実際の色はシアン色であり、十字の形状で形成されたカラーパッチP26の実際の色はマゼンダ色である。このように、カラーパッチP2は6種類の形状ごとでそれぞれ色が異なるように構成されている。
【0034】
なお、本実施の形態における無彩色のパッチP1及びカラーパッチP2の色についてRGB値(10進値)で示すと、無彩色のパッチP1については、黒色のパッチP11のRGB値はR0,G0,B0であり、灰色のパッチP13のRGB値はR128,G128,B128であり、白色のパッチP12のRGB値はR255,G255,B255である。
【0035】
また、カラーパッチP2については、星形の形状である赤色のカラーパッチP21のRGB値はR255,G0,B0であり、円形の形状である青色のカラーパッチP22のRGB値はR0,G0,B255であり、三角形の形状である緑色のカラーパッチP23のRGB値はR0,G255,B0であり、五角形の形状である黄色のカラーパッチP24のRGB値はR255,G255,B0であり、台形の形状であるシアン色のカラーパッチP25のRGB値はR0,G255,B255であり、十字の形状であるマゼンダ色のカラーパッチP26のRGB値はR255,G0,B255である。
【0036】
そして、本実施の形態では、カラーパッチP2の形状ごとに9個の同一形状のカラーパッチP2がカラーチャートC上にランダムに設けられているとともに、その形状が同一のカラーパッチP2は同一の色で形成されている。
【0037】
なお、本実施の形態では、無彩色のパッチP1及びカラーパッチP2の色について上述のように示したRGB値に設定したがこれに限らない。そのパッチP1,P2のRGB値など色に関する数値については(パッチP1,P2をどのような色にするかについては)任意に設定することができる。
【0038】
また、本実施の形態では、形状ごとに同一形状(同一色)のカラーパッチP2を9個設けるように構成したがこれに限らない。カラーパッチP2は、同一の形状で同一の色をしたカラーパッチP2が2個以上あればよく、カラーパッチP2の形状の種類の数、カラーパッチP2の色の種類の数、カラーパッチP2を設ける数については任意に設定できる。ただし、設けるカラーパッチP2の数や色、形状の種類の数を変更する場合にあっても同一の形状には同一の色とする必要がある。
【0039】
また、本実施の形態では、無彩色のパッチP1及び有彩色のパッチP2を同じ大きさで構成したがこれに限らない。例えば、形状ごとでパッチP1,P2の大きさが異なるようにしてもよく、また、同一の形状であったとしてもパッチP1,P2の大きさが異なるように構成してもよい。
【0040】
また、本実施の形態では、カラーパッチについてランダムに設けるようにしたがこれに限らず、何等かの法則性をもって設けるようにしてもよい。
【0041】
<自動識別用マーカ>
また、カラーチャートCには自動識別用マーカが設けられている。ここで、自動識別用マーカとは、自動識別用マーカの画像をカメラなどで読み取ることによって自動識別用マーカに基づく情報を取得することができるものであり、自動識別用マーカとしては、例えば、ARマーカMや2次元コードがある。そして、本実施の形態にかかるカラーチャートCでは、
図3に示すように、自動識別用マーカとしてARマーカMがカラーチャートCの左上隅及び右下隅の2箇所に設けられている。また、ARマーカMは、図示はしないが、有する情報に応じてその形状(模様)などが異なるようになっている。そして、本実施の形態においては、ARマーカMに基づき、例えば、カラーチャートCのカメラからの距離や、カラーチャートCの方向や位置や、パッチP1,P2の方向や位置などを特定、識別することができるようになっている。
【0042】
なお、本実施の形態では、色の補正に用いられるカラーチャートCは複数あり、カラーチャートCに設けられた無彩色のパッチP1及びカラーパッチP2についての形状や、その色(明度、彩度、色相)や、その設けられた数や、その位置などは、使用されるカラーチャートCごとで異なっている。そのため、本実施の形態にかかるARマーカMは、図示はしないが、パッチP1,P2の形状や色などに関する情報を有した2次元コードを組み合わせたものとなっている(具体的には、ARマーカMの中央部に2次元コードが設けられている)。そして本実施の形態では、ARマーカMとともに2次元コードを読み取ることができ、カラーチャートCの方向や距離などとともに、パッチP1,P2の形状や色などについても特定、識別できるようになっている。
【0043】
また、画像表示システムSを構成するパソコンの情報処理装置220の記憶部222には、複数のカラーチャートCに関する情報が記憶されている。具体的には、カラーチャートCの大きさや材質など情報の他、カラーチャートCごとに無彩色のパッチP1及びカラーパッチP2についての形状、色(例えばRGB値やLab値など)、数の情報などが記憶されている。さらに、記憶部222には、ARマーカM及び2次元コードの形状などについても記憶されており、ARマーカM及び2次元コードの形状などの情報については、複数のカラーチャートCに関する情報と対応付けられて記憶されている。
【0044】
画像識別手段221aは、ARマーカM及び2次元コードを含んで表示されたカラーチャートCの画像からARマーカM及び2次元コードを特定するようになっており、色補正手段221bは、記憶部222に記憶されているARマーカM及び2次元コードの形状などの情報と、画像識別手段221aが特定したARマーカM及び2次元コードの形状などの情報とを照合するとともに、その照合結果に基づき記憶部222に記憶されているカラーチャートCに関する情報を特定するようになっている。
【0045】
なお、本実施の形態では、自動識別用マーカをARマーカMと2次元コードとを組み合わせて構成したがこれに限らない。例えば、自動識別用マーカをARマーカMのみで、または、2次元コードのみで構成してもよい。また、本実施の形態では、ARマーカMをカラーチャートCの左上隅及び右下隅の2箇所に設けたがこれに限らない。例えば、カラーチャートCの4隅の全てにARマーカMを設けてもよい。即ち、ARマーカMによってカラーチャートCとカメラとの距離やカラーチャートCの方向などを特定、識別することができれば、その位置や数などについて任意に設定することができる。
【0046】
<<画像システムによる画像の表示方法>>
次いで、本実施の形態にかかる画像表示システムSの使用について、画像表示システムSを遠隔診療に用いた場合を例として
図5を参照しつつ説明する。
【0047】
遠隔診療を受ける受診者(患者)は、
図6に示すように、例えば、自宅で受診者自身とカラーチャートCとを同時(一緒)にデジタルビデオカメラなどのRGBカメラ100で撮影する(
図5のStep1、以下、単にS〇〇と表示する)。
【0048】
なお、受診者及びカラーチャートCを同時に撮影する場合には、
図7に示すように、複数のカラーチャートCを同時に撮影した方が好適である。何故なら、カラーチャートCを多く配置することで、画像を補正する際にカラーチャートCから取得できる色に関する情報が多くなり、画像について色の補正する際の精度が向上するからである。
【0049】
受診者は、同時に撮影したカラーチャートC及び受診者自身の画像データ(静止画データまたは動画データ)を遠隔地にある医師のパソコン200にインターネットを介して送信する(S2)。
【0050】
この際、受診者が自身及びカラーチャートCについてスマートフォンなどで撮影した場合には、スマートフォンの有するデータ送受信機能を使って当該画像データをパソコン200に送信する。また、受診者が自身及びカラーチャートCについてデータ送受信機能を有さないデジタルビデオカメラなどで撮影した場合には、デジタルビデオカメラから撮影した画像データを取り出し、自宅のパソコンなどから当該画像データを医師のパソコン200へ送信する。
【0051】
医師のパソコン200が受診者から送られてきた画像データを受信するとモニター装置210には、カラーチャートC及び受診者の画像が表示される(S3)。
【0052】
また、医師は、受診者が自身と同時に写したカラーチャートCと同一のカラーチャートCを手もとに用意するとともに、用意したカラーチャートCにおけるパッチP1,P2の色について測色する(S4)。
【0053】
測色で得られた色に関する値を医師がパソコン200に入力し、色補正を実行すると色補正手段221bによって色補正処理が行われるようになっている(S5)。
【0054】
なお、色補正手段221bによって色補正処理が実行されるのに伴って、画像識別手段221aによってARマーカM及び2次元コードが特定、識別されるようになっている。そして、ARマーカM及び2次元コードが識別されることによって、カラーチャートCのカメラとの距離や、カラーチャートCの方向や、パッチP1,P2などの情報について特定、識別されるようになっている。
【0055】
ここで色補正手段221bによる色補正処理について説明する。
【0056】
色補正処理が開始されると、はじめに色補正手段221bは、受診者と一緒にモニター装置210に表示されている(映し出されている)カラーチャートCの各カラーパッチP2の色について特定するようになっている。なお、ここで特定するカラーパッチP2の色とは、カラーパッチP2の元々の色、つまりは、カラーチャートCの製造に設定されたカラーパッチP2の色(以下、この色について設定色と表示することがある)のことである。
【0057】
なぜなら、RGBカメラ100で受診者及びカラーチャートCを同時に撮影する場合に得られる画像は、撮影時の環境(撮影環境)の違いや撮影時に用いられたカメラの種類などのよって異なるからである。撮影環境の違いとしては、野外での撮影か、屋内での撮影かの違い、また、屋内での撮影にあっては、照明の光源の種類や、照明の明るさや、受診者と光源(照明)の位置関係(光の当たり方)の違いなどがあげられ、また、カメラの種類の違いとしては、撮像素子や画像処理エンジンなどがあげられる。
【0058】
このように、カラーパッチP2の色は、照明の種類やカメラの種類などの撮影環境によって元々の色と異なる色でモニター装置210に表示されることがある。そして、モニター装置210に表示されているカラーパッチP2の色が本来の色とは大きく異なる色で表示され、そのカラーパッチP2の設定色が分からない状態だと適切な色の補正ができないおそれがあるため設定色を特定する必要がある。
【0059】
そして、カラーパッチP2の設定色の特定は、カラーパッチP2の形状ごとに行われるようになっている。ここで星形の形状のカラーパッチ(以下、星形の形状のカラーパッチP21のことを、単に、星形パッチと表示することがある)P21を例に説明すると、例えば、色補正手段221bは、複数表示されている星形パッチP21において設定色と異なる色で表示されている星形パッチP21の有無について判断するようになっている。具体的には、モニター装置210に表示されている全ての星形パッチP21の色について確認し、その確認した星形パッチP21の中から他の星形パッチP21と異なる色の星形パッチP21の存在の有無を確認する。
【0060】
そして、他の星形パッチP21と異なる色で表示された星形パッチP21が存在する場合には、その星形パッチP21の設定色について特定するようになっている。その特定方法について本実施の形態では、同一の色で表示されている星形パッチP21の数に基づき特定するようになっている。例えば、全総数が9個の星形パッチP21のうちの1個の星形パッチP21が他の8個の星形パッチP21とは異なる色で表示され、残りの8個の星形パッチP21の全てが同一の色で表示されていた場合には、その8個の星形パッチP21の色を異なる色で表示された1個の星形パッチP21の設定色と特定するようになっている。このように、本実施の形態では、同一の色で多数表示されているカラーパッチP2の色を設定色と特定するようになっている。
【0061】
なお、本実施の形態では、同じ色で表示されているカラーパッチP2の数に基づきカラーパッチの設定色を特定するようにしたがこれに限らない。例えば、カラーパッチP2の形状を特定するとともに、記憶部222に記憶されたカラーパッチP2の形状及び形状に対応する色(設定色)に基づき特定した形状のカラーパッチP2の設定色を特定するようにしてもよい。具体的には、画像識別手段221aがARマーカMとともに2次元コードを特定、識別することによってモニター装置210に表示されているカラーチャートCを特定する。そして、記憶部222に記憶されているその特定したカラーチャートCのカラーパッチP2の形状及び設定色に関する情報から、特定した形状に基づきそのカラーパッチP2の設定色を特定するようにしてもよい。このように、予め記憶されている形状及び形状に対応する設置色に基づき特定した形状のカラーパッチP2の設定色を特定するので高い精度でカラーパッチP2の設定色を特定することができる。
【0062】
そして、上述のように各形状のカラーパッチP2の設定色を特定すると、色補正手段221bは、その特定した設定色に基づいてカラーパッチP2の色の色補正を行うようになっている。具体的には、モニター装置210に表示されているカラーパッチP2について、それに対応するカラーパッチ(医師の手もとに用意された同一のカラーチャートC内における同じ位置に設けられたカラーパッチ)P2についての測色で得られた値の色と一致、または、近づけるように色の補正をするようになっている。即ち、モニター装置210がある医師の手もとに用意されたカラーチャートCのカラーパッチP2の色に、モニター装置210に表示されたカラーチャートCのカラーパッチP2の色が一致、または、近づくように色を補正するようになっている。
【0063】
色補正手段221bによって画像についての色補正が行われると、医師は、色補正された画像に基づき診療を行うようになっている(S6)。
【0064】
上述のように、カラーチャートCに複数種類の形状が異なるカラーパッチP2を設けるとともにカラーパッチP2の形状ごとでカラーパッチP2の色を異なるようにし、また、同一形状のカラーパッチP2については同一の色としたので、その形状及び色からカラーパッチP2の元々の色である設定色について特定することができる。これにより、モニター装置210にカラーチャートCを表示したときに何れかのカラーパッチP2の色が変化した場合であっても、同一形状の他のカラーパッチP2から、色が変化して表示されたカラーパッチP2を特定することができ、さらには、そのカラーパッチP2の元の色を特定することができるので、その特定した元の色に基づき適切な色補正をすることができる。
【0065】
なお、本実施の形態では、制御部221が色補正手段221bとして機能するように構成し、色補正手段221bがカラーパッチP2の設定色を特定するように構成したがこれに限らない。即ち、自動的にカラーパッチP2の形状やその色からカラーパッチP2の設定色が特定されるように構成したがこれに限らない。例えば、目視でカラーパッチP2の設定色を特定するようにしてもよい。
【0066】
具体的には、例えば、モニター装置210に複数表示された同一形状のカラーパッチP2において、他の同一形状のカラーパッチP2とは色が異なるカラーパッチ(例えば1つや2つのカラーパッチP2)を目視で特定する。そして、特定した当該カラーパッチP2以外であって同一の色をした多数のカラーパッチP2の色を設定色として特定するようにしてもよい。そして、目視によって特定したカラーチャートP2の設定色に基づいて色補正手段221bが当該カラーパッチP2について色補正を行うようにしてもよい。
【0067】
また、本実施の形態では、本発明にかかるカラーチャートCの使用について遠隔診療を例として説明したがこれに限らず、画像の色の補正に関するものであれば何れのものにでも用いることができる。
【0068】
(変形例1)
次いで上述の本実施の形態の変形例について説明する。なお、上述の本実施の形態と同一の構成については、同一の符号番号を付してその説明は省略するものとする。
【0069】
上述の本実施の形態では、無彩色のパッチP1として黒色、白色、及び灰色の3種類のパッチP1を、黒色のパッチP11、白色のパッチP12、及び灰色のパッチP13の順番であって繰り返しながらカラーチャートCの外周を囲うようにして設けたが、本変形例1のカラーチャートCでは、カラーパッチP2と同様に無彩色のパッチP1ごとで形状と色が異なり、ランダムに設けられている。そして、本変形例1では、
図8に示すように、カラーパッチP2の形状とは異なる星形の形状で黒色のパッチP11が形成されており、半円の形状で白色のパッチP12が形成されており、ひし形の形状で灰色のパッチP13が形成されている。
【0070】
このように、無彩色のパッチP1を含めた全てのパッチP1,P2について形状ごとに異なる色で形成するとともに同一の形状のパッチP1,P2については同一の色で形成し、各パッチP1,P2をランダムに設けることで、多種多様なカラーチャートCについて提供することができる。
【0071】
(変形例2)
次いで、本実施の形態の変形例2について説明する。上述の本実施の形態では、板状のプラスチック部材に全てのパッチP1,P2が直接印刷されるようになっており、パッチP1,P2はプラスチック部材と一体で形成されているが、本変形例2のカラーチャートCでは、図示はしないが、パッチP1,P2のそれぞれが粘着シールで形成されている。そして、その粘着シールで形成されたパッチP1,P2を、例えば、板状の部材や球体の部材、または、撮影時に撮影対象者の近くにある壁や柱などに張り付けることでカラーチャートCが構成されるようにしてもよい。
【0072】
また、上述のように、各パッチを粘着シールで形成した場合には、
図9に示すように、パッチP1,P2の外周部分(輪郭部分)をそのパッチの色とは異なる色で形成してもよい。換言すれば、各パッチP1,P2の外周部分(輪郭部分)についてそのパッチP2の色と異なる色で縁取るように形成してもよい。
【0073】
このように、カラーチャートCの各パッチP1,P2を粘着シールで形成し、そのパッチ(粘着シール)P1,P2を貼る付けることでカラーチャートCを構成するようにしたので、様々な部材を用いて容易にカラーチャートCを構成することができ、また、カラーチャートCにおけるパッチP1,P2のレイアウトを容易に変更することができるので、複数のカラーチャートCを用意しなくてもパッチP1,P2の配置が異なるカラーチャートCを一つのカラーチャートCで実現することができる。
【0074】
また、パッチP1,P2の外周部分(輪郭部分)をパッチの色とは異なる色で形成したので(縁取ったので)、例えば、各パッチP1,P2を粘着シールで形成し、そのパッチP1,P2を所定の場所に貼り付けた場合において、その貼り付けた場所の色とパッチP1,P2の色とが近似していた場合であっても各パッチP1,P2を区別する(特定、識別する)ことができる。特に、各パッチP1,P2について自動的に識別するようにした場合にあっては、パッチP1,P2の色について適切に検出することができるので、正しく色補正を行うことができるとともに、各パッチP1,P2の大きさについても検出することができ、撮影対象の大きさについても検出することもできる。
【0075】
(変形例3)
次いで、本実施の形態の変形例3について説明する。本変形例3では、各パッチP1,P2について近赤外線や紫外線を照射すると、照射された近赤外線や紫外線を反射するように形成されている。具体的には、例えば、近赤外線や紫外線を反射する成分を有した塗料(インク)で各パッチP1,P2を印刷する場合や、各パッチP1,P2を印刷したあとに、各パッチP1,P2の表面(撮影される側の面)について近赤外線や紫外線を反射するような物質を塗布してカラーチャートCを形成する。
【0076】
このように、各パッチP1,P2を照射された近赤外線や紫外線を反射するようにしたので、例えば、通常のRGBカメラ100とともに赤外線カメラや紫外線カメラで撮影した場合において、人が肉眼で認識することができる色(可視光線の範囲内)について色の補正ができるとともに、人の肉眼では認識することができないが赤外線カメラや紫外線カメラでは認識することができる(可視光線の範囲以外)色についても補正することができる。この結果、可視光線の範囲内、範囲外を問わず、対象物の色情報を的確に捉えることができ、より精度の高い色補正処理が可能となる。
【0077】
また、本発明について上述の実施の形態で説明したがこれに限定されるものではない。本発明の目的を達成し得る範囲内において、変形、変更、及び各構成要件の組み合わせなどを行うことが可能である。
【符号の説明】
【0078】
C カラーチャート
P1 無彩色のパッチ
P2 カラーパッチ(有彩色のパッチ)
M ARマーカ、2次元コード(自動識別用マーカ)