(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024170129
(43)【公開日】2024-12-06
(54)【発明の名称】防災システム、放水装置、及び放水システムの更新方法
(51)【国際特許分類】
G08B 17/00 20060101AFI20241129BHJP
A62C 37/00 20060101ALN20241129BHJP
【FI】
G08B17/00 E
G08B17/00 J
A62C37/00
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023087125
(22)【出願日】2023-05-26
(71)【出願人】
【識別番号】000233826
【氏名又は名称】能美防災株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000752
【氏名又は名称】弁理士法人朝日特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】遠藤 孝治
(72)【発明者】
【氏名】渡邊 裕之
【テーマコード(参考)】
2E189
5G405
【Fターム(参考)】
2E189KD01
5G405AA01
5G405AA06
5G405AB02
5G405AD04
5G405CA29
5G405CA31
5G405CA46
(57)【要約】
【課題】防災システムを構成する装置をシステムの更新状況に応じた動作モードで動作させる。
【解決手段】放水システムに含まれる放水装置30Aは、センサ部33、取得部311、変換部312、及び切替部310を備える。センサ部33は、監視領域における火源位置の特定に用いられる。取得部311は、旋回方向における火源位置を示す旋回角度、及び俯仰方向における火源位置を示す俯仰角度を取得する。変換部312は、監視領域の複数の俯仰チャネルのうち取得部311により取得された俯仰角度に対応する俯仰チャネルを示す区域情報に当該俯仰角度を変換する。切替部310は、動作モードを、火源位置を示す情報として旋回角度及び区域情報を用いる第1モードと、旋回角度及び俯仰角度を用いる第2モードとの何れかに切り替える。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
監視領域における火源位置の特定に用いられるセンサと、
旋回方向における前記火源位置を示す旋回角度、及び俯仰方向における前記火源位置を示す俯仰角度を取得する取得部と、
前記監視領域の複数の区域のうち前記俯仰角度に対応する区域を示す区域情報に前記俯仰角度を変換する変換部と、
動作モードを、前記火源位置を示す情報として前記旋回角度及び前記区域情報を用いる第1モードと、前記火源位置を示す情報として前記旋回角度及び前記俯仰角度を用いる第2モードとの何れかに切り替える切替部と、
を備える防災システム。
【請求項2】
複数の設置高さと複数の区域情報と複数の俯仰角度とを対応付けて記憶する記憶部を更に備え、
前記変換部は、前記俯仰角度を前記記憶部の記憶内容を参照して前記区域情報に変換する、
請求項1に記載の防災システム。
【請求項3】
複数の放水装置と制御盤とを備え、
前記複数の放水装置の各々は、
前記センサと、
前記取得部と、
前記切替部と、
前記第1モードにおいて、前記俯仰角度を前記区域情報に変換する第1変換部と、
前記第1モードにおいては、前記火源位置を示す情報として前記旋回角度及び前記区域情報を前記制御盤に送信し、前記第2モードにおいては、前記火源位置を示す情報として前記旋回角度及び前記俯仰角度を前記制御盤に送信する第1通信部とを有し、
前記制御盤は、
前記複数の放水装置の動作モードが前記第2モードである場合、前記俯仰角度を前記区域情報に変換する第2変換部と、
前記旋回角度及び前記区域情報を用いて前記複数の放水装置の何れかを選択する選択部とを有する
請求項1に記載の防災システム。
【請求項4】
監視領域における火源位置の特定に用いられるセンサと、
旋回方向における前記火源位置を示す旋回角度、及び俯仰方向における前記火源位置を示す俯仰角度を取得する取得部と、
前記監視領域の複数の区域のうち前記俯仰角度に対応する区域を示す区域情報に前記俯仰角度を変換する第1変換部と、
動作モードを第1モードと第2モードとの何れかに切り替える第1切替部と、
前記第1モードにおいては、前記火源位置を示す情報として前記旋回角度及び前記区域情報を制御盤に送信し、前記第2モードにおいては、前記火源位置を示す情報として前記旋回角度及び前記俯仰角度を前記制御盤に送信する第1通信部と、
を有する放水装置。
【請求項5】
監視領域における火源位置を示す情報として各々から見た旋回方向における前記火源位置の旋回角度と前記監視領域の複数の区域のうち俯仰方向における前記火源位置の俯仰角度に対応する区域を示す区域情報とを各々送信する複数の放水装置と前記複数の放水装置から受信した情報に基づいて何れかの放水装置を選択する制御盤とを有する放水システムの更新方法において、
前記複数の放水装置の各々を、
前記火源位置の特定に用いられるセンサと、前記旋回角度及び前記俯仰角度を取得する取得部と、前記俯仰角度を前記区域情報に変換する第1変換部と、動作モードを第1モードと第2モードとの何れかに切り替える第1切替部と、前記第1モードにおいては、前記火源位置を示す情報として前記旋回角度及び前記区域情報を送信し、前記第2モードにおいては、前記火源位置を示す情報として前記旋回角度及び前記俯仰角度を送信する第1通信部と、を有する放水装置、に置き換え、当該放水装置の動作モードを前記第1モードに切り替える第1移行段階と、
前記制御盤を、
前記火源位置を示す情報として、前記旋回角度と前記俯仰角度とを受信する第2通信部と、前記第2通信部により受信された前記俯仰角度を前記区域情報に変換する第2変換部と、前記旋回角度及び前記区域情報を用いて放水装置を選択する選択部と、を有する制御盤に置き換え、前記第1移行段階にて置き換えた前記複数の放水装置の動作モードを前記第2モードに切り替える第2移行段階と、
を含む、更新方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、防災システム、放水装置、及び放水システムの更新方法に関する。
【背景技術】
【0002】
建物の内部空間等の監視領域における火災の発生を検知する火災検知システム、或いは検知した火災を放水により消火する放水システム等の防災システムの発明が種々提案されている。例えば、特許文献1には、複数の動作モードを有する火災検出消火システムが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
防災システムには、種々の装置が含まれる。具体的には、放水システムであれば、1又は複数の放水装置と放水装置を制御するための制御盤とが含まれる。この種の放水システムでは、各装置を新型の装置に置き換えるシステム更新が行われる場合がある。しかし、防災システムを構成する各装置は高額である場合が多く、システムを構成する全ての装置を一斉に置き換えることが費用的な制約により難しい場合がある。このため、防災システムを構成する全ての装置を一斉に置き換えるのではなく、第1移行段階では放水装置を置き換え、第1移行段階に後続する第2移行段階では制御盤を置き換えるといった具合に、段階的に装置の置き換えが行われる場合がある。また、段階的に装置の置き換えが行われる場合、各移行段階が年単位の間隔を空けて実行される場合もある。
【0005】
防災システムを構成する各装置を段階的に置き換える場合、旧型の装置と新型の装置とが混在するといった事態が発生する。旧型の装置と新型の装置とでは、やり取りする情報が異なる場合がある。旧型の装置と新型の装置とで、やり取りする情報が異なっていると、旧型の装置と新型の装置とを混在させることができない場合があり、システムの段階的な更新に支障が生じる。新型の装置が、旧型の装置のやり取りする情報に対応している場合には、システムの段階的な更新に支障は生じないが、システムを構成する全ての装置が新型の装置に置き換えられても、新型の動作を行うことができない場合がある。
【0006】
本開示は以上に説明した課題に鑑みて為されたものであり、防災システムを構成する装置をシステムの更新状況に応じた動作モードで動作させることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するために本開示の第1の態様に係る防災システムは、センサと、取得部と、変換部と、切替部と、を含む。センサは、監視領域における火源位置の特定に用いられる。取得部は、旋回方向における前記火源位置を示す旋回角度、及び俯仰方向における前記火源位置を示す俯仰角度を取得する。変換部は、前記監視領域の複数の区域のうち前記俯仰角度に対応する区域を示す区域情報に前記俯仰角度を変換する。切替部は、動作モードを、前記火源位置を示す情報として前記旋回角度及び前記区域情報を用いる第1モードと、前記火源位置を示す情報として前記旋回角度及び前記俯仰角度を用いる第2モードとの何れかに切り替える。
【発明の効果】
【0008】
本開示によれば、防災システムを構成する装置をシステムの更新状況に応じた動作モードで動作させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】本開示の一実施形態に係る放水装置及び中央制御盤を含む放水システムの構成の一例を示す図である。
【
図3】放水装置の記憶部に記憶されている変換テーブルを説明するための図である。
【
図5】放水装置、中央制御盤及び現地制御盤を置き換える前の現行の放水システムの構成例を示す図である。
【
図6】本開示の更新方法の流れを示すフローチャートである。
【
図7】第1移行段階を経た放水システムの構成例を示す図である。
【
図8】第2移行段階を経た放水システムの構成例を示す図である。
【
図9】第1移行段階を経た放水システムにおける各装置の動作の流れを示すシーケンスチャートである。
【
図10】第2移行段階を経た放水システムにおける各装置の動作の流れを示すシーケンスチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0010】
(A:実施形態)
(A-1:放水システムの構成)
図1は、本開示の一実施形態に係る放水装置30A及び中央制御盤20Aを含む放水システム1Aの構成の一例を示す図である。放水システム1Aは、監視領域で火災が発生すると炎を検知し、火源に向けて放水する。放水システム1Aは、例えば一般アトリウムや体育館等の中規模空間に設置される。例えば放水システム1Aが体育館に設置される場合、放水システム1Aの設置先の体育館内が監視領域となる。
図1に示されるように、放水システム1Aは、火災検知器10と、火災受信機15と、中央制御盤20Aと、現地制御盤40Aと、放水装置30Aとを備える。
【0011】
火災受信機15には、信号線を介して火災検知器10が接続される。火災受信機15と中央制御盤20Aとは、信号線を介して接続される。中央制御盤20Aと放水装置30Aとは、信号線を介してループ接続される。同様に、現地制御盤40Aと放水装置30Aとは、信号線を介してループ接続される。なお、
図1では、火災検知器10、火災受信機15、現地制御盤40A、及び放水装置30Aが夫々一つずつ図示されているが、これらの装置は夫々複数設けられている。
【0012】
火災検知器10は、監視領域に設置され、当該監視領域において発生する火災を検知する。火災検知器10の例としては、煙を検知する煙感知器が挙げられる。火災検知器10は、火災を検知すると火災信号を火災受信機15に送信する。火災受信機15は、火災検知器10から火災信号を受信すると、火災移報信号を中央制御盤20Aに送信する。なお、火災受信機15に発信機が接続されている場合、発信機の押し釦の押下に応じて火災受信機15から中央制御盤20Aに火災移報信号が送信されてもよい。
【0013】
中央制御盤20Aは、放水システム1Aに含まれる各装置を制御する。中央制御盤20Aは、火災受信機15から火災移報信号を受信すると、放水装置30Aを起動して火災の発生位置(以下、火源位置)を特定させる。中央制御盤20Aは、放水システム1Aに含まれる複数の放水装置30Aの何れかから火源位置を示す火源位置情報を受信すると、複数の放水装置30Aのうちで火源に最も確実に放水し得る放水装置30Aを選択し、選択した放水装置30Aからの放水を現地制御盤40Aに指示する。
【0014】
現地制御盤40Aは、中央制御盤20Aからの指示に従って、火源に最も確実に放水し得る放水装置30Aから火源位置に向けて放水を行わせる。
【0015】
放水装置30Aは、中央制御盤20Aからの制御に従って火源位置を特定し、火源位置情報を中央制御盤20Aに送信する。また、放水装置30Aは、現地制御盤40Aによる制御の下、火源位置に向けて放水を行う。
【0016】
(A-1-1:放水装置の電気的な構成)
図2は、放水装置30Aの電気的な構成の一例を示す図である。放水装置30Aは、制御部31と、通信部32と、センサ部33と、放水ノズル34と、旋回駆動部35と、俯仰駆動部36と、記憶部37と、とを備える。放水装置30Aの各部は、バスにより接続されている。
【0017】
制御部31は、放水装置30Aの各部を制御する。
図2では詳細な図示を省略したが、制御部31は、メモリとプロセッサとにより構成される。記憶部37は、例えばRAMとEEPROMとを含む。記憶部37には、放水装置30Aの機能を実現するためのプログラムが予め記憶されている。制御部31のプロセッサは、例えば一又は複数のCPUを含む。制御部31のプロセッサは、記憶部37に記憶されたプログラムを実行する。
【0018】
制御部31のプロセッサは、記憶部37に記憶されたプログラムに従って作動することにより、火源探索処理及び炎検知処理を実行する。火源探索処理は、監視領域の赤外線画像において高温となる部分を熱源、即ち火源として特定する処理である。炎検知処理は、火源探索処理にて特定された火源が炎であるか否かを判定する処理である。
【0019】
また、制御部31のプロセッサは、記憶部37に記憶されたプログラムに従って作動することにより、
図2に示す切替部310、取得部311、及び変換部312として機能する。本実施形態の放水装置30Aは、第1モードと第2モードの2つの動作モードを有する。切替部310は、記憶部37に記憶された設定値に基づいて、放水装置30Aの動作モードを第1モードと第2モードの何れかに設定する。つまり、切替部310は、放水装置30Aの動作モードを第1モードと第2モードの何れかに切り替える。記憶部37に記憶された設定値は、例えば放水装置30Aの設置作業及び保守作業を行う作業員による中央制御盤20A又は現地制御盤40Aの操作に応じて、第1モードを設定する設定値と第2モードを設定する設定値との何れかに変更される。切替部310は本開示における第1切替部の一例である。
【0020】
取得部311は、火源位置情報として、放水装置30Aから見た火源位置の旋回方向の角度である旋回角度と同火源位置の俯仰方向の角度である俯仰角度を取得する。旋回方向は左右方向ともいい、略水平方向である。一方、俯仰方向は上下方向ともいい、略鉛直方向である。旋回方向と俯仰方向とは互いに直交する。以下では、旋回方向、即ち左右方向はX方向と称され、俯仰方向、即ち上下方向はZ方向と称される場合がある。また、X方向及びZ方向の両者に直交する方向はY方向と称される場合がある。
【0021】
変換部312は、第1モードでは、記憶部37の記憶内容、より具体的には記憶部37に記憶された変換テーブル、を参照して俯仰角度を俯仰チャネルに変換する。変換部312は、第2モードでは、俯仰角度から俯仰チャネルへの変換を行わない。変換部312は本開示における第1変換部の一例である。
図3(A)は、記憶部37に記憶された変換テーブルの一例を示す図であり、
図3(B)は俯仰チャネルを説明するための図である。
図3(B)に示されるように、本実施形態では、俯仰チャネルとして、放水装置30Aから見た俯仰角度が大きい順、即ちY方向に沿って放水装置30Aから遠ざかる順に1ch~8chの8個のチャネルが設定されている。なお、
図3(A)及び
図3(B)における防護半径とは、放水装置30Aからの放水が届く最大距離のことをいう。1ch~8chの8個のチャネルは、監視領域を8個の区域に分割した各区域を示す区域情報の一例である。
【0022】
図3(A)に示されるように、変換テーブルには、放水装置30Aの機種を示すノズル識別子に対応付けて、当該放水装置30Aの設置高さの下限及び上限(単位はメートル)と、互いに隣り合う俯仰チャネルの境界に対応する俯仰角度(当該上限及び下限の示す範囲内の高さに設置された放水装置30Aから見た俯仰角度:単位は度)とが、互いに対応付けて格納される。また、記憶部37には、放水装置30Aの設置の際に、設置高さを示す設置高さ情報が記憶される。
【0023】
例えば、放水装置30Aのノズル識別子が“NMSxxx”であり、放水装置30Aの設置高さが7.0メートルであり、取得部311により取得された俯仰角度が37度であったとする。
図3(A)に示されるように、ノズル識別子が“NMSxxx”であり、放水装置30Aの設置高さが7.0メートルである場合、3chと4chの境界の俯仰角度は27.5度であり、4chと5chの境界の俯仰角度は37.5度であるから、変換部312は、取得部311により取得された俯仰角度(37度)を4chに変換する。
【0024】
通信部32は、制御部31による制御の下、中央制御盤20A及び現地制御盤40Aと各種の情報の送受信、即ち中央制御盤20A及び現地制御盤40Aとの通信を行う。通信部32から中央制御盤20Aへ送信される情報の一例としては、火源位置情報が挙げられる。第1モードでは、火源位置情報として、放水装置30Aから見た火源位置の旋回角度及び俯仰チャネルを表す情報が用いられる。第2モードでは、火源位置情報として、放水装置30Aから見た火源位置の旋回角度及び俯仰角度が用いられる。詳細については後述するが、第1モードは中央制御盤20Aによる置き換え対象となる旧型の中央制御盤との通信に対応した動作モードであり、第2モードは中央制御盤20Aとの通信に対応した動作モード、即ち新型の中央制御盤との通信に対応した動作モードである。通信部32は本開示における第1通信部の一例である。
【0025】
センサ部33は、旋回方向及び俯仰方向の二つの軸方向に回動し、火源を探査して火源位置を確定するための動作を行う。センサ部33は、赤外線カメラ331と、赤外線センサ332とを有する。赤外線カメラ331は、旋回方向及び俯仰方向に回動しながら赤外線画像を撮像する。火源探索処理では、赤外線カメラ331により撮影された監視領域の赤外線画像に基づいて火源が特定される。赤外線センサ332は、例えば焦電素子であり、炎から発せられる赤外光を感知することにより炎を検知する。赤外線センサ332は、二波長赤外線センサであってもよい。炎検知処理では、赤外線センサ332の出力に基づいて、火源探索処理にて特定された火源が炎であるか否かが判定される。
【0026】
放水ノズル34は、センサ部33により火源が確定されると、制御部31による制御の下、旋回方向に回動して火源の方向を向く。放水ノズル34は、制御部31による制御の下、現地制御盤40Aによる制御に従って火源に向けて放水する。つまり、制御部31は、放水ノズル34の放水を制御する。
【0027】
旋回駆動部35は、制御部31による制御の下、センサ部33及び放水ノズル34を旋回軸を中心に旋回方向に回動させる。旋回駆動部35は、例えばモータと、モータドライバと、エンコーダとを含む。モータは、モータドライバによる制御の下、センサ部33及び放水ノズル34を旋回方向に回動させる。つまり、センサ部33と放水ノズル34とは共に旋回方向に回動する。モータドライバは、制御部31による制御の下、モータを制御する。エンコーダは、旋回角度を検出する。制御部31は当該エンコーダにより検出された旋回角度に応じてモータドライバを制御することにより、旋回駆動部35を制御する。
【0028】
俯仰駆動部36は、制御部31による制御の下、センサ部33を俯仰軸を中心に俯仰方向に回動させる。つまり、センサ部33は放水ノズル34とは独立して俯仰方向に回動する。俯仰駆動部36は、例えばモータと、モータドライバと、エンコーダとを含む。モータは、モータドライバによる制御の下、センサ部33を俯仰方向に回動させる。モータドライバは、制御部31による制御の下、モータを制御する。エンコーダは、俯仰角度を検出する。制御部31は当該エンコーダにより検出された俯仰角度に応じてモータドライバを制御することにより、俯仰駆動部36を制御する。
以上が放水装置30Aの構成である。
【0029】
(A-1-2:中央制御盤の構成)
図4は、中央制御盤20Aの電気的な構成の一例を示す図である。中央制御盤20Aは、本開示における制御盤の一例である。中央制御盤20Aは、制御部21と、通信部22と、表示部23と、操作部24と、記憶部25と、を備える。中央制御盤20Aの各部は、バスにより接続されている。
【0030】
通信部22は、放水装置30Aと各種の信号の送受信、即ち、放水装置30Aとの通信を行う。通信部32は、放水装置30Aから火源位置情報として、旋回角度と俯仰角度とを受信する。通信部22は本開示における第2通信部の一例である。
【0031】
表示部23は、例えばディスプレイ装置である。表示部23は、制御部21による制御の下、各種情報を表示する。操作部24は、例えばボタン等の操作子を備える。操作部24は、操作子に対する操作内容を示すデータを制御部21へ出力する。
【0032】
制御部21は、中央制御盤20Aの各部を制御する。
図4では詳細な図示を省略したが、制御部21は、メモリとプロセッサとにより構成される。記憶部25は、例えばRAMとEEPROMとを含む。記憶部25には、中央制御盤20Aの機能を実現するためのプログラムと、前述の変換テーブルと、放水装置30Aの設置高さを示す情報とが予め記憶されている。制御部21のプロセッサは、例えば一又は複数のCPUを含み、記憶部25に記憶されたプログラムを実行する。
【0033】
中央制御盤20Aは、第3モードで動作する。詳細については後述するが、第3モードは中央制御盤20Aによる置き換え対象となる旧型の中央制御盤と同様の動作モードであり、中央制御盤20A特有の動作モード、即ち新型の中央制御盤特有の動作モードとは異なる。記憶部25に記憶されたデータベースには、第3モードで動作することが設定されている。なお、データベースにおける動作モードの設定は、中央制御盤20Aを製造する工場に限り、変更することができる。
【0034】
制御部21のプロセッサは、記憶部25に記憶されたプログラムに従って作動することにより、
図4に示す変換部211及び選択部212として機能する。変換部211は、第3モードでは、通信部22により受信した火源位置情報に含まれる俯仰角度を、記憶部25に記憶された変換テーブルを参照して俯仰チャネルに変換する。変換部211は本開示における第2変換部の一例である。
【0035】
選択部212は、第3モードでは、旋回角度及び俯仰チャネルを用いて複数の放水装置30Aのうちの何れかを選択する。より具体的には、第3モードでは、選択部212は、火源位置が放水範囲に最も確実に含まれる放水装置30Aを選択する。放水装置30Aを選択する基準の一つとしては、火源位置が俯仰チャネル1ch~7chの範囲に含まれるか否かが挙げられる。放水装置30Aを選択する方法には既知の技術を使用すればよいため、その詳細な説明を省略する。
以上が中央制御盤20Aの構成である。
【0036】
(A-2:システム更新の流れ)
前述したように、放水システム等の防災システムでは、システムを構成する全ての装置が一斉に更新されるのではなく、第1移行段階では放水装置が更新され、第2移行段階では中央制御盤が更新されるといった具合に、装置が段階的に更新される場合がある。
図1に示される放水システム1Aも、
図5に示される旧型の放水システム1Bを構成する各装置を段階的に更新することで構成されたものである。
【0037】
図1と
図5とを対比すれば明らかなように、放水システム1Bは、放水装置30Aに代えて放水装置30Bを有する点、及び中央制御盤20Aに代えて中央制御盤20Bを有する点、及び現地制御盤40Aに代えて現地制御盤40Bを有する点、において放水システム1Aと異なる。本実施形態では、放水装置30A、中央制御盤20A及び現地制御盤40Aが新型の装置であり、放水装置30B、中央制御盤20B及び現地制御盤40Bは旧型の装置である。旧型の装置である放水装置30B及び中央制御盤20Bでは、火源位置情報として旋回角度及び俯仰チャネルが用いられる。なお、現地制御盤40A及び現地制御盤40Bについては本開示と直接的に関連しないため、詳細な説明を省略した。
【0038】
図6は、放水システム1Bを放水システム1Aに更新する更新方法の流れを示すフローチャートである。
図6における更新前システムとは放水システム1Bのことであり、
図6における更新後システムとは放水システム1Aのことである。
図6に示される更新方法は、本開示の更新方法の一例である。
図6に示されるように、本開示の更新方法は、第1移行段階、第2移行段階、及び第3移行段階の3つの段階を含む。
【0039】
第1移行段階では、放水システム1Bに含まれる放水装置30Bが放水装置30Aに置き換えられ、当該放水装置30Aの動作モードが第1モードに設定される。この結果、放水システム1Bは、
図7に示される放水システム1Cに更新される。放水システム1Cにおける中央制御盤20Bは旧型の装置であるが、動作モードを第1モードに設定した放水装置30Aは火源位置情報として旋回角度及び俯仰チャネルを送信するため、新型の装置である放水装置30Aと旧型の装置である中央制御盤20Bとが混在しても、両装置間の通信に特段の問題は生じない。
【0040】
第1移行段階に後続する第2移行段階では、放水システム1Cに含まれる中央制御盤20Bが中央制御盤20Aに置き換えられ、且つ放水装置30Aの動作モードが第2モードに切り替えられる。この結果、放水システム1Cは、
図8に示される放水システム1Dに更新される。なお、第1移行段階の完了から第2移行段階の開始までに年単位の時間が経過しても特段の問題はない。動作モードを第2モードに設定した放水装置30Aは火源位置情報として旋回角度及び俯仰角度を送信するが、中央制御盤20Aは、受信した俯仰角度を俯仰チャネルに変換して放水装置30Aの選択を行うため、放水システム1Bにおけるものと同じ選択アルゴリズムにより放水装置30Aが選択される。
【0041】
第2移行段階では、放水装置30A及び中央制御盤20Aが何れも新型の装置であり、且つ放水装置30Aが新型の動作を行う場合であっても、旧型の選択アルゴリズムを使用して火源に最も確実に放水し得る放水装置30Aを選択することができる。
【0042】
第2移行段階に後続する第3移行段階では、現地制御盤40Bが現地制御盤40Aに置き換えられるが、現地制御盤の置き換えが不要である場合には、第3移行段階は省略されてもよい。
以上が放水システム1Bを放水システム1Aに更新する更新方法の流れである。
【0043】
(A-3:放水システムの動作)
次いで、第1移行段階、第2移行段階、及び第3移行段階の各段階を経た放水システムの動作を、図面を参照しつつ説明する。
【0044】
(A-3-1:第1移行段階を経た放水システムの動作)
図9は、第1移行段階を経た放水システム、即ち放水システム1Cにおける各装置の動作の流れを示すシーケンスチャートである。中央制御盤20Bは、火災受信機15から火災移報信号を受信すると、放水装置30Aに起動信号を送信する。中央制御盤20Bから起動信号を受信すると、放水装置30Aの制御部31はセンサ部33を用いて火源の探査を開始する(スキャン開始)。
【0045】
火源の探査が開始されると、まず、制御部31は旋回駆動部35によりセンサ部33を例えば60度等の所定角度ずつ旋回方向に回動させる。このとき、センサ部33の俯仰角度は、監視領域の底面全体を撮影し得る角度に固定される。センサ部33に含まれる赤外線カメラ331は、所定角度毎に監視領域の赤外線画像を撮影する。制御部31は、赤外線画像において高温となる部分をおおよその火源位置として特定する(プレスキャン)。
【0046】
所定の角度が60度である場合、センサ部33は、制御部31の制御に従って、まず、
図9に示される監視領域の範囲R1の赤外線画像を赤外線カメラ331を用いて撮影する。続いて、旋回駆動部35は、制御部31の制御に従って、センサ部33を旋回方向に所定の角度だけ回転させる。センサ部33は、制御部31の制御に従って、監視領域の範囲R2の赤外線画像を赤外線カメラ331を用いて撮影する。続いて、旋回駆動部35は、制御部31の制御に従って、センサ部33を旋回方向に所定の角度だけ回転させる。センサ部33は、制御部31の制御に従って、監視領域の範囲R3の赤外線画像を赤外線カメラ331を用いて撮影する。制御部31は、赤外線カメラ331により撮影された監視領域の範囲R1~R3の赤外線画像を解析する。
図9に示される例では、範囲R2に火源が含まれるため、範囲R2の赤外線画像には高温の部分が含まれる。そのため、制御部31は、範囲R2の赤外線画像において高温の部分をおおよその熱源位置として特定する。
【0047】
プレスキャンが完了すると、制御部31は俯仰駆動部36によりセンサ部33を俯仰方向に回転させ、赤外線カメラ331を用いて俯仰方向における熱源位置を特定する(俯仰角詳細スキャン)。
【0048】
具体的には、俯仰角詳細スキャンでは、俯仰駆動部36は、制御部31の制御に従って、センサ部33が熱源位置の近傍を向く俯仰角度の範囲において、センサ部33を俯仰方向に所定角度ずつ回転させる。この所定角度は、プレスキャンで用いられる所定角度より小さい。このとき、センサ部33の旋回角度は、制御部31の制御に従って、熱源位置周辺の方向を向く角度に固定される。赤外線カメラ331は、俯仰方向に回動し、制御部31の制御に従って所定角度毎に赤外線画像を撮影する。制御部31は、赤外線カメラ331により撮影された赤外線画像を解析し、その赤外線画像の解析結果から俯仰方向における熱源位置、即ち放水装置30Aから見た熱源位置の俯仰角度を特定する。この俯仰角詳細スキャンで特定される俯仰方向における熱源位置は、上述したプレスキャンにより特定される熱源位置よりも精度が高い。
【0049】
続いて、制御部31は旋回駆動部35によりセンサ部33を旋回方向に回動させ、赤外線カメラ331を用いて旋回方向におけるより詳細な熱源位置、即ち放水装置30Aから見た熱源位置の旋回角度を特定する(旋回角詳細スキャン)。
【0050】
具体的には、旋回角詳細スキャンでは、旋回駆動部35は、制御部31の制御に従って、センサ部33が熱源位置の近傍を向く旋回角度の範囲において、センサ部33を旋回方向に所定角度ずつ回転させる。この所定角度は、プレスキャンで用いられる所定角度より小さい。つまり、旋回角詳細スキャンでは、上述したプレスキャンによりも熱源位置が細かく探査される。このとき、センサ部33の俯仰角度は、俯仰角詳細スキャンにおいて特定された熱源位置の方向を向く角度に固定される。赤外線カメラ331は、旋回方向に回動し、制御部31の制御に従って所定角度毎に赤外線画像を撮影する。制御部31は、赤外線カメラ331により撮影された赤外線画像を解析し、その赤外線画像の解析結果から旋回方向における熱源位置を特定する。この旋回角詳細スキャンで特定される旋回方向における熱源位置は、上述したプレスキャンにより特定される熱源位置よりも精度が高い。
【0051】
俯仰角詳細スキャン及び旋回角詳細スキャンが完了すると、制御部31は、赤外線センサ332の正面が俯仰角詳細スキャン及び旋回角詳細スキャンにおいて特定された熱源位置の方向を向くように、旋回駆動部35及び俯仰駆動部36によりセンサ部33を旋回方向及び俯仰方向に回動させる。赤外線センサ332の正面を俯仰方向において熱源位置の方向に向くとは、赤外線センサ332のセンサ面の中心と熱源位置とを通る直線が当該センサ面の直交する状態にするこという。赤外線センサ332は、正面の熱源位置から炎の検知を行う。
【0052】
次いで、制御部31は、赤外線センサ332による検知結果に応じて、炎の有無を判定する(炎有無判定)。制御部31により炎が有ると判定されると、制御部31は、熱源位置を表す旋回角度及び俯仰角度を取得部311により取得し、取得した俯仰角度を変換部312を用いて俯仰チャネルに変換する(俯仰角度を俯仰チャネルに変換)。通信部32は、熱源の位置を示す旋回角度及び俯仰チャネルを、放水装置30Aから見た火源位置を表す火源位置情報として中央制御盤20Bに送信する。
【0053】
中央制御盤20Bは、火源位置情報(旋回角度及び俯仰チャネル)に基づいて火源に最も確実に放水し得る放水装置30Aを選択し、その放水装置30Aから火源位置に向けた放水を指示する放水信号を当該放水装置30Aを介して現地制御盤40Bに送信する。当該放水信号を中継した放水装置30Aの制御部31は、旋回駆動部35により、火源位置の方向を向くように放水ノズル34を、旋回方向に回動させる。現地制御盤40Bは、選択された放水装置30Aの放水ノズル34の弁を制御し、火源位置に向けて放水を開始させる。
【0054】
(A-3-2:第2移行段階を経た放水システムの動作)
図10は、第2移行段階を経た放水システム、即ち放水システム1Dにおける各装置の動作の流れを示すシーケンスチャートである。
図10と
図9とを比較すれば明らかなように、放水システム1Dに含まれる放水装置30Aのスキャン開始から炎有無判定の動作は、放水システム1Cに含まれる放水装置30Aの動作と同一である。放水システム1Dに含まれる放水装置30Aは、炎が有ると判定した場合に、熱源位置を表す旋回角度及び俯仰角度を、火源位置情報として中央制御盤20Aに送信する。つまり、放水システム1Dに含まれる放水装置30Aの動作は、俯仰角度の俯仰チャネルへの変換を含まない点において放水システム1Cに含まれる放水装置30Aの動作と異なる。
【0055】
中央制御盤20Aの制御部21は、放水装置30Aから受信した火源位置情報に含まれる俯仰角度を変換部211を用いて俯仰チャネルに変換する。以降、中央制御盤20Aの制御部21は、俯仰チャネルと火源位置情報に含まれる旋回角度と基づいて火源に最も確実に放水し得る放水装置30Aを選択し、その放水装置30Aから火源位置に向けた放水を指示する放水信号を当該放水装置30Aを介して現地制御盤40Bに送信する。当該放水信号を中継した放水装置30Aの制御部31は、旋回駆動部35により、火源位置の方向を向くように放水ノズル34を、旋回方向に回動させる。現地制御盤40Bは、選択された放水装置30Aの放水ノズル34の弁を制御し、火源位置に向けて放水を開始させる。
【0056】
(A-3-3:第3移行段階を経た放水システムの動作)
放水システム1Aに含まれる放水装置30Aの動作は、第2移行段階を経た放水システム1Dに含まれる放水装置30Aの動作と同一であり、また、放水システム1Aに含まれる中央制御盤20Aの動作は、第2移行段階を経た放水システム1Dに含まれる中央制御盤20Aの動作と同一であるため、詳細な説明は省略する。
【0057】
以上説明したように本実施形態によれば、防災システムを構成する装置をシステムの更新状況に応じた動作モードで動作させることができ、新型の装置と旧型の装置とが混在しても特段の問題は生じず、システムの段階的な更新が容易となる。
【0058】
(B:変形例)
以上が実施形態の説明であるが、この実施形態の内容は以下のように変形され得る。また、以下の変形例は組み合わされてもよい。
(1)放水システム1Bに含まれる複数の放水装置30Bの全てが一斉に放水装置30Aに置き換えられなくてもよい。例えば、放水システム1Bに含まれる複数の放水装置30Bのうちの半分が放水装置30Aに置き換えられ、当該置き換えから数か月~一年程度の時間が経過した時点で残りの放水装置30Bが放水装置30Aに置き換えられてもよい。
【0059】
(2)赤外線カメラに代えて可視光カメラが用いられてもよい。また、焦電素子に代えて、フォトダイオードが用いられてもよい。また、センサ部33に設けられる火源位置の特定に用いられるセンサの数は2個には限定されず、3個以上のセンサが用いられてもよい。
【0060】
(3)放水ノズル34は本開示の必須構成要素ではなく、本開示は放水機能を有さない防災システム、例えば火源探査システムに適用されてもよい。本開示の火源探査システムは、センサと、取得部と、変換部と、切替部とを備えていればよい。センサは、監視領域における火源位置の特定に用いられる。取得部は、旋回方向における火源位置を示す旋回角度、及び俯仰方向における火源位置を示す俯仰角度を取得する。変換部は、監視領域の複数の区域のうち俯仰角度に対応する区域を示す区域情報に俯仰角度を変換する。切替部は、動作モードを、火源位置を示す情報として旋回角度及び区域情報を用いる第1モードと、火源位置を示す情報として旋回角度及び俯仰角度を用いる第2モードとの何れかに切り替える。
【0061】
(4)更新後の放水システム1Aでは、新型の中央制御盤20A特有の動作モードに従って動作が行われてもよい。この場合、更新後の放水システム1Aに含まれる放水装置30Aの動作は、
図10に示される第2移行段階を経た放水システム1Dに含まれる放水装置30Aの動作と同一であるが、更新後の放水システム1Aに含まれる中央制御盤20Aの動作は、
図10に示される第2移行段階を経た放水システム1Dに含まれる中央制御盤20Aの動作とは異なる。新型の中央制御盤20A特有の動作モードでは、中央制御盤20Aの変換部211は俯仰角度から俯仰チャネルへの変換を行わず、選択部212は新型の選択アルゴリズムにより旋回角度及び俯仰角度を用いて複数の放水装置30Aのうちの何れかを選択する。
【符号の説明】
【0062】
1A,1B,1C,1D:放水システム、10:火災検知器、15:火災受信機、20A,20B:中央制御盤、40A,40B:現地制御盤、30A,30B:放水装置、21,31:制御部、22,32:通信部、23:表示部、24:操作部、33:センサ部、34:放水ノズル、25,37:記憶部、35:旋回駆動部、36:俯仰駆動部、310:切替部、211,312:変換部、212:選択部、311:取得部、331:赤外線カメラ、332:赤外線センサ。