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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024017014
(43)【公開日】2024-02-08
(54)【発明の名称】歯科用硬化性組成物及びキット
(51)【国際特許分類】
   A61K 6/30 20200101AFI20240201BHJP
   A61K 6/61 20200101ALI20240201BHJP
   A61K 6/60 20200101ALI20240201BHJP
【FI】
A61K6/30
A61K6/61
A61K6/60
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022119369
(22)【出願日】2022-07-27
(71)【出願人】
【識別番号】391003576
【氏名又は名称】株式会社トクヤマデンタル
(74)【代理人】
【識別番号】110003339
【氏名又は名称】弁理士法人南青山国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】中西 健太
(72)【発明者】
【氏名】岸 裕人
【テーマコード(参考)】
4C089
【Fターム(参考)】
4C089AA06
4C089BB05
4C089BC02
4C089BC06
4C089BC07
4C089BC08
4C089BC10
4C089BD01
(57)【要約】
【課題】歯科材料として望ましい硬化挙動を有する歯科用硬化性組成物を提供する。
【解決手段】100質量部の(A)重合性単量体と、0.05~5質量部の(B)パーオキシエステル化合物と、0.001~0.05質量部の(C)二価の銅化合物と、0.05~2.5質量部の(D)サッカリン化合物と、0.05~2.5質量部の(E)銅に対する還元剤と、を含有することを特徴とする歯科用硬化性組成物。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
100質量部の(A)重合性単量体と、
0.05~5質量部の(B)パーオキシエステル化合物と、
0.001~0.05質量部の(C)二価の銅化合物と、
0.05~2.5質量部の(D)サッカリン化合物と、
0.05~2.5質量部の(E)銅に対する還元剤と、
を含有することを特徴とする歯科用硬化性組成物。
【請求項2】
前記(E)が、(e1)電子吸引基を有さない芳香族アミン化合物と、(e2)(チオ)バルビツール酸化合物と、(e3)チオ尿素化合物と、(e4)複素環式チオール化合物と、の少なくとも1つである
ことを特徴とする請求項1に記載の歯科用硬化性組成物。
【請求項3】
前記(A)~(E)を23℃で混合してから、23℃で保持して温度上昇が開始するまでの時間をt1(秒)とし、37℃で保持して温度が発熱ピークに到達するまでの時間をt2(秒)とすると、t1-t2が50秒以上である
ことを特徴とする請求項1に記載の歯科用硬化性組成物。
【請求項4】
50~1500質量部の(F)充填材をさらに含有する
ことを特徴とする請求項1から3のいずれか1項に記載の歯科用硬化性組成物。
【請求項5】
相互に隔離された第1剤と第2剤とから構成され、
前記(A)が前記第1剤と前記第2剤との少なくとも一方に含まれ、
前記(B)及び前記(C)が、前記第1剤に含まれ、前記第2剤に含まれず、
前記(D)及び前記(E)が、前記第1剤に含まれず、前記第2剤に含まれる
ことを特徴する請求項1に記載の歯科用硬化性組成物を調製するためのキット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、酸化剤と還元剤とを反応させて重合を開始させる硬化性組成物に関する。詳しくは、良好な硬化挙動を有する歯科用硬化性組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
(メタ)アクリレートをベースにした材料は、塗料、印刷材料、接着材、歯科材料などの幅広い分野で使用されている。例えば歯科分野においては、ボンディング材、レジンセメント、レジン強化型グラスアイオノマー、コンポジットレジンなど各種材料に応用されている。これらの材料は通常、ラジカル重合によって硬化する。ラジカルの発生は、光重合開始剤、熱重合開始剤、化学(レドックス)重合開始剤から用途に応じて選ばれる1種又は複数種の重合開始剤によって行われる。
【0003】
これらの重合開始剤の中で、化学重合開始剤は、光や熱の刺激を与えることが困難な用途に特に有用である。化学重合開始剤は、接触すると直ちに反応し得る還元剤と酸化剤との組合せを含むため、通常は、二つ以上に分けて保管する必要がある。化学重合開始剤を二つに分けて保管する形態としては、ペースト/ペースト、液体/液体、粉体/液体、液体/ペーストの組みあわせがある。
【0004】
歯科材料に用いる化学重合開始剤は、室温で硬化が進行しにくく、かつ口腔内で硬化が進行しやすいような硬化挙動の温度依存性を有することが望ましい。古くから知られている化学重合開始剤として、過酸化ベンゾイルと三級芳香族アミン化合物とを組合せた化学重合開始剤が挙げられる。しかしながら、この化学重合開始剤では、硬化挙動の温度依存性が小さく、上記のような硬化挙動の温度依存性が得られにくい。加えて、過酸化ベンゾイルは、熱安定性が低いため保存安定性が悪い。
【0005】
これに対し、特許文献1,2では、保存安定性を改善したラジカル重合開始剤が提案されている。このラジカル重合開始剤では、酸化剤としてハイドロパーオキサイドを用い、還元剤として種々のチオ尿素誘導体を用いている。ハイドロパーオキサイドは、過酸化ベンゾイル等と比較して熱安定性が高く、保存安定性に優れる。しかしながら、このラジカル重合開始剤でも、硬化挙動の温度依存性が高くはなく、依然として望ましい硬化挙動の温度依存性が得られにくい。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2014-227370号公報
【特許文献2】国際公開WO2014/156077号パンフレット
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、歯科材料として望ましい硬化挙動を有する歯科用硬化性組成物を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明者らは前記課題を解決すべく歯科用硬化性組成物の検討を行った。その結果、歯科材料として望ましい硬化挙動を有する歯科用硬化性組成物を見出した。
すなわち、本発明の一形態に係る歯科用硬化性組成物は、
100質量部の(A)重合性単量体と、
0.05~5質量部の(B)パーオキシエステル化合物と、
0.001~0.05質量部の(C)二価の銅化合物と、
0.05~2.5質量部の(D)サッカリン化合物と、
0.05~2.5質量部の(E)銅に対する還元剤と、
を含有することを特徴とする。
【0009】
上記歯科用硬化性組成物は、前記(E)が、(e1)電子吸引基を有さない芳香族アミン化合物と、(e2)(チオ)バルビツール酸化合物と、(e3)チオ尿素化合物と、(e4)複素環式チオール化合物と、の少なくとも1つであることが好ましい。
【0010】
上記歯科用硬化性組成物では、前記(A)~(E)を23℃で混合してから、23℃で保持して温度上昇が開始するまでの時間をt1(秒)とし、37℃で保持して温度が発熱ピークに到達するまでの時間をt2(秒)とすると、t1-t2が50秒以上であることが好ましい。
【0011】
上記歯科用硬化性組成物は、50~1500質量部の(F)充填材をさらに含有することが好ましい。
【0012】
本発明の一形態に係る上記歯科用硬化性組成物を調製するためのキットは、
相互に隔離された第1剤と第2剤とから構成され、
前記(A)が前記第1剤と前記第2剤との少なくとも一方に含まれ、
前記(B)及び前記(C)が、前記第1剤に含まれ、前記第2剤に含まれず、
前記(D)及び前記(E)が、前記第1剤に含まれず、前記第2剤に含まれる
ことを特徴する。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、歯科材料として望ましい硬化挙動を有する歯科用硬化性組成物を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】歯科用硬化性組成物の操作時間t1を説明するためのグラフである。
図2】歯科用硬化性組成物の硬化時間t2を説明するためのグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0015】
1.歯科用硬化性組成物の概要
本発明の一実施形態に係る歯科用硬化性組成物は、例えば、歯科用レジンセメントや歯科用支台築造材料などの歯科材料として好適に利用可能なように構成されている。本実施形態に係る歯科用硬化性組成物は、(A)重合性単量体と、(B)パーオキシエステル化合物と、(C)二価の銅化合物と、(D)サッカリン化合物と、(E)銅に対する還元剤と、を含有する。以下、本実施形態に係る歯科用硬化性組成物が含み得る成分について詳しく説明する。
【0016】
なお、本明細書においては特に断らない限り、数値x及びyを用いた「x~y」という表記は「x以上y以下」を意味するものとする。かかる表記において数値yのみに単位を付した場合には、当該単位が数値xにも適用されるものとする。また、本明細書において、「(メタ)アクリレート」との用語は「アクリレート」及び「メタクリレート」の両者を意味し、「(メタ)アクリロイル」との用語は「アクリロイル」及び「メタクリロイル」の両者を意味する。
【0017】
2.歯科用硬化性組成物の構成成分
2-1 (A)重合性単量体
本実施形態に係る歯科用硬化性組成物では、主成分として(A)重合性単量体を使用する。(A)重合性単量体は、1分子中に少なくとも1つのラジカル重合性不飽和基を有する化合物である。本実施形態に係る歯科用硬化性組成物は、(A)重合性単量体がラジカル重合することによって硬化する。
【0018】
(A)重合性単量体は、1分子中に、1つ以上のラジカル重合性不飽和基を含む化合物であれば公知の化合物を特に制限無く用いることができる。(A)重合性単量体に含まれるラジカル重合性不飽和基としては、例えば、アクリロイル基、メタクリロイル基、アクリルアミド基、メタクリルアミド基、スチリル基等が挙げられる。本実施形態に係る歯科用硬化性組成物では、硬化性の観点から、(A)重合性単量体として、アクリロイル基、メタクリロイル基、アクリルアミド基、メタクリルアミド基の少なくとも1つをラジカル重合性不飽和基として含む化合物用いることが好ましい。
【0019】
(A)重合性単量体として好適に使用できる単官能性単量体及び多官能性単量体を例示すれば、次のようなものを挙げることができる。すなわち、単官能性単量体としては、例えば、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、グリジジル(メタ)アクリレート、2-シアノメチル(メタ)アクリレート、ベンジルメタアクリレート、ポリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、アリル(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、3-ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、グリセリルモノ(メタ)アクリレート等を挙げることができる。また、多官能性単量体としては、例えば、2,2'-ビス{4-[2-ヒドロキシ-3-(メタ)アクリロイルオキシプロポキシ]フェニル}プロパン、トリエチレングリコールメタクリレート、2,2-ビス[(4-(メタ)アクリロイルオキシポリエトキシフェニル)プロパン]、1,6-ビス(メタクリルエチルオキシカルボニルアミノ)-2,2,4-トリメチルヘキサン、1,6-ビス(メタクリルエチルオキシカルボニルアミノ)-2,4,4-トリメチルヘキサン、トリメチロールプロパントリメタクリレート等を挙げることができる。(A)重合性単量体としては、1種類のみを用いてもよく、2種類以上を組み合わせて用いてもよい。
【0020】
2-2 (B)パーオキシエステル化合物
本実施形態の歯科用硬化性組成物では、酸化剤として(B)パーオキシエステル化合物を使用する。(B)パーオキシエステル化合物は、(C)二価の銅化合物、(D)サッカリン化合物、及び(E)銅に対する還元剤と酸化還元反応することで硬化に必要な開始ラジカルを発生させるものと推測される。
【0021】
(B)パーオキシエステル化合物とは、R-C(=O)-O-O-R'(ただし、R、R'は任意の有機基)、又はR-O-C(=O)-O-O-R'(ただし、R、R'は任意の有機基)で示される構造を有する化合物である。本実施形態では、酸化剤として、このような構造を有するパーオキシエステル化合物を特に制限なく使用できる。本実施形態で好適に使用できるパーオキシエステル化合物を具体的に例示すれば、クミルパーオキシネオデカノエート、1,1,3,3-テトラメチルブチルパーオキシデカノエート、t-ヘキシルパーオキシネオデカノエート、t-ブチルパーオキシネオデカノエート、t-ヘキシルパーオキシピバレート、t-ブチルパーオキシピバレート、1,1,3,3-テトラメチルブチルパーオキシ-2-エチルヘキサノエート、2,5-ジメチル2,5-ジ(2-エチルヘキサノイルパーオキシ)ヘキサン、t-ヘキシルパーオキシ-2-エチルヘキサノエート、t-ブチルパーオキシ-2-エチルヘキサノエート、t-ヘキシルパーオキシイソプロピルモノカーボネート、t-ブチルパーオキシ-3,5,5-トリメチルヘキサノエート、t-ブチルパーオキシラウレート、t-ブチルパーオキシイソプロピルモノカーボネート、t-ブチルパーオキシ-2-エチルヘキシルモノカーボネート、t-ヘキシルパーオキシベンゾエート、2,5-ジ(ベンゾイルパーオキシ)ヘキサン、t-ブチルパーオキシアセテート、t-ブチルパーオキシ-3-メチルベンゾエート、t-ブチルパーオキシベンゾエート等を挙げることができる。本実施形態に係る歯科用硬化性組成物では、重合活性及び保存安定性の観点から、(B)パーオキシエステル化合物として、10時間半減期温度が80℃以上のパーオキシエステル化合物を用いることが好ましく、t-ブチルパーオキシ-3,5,5-トリメチルヘキサノエート、t-ブチルパーオキシラウレート、t-ブチルパーオキシ-2-エチルヘキシルモノカーボネート、t-ブチルパーオキシアセテート、t-ブチルパーオキシベンゾエートの少なくとも1つを用いることが特に好ましい。(B)パーオキシエステル化合物としては、1種類のみを用いてもよく、2種類以上を組み合わせて用いてもよい。
【0022】
また、本実施形態に係る歯科用硬化性組成物における(B)パーオキシエステル化合物の配合量は、(A)重合性単量体を100質量部としたとき、0.05~5質量部であり、硬化性の観点から0.25~2.5質量部であることが好ましい。
【0023】
2-3 (C)二価の銅化合物
本実施形態に係る歯科用硬化性組成物では、触媒として(C)二価の銅化合物を使用する。(C)二価の銅化合物は、(D)サッカリン化合物と(E)銅に対する還元剤とによって還元される。還元された銅化合物が(B)パーオキシエステル化合物と酸化還元反応することで開始ラジカルが生成するものと推測される。
【0024】
(C)二価の銅化合物は、水和物であっても無水物であってもよい。本実施形態で好適に使用できる二価の銅化合物を例示すれば、塩化銅(II)、硫酸銅(II)五水和物、硝酸銅(II)、トリフルオロメタンスルホン酸銅(II)、酢酸銅(II)一水和物、アセチルアセトン銅(II)、ナフテン酸銅(II)、サリチル酸銅(II)、安息香酸銅(II)、メタクリル酸銅(II)、フタル酸ブチル銅(II)、グルコン酸銅(II)、ジクロロ(1,10-フェナントロリン)銅(II)、エチレンジアミン四酢酸銅(II)二ナトリウム四水和物、ジメチルジチオカルバミン酸銅(II)、ジエチルチオカルバミン酸銅(II)、ヘキサフルオロアセチルアセトナト銅(II)、ビス(1,3-プロパンジアミン)銅(II)ジクロリド、ビス(8-キノリノラト)銅(II)等を挙げることができる。本実施形態に係る歯科用硬化性組成物では、保存安定性の観点から、(C)二価の銅化合物として、酢酸銅(II)一水和物、アセチルアセトン銅(II)の少なくとも1つを用いることが好ましい。(C)二価の銅化合物としては、1種類のみを用いてもよく、2種類以上を組み合わせて用いてもよい。
【0025】
また、本実施形態に係る歯科用硬化性組成物における(C)二価の銅化合物の配合量は、(A)重合性単量体を100質量部としたとき、0.001~0.05質量部であり、保存安定性の観点から0.005~0.03質量部であることが好ましい。
【0026】
2-4 (D)サッカリン化合物
本実施形態に係る歯科用硬化性組成物では、重合促進剤として(D)サッカリン化合物を使用する。(D)サッカリン化合物は、(C)二価の銅化合物や(E)銅に対する還元剤との相互作用により酸化還元反応を促進させているものと推測される。
【0027】
(D)サッカリン化合物は、下記一般式(1)で示される化合物である。
【化1】
(ここで、一般式(1)中、Mは、水素原子又は金属原子を表す。Rは、炭素数が1~5のアルキル基、炭素数が2~5の不飽和鎖式炭化水素基、ハロゲン原子、シリル基、又はアルキルシリル基を表す。nは、0~4の整数を表す。ただし、nが2~4であり複数のRが存在する場合、複数のRは同一であっても異なっていてもよい。)
【0028】
本実施形態に係る歯科用硬化性組成物では、(D)サッカリン化合物として、サッカリン、サッカリンナトリウム、サッカリンデナトニウムの少なくとも1つを用いることが好ましく、(A)重合性単量体への溶解性の観点からサッカリンを用いることがより好ましい。
【0029】
また、本実施形態に係る歯科用硬化性組成物における(D)サッカリン化合物の配合量は、(A)重合性単量体を100質量部としたとき、0.05~2.5質量部であり、硬化性の観点から0.3~1質量部であることが好ましい。
【0030】
2-5 (E)銅に対する還元剤
本実施形態に係る歯科用硬化性組成物では、(E)銅に対する還元剤を使用する。(E)銅に対する還元剤としては、(C)二価の銅化合物に含まれる二価の銅を一価の銅又は0価の銅に還元する還元能を有する化合物を特に制限なく用いることができる。本実施形態に係る歯科用硬化性組成物では、(E)銅に対する還元剤として、(e1)電子吸引基を有さない芳香族アミン化合物、(e2)(チオ)バルビツール酸化合物、(e3)チオ尿素化合物、(e4)複素環式チオール化合物の少なくとも1つを用いることが好ましい。
【0031】
(e1)電子吸引基を有さない芳香族アミン化合物は、芳香族環がエステル基、アミド基、ニトリル基、ニトロ基などに代表される電子吸引基を有さないことを特徴とする。(e1)電子吸引基を有さない芳香族アミン化合物として用いられる化合物としては、例えば、p-ジメチルアミノトルイジン、p-ジエチルアミノトルイジン、p-ジエタノールアミノトルイジン、p-ジメチルアニリン、p-ジメチルアミノターシャリーブチルベンゼン等を挙げることができる。本実施形態に係る歯科用硬化性組成物では、保存安定性の観点から、(e1)電子吸引基を有さない芳香族アミン化合物として、p-ジエチルアミノトルイジンを用いることが好ましい。
【0032】
(e2)(チオ)バルビツール酸化合物は、下記一般式(2)で示される化合物である。
【化2】
(ここで、一般式(2)中、Xは、O又はSを表す。R、R、R及びRはそれぞれ、水素、置換若しくは無置換のアルキル基、置換若しくは無置換のアルケニル基、置換若しくは無置換のシクロアルキル基、置換若しくは無置換のアリール基、クロロ基等のハロゲン基、ヒドロキシル基、アミノ基、又はニトロ基を表す。R、R、R4、及びRは、同一であっても異なっていてもよい。)
【0033】
(e2)(チオ)バルビツール酸化合物としては、例えば、バルビツール酸、チオバルビツール酸、1,3,5-トリメチルバルビツール酸、1-フェニル-5-ベンジルバルビツール酸、1-ベンジル-5-フェニル-バルビツール酸、1,3-ジメチルバルビツール酸、1,3-ジメチル-5-フェニルバルビツール酸、1-シクロヘキシル-5-エチルバルビツール酸、5-ラウリルバルビツール酸、5-ブチルバルビツール酸、5-アリルバルビツール酸、5-ヒドロキシ-5-ブチルバルビツール酸、5-フェニルチオバルビツール酸、1,3-ジメチルチオバルビツール酸、5,5-ジブロモバルビツール酸、トリクロロバルビツール酸、5-ニトロバルビツール酸、5-アミノバルビツール酸、5-ヒドロキシバルビツール酸、5,5-ジヒドロキシバルビツール酸等が挙げられる。本実施形態に係る歯科用硬化性組成物では、硬化性の観点から、(e2)(チオ)バルビツール酸化合物として、1-シクロヘキシル-5-エチルバルビツール酸を用いることが好ましい。
【0034】
(e3)チオ尿素化合物は、=N-C(=S)-N=の構造を有する化合物を指す。(e3)チオ尿素化合物としては、下記一般式(3)で示されるチオ尿素化合物を使用することが好ましい。
【化3】
(ここで、一般式(3)中、R、R及びRはそれぞれ、水素原子、ヒドロキシル基、置換若しくは無置換のアルキル基、置換若しくは無置換のシクロアルキル基、置換若しくは無置換のアリール基、置換若しくは無置換の複素環基、置換若しくは無置換のアシル基、置換若しくは無置換のアラルキル基、又は置換若しくは無置換のアルケニル基を表す。Rは、R又はRと結合して環を形成していてもよい。)
【0035】
本実施形態に係る歯科用硬化性組成物では、硬化性の観点から、(e3)チオ尿素化合物として、N-ベンゾイルチオ尿素、(2-ピリジル)チオ尿素、エチレンチオ尿素を用いることが好ましい。
【0036】
(e4)複素環式チオール化合物は、下記一般式(4)で示される化合物である。
【化4】
(ここで、一般式(4)中、Xは、O、S、又はN-R11を表す。R、R10、R11はそれぞれ、水素、置換若しくは無置換のアルキル基、置換若しくは無置換のアルケニル基、置換若しくは無置換のシクロアルキル基、置換若しくは無置換のアリール基、クロロ基等のハロゲン基、ヒドロキシル基、アミノ基、又はニトロ基を表す。R、R10、R11は、同一であっても異なっていてもよい。R10は、Rと結合して環を形成していてもよい。)
【0037】
(e4)複素環式チオール化合物としては、例えば、2-メルカプトベンゾオキサゾール、2-メルカプトベンゾイミダゾール、2-メルカプトベンゾチアゾール、2-メルカプトオキサゾール、2-メルカプトイミダゾール、2-メルカプトチアゾール、6-メチル-1,3-ベンゾオキサゾール-2-チオール、5-フェニルベンゾオキサゾール-2-チオール、4,5-ジフェニル-2-メルカプトオキサゾール等が挙げられる。本実施形態に係る歯科用硬化性組成物では、硬化性の観点から、(e4)複素環式チオール化合物として、2-メルカプトベンゾオキサゾール、2-メルカプトベンゾイミダゾール、2-メルカプトベンゾチアゾールの少なくとも1つを用いることが好ましく、2-メルカプトベンゾオキサゾールを用いることがより好ましい。
【0038】
本実施形態に係る歯科用硬化性組成物では、審美性の観点から、(E)銅に対する還元剤として、(e2)(チオ)バルビツール酸化合物、(e3)チオ尿素化合物、(e4)複素環式チオール化合物の少なくとも1つを用いることが好ましい。また、本実施形態に係る歯科用硬化性組成物では、更に硬化性を考慮すると、(E)銅に対する還元剤として、(e4)複素環式チオール化合物を用いることがより好ましい。(E)銅に対する還元剤としては、1種類のみを用いてもよく、2種類以上を組み合わせて用いてもよい。
【0039】
また、本実施形態に係る歯科用硬化性組成物における(E)銅に対する還元剤の配合量は、(A)重合性単量体を100質量部としたとき、0.05~2.5質量部であり、硬化の観点から0.25~1質量部であることが好ましい。
【0040】
2-6 その他の成分
本実施形態に係る歯科用硬化性組成物は、発明の効果を損なわない範囲で、その他の成分を適宜含んでいてもよい。その他の成分としては、例えば、(F)充填材、重合禁止剤、紫外線吸収剤、顔料等が挙げられる。
【0041】
具体的に、本実施形態に係る歯科用硬化性組成物では、研磨性や機械的強度を高めるために、(F)充填材として、例えば、シリカ、ジルコニア、シリカ―ジルコニア、ポリメタクリル酸の少なくとも1つを用いることが好ましい。(F)充填材は、例えばシランカップリング剤等によって表面処理剤で処理されていてもよい。(F)充填材の配合量は、(A)重合性単量体を100質量部としたとき、50~1500質量部であることが好ましく、70~1000質量部であることがより好ましい。
【0042】
本実施形態に係る歯科用硬化性組成物では、重合禁止剤として、例えば、ヒドロキノン、ヒドロキノンモノメチルエーテル、ジブチルヒドロキシトルエンの少なくとも1つを用いることができる。
【0043】
3.歯科用硬化性組成物の硬化挙動
歯科用硬化性組成物は、患者の治療時に、口腔外において混合等の操作による準備が行われた後に、口腔内において硬化させられるように構成されている。このため、歯科用硬化性組成物では、治療の確実性を担保できるように準備のための時間を充分に確保する観点からは口腔外において硬化が進行しにくいことが好ましい。この一方で、歯科用硬化性組成物では、硬化時における動作の制限等による患者の負担を低減する観点からは口腔内において硬化が進行しやすいことが好ましい。本実施形態に係る歯科用硬化性組成物は、このような要求に基づき、口腔外における硬化の進行しにくさと、口腔内における硬化の進行しやすさと、の両立が得られやすいように構成されている。
【0044】
本実施形態では、口腔外の室温を23℃と仮定して、歯科用硬化性組成物の口腔外における硬化挙動を、各成分(上記の(A)~(E))を23℃で混合してからそのまま23℃で保持した際に歯科用硬化性組成物の硬化が開始するまでの操作時間t1によって評価する。歯科用硬化性組成物では、操作時間t1が準備のための種々の操作が可能な時間に対応する。歯科用硬化性組成物では、硬化する際の反応が発熱反応であるため、各成分の混合を開始した時刻から温度上昇が開始するまでの時間として操作時間t1を定義することができる。本実施形態に係る歯科用硬化性組成物では、操作時間t1が、適度に長いことが好ましく、例えば、90~720秒であることが好ましく、150~360秒であることがより好ましい。
【0045】
本実施形態において歯科用硬化性組成物の操作時間t1を求める手法の一例について説明する。図1は、各成分の混合を開始した時刻からの経過時間を横軸とし、歯科用硬化性組成物の温度を縦軸とするグラフである。図1には、各時刻における歯科用硬化性組成物の温度の測定値をプロットすることで得られる曲線が示されている。本実施形態では、当該曲線において、温度が一定の直線部分から単調増加に転ずる起点の時間を操作時間t1とすることができる。
【0046】
また、本実施形態では、口腔内の温度を37℃と仮定して、歯科用硬化性組成物の口腔内における硬化挙動を、各成分(上記の(A)~(E))を23℃で混合してから37℃で保持した際に歯科用硬化性組成物の硬化が完了するまでの硬化時間t2によって評価する。歯科用硬化性組成物では、硬化する際の反応が発熱反応であるため、各成分の混合を開始した時刻から温度が発熱ピークに到達するまでの時間として硬化時間t2を定義することができる。本実施形態に係る歯科用硬化性組成物では、硬化時間t2が、適度に短いことが好ましく、例えば、120~600秒であることが好ましく、150~300秒であることがより好ましい。
【0047】
本実施形態において歯科用硬化性組成物の硬化時間t2を求める手法の一例について説明する。図2は、各成分の混合を開始した時刻からの経過時間を横軸とし、歯科用硬化性組成物の温度を縦軸とするグラフである。図2には、各時刻における歯科用硬化性組成物の温度の測定値をプロットすることで得られる曲線が示されている。本実施形態では、当該曲線における発熱ピークに到達する時間を硬化時間t2とすることができる。当該曲線における発熱ピークの位置は、当該曲線において、最高温度の部分に接する水平直線L1と実質的に温度上昇が一定と見做せる部分の外挿線L2との交点として得ることができる。
【0048】
上記のとおり、本実施形態に係る歯科用硬化性組成物では、口腔外における硬化しにくさと、口腔内における硬化しやすさと、を両立するために、操作時間t1が硬化時間t2よりも充分に長いことが好ましい。具体的に、本実施形態に係る歯科用硬化性組成物では、歯科材料としてより望ましい硬化挙動を得るために、操作時間t1(秒)と硬化時間t2(秒)との差(t1-t2)が50秒以上であることが好ましい。
【0049】
4.歯科用硬化性組成物を調製するためのキット
本実施形態に係る歯科用硬化性組成物は、保管時や流通時における硬化の進行を防止するために、相互に隔離された第1剤と第2剤とから構成されるキットとして用意される。本実施形態に係るキットでは、第1剤と第2剤とが、両者間での分子拡散を阻害する阻害部材によって隔離されることで、物理的に接触不可能な状態になっている。典型的には、本実施形態に係るキットでは、第1剤と第2剤とが阻害部材としてのシリンジ、袋、瓶などの各種の容器に個別に収容された状態で保持される。第1剤及び第2剤を収容する容器や袋は、外気及び外光を遮断可能であることが好ましく、例えば、樹脂、ガラス、金属、セラミックスなどで形成することができる。しかし、阻害部材は、第1剤と第2剤とを隔離可能であればよく、上記の構成に限定されない。
【0050】
本実施形態に係るキットでは、保存安定性の観点から、第1剤に含まれる成分、及び第2剤に含まれる成分がいずれも、相互に反応しない成分の組み合わせとなっていることが好ましい。この観点から、例えば、相互に反応しない(B)パーオキシエステル化合物と(C)二価の銅化合物との組み合わせが、第1剤に含まれ、かつ第2剤に含まれないように構成することができる。この場合、相互に反応しない(D)サッカリン化合物と(E)銅に対する還元剤との組み合わせが、第2剤に含まれ、かつ第1剤に含まれないように構成することができる。(A)重合性単量体は、第1剤と第2剤との少なくとも一方に含ませることができ、つまり第1剤と第2剤とのいずれか一方に含ませても、第1剤及び第2剤の両方に含ませてもよい。
【0051】
5.実施例
以下、実施例によって本発明をさらに具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に制限されるものではない。
【0052】
5-1 原材料
まず、実施例及び比較例で原材料として用いた各物質とその略号を以下に示す。
【0053】
-(A)重合性単量体
・Bis-GMA:2.2'―ビス[4―(2―ヒドロキシ―3―メタクリルオキシプロポキシ)フェニル]プロパン
・3G:トリエチレングリコールジメタクリレート
・D-2,6E:2,2-ビス(4-メタクリロイルオキシポリエトキシフェニル)。
【0054】
-(B)パーオキシエステル化合物
・BPT:t-ブチルパーオキシ-3、5、5-トリメチルヘキサノエート
・BPB:t-ブチルパーオキシ-ベンゾエート。
【0055】
-(C)二価の銅化合物
・Cu(acac)2:アセチルアセトン銅(II)
・Cu(OAc)2:酢酸銅(II)一水和物
・Cu(OTf)2:トリフルオロメタンスルホン酸銅(II)。
【0056】
-(D)サッカリン化合物
・サッカリン。
【0057】
-(E)銅に対する還元剤
・CEBA:1-シクロヘキシル-5-エチル-バルビツール酸
・PEAT:N,N-ジエチルアミノ-p-トルイジン
・BzTU:N-ベンゾイルチオ尿素
・MBT:2-メルカプトベンゾチアゾール
・MBO:2-メルカプトベンゾオキサゾール
・DEPT:p-ジエタノールアミノトルイジン
・PyTU:(2-ピリジル)チオ尿素。
【0058】
-(F)充填材
・F1;平均粒径3μmのシリカジルコニア充填材
・F2;平均粒径0.2μmのシリカジルコニア充填材。
【0059】
-その他の成分
・BHT:ジブチルヒドロキシトルエン
・BPO:過酸化ベンゾイル
・TMBH:1,1,3,3-テトラメチルブチルハイドロパーオキサイド。
【0060】
5-2 歯科用硬化性組成物の調製
実施例1~22及び比較例1~6について歯科用硬化性組成物の調製を行った。各実施例及び比較例に係る各歯科用硬化性組成物は、第1剤及び第2剤から構成されるキットとして用意した。つまり、各実施例及び比較例について、第1剤及び第2剤を体積比1:1で混合することで歯科用硬化性組成物が得られる。表1は実施例1~22に係る第1剤及び第2剤の(F)充填材以外の組成を示し、表2は比較例1~6に係る第1剤及び第2剤の(F)充填材以外の組成を示している。実施例1~22及び比較例1~6のいずれでも、第1剤及び第2剤それぞれに対し、(F)充填材としてF1:75質量部及びF2:50質量部が含まれるように添加した。なお、表1及び表2では、各成分の括弧内の数値が各成分の量(質量部)を表し、上向きの矢印が直上の欄と同様の構成であることを意味する。
【0061】
具体的に実施例1について説明する。Bis-GMA:5質量部、3G:20質量部、D-2,6E:25質量部からなる(A)重合性単量体:50質量部に、BPT:1.5質量部、Cu(acac)2:0.01質量部、F1:75質量部、及びF2:50質量部を混合して第1剤を調製した。また、Bis-GMA:5質量部、3G:20質量部、D-2,6E:25質量部からなる(A)重合性単量体:50質量部に、サッカリン:0.75質量部、MBO:0.5質量部、F1:75質量部、及びF2:50質量部を混合して第2剤を調製した。このように調製した第1剤及び第2剤をオートミックスシリンジである「エステセムII」((株)トクヤマデンタル製)のペースト容器に充填した。なお、第1剤と第2剤とを混合して歯科用硬化性組成物を得る際には、ペースト容器の先端にミキシングチップセメント用((株)トクヤマデンタル製)を装着し、第1剤及び第2剤を体積比1:1で等量混合して歯科用硬化性組成物とした。
【0062】
実施例2~22及び比較例1~6についても、組成のみを表1及び表2に示すように変更し、その他については上記の実施例1と同様の要領で歯科用硬化性組成物を調製した。
【0063】
【表1】
【0064】
【表2】
【0065】
5-3 歯科用硬化性組成物の評価
実施例1~22及び比較例1~6に係る歯科用硬化性組成物について操作時間t1及び硬化時間t2の評価を行った。
【0066】
操作時間t1については、各実施例及び比較例に係る歯科用硬化性組成物の第1剤と第2剤とをミキシングチップを用いて体積比1:1で混合して得た組成物を、混合後ただちに、23±1℃に保った熱電対装置の型に填入した。得られた曲線において、填入後温度が一定となった直線部分から時間経過に伴って高温側に離れる起点を求め、混合を開始した時刻から起点までの時間を操作時間t1とした。各歯科用硬化性組成物では、操作時間t1が90秒以上の場合に良好であるものと判断した。また、各歯科用硬化性組成物では、720秒を超えても硬化が確認されない場合に「未硬化」と判断した。
【0067】
硬化時間t2については、各実施例及び比較例に係る歯科用硬化性組成物の第1剤と第2剤とをミキシングチップを用いて体積比1:1で混合して得た組成物を、混合から30秒後に、37±1℃に保った熱電対装置の型に入れた。得られた曲線において、最高温度の部分に接する水平直線と実質的に温度上昇が一定と見做せる部分の外挿線との交点を求め、混合を開始した時刻から交点までの時間を硬化時間t2とした。各歯科用硬化性組成物では、硬化時間t2が600秒以内の場合に良好であるものと判断した。また、各歯科用硬化性組成物では、600秒を超えても硬化が確認されない場合に「未硬化」と判断した。
【0068】
また、実施例1~22及び比較例1~6に係る歯科用硬化性組成物について、上記のように求めた操作時間t1及び硬化時間t2を用いて操作時間t1(秒)と硬化時間t2(秒)との差(t1-t2)を求めた。各歯科用硬化性組成物では、t1-t2が50秒以上の場合に良好であるものと判断した。
【0069】
表3は実施例1~22に係る歯科用硬化性組成物の評価結果を示し、表4は比較例1~6に係る歯科用硬化性組成物の評価結果を示している。また、表3及び表4には、操作時間t1、硬化時間t2、及びt1-t2がいずれも良好であった場合に合格とし、操作時間t1、硬化時間t2、及びt1-t2の少なくとも1つが良好でなかった場合に不合格とする合否判定の結果が示されている。
【0070】
表3に示すように、実施例1~22に係る歯科用硬化性組成物はいずれも合格であった。この一方で、表4に示すように、比較例1~6に係る歯科用硬化性組成物ではいずれも不合格であった。具体的に、(B)パーオキシエステル化合物を含まない比較例1、(C)二価の銅化合物を含まない比較例2、(D)サッカリン化合物を含まない比較例3、及び(E)銅に対する還元剤を含まない比較例4では、未硬化により不合格となった。また、上記実施形態と異なる構成の化学重合開始剤を用いた比較例5,6では、t1-t2が50秒未満であったことにより不合格となった。
【0071】
【表3】
【0072】
【表4】
図1
図2