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特開2024-170143噴霧装置、ボイラ、およびCO2回収システム
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  • 特開-噴霧装置、ボイラ、およびCO2回収システム 図1
  • 特開-噴霧装置、ボイラ、およびCO2回収システム 図2
  • 特開-噴霧装置、ボイラ、およびCO2回収システム 図3
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024170143
(43)【公開日】2024-12-06
(54)【発明の名称】噴霧装置、ボイラ、およびCO2回収システム
(51)【国際特許分類】
   F22B 37/00 20060101AFI20241129BHJP
   F23J 15/00 20060101ALI20241129BHJP
   F23J 15/04 20060101ALI20241129BHJP
   F22D 1/02 20060101ALI20241129BHJP
   B01D 53/62 20060101ALI20241129BHJP
【FI】
F22B37/00 B
F23J15/00 J
F23J15/00 B
F23J15/04
F23J15/00 A
F22D1/02
F22B37/00 C
B01D53/62
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023087147
(22)【出願日】2023-05-26
(71)【出願人】
【識別番号】000175272
【氏名又は名称】三浦工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110004082
【氏名又は名称】弁理士法人北大阪特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】安井 賢志
(72)【発明者】
【氏名】新藤 貴志
(72)【発明者】
【氏名】金丸 真嘉
【テーマコード(参考)】
3K070
4D002
【Fターム(参考)】
3K070DA02
3K070DA03
3K070DA22
3K070DA23
3K070DA37
4D002AA02
4D002AA09
4D002AA12
4D002BA02
4D002BA03
4D002BA12
4D002BA13
4D002CA01
4D002DA01
4D002DA31
4D002DA35
4D002EA02
4D002EA07
4D002EA08
4D002FA01
4D002GA01
4D002GA02
4D002GA03
4D002GB01
4D002GB05
4D002GB09
4D002HA01
(57)【要約】
【課題】ボイラからCO回収装置へ排ガスを供給するようにしたシステムに設けられ、CO回収装置に用いられるCO吸収材の劣化を抑えることが可能となる噴霧装置を提供する。
【解決手段】ボイラでの燃焼動作により生じる排ガスをCO回収装置へ供給することにより、前記排ガスからCOを回収するCO回収システムに設けられる装置であって、前記ボイラのブロー水を、前記排ガスに噴霧する噴霧装置とする。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ボイラでの燃焼動作により生じる排ガスをCO回収装置へ供給することにより、前記排ガスからCOを回収するCO回収システムに設けられる装置であって、
前記ボイラのブロー水を、前記排ガスに噴霧することを特徴とする噴霧装置。
【請求項2】
前記排ガスに噴霧後の前記ブロー水を、前記排ガスに噴霧する前記ブロー水として再利用することを特徴とする請求項1に記載の噴霧装置。
【請求項3】
前記ボイラは、前記排ガスの熱を用いて給水予熱を行うエコノマイザが設けられたものであって、
前記ブロー水を、前記エコノマイザを流通する前記排ガスに噴霧することを特徴とする請求項1または請求項2に記載の噴霧装置。
【請求項4】
燃焼動作により発生させた熱を用いて加熱対象を加熱するボイラであって、
前記燃焼動作により生じるCOを含んだ排ガスにブロー水を噴霧する噴霧装置を備えたことを特徴とするボイラ。
【請求項5】
請求項4に記載のボイラを有し、
前記ブロー水を噴霧した前記排ガスをCO回収装置へ供給することにより、当該排ガスからCOを回収することを特徴とするCO回収システム。
【請求項6】
請求項1または請求項2に記載の噴霧装置を有し、
前記ブロー水を噴霧した前記排ガスをCO回収装置へ供給することにより、当該排ガスからCOを回収することを特徴とするCO回収システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、噴霧装置、ボイラ、およびこれを備えたCO回収システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、各種の排ガス等からCO(二酸化炭素)を回収するCO回収装置が提案されている。回収されたCOは、例えばドライアイスの原料や各種工業用ガス等として有効に利用可能である。
【0003】
一例として特許文献1には、製鉄所の熱風炉から排出される排ガス(原料ガス)からCOを回収するCO回収装置が開示されている。なお特許文献1では、製鉄所の熱風炉に限らず、他の種類の燃焼炉(例えばボイラ等)や熱処理炉から排出される排ガス等からCOを回収することについても言及されている(段落0083等を参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2008-174407号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ここで、ボイラの燃焼動作により生じる排ガスをCO回収装置へ供給することにより、当該排ガスからCOを回収するようにしたシステムを構築することが考えられる。しかしながら、CO回収装置に用いられるCO吸収材(特にアミン系吸収材)は、排ガス中に含まれるSOxやNOxと反応して塩を形成したり酸化したりすること等により、劣化する虞がある。
【0006】
本発明は上記課題に鑑み、ボイラからCO回収装置へ排ガスを供給するようにしたシステムに設けられ、CO回収装置に用いられるCO吸収材の劣化を抑えることが可能となる噴霧装置、およびこれを備えたCO回収システムの提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明に係る噴霧装置は、ボイラでの燃焼動作により生じる排ガスをCO回収装置へ供給することにより、前記排ガスからCOを回収するCO回収システムに設けられる装置であって、前記ボイラのブロー水を、前記排ガスに噴霧する構成とする。本構成によれば、ボイラからCO回収装置へ排ガスを供給するようにしたシステムに設けられ、CO回収装置に用いられるCO吸収材の劣化を抑えることが可能となる。
【0008】
上記構成としてより具体的には、前記排ガスに噴霧後の前記ブロー水を、前記排ガスに噴霧する前記ブロー水として再利用する構成としても良い。本構成によれば、排ガスに噴霧後のブロー水をより有効に活用することが可能となる。
【0009】
また上記構成としてより具体的には、前記ボイラは、前記排ガスの熱を用いて給水予熱を行うエコノマイザが設けられたものであって、前記ブロー水を、前記エコノマイザを流通する前記排ガスに噴霧する構成としても良い。本構成によれば、エコノマイザの内部スペースを利用して、ブロー水を排ガスに噴霧することが可能となる。
【0010】
また本発明に係るボイラは、燃焼動作により発生させた熱を用いて加熱対象を加熱するボイラであって、前記燃焼動作により生じるCOを含んだ排ガスにブロー水を噴霧する噴霧装置を備えた構成としても良い。
【0011】
また本発明に係るCO回収システムは、上記構成のボイラを有し、前記ブロー水を噴霧した前記排ガスをCO回収装置へ供給することにより、当該排ガスからCOを回収する構成とする。また本発明に係るCO回収システムは、上記構成の噴霧装置を有し、前記ブロー水を噴霧した前記排ガスをCO回収装置へ供給することにより、当該排ガスからCOを回収する構成とする。
【発明の効果】
【0012】
本発明に係る噴霧装置によれば、ボイラからCO回収装置へ排ガスを供給するようにしたシステムに設けられ、CO回収装置に用いられるCO吸収材の劣化を抑えることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】第1実施形態に係るCO回収システムの概略的な構成図である。
図2】第2実施形態に係るCO回収システムの概略的な構成図である。
図3】噴霧装置の他の構成例に関する説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
本発明の各実施形態に係る噴霧装置、および当該噴霧装置を備えたCO回収システムについて、各図面を参照しながら以下に説明する。
【0015】
1.第1実施形態
まず本発明の第1実施形態について説明する。図1は、第1実施形態に係るCO回収システム100の概略的な構成図である。CO回収システム100は、ボイラ1、CO回収装置2、排ガス供給ライン3、および噴霧装置5を有しており、ボイラ1での燃焼動作により生じる排ガスをCO回収装置2へ供給して、当該排ガスからCOを回収するシステムとなっている。
【0016】
ボイラ1は、燃料を燃焼させる燃焼動作を行って熱を発生させ、この燃焼熱を用いて加熱対象である水を加熱して蒸気を生成し、外部へ供給する役割を果たす。ボイラ1において燃焼動作が行われる際には、原料ガス等の燃料を燃焼させることに伴い、CO等を含む排ガスが生じることになる。
【0017】
図1に示すボイラ1は、ボイラ缶体11、セパレータ12、エコノマイザ13、煙道14、給水管15a、燃料供給管15b、空気供給管15c、降水管15d、ブロー配管15e、ブロー弁16、およびバーナ17を備える。図1に示す例のボイラ1は多管式貫流ボイラであり、ボイラ缶体11は、上部管寄せ11aと下部管寄せ11bの間を複数の垂直な水管11cで連結した構造となっている。但し、本実施形態のボイラ1は、図1に示す構成のものに限られず、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において種々のボイラが採用され得る。
【0018】
図1に示すボイラ1において、外部或いは給水タンク等から給水される補給水は、給水管15aを通ってボイラ缶体11の下部管寄せ11bから水管11c内に供給され、水管11c内の水位は所望の位置に維持される。一方でバーナ17には、外部から燃料供給管15bを介して燃料が供給されるとともに、外部から空気供給管15cを介して空気が供給される。バーナ17がこの空気を用いて燃料を燃焼させることにより、ボイラ1において燃焼動作が行われる。この燃焼動作によってボイラ缶体11に配置された水管11cが加熱され、当該水管11cを流通する補給水から蒸気を生成することが可能である。
【0019】
ボイラ缶体11において生成された蒸気は上部管寄せ11aからセパレータ12に流入して気水分離され、分離された水は降水管15dを介してボイラ缶体11に戻される。なお降水管15dからブロー配管15eが分岐して設けられており、ブロー配管15eにはブロー弁16が設けられている。ブロー弁16を適宜開くことにより、ブロー水BWを排出させることが可能である。セパレータ12内の蒸気は、所定の配管を介して外部の供給先(各種蒸気機器など)に供給される。
【0020】
燃焼動作によって生じた排ガスは、エコノマイザ13を経て煙道14に送られる。なお、エコノマイザ13の内部には給水管15aが配置されており、エコノマイザ13を通る排ガスは、この給水管15aを通る補給水との熱交換により冷却された上で煙道14に送られる。このようにエコノマイザ13は、排ガスの熱を用いて給水予熱を行うとともに、排ガスを冷却することになる。
【0021】
CO回収装置2は、排ガス供給ライン3を介してボイラ1の排ガスが供給され、この排ガスからCOを回収して各種用途に利用可能とする役割を果たす。本実施形態のCO回収装置2は、CO吸収材(例えばアミン系吸収液)を用いてCOを吸着して回収する装置となっている。
【0022】
なお、CO吸収材を用いるCO回収装置としては、例えば、TSA(Thermal Swing Adsorption)プロセスを採用したもの、PSA(Pressure Swing Adsorption)プロセスを採用したもの等が知られているが、本実施形態のCO回収装置2は何れのプロセスを採用したものであっても良い。
【0023】
排ガス供給ライン3は、ボイラ1とCO回収装置2を繋ぐように配置されており、ボイラ1の排ガスをCO回収装置2へ流通させる役割を果たす。本実施形態の例における排ガス供給ライン3は、図1に示すように、ボイラ1の煙道14の途中位置からCO回収装置2へ延びるように設けられている。
【0024】
排ガス供給ライン3には、排ガスを吸引するためのブロワ等が設けられ、更に、排ガスの流量を調節可能とする調節弁等が設けられるようにしても良い。ボイラ1においてエコノマイザ13から煙道14に送られた排ガスは、全てが排ガス供給ライン3へ送られるようにしても良く、一部が排ガス供給ライン3へ送られて、残りは煙道14の端部から外部へ排出されるようにしても良い。
【0025】
噴霧装置5は、ボイラ1のブロー水BWを当該ボイラ1の排ガスに噴霧する装置であり、ブロー水流通ライン51および調節弁52を備える。
【0026】
ブロー水流通ライン51は、ボイラ1のブロー配管15eからエコノマイザ13の内部へ延びるよう配置されており、ボイラ1のブロー水BWをエコノマイザ13の内部に流通させる役割を果たす。
【0027】
ブロー水流通ライン51の後段側端部近傍は、エコノマイザ13の内部における排ガスが通るスペースの上側寄りに配置されており、例えば細かい孔が多数設けられることにより、前段側から送られてきたブロー水BWをミスト状にして排出するよう構成されている。これにより、エコノマイザ13の内部を通るボイラ1の排ガスへブロー水BWを噴霧することが可能となっている。なお、排ガスとこれに噴霧するブロー水BWは、対向流となることが好ましい。本実施形態の例では、図1に点線矢印で概略的に示すように、エコノマイザ13の内部において排ガスが上向きに流れるようになっており、更にこれに対してブロー水BWが下向きに噴霧されることにより、排ガスとこれに噴霧するブロー水BWが対向流となるように配慮されている。
【0028】
ここで、ボイラ水は一般的にアルカリ性(基本的にはpH11.0~11.8)となっており、特に多管式貫流ボイラ等ではボイラ水が高pHに管理されることが知られている(JIS B8223等を参照)。そのためブロー水流通ライン51に供給されるブロー水BWもアルカリ性であり、このブロー水BWがボイラ1の排ガスに噴霧されると、当該排ガス中のSOxやNOxを中和除去することが可能である。
【0029】
これにより、SOxやNOxの少なくとも一部を除去した排ガスを、CO回収装置2へ供給することができる。そのため、CO回収装置2に用いられるCO吸収材が排ガス中に含まれるSOxやNOxと反応して塩を形成したり酸化したりすることを極力抑え、当該CO吸収材の劣化を抑えること可能である。
【0030】
調節弁52は、ブロー水流通ライン51の前段側端部に設けられており、ブロー配管15eからブロー水流通ライン51へのブロー水BWの供給量を調節可能とする。なお噴霧装置5は、ブロー水BWの噴霧量等を制御する不図示のコントローラXを有しており、排ガス中のSOxやNOxを効率良く中和除去するために適度な量のブロー水BWが噴霧されるように、調節弁52を制御する。なおコントローラXは、ボイラ1、或いはCO回収装置2に設けられても良く、その他の位置に設けられても良い。
【0031】
例えばコントローラXは、ボイラ1が発生させる排ガスの量を監視し、この排ガスの量が多いほど、SOxやNOxを中和除去すべき排ガスが増えるため、ブロー水BWの噴霧量が多くなるように調節弁52を制御するようにしても良い。このようにすれば、排ガスの量に応じてブロー水BWをできるだけ過不足なく噴霧し、排ガス中のSOxやNOxを効率良く中和除去することが可能となる。
【0032】
またコントローラXは、例えばボイラ1の燃焼動作が停止していて排ガスが発生しない状況においては、SOxやNOxを中和除去すべき排ガスが無いため、ブロー水BWの噴霧量がゼロとなるように(ブロー水流通ライン51へのブロー水BWの供給が停止されるように)、調節弁52を制御するようにしても良い。このようにすれば、ブロー水BWの無駄な噴霧を未然に回避することが可能となる。
【0033】
また本実施形態のボイラ1においては、煙道14の所定位置(排ガス供給ライン3の接続箇所よりも前段側の位置)にフィルター141を設けるようにしている。フィルター141は、例えば多数の細かい孔を有したメッシュ状に形成されており、先述した噴霧によって排ガスとともに煙道14に進入する余分なブロー水BW(ミスト状の水分等)を通さないようにし、当該ブロー水BWのCO回収装置2への進入を防ぐ役割を果たす。またエコノマイザ13には、噴霧された後のブロー水BWを外部へ排出するための機構が設けられている。エコノマイザ13に貯留したブロー水BWは、所定のタイミングで(例えば一定の水位を超えたタイミングで)外部へ排出される。
【0034】
2.第2実施形態
次に本発明の第2実施形態について説明する。なお第2実施形態は、噴霧後のブロー水を排ガスに噴霧するブロー水として再利用するようにした点およびこれに関する点を除き、基本的に第1実施形態と同様である。以下の説明では、第1実施形態とことなる事項の説明に重点をおき、第1実施形態と共通する事項については説明を省略することがある。
【0035】
図2は、第2実施形態に係るCO回収システム100の概略的な構成図である。本実施形態の噴霧装置5は、ブロー水流通ライン51および調節弁52に加えて、再利用ライン53を有している。再利用ライン53は図2に示すように、ブロー水流通ライン51からエコノマイザ13の底部近傍へ延びるように配置されており、エコノマイザ13の底部に貯留したブロー水BWを吸い上げてブロー水流通ライン51に流入させ得るように構成されている。ここでのブロー水BWの吸い上げは、例えば不図示の給水ポンプを用いることにより実現可能である。なお再利用ライン53は、エコノマイザ13の底部から下方のブロー水流通ライン51へ伸びるように構成し、噴霧後のブロー水BWがブロー水流通ライン51へ流れるようにしても良い。
【0036】
これにより噴霧装置5は、ブロー水流通ライン51から噴霧されたブロー水BWのうち、落下してエコノマイザ13の底部に貯留したブロー水BWを、再利用ライン53を介してブロー水流通ライン51に戻し、ブロー水流通ライン51の後段側端部近傍から排ガスへ再度噴霧させることが可能である。このようにして噴霧装置5は、噴霧後のブロー水BWを排ガスに噴霧するブロー水BWとして再利用することができる。
【0037】
そのため第2実施形態によれば、噴霧後のブロー水BWをより有効に活用することが可能となっている。また、例えばボイラ1のブロー配管15eにおいてブロー水BWが不足した状況であっても、上述した再利用によって、排ガスに噴霧するためのブロー水BWを極力確保することが可能である。
【0038】
なお第2実施形態において、噴霧装置5のコントローラX(不図示)は、ブロー水BWを再利用する動作(エコノマイザ13の底部に貯留したブロー水BWをブロー水流通ライン51に戻すための制御動作)を、適切なタイミングで実施するようにしても良い。一例として、コントローラXは、ブロー配管15eにおけるブロー水BWの量を監視するようにし、この量が所定の基準値を下回ったときに、ブロー水BWを再利用する動作を行うようにしても良い。また他の例として、コントローラXは、エコノマイザ13の底部に溜まっているブロー水BWの量を監視するようにし、この量が所定の基準値を上回ったときに、ブロー水BWを再利用する動作を行うようにしても良い。
【0039】
またコントローラXは、ブロー水BWを再利用する動作を行うと同時に、ブロー配管15eからもブロー水流通ライン51へブロー水BWが供給されるように、調節弁52を制御するようにしても良い。
【0040】
ブロー水BWを再利用する動作が行われるとき、コントローラXは、この再利用されるブロー水BWの量とブロー配管15eからブロー水流通ライン51へ供給されるブロー水BWの量との合計を、噴霧されるブロー水BWの量として認識する。これによりコントローラXは、噴霧されるブロー水BWの量がそのときの排ガスの量に応じた適度な量となるように、調節弁52の制御およびブロー水BWを再利用する動作を並行して適切に行うことができる。
【0041】
3.その他
以上に説明したとおり各実施形態の噴霧装置5は、ボイラ1での燃焼動作により生じる排ガスをCO回収装置2へ供給することにより、排ガスからCOを回収するCO回収システム100に設けられる装置であって、ボイラ1のブロー水BWを当該排ガスに噴霧するものとなっている。そのため噴霧装置5によれば、CO回収装置2に用いられるCO吸収材の劣化を抑えることが可能である。特にボイラ1が多管式貫流ボイラである場合、高pHのブロー水BWによって排ガス中のSOxやNOxを中和することができ、CO吸収材の劣化を効果的に抑えることが可能となる。
【0042】
また第2実施形態の噴霧装置5は、ボイラ1の排ガスに噴霧後のブロー水BWを、ボイラ1の排ガスに噴霧するブロー水BWとして再利用するようにしている。なお第2実施形態では、噴霧後にエコノマイザ13の底部に貯留したブロー水BWを再利用するようにしているが、ブロー水BWを再利用する形態は特に限定されるものではなく、例えば、噴霧後であって貯留する前の段階のブロー水BWがブロー水流通ライン51へ供給されて、再利用されるようにしても良い。
【0043】
なお、噴霧装置5を図3に例示する構成としても良い。図3に示す例の噴霧装置5においては、ブロー水流通ライン51の後段側端部がエコノマイザ13の底部に繋がっており、ボイラ1からブロー水流通ライン51を介して供給されるブロー水BWが、エコノマイザ13の底部に貯留するようになっている。更に、図3に示す例の噴霧装置5は、エコノマイザ13の底部近傍から上方へ延びる吸上げライン54を有している。吸上げライン54は、例えば不図示の給水ポンプにより、エコノマイザ13の底部に貯留したブロー水BWを吸い上げることが可能である。
【0044】
吸上げライン54の後段側端部近傍は、エコノマイザ13の内部における排ガスが通るスペースの上側寄りに配置されており、例えば細かい孔が多数設けられている。これにより吸上げライン54は、エコノマイザ13の底部に貯留したブロー水BWを吸い上げて、後段側端部近傍からミスト状にして排出することが可能である。図3に示す例によれば、ボイラ1から新たに供給されるブロー水BWと噴霧後の落下したブロー水BWの両方がエコノマイザ13の底部に貯留し、この貯留したブロー水BWを吸上げライン54により吸上げて排ガスに噴霧することが可能である。
【0045】
また各実施形態のCO回収システム100において、ボイラ1は、自機の排ガスの熱を用いて給水予熱を行うエコノマイザ13が設けられており、噴霧装置5は、ブロー水BWを、このエコノマイザ13を流通する排ガスに噴霧する。そのためエコノマイザ13の内部スペースを利用して、ブロー水BWを排ガスに噴霧することが可能となっている。
【0046】
但しブロー水BWを排ガスに噴霧するためのスペースは特に限定されるものではなく、当該スペースとして、エコノマイザとは別のスペースが利用されるようにしても良い。例えば、CO回収システム100においてエコノマイザを持たないボイラ1が採用される場合には、内部でブロー水BWを噴霧することのできる中和塔を設置しておき、この中和塔を流通させる排ガスに対してブロー水BWを噴霧するようにしても良い。
【0047】
なお各実施形態の噴霧装置5をボイラ1の一部としてみれば、当該ボイラ1は、燃焼動作により発生させた熱を用いて加熱対象を加熱するボイラであって、当該燃焼動作により生じるCOを含んだ排ガスにブロー水BWを噴霧する噴霧装置を備えたものとみることができる。このボイラ1を有するCO回収システム100は、ブロー水BWを噴霧したボイラ1の排ガスをCO回収装置2へ供給することにより、当該排ガスからCOを回収するシステムとして機能する。
【0048】
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明の構成は上記実施形態に限られず、発明の主旨を逸脱しない範囲で種々の変更を加えることが可能である。すなわち上記実施形態は、全ての点で例示であって、制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の技術的範囲は、上記実施形態の説明ではなく、特許請求の範囲によって示されるものであり、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内に属する全ての変更が含まれると理解されるべきである。
【産業上の利用可能性】
【0049】
本発明は、排ガスからCOを回収するCO回収システムに利用可能である。
【符号の説明】
【0050】
1 ボイラ
11 ボイラ缶体
11a 上部管寄せ
11b 下部管寄せ
11c 水管
12 セパレータ
13 エコノマイザ
14 煙道
141 フィルター
15a 給水管
15b 燃料供給管
15c 空気供給管
15d 降水管
15e ブロー配管
16 ブロー弁
17 バーナ
2 CO回収装置
3 排ガス供給ライン
5 噴霧装置
51 ブロー水流通ライン
52 調節弁
53 再利用ライン
54 吸上げライン
100 CO回収システム
BW ブロー水
図1
図2
図3