IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 三浦工業株式会社の特許一覧

特開2024-170144熱交換システムおよびCO2回収システム
<>
  • 特開-熱交換システムおよびCO2回収システム 図1
  • 特開-熱交換システムおよびCO2回収システム 図2
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024170144
(43)【公開日】2024-12-06
(54)【発明の名称】熱交換システムおよびCO2回収システム
(51)【国際特許分類】
   F23J 15/06 20060101AFI20241129BHJP
   F23J 15/08 20060101ALI20241129BHJP
   F23J 15/00 20060101ALI20241129BHJP
   F22B 37/00 20060101ALI20241129BHJP
   B01D 53/62 20060101ALI20241129BHJP
   C01B 32/50 20170101ALI20241129BHJP
【FI】
F23J15/06
F23J15/08
F23J15/00 J
F22B37/00 Z
B01D53/62 ZAB
C01B32/50
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023087148
(22)【出願日】2023-05-26
(71)【出願人】
【識別番号】000175272
【氏名又は名称】三浦工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110004082
【氏名又は名称】弁理士法人北大阪特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】安井 賢志
【テーマコード(参考)】
3K070
4D002
4G146
【Fターム(参考)】
3K070DA09
3K070DA48
4D002AA09
4D002AC10
4D002BA02
4D002BA04
4D002BA13
4D002CA13
4D002DA31
4D002EA07
4D002EA08
4D002FA01
4G146JA02
4G146JB09
4G146JC10
4G146JC14
4G146JC28
4G146JC35
(57)【要約】
【課題】CO回収装置へボイラの排ガスを供給するようにしたシステムに設けられ、冷却したCO含有ガスを熱交換に有効利用することが可能となる熱交換システムを提供する。
【解決手段】ボイラでの燃焼動作により生じる排ガスをCO回収装置へ供給して、当該排ガスからCOを回収するCO回収システムに設けられるものであって、前記CO回収装置によって生成されたCO含有ガスを冷却する冷却装置と、冷却された前記CO含有ガスと前記排ガスとを熱交換させる熱交換装置と、を備える熱交換システムとする。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ボイラでの燃焼動作により生じる排ガスをCO回収装置へ供給して、当該排ガスからCOを回収するCO回収システムに設けられるものであって、
前記CO回収装置によって生成されたCO含有ガスを冷却する冷却装置と、
冷却された前記CO含有ガスと前記排ガスとを熱交換させる熱交換装置と、を備えることを特徴とする熱交換システム。
【請求項2】
前記冷却装置は、前記CO含有ガスを10℃以下に冷却することを特徴とする請求項1に記載の熱交換システム。
【請求項3】
請求項1または請求項2に記載の熱交換システムを備え、
ボイラでの燃焼動作により生じる排ガスをCO回収装置へ供給して、当該排ガスからCOを回収することを特徴とするCO回収システム。
【請求項4】
前記熱交換装置における熱交換によって前記排ガスを気水分離させ、当該気水分離後の排ガスを前記CO回収装置へ供給することを特徴とする請求項3に記載のCO回収システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、熱交換システム、およびこれを備えたCO回収システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、各種の排ガス等からCO(二酸化炭素)を回収するCO回収装置が提案されている。回収されたCOは、例えばドライアイスの原料や各種工業用ガス等として有効に利用可能である。
【0003】
一例として特許文献1には、製鉄所の熱風炉から排出される排ガス(原料ガス)から二酸化炭素を回収するCO回収装置が開示されている。なお特許文献1では、製鉄所の熱風炉に限らず、他の種類の燃焼炉(例えばボイラ等)や熱処理炉から排出される排ガス等からCOを回収することについても言及されている(段落0083等を参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2008-174407号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
CO回収装置は回収したCOを含むCO含有ガスを生成し、このCO含有ガスは、除湿して純度を上げるために冷却することによって、より純度の高いCOとすることが可能である。この冷却されたCO含有ガスは低温状態となっているが、適切に除湿がなされた後には低温状態を維持する必要が無く、むしろ比較的高めの温度状態(例えば常温程度)である方が取扱い易いことが多い。そのため、低温状態となったCO含有ガスを熱交換に有効利用できることが望まれる。
【0006】
本発明は上記課題に鑑み、CO回収装置へボイラの排ガスを供給するようにしたシステムに設けられ、冷却したCO含有ガスを熱交換に有効利用することが可能となる熱交換システム、およびこれを備えたCO回収システムの提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明に係る熱交換システムは、ボイラでの燃焼動作により生じる排ガスをCO回収装置へ供給して、当該排ガスからCOを回収するCO回収システムに設けられるものであって、前記CO回収装置によって生成されたCO含有ガスを冷却する冷却装置と、冷却された前記CO含有ガスと前記排ガスとを熱交換させる熱交換装置と、を備える構成とする。
【0008】
本構成によれば、CO回収装置へボイラの排ガスを供給するようにしたシステムに設けられ、冷却したCO含有ガスを熱交換に有効利用することが可能となる。また上記構成としてより具体的には、前記冷却装置は、前記CO含有ガスを10℃以下に冷却する構成としても良い。
【0009】
また本発明に係るCO回収システムは、上記構成の熱交換システムを備え、ボイラでの燃焼動作により生じる排ガスをCO回収装置へ供給して、当該排ガスからCOを回収する構成とする。本構成によれば、上記構成の熱交換システムの利点を享受することが可能となる。
【0010】
上記構成としてより具体的には、前記熱交換装置における熱交換によって前記排ガスを気水分離させ、当該気水分離後の排ガスを前記CO回収装置へ供給する構成としても良い。本構成によれば、排ガス中の水分によってCO回収装置内の配管等が結露することを抑えることが可能となる。
【発明の効果】
【0011】
本発明に係る熱交換システムによれば、CO回収装置へボイラの排ガスを供給するようにしたシステムに設けられ、低温状態となったCO含有ガスを熱交換に有効利用することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】本実施形態に係る熱交換システムを備えたCO回収システム100の概略的な構成図である。
図2】本実施形態に係るボイラ1の概略的な構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
本発明の実施形態に係る熱交換システム、および当該熱交換システムを備えたCO回収システムについて、各図面を参照しながら以下に説明する。
【0014】
図1は、本実施形態に係るCO回収システム100の概略的な構成図である。CO回収システム100は、ボイラ1、CO回収装置2、排ガス供給ライン3、回収ガス流通ライン4、および熱交換システム5を有しており、ボイラ1での燃焼動作により生じる排ガスGaをCO回収装置2へ供給して、当該排ガスGaからCOを回収するシステムとなっている。
【0015】
ボイラ1は、燃料を燃焼させる燃焼動作を行って熱を発生させ、この燃焼熱を用いて加熱対象である水を加熱して蒸気を生成し、外部へ供給する役割を果たす。ボイラ1において燃焼動作が行われる際には、原料ガス等の燃料を燃焼させることに伴い、CO等を含む排ガスGaが生じることになる。なおCO回収システム100においては、一例として2台のボイラ1が設置されているが、ボイラ1の設置台数は特に限定されない。
【0016】
図2は、ボイラ1の構成例を概略的に示している。本図に示す例のボイラ1は、ボイラ缶体11、セパレータ12、エコノマイザ13、煙道14、給水管15a、燃料供給管15b、空気供給管15c、降水管15d、ブロー配管15e、ブロー弁16、およびバーナ17を備える。図2に示す例のボイラ1は多管式貫流ボイラであり、ボイラ缶体11は、上部管寄せ11aと下部管寄せ11bの間を複数の垂直な水管11cで連結した構造となっている。但し、本実施形態のボイラ1は、図1に示す構成のものに限られず、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において種々のボイラが採用され得る。
【0017】
図2に示すボイラ1において、外部或いは給水タンク等から給水される補給水は、給水管15aを通ってボイラ缶体11の下部管寄せ11bから水管11c内に供給され、水管11c内の水位は所望の位置に維持される。一方でバーナ17には、外部から燃料供給管15bを介して燃料が供給されるとともに、外部から空気供給管15cを介して空気が供給される。バーナ17がこの空気を用いて燃料を燃焼させることにより、ボイラ1において燃焼動作が行われる。この燃焼動作によってボイラ缶体11に配置された水管11cが加熱され、当該水管11cを流通する補給水から蒸気を生成することが可能である。
【0018】
ボイラ缶体11において生成された蒸気は上部管寄せ11aからセパレータ12に流入して気水分離され、分離された水は降水管15dを介してボイラ缶体11に戻される。なお降水管15dからブロー配管15eが分岐して設けられており、ブロー配管15eにはブロー弁16が設けられている。ブロー弁16を適宜開くことにより、ブロー水を排出させることが可能である。セパレータ12内の蒸気は、所定の配管を介して外部の供給先(各種蒸気機器など)に供給される。
【0019】
燃焼動作によって生じた排ガスGaは、エコノマイザ13を経て煙道14に送られる。なお、エコノマイザ13の内部には給水管15aが配置されており、エコノマイザ13を通る排ガスGaは、この給水管15aを通る補給水との熱交換により冷却された上で煙道14に送られる。このようにエコノマイザ13は、排ガスGaの熱を用いて給水予熱を行う役割を果たす。
【0020】
CO回収装置2は、ボイラ1が排出する排ガスからCOを回収して、各種用途に利用可能とする役割を果たす。本実施形態のCO回収装置2としては、CO吸収材(例えばアミン系吸収液)を用いてCOを吸着して回収する装置等が採用されるが、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において種々のCO回収装置が採用され得る。
【0021】
なお、CO吸収材を用いるCO回収装置としては、例えば、TSA(Thermal Swing Adsorption)プロセスを採用したもの、PSA(Pressure Swing Adsorption)プロセスを採用したもの等が知られているが、本実施形態のCO回収装置2は何れのプロセスを採用したものであっても良い。
【0022】
排ガス供給ライン3は、図1に示すように各ボイラ1とCO回収装置2を繋ぐように配置されており、各ボイラ1の排ガスGaをCO回収装置2へ流通させる役割を果たす。本実施形態の例における排ガス供給ライン3は、図2に示すように、ボイラ1の煙道14の途中位置から延びるように設けられている。各ボイラ1から排出される排ガスGaは、図1に示す排ガス供給ライン3上の所定位置αで合流し、纏めてCO回収装置2へ送られることになる。
【0023】
なお排ガス供給ライン3には、各ボイラ1から排ガスGaを吸引するためのブロワ等(不図示)が設けられている。ボイラ1においてエコノマイザ13から煙道14に送られた排ガスGaは、全てが排ガス供給ライン3へ送られるようにしても良く、一部が排ガス供給ライン3へ送られて、残りは煙道14の端部から外部へ排出されるようにしても良い。
【0024】
回収ガス流通ライン4は、図1に示すように、CO回収装置2からCOの供給先X(例えば、COを一時的に貯留するタンク、或いはCOを消費する装置等)へ延びるように設けられている。回収ガス流通ライン4は、CO回収装置2によって回収されたCO(CO回収装置2から脱離させたCO)を主に含有する回収ガスGbを、COの供給先Xへ流通させる役割を果たす。
【0025】
熱交換システム5は、冷却器51、凝縮器52、および熱交換装置53を備えている。冷却器51は、回収ガス流通ライン4の所定箇所に配置されており、回収ガスGbを冷却する。凝縮器52は、回収ガス流通ライン4における冷却器51の後段側に配置されており、冷却器51によって冷却された回収ガスGbを0℃以下に冷却し、回収ガスGbに含まれる水分を凝縮して除去する。なお、例えばCO回収装置2がSA-VSAのプロセスを採用した装置である場合、凝縮器52で0℃に冷却されても、回収ガスGbには水分が0.5%程度残っている。
【0026】
冷却器51および凝縮器52を通ることにより、回収ガスGbは十分に除湿され、COの純度が大きく高められる。なお、本実施形態では冷却器51と凝縮器52を別々の装置として設けているが、その代わりに、これら両方の機能を兼ね備える1個の冷却装置を設けるようにしても構わない。冷却器51および凝縮器52(或いはこれら両方の機能を兼ね備えた冷却装置)は、除湿を効果的に行うため、回収ガスGbを10℃以下に冷却するように構成することが好ましく、本実施形態のように0℃以下にまで冷却するように構成することがより好ましい。
【0027】
熱交換装置53は、図1に示すように、排ガス供給ライン3と回収ガス流通ライン4の両方に介在するように配置されている。より具体的に説明すると、熱交換装置53は、回収ガス流通ライン4における凝縮器52の後段側に配置されており、この位置での回収ガスGbと排ガス供給ライン3の所定位置(先述した位置αよりも後段側の位置)での排ガスGaとを熱交換させる。
【0028】
ここで熱交換装置53を通る段階の回収ガスGbは、冷却器51および凝縮器52によって冷却されて低温状態となっており、熱交換装置53を通る段階の排ガスGaよりも十分に温度が低くなっている。そのため熱交換装置53での熱交換により、回収ガスGbは温度が上昇する一方、排ガスGaは冷却されることになる。
【0029】
熱交換装置53によって排ガスGaを冷却することにより、排ガスGa中の水分の少なくとも一部が凝縮して除去される。このように排ガスGaに対して気水分離が行われることにより、その分、排ガスGa中の水分によってCO回収装置2内の配管等が結露することを抑えることが可能となる。
【0030】
回収ガス流通ライン4における熱交換装置53の後段側はCOの供給先Xに繋がっており、熱交換装置53での熱交換によって温度が上昇した回収ガスGbは、この供給先Xへ供給されることになる。
【0031】
なお、供給先Xへ供給される過程では、回収ガスGbは低温状態である必要はなく、むしろ一般的な環境温度に近い常温程度である方が取扱い易い。本実施形態の例では、熱交換装置53での熱交換によって回収ガスGbは常温程度に上昇しており、回収ガスGbの取扱い易さも向上するよう配慮されている。
【0032】
以上に説明したとおり本実施形態の熱交換システム5は、ボイラ1での燃焼動作により生じる排ガスGaをCO回収装置2へ供給して、当該排ガスGaからCOを回収するCO回収システム100に設けられる。更に熱交換システム5は、CO回収装置2によって生成された回収ガスGbを冷却する冷却装置(冷却器51および凝縮器52)と、冷却された回収ガスGbと排ガスGaとを熱交換させる熱交換装置53と、を備える。
【0033】
そのため熱交換システム5によれば、冷却した回収ガスGbを熱交換に有効利用することが可能となっている。なおCO回収システム100は、熱交換装置53における熱交換によって排ガスGaを気水分離させ、この気水分離後の排ガスGaをCO回収装置2へ供給するようにしている。そのため先述したとおり、排ガスGa中の水分によってCO回収装置2内の配管等が結露することを抑えることが可能である。
【0034】
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明の構成は上記実施形態に限られず、発明の主旨を逸脱しない範囲で種々の変更を加えることが可能である。すなわち上記実施形態は、全ての点で例示であって、制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の技術的範囲は、上記実施形態の説明ではなく、特許請求の範囲によって示されるものであり、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内に属する全ての変更が含まれると理解されるべきである。
【産業上の利用可能性】
【0035】
本発明は、排ガスからCOを回収するCO回収システムに利用可能である。
【符号の説明】
【0036】
1 ボイラ
11 ボイラ缶体
11a 上部管寄せ
11b 下部管寄せ
11c 水管
12 セパレータ
13 エコノマイザ
14 煙道
15a 給水管
15b 燃料供給管
15c 空気供給管
15d 降水管
15e ブロー配管
16 ブロー弁
17 バーナ
2 CO回収装置
3 排ガス供給ライン
5 熱交換システム
51 冷却器
52 凝縮器
53 熱交換装置
100 CO回収システム
Ga 排ガス
Gb 回収ガス
図1
図2