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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024017015
(43)【公開日】2024-02-08
(54)【発明の名称】雌端子
(51)【国際特許分類】
   H01R 13/11 20060101AFI20240201BHJP
   H01R 13/187 20060101ALI20240201BHJP
   H01R 13/18 20060101ALI20240201BHJP
【FI】
H01R13/11 301C
H01R13/187 B
H01R13/18 B
【審査請求】未請求
【請求項の数】12
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022119370
(22)【出願日】2022-07-27
(71)【出願人】
【識別番号】395011665
【氏名又は名称】株式会社オートネットワーク技術研究所
(71)【出願人】
【識別番号】000183406
【氏名又は名称】住友電装株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】000002130
【氏名又は名称】住友電気工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001966
【氏名又は名称】弁理士法人笠井中根国際特許事務所
(74)【代理人】
【識別番号】100147717
【弁理士】
【氏名又は名称】中根 美枝
(74)【代理人】
【識別番号】100103252
【弁理士】
【氏名又は名称】笠井 美孝
(72)【発明者】
【氏名】小林 真吾
(57)【要約】
【課題】筒状接続部の板厚が増大しても製造が容易で、導通抵抗の低減や放熱性能の向上を図ることができる、雌端子を提供することを目的とする。
【解決手段】雌端子10が、雄端子14の柱状接続部18と導通接続される筒状接続部54と、電線22の芯線24が接続される電線接続部52と、を含み、筒状接続部54は、帯状の第1平板金具44の一端部を円弧状に湾曲変形して設けられた第1周壁部38と、帯状の第2平板金具46の一端部を円弧状に湾曲変形して設けられた第2周壁部40と、を有し、電線接続部52が、第1平板金具44の他端部である第1他端部48と第2平板金具46の他端部である第2他端部50とが重ね合されて構成され、第1平板金具44の第1他端部48と第2平板金具46の第2他端部50とが相互に重ね合されることにより、第1周壁部38と第2周壁部40が隙間を隔てて対向配置されて、筒状接続部54が構成されている。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
雄端子の柱状接続部と導通接続される筒状接続部と、
電線の芯線が接続される電線接続部と、を含み、
前記筒状接続部は、帯状の第1平板金具の一端部を円弧状に湾曲変形して設けられた第1周壁部と、帯状の第2平板金具の一端部を円弧状に湾曲変形して設けられた第2周壁部と、を有し、
前記電線接続部が、前記第1平板金具の他端部である第1他端部と前記第2平板金具の他端部である第2他端部とが重ね合されて構成され、
前記第1平板金具の前記第1他端部と前記第2平板金具の前記第2他端部とが相互に重ね合されることにより、前記第1周壁部と前記第2周壁部が隙間を隔てて対向配置されて、前記筒状接続部が構成されている、雌端子。
【請求項2】
前記第1平板金具と前記第2平板金具は、前記第1他端部と前記第2他端部が連結部を介して相互に連結された一枚の帯状の金属平板によって構成されており、
前記金属平板の両端部に前記第1平板金具の前記第1周壁部と前記第2平板金具の前記第2周壁部がそれぞれ設けられ、
前記金属平板の前記連結部が板厚方向に屈曲されることで、前記第1平板金具の前記第1他端部と前記第2平板金具の前記第2他端部とが相互に重ね合されて前記電線接続部が構成され、前記両端部に設けられた前記第1周壁部と前記第2周壁部が相互に隙間を隔てて対向配置されて前記筒状接続部が構成されている、請求項1に記載の雌端子。
【請求項3】
前記筒状接続部の内周側に配置された筒状の接点部材を含み、
前記接点部材は、前記筒状接続部に挿入される前記雄端子の前記柱状接続部の外周面に対して付勢しながら接触する複数のばね接点部を有している、請求項1または請求項2に記載の雌端子。
【請求項4】
前記筒状接続部の内周側に配置された筒状の接点部材と、
前記筒状接続部の外周側に装着された前記第1周壁部と前記第2周壁部の対向方向と反対方向への変位を規制する開き防止部材と、をさらに含み、
前記接点部材は、前記筒状接続部に挿入される前記雄端子の前記柱状接続部の外周面に対して付勢しながら接触する複数のばね接点部を有している、請求項1または請求項2に記載の雌端子。
【請求項5】
前記開き防止部材が、周方向の一か所が切り欠かれた金属製のリング部材を含み、
前記筒状接続部は、前記第1周壁部と前記第2周壁部をそれぞれ板厚方向に貫通して設けられた複数の係合孔を有し、
前記リング部材が、複数の前記係合孔の外周側開口部を覆って配置されており、複数の前記係合孔の内周側開口部に前記接点部材に設けられた複数の係合部がそれぞれ係合して前記接点部材が前記筒状接続部に位置決めされている、請求項4に記載の雌端子。
【請求項6】
前記第1平板金具は、前記第1周壁部と前記第1他端部を連結する第1中間板部を有し、前記第2平板金具は、前記第2周壁部と前記第2他端部を連結する第2中間板部を有し、
前記第1周壁部と前記第2周壁部は、対向方向と反対方向への離隔変位が前記第1中間板部と前記第2中間板部の弾性変形によって許容されており、
前記筒状接続部には、前記第1周壁部と前記第2周壁部を前記対向方向に付勢する付勢部材が装着されている、請求項1または請求項2に記載の雌端子。
【請求項7】
前記付勢部材が、周方向の一か所が切り欠かれた金属製のリング部材を含み、
前記筒状接続部の外周面に前記リング部材の内周面が圧接されて装着されている、請求項6に記載の雌端子。
【請求項8】
前記筒状接続部は、前記電線接続部からの離隔方向の前方に向かって開口するように配置されており、
前記第1周壁部と前記第2周壁部は、板厚方向で貫通して前記離隔方向の前方に向かって開口するスリットと、前記スリットを介して周方向で相互に離隔する複数の分割壁部と、をそれぞれ含んでいる、請求項1または請求項2に記載の雌端子。
【請求項9】
前記筒状接続部は、前記電線接続部からの離隔方向に直交する方向である前記筒状接続部の軸方向の両側に開口するように配置されており、
前記第1周壁部と前記第2周壁部は、前記軸方向の中間部分を板厚方向で貫通するスリットと、前記スリットを介して前記軸方向で相互に離隔する複数の分割壁部と、をそれぞれ含んでおり、
前記第1周壁部の複数の前記分割壁部と前記第2周壁部の複数の前記分割壁部がそれぞれ相互に対向配置されて、前記軸方向で相互に離隔して配置された複数の分割筒部を構成している、請求項1または請求項2に記載の雌端子。
【請求項10】
前記複数の分割筒部に対応する複数の付勢部材を有し、
各前記分割筒部には、前記第1周壁部側の前記分割壁部と前記第2周壁部側の前記分割壁部を対向方向に付勢する各前記付勢部材がそれぞれ装着されている、請求項9に記載の雌端子。
【請求項11】
前記雌端子が絶縁性のハウジングに収容されるようになっており、前記開き防止部材が、前記ハウジングに設けられた被嵌合部に嵌る嵌合部を有し、前記嵌合部の前記被嵌合部への嵌合により、前記雌端子が前記ハウジングに対して位置決めされる、請求項4に記載の雌端子。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、雌端子に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来から、ピン端子等と呼ばれる略円柱状の柱状接続部を有する雄端子と、スリーブ端子等と呼ばれる略円筒状の筒状接続部を有する雌端子との雌雄型端子による電気的な接続構造が用いられている。雌端子の筒状接続部を、切削加工により円筒状に削り出して製造する場合、加工性が悪く、製造コストも高くなる。そこで、特許文献1には、金属平板をプレス加工により円筒状に湾曲させて筒状接続部を製造し、加工性の向上や製造コストの低減を図ることが提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2013-187171号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、近年の車載機器の大電流化に対応するため、雌端子を構成する金属平板の板厚も増大しており、板厚の大きい金属平板を円筒状に曲げ加工して特許文献1の雌端子を製造すること自体が難しくなっている。さらに、特許文献1の構造では、筒状接続部の周方向で一部の領域のみしか、被覆電線の芯線が接続される電線接続部に直接連結されていない。その結果、筒状接続部の周方向の残りの領域では、電線接続部までの導電経路が長くなっており、雌端子の導通抵抗や放熱性能の悪化を招いていた。
【0005】
そこで、筒状接続部の板厚が増大しても製造が容易で、導通抵抗の低減や放熱性能の向上を図ることができる、雌端子を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の雌端子は、雄端子の柱状接続部と導通接続される筒状接続部と、電線の芯線が接続される電線接続部と、を含み、前記筒状接続部は、帯状の第1平板金具の一端部を円弧状に湾曲変形して設けられた第1周壁部と、帯状の第2平板金具の一端部を円弧状に湾曲変形して設けられた第2周壁部と、を有し、前記電線接続部が、前記第1平板金具の他端部である第1他端部と前記第2平板金具の他端部である第2他端部とが重ね合されて構成され、前記第1平板金具の前記第1他端部と前記第2平板金具の前記第2他端部とが相互に重ね合されることにより、前記第1周壁部と前記第2周壁部が隙間を隔てて対向配置されて、前記筒状接続部が構成されている、雌端子である。
【発明の効果】
【0007】
本開示の雌端子によれば、筒状接続部の板厚が増大しても製造が容易で、導通抵抗の低減や放熱性能の向上を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1図1は、実施形態1に係る雌端子を含む雌コネクタが雄端子に嵌合した状態を示す斜視図である。
図2図2は、図1におけるII-II断面を拡大して示す縦断面図である。
図3図3は、図1に示す雄端子と雌コネクタの分解斜視図である。
図4図4は、図2におけるIV-IV断面を拡大して示す縦断面図である。
図5図5は、実施形態2に係る雌端子であって被覆電線の端末に接続された状態の雌端子を示す斜視図である。
図6図6は、実施形態3に係る雌端子であって被覆電線の端末に接続された状態の雌端子を示す斜視図である。
図7図7は、実施形態1の変形例に係る雌端子であって被覆電線の端末に接続された状態の雌端子を示す斜視図である。
図8図8は、実施形態3の一の変形例に係る雌端子であって被覆電線の端末に接続された状態の雌端子を示す斜視図である。
図9図9は、実施形態3の別の変形例に係る雌端子であって被覆電線の端末に接続された状態の雌端子を示す斜視図である。
図10図10は、実施形態3のさらに別の変形例に係る雌端子であって被覆電線の端末に接続された状態の雌端子を示す斜視図である。
図11図11は、実施形態1の別の変形例に係る雌端子であって被覆電線の端末に接続された状態の雌端子を示す斜視図である。
図12図12は、別の態様に係る雌端子であって被覆電線の端末に接続された状態の雌端子を示す斜視図である。
図13図13は、図12に示された雌端子における分解斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
<本開示の実施形態の説明>
最初に、本開示の実施態様を列記して説明する。
本開示の雌端子は、
(1)雄端子の柱状接続部と導通接続される筒状接続部と、電線の芯線が接続される電線接続部と、を含み、前記筒状接続部は、帯状の第1平板金具の一端部を円弧状に湾曲変形して設けられた第1周壁部と、帯状の第2平板金具の一端部を円弧状に湾曲変形して設けられた第2周壁部と、を有し、前記電線接続部が、前記第1平板金具の他端部である第1他端部と前記第2平板金具の他端部である第2他端部とが重ね合されて構成され、前記第1平板金具の前記第1他端部と前記第2平板金具の前記第2他端部とが相互に重ね合されることにより、前記第1周壁部と前記第2周壁部が隙間を隔てて対向配置されて、前記筒状接続部が構成されている、雌端子である。
【0010】
本開示の雌端子によれば、帯状の金属平板の一端部を円弧状に湾曲変形して設けた第1周壁部と第2周壁部を、隙間を隔てて相互に対向配置させることで、筒状接続部を構成することができる。それゆえ、特許文献1に記載の従来構造のように、金属平板を360°の全周に亘る円筒形状に曲げ加工する必要がなく、大電流化に対応するために筒状接続部の板厚が大きくなった場合でも円弧状に湾曲変形させることは可能であり、雌端子の製造を容易に行うことができる。加えて、一端部に第1周壁部が設けられた第1平板金具の第1他端部と、一端部に第2周壁部が設けられた第2平板金具の第2他端部とが、相互に重ね合されて電線接続部が構成されている。それゆえ、筒状接続部を構成する第1周壁部と第2周壁部の全体が電線接続部に直接連接されており、特許文献1に記載の従来構造のように、筒状接続部の一部の領域のみ電線接続部に接続された場合に比して、雌端子の導通抵抗の低減や放熱性能の向上を図ることができる。
【0011】
なお、第1平板金具と第2平板金具は、相互に分離されていてもよいし、各他端部側で相互に連結されていてもよい。また、筒状接続部は、電線接続部からの離隔方向の前方に向かって開口するように配置されていてもよいし、電線接続部からの離隔方向に直交する方向の両側に開口するように配置されていてもよい。また、「第1他端部と第2他端部とが重ね合される」とは、第1他端部と第2他端部とが全面に亘って密着している必要はなく、相互に対向して近接配置されていればよく、その一部または全部が隙間を隔てて対向している状態も含むものである。
【0012】
(2)上記(1)において、前記第1平板金具と前記第2平板金具は、前記第1他端部と前記第2他端部が連結部を介して相互に連結された一枚の帯状の金属平板によって構成されており、前記金属平板の両端部に前記第1平板金具の前記第1周壁部と前記第2平板金具の前記第2周壁部がそれぞれ設けられ、前記金属平板の前記連結部が板厚方向に屈曲されることで、前記第1平板金具の前記第1他端部と前記第2平板金具の前記第2他端部とが相互に重ね合されて前記電線接続部が構成され、前記両端部に設けられた前記第1周壁部と前記第2周壁部が相互に隙間を隔てて対向配置されて前記筒状接続部が構成されている、ことが好ましい。
【0013】
一枚の帯状の金属平板の両端部に第1/第2周壁部をプレス加工し、当該帯板金具の中央部分に設けられた連結部を板厚方向に屈曲して、帯板金具を長さ方向で半分に折り曲げるだけで、筒状接続部と電線接続部を簡単に製造することができ、更なる製造性や取扱性の向上を図ることができる。
【0014】
(3)上記(1)または(2)において、前記筒状接続部の内周側に配置された筒状の接点部材を含み、前記接点部材は、前記筒状接続部に挿入される前記雄端子の前記柱状接続部の外周面に対して付勢しながら接触する複数のばね接点部を有している、ことが好ましい。
【0015】
筒状接続部を構成する第1周壁部や第2周壁部とは別体の接点部材を内包することで、筒状接続部の雄端子への接圧のコントロールがし易くなる。特に、低接圧化が図り易く、雌雄端子の嵌合時における挿入力の低減を図ることができる。さらに、ばね接点部を複数設けて多接点化することで、接触抵抗の低減を図ることもできる。
【0016】
(4)上記(1)から(3)のいずれか1つにおいて、前記筒状接続部の内周側に配置された筒状の接点部材と、前記筒状接続部の外周側に装着された前記第1周壁部と前記第2周壁部の対向方向と反対方向への変位を規制する開き防止部材と、をさらに含み、前記接点部材は、前記筒状接続部に挿入される前記雄端子の前記柱状接続部の外周面に対して付勢しながら接触する複数のばね接点部を有している、ことが好ましい。
【0017】
筒状接続部を構成する第1周壁部や第2周壁部とは別体の接点部材を内包することで、筒状接続部の雄端子への接圧のコントロールがし易くなる。特に、低接圧化が図り易く、雌雄端子の嵌合時における挿入力の低減を図ることができる。さらに、ばね接点部を複数設けて多接点化することで、接触抵抗の低減を図ることもできる。また、筒状接続部に開き防止部材が装着されて第1周壁部と第2周壁部の対向方向と反対方向への変位が規制されていることから、接点部材の変形等も有利に阻止されている。
【0018】
(5)上記(4)において、前記開き防止部材が、周方向の一か所が切り欠かれた金属製のリング部材を含み、前記筒状接続部は、前記第1周壁部と前記第2周壁部をそれぞれ板厚方向に貫通して設けられた複数の係合孔を有し、前記リング部材が、複数の前記係合孔の外周側開口部を覆って配置されており、複数の前記係合孔の内周側開口部に前記接点部材に設けられた複数の係合部がそれぞれ係合して前記接点部材が前記筒状接続部に位置決めされている、ことが好ましい。
【0019】
開き防止部材を、周方向の一か所が切り欠かれた金属製のリング部材により容易に構成することができる。さらに、第1周壁部と第2周壁部に設けられた複数の係合孔を用いて接点部材の筒状接続部への位置決めを行うことができる。そして、複数の係合孔の外周側開口部をリング部材により覆うことができる。これにより、接点部材の筒状接続部への安定した位置決めを行いつつ、筒状接続部内への異物の入り込みを抑制または阻止することができ、雌端子の導通安定性を有利に実現することができる。
【0020】
(6)上記(1)から(3)のいずれか1つにおいて、前記第1平板金具は、前記第1周壁部と前記第1他端部を連結する第1中間板部を有し、前記第2平板金具は、前記第2周壁部と前記第2他端部を連結する第2中間板部を有し、前記第1周壁部と前記第2周壁部は、対向方向と反対方向への離隔変位が前記第1中間板部と前記第2中間板部の弾性変形によって許容されており、前記筒状接続部には、前記第1周壁部と前記第2周壁部を前記対向方向に付勢する付勢部材が装着されている、ことが好ましい。
【0021】
各平板金具の各中間板部のばね性を利用して、筒状接続部に挿入される雄端子に対して、第1周壁部と第2周壁部が圧接されるが、筒状接続部に第1周壁部と第2周壁部を対向方向に付勢する付勢部材を装着することで、さらに、第1周壁部と第2周壁部の雄端子への接圧を付与することができる。その結果、雌端子の雄端子への導通安定性の向上を図ることができる。
【0022】
(7)上記(6)において、前記付勢部材が、周方向の一か所が切り欠かれた金属製のリング部材を含み、前記筒状接続部の外周面に前記リング部材の内周面が圧接されて装着されている、ことが好ましい。
【0023】
付勢手段を周方向の一か所が切り欠かれた金属製のリング部材を用いて簡単に構成できる。しかも、第1/第2周壁部の外周面にリング部材の内周面が圧接された状態で、リング部材が筒状接続部に装着されていることから、リング部材の付勢力を筒状接続部の広い面積に亘って均等に及ぼすことができる。これにより、筒状接続部に対する接圧の付与を簡単な構造で安定して実現することができる。なお、金属製のリング部材は、周方向の一か所が切り欠かれて筒状接続部に組み付け可能なものであれば何れでもよく、例えば、公知のCリングやEリング等を有利に採用できる。
【0024】
(8)上記(1)から(7)のいずれか1つにおいて、前記筒状接続部は、前記電線接続部からの離隔方向の前方に向かって開口するように配置されており、前記第1周壁部と前記第2周壁部は、板厚方向で貫通して前記離隔方向の前方に向かって開口するスリットと、前記スリットを介して周方向で相互に離隔する複数の分割壁部と、をそれぞれ含んでいる、ことが好ましい。
【0025】
第1/第2周壁部が、それぞれ周方向で相互に離隔する複数の分割壁部に分断されており、各分割壁部はスリットにより離隔方向の前方側の端部が自由端とされた片持ち梁状に保持されている。それゆえ、雄端子の筒状接続部の径方向への変位に対する、筒状接続部の追従性を向上させることができる。なお、上記(6)や(7)と組み合わせた構成により、各分割壁部に付勢部材による付勢力を付与することができ、筒状接続部の雄端子への追従性と接圧の向上を両立して有利に実現することができる。
【0026】
(9)上記(1)から(7)のいずれか1つにおいて、前記筒状接続部は、前記電線接続部からの離隔方向に直交する方向である前記筒状接続部の軸方向の両側に開口するように配置されており、前記第1周壁部と前記第2周壁部は、前記軸方向の中間部分を板厚方向で貫通するスリットと、前記スリットを介して前記軸方向で相互に離隔する複数の分割壁部と、をそれぞれ含んでおり、前記第1周壁部の複数の前記分割壁部と前記第2周壁部の複数の前記分割壁部がそれぞれ相互に対向配置されて、前記軸方向で相互に離隔する複数の分割筒部を構成している、ことが好ましい。
【0027】
第1/第2周壁部が、それぞれ筒状接続部の軸方向で相互に離隔する複数の分割壁部に分断されており、相互に対向する第1周壁部側の分割壁部と第2周壁部側の分割壁部により軸方向で離隔して配置された複数の分割筒部が設けられている。それゆえ、筒状接続部に挿入された雄端子の軸方向に傾斜する方向への変位に対して、分割筒部により優れた追従性が発揮される。
【0028】
(10)上記(9)において、前記複数の分割筒部に対応する複数の付勢部材を有し、各前記分割筒部には、前記第1周壁部側の前記分割壁部と前記第2周壁部側の前記分割壁部を対向方向に付勢する各前記付勢部材がそれぞれ装着されている、ことが好ましい。複数の分割筒部に対して各別に付勢部材を装着することで、各分割筒部に対して各別に雄端子への接圧を付与することができる。これにより、分割筒部による追従性の向上と、雄端子への各分割筒部、すなわち筒状接続部の接圧の向上を両立して達成することができる。なお、付勢部材としては、上記(7)の構成のものを採用することができ、その場合には、各分割筒部に装着溝を設けて、各装着溝に各リング部材を嵌合させることが望ましい。
【0029】
(11)上記(4)または(6)において、前記雌端子が絶縁性のハウジングに収容されるようになっており、前記開き防止部材または前記付勢部材が、前記ハウジングに設けられた被嵌合部に嵌る嵌合部を有し、前記嵌合部の前記被嵌合部への嵌合により、前記雌端子が前記ハウジングに対して位置決めされる、ことが好ましい。開き防止部材または付勢部材を利用して、ハウジングに対する雌端子の位置決め機構も構成することができ、部品点数の削減や小型化を図ることができるからである。
【0030】
<本開示の実施形態の詳細>
本開示の雌端子の具体例を、以下に図面を参照しつつ説明する。なお、本開示は、これらの例示に限定されるものではなく、特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【0031】
<実施形態1>
以下、本開示の実施形態1の雌端子10について、図1から図4を用いて説明する。図1から図4には、本開示の雌端子10を含む雌コネクタ12と、雌端子10と導通接続される雄端子14とが示されている。雄端子14は、図示しない高圧バッテリ等の車載機器の筐体に突出して設けられており、インバータ等の他の車載機器に接続された後述する被覆電線22の端末に設けられた雌コネクタ12と導通接続されることで、車載機器間が電気的に接続されるようなっている。なお、雌端子10は、任意の向きで配置することができるが、以下では、上下方向は図2中の上下方向、前後方向は図2中の左右方向、左右方向は図2中の紙面に垂直な方向として説明する。また、複数の同一部材については、一部の部材にのみ符号を付し、他の部材については符号を省略する場合がある。
【0032】
<雄端子14>
雄端子14は、銅、銅合金、アルミニウム、アルミニウム合金等の比較的電気抵抗の低い金属を、切削加工やプレス加工により所定の形状に加工して構成されたものである。雄端子14は、図示しない高圧バッテリ等の車載機器の筐体内に設けられた機器側接続部に接続状態に固定される固定部16と、固定部16から筐体の外方に突出する柱状接続部18を一体的に備えている。固定部16には、機器側接続部との固定用の締結ボルト(図示省略)が締結されるボルト締結穴20が設けられている。
【0033】
<雌コネクタ12>
雌コネクタ12は、図示しない車載機器に接続された被覆電線22と、被覆電線22の端末に露出された銅やアルミニウム等の金属によって構成された芯線24が接続される雌端子10と、雌端子10を収容する絶縁性のハウジング26を含んでいる。ハウジング26は、合成樹脂等を用いて形成されており、中空の円筒形状を有する本体部28と、本体部28の前方開口部を覆う前方カバー部30を備えた一体射出成形品である。なお、前方カバー部30には、雄端子14の柱状接続部18が挿通可能な挿通孔32が厚さ方向に貫通して設けられている。さらに、ハウジング26の本体部28には、本体部の周方向で離隔した径方向で対向する2箇所において、板厚方向に貫通する矩形孔形状の一対の被嵌合部34が設けられている。ハウジング26の本体部28の後方開口部36は、覆われることなく開放されており、後方開口部36を通って雌端子10がハウジング26内に収容される。ハウジング26内に収容された雌端子10は、雌端子10に設けられた後述するリング部材80の一対の嵌合部78が、一対の被嵌合部34にそれぞれ嵌合されることで、ハウジング26に対して位置決めされて組み付けられる(図2参照)。
【0034】
<雌端子10>
雌端子10は、帯状の金属平板を所定の形状にプレス加工してなる。帯状の金属平板は、銅、銅合金、アルミニウム、アルミニウム合金等の電気抵抗の低い金属の条材から所定の長さ寸法と幅寸法で切り出すことができる。本実施形態では、帯状の金属平板の両端部が、プレス加工により板厚方向で同じ側に突出する半円筒状に湾曲変形されており、これにより、第1周壁部38と第2周壁部40が形成されている。第1周壁部38と第2周壁部40は、略同じ曲率で湾曲変形されており、それらの軸方向が帯状の金属平板の長手方向に配向する向きで設けられている。
【0035】
帯状の金属平板の長手方向の略中央部分により連結部42が構成されている。連結部42を挟んで第1周壁部38が設けられた側により第1平板金具44が構成され、第2周壁部40が設けられた側により第2平板金具46が構成されている。第1平板金具44において、第1周壁部38が設けられた一端部とは反対の他端部である第1他端部48は、連結部42に連接して平板状に広がっている。第2平板金具46において、第2周壁部40が設けられた一端部とは反対の他端部である第2他端部50は、連結部42に連接して平板状に広がっている。さらに、金属平板の連結部42が、第1周壁部38や第2周壁部40が突出する側と同じ板厚方向に突出するように屈曲されることで、第1平板金具44の第1他端部48と第2平板金具46の第2他端部50とが相互に重ね合されている。このように相互に重ね合された第1他端部48と第2他端部50により、電線接続部52が構成されている。図3に示すように、電線接続部52に対して、被覆電線22の芯線24が重ね合されて、超音波溶接等によって溶接されることで、電線接続部52に被覆電線22の芯線24が固定的且つ電気的に接続される。なお、電線接続部52を構成する第1他端部48と第2他端部50は、芯線24の溶接時に互いの対向面が相互に固着されていてもよいし、少なくとも部分的に隙間を隔てて対向して近接配置されていてもよい。
【0036】
相互に重ね合された第1他端部48と第2他端部50により、電線接続部52が構成された状態で、第1周壁部38と第2周壁部40が隙間を隔てて対向配置されている。そして、このように対向配置された第1周壁部38と第2周壁部40により、雄端子14の柱状接続部18が挿通配置されて接続される筒状接続部54が構成されている(図3参照)。
【0037】
本実施形態では、筒状接続部54は、電線接続部52からの離隔方向の前方に向かって開口するように配置されており(図3参照)、雄端子14の柱状接続部18は、筒状接続部54の前方開口部56から、筒状接続部54の内部に挿入されるようになっている。そして、筒状接続部54を構成する第1周壁部38と第2周壁部40には、周方向の中央部分をそれぞれ板厚方向に貫通して設けられた一対の係合孔58,58が、プレス打ち抜き加工により設けられている。一対の係合孔58,58は、第1周壁部38と第2周壁部40の対向方向であって、筒状接続部54の径方向で対向して配置されている(図2参照)。さらに、第1周壁部38と第2周壁部40の相互に対向する周方向端部(図3中、右側に位置する周方向端部)には、外周面に開口する凹状の嵌合溝60,60がそれぞれ設けられている。第1周壁部38の嵌合溝60と第2周壁部の嵌合溝60とは、周方向で隙間を隔てて対向配置されて、周方向で所定長さに亘って延びている。図4に示すように、嵌合溝60,60に対して後述するリング部材80が嵌合され、リング部材80が筒状接続部54の軸方向(図4中、前後方向)で位置決めされる。
【0038】
図2に示すように、第1平板金具44は、第1周壁部38と第1他端部48を連結する第1中間板部62を有しており、第2平板金具46は、第2周壁部40と第2他端部50を連結する第2中間板部64を有している。第1中間板部62は、第1周壁部38側では第1周壁部38の曲率に沿って略円弧状に湾曲しているが、第1他端部48に近づくにつれて曲率が小さくなり、第1他端部48側では略平板状に広がっている。第2中間板部64も第1中間板部62と略同様に曲率が変化する形状で、第2周壁部40と第2他端部50の間を延びている。第1平板金具44では、第1周壁部38が第1中間板部62を介して第1他端部48に片持ち梁状に連結されており、第2平板金具46では、第2周壁部40が第2中間板部64を介して第2他端部50に片持ち梁状に連結されている。
【0039】
<接点部材66>
雌端子10は、さらに、接点部材66を備えている。接点部材66は、銅、銅合金、アルミニウム、アルミニウム合金等の金属材をプレス折り曲げ加工等することによって形成されている。図3に示すように、接点部材66は、第1周壁部38や第2周壁部40より薄肉の略円筒形状の装着筒部68と、装着筒部68の周方向および軸方向で相互に離隔した複数箇所に設けられた複数のばね接点部70を有している。図2に示すように、各ばね接点部70は、装着筒部68の周壁を内周側に片持ち梁状に切り起こして設けられている。各ばね接点部70は、突出方向の中間部分に、装着筒部68の径方向内方に断面略V字状に折り曲げられた接点72を有している。さらに、接点部材66の装着筒部68の一方の開口端部(図3中、前方側)には、周方向に相互に離隔した複数箇所において、複数の当接片74(本実施形態では6つ)が、外周側に突出して設けられている。
【0040】
また、接点部材66の装着筒部68の他方の開口端部側(図3中、後方側)には、周方向に相互に離隔して径方向で対向する2箇所に、一対の係合部76,76が設けられている。各係合部76は、装着筒部68の周壁を外周側に片持ち梁状に切り起こして設けられており、他方の開口端部側(後方側)から一方の開口端部側(前方側)に向かって突出している。
【0041】
このような構成とされた接点部材66は、当接片74が設けられていない開口端部側(図3中、後方側)から、筒状接続部54の前方開口部56を挿通して内部に挿入されている。当接片74が、筒状接続部54の前方開口部56に当接することで、接点部材66の筒状接続部54への挿入端が規定されている。図2に示すように、接点部材66の筒状接続部54への挿入端位置では、各係合部76の突出端部が、第1周壁部38と第2周壁部40に設けられた各係合孔58の内周側開口部における前方側端面に係合している。このように、各当接片74の筒状接続部54の前方開口部56への当接と、各係合部76の各係合孔58の前方側端面への係合により、接点部材66の筒状接続部54の軸方向(図中、前後方向)の変位が規制されており、接点部材66が筒状接続部54に位置決めされている。
【0042】
さらに、接点部材66の外径寸法が筒状接続部54の内径寸法よりもわずかに大きくされていることから、接点部材66が筒状接続部54の内周側に配置された状態で、接点部材66の装着筒部68の外周面が、第1周壁部38と第2周壁部40の内周面に圧接されている。また、筒状接続部54の前方開口部56から雄端子14の柱状接続部18が挿し入れられると、各ばね接点部70が外周側に撓み変形することで柱状接続部18の筒状接続部54への挿入が許容される。そして、各ばね接点部70の弾性復帰力により、柱状接続部18の外周面に各ばね接点部70が付勢されて接触し、各ばね接点部70の接点72が柱状接続部の外周面に圧接されることとなる(図2参照)。
【0043】
<リング部材80(開き防止部材)>
雌端子10は、さらに、開き防止部材としてのリング部材80を備えている。リング部材80は、周方向の一か所が切り欠かれた金属製のCリングを用いて構成されている。リング部材80は、周上の切欠部分を通じて、筒状接続部54の外周面に対して側方から嵌め入れることができる。リング部材80の内径寸法は、筒状接続部54の外径寸法よりもわずかに小さくされている。それゆえ、筒状接続部54に外嵌されたリング部材80は、筒状接続部54を構成する第1周壁部38と第2周壁部40が対向方向と反対方向へ変位しようとした際には、リング部材80の弾性復帰力により反対方向への変位を規制する力を加える。これにより、リング部材80は、第1周壁部38と第2周壁部40の対向方向と反対方向への変位を規制する開き防止部材として機能している。
【0044】
なお、筒状接続部54の外周面に対して側方から嵌め入れられたリング部材80は、筒状接続部54の第1周壁部38と第2周壁部40の外周面にそれぞれ設けられた嵌合溝60に嵌合される(図4参照)。これにより、リング部材80の筒状接続部54に対する軸方向(図中、前後方向)の変位が、リング部材80の嵌合溝60の側壁への当接により規制され、リング部材80が筒状接続部54に対して位置決めされる。このようにリング部材80が筒状接続部54に対して位置決めされた状態で、リング部材80が、一対の係合孔58,58の外周側開口部を覆って配置されている(図2参照)。
【0045】
さらに、リング部材80には、周方向に相互に離隔した複数箇所(本実施形態では2箇所)に、径方向で対向して配置された一対の嵌合部78,78を有している。各嵌合部78は、リング部材80の軸方向の一端部(図2中、前方の端部)から、軸方向の他端部(図2中、後方の端部)に向かって、側面視で略U字状に折り曲げられた形状を有している。リング部材80の一対の嵌合部78,78は、雌端子10がハウジング26の内部に収容された際に、ハウジング26に設けられた一対の被嵌合部34,34に嵌合される(図2参照)。これにより、雌端子10のハウジング26からの抜け出しが阻止されて、雌端子10がハウジング26に対して位置決めされる。
【0046】
続いて、本実施形態に係る雌端子10の作用効果について説明する。本実施形態の雌端子10によれば、帯状の金属平板の一端部を半円筒状に湾曲変形して設けた第1周壁部38と第2周壁部40を、隙間を隔てて相互に対向配置させることで、筒状接続部54を構成している。それゆえ、特許文献1に記載の従来構造のように、金属平板を360°の全周に亘る円筒形状に曲げ加工する必要がなく、大電流化に対応するために筒状接続部の板厚が大きくなった場合でも半円筒状に湾曲変形させることは可能であり、雌端子10の製造を容易に行うことができる。一端部に第1周壁部38が設けられた第1平板金具44の第1他端部48と、一端部に第2周壁部40が設けられた第2平板金具46の第2他端部50とが、相互に重ね合されて電線接続部52が構成されている。それゆえ、筒状接続部を構成する第1周壁部38と第2周壁部40の全体が第1中間板部62や第2中間板部64を介して電線接続部52に直接連接されており、特許文献1に記載の従来構造のように、筒状接続部の一部の領域のみ電線接続部に接続された場合に比して、雌端子10の導通抵抗の低減や放熱性能の向上を図ることができる。
【0047】
特に、本実施形態では、一枚の帯状の金属平板の両端部に、第1周壁部38と第2周壁部40をプレス加工により設け、金属平板の中央部分に設けられた連結部42を板厚方向に屈曲して、雌端子10を構成している。すなわち、金属平板を長さ方向で半分に折り曲げるだけで、筒状接続部54と電線接続部52を簡単に製造することができる。これにより、更なる製造性や取扱性の向上を図ることができる。
【0048】
また、筒状接続部54の内周側には、接点部材66が内嵌されており、接点部材66が筒状接続部54に挿入される雄端子14の柱状接続部18の外周面に対して付勢しながら接触する複数のばね接点部70を有している。これにより、筒状接続部54の雄端子14への接圧のコントロールがし易くなる。特に、接点部材66は、第1周壁部38や第2周壁部40よりも薄い金属板材を用いて形成されている。それゆえ、筒状接続部54の低接圧化が図り易く、雌雄端子の嵌合時における挿入力の低減を有利に図ることができる。さらに、ばね接点部70を複数設けて多接点化することで、接触抵抗の低減を図ることもできる。また、筒状接続部54にリング部材80が装着されて第1周壁部38と第2周壁部40の対向方向と反対方向への変位が規制されていることから、接点部材66の変形等も有利に阻止されている。
【0049】
さらに、リング部材80が、複数の係合孔58の外周側開口部を覆って配置されており、複数の係合孔58の内周側開口部に接点部材66に設けられた複数の係合部76がそれぞれ係合して接点部材66が筒状接続部54に位置決めされている。
【0050】
これにより、第1周壁部38と第2周壁部40に設けられた複数の係合孔58を用いて接点部材66の筒状接続部54への位置決めを行うことができる。そして、複数の係合孔58の外周側開口部をリング部材80により覆うことができる。この結果、接点部材66の筒状接続部54への安定した位置決めを行いつつ、筒状接続部54内への異物の入り込みを抑制または阻止することができ、雌端子10の導通安定性を有利に実現することができる。
【0051】
<実施形態2>
次に、本開示の実施形態2に係る雌端子90について、図5を用いて説明する。実施形態2の雌端子90は、実施形態1の雌端子10と基本的には同様の構造であるが、接点部材66を含んでおらず、筒状接続部92を構成する第1周壁部94と第2周壁部96によって雄端子14の柱状接続部18への接点が構成されている点等において、異なっている。以下の説明では、実施形態1における相違点について説明するとともに、実施形態1と実質的に同一の部材および部位には、図中に、実施形態1と同一の符号を付すことにより詳細な説明を省略する。
【0052】
雌端子90は、第1平板金具44と第2平板金具46を含んでいる点は実施形態1と同じであるが、第1平板金具44と第2平板金具46は、第1他端部48と第2他端部50のそれぞれの側縁部同士を連結する連結部98(図5中、左側)を介して一体化されている点で異なっている。すなわち、雌端子90では、並列配置された第1平板金具44と第2平板金具46が、連結部98を板厚方向に屈曲することで、第1平板金具44の第1他端部48と第2平板金具46の第2他端部50とを相互に重ね合せて電線接続部52を構成している。第2他端部50の連結部98と反対側の側縁部(図5中、右側)にはかしめ片100が設けられており、第1他端部48の連結部98とは反対側(図5中、右側)の側縁部に設けられたかしめ凸部102に加締められている。これにより、第1平板金具44と第2平板金具46とが、対向方向と反対方向に開いてしまうことが未然に防止されている。
【0053】
第1周壁部94が第1他端部48に対して第1中間板部62を介して連結され、第2周壁部96が第2他端部50に対して第2中間板部64を介して連結されている点は、実施形態1と同じである。それゆえ、第1周壁部94と第2周壁部96は、対向方向と反対方向への離隔変位が第1中間板部62と第2中間板部64の弾性変形によって許容されている。
【0054】
第1周壁部94と第2周壁部96によって構成される筒状接続部92は、電線接続部52から離隔する方向の前方(図5中、前方)に向かって開口するように配置されている。第1周壁部94は、板厚方向で貫通して電線接続部52からの離隔方向である前方に向かって開口するスリット104と、スリット104を介して周方向で相互に離隔する複数の分割壁部94a,94bを有している。第2周壁部96は、板厚方向で貫通して電線接続部52からの離隔方向である前方に向かって開口するスリット106と、スリット106を介して周方向で相互に離隔する複数の分割壁部96a,96bを有している。分割壁部94a,94b,96a,96bは、いずれも第1/第2中間板部62,64から片持ち梁状に前方に向かって突出している。分割壁部94a,94b,96a,96bの内周面が雄端子14の柱状接続部18の外周面への接触面とされ、分割壁部94a,94b,96a,96bの内周面に、雌端子90の柱状接続部18への接点が設けられている。
【0055】
筒状接続部92において、分割壁部94a,94b,96a,96bの突出端側における外周面には、第1周壁部94と第2周壁部96を対向方向に付勢する付勢部材を構成するリング部材108が装着されている。リング部材108は、周方向の一か所が切り欠かれた金属製のCリングを用いて構成されている。リング部材108は、周上の切欠部分を通じて、筒状接続部92の外周面に対して側方から嵌め入れることができる。リング部材108の内径寸法は、筒状接続部92の外径寸法よりもわずかに小さくされている。それゆえ、筒状接続部92に外嵌されたリング部材108は、筒状接続部54を構成する分割壁部94a,94b,96a,96bを互いに接近する方向である対向方向に変位させる付勢力を付加する。すなわち、筒状接続部92に雄端子14の柱状接続部18が圧入されると、リング部材108の付勢力に抗して分割壁部94a,94b,96a,96bが対向方向と反対方向である筒状接続部92の径方向外方に変位する。分割壁部94a,94b,96a,96bの径方向外方への変位は、第1/第2中間板部62,64の対向方向と反対方向の弾性変形によっても許容される。その結果、第1周壁部94の分割壁部94a,94bと、第2周壁部96の分割壁部96a,96bが、第1/第2中間板部62,64の弾性復帰力により雄端子14の柱状接続部18の外周面に圧接される。加えて、リング部材108の弾性復帰力によっても、第1周壁部94の分割壁部94a,94bと、第2周壁部96の分割壁部96a,96bが雄端子14の柱状接続部18の外周面に圧接される。
【0056】
本実施形態では、リング部材108を用いて第1周壁部94の分割壁部94a,94bと、第2周壁部96の分割壁部96a,96bの雄端子14の柱状接続部18に対する接圧が付加されていることから、雌端子90の導通安定性の向上を有利に図ることができる。しかも、筒状接続部92の外周面にリング部材108の内周面が圧接されて装着されている。それゆえ、リング部材108の付勢力を筒状接続部92の広い面積に亘って均等に及ぼすことができ、筒状接続部92に対する接圧の付与を簡単な構造で安定して実現することができる。
【0057】
加えて、第1周壁部94と第2周壁部96が、それぞれ周方向で相互に離隔する複数の分割壁部94a,94b,96a,96bに分断されており、各分割壁部94a,94b,96a,96bはスリット104,106により離隔方向の前方側の端部が自由端とされた片持ち梁状に保持されている。それゆえ、雄端子14の柱状接続部18の径方向への変位に対する、筒状接続部92の追従性を向上させることができる。しかも、リング部材108を用いて、付勢部材を容易に構成することができ、筒状接続部92の雄端子14への追従性と接圧の向上を両立して有利に実現することができる。
【0058】
<実施形態3>
続いて、本開示の実施形態3に係る雌端子110について、図6を用いて説明する。実施形態3の雌端子110は、実施形態1の雌端子10と基本的には同様の構造であるが、接点部材66を含んでおらず、筒状接続部112が、電線接続部52からの離隔方向に直交する方向である筒状接続部112の軸方向の両側に開口するように配置されている点等が異なっている。以下の説明では、実施形態1における相違点について説明するとともに、実施形態1と実質的に同一の部材および部位には、図中に、実施形態1と同一の符号を付すことにより詳細な説明を省略する。
【0059】
図6に示すように、雌端子110の筒状接続部112は、電線接続部52からの離隔方向に直交する方向である筒状接続部112の軸方向の両側に開口するように配置されている。すなわち、筒状接続部112は、上下方向に開口して配置されている。第1周壁部114は、軸方向の中間部分を板厚方向で貫通するスリット116を有しており、スリット116を介して、軸方向で相互に離隔する2つの分割壁部114a,114bを有している。第2周壁部118は、軸方向の中間部分を板厚方向で貫通するスリット120を有しており、スリット120を介して、軸方向で相互に離隔する2つの分割壁部118a,118bを有している。分割壁部114aと分割壁部118aは相互に対向配置されて、分割筒部122を構成している。分割壁部114bと分割壁部118bは相互に対向配置されて、分割筒部124を構成している。分割筒部122と分割筒部124は、スリット116,120を介して軸方向で相互に離隔している。
【0060】
分割筒部122の外周面には、周方向の一か所が切り欠かれた金属製のCリングを用いて構成された付勢部材126が装着されている。この付勢部材126により、第1周壁部114側の分割壁部114aと第2周壁部118側の分割壁部118aとが対向方向に付勢されている。これにより、雄端子14の柱状接続部18が挿入された際には、分割筒部122を柱状接続部18の表面に圧接させるための接圧を付与することができる。同様に、分割筒部124の外周面には、周方向の一か所が切り欠かれた金属製のCリングを用いて構成された付勢部材128が装着されている。この付勢部材128により、第1周壁部114側の分割壁部114bと第2周壁部118側の分割壁部118bとが対向方向に付勢されている。これにより、雄端子14の柱状接続部18が挿入された際には、分割筒部124を柱状接続部18の表面に圧接させるための接圧を付与することができる。
【0061】
このような構成とされた雌端子110においては、第1周壁部114と第2周壁部118が、それぞれ筒状接続部112の軸方向で相互に離隔する複数の分割壁部114a,114b,118a,118bに分断されており、それらによって、軸方向で離隔して配置された複数の分割筒部122,124が設けられている。それゆえ、筒状接続部112に挿入された雄端子14の柱状接続部18が軸方向に傾斜した場合に、柱状接続部18の変位に対して、分割筒部122,124により優れた追従性が発揮される。しかも、分割筒部122と分割筒部124には、それぞれ別々の付勢部材126,128が装着されている。これにより、各分割筒部122,124に対して各別に雄端子への接圧を付与することができる。それゆえ、分割筒部122,124により、雄端子14の柱状接続部18の変位に対する追従性の向上と、各分割筒部122,124の柱状接続部18への接圧の向上を両立して達成することができる。
【0062】
<変形例>
以上、本開示の具体例として、実施形態1~3について詳述したが、本開示はこの具体的な記載によって限定されない。本開示の目的を達成できる範囲での変形、改良等は本開示に含まれるものである。例えば次のような実施形態の変形例も本開示の技術的範囲に含まれる。
【0063】
(1)実施形態1の雌端子10では、第1周壁部38と第2周壁部40は、略半円筒形状に湾曲して設けられていたが、必ずしも半円筒形状に限定されない。例えば、図7に示す雌端子130のように、第1周壁部38と第2周壁部40は半円筒形状に満たない周長で延びる円弧形状に形成されて、第1周壁部38と第2周壁部40との間に、周方向の隙間132が生じるようにしてもよい。また、実施形態2のように、第1他端部48と第2他端部50の側縁部同士を連結する連結部98を設け、反対側の側縁部にかしめ部134を設け、第1他端部48と第2他端部50とを側縁部側で折り曲げて重ね合せて、かしめ部134を介して強固に連結するようにしてもよい。
【0064】
(2)実施形態1では、筒状接続部54の内部に接点部材66が内嵌されていたが、必ずしも含める必要はなく、実施形態2や3のように、第1周壁部94,114や第2周壁部96,118の内周面によって直接接点を構成するようにしてもよい。
【0065】
(3)反対に、図6に示す雌端子110では、接点部材66を用いていなかったが、図8に示す雌端子136のように、このタイプの雌端子130においても、分割筒部122,124に別体の接点部材66を内嵌させて保持させるようにしてもよい。
【0066】
(4)実施形態3の雌端子110は、筒状接続部112の軸方向の両側に開口するように配置されているタイプのものであるが、筒状接続部112は、必ずしも軸方向で複数の分割筒部122,124に分割されている必要はない。図9に示す雌端子138のように、筒状接続部112が、軸方向で連続して延びる第1周壁部114と第2周壁部118によって構成されていてもよい。この場合には、単一のリング部材108を筒状接続部112に外嵌させて、付勢部材を構成するようにしてもよい。
【0067】
(5)さらに、図10に示す雌端子140のように、筒状接続部112が、軸方向で連続して延びる第1周壁部114と第2周壁部118によって構成されている場合でも、筒状接続部112に接点部材66を内嵌することで、多接点化を容易に行うことができる。
【0068】
(6)実施形態1の雌端子10では、リング部材80が開き防止部材として機能するように、リング部材80のばね性を設定していたが、これに限定されない。例えば、図11に示す雌端子10’では、リング部材80のばね性を、第1周壁部38と第2周壁部40に対して対向方向に接近する方向への付勢力を付与できるようなばね性に設定してもよい。また、リング部材80に設けられていた嵌合部78は、必ずしも設けられる必要はない。
【0069】
(7)本開示に係る雌端子において、開き防止部材としてのリング部材や付勢部材としてのリング部材、接点部材等は設けられなくてもよい。すなわち、雌端子の筒状接続部に雄端子の柱状接続部が挿入された際に、柱状接続部により第1周壁部と第2周壁部とが相互に離隔する方向(径方向外方)へ弾性変形させられるとともに、これら第1周壁部と第2周壁部における相互に接近する方向(径方向内方)への弾性的な復元力によって、筒状接続部に対して柱状接続部が支持されるようになっていてもよい。
【0070】
あるいは、本開示に係る雌端子は、図12,13に示される雌端子150のように、別体の開き防止部材や付勢部材が設けられることなく、接点部材152が設けられるだけであってもよい。図12,13に示される態様において、筒状接続部154の形状は実施形態1と略同様であり、それぞれ略半円筒状に湾曲する第1周壁部156と第2周壁部158とが僅かな隙間を隔てて対向配置されることで筒状接続部154が構成されている。
【0071】
なお、図12,13に示される態様において、第1周壁部156と第2周壁部158における相互に対向する周方向端面には、相互に嵌合するカシメ部160が設けられている。具体的には、第1周壁部156における周方向両端面には、第2周壁部158側に突出する嵌合凸部162,162が設けられているとともに、第2周壁部158における周方向両端面には、第1周壁部156側に開口する嵌合凹部164,164が設けられている。各嵌合凸部162における幅方向寸法(前後方向寸法)は、各嵌合凹部164における幅方向寸法(前後方向寸法)と略等しいか僅かに大きくされている。これにより、帯状の金属平板にプレス加工等を施して筒状接続部154を構成する際に各嵌合凸部162が各嵌合凹部164に対して略圧入状態で嵌め入れられることで、雌端子150に対して雄端子14が挿入された際における第1周壁部156と第2周壁部158との相互に離隔する方向への変位が防止される。すなわち、このような各嵌合凸部162と各嵌合凹部164により、第1周壁部156と第2周壁部158に一体的に設けられた開き防止部材を構成してもよい。
【0072】
また、図12,13に示される態様において、筒状接続部154の前方端面、すなわち第1周壁部156と第2周壁部158のそれぞれの前方端面には、接点部材152における各当接片74が収容される収容凹部166が設けられている。収容凹部166は、各当接片74に対応する周方向位置において設けられており、複数の各収容凹部166が、周方向で相互に離隔して設けられている。さらに、図12,13に示される態様では、第1周壁部156と第2周壁部158の相互に対向する周方向端部に設けられる各嵌合溝60が、それぞれ第1周壁部156や第2周壁部158の厚さ方向(筒状接続部154の径方向)で貫通して設けられている。
【0073】
そして、図12,13に示される態様における接点部材152も、基本的な構造は実施形態1と同様であり、略円筒形状の装着筒部168と、装着筒部168において周方向で相互に離隔して設けられる複数のばね接点部170とを備えている。各ばね接点部170は、装着筒部168の周壁に対して内周側に突出する部分を有しており、これらの内周側に突出する部分により雄端子14との各接点72が構成されるようになっている。すなわち、雌端子150に対して雄端子14が挿入された際には、雄端子14における柱状接続部18の外周面に各接点72が圧接することで、複数のばね接点部170が柱状接続部18の外周面に対して付勢しながら接触するようになっている。
【0074】
以上のような構造とされた雌端子150においても、実施形態1における雌端子10と同様の効果が発揮され得る。特に、実施形態1では、第1周壁部38と第2周壁部40との開き変形を防止する開き防止部材として別体のリング部材80が採用されていたが、図12,13に示される態様では、カシメ部160により第1周壁部156と第2周壁部158の開き変形が防止され得る。これにより、部品点数の削減を図ることも可能である。また、嵌合凸部と嵌合凹部は反対に設けられてもよく、第1周壁部に嵌合凹部が設けられるとともに、第2周壁部に嵌合凸部が設けられてもよい。
【0075】
なお、本開示に係る雌端子において接点部材の構造は限定されるものではなく、従来公知の接点部材が何れも採用可能であり、例えば図12,13に示される態様において実施形態1と同じ構造の接点部材66が採用されてもよい。
【符号の説明】
【0076】
10 雌端子(実施形態1)
12 雌コネクタ
14 雄端子
16 固定部
18 柱状接続部
20 ボルト締結穴
22 被覆電線
24 芯線
26 ハウジング
28 本体部
30 前方カバー部
32 挿通孔
34 被嵌合部
36 後方開口部
38 第1周壁部
40 第2周壁部
42 連結部
44 第1平板金具
46 第2平板金具
48 第1他端部
50 第2他端部
52 電線接続部
54 筒状接続部
56 前方開口部
58 係合孔
60 嵌合溝
62 第1中間板部
64 第2中間板部
66 接点部材
68 装着筒部
70 ばね接点部
72 接点
74 当接片
76 係合部
78 嵌合部
80 リング部材
90 雌端子(実施形態2)
92 筒状接続部
94 第1周壁部
94a,94b 分割壁部
96 第2周壁部
96a,96b 分割壁部
98 連結部
100 かしめ片
102 かしめ凸部
104 スリット
106 スリット
108 リング部材
110 雌端子(実施形態3)
112 筒状接続部
114 第1周壁部
114a,114b 分割壁部
116 スリット
118 第2周壁部
118a,118b 分割壁部
120 スリット
122 分割筒部
124 分割筒部
126 付勢部材
128 付勢部材
130 雌端子(変形例1)
132 隙間
134 かしめ部
136 雌端子(変形例2)
138 雌端子(変形例3)
140 雌端子(変形例4)
10’ 雌端子(変形例5)
150 雌端子(図12,13)
152 接点部材
154 筒状接続部
156 第1周壁部
158 第2周壁部
160 カシメ部
162 嵌合凸部
164 嵌合凹部
166 収容凹部
168 装着筒部
170 ばね接点部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
【手続補正書】
【提出日】2023-06-28
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
雄端子の柱状接続部と導通接続される筒状接続部と、
電線の芯線が接続される電線接続部と、を含み、
前記筒状接続部は、帯状の第1平板金具の一端部を円弧状に湾曲変形して設けられた第1周壁部と、帯状の第2平板金具の一端部を円弧状に湾曲変形して設けられた第2周壁部と、を有し、
前記電線接続部が、前記第1平板金具の他端部である第1他端部と前記第2平板金具の他端部である第2他端部とが重ね合されて構成され、
前記第1平板金具の前記第1他端部と前記第2平板金具の前記第2他端部とが相互に重ね合されることにより、前記第1周壁部と前記第2周壁部が隙間を隔てて対向配置されて、前記筒状接続部が構成されている、雌端子。
【請求項2】
前記第1平板金具と前記第2平板金具は、前記第1他端部と前記第2他端部が連結部を介して相互に連結された一枚の帯状の金属平板によって構成されており、
前記金属平板の両端部に前記第1平板金具の前記第1周壁部と前記第2平板金具の前記第2周壁部がそれぞれ設けられ、
前記金属平板の前記連結部が板厚方向に屈曲されることで、前記第1平板金具の前記第1他端部と前記第2平板金具の前記第2他端部とが相互に重ね合されて前記電線接続部が構成され、前記両端部に設けられた前記第1周壁部と前記第2周壁部が相互に隙間を隔てて対向配置されて前記筒状接続部が構成されている、請求項1に記載の雌端子。
【請求項3】
前記筒状接続部の内周側に配置された筒状の接点部材を含み、
前記接点部材は、前記筒状接続部に挿入される前記雄端子の前記柱状接続部の外周面に対して付勢しながら接触する複数のばね接点部を有している、請求項1または請求項2に記載の雌端子。
【請求項4】
前記筒状接続部の内周側に配置された筒状の接点部材と、
前記筒状接続部の外周側に装着された前記第1周壁部と前記第2周壁部の対向方向と反対方向への変位を規制する開き防止部材と、をさらに含み、
前記接点部材は、前記筒状接続部に挿入される前記雄端子の前記柱状接続部の外周面に対して付勢しながら接触する複数のばね接点部を有している、請求項1または請求項2に記載の雌端子。
【請求項5】
前記開き防止部材が、周方向の一か所が切り欠かれた金属製のリング部材を含み、
前記筒状接続部は、前記第1周壁部と前記第2周壁部をそれぞれ板厚方向に貫通して設けられた複数の係合孔を有し、
前記リング部材が、複数の前記係合孔の外周側開口部を覆って配置されており、複数の前記係合孔の内周側開口部に前記接点部材に設けられた複数の係合部がそれぞれ係合して前記接点部材が前記筒状接続部に位置決めされている、請求項4に記載の雌端子。
【請求項6】
前記第1平板金具は、前記第1周壁部と前記第1他端部を連結する第1中間板部を有し、前記第2平板金具は、前記第2周壁部と前記第2他端部を連結する第2中間板部を有し、
前記第1周壁部と前記第2周壁部は、対向方向と反対方向への離隔変位が前記第1中間板部と前記第2中間板部の弾性変形によって許容されており、
前記筒状接続部には、前記第1周壁部と前記第2周壁部を前記対向方向に付勢する付勢部材が装着されている、請求項1または請求項2に記載の雌端子。
【請求項7】
前記付勢部材が、周方向の一か所が切り欠かれた金属製のリング部材を含み、
前記筒状接続部の外周面に前記リング部材の内周面が圧接されて装着されている、請求項6に記載の雌端子。
【請求項8】
前記筒状接続部は、前記電線接続部からの離隔方向の前方に向かって開口するように配置されており、
前記第1周壁部と前記第2周壁部は、板厚方向で貫通して前記離隔方向の前方に向かって開口するスリットと、前記スリットを介して周方向で相互に離隔する複数の分割壁部と、をそれぞれ含んでいる、請求項1または請求項2に記載の雌端子。
【請求項9】
前記筒状接続部は、前記電線接続部からの離隔方向に直交する方向である前記筒状接続部の軸方向の両側に開口するように配置されており、
前記第1周壁部と前記第2周壁部は、前記軸方向の中間部分を板厚方向で貫通するスリットと、前記スリットを介して前記軸方向で相互に離隔する複数の分割壁部と、をそれぞれ含んでおり、
前記第1周壁部の複数の前記分割壁部と前記第2周壁部の複数の前記分割壁部がそれぞれ相互に対向配置されて、前記軸方向で相互に離隔して配置された複数の分割筒部を構成している、請求項1または請求項2に記載の雌端子。
【請求項10】
前記複数の分割筒部に対応する複数の付勢部材を有し、
各前記分割筒部には、前記第1周壁部側の前記分割壁部と前記第2周壁部側の前記分割壁部を対向方向に付勢する各前記付勢部材がそれぞれ装着されている、請求項9に記載の雌端子。
【請求項11】
前記雌端子が絶縁性のハウジングに収容されるようになっており、前記開き防止部材が、前記ハウジングに設けられた被嵌合部に嵌る嵌合部を有し、前記嵌合部の前記被嵌合部への嵌合により、前記雌端子が前記ハウジングに対して位置決めされる、請求項4に記載の雌端子。
【請求項12】
前記第1平板金具と前記第2平板金具は、前記第1他端部と前記第2他端部が連結部を介して相互に連結された一枚の帯状の金属平板によって構成されており、
前記金属平板の両端部に前記第1平板金具の前記第1周壁部と前記第2平板金具の前記第2周壁部がそれぞれ設けられ、
前記金属平板の前記連結部が板厚方向に屈曲されることで、前記第1平板金具の前記第1他端部と前記第2平板金具の前記第2他端部とが相互に重ね合されて前記電線接続部が構成され、前記両端部に設けられた前記第1周壁部と前記第2周壁部が相互に隙間を隔てて対向配置されて前記筒状接続部が構成されており、
前記第1平板金具は、前記第1周壁部と前記第1他端部を連結する第1中間板部を有し、前記第2平板金具は、前記第2周壁部と前記第2他端部を連結する第2中間板部を有し、
前記第1周壁部と前記第2周壁部は、対向方向と反対方向への離隔変位が前記第1中間板部と前記第2中間板部の弾性変形によって許容されており、
前記筒状接続部には、前記第1周壁部と前記第2周壁部を前記対向方向に付勢する付勢部材が装着されており、
前記付勢部材が、周方向の一か所が切り欠かれた金属製のリング部材を含み、
前記筒状接続部の外周面に前記リング部材の内周面が圧接されて装着されており、
前記筒状接続部は、前記電線接続部からの離隔方向の前方に向かって開口するように配置されており、
前記第1周壁部と前記第2周壁部は、板厚方向で貫通して前記離隔方向の前方に向かって開口するスリットと、前記スリットを介して周方向で相互に離隔する複数の分割壁部と、をそれぞれ含んでいる、請求項1に記載の雌端子。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0033
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0033】
<雌コネクタ12>
雌コネクタ12は、図示しない車載機器に接続された被覆電線22と、被覆電線22の端末に露出された銅やアルミニウム等の金属によって構成された芯線24が接続される雌端子10と、雌端子10を収容する絶縁性のハウジング26を含んでいる。ハウジング26は、合成樹脂等を用いて形成されており、中空の円筒形状を有する本体部28と、本体部28の前方開口部を覆う前方カバー部30を備えた一体射出成形品である。なお、前方カバー部30には、雄端子14の柱状接続部18が挿通可能な挿通孔32が厚さ方向に貫通して設けられている。さらに、ハウジング26の本体部28には、本体部28の周方向で離隔した径方向で対向する2箇所において、板厚方向に貫通する矩形孔形状の一対の被嵌合部34が設けられている。ハウジング26の本体部28の後方開口部36は、覆われることなく開放されており、後方開口部36を通って雌端子10がハウジング26内に収容される。ハウジング26内に収容された雌端子10は、雌端子10に設けられた後述するリング部材80の一対の嵌合部78が、一対の被嵌合部34にそれぞれ嵌合されることで、ハウジング26に対して位置決めされて組み付けられる(図2参照)。
【手続補正3】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0042
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0042】
さらに、接点部材66の外径寸法が筒状接続部54の内径寸法よりもわずかに大きくされていることから、接点部材66が筒状接続部54の内周側に配置された状態で、接点部材66の装着筒部68の外周面が、第1周壁部38と第2周壁部40の内周面に圧接されている。また、筒状接続部54の前方開口部56から雄端子14の柱状接続部18が挿し入れられると、各ばね接点部70が外周側に撓み変形することで柱状接続部18の筒状接続部54への挿入が許容される。そして、各ばね接点部70の弾性復帰力により、柱状接続部18の外周面に各ばね接点部70が付勢されて接触し、各ばね接点部70の接点72が柱状接続部18の外周面に圧接されることとなる(図2参照)。
【手続補正4】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0045
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0045】
さらに、リング部材80は、周方向に相互に離隔した複数箇所(本実施形態では2箇所)に、径方向で対向して配置された一対の嵌合部78,78を有している。各嵌合部78は、リング部材80の軸方向の一端部(図2中、前方の端部)から、軸方向の他端部(図2中、後方の端部)に向かって、側面視で略U字状に折り曲げられた形状を有している。リング部材80の一対の嵌合部78,78は、雌端子10がハウジング26の内部に収容された際に、ハウジング26に設けられた一対の被嵌合部34,34に嵌合される(図2参照)。これにより、雌端子10のハウジング26からの抜け出しが阻止されて、雌端子10がハウジング26に対して位置決めされる。
【手続補正5】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0061
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0061】
このような構成とされた雌端子110においては、第1周壁部114と第2周壁部118が、それぞれ筒状接続部112の軸方向で相互に離隔する複数の分割壁部114a,114b,118a,118bに分断されており、それらによって、軸方向で離隔して配置された複数の分割筒部122,124が設けられている。それゆえ、筒状接続部112に挿入された雄端子14の柱状接続部18が軸方向に傾斜した場合に、柱状接続部18の変位に対して、分割筒部122,124により優れた追従性が発揮される。しかも、分割筒部122と分割筒部124には、それぞれ別々の付勢部材126,128が装着されている。これにより、各分割筒部122,124に対して各別に雄端子14への接圧を付与することができる。それゆえ、分割筒部122,124により、雄端子14の柱状接続部18の変位に対する追従性の向上と、各分割筒部122,124の柱状接続部18への接圧の向上を両立して達成することができる。
【手続補正6】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0065
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0065】
(3)反対に、図6に示す雌端子110では、接点部材66を用いていなかったが、図8に示す雌端子136のように、このタイプの雌端子13においても、分割筒部122,124に別体の接点部材66を内嵌させて保持させるようにしてもよい。
【手続補正7】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0066
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0066】
(4)実施形態3の雌端子110は、筒状接続部112軸方向の両側に開口するように配置されているタイプのものであるが、筒状接続部112は、必ずしも軸方向で複数の分割筒部122,124に分割されている必要はない。図9に示す雌端子138のように、筒状接続部112が、軸方向で連続して延びる第1周壁部114と第2周壁部118によって構成されていてもよい。この場合には、単一のリング部材108を筒状接続部112に外嵌させて、付勢部材を構成するようにしてもよい。