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特開2024-170154物品搬送装置および当該物品搬送装置を含む物品検査装置
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  • 特開-物品搬送装置および当該物品搬送装置を含む物品検査装置 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024170154
(43)【公開日】2024-12-06
(54)【発明の名称】物品搬送装置および当該物品搬送装置を含む物品検査装置
(51)【国際特許分類】
   B65G 47/08 20060101AFI20241129BHJP
   B65G 47/84 20060101ALI20241129BHJP
   A61J 3/00 20060101ALN20241129BHJP
【FI】
B65G47/08 D
B65G47/84 C
A61J3/00 310Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023087158
(22)【出願日】2023-05-26
(71)【出願人】
【識別番号】000000572
【氏名又は名称】アンリツ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002000
【氏名又は名称】弁理士法人栄光事務所
(72)【発明者】
【氏名】カルピオ リチャード
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 英人
(72)【発明者】
【氏名】山口 健吾
【テーマコード(参考)】
3F072
3F080
4C047
【Fターム(参考)】
3F072AA33
3F072KC02
3F072KC15
3F080AA30
3F080AA34
3F080BA02
3F080BC01
3F080CC04
3F080CC10
3F080DB01
4C047JJ01
4C047JJ12
(57)【要約】
【課題】構造の簡略化によってコストを抑えつつ、物品を安定姿勢で円滑に搬送することができる物品搬送装置および当該物品搬送装置を含む物品検査装置を提供する。
【解決手段】物品Wが投入される複数の収容凹部30が外周部に形成され、水平軸13を中心に回転される搬送ドラム11と、搬送ドラム11の外周に対向配置されて収容凹部30とともに物品Wを収容する搬送室50を形成する案内壁12と、を有し、収容凹部30は、搬送ドラム11の軸方向の一方側の第1側面41と、搬送ドラム11の軸方向の他方側の第2側面42と、搬送ドラム11の回転方向前方側の第1端面43と、搬送ドラム11の回転方向後方側の第2端面44と、を有し、第1端面43は、搬送ドラム11の径方向外方へ向かって搬送ドラム11の回転方向RAの前方へ傾斜されている。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
物品(W)が投入される複数の収容凹部(30)が外周部に形成され、水平軸(13)を中心に回転される搬送ドラム(11)と、
前記搬送ドラムの外周に対向配置されて前記収容凹部とともに前記物品を収容する搬送室(50)を形成する案内壁(12)と、
を有し、
前記収容凹部は、
前記搬送ドラムの軸方向の一方側の第1側面(41)と、
前記搬送ドラムの軸方向の他方側の第2側面(42)と、
前記搬送ドラムの回転方向前方側の第1端面(43)と、
前記搬送ドラムの回転方向後方側の第2端面(44)と、
を有し、
前記第1端面は、前記搬送ドラムの径方向外方へ向かって前記搬送ドラムの回転方向前方へ傾斜されている、
物品搬送装置。
【請求項2】
前記第1端面はさらに、前記搬送ドラムの回転方向前方へ向かって前記第2側面側へ傾斜されている、
請求項1に記載の物品搬送装置。
【請求項3】
前記第1側面は、前記搬送ドラムの径方向外方へ向かって前記第2側面から離れる方向へ傾斜されている、
請求項1に記載の物品搬送装置。
【請求項4】
前記第1側面と前記第1端面との間に、これらの前記第1側面と前記第1端面とに繋がるガイド面(45)を有する、
請求項3に記載の物品搬送装置。
【請求項5】
前記案内壁は、前記搬送ドラムの前記第1側面側から前記第2側面側へ向かって前記搬送ドラムの径方向内方へ傾斜されている、
請求項1に記載の物品搬送装置。
【請求項6】
請求項1~5のいずれか一項に記載の物品搬送装置(100)と、
前記物品搬送装置の下方にて、当該物品搬送装置によって搬送されてきた前記物品を受け取って検査する検査装置(15)と、
を備えた、
物品検査装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、物品搬送装置および当該物品搬送装置を含む物品検査装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、受け取った製剤を搬送して倒伏状態で引き渡す方向規制ドラムを備えた製剤搬送装置が示されている。この製剤搬送装置の方向規制ドラムは、製剤を起立状態で保持する複数の起立保持部と、各起立保持部の搬送方向上流側に隣接配置されて製剤を倒伏状態で保持する複数の倒伏保持部とを備えており、起立保持部に保持された製剤を、方向規制ドラムの回転中に吸引して倒伏保持部に移動させる姿勢変化ノズルを有する吸引手段を備えている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特許第6694949号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、上記特許文献1に記載の製剤搬送装置は、方向規制ドラムの回転中に製剤を吸引して姿勢を変換する吸引手段を備えるため、構造が複雑となり、設備費が嵩んでしまう。
【0005】
そこで本発明は、構造の簡略化によってコストを抑えつつ、物品を安定姿勢で円滑に搬送することができる物品搬送装置および当該物品搬送装置を含む物品検査装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の上記目的は、下記構成により達成される。
(1) 物品が投入される複数の収容凹部が外周部に形成され、水平軸を中心に回転される搬送ドラムと、
前記搬送ドラムの外周に対向配置されて前記収容凹部とともに前記物品を収容する搬送室を形成する案内壁と、
を有し、
前記収容凹部は、
前記搬送ドラムの軸方向の一方側の第1側面と、
前記搬送ドラムの軸方向の他方側の第2側面と、
前記搬送ドラムの回転方向前方側の第1端面と、
前記搬送ドラムの回転方向後方側の第2端面と、
を有し、
前記第1端面は、前記搬送ドラムの径方向外方へ向かって前記搬送ドラムの回転方向前方へ傾斜されている、物品搬送装置。
【0007】
上記(1)の構成の物品搬送装置によれば、上方位置で収容凹部内に投入された物品が搬送ドラムの回転にともなって重力によって回転方向前方側の第1端面に移動して載置される。この第1端面が搬送ドラムの径方向外方へ向かって搬送ドラムの回転方向前方へ傾斜されている。したがって、第1端面に載置された物品を重力によって案内壁へ受け渡す際に、この物品の姿勢の変動をなるべく抑えつつ案内壁へ受け渡し、平伏姿勢で送り出すことができる。これにより、吸引手段等の複雑構造によらず、物品を安定姿勢で円滑に送り出すことができ、また、設備費も抑えることができる。
【0008】
(2) 前記第1端面はさらに、前記搬送ドラムの回転方向前方へ向かって前記第2側面側へ傾斜されている、(1)に記載の物品搬送装置。
【0009】
上記(2)の構成の物品搬送装置によれば、収容凹部内に投入されて第1端面に載置される物品を第2側面側へ寄せて安定した姿勢で搬送させることができる。
【0010】
(3) 前記第1側面は、前記搬送ドラムの径方向外方へ向かって前記第2側面から離れる方向へ傾斜されている、(1)に記載の物品搬送装置。
【0011】
上記(3)の構成の物品搬送装置によれば、収容凹部内に起立姿勢で投入された物品を第1側面によって円滑に平伏姿勢に変換させて第1端面へ移動させることができる。
【0012】
(4) 前記第1側面と前記第1端面との間に、これらの前記第1側面と前記第1端面とに繋がるガイド面を有する、(3)に記載の物品搬送装置。
【0013】
上記(4)の構成の物品搬送装置によれば、第1側面で平伏姿勢に変換される物品をガイド面に沿って第1端面へ円滑に移動させることができる。
【0014】
(5) 前記案内壁は、前記搬送ドラムの前記第1側面側から前記第2側面側へ向かって前記搬送ドラムの径方向内方へ傾斜されている、(1)に記載の物品搬送装置。
【0015】
上記(5)の構成の物品搬送装置によれば、受け渡された物品を案内壁によって第1側面側へ寄せるように移動させることにより、物品との摩擦力を低減させ、摩擦による物品の転がり出しを抑制できる。これにより、受け渡された物品を平伏姿勢に維持させて送り出すことができる。
【0016】
(6) 上記(1)~(5)のいずれか一つに記載の物品搬送装置と、
前記物品搬送装置の下方にて、当該物品搬送装置によって搬送されてきた前記物品を受け取って検査する検査装置と、
を備えた、物品検査装置。
【0017】
上記(6)の構成の物品検査装置によれば、物品搬送装置によって検査装置へ物品を安定姿勢で円滑に送り出すことができるので、検査装置による高い精度での安定した検査が可能である。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、構造の簡略化によってコストを抑えつつ、物品を安定姿勢で円滑に搬送することができる物品搬送装置および当該物品搬送装置を含む物品検査装置を提供できる。
【0019】
以上、本発明について簡潔に説明した。更に、以下に説明される発明を実施するための形態(以下、「実施形態」という。)を添付の図面を参照して通読することにより、本発明の詳細は更に明確化されるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0020】
図1図1は、本実施形態に係る物品搬送装置を備えた設備の概略構成図である。
図2図2は、本実施形態に係る物品搬送装置を構成する搬送ドラム及び案内ブロックの斜視図である。
図3図3は、物品の搬送動作中における搬送ドラムの上方側の斜視図である。
図4図4は、物品の搬送動作中における搬送ドラムの下方側の斜視図である。
図5図5は、図2に示した搬送ドラムにおける収容凹部の拡大斜視図である。
図6図6は、図3に示した搬送ドラムにおける収容凹部の拡大斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、本発明の実施形態について、図面を参照して詳細に説明する。
図1は、本実施形態に係る物品搬送装置100を備えた設備の概略構成図である。図2は、本実施形態に係る物品搬送装置100を構成する搬送ドラム11及び案内ブロック27の斜視図である。図3は、物品Wの搬送動作中における搬送ドラム11の上方側の斜視図である。図4は、物品Wの搬送動作中における搬送ドラム11の下方側の斜視図である。
【0022】
図1図4に示すように、本実施形態に係る物品搬送装置100は、搬送ドラム11と、案内壁12と、を有する。搬送ドラム11は、水平軸13を中心に回転される。
【0023】
物品搬送装置100は、物品Wを供給する供給手段としての供給装置14の下方に配置される。物品搬送装置100の下方には、検査装置15が配置される。
【0024】
物品搬送装置100は、供給装置14から物品Wを受け取り、物品Wの質量を検査する検査装置15へ送り出す。検査装置15の次段には、検査装置15の検査結果に基づいて物品Wを選別する選別部16が設けられる。このように、物品搬送装置100は、検査装置15とともに、物品Wを検査する物品検査装置を構成する。
【0025】
本実施形態において、供給装置14は、ドラム型を例に説明するが、供給装置14は、これに限定されない。供給装置14は、例えばマガジンタイプ、直線フィーダタイプ等であってもよい。本実施形態の供給装置14は、水平軸21を中心に供給ドラム22が回転され、この外周面で物品Wを負圧により吸着して所定間隔で搬送する。供給装置14は、搬送ドラム11の直上で吸着が解除され、物品Wを物品搬送装置100の搬送ドラム11に形成された収容凹部30へ投入する。供給ドラム22は、物品Wの落下位置が搬送ドラム11の収容凹部30と一致するように搬送ドラム11と回転が逆向きで同期される。搬送ドラム11および供給ドラム22は、搬送動作が開始されると、間欠回転または等速回転される。なお、当該回転の速度や種別は、例えば、物品Wの性質や次段工程の処理性能等に基づき定められる。
【0026】
また、本実施形態において、物品搬送装置100による物品Wの送り出し先は、検査装置15を例に説明するが、検査装置15に限定されない。検査装置15は、検査台25を有し、この検査台25には、物品搬送装置100から送り出された物品Wが移載される。検査台25は、検査装置15が質量検査用秤である場合、秤量台となる。なお、検査装置15は、例えば、物品Wの質量を検査する質量検査用秤であるが、カメラ等による外形検査など、その他の検査を行うものであってもよい。
【0027】
物品搬送装置100の搬送対象である物品Wは、比較的小径の物品であり、非包装で単品搬送が可能な外径φ:数mm~数十mmの物品、一口サイズの物品の他、既存の製造設備や検査機能を持たない製造設備で製造された所定形状や球状の物品や成形品、特に搬送過程で形が変化しない物品を含む。該当する物品Wとしては、例えば錠剤、カプセル剤、トローチ剤、ドロップ剤などの製剤、飴、チョコレートなどがある。物品Wの形状としては、平面視円形状、平面視星形状、楕円体形状などがある。以下、搬送対象の物品Wとして、平面視円形状とされ、その直径に比して高さ(厚さ)の小さい偏平小塊状で表裏面が膨出球面とされ円柱周面を備えたR錠や丸錠と言われる錠剤を例にとって説明する。
【0028】
本実施形態において、搬送ドラム11は、水平軸13を中心として時計回りの回転方向RAへ回転される。搬送ドラム11は、供給装置14から供給される物品Wを収容凹部30に収容させて回転する。収容凹部30は、搬送ドラム11の回転方向RAに沿う方向に物品Wが移動可能なスリット状に形成される。
【0029】
搬送ドラム11は、軸方向の一方側に第1周壁部31を有し、軸方向の他方側に第2周壁部32を有している。第1周壁部31と第2周壁部32とは、互いに間隔をあけて形成されており、これらの第1周壁部31と第2周壁部32との間に、複数の隔壁部33が周方向へ間隔をあけて形成されている。そして、これらの第1周壁部31、第2周壁部32及び隔壁部33によって、複数の収容凹部30が形成されている。隔壁部33は、その外周側の縁部が、第1周壁部31へ向かって次第に径方向外方へ張り出している。
【0030】
図5は、図2に示した搬送ドラム11における収容凹部30の拡大斜視図である。図6は、図3に示した搬送ドラム11における収容凹部30の拡大斜視図である。
【0031】
図5及び図6に示すように、収容凹部30は、底面40と、第1側面41と、第2側面42と、第1端面43と、第2端面44と、を有している。第1側面41は、第1周壁部31の内側の面であり、第2側面42は、第2周壁部32の内側の面である。第1端面43は、隔壁部33における回転方向RAの後方側の面であり、第2端面44は、隔壁部33における回転方向の前方側の面である。
【0032】
第1側面41は、収容凹部30における搬送ドラム11の軸方向の一方側の側面を構成し、第2側面42は、収容凹部30における搬送ドラム11の軸方向の他方側の側面を構成する。第1端面43は、収容凹部30における搬送ドラム11の回転方向RAの前方側の端面を構成し、第2端面44は、収容凹部30における搬送ドラム11の回転方向RAの後方側の端面を構成する。
【0033】
第1端面43は、搬送ドラム11の径方向外方へ向かって搬送ドラム11の回転方向RAの前方へ傾斜されている。また、第1端面43は、搬送ドラム11の回転方向RAの前方へ向かって第2側面42側へ傾斜されている。
【0034】
第1側面41は、搬送ドラム11の径方向外方へ向かって第2側面42から離れる方向へ傾斜されている。また、第1側面41と第1端面43との間には、これらの第1側面41と第1端面43とに繋がる平面からなるガイド面45が設けられている。なお、ガイド面45は、第1側面41と第1端面43とに繋がる曲面であってもよい。
【0035】
図1及び図2に示すように、案内壁12は、搬送ドラム11の一側部に隣接して配置された案内ブロック27に形成されている。案内ブロック27は、搬送ドラム11との対向側が凹状に形成されており、この凹状部分に、案内壁12が形成されている。この案内壁12は、搬送ドラム11の収容凹部30を構成する第1側面41側から第2側面42側へ向かって搬送ドラム11の径方向内方へ傾斜する傾斜面とされている。
【0036】
案内壁12は、搬送ドラム11の外周に沿って円弧状に形成され、搬送ドラム11の外周に沿って対向配置されている。案内壁12は、搬送ドラム11の外周に沿って配置されていることにより、収容凹部30とともに搬送室50を形成する。つまり、搬送ドラム11の収容凹部30は、回転により案内壁12によって開口が塞がれることにより、閉鎖空間の搬送室50となる。
【0037】
案内ブロック27の案内壁12は、時計回りの回転方向RAへ回転される搬送ドラム11に対して約1時から約6時の範囲で対向する。なお、本明細書中、搬送ドラム11の回転位置は、理解を容易とするため長短針を備えた時計における文字盤の数字位置を例として説明する場合がある。
【0038】
物品搬送装置100では、案内壁12の始端位置が物品Wの供給位置PAとなり、案内壁12の終端位置が物品Wの排出位置PBとなる。つまり、物品搬送装置100は、案内壁12の始端位置からなる供給位置PAで供給装置14から収容凹部30に投入された物品Wを、収容凹部30と案内壁12とで形成される搬送室50に収容しつつ搬送ドラム11の回転方向RAへ搬送し、案内壁12の終端位置からなる排出位置PBから検査装置15へ送り出す。
【0039】
次に、物品搬送装置100の動作を説明する。
図1及び図3に示すように、物品搬送装置100は、物品Wの搬送が開始されると、搬送ドラム11が時計回りの回転方向RAへ回転される。搬送ドラム11には、同期して逆方向の回転方向RBで回転する供給装置14の供給ドラム22から、供給位置PAの収容凹部30に物品Wが落下されて投入される。この動作が、搬送ドラム11の周方向に等間隔で設けられている収容凹部30に対して、搬送ドラム11が回転されることにより連続して行われる。従って、搬送ドラム11は、約12時の供給位置PAから約6時の排出位置PBまでの範囲(図1中右半部の範囲)の収容凹部30に物品Wが収容されていることになる。
【0040】
供給装置14は、物品Wの表裏面が正面から見えるように、軸線を水平にして周面を吸着保持して物品Wを搬送する。したがって、供給位置PAで収容凹部30に投入される物品Wは、ほぼ起立姿勢で収容凹部30に投入される(図3における位置PA参照)。
【0041】
図3に示すように、収容凹部30に投入された物品Wは、搬送ドラム11の上方側の回転領域(一例として約1時から約3時までの図3における位置P1~位置P3の範囲)において、重力により収容凹部30と案内壁12とで形成される搬送室50内を起立姿勢で転がりながら下降し、第1端面43に達する(図3における位置P2参照)。すると、物品Wは、第1端面43に当たって倒れることにより、第1端面43に対して平伏姿勢となる(図3における位置P3参照)。
【0042】
また、収容凹部30に投入されて第1側面41に寄り掛かった物品Wは、第1側面41に接しながら重力により搬送室50内で斜めの姿勢で転がりながら下降して第1端面43に導かれる(図3における位置P1参照)。そして、この物品Wは、第1端面43に達すると、この第1端面43に対して平伏姿勢となる(図3における位置P3参照)。このとき、第1側面41と第1端面43との間に、これらの第1側面41と第1端面43とに繋がるガイド面45が設けられているので、第1側面41に接しながら転がる物品Wは、その姿勢がガイド面45によって平伏姿勢に円滑に変換されて第1端面43へ導かれる。
【0043】
なお、供給位置PAで収容凹部30に投入される物品Wは、投入された際に倒れる場合もある。この場合、物品Wは、平伏姿勢で収容凹部30の底面40を滑り落ちて第1端面43へ達し、第1端面43に対して平伏姿勢で配置される。
【0044】
ここで、平伏姿勢で物品Wが配置される第1端面43は、搬送ドラム11の回転方向RAの前方へ向かって第2側面42側へ傾斜されている。したがって、第1端面43上に配置される物品Wは、第1端面43の傾斜によって第2側面42側に寄せられる(図3における位置P3参照)。これにより、第1端面43上に配置された物品Wの変動が抑えられ、安定した姿勢で物品Wが搬送される。
【0045】
図4に示すように、収容凹部30の第1端面43上に配置された物品Wは、搬送ドラム11の下方側の回転領域(約4時から約5時までの位置P4~位置P6の範囲)において、回転にともなって次第に起立される(図4における位置P4参照)。そして、搬送ドラム11がさらに回転されることにより、起立された物品Wは、重力によって搬送室50を形成する案内ブロック27の案内壁12側へ倒れる(図4における位置P5参照)。これにより、物品Wは、案内壁12に受け渡され、その後、物品Wは、重力によって案内壁12に沿って下方へ滑り落ち、平伏姿勢となる(図4における位置P6参照)。
【0046】
ここで、収容凹部30の第1端面43は、搬送ドラム11の径方向外方へ向かって搬送ドラム11の回転方向RAの前方へ傾斜されている。したがって、第1端面43に載置された物品Wを重力によって案内壁12へ倒して受け渡す際に、この物品Wの姿勢の変動をなるべく抑えることができる。したがって、案内壁12へ物品Wを受け渡す際の姿勢の崩れを抑えることができる。
【0047】
また、収容凹部30の第1端面43から物品Wが受け渡される案内壁12は、収容凹部30を構成する第1側面41側から第2側面42側へ向かって搬送ドラム11の径方向内方へ傾斜する傾斜面とされている。したがって、第1端面43上で第2側面42側に寄せられていた物品Wは、案内壁12に受け渡されて搬送される際に、案内壁12の傾斜に沿って第1側面41側に寄せられる(図4における位置P6参照)。このように、案内壁12に受け渡された物品Wを、案内壁12上において下方だけでなく側方にも静止させることなく絶えず平伏姿勢で微小な回転移動させることで、案内壁12と物品Wとの摩擦を抑えることができる。つまり、案内壁12に対する物品Wの摩擦力を、静止摩擦力よりも小さい動摩擦力とすることで、物品Wを案内壁12に対して円滑に滑らすことができる。これにより、案内壁12を滑り落ちる物品Wが案内壁12との摩擦によって転がり出すのを抑制でき、物品Wの平伏姿勢を維持させることができる。
【0048】
その後、平伏姿勢で案内壁12上に配置された物品Wは、排出位置PBの手前(約6時の位置P7)から収容凹部30の第2端面44によって、平伏姿勢の状態で排出位置PBへ向かって押し出されて検査装置15へ送り出される。
【0049】
以上、説明したように、本実施形態に係る物品搬送装置100によれば、上方の供給位置PAで収容凹部30内に投入された物品Wが搬送ドラム11の回転にともなって重力によって回転方向RAの前方側の第1端面43に移動して載置される。この第1端面43が搬送ドラム11の径方向外方へ向かって搬送ドラム11の回転方向RAの前方へ傾斜されている。したがって、第1端面43に載置された物品Wを重力によって案内壁12へ受け渡す際に、この物品Wの姿勢の変動をなるべく抑えつつ案内壁12へ受け渡し、平伏姿勢で送り出すことができる。これにより、吸引手段等の複雑構造によらず、物品を安定姿勢で円滑に送り出すことができ、また、設備費も抑えることができる。
【0050】
そして、この物品搬送装置100と検査装置15とを備える物品検査装置によれば、物品搬送装置100によって検査装置15へ物品Wを安定姿勢で円滑に送り出すことができるので、検査装置15による高い精度での安定した検査が可能である。
【0051】
尚、本発明は、上述した実施形態に限定されるものではなく、適宜、変形、改良、等が可能である。その他、上述した実施形態における各構成要素の材質、形状、寸法、数、配置箇所、等は本発明を達成できるものであれば任意であり、限定されない。
【0052】
ここで、上述した本発明に係る物品搬送装置および当該物品搬送装置を含む物品検査装置の実施形態の特徴をそれぞれ以下[1]~[6]に簡潔に纏めて列記する。
[1] 物品(W)が投入される複数の収容凹部(30)が外周部に形成され、水平軸(13)を中心に回転される搬送ドラム(11)と、
前記搬送ドラム(11)の外周に対向配置されて前記収容凹部(30)とともに前記物品(W)を収容する搬送室(50)を形成する案内壁(12)と、
を有し、
前記収容凹部(30)は、
前記搬送ドラム(11)の軸方向の一方側の第1側面(41)と、
前記搬送ドラム(11)の軸方向の他方側の第2側面(42)と、
前記搬送ドラム(11)の回転方向前方側の第1端面(43)と、
前記搬送ドラム(11)の回転方向後方側の第2端面(44)と、
を有し、
前記第1端面(43)は、前記搬送ドラム(11)の径方向外方へ向かって前記搬送ドラム(11)の回転方向(RA)の前方へ傾斜されている、物品搬送装置。
[2] 前記第1端面(43)はさらに、前記搬送ドラム(11)の回転方向(RA)の前方へ向かって前記第2側面(42)側へ傾斜されている、[1]に記載の物品搬送装置。
[3] 前記第1側面(41)は、前記搬送ドラム(11)の径方向外方へ向かって前記第2側面(42)から離れる方向へ傾斜されている、[1]に記載の物品搬送装置。
[4] 前記第1側面(41)と前記第1端面(43)との間に、これらの前記第1側面(41)と前記第1端面(43)とに繋がるガイド面(45)を有する、[3]に記載の物品搬送装置。
[5] 前記案内壁(12)は、前記搬送ドラム(11)の前記第1側面(41)側から前記第2側面(42)側へ向かって前記搬送ドラム(11)の径方向内方へ傾斜されている、[1]に記載の物品搬送装置。
[6] 上記[1]~[5]のいずれか一つに記載の物品搬送装置(100)と、
前記物品搬送装置(100)の下方にて、当該物品搬送装置(100)によって搬送されてきた前記物品(W)を受け取って検査する検査装置(15)と、
を備えた、物品検査装置。
【符号の説明】
【0053】
11:搬送ドラム
12:案内壁
13:水平軸
15:検査装置
30:収容凹部
41:第1側面
42:第2側面
43:第1端面
44:第2端面
45:ガイド面
50:搬送室
100:物品搬送装置
W:物品
図1
図2
図3
図4
図5
図6