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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024017016
(43)【公開日】2024-02-08
(54)【発明の名称】コネクタユニット
(51)【国際特許分類】
   H01R 13/648 20060101AFI20240201BHJP
   H01R 13/533 20060101ALI20240201BHJP
【FI】
H01R13/648
H01R13/533 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022119371
(22)【出願日】2022-07-27
(71)【出願人】
【識別番号】395011665
【氏名又は名称】株式会社オートネットワーク技術研究所
(71)【出願人】
【識別番号】000183406
【氏名又は名称】住友電装株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】000002130
【氏名又は名称】住友電気工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001966
【氏名又は名称】弁理士法人笠井中根国際特許事務所
(74)【代理人】
【識別番号】100147717
【弁理士】
【氏名又は名称】中根 美枝
(74)【代理人】
【識別番号】100103252
【弁理士】
【氏名又は名称】笠井 美孝
(72)【発明者】
【氏名】田中 宏弥
(72)【発明者】
【氏名】兼松 佑多
(72)【発明者】
【氏名】キム ジェヨン
(72)【発明者】
【氏名】ビョン ソンヒョン
【テーマコード(参考)】
5E021
5E087
【Fターム(参考)】
5E021FA03
5E021FA09
5E021FA14
5E021FB07
5E021FC40
5E021HC19
5E021LA09
5E087EE07
5E087FF02
5E087FF12
5E087FF18
5E087GG02
5E087MM05
5E087MM12
5E087RR04
5E087RR29
5E087RR49
(57)【要約】
【課題】放熱性能のばらつきを抑制し、より短い放熱経路により放熱性能の向上を図ることができる、コネクタユニットを開示する。
【解決手段】コネクタユニット10が、第1コネクタ12と第2コネクタ14を含み、第1コネクタ12は第1端子金具18を備え、第1端子金具18は第1接続部16を有し、第2コネクタ14は、第2端子金具22とハウジング42とシールドシェル44とを備え、ハウジング42は、第1接続部16が挿通される挿通孔70を有し、挿通孔70には、第2接続部20が第1接続部16と接触可能に配置されており、第1端子金具18は、第2接続部20との接触に伴って第1接続部16を第2接続部20から離隔する方向に弾性変形させる弾性変形部28を一体的に備えており、弾性変形部28の弾性復元力により、第1接続部16が第2接続部20に押圧され、且つ第2接続部20が絶縁部材92を介してシールドシェル44に押圧される。
【選択図】図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1コネクタと、第2コネクタを含み、
前記第1コネクタは、絶縁性の端子台と、第1端子金具を備え、
前記第1端子金具は、前記端子台に保持された基端部と、前記端子台から突出する先端側に設けられた第1接続部と、を有し、
前記第2コネクタは、前記第1接続部と接続される第2接続部を有する第2端子金具と、前記第2端子金具を収容する絶縁性のハウジングと、前記ハウジングの外面を覆うシールドシェルと、を備え、
前記ハウジングは、前記第1接続部が挿通されて配置される挿通孔を有し、前記挿通孔には、前記第2接続部が前記第1接続部と接触可能に配置されており、
前記第1端子金具は、前記第2接続部との接触に伴って前記第1接続部を前記第2接続部から離隔する方向に弾性変形させる弾性変形部を一体的に備えており、
前記弾性変形部の弾性復元力により、前記第1接続部が前記第2接続部に押圧され、且つ前記第2接続部が絶縁部材を介して前記シールドシェルに押圧される、コネクタユニット。
【請求項2】
前記第1端子金具は、前記基端部に対して前記第1接続部を前記第2接続部側に変位させる曲部を一体的に備えており、前記弾性変形部が前記曲部により構成されて、
前記第1接続部が前記第2接続部との接触により前記曲部が弾性変形させられて、
前記曲部の弾性復元力により、前記第1接続部が前記第2接続部に押圧され、且つ前記第2接続部が前記絶縁部材を介して前記シールドシェルに押圧される、請求項1に記載のコネクタユニット。
【請求項3】
前記絶縁部材は、前記ハウジングよりも熱伝導率の高い放熱部材を含み、
前記放熱部材は、前記第2接続部に接触する接続部側接触面と、前記ハウジングの開口部から露出して前記シールドシェルに接触するシェル側接触面を有し、
前記弾性変形部の弾性復元力により、前記第1接続部に押圧された前記第2接続部が前記放熱部材を介して前記シールドシェルに押圧されている、請求項1または請求項2に記載のコネクタユニット。
【請求項4】
前記第1端子金具は、バスバーによって構成されており、前記バスバーの長手方向の一か所を板厚方向に屈曲または湾曲させることで、前記曲部が設けられている、請求項2に記載のコネクタユニット。
【請求項5】
前記曲部は、前記バスバーの長手方向において、前記基端部と前記第1接続部の間の部位を前記板厚方向に屈曲して設けられている、請求項4に記載のコネクタユニット。
【請求項6】
前記バスバーの先端部には、前記バスバーの前記板厚方向において、前記曲部と反対方向に傾斜する先端湾曲部が設けられている、請求項4または請求項5に記載のコネクタユニット。
【請求項7】
前記第1接続部は、前記バスバーの前記長手方向の一か所において、前記バスバーの幅方向中間部分を所定寸法にわたって片持ち梁状に切り起こして形成されており、前記第1接続部の前記バスバーへの連結部によって前記曲部が構成されている、請求項4に記載のコネクタユニット。
【請求項8】
前記曲部は、前記バスバーの長手方向において、前記先端側の部位を前記第2接続部側に湾曲状に折り返すことで、前記板厚方向に湾曲して設けられており、前記バスバーにおいて、前記第2接続部側に折り返された部分により前記第1接続部が構成されている、請求項4に記載のコネクタユニット。
【請求項9】
前記第1コネクタが、一対の前記第1端子金具を有し、
前記第2コネクタが、一対の前記第2端子金具を有し、
一対の前記第2端子金具の一方の前記第2接続部と他方の前記第2接続部が、前記シールドシェルの壁部を間に挟んで対向配置されており、
前記シールドシェルの前記壁部を間に挟んだ一方と他方の前記第2接続部の対向方向両側において、一方の前記挿通孔と他方の前記挿通孔が配置されており、
一方と他方の前記挿通孔にそれぞれ挿入された一対の前記第1端子金具の一方の前記第1接続部と他方の前記第1接続部が、それぞれの前記弾性変形部の弾性復元力により相互に接近する方向に押圧されている、請求項1または請求項2に記載のコネクタユニット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、コネクタユニットに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来から、第1コネクタと第2コネクタとが相互に導通接続されるコネクタユニットが知られており、第1コネクタと第2コネクタの嵌合時に相互に接触して通電される第1端子金具と第2端子金具のそれぞれの接続部間における発熱が問題となっている。そこで、特許文献1には、接続部間における発熱を放熱するための構造を第2コネクタに設けた例が開示されている。すなわち、第2コネクタは、第1端子金具に設けられた第1接続部と接続される第2接続部を有する第2端子金具と、第2端子金具の電線接続部に接続された電線と、第2端子金具の電線接続部および電線を覆う金属製のシールドシェルを備え、電線接続部とシールドシェルとをインサートモールド成形された絶縁樹脂部により一体化した構造を備えている。このコネクタユニットでは、第2端子金具の電線接続部が、インサートモールド成形によりシールドシェル内に空気層を埋めるように充填された絶縁樹脂部により隙間なく覆われてシールドシェルと一体化されている。それゆえ、第1接続部と第2接続部の接触部位で発生した熱が、空気層を介することなく絶縁樹脂部から速やかに金属製のシールドシェルに伝達されて放熱されることで、コネクタユニットの放熱性の向上が図られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2018-113119号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところが、特許文献1に記載のコネクタユニットでは、絶縁樹脂部のモールド成形時に樹脂流動性によるショートショットやボイド(空隙)が生じた場合に、所望の放熱性能が発現できず、放熱性能にばらつきが生じる可能性が考えられる。さらに、絶縁樹脂部の端子金具への接触部位が電線接続部であることから、導電経路上で最も大きい発熱量が生じる第2接続部(第1接続部との接触部位)から放熱部位であるシールドシェルまでの距離が長く熱抵抗が大きいという問題も内在していた。
【0005】
そこで、放熱性能のばらつきを抑制し、より短い放熱経路により放熱性能の向上を図ることができる、コネクタユニットを開示する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示のコネクタユニットは、第1コネクタと、第2コネクタを含み、前記第1コネクタは、絶縁性の端子台と、第1端子金具を備え、前記第1端子金具は、前記端子台に保持された基端部と、前記端子台から突出する先端側に設けられた第1接続部と、を有し、前記第2コネクタは、前記第1接続部と接続される第2接続部を有する第2端子金具と、前記第2端子金具を収容する絶縁性のハウジングと、前記ハウジングの外面を覆うシールドシェルと、を備え、前記ハウジングは、前記第1接続部が挿通されて配置される挿通孔を有し、前記挿通孔には、前記第2接続部が前記第1接続部と接触可能に配置されており、前記第1端子金具は、前記第2接続部との接触に伴って前記第1接続部を前記第2接続部から離隔する方向に弾性変形させる弾性変形部を一体的に備えており、前記弾性変形部の弾性復元力により、前記第1接続部が前記第2接続部に押圧され、且つ前記第2接続部が絶縁部材を介して前記シールドシェルに押圧される、ものである。
【発明の効果】
【0007】
本開示のコネクタユニットによれば、放熱性能のばらつきを抑制し、より短い放熱経路により放熱性能の向上を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1図1は、実施形態1に係るコネクタユニットを第1コネクタと第2コネクタとの嵌合状態で示す斜視図である。
図2図2は、図1に示されたコネクタユニットにおける右側面図である。
図3図3は、図2におけるIII-III断面の要部を拡大して示す縦断面図である。
図4図4は、図2におけるIV-IV断面を拡大して示す横断面図である。
図5図5は、図1に示されたコネクタユニットを第1コネクタと第2コネクタとの分離状態で示す斜視図である。
図6図6は、図1に示されたコネクタユニットを構成する第1コネクタを示す正面図である。
図7図7は、図1に示されたコネクタユニットを構成する第2コネクタを示す平面図である。
図8図8は、図7に示された第2コネクタにおける分解斜視図である。
図9図9は、図7に示された第2コネクタにおいてハウジングに対して第2端子金具と絶縁部材とが組み付けられた状態を左側面側から示す斜視図である。
図10図10は、実施形態2に係るコネクタユニットを示す横断面図であって、図4に対応する図である。
図11図11は、実施形態3に係るコネクタユニットを示す横断面図であって、図4に対応する図である。
図12図12は、図11に示されたコネクタユニットを構成する第1コネクタを示す斜視図である。
図13図13は、実施形態4に係るコネクタユニットを示す横断面図であって、図4に対応する図である。
図14図14は、図13に示されたコネクタユニットを構成する第1コネクタを示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
<本開示の実施形態の説明>
最初に、本開示の実施態様を列記して説明する。
本開示のコネクタユニットは、
(1)第1コネクタと、第2コネクタを含み、前記第1コネクタは、絶縁性の端子台と、第1端子金具を備え、前記第1端子金具は、前記端子台に保持された基端部と、前記端子台から突出する先端側に設けられた第1接続部と、を有し、前記第2コネクタは、前記第1接続部と接続される第2接続部を有する第2端子金具と、前記第2端子金具を収容する絶縁性のハウジングと、前記ハウジングの外面を覆うシールドシェルと、を備え、前記ハウジングは、前記第1接続部が挿通されて配置される挿通孔を有し、前記挿通孔には、前記第2接続部が前記第1接続部と接触可能に配置されており、前記第1端子金具は、前記第2接続部との接触に伴って前記第1接続部を前記第2接続部から離隔する方向に弾性変形させる弾性変形部を一体的に備えており、前記弾性変形部の弾性復元力により、前記第1接続部が前記第2接続部に押圧され、且つ前記第2接続部が絶縁部材を介して前記シールドシェルに押圧される、ものである。
【0010】
本開示のコネクタユニットによれば、従来構造において第2コネクタのシールドシェルと第2端子金具の隙間を充填するようにモールド成形された絶縁樹脂部に代えて、第1端子金具に弾性変形部を一体的に設け、この弾性変形部の弾性復元力により、第1端子金具の第1接続部を第2端子金具の第2接続部に押圧すると共に、当該第2接続部を絶縁部材を介してシールドシェルに押圧するようにした。これにより、コネクタユニットにおいて最も発熱量が大きい第1接続部と第2接続部の接触部位をシールドシェルに安定して押圧することができる。それゆえ、従来構造に比べてより短い放熱経路を構築でき、コネクタユニットの放熱性能の向上を図ることができる。しかも、放熱経路において、従来構造のようにインサートモールド成形によりシールドシェル内の空気層を埋めるように充填された絶縁樹脂部を用いていないことから、ショートショットやボイドの発生によりコネクタユニットの放熱性能のばらつきが生じる可能性も低減される。
【0011】
なお、第2接続部は、絶縁部材を介してシールドシェルに押圧されていればよく、絶縁部材はハウジングであってもよいし、ハウジングよりも熱伝導率の高い部材であってもよい。
【0012】
(2)前記第1端子金具は、前記基端部に対して前記第1接続部を前記第2接続部側に変位させる曲部を一体的に備えており、前記弾性変形部が前記曲部により構成されて、前記第1接続部が前記第2接続部との接触により前記曲部が弾性変形させられて、前記曲部の弾性復元力により、前記第1接続部が前記第2接続部に押圧され、且つ前記第2接続部が前記絶縁部材を介して前記シールドシェルに押圧される、ことが好ましい。第1接続部における第2接続部およびシールドシェルへ向かう押圧力が、第1端子金具に一体的に設けられた曲部によって発現されることから、別体のばね部材を必要とすることがなく、コネクタユニットにおける部品点数の削減や小型化が図られる。
【0013】
(3)前記絶縁部材は、前記ハウジングよりも熱伝導率の高い放熱部材を含み、前記放熱部材は、前記第2接続部に接触する接続部側接触面と、前記ハウジングの開口部から露出して前記シールドシェルに接触するシェル側接触面を有し、前記弾性変形部の弾性復元力により、前記第1接続部に押圧された前記第2接続部が前記放熱部材を介して前記シールドシェルに押圧されている、ことが好ましい。弾性変形部の弾性復元力により第1接続部に押圧された第2接続部が、ハウジングよりも熱伝導率の高い放熱部材を介してシールドシェルに押圧されていることから、ハウジングにおける放熱効率の低下を抑制して、コネクタユニットの更なる放熱性能の向上を図ることができる。
【0014】
(4)上記(2)において、前記第1端子金具は、バスバーによって構成されており、前記バスバーの長手方向の一か所を板厚方向に屈曲または湾曲させることで、前記曲部が設けられている、ことが好ましい。1枚のバスバーを利用して、第1端子金具の曲部を容易に構成することができ、第1端子金具やコネクタユニット全体の構造の簡素化や小型化を有利に図ることができる。
【0015】
(5)上記(4)において、前記曲部は、前記バスバーの長手方向において、前記基端部と前記第1接続部の間の部位を前記板厚方向に屈曲して設けられている、ことが好ましい。バスバーの長手方向において、基端部と第1接続部の間に位置する部位を板厚方向に屈曲するだけで、曲部を容易に構成することができ、第1端子金具やコネクタユニット全体の構造の更なる簡素化や更なる小型化を図ることができる。
【0016】
(6)上記(4)または(5)において、前記バスバーの先端部には、前記バスバーの前記板厚方向において、前記曲部と反対方向に傾斜する先端湾曲部が設けられている、ことが好ましい。バスバーの先端部に先端湾曲部が設けられていることから、第1コネクタと第2コネクタの嵌合時に、バスバーの先端部分の第2コネクタのハウジング等へのどつきを有利に抑制することができる。また、先端湾曲部が曲部と反対方向に傾斜していることから、バスバーの先端湾曲部が第2端子金具の第2接続部に摺動接触される際に、曲部の屈曲方向と反対方向(第2接続部から離隔する方向)へ曲部を有利に弾性変形させることができる。
【0017】
(7)上記(4)において、前記第1接続部は、前記バスバーの前記長手方向の一か所において、前記バスバーの幅方向中間部分を所定寸法にわたって片持ち梁状に切り起こして形成されており、前記第1接続部の前記バスバーへの連結部によって前記曲部が構成されている、ことが好ましい。第1接続部を、バスバーの幅方向中間部分を片持ち梁状に切り起こすことで形成することができ、切り起こしに際して第1接続部のバスバーへの連結部が曲部となることから、第1接続部と曲部を効率よく製造することができる。また、第2コネクタ側の構成に応じて、切り起こしの範囲や方向を変えることができ、コネクタユニットの設計自由度の向上も図ることができる。
【0018】
(8)上記(4)において、前記曲部は、前記バスバーの長手方向において、前記先端側の部位を前記第2接続部側に湾曲状に折り返すことで、前記板厚方向に湾曲して設けられており、前記バスバーにおいて、前記第2接続部側に折り返された部分により前記第1接続部が構成されている、ことが好ましい。バスバーの長手方向において、先端側の部位を湾曲状に折り返すことで曲部が設けられていることから、曲部の領域を広く確保することができ、押圧力の設計自由度の向上を図ることができる。
【0019】
(9)前記第1コネクタが、一対の前記第1端子金具を有し、前記第2コネクタが、一対の前記第2端子金具を有し、一対の前記第2端子金具の一方の前記第2接続部と他方の前記第2接続部が、前記シールドシェルの壁部を間に挟んで対向配置されており、前記シールドシェルの前記壁部を間に挟んだ一方と他方の前記第2接続部の対向方向両側において、一方の前記挿通孔と他方の前記挿通孔が配置されており、一方と他方の前記挿通孔にそれぞれ挿入された一対の前記第1端子金具の一方の前記第1接続部と他方の前記第1接続部が、それぞれの前記弾性変形部の弾性復元力により相互に接近する方向に押圧されている、ことが好ましい。
【0020】
第1コネクタと第2コネクタがそれぞれ一対の第1/第2端子金具を有する場合には、シールドシェルの壁部を間に挟んで第2接続部および第1接続部が順に各第1端子金具の弾性変形部の弾性復元力により押圧することができる。この構成により、共通のシールドシェルの壁部を利用した放熱経路を構築することができ、放熱性能に優れたコネクタユニットをコンパクト且つスペース効率よく提供することができる。
<本開示の実施形態の詳細>
本開示のコネクタユニットの具体例を、以下に図面を参照しつつ説明する。なお、本開示は、これらの例示に限定されるものではなく、特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【0021】
<実施形態1>
以下、本開示の実施形態1のコネクタユニット10について、図1から図9を用いて説明する。コネクタユニット10は、第1コネクタ12と、第1コネクタ12に着脱可能に嵌合される第2コネクタ14とを含んでいる。第1コネクタ12は、第1接続部16を有する第1端子金具18を備えているとともに、第2コネクタ14は、第2接続部20を有する第2端子金具22を備えている。そして、第1コネクタ12と第2コネクタ14とが嵌合することで、第1コネクタ12における第1接続部16と第2コネクタ14における第2接続部20とが直接的にまたは間接的に接触して電気的に導通状態となるようになっている。なお、コネクタユニット10は任意の向きで配置することができるが、以下では、上方とは図2中の上方、下方とは図2中の下方、前方とは図2中の左方、後方とは図2中の右方、左方とは図3中の下方、右方とは図3中の上方として説明する。また、複数の同一部材については、一部の部材にのみ符号を付し、他の部材については符号を省略する場合がある。
【0022】
<第1コネクタ12>
図6等にも示されるように、第1コネクタ12は、絶縁性の合成樹脂からなる端子台24と、第1端子金具18とを備えている。実施形態1では、第1コネクタ12において一対の第1端子金具18,18(第1接続部16,16)が設けられており、各第1端子金具18(第1接続部16)が左右方向で相互に離隔して配置されている。また、実施形態1では、端子台24の成形時に成形用キャビティ内に各第1端子金具18がセットされた状態で成形されており、端子台24が各第1端子金具18を備えた一体成形品として形成されている。
【0023】
<第1端子金具18>
各第1端子金具18は、端子台24に保持された基端部26と、端子台24から先端側(下側)に突出する第1接続部16とを有している。また、各第1端子金具18は、第2接続部20との接触に伴って各第1接続部16を第2接続部20から離隔する方向に弾性変形させる弾性変形部を一体的に備えている。実施形態1では、各第1端子金具18は、各基端部26に対して各第1接続部16を第2接続部20側に変位させる、すなわち後述するように左右方向内方に向かって変位させる曲部28を一体的に備えており、各弾性変形部が曲部28によって構成されている。なお、図4中には、各曲部28の弾性変形前の状態が二点鎖線で示されており、各曲部28が弾性変形した状態では、各第1接続部16が、各曲部28が弾性変形する前に比べて、第2接続部20から離隔する方向(左右方向外方)に位置している。また、図6では、各第1端子金具18が、各曲部28が弾性変形する前の状態で示されている。
【0024】
なお、各第1接続部16は、曲部28によって、曲部28に対して基端側(上側)に隣接する部分よりも左右方向内方に位置(変位)していればよく、例えば図6に示されるように各第1端子金具18の基端部分が左右方向に広がる部分を有している場合、各第1接続部16は、各第1端子金具18の基端部分において最も左右方向内方に位置する部分よりも左右方向外方に位置していてもよい。また、各第1端子金具18の基端部分において左右方向に広がる部分にはボルト挿通孔29が設けられており、各ボルト挿通孔29に挿通されるボルトにより各第1端子金具18が図示しない機器等の端子部に対して固定されるようになっている。なお、各第1端子金具18におけるボルト挿通孔29は設けられなくてもよく、各第1端子金具における基端部分が図示しない機器等の電線に対して圧着されたり固着されることで各第1端子金具が機器等に対して固定されるようになっていてもよい。
【0025】
具体的には、各第1端子金具18は、例えば金属平板を所定形状にプレス加工等することにより形成されるバスバーによって構成されており、各曲部28が、各バスバーの長手方向(上下方向)の一か所を板厚方向(左右方向)に屈曲または湾曲させることによって設けられている。実施形態1では、各曲部28が、各バスバーの長手方向(上下方向)において、各基端部26と各第1接続部16の間の部位を板厚方向(左右方向)に屈曲させることによって設けられている。
【0026】
すなわち、実施形態1では、各第1端子金具18の長さ方向中間部分が所定領域にわたって端子台24に埋設状態で固着されており、各第1端子金具18の先端部分(下端部分)と基端部分(上端部分)が端子台24における後述する端子保持部32から上下方向両側に突出している。各第1端子金具18において端子台24に固着されることで変位不能とされる部分により、各第1端子金具18において端子台24に保持される各基端部26が構成されている。また、各第1端子金具18の長手方向(上下方向)の中間部分に各曲部28が設けられており、各第1端子金具18が、各曲部28において弾性変形可能とされている。そして、各第1端子金具18において各曲部28よりも先端側(下側)が各第1接続部16であり、各第1端子金具18において各曲部28で折れ曲がることで、各第1接続部16が各曲部28に対して基端側に隣接する部分よりも第2接続部20側(左右方向内方)に位置している。
【0027】
また、各バスバー(各第1端子金具18)の先端部(下端部)には、バスバーの板厚方向(左右方向)において、各曲部28と反対方向(左右方向外方)に湾曲しながら傾斜する先端湾曲部30が設けられている。
【0028】
<端子台24>
端子台24は、全体として略矩形ブロック状の端子保持部32を有しており、端子保持部32において第1端子金具18が挿通される端子挿通孔34が上下方向で貫通して設けられている。実施形態1では、一対の第1端子金具18,18が左右方向で相互に離隔して設けられていることから、端子保持部32において一対の端子挿通孔34,34が左右方向で相互に離隔して設けられている。
【0029】
また、端子台24における先端側(下側)の外周縁部には、下方に突出するフード部36が設けられている。図5等にも示されるように、フード部36は、平面視(上下方向の投影)において、前後方向寸法に比して左右方向寸法の方が大きくされた略長円形状とされている。すなわち、各第1端子金具18において端子保持部32から先端側に突出する部分は、フード部36の内周側に位置している。さらに、フード部36の上端部において、左右方向両側には、後方に突出する固定片38,38が設けられている。各固定片38は、後方に向かうにつれて左右方向外方へと傾斜する方向に突出しており、各固定片38の突出端部(後端部)には、図示しないボルトが挿通されるカラー40が埋設状態で固着されている。これら各カラー40に挿通されるボルトにより、第1コネクタ12は、例えば図示しない機器等の筐体に対してボルト固定され得る。
【0030】
<第2コネクタ14>
第2コネクタ14は、第1接続部16と接続される第2接続部20を有する第2端子金具22と、第2端子金具22を収容する絶縁性のハウジング42と、ハウジング42の外面を覆うシールドシェル44と、を備えている。実施形態1では、一対の第1接続部16,16が設けられていることから、第2コネクタ14において、一対の第2端子金具22,22(第2接続部20,20)および一対のハウジング42,42が設けられている。そして、これら各第2端子金具22(第2接続部20)および各ハウジング42が左右方向で相互に離隔して配置されている。
【0031】
<第2端子金具22>
各第2端子金具22は、相互に同形状とされている。各第2端子金具22はそれぞれ、図3図8にも示されるように、全体として前後方向に広がる略矩形平板状の部材であり、先端側(前側)に向かって次第に左右方向寸法が小さくなるようになっている。また、各第2端子金具22の前後方向中間部分には、下方に開口するとともに板厚方向(左右方向)で貫通する位置決め凹部46が形成されている。そして、各第2端子金具22の基端部分(後端部分)は他の部分よりも上下方向寸法が大きくされており、これら各第2端子金具22の基端部分が、それぞれ被覆電線48が固着される電線固着部50とされている。このような形状とされた各第2端子金具22において、図3,4に示されるように、位置決め凹部46が形成される前後方向中間部分が、第1コネクタ12と第2コネクタ14との嵌合時において第1接続部16と接続される第2接続部20である。
【0032】
各被覆電線48は、芯線52と、芯線52を略全長にわたって被覆する合成樹脂製の絶縁被覆54とから構成されている。そして、各被覆電線48の端末において絶縁被覆54が剥がされて芯線52が露出しているとともに、露出された芯線52が各第2端子金具22の電線固着部50に固着されることで、各第2端子金具22と各被覆電線48とが接続されている。なお、各電線固着部50と各芯線52との固着方法は限定されるものではなく、接着や溶着等でもよいし、圧着片による圧着等であってもよい。
【0033】
<ハウジング42>
左右方向で相互に離隔する一対のハウジング42,42は、相互に左右対称な形状とされていることから、以下、図9を示して右方のハウジング42について説明する。図9においては、ハウジング側組立体55として、電線固着部50において被覆電線48が固着された第2端子金具22が、ハウジング42内に収容された状態が示されている。図9にも示されるように、ハウジング42は、被覆電線48の前端部分および第2端子金具22が収容される略矩形筒状の端子収容部56を有している。すなわち、ハウジング42は、端子収容部56の上側の壁部を構成する上壁部58と、下側の壁部を構成する下壁部60と、左側の壁部を構成する左壁部62と、右側の壁部を構成する右壁部64と、を備えている。そして、端子収容部56の前方は前壁部66によって閉塞されており、端子収容部56に収容される被覆電線48は、端子収容部56の後方開口部68を通じて外部空間へ引き出されている。
【0034】
このハウジング42における上壁部58の前方部分には、上下方向で貫通する挿通孔70が形成されている。この挿通孔70は、上壁部58の前方部分において所定の領域にわたって設けられており、第1コネクタ12と第2コネクタ14との嵌合時において、挿通孔70に対して第1接続部16が挿通されて配置されるようになっている。すなわち、端子収容部56は挿通孔70を通じて外部空間に連通しており、挿通孔70を通じて外部に連通する端子収容部56の前方部分において、第2接続部20が第1接続部16と接触可能に配置されている。
【0035】
また、ハウジング42における左壁部62の前方部分には、厚さ方向(左右方向)で貫通する開口部としての側方窓部72が形成されている。側方窓部72は、左壁部62の上下方向略全長にわたって形成されており、左壁部62の前端部(前壁部66)から所定の前後方向寸法をもって形成されている。実施形態1では、側方窓部72が、左壁部62の前端部から前後方向中間部分にわたって形成されている。これにより、端子収容部56が、側方窓部72を通じて外部空間に連通している。さらに、左壁部62において側方窓部72よりも後方の部分(左壁部62の前後方向中間部分)には、上方部分において、前方に突出して左右方向で弾性変形可能な弾性片74が設けられている。この弾性片74の突出先端部(前端部)には左方に突出する係止爪76が設けられている。そして、左壁部62において、弾性片74の下方には、後述する端子固定部82におけるロック枠体88と係合するロック突部78が設けられている。
【0036】
ハウジング42における右壁部64の前後方向中間部分においても、上記係止爪76を有する弾性片74およびロック突部78が設けられている。右壁部64における弾性片74およびロック突部78は、左壁部62と前後方向で略等しい位置に設けられており、右壁部64の前後方向中間部分における上方部分において係止爪76を有する弾性片74が設けられているとともに、下方部分においてロック突部78が設けられている。また、右壁部64には、前方部分における下方部分において、もう1つロック突部78が設けられている。
【0037】
なお、上述のように、一対のハウジング42,42は相互に左右対称形状であることから、左方のハウジング42においては、右壁部64において側方窓部72と弾性片74およびロック突部78が設けられている。また、左壁部62において、弾性片74と一対のロック突部78,78が設けられている。
【0038】
そして、実施形態1では、図8,9等にも示されるように、各ハウジング42が、ハウジング本体80と、ハウジング本体80に下方から組み付けられる端子固定部82とから構成されている。すなわち、上述の上壁部58、下壁部60、左壁部62、右壁部64および前壁部66を含んでハウジング本体80が構成されているとともに、下壁部60の前方部分には上下方向で貫通する下側窓部84(図4参照)が設けられており、この下側窓部84を覆蓋するように端子固定部82が組み付けられるようになっている。要するに、ハウジング本体80における端子収容部56が下側窓部84を通じて外部空間に連通しているとともに、ハウジング本体80に対して端子固定部82が組み付けられることで下側窓部84が閉塞される。これにより、ハウジング42における下側の壁部の一部が、端子固定部82から構成されるようになっている。なお、端子固定部82も左右方向で一対設けられることとなるが、各端子固定部82は相互に左右対称形状であることから、以下、図8,9を示して右方の端子固定部82について説明する。
【0039】
端子固定部82は、下側窓部84を覆蓋し得る大きさのベース板部86を備えているとともに、ベース板部86の左右方向外方端部には、上方に突出するロック枠体88が設けられている。このロック枠体88は、ハウジング本体80における各ロック突部78と対応する位置に設けられており、端子固定部82の右端部において前後方向で離隔して一対のロック枠体88,88が設けられているとともに、端子固定部82の左端部における後方部分において1つのロック枠体88が設けられている。
【0040】
また、ベース板部86の前後方向中間部分において、左端部から所定距離だけ右方に離隔した位置には、上方に突出する位置決め凸部90が設けられている。この位置決め凸部90は、ベース板部86の左右方向中央に対して僅かに左方に偏倚した位置に設けられており、所定の前後方向寸法を有している。位置決め凸部90は、図9に示されるように、ハウジング42に対して第2端子金具22が組み付けられた際に、第2端子金具22の下方に設けられた位置決め凹部46に対して下方から入り込むようになっている。これにより、第2端子金具22がハウジング42に対して前後方向で位置決めされて、ハウジング42における後方開口部68からの第2端子金具22の脱落が防止されている。
【0041】
なお、上述のように、一対の端子固定部82,82は相互に左右対称形状であることから、左方の端子固定部82においては、右端部において1つのロック枠体88が設けられているとともに、左端部において一対のロック枠体88,88が設けられている。また、ベース板部86の前後方向中間部分において、左右方向中央に対して僅かに右方に偏倚した位置に、上方に突出する位置決め凸部90が設けられている。
【0042】
<絶縁部材(放熱部材92)>
図8,9等にも示されるように、各ハウジング本体80と各端子固定部82から構成される各ハウジング42には、各第2端子金具22だけでなく、絶縁性を有する絶縁部材も収容されている。実施形態1では、絶縁部材が、ハウジング42よりも熱伝導率の高い放熱部材92により構成されている。放熱部材92の材質は、ハウジング42よりも熱伝導率が高ければ限定されるものではないが、実施形態1では、セラミックが採用されている。なお、各ハウジング42のそれぞれに収容される放熱部材92は相互に同形状であり、略矩形板状とされている。これらの各放熱部材92は、各ハウジング42における側方窓部72を覆い得る大きさで形成されている。
【0043】
各放熱部材92は、各ハウジング42内において各第2端子金具22の左右方向内方に収容されている。すなわち、図9に示される右方のハウジング42においては、第2端子金具22と左壁部62との左右方向間に放熱部材92が収容されている。具体的には、端子固定部82における位置決め凸部90とハウジング本体80における左壁部62との左右方向間に放熱部材92が配置されており、これにより、左壁部62に設けられる側方窓部72が放熱部材92により覆蓋されている。換言すれば、各放熱部材92が各ハウジング42に組み付けられた状態では、各放熱部材92の左右方向内面が各側方窓部72を通じて外部空間に露出している。
【0044】
これら各放熱部材92は、後述する第1コネクタ12と第2コネクタ14との嵌合時において、弾性変形部としての曲部28の弾性復元力により各第1接続部16が各第2接続部20に押圧された際に、各第2接続部20とシールドシェル44との間に介在するようになっている。要するに、各第1接続部16が各第2接続部20に押圧されることで、各第2接続部20が各放熱部材92を介してシールドシェル44に押圧されるようになっている。すなわち、図3,4にも示されるように、各放熱部材92において、左右方向外面が第2接続部20に接触する接続部側接触面94であるとともに、左右方向内面がハウジング42の側方窓部72から露出してシールドシェル44に接触するシェル側接触面96である。
【0045】
<シールドシェル44>
シールドシェル44は、一対のハウジング42,42の略全体を覆う形状とされており、熱伝導効率の良い金属により形成されている。すなわち、シールドシェル44は、各ハウジング42の上方を覆う上方壁部98と、各ハウジング42の下方を覆う下方壁部100と、左側のハウジング42を左方から覆う左方壁部102と、右側のハウジング42を右方から覆う右方壁部104と、各ハウジング42の前方を覆う前方壁部106と、を備えている。また、シールドシェル44の内部には、各ハウジング42の左右方向間において、シールドシェル44の内部空間を左右方向で仕切る仕切部108が設けられている。この仕切部108における前方部分には、左右方向外方に突出して、後述するように各放熱部材92におけるシェル側接触面96に接触する接触部109が設けられている。さらに、図3図8に示されるように、左方壁部102や右方壁部104、仕切部108の内面には、各ハウジング42における各係止爪76と係合可能な係止凹部110が形成されている。
【0046】
また、シールドシェル44の上方壁部98における前方部分には、上方壁部98を上下方向で貫通する貫通孔112が形成されている。この貫通孔112は、前後方向寸法に比して左右方向寸法の大きな略長円形状であり、左右方向で相互に離隔する各ハウジング42にまたがって設けられている。この貫通孔112の周縁部には上方に突出する内側筒部114が設けられており、この内側筒部114に対して後述するフロントリテーナ130が組み付けられるようになっている。なお、内側筒部114の内周面には、周上の複数箇所においてロック凹部116が設けられており、各ロック凹部116がフロントリテーナ130に設けられるロック凸部134と係合することで、内側筒部114に対してフロントリテーナ130が固定されるようになっている。
【0047】
さらに、上方壁部98において内側筒部114の外周側には、内側筒部114よりも上方まで突出する外側筒部118が設けられている。この外側筒部118は、平面視において、前後方向寸法に比して左右方向寸法の大きな略長円形状であり、第1コネクタ12におけるフード部36と略対応する形状とされている。そして、図4に示されるように、第1コネクタ12と第2コネクタ14との嵌合時には、第1コネクタ12におけるフード部36が、シールドシェル44における内側筒部114と外側筒部118との径方向間に入り込むようになっている。なお、外側筒部118の後方部分における左右両側には、フード部36から後方に突出する各固定片38が入り込む切欠部120,120が形成されている。これにより、第1コネクタ12と第2コネクタ14との嵌合時には、第1コネクタ12と第2コネクタ14との嵌合が、外側筒部118へのフード部36の挿入、および各切欠部120への各固定片38の挿入により案内されるようになっている。
【0048】
なお、シールドシェル44の仕切部108において外側筒部118よりも後方部分には、上下方向で貫通するボルト挿通孔122が形成されている。ボルト挿通孔122には、図示しない締結ボルトが挿通されるようになっており、この締結ボルトは、例えば第1コネクタ12と第2コネクタ14との嵌合時において、第1コネクタ12が固定される図示しない機器の筐体等に締結されるようになっている。これにより、締結ボルトの締結力を利用して第1コネクタ12と第2コネクタ14との嵌合を行うことができるようになっている。
【0049】
また、シールドシェル44において、上方壁部98および下方壁部100における後端部には、上下方向外方に突出するロック爪部124が設けられている。実施形態1では、上方壁部98および下方壁部100のそれぞれにおいて、一対のロック爪部124,124が左右方向で相互に離隔して設けられている。さらに、シールドシェル44の下方部分における左右方向両側には、後述するシールドブラケット148が固定される固定部126,126が設けられている。実施形態1では、シールドブラケット148から前方に突出する前方突出部152が各固定部126に重ね合わされて、図示しないボルトによりシールドシェル44とシールドブラケット148とが相互に固定されるようになっている。
【0050】
なお、シールドシェル44の後端部における左右方向両側には後方に開口するとともに、左方壁部102および右方壁部104を厚さ方向(左右方向)で貫通する切欠状の係合凹部128,128が形成されている。実施形態1では、後述するバックリテーナ138において左右方向外方に突出する係合凸部146,146が設けられており、第2コネクタ14の組立時において各係合凸部146が各係合凹部128に嵌め入れられることで、バックリテーナ138がシールドシェル44に固定されるようになっている。なお、各係合凸部146は、各係合凹部128に対して圧入されることが好ましい。
【0051】
このようなシールドシェル44の内側筒部114に取り付けられるフロントリテーナ130は、図7,8等にも示されるように、平面視において前後方向寸法に比して左右方向寸法の大きな略長円形状とされている。このフロントリテーナ130の中央部分には、第1コネクタ12における第1接続部16が挿通される略矩形の端子挿通窓132が、上下方向で貫通して形成されている。この端子挿通窓132は、第2コネクタ14の組立時において、各ハウジング42に設けられる挿通孔70と対応する位置に形成されており、一対の端子挿通窓132,132が左右方向で相互に離隔して設けられている。これにより、各ハウジング42における端子収容部56の前方部分が、各ハウジング42における挿通孔70、シールドシェル44における貫通孔112およびフロントリテーナ130における各端子挿通窓132を通じて外部空間に連通している。なお、フロントリテーナ130における外周部分には、下方に突出するロック凸部134が、シールドシェル44における各ロック凹部116と対応する位置に形成されている。
【0052】
そして、上記のようなシールドシェル44に内挿される各ハウジング42の後方開口部68から後方に引き出される各被覆電線48には、環状の防水ゴム136が外挿されて取り付けられており、各防水ゴム136がシールドシェル44における後方開口部に挿入されている。また、各被覆電線48において各防水ゴム136の後方には、各防水ゴム136の脱落を防止するバックリテーナ138が設けられている。
【0053】
実施形態1では、バックリテーナ138が、相互に組付可能な上部リテーナ140と下部リテーナ142とから構成されており、シールドシェル44の後方において各被覆電線48を上下方向両側から挟み込んだ状態で上部リテーナ140と下部リテーナ142とが組み付けられている。これら上部リテーナ140と下部リテーナ142はそれぞれ前方に突出する一対のロック枠体144,144を備えている。これにより、上部リテーナ140と下部リテーナ142との組付けにより構成されるバックリテーナ138が、シールドシェル44の後端部に設けられる各ロック爪部124と各ロック枠体144とのロック嵌合によって、各防水ゴム136の後方に固定されるようになっている。
【0054】
特に、実施形態1では、上部リテーナ140と下部リテーナ142のそれぞれにおいて左右方向外方に突出する係合凸部146が設けられている。これらの上部リテーナ140と下部リテーナ142とが組み付けられることで、バックリテーナ138において一対の係合凸部146,146が左右方向両側に突出するようになっている。なお、上部リテーナ140と下部リテーナ142とは相互に同形状であってもよく、相互に上下反転状態とされた一対の上部リテーナ140,140(または一対の下部リテーナ142,142)を組み付けることで、バックリテーナ138が構成されるようになっていてもよい。
【0055】
そして、このバックリテーナ138は、金属製のシールドブラケット148により覆われている。シールドブラケット148は筒壁部150を備えており、第2コネクタ14の組立時において、筒壁部150がバックリテーナ138を外周側から覆うようになっている。この筒壁部150は下方部分において前方に突出する前方突出部152を備えており、前述のように、前方突出部152がシールドシェル44における各固定部126に重ね合わされて図示しないボルトにより固定されることで、シールドブラケット148とシールドシェル44とが相互に固定されるようになっている。前方突出部152の略中央部分にはボルト挿通孔154が形成されており、第2コネクタ14の組立時においてボルト挿通孔154が、シールドシェル44におけるボルト挿通孔122と連通して、これらボルト挿通孔122,154に図示しない締結ボルトが挿通されるようになっている。
【0056】
<コネクタユニット10の組立て>
以下、第1コネクタ12と第2コネクタ14とを嵌合してコネクタユニット10を組み立てる方法の具体的な一例を説明する。なお、コネクタユニット10の組立方法は、以下に記載の態様に限定されるものではない。
【0057】
先ず、前述のように、端子台24の成形用キャビティ内に、金属平板を所定形状に折り曲げる等して形成した各第1端子金具18および各カラー40をセットして、端子台24を成形する。これにより、各第1端子金具18および各カラー40を備えた端子台24を一体成形品として形成して、第1コネクタ12が完成する。
【0058】
次に、各被覆電線48の端末において絶縁被覆54を剥いで露出させた芯線52を各第2端子金具22の電線固着部50に固着する。そして、各ハウジング本体80の後方開口部68から各放熱部材92および各被覆電線48に固着された各第2端子金具22を挿入する。なお、図3等に示されるように、各ハウジング本体80における前壁部66や左右方向内方の壁部には、各放熱部材92や各第2端子金具22に対応する凹部が形成されており、各ハウジング本体80において各放熱部材92や各第2端子金具22は適切な位置に位置決めされる。その後、各ハウジング本体80に対して下方から各端子固定部82を接近させて、各ロック突部78と各ロック枠体88とを係合させることにより、各ハウジング本体80と各端子固定部82とを組み付ける。これにより、各ハウジング42が完成して、図9に示されるように、各ハウジング42に対して各被覆電線48が固着された各第2端子金具22と各放熱部材92とが収容された状態(ハウジング側組立体55)となる。なお、各防水ゴム136は、各被覆電線48に対して適切なタイミングで外挿されて取り付けられる。
【0059】
続いて、各ハウジング側組立体55を、シールドシェル44の後方開口部から挿入して、各ハウジング42における各係止爪76をシールドシェル44の内面に設けられた各係止凹部110に係止させる。これにより、シールドシェル44に対して、各ハウジング側組立体55が固定される。この際、各ハウジング42の左右方向内方において前端部から開口する各側方窓部72に対して、シールドシェル44の仕切部108において左右方向外方に突出する各接触部109が挿し入れられる。この結果、各放熱部材92のシェル側接触面96が各接触部109と接触するか僅かな離隔距離をもって対向する。また、各防水ゴム136をシールドシェル44の後方開口部に挿入する。なお、フロントリテーナ130は、シールドシェル44の内側筒部114に対して適切なタイミングで取り付けられる。
【0060】
その後、各防水ゴム136の後方において各被覆電線48を挟んで上下方向両側から上部リテーナ140と下部リテーナ142とを組み付けてバックリテーナ138を構成する。そして、このバックリテーナ138をシールドシェル44に対して接近する方向に変位させて、各ロック枠体144を各ロック爪部124に係合させるとともに、各係合凸部146を各係合凹部128に嵌め入れる。これにより、シールドシェル44の後端部に対してバックリテーナ138が固定される。
【0061】
次に、各被覆電線48をシールドブラケット148の筒壁部150に挿通させるとともに、シールドシェル44における各固定部126とシールドブラケット148における前方突出部152とを重ね合わせて、図示しないボルトにより固定する。これにより、シールドシェル44に対してシールドブラケット148が固定されて、第2コネクタ14が完成する。
【0062】
そして、完成した第1コネクタ12と第2コネクタ14とを、図5に示されるように上下方向で対向させて、第1コネクタ12と第2コネクタ14とを相互に接近させる。これにより、図3,4に示されるように、各第1端子金具18の各第1接続部16が、各端子挿通窓132、貫通孔112および各挿通孔70を通じて各ハウジング42における端子収容部56へと挿入される。これら各端子収容部56へ挿入された各第1接続部16が各第2接続部20と接触することで、各第1コネクタ12と各第2コネクタ14とが導通状態とされて、コネクタユニット10が完成する。なお、各第1接続部16における各端子収容部56への挿入は、例えば各第1接続部16が各ハウジング42の下側の壁部を構成する各端子固定部82に当接することで制限されてもよい。あるいは、端子台24における端子保持部32の下面がフロントリテーナ130の上面に当接することによって制限されてもよいし、端子台24におけるフード部36の下面が外側筒部118と内側筒部114の径方向間を構成する壁部に当接することによって制限されてもよい。
【0063】
ここで、各曲部28が変形する前における各第1接続部16,16の左右方向最小寸法A(図6参照)は、各第2接続部20,20における左右方向外面間の距離B(図4参照)よりも小さくされている。この結果、各第1接続部16が各ハウジング42における端子収容部56に挿入される際には、各第1接続部16の各内面が各第2接続部20における左右方向外面に接触して、各曲部28の左右方向外方への弾性変形を伴いつつ摺動するようになっている。そして、各曲部28の左右方向内方への弾性復元力により各第1接続部16が各第2接続部20に押圧されるとともに、各第2接続部20が各放熱部材92を介してシールドシェル44における各接触部109に押圧されるようになっている。
【0064】
要するに、図3,4に示されるように、第2コネクタ14においては、一対の第2接続部20,20が、シールドシェル44の壁部である仕切部108を挟んで、左右方向で対向配置されている。また、各ハウジング42における各挿通孔70,70も、仕切部108を挟んで、一対の第2接続部20,20の対向方向両側である左右方向両側に配置されている。そして、これら各挿通孔70に挿通される各第1接続部16は、最小対向距離Aが、各第2接続部20における左右方向外面間の距離Bよりも小さくされている。それゆえ、各第1接続部16が各ハウジング42における端子収容部56に挿入される際には、各第1接続部16の内面が各第2接続部20の左右方向外面に対して摺動して、各曲部28の弾性変形により各第1接続部16が相互に離隔する方向に変位するようになっている。そして、各曲部28の弾性的な復元変形により各第1接続部16が相互に接近する方向に変位して、各第1接続部16が各第2接続部20に押圧されるとともに、各第2接続部20が各放熱部材92を介してシールドシェル44における各接触部109に押圧されるようになっている。
【0065】
すなわち、上記のような構造とされた実施形態1のコネクタユニット10では、各第1端子金具18に、各第2接続部20との接触に伴って各第1接続部16を各第2接続部20から離隔する方向(左右方向外方)へ弾性変形させる弾性変形部としての各曲部28を設けて、この曲部28の弾性復元力により各第1接続部16を各第2接続部20に押圧し、且つ各第2接続部20を各放熱部材92を介してシールドシェル44に押圧する構成とした。この結果、各第1接続部16と各第2接続部20との通電に伴い発生する熱が、各放熱部材92を介して金属製のシールドシェル44から放熱される。それゆえ、各第1接続部16と各第2接続部20との接触部位からシールドシェル44に至る放熱経路を短く設定することができて、放熱効率の向上が図られる。
【0066】
特に、実施形態1では、弾性変形部が、各第1端子金具18に設けられた曲部28によって構成されている。この結果、弾性変形部が、例えば別体のばね部材等により構成される場合に比べて、部品点数やコストの削減が図られる。また、上記のように簡単な構造で安定した放熱経路を構築できることから、第1コネクタ12や第2コネクタ14、ひいてはコネクタユニット10の小型化も達成される。
【0067】
各第1接続部16と各第2接続部20の接続時には、各第2接続部20は、各ハウジング42よりも熱伝導率の高い各放熱部材92を介してシールドシェル44に押圧されるようになっている。これにより、各第2接続部20からシールドシェル44へ効率良く熱を伝達させることができて、シールドシェル44からの放熱効率の向上が図られる。
【0068】
各第1端子金具18はバスバーによって構成されており、バスバーの長手方向の一か所を板厚方向に屈曲させることによって各曲部28が構成されている。特に、実施形態1では、バスバーの長手方向において各基端部26と各第1接続部16の間の部位を板厚方向(左右方向)に屈曲させることで、各曲部28が設けられている。このように簡単な構造をもって、各第1端子金具18にばね性を付与することができ、各第1接続部16と各第2接続部20との接続時には、各第1接続部16を各第2接続部20に押圧させることができる。
【0069】
バスバーの先端部(下端部)には、バスバーの板厚方向において、各曲部28と反対方向に傾斜する各先端湾曲部30が設けられている。これにより、各第1接続部16を、各端子挿通窓132、貫通孔112および各挿通孔70を通じて各ハウジング42の端子収容部56内に挿入する際に、各第1接続部16がフロントリテーナ130や各ハウジング42等に引っ掛かり挿入が阻害されることが防止される。また、各先端湾曲部30の下面と各第2接続部20の上端部とが最初に接触することで、各第1接続部16の左右方向外方への案内することができて、各第1接続部16における各端子収容部56へのスムーズな挿入を実現することができる。
【0070】
実施形態1では、一対の第1接続部16,16が設けられているとともに、一対の第2接続部20,20が設けられており、各第1接続部16における各ハウジング42の端子収容部56への挿入に際して、各第1接続部16の内面が各第2接続部20の左右方向外面に対して摺動するようになっている。すなわち、各第1接続部16は各第2接続部20の左右方向外面によって相互に押し広げられるように変位させられるとともに、各曲部28の弾性復元力によって各第1接続部16により各第2接続部20を左右方向で挟み込むように押圧することができる。これにより、各第2接続部20を、これらの間に位置するシールドシェル44の仕切部108に押圧することができて、一対の第1接続部16,16および一対の第2接続部20,20を巧く利用して、放熱経路が短い、すなわち放熱効率の良いコネクタユニット10を提供することができる。
【0071】
<実施形態2>
次に、本開示の実施形態2のコネクタユニット160について、図10を用いて説明する。実施形態2のコネクタユニット160は、実施形態1のコネクタユニット10と基本的には同様の構造であるが、第1コネクタ162において各第1端子金具164の形状が異なっている。また、第2コネクタ166においても、実施形態1の第2コネクタ14と同様の構造であるが、フロントリテーナ130が設けられていない点で異なっている。なお、以下の説明では、実施形態1における相違点について説明するとともに、実施形態1と実質的に同一の部材および部位には、図中に、実施形態1と同一の符号を付すことにより詳細な説明を省略する。
【0072】
実施形態2の各第1端子金具164は、バスバーの長手方向(上下方向)において基端(上端)から先端(下端)までストレートに延びる部分を有しているとともに、各第1端子金具164における先端側の部位が各第2接続部20側(左右方向内方)に向かって折り返されている。したがって、実施形態2では、各第1端子金具164において弾性変形部としての曲部168が、先端側の折り返し部分によって構成されているとともに、各第1端子金具164において曲部168によって折り返されて基端側(上側)に延びる部分により第1接続部170が構成されている。
【0073】
以上のような構造とされた実施形態2のコネクタユニット160においても、各第1端子金具164の先端部分(下端部分)が、シールドシェル44の貫通孔112および各ハウジング42の挿通孔70を通じて端子収容部56に挿入されることで、各第1接続部170の左右方向内面と各第2接続部20の左右方向外面とが接触することとなる。すなわち、各第1接続部170と各第2接続部20との接触に伴って各曲部168の弾性変形により各第1接続部170は各第2接続部20から離隔する方向に弾性変形して、各第1接続部170は各第2接続部20の左右方向外面に対して摺動しつつ挿入される。そして、これら各曲部168の弾性復元力により各第1接続部170が各第2接続部20に押圧されるとともに、各第2接続部20が各放熱部材92を介してシールドシェル44における各接触部109に押圧される。
【0074】
したがって、実施形態2におけるコネクタユニット160においても、実施形態1におけるコネクタユニット10と同様の効果が発揮され得る。特に、バスバーの折り返しによって各曲部168が構成されることから、各曲部168の領域を広く確保することができる。また、各曲部168における曲げ角度を調節することで、各第1接続部170と各第2接続部20との接触時における各第1接続部170の左右方向外方への変位量を調節することができる。それゆえ、各第1接続部170を挿入する際の挿入抵抗(摺動抵抗)の大きさや、各第1接続部170と各第2接続部20との接圧の大きさ等を調節できて、設計自由度の向上が図られる。
【0075】
<実施形態3>
次に、本開示の実施形態3のコネクタユニット180について、図11,12を用いて説明する。実施形態3のコネクタユニット180は、実施形態1のコネクタユニット10と基本的には同様の構造であるが、第1コネクタ182において各第1端子金具184の先端部(下端部)に弾性変形部としての多接点ばね186が固着して設けられている点で異なっている。なお、第2コネクタ166は、実施形態2と同様の構造であることから、詳細な説明を省略する。
【0076】
実施形態3の各第1端子金具184は、バスバーの長手方向(上下方向)において基端(上端)から先端(下端)までストレートに延びる部分を有している。そして、各第1端子金具184の先端部分が各ハウジング42の端子収容部56に挿入された際には、多接点ばね186が設けられた各第1端子金具184の先端部が、多接点ばね186を介して間接的に各第2接続部20に接触するようになっている。それゆえ、実施形態3では、各第1端子金具184において多接点ばね186が設けられた先端部により第1接続部188が構成されている。
【0077】
ここで、多接点ばね186は金属製であり、金属平板から切り起こされて、左右方向内方(各第2接続部20側)に突出する複数の山部190が設けられている。これら複数の山部190は前後方向で整列して設けられており、上方と下方に向かって前後方向で交互に延び出している。これら各山部190の突出頂部が実質的に各第2接続部20と接触する部分であり、各山部190は、各第2接続部20と接触することで各山部190の突出寸法が小さくなる方向に弾性変形可能である。
【0078】
実施形態3のコネクタユニット180においては、各第1端子金具184の先端部分(下端部分)が、シールドシェル44の貫通孔112および各ハウジング42の挿通孔70を通じて端子収容部56に挿入されることで、各山部190が、各第2接続部20に接触する。すなわち、各第1接続部188が各端子収容部56に挿入されることで、各多接点ばね186における各山部190が突出寸法が小さくなる方向に弾性変形させられつつ、各第2接続部20の左右方向外面に対して摺動する。そして、これら各山部190の弾性的な復元変形により各山部190の突出頂部が各第2接続部20に押圧されることで、各第1接続部188が各多接点ばね186を介して間接的に各第2接続部20に押圧されるようになっている。この結果、各第2接続部20が各放熱部材92を介してシールドシェル44における各接触部109に押圧される。
【0079】
したがって、実施形態3におけるコネクタユニット180においても、実施形態1におけるコネクタユニット10と同様の効果が発揮され得る。特に、第1端子金具184において、弾性変形部として別体の多接点ばね186が設けられることから、各第1端子金具184を特別な形状とすることがなく、各第1端子金具184に各多接点ばね186を後固着することで、簡単に第1コネクタ182を構成することができる。
【0080】
<実施形態4>
次に、本開示の実施形態4のコネクタユニット200について、図13,14を用いて説明する。実施形態4のコネクタユニット200は、実施形態1のコネクタユニット10と基本的には同様の構造であるが、第1コネクタ202において各第1端子金具204の先端部(下端部)に弾性変形部としての曲部206が、各第1端子金具204を構成するバスバーを切り起こすことによって形成されている点で異なっている。なお、第2コネクタ166は、実施形態2と同様の構造であることから、詳細な説明を省略する。
【0081】
実施形態4の各第1端子金具204における先端部分は全体として略矩形平板状とされており、長手方向(上下方向)の一か所において、バスバーの幅方向中間部分を所定寸法にわたって片持ち梁状に切り起こすことで、第1接続部208が構成されている。具体的には、各バスバーの先端部分において、第1接続部208の周囲の三方(前後両側および下方)には隙間210が設けられており、隙間210を隔てて第1接続部208の外周側が枠状部212により覆われている。これにより、各第1接続部208が上端部においてバスバーに連結されているとともに、連結部を基点として各第1接続部208が左右方向で弾性変形可能とされている。そして、各第1接続部208は、この連結部において左右方向内方へと曲げられており、バスバーの基端部分に比して左右方向内方へと突出している。それゆえ、実施形態4では、各第1接続部208と各バスバーとの連結部によって曲部206が構成されている。
【0082】
実施形態4のコネクタユニット200においては、枠状部212を含む各第1端子金具204の先端部分(下端部分)が、シールドシェル44の貫通孔112および各ハウジング42の挿通孔70を通じて端子収容部56に挿入されることで、各第1接続部208の内面が、各第2接続部20の左右方向外面に接触する。これにより、各第1接続部208は、各曲部206の弾性変形によって左右方向外方へと変位させられつつ、各第2接続部20の左右方向外面に対して摺動する。そして、これら各曲部206の弾性復元力により、各第1接続部208が各第2接続部20に押圧されるとともに、各第2接続部20が各放熱部材92を介してシールドシェル44における各接触部109に押圧されるようになっている。
【0083】
したがって、実施形態4におけるコネクタユニット200においても、実施形態1におけるコネクタユニット10と同様の効果が発揮され得る。特に、実施形態1では、バスバーを切り起こすことによって各第1接続部208や各曲部206が構成されることから、各第1接続部208や各曲部206を構成するに際して別部材を採用することがなく、部品点数やコストの増大が回避される。また、各曲部206における曲げ角度を調節することで、各第1接続部208の左右方向内方への突出量を調節することができて、各第1接続部208と各第2接続部20との接圧の大きさ等を調節できることから、設計自由度の向上が図られる。
【0084】
<変形例>
以上、本開示の具体例として、実施形態1から実施形態4について詳述したが、本開示はこの具体的な記載によって限定されない。本開示の目的を達成できる範囲での変形、改良等は本開示に含まれるものである。例えば次のような実施形態の変形例も本開示の技術的範囲に含まれる。
【0085】
(1)前記実施形態では、各第2接続部20とシールドシェル44との間に設けられる絶縁部材として、ハウジング42よりも熱伝導率の高い放熱部材92が採用されていたが、絶縁部材は絶縁性を有する部材であれば限定されるものではない。すなわち、絶縁部材としてハウジングの壁部が採用されてもよく、ハウジング本体における左壁部または右壁部において開口部としての側方窓部が設けられることなく、第2接続部がハウジングにおける左右方向内方の壁部を介してシールドシェルに押圧されるようになっていてもよい。
【0086】
(2)実施形態1では、各第1端子金具18における基端部26と第1接続部16との間に左右方向内方に屈曲する曲部28が設けられていたが、この態様に限定されるものではない。すなわち、各第1端子金具において端子台に固定される基端部より先端側の部分は、屈曲や湾曲することなく、下方になるにつれて左右方向内方に傾斜する方向に略ストレートに延びていてもよい。この場合、弾性変形部は、端子台に固定されて変位不能とされる部分と、左右方向内方に傾斜して延びる部分(第2接続部との接触に際して左右方向外方に変位する部分)との境界部分に位置すると把握され得る。
【0087】
(3)前記実施形態では、各第1端子金具18,164,184,204の長さ方向(上下方向)の一か所に弾性変形部(曲部28,168,206、多接点ばね186)が設けられていたが、この態様に限定されるものではなく、第1端子金具の長さ方向における複数か所に弾性変形部が設けられてもよい。すなわち、各第1端子金具の長さ方向における複数の箇所で湾曲や屈曲されて弾性変形部が構成されてもよいし、実施形態1における第1端子金具18の先端部(下端部)において実施形態3における多接点ばね186が採用されることで、複数の弾性変形部(曲部28および多接点ばね186)が設けられてもよい。
【0088】
(4)前記実施形態では、一対の第1接続部16,170,188,208および一対の第2接続部20が設けられていたが、これらの数は限定されるものではなく、第1接続部および第2接続部はそれぞれ1つずつであってもよいし、それぞれ3つ以上であってもよい。
【符号の説明】
【0089】
10 コネクタユニット(実施形態1)
12 第1コネクタ
14 第2コネクタ
16 第1接続部
18 第1端子金具
20 第2接続部
22 第2端子金具
24 端子台
26 基端部
28 曲部(弾性変形部)
29 ボルト挿通孔
30 先端湾曲部
32 端子保持部
34 端子挿通孔
36 フード部
38 固定片
40 カラー
42 ハウジング
44 シールドシェル
46 位置決め凹部
48 被覆電線
50 電線固着部
52 芯線
54 絶縁被覆
55 ハウジング側組立体
56 端子収容部
58 上壁部
60 下壁部
62 左壁部
64 右壁部
66 前壁部
68 後方開口部
70 挿通孔
72 側方窓部(開口部)
74 弾性片
76 係止爪
78 ロック突部
80 ハウジング本体
82 端子固定部
84 下側窓部
86 ベース板部
88 ロック枠体
90 位置決め凸部
92 放熱部材(絶縁部材)
94 接続部側接触面
96 シェル側接触面
98 上方壁部
100 下方壁部
102 左方壁部
104 右方壁部
106 前方壁部
108 仕切部(壁部)
109 接触部
110 係止凹部
112 貫通孔
114 内側筒部
116 ロック凹部
118 外側筒部
120 切欠部
122 ボルト挿通孔
124 ロック爪部
126 固定部
128 係合凹部
130 フロントリテーナ
132 端子挿通窓
134 ロック凸部
136 防水ゴム
138 バックリテーナ
140 上部リテーナ
142 下部リテーナ
144 ロック枠体
146 係合凸部
148 シールドブラケット
150 筒壁部
152 前方突出部
154 ボルト挿通孔
160 コネクタユニット(実施形態2)
162 第1コネクタ
164 第1端子金具
166 第2コネクタ
168 曲部(弾性変形部)
170 第1接続部
180 コネクタユニット(実施形態3)
182 第1コネクタ
184 第1端子金具
186 多接点ばね(弾性変形部)
188 第1接続部
190 山部
200 コネクタユニット(実施形態4)
202 第1コネクタ
204 第1端子金具
206 曲部(弾性変形部、連結部)
208 第1接続部
210 隙間
212 枠状部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14