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特開2024-170165廃棄物収容状態情報記録装置、該方法および該プログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024170165
(43)【公開日】2024-12-06
(54)【発明の名称】廃棄物収容状態情報記録装置、該方法および該プログラム
(51)【国際特許分類】
   G06T 7/00 20170101AFI20241129BHJP
   F23G 5/50 20060101ALI20241129BHJP
【FI】
G06T7/00 C
F23G5/50 Q
G06T7/00 300E
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023087180
(22)【出願日】2023-05-26
(71)【出願人】
【識別番号】000192590
【氏名又は名称】株式会社神鋼環境ソリューション
(74)【代理人】
【識別番号】100115381
【弁理士】
【氏名又は名称】小谷 昌崇
(74)【代理人】
【識別番号】100111453
【弁理士】
【氏名又は名称】櫻井 智
(72)【発明者】
【氏名】福川 宙季
【テーマコード(参考)】
3K062
5L096
【Fターム(参考)】
3K062AA24
3K062AB01
3K062AC01
3K062CA06
3K062CA08
3K062CB01
3K062DA38
3K062DA40
5L096AA09
5L096FA16
5L096FA66
5L096KA15
(57)【要約】
【課題】本発明は、上方から廃棄物の収容状態を検出する場合でも、廃棄物の収容状態を適切に認識できる廃棄物収容状態情報記録装置、該方法および該プログラムを提供する。
【解決手段】本発明の廃棄物収容状態情報記録装置1000は、収容部に収容された廃棄物の収容状態を記憶する収容状態記憶部61と、所定の検出タイミングにおける前記廃棄物の収容状態を取得する検出収容状態取得部1と、収容状態記憶部61に記憶した前記廃棄物の収容状態と、検出収容状態取得部1で取得した前記廃棄物の収容状態とを比較し、前記比較の結果に応じて前記収容状態記憶部61に記憶した前記廃棄物の収容状態を更新し、前記更新した廃棄物の収容状態を収容状態記憶部61に記憶する収容状態更新部25とを備える。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
収容部に収容された廃棄物の収容状態を記憶する廃棄物収容状態記憶部と、
所定の検出タイミングにおける前記廃棄物の収容状態を取得する検出収容状態取得部と、
前記廃棄物収容状態記憶部に記憶した前記廃棄物の収容状態と、前記検出収容状態取得部で取得した前記廃棄物の収容状態とを比較し、前記比較の結果に応じて前記廃棄物収容状態記憶部に記憶した前記廃棄物の収容状態を更新し、前記更新した廃棄物の収容状態を前記廃棄物収容状態記憶部に記憶する収容状態更新部とを備える、
廃棄物収容状態情報記録装置。
【請求項2】
前記廃棄物の収容状態は、前記廃棄物の3次元位置および前記廃棄物の種類によって少なくとも表される、
請求項1に記載の廃棄物収容状態情報記録装置。
【請求項3】
前記廃棄物収容状態記憶部は、さらに、前記廃棄物に対する移動の実施の有無を記憶する、
請求項2に記載の廃棄物収容状態情報記録装置。
【請求項4】
前記廃棄物収容状態記憶部は、さらに、前記収容部に収容された廃棄物の表面への、前記廃棄物に対する露出の有無を記憶する、
請求項2に記載の廃棄物収容状態情報記録装置。
【請求項5】
前記廃棄物の収容状態は、前記廃棄物の3次元位置および前記廃棄物の種類によって少なくとも表され、
前記検出収容状態取得部は、
前記収容部内において、前記収容部に収容された廃棄物の高さを測定する高さ測定部と、
前記収容部内において、前記収容部に収容された廃棄物の画像を生成する撮像部と、
前記撮像部で生成した廃棄物の画像において、前記廃棄物の種類ごとに前記廃棄物の占有領域を識別して抽出する識別抽出部と、
前記識別抽出部で抽出した廃棄物の占有領域ごとに、前記高さ測定部で測定した高さおよび前記撮像部で生成した廃棄物の画像に基づいて、当該占有領域の3次元位置を前記廃棄物の3次元位置として求める廃棄物位置演算部とを備える、
請求項1に記載の廃棄物収容状態情報記録装置。
【請求項6】
前記収容状態更新部は、所定のリセットタイミングで、前記廃棄物収容状態記憶部に記憶した前記廃棄物の収容状態をリセットする、
請求項1に記載の廃棄物収容状態情報記録装置。
【請求項7】
前記廃棄物収容状態記憶部に記憶された前記廃棄物の収容状態に基づいて撹拌対象を選定する撹拌対象選定部をさらに備える、
請求項1に記載の廃棄物収容状態情報記録装置。
【請求項8】
収容部に収容された廃棄物の収容状態を廃棄物収容状態記憶部に記憶する記憶工程と、
所定の検出タイミングにおける前記廃棄物の収容状態を取得する検出収容状態取得工程と、
前記廃棄物収容状態記憶部に記憶した前記廃棄物の収容状態と、前記検出収容状態取得工程で取得した前記廃棄物の収容状態とを比較し、前記比較の結果に応じて前記廃棄物収容状態記憶部に記憶した前記廃棄物の収容状態を更新し、前記更新した廃棄物の収容状態を前記廃棄物収容状態記憶部に記憶する収容状態更新工程とを備える、
廃棄物収容状態情報記録方法。
【請求項9】
コンピュータを、請求項1ないし請求項7のいずれか1項に記載の破棄物収容状態情報記録装置として機能させるための廃棄物収容状態情報記録プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、収容部に収容された廃棄物の収容状態を記録する廃棄物収容状態情報記録装置、廃棄物収容状態情報記録方法および廃棄物収容状態情報記録プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
所有者によって利用価値が無いあるいは不要であると判断されてゴミとして廃棄された廃棄物は、一般に、焼却炉で燃焼され、焼却処理される。この廃棄物の燃焼では、焼却炉内での安定した燃焼を実現するために、廃棄物を均質化するように廃棄物が撹拌される。このような廃棄物の撹拌に関し、例えば特許文献1に開示された装置がある。
【0003】
この特許文献1に開示された廃棄物撹拌状態評価装置は、収容部に収容された廃棄物の画像を取得する取得部と、前記画像において、前記廃棄物の種類ごとに前記廃棄物の占有領域を識別して抽出する識別抽出部と、前記識別抽出部で抽出した前記廃棄物の種類ごとの各占有領域に基づいて、前記収容部に収容された廃棄物の撹拌状態を評価する評価部とを備える。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2021-117867号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、収容部に収容した廃棄物は、必要に応じて、上述のように撹拌されるが、この撹拌により廃棄物が一方の箇所から掴み上げられて他方の箇所へ落とされたり、搬入車の投入により廃棄物が落とされたりするので、落とされた箇所の廃棄物の上に、落とした廃棄物が重なるため、前記落とされた箇所の廃棄物が下敷きとなり、上方から見えなくなってしまう。特に、前記落とされた箇所の廃棄物が未撹拌である場合、前記落とされた箇所の廃棄物に対する撹拌が実施されない虞がある。
【0006】
本発明は、上述の事情に鑑みて為された発明であり、その目的は、上方から廃棄物の収容状態を検出する場合でも、廃棄物の収容状態を適切に認識できる廃棄物収容状態情報記録装置、廃棄物収容状態情報記録方法および廃棄物収容状態情報記録プログラムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明者は、種々検討した結果、上記目的は、以下の本発明により達成されることを見出した。すなわち、本発明の一態様にかかる廃棄物収容状態情報記録装置は、収容部に収容された廃棄物の収容状態を記憶する廃棄物収容状態記憶部と、所定の検出タイミングにおける前記廃棄物の収容状態を取得する検出収容状態取得部と、前記廃棄物収容状態記憶部に記憶した前記廃棄物の収容状態と、前記検出収容状態取得部で取得した前記廃棄物の収容状態とを比較し、前記比較の結果に応じて前記廃棄物収容状態記憶部に記憶した前記廃棄物の収容状態を更新し、前記更新した廃棄物の収容状態を前記廃棄物収容状態記憶部に記憶する収容状態更新部とを備える。好ましくは、上述の廃棄物収容状態情報記録装置において、前記検出収容状態取得部は、所定の検出タイミングにおける前記廃棄物の収容状態を検出する収容状態検出部に接続され、前記収容状態検出部から前記所定の検出タイミングにおける前記廃棄物の収容状態を取得するインターフェースである。好ましくは、上述の廃棄物収容状態情報記録装置において、前記検出収容状態取得部は、所定の検出タイミングにおける前記廃棄物の収容状態を検出する収容状態検出部である。
【0008】
このような廃棄物収容状態情報記録装置は、廃棄物の収容状態を収容状態記憶部に記憶し、所定の検出タイミングで取得した廃棄物の収容状態で更新するので、廃棄物が重なっても重なる前の収容状態を記録し得るから、前記収容状態記憶部の記憶内容を参照することで、上方から廃棄物の収容状態を検出する場合でも、廃棄物の収容状態を適切に認識できる。
【0009】
他の一態様では、上述の廃棄物収容状態情報記録装置において、前記廃棄物の収容状態は、前記廃棄物の3次元位置および前記廃棄物の種類によって少なくとも表される。
【0010】
このような廃棄物収容状態情報記録装置は、廃棄物の種類別に、廃棄物の収容状態を記録し得る。
【0011】
他の一態様では、上述の廃棄物収容状態情報記録装置において、前記廃棄物収容状態記憶部は、さらに、前記廃棄物に対する移動の実施の有無を記憶する。
【0012】
このような廃棄物収容状態情報記録装置は、前記廃棄物に対する移動の実施の有無を記憶するので、前記収容状態記憶部の記憶内容を参照することで、移動の実施の有無を認識でき、撹拌対象を適切に選定できる。
【0013】
他の一態様では、これら上述の廃棄物収容状態情報記録装置において、前記廃棄物収容状態記憶部は、さらに、前記収容部に収容された廃棄物の表面への、前記廃棄物に対する露出の有無を記憶する。
【0014】
このような廃棄物収容状態情報記録装置は、前記廃棄物に対する露出の有無を記憶するので、前記収容状態記憶部の記憶内容を参照することで、廃棄物の露出の有無、言い換えれば、廃棄物が重なって埋没しているか否かを認識できる。
【0015】
他の一態様では、これら上述の廃棄物収容状態情報記録装置において、前記廃棄物の収容状態は、前記廃棄物の3次元位置および前記廃棄物の種類によって少なくとも表され、前記検出収容状態取得部は、前記収容部内において、前記収容部に収容された廃棄物の高さを測定する高さ測定部と、前記収容部内において、前記収容部に収容された廃棄物の画像を生成する撮像部と、前記撮像部で生成した廃棄物の画像において、前記廃棄物の種類ごとに前記廃棄物の占有領域を識別して抽出する識別抽出部と、前記識別抽出部で抽出した廃棄物の占有領域ごとに、前記高さ測定部で測定した高さおよび前記撮像部で生成した廃棄物の画像に基づいて、当該占有領域の3次元位置を前記廃棄物の3次元位置として求める廃棄物位置演算部とを備える。
【0016】
このような廃棄物収容状態情報記録装置は、廃棄物の種類ごとに前記廃棄物の占有領域を識別して抽出し、前記廃棄物の占有領域ごとに、前記占有領域の3次元位置を前記廃棄物の3次元位置として求めるので、前記廃棄物の占有領域ごとに、廃棄物の収容状態を記録できる。
【0017】
他の一態様では、これら上述の廃棄物収容状態情報記録装置において、前記収容状態更新部は、所定のリセットタイミングで、前記収容状態記憶部に記憶した前記廃棄物の収容状態をリセットする。
【0018】
このような廃棄物収容状態情報記録装置は、所定のリセットタイミングにおける廃棄物の収容状態から、記憶(記録)を開始できる。例えば、前記所定のリセットタイミングを就業開始時とすることで、前記収容状態記憶部の記憶内容を参照することによって、就業開始時からの廃棄物の収容状況を認識でき、廃棄物を適切に撹拌できる。
【0019】
他の一態様では、これら上述の廃棄物収容状態情報記録装置において、前記収容状態記憶部に記憶された前記廃棄物の収容状態に基づいて撹拌対象を選定する撹拌対象選定部をさらに備える。
【0020】
このような廃棄物収容状態情報記録装置は、撹拌対象選定部を備えるので、撹拌対象の選定を自動化できる。
【0021】
本発明の他の一態様にかかる廃棄物収容状態情報記録方法は、収容部に収容された廃棄物の収容状態を廃棄物収容状態記憶部に記憶する記憶工程と、所定の検出タイミングにおける前記廃棄物の収容状態を取得する検出収容状態取得工程と、前記廃棄物収容状態記憶部に記憶した前記廃棄物の収容状態と、前記検出収容状態取得工程で取得した前記廃棄物の収容状態とを比較し、前記比較の結果に応じて前記廃棄物収容状態記憶部に記憶した前記廃棄物の収容状態を更新し、前記更新した廃棄物の収容状態を前記廃棄物収容状態記憶部に記憶する収容状態更新工程とを備える。
【0022】
このような廃棄物収容状態情報記録方法は、廃棄物の収容状態を収容状態記憶部に記憶し、所定の検出タイミングで取得した廃棄物の収容状態で更新するので、廃棄物が重なっても重なる前の収容状態を記録し得るから、前記収容状態記憶部の記憶内容を参照することで、上方から廃棄物の収容状態を検出する場合でも、廃棄物の収容状態を適切に認識できる。
【0023】
本発明の他の一態様にかかる廃棄物収容状態情報記録プログラムは、コンピュータを、これら上述のいずれかの破棄物収容状態情報記録装置として機能させるためのプログラムである。
【0024】
これによれば、廃棄物収容状態情報記録プログラムが提供でき、この廃棄物収容状態情報記録プログラムは、これら上述の廃棄物収容状態情報記録装置と同様な作用効果を奏する。
【発明の効果】
【0025】
本発明にかかる廃棄物収容状態情報記憶装置、廃棄物収容状態情報記録方法および廃棄物収容状態情報記録プログラムは、上方から廃棄物の収容状態を検出する場合でも、廃棄物の収容状態を適切に認識できる。
【図面の簡単な説明】
【0026】
図1】実施形態における廃棄物収容状態情報記録装置の構成を示す図である。
図2】一例として、ごみピット周りの焼却施設の構成を示す概略図である。
図3】一例として、ごみの高さの点群データを示す図である。
図4】一例として、ごみ画像および前記ごみ画像から識別して抽出したごみの占有領域を示す図である。
図5】一例として、ごみの占有領域の3次元位置(廃棄物の3次元位置)を説明するための図である。
図6】一例として、ごみ画像に設定されるxy座標系を説明するための図である。
図7】一例として、収容状態情報テーブルを示す図である。
図8】一例として、検出収容状態情報テーブル(リスト)を示す図である。
図9】一例として、廃棄物の収容状態を更新する処理を説明するための図である。
図10】一例として、下層フラグを更新する処理を説明するための図である。
図11】一例として、撹拌によるごみの移動を説明するための図である。
図12】前記廃棄物収容状態情報記録装置の動作を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0027】
以下、図面を参照して、本発明の1または複数の実施形態が説明される。しかしながら、発明の範囲は、開示された実施形態に限定されない。なお、各図において同一の符号を付した構成は、同一の構成であることを示し、適宜、その説明を省略する。本明細書において、総称する場合には添え字を省略した参照符号で示し、個別の構成を指す場合には添え字を付した参照符号で示す。
【0028】
実施形態における廃棄物収容状態情報記録装置は、収容部に収容された廃棄物の収容状態を記録する装置である。前記廃棄物は、所有者によって利用価値が無いあるいは不要であると判断されてゴミとして廃棄されたものである。この廃棄物収容状態情報記録装置は、収容状態記憶部、検出収容状態取得部、および、収容状態更新部とを備える。前記収容状態記憶部は、収容部に収容された廃棄物の収容状態を記憶するものである。前記検出収容状態取得部は、所定の検出タイミングにおける前記廃棄物の収容状態を取得するものである。前記収容状態更新部は、前記廃棄物収容状態記憶部に記憶した前記廃棄物の収容状態と、前記検出収容状態取得部で取得した前記廃棄物の収容状態とを比較し、前記比較の結果に応じて前記廃棄物収容状態記憶部に記憶した前記廃棄物の収容状態を更新し、前記更新した廃棄物の収容状態を廃棄物収容状態記憶部に記憶するものである。以下、このような廃棄物収容状態情報記録装置ならびにこれに実装された廃棄物収容状態情報記録方法および廃棄物収容状態情報記録プログラムについて、より具体的に説明する。
【0029】
図1は、実施形態における廃棄物収容状態情報記録装置の構成を示す図である。図2は、一例として、ごみピット周りの焼却施設の構成を示す概略図である。図2Aは、ごみピット周りを平面視した概略図(Z方向から見た場合の概略図)であり、図2Bは、ごみピット周りを側面視した概略図(X方向から見た場合の概略図)である。図3は、一例として、ごみの高さの点群データを示す図である。図4は、一例として、ごみ画像および前記ごみ画像から識別して抽出したごみの占有領域を示す図である。図5は、一例として、ごみの占有領域の3次元位置(廃棄物の3次元位置)を説明するための図である。図6は、一例として、ごみ画像に設定されるxy座標系を説明するための図である。図7は、一例として、収容状態情報テーブルを示す図である。図8は、一例として、検出収容状態情報テーブル(リスト)を示す図である。図9は、一例として、廃棄物の収容状態を更新する処理を説明するための図である。図10は、一例として、下層フラグを更新する処理を説明するための図である。図11は、一例として、撹拌によるごみの移動を説明するための図である。
【0030】
実施形態における廃棄物収容状態情報記録装置1000は、本実施形態では、例えば、図2に示すように、ごみを受け入れて収容し貯留するごみピットPTにおける前記ごみの収容状態を記録するために用いられる。前記ごみは、廃棄物の一例に相当し、ごみ収集車VCによって収集され、運搬され、ごみ収集車VCからごみピットPTに、前記ごみを投入するための複数の投入口DAのいずれかを介して投入される。ごみピットPTは、収容部の一例に相当し、例えば、ごみを焼却する焼却施設に設けられ、前記ごみを焼却する前に一時的に、前記ごみを収容して貯留する施設である。あるいは、例えば、ごみピットPTは、ごみを所定の種類別に選別する選別施設に設けられ、前記ごみを選別する前に一時的に、前記ごみを収容して貯留する施設である。ここでは、焼却施設の例で説明する。
【0031】
以下、前記廃棄物は、特に廃棄物である点を強調する場合を除き、その一例であるごみで説明され、前記収容部は、特に廃棄物である点を強調する場合を除き、その一例であるごみピットPTで説明される。
【0032】
ごみピットPTは、例えば、底面および壁面をコンクリートで形成され天面を開放した略直方体状の空所(凹所)である。ごみピットPTには、前記空所を仕切らずに全体的に利用するシングルピットや、前記空所を仕切り壁で仕切ることによって複数の区画で利用するマルチピット等の形態がある。本実施形態では、ごみピットPTは、前記空間を、図略の仕切り壁で仕切ることによって2区画で利用するダブルピットである。
【0033】
ごみピットPTには、クレーンCRが備えられている。図2に示すようにXYZ直交座標系を設定した場合、クレーンCRは、クレーンガータCGに対しZ方向(図2Bの紙面上下方向)に沿って移動可能に構成され、クレーンガータCGに案内されてY方向(図2Bの紙面左右方向)に沿って移動可能に構成され、クレーンガータCGは、X方向に延びる、図略のランウェイレールに案内されてX方向(図2Bの紙面前後方向)に沿って移動可能に構成される。これによってクレーンCRは、Z方向、Y方向およびX方向の3次元の各方向に移動可能に構成されている。なお、前記XYZ直交座標系の原点は、図3に示すように、ごみピットPTの底面における所定の角(コーナー)に設定されるが、図2では、作図の都合上、前記XYZ直交座標系の座標原点をずらして前記XYZ直交座標系が図示されている。
【0034】
より具体的には、クレーンCRは、バケットをZ方向に沿って昇降自在に懸吊するワイヤロープを巻き回した巻上ドラム、前記巻上ドラムを駆動する例えばモータ等の駆動部(第1駆動部)、クレーンガータCGに案内されてクレーンガータCG上を走行するための走行車輪、および、前記走行車輪を駆動する例えばモータ等の駆動部(第2駆動部)を有する昇降台車を備える。クレーンガータCGは、Y方向に沿って延びる部材、前記部材の両端部分それぞれに設けられ、前記ランウェイレールに案内されて前記ランウェイレール上を走行するための第1および第2横行車輪、ならびに、前記第1および第2横行車輪を同期して駆動する例えばモータ等の駆動部(第3駆動部)を備える。
【0035】
クレーンの位置(クレーン位置)は、例えば、クレーンCRにおける先端位置またはクレーンCRにおけるバケットの中央位置等で表される。クレーンCRにおけるZ方向の位置(クレーン位置のZ座標値)は、例えば、バケットに連結されて前記バケットを吊り下げる前記ワイヤロープの繰り出し量(繰り出し長さ)によって求められる。前記ワイヤロープの繰り出し量は、例えば、前記巻上ドラムの回転量を例えばロータリエンコーダ(Z方向用ロータリエンコーダ)等で検出することによって求められる。前記Z方向用ロータリエンコーダの出力は、例えば、クレーンCRの運用等、ごみピットPT周りの運用を制御するためのコンソール(制御卓)CLによってモニタ(監視)され、前記コンソールCLによって前記Z方向用ロータリエンコーダの出力に基づいて前記ワイヤロープの繰り出し量が求められて前記クレーン位置のZ座標値が求められる。クレーンCRにおけるY方向の位置(クレーン位置のY座標値)は、例えば、前記走行車輪の回転量を例えばロータリエンコーダ(Y方向用ロータリエンコーダ)等で検出することによって求められる。前記Y方向用ロータリエンコーダの出力は、前記コンソールCLによってモニタされ、前記コンソールCLによって前記Y方向用ロータリエンコーダの出力に基づいて前記走行車輪の回転量が求められて前記クレーン位置のY座標値が求められる。クレーンCRにおけるX方向の位置(クレーン位置のX座標値)は、例えば、前記横行車輪(第1および第2横行車輪の少なくとも一方)の回転量を例えばロータリエンコーダ(X方向用ロータリエンコーダ)等で検出することによって求められる。前記X方向用ロータリエンコーダの出力は、前記コンソールCLによってモニタされ、前記コンソールCLによって前記X方向用ロータリエンコーダの出力に基づいて前記横行車輪の回転量が求められて前記クレーン位置のX座標値が求められる。
【0036】
ごみピットPTを収容する建屋において、ごみピットPTの一方壁面から前記建屋の天井に向かって延長される前記建屋の側壁には前記複数の投入口DAがX方向に沿って所定の間隔(第1間隔)を開けて並置するように設けられている。図2に示す例では、3個の第1ないし第3投入口DA-1~DA-3が設けられており、図2Aでは、破線で図示されている。前記複数の投入口DAに対し、ごみピットPTの配設側の反対側には、ごみ収集車VCが通行し、積載されたごみを投入口DAからごみピットPTに投入する際にごみ収集車VCが駐停車するための平面のスペースであるプラットホームPHが設けられている。ごみピットPTの他方壁面側には、ごみピットPTに隣接して投入ホッパHPが設けられている。投入ホッパHPは、図2に示す例では、3個の第1ないし第3投入ホッパHP-1~HP-3が設けられており、それぞれ、図略の焼却炉に繋がっている。
【0037】
ごみを収集して積載したごみ収集車VCは、門GTから焼却施設に入り、計量棟WMで重量が計量される。ごみ収集車VCによって運搬されたごみは、投入口DAからごみピットPTに投入され、ごみピットPTに収容されて貯留される。ごみピットPTに貯留されたごみは、例えばオペレータ(ユーザ)の判断によって、あるいは例えばコンピュータの判定によって、必要に応じてクレーンCRで均されたり撹拌されたり等される。ごみピットPTに貯留されたごみは、ごみピットPTからクレーンCRによって掴み上げられたごみが投入ホッパHPに投入されることで、ごみが焼却炉に導入され、焼却される。このようなクレーンCRの運用を制御するためのコンソールCLは、オペレーションルーム(運用室、中央制御室)ORに配置される。オペレーションルームORは、ごみピットPTに貯留されているごみおよびクレーンCR等をオペレータが視認可能に、ごみピットPTに隣接して配設される。なお、投入口DAの個数や投入ホッパHPの個数は、任意であり、図2に示す例に限られない。
【0038】
このようなごみピットPTにおけるごみの収容状態(廃棄物の収容状態の一例)を記録する廃棄物収容状態情報記録装置1000は、例えば、図1および図2に示すように、検出収容状態取得部1と、制御処理部2と、入力部3と、出力部4と、インターフェース部(IF部)5と、記憶部6とを備える。
【0039】
検出収容状態取得部1は、所定の検出タイミングにおけるごみの収容状態を取得する装置である。前記ごみの収容状態は、前記ごみの3次元位置および前記ごみの種類によって少なくとも表される。検出収容状態取得部1は、例えば、所定の検出タイミングにおける前記ごみの収容状態を検出する収容状態検出部に接続され、前記収容状態検出部から前記所定の検出タイミングにおける前記ごみの収容状態を取得するインターフェースであってよいが、本実施形態では、所定の検出タイミングにおける前記ごみの収容状態を検出する収容状態検出部である。
【0040】
この、検出収容状態取得部1の一例である前記収容状態検出部は、高さ測定部HMと、撮像部CAと、識別抽出部22と、廃棄物位置演算部23と、時計部24とを備える。
【0041】
高さ測定部HMは、制御処理部2に有線または無線によって接続され、制御処理部2の制御に従って、前記ごみピットPTにおいて、前記ごみピットPTに収容されたごみの高さを測定する装置である。高さ測定部HMは、その測定したごみの高さを制御処理部2に出力する。本実施形態では、高さ測定部HMは、例えば、図2に示すように、ごみピットPTの上面全体を俯瞰できるようにごみピットPTの上方に、例えば斜め上方からごみピットPTを俯瞰するようにごみピットPTの他方壁面の延長上における所定の高さの配設位置(第1配設位置)に、配設される。あるいは、例えば、高さ測定部HMは、ごみピットPTの中央位置上方(直上)に配設されてもよい。高さ測定部HMは、例えば、ごみピットPTに収容され貯留されているごみの上面を所定の間隔(第1間隔)を開けて走査しながら、前記ごみの上面までの距離を測定して点群データを生成するレーザ距離計等である。なお、1個のレーザ距離計でごみピットの上面全体を測定できない場合には、複数のレーザ距離計が用いられてもよい。高さ測定部HMの一例であるレーザ距離計HMは、その測定した点群データを制御処理部2に出力する。前記ごみの高さは、前記ごみの上面までの距離とその際の測定方向とごみピットPTの深さ寸法とに基づいて求められる。より具体的には、レーザ距離計HMは、その光軸を座標軸rとし、測定方向をθ、φとしたrθφ極座座標系(第1ローカル座標系)で距離の点群データを測定し、この測定した距離の点群データを、前記第1配設位置、レーザ距離計HMの前記光軸方向およびごみピットPTの深さ寸法等に基づいて公知の常套手段により、前記XYZ直交座標系(ワールド座標系)における高さの点群データに変換する。図3には、その一例が示されている。なお、前記距離の点群データを前記高さの点群データに変換する処理は、制御処理部2で実施してもよい。この場合には、レーザ距離計HMは、前記第1ローカル座標系での前記距離の点群データを制御処理部2に出力する。
【0042】
撮像部CAは、制御処理部2に有線または無線によって接続され、制御処理部2の制御に従って、前記ごみピットPT内において、前記ごみピットPTに収容されたごみの画像を生成する装置である。撮像部CAは、その生成したごみの画像(ごみ画像)を制御処理部2に出力する。本実施形態では、撮像部CAは、例えば、図2に示すように、ごみピットの上面全体を撮像できるようにごみピットPTの上方、例えば斜め上方からごみピットPTを俯瞰するようにごみピットPTの一方壁面の延長上における所定の高さの配設位置(第2配設位置)に配設される。あるいは、例えば、撮像部CAは、ごみピットPTの中央位置上方(直上)に配設されてもよい。撮像部CAは、例えば、デジタルカメラ等である。なお、1個のデジタルカメラでごみピットの上面全体を撮像できない場合には、複数のデジタルカメラが用いられてもよい。撮像部CAは、その生成したごみの画像を制御処理部2に出力する。その一例が図4に示されている。なお、図4には、図4に示すごみの画像から、識別抽出部22で識別して抽出したごみの占有領域も矩形(□)で図示されている。
【0043】
識別抽出部22は、前記撮像部CAで生成したごみの画像において、前記ごみの種類ごとに前記ごみの占有領域を識別して抽出するものである。本実施形態では、識別抽出部22は、後述するように制御処理部2に機能的に構成される。
【0044】
識別抽出部22には、一例として、前記特許文献1に開示されたものが用いられてよい。より具体的には、識別抽出部22は、撮像部CAで生成した画像において、ごみの種類ごとに前記ごみの占有領域を識別する機械学習済みの機械学習モデルを備える。この機械学習モデルは、本実施形態では、ごみ画像が入力されると、前記ごみ画像から、ごみを写し込んだ画像領域を前記ごみの占有領域としてごみの種類ごとに識別してその位置および大きさ(サイズ、面積、画素数)を特定し、前記識別したごみの占有領域に対し、識別の信頼性の程度を表す信頼度を百分率で求め、これらごみの占有領域(位置、大きさ)、そのごみの種類(種別)およびその信頼度を出力する。前記機械学習モデルは、例えば、線形回帰、ボルツマンマシン、ニューラルネットワーク(neural Network)、サポートベクターマシン(Support Vector Machine、SVM)、ベイジアンネットワーク、決定木、ランダムフォレスト(random forest)等の機械学習に用いる公知の手法を利用したモデルを備えて構成される。本実施形態では、前記機械学習モデルには、ニューラルネットワークの1つである畳み込みニューラルネットワーク(Convolution neural network、CNN)が用いられ、その機械学習によってCNNのパラメータが決定され、その識別力が獲得される。
【0045】
そして、識別抽出部22は、前記機械学習モデルで識別したごみの占有領域に対し、前記機械学習モデルから出力された信頼度に基づいてごみであるか否かを最終的に判定する。より詳しくは、識別抽出部22は、前記機械学習モデルから出力された信頼度と前記信頼度と共に前記機械学習モデルから出力されたごみの種類に応じた所定の閾値(判定閾値)とを比較し、前記信頼度が前記判定閾値以上である場合に、最終的にごみの占有領域と判定し、前記信頼度が前記判定閾値未満である場合に、最終的にごみの占有領域と判定しない。ごみの種類ごとに前記判定閾値を設定することでより適切にその種類のごみで有るか否かが判定できる。その識別抽出結果の一例が図4に示されている。図4に示す例に用いた機械学習モデルは、ごみの種類として、袋ごみ、汚泥、草木(剪定木を含む)、段ボール、布団、廃プラスチックおよび燃焼可能な粗大ごみの破砕片を識別でき、図4では、ごみとして識別され抽出された占有領域は、矩形(□)で表され、占有領域ARrは、前記破砕片の占有領域であり、占有領域ARpは、前記廃プラスチックの占有領域であり、占有領域ARtは、前記草木の占有領域であり、個数が多く作図の都合上、符号を付していない占有領域は、前記袋ごみの占有領域である。
【0046】
廃棄物位置演算部23は、前記識別抽出部22で抽出したごみの占有領域ごとに、前記高さ測定部HMで測定した高さおよび前記撮像部CAで生成したごみの画像に基づいて、当該占有領域の3次元位置を前記ごみの3次元位置として求めるものである。
【0047】
より具体的には、廃棄物位置演算部23は、前記識別抽出部22で抽出したごみの占有領域ごとに、前記ごみの画像上における当該ごみの占有領域の2次元位置を求め、この求めた当該ごみの占有領域の2次元位置を前記XYZ直交座標系における3次元位置に変換し、前記レーザ距離計HMで測定した各高さ(各点群データ)の中から、例えばユークリッド距離等で、前記変換した3次元位置に最も近い高さ(点データ)を当該ごみの占有領域の3次元位置として選定(抽出)する。前記ごみの占有領域の2次元位置は、例えば、図5に示すように、前記ごみの占有領域の中心位置CPと定義される。この場合、廃棄物位置演算部23は、ごみ画像における矩形の占有領域における四隅の各2次元位置を求め、2対角線の交点の位置を求めることで、前記ごみの占有領域の中心位置CPを求める。前記XYZ直交座標系における3次元位置への変換は、例えば、図6に示すように、ごみ画像に、平面視でのごみ画像における左上の角を座標原点とし、前記ごみ画像の各辺それぞれをx軸およびy軸としたxy直交座標系(第2ローカル座標系)を設定した場合、第2ローカル座標系と前記XYZ直交座標系(ワールド座標系)との対応関係を、撮像部CAにおけるいわゆるカメラ外部パラメータ(第2配設位置および光軸方向)およびいわゆるカメラ内部パラメータ(焦点距離および収差等)に基づいて公知の常套手段によって求めることで、実施できる。なお、上述では、前記レーザ距離計HMで測定した各高さの中から、前記変換した3次元位置に最も近い高さがごみの占有領域の3次元位置として選定されたが、前記変換した3次元位置の周囲における前記レーザ距離計HMで測定した各高さに基づく補間によって、前記ごみの占有領域の3次元位置が求められてもよい。
【0048】
時計部24は、年月日時分秒で計時を行うものである。
【0049】
このような構成の検出収容状態取得部1は、所定のサンプリング間隔でのサンプリングタイミング(検出タイミング)になると、高さ測定部HMによってごみの高さを測定し、撮像部CAによってごみ画像を生成し、時計部24の現在時刻を前記検出タイミングの検出時刻として取得し、前記測定したごみの高さおよび前記生成したごみ画像を前記取得した検出タイミングの検出時刻と対応付けて記憶部6に記憶し、識別抽出部22によって前記生成したごみ画像からごみの占有領域およびそのごみの種類を識別して抽出し、廃棄物位置演算部23によって前記ごみの占有領域の3次元位置を求め、これらごみにおける占有領域、その3次元位置およびその種類を前記生成したごみ画像に対応付けて記憶部6に記憶する。
【0050】
図1に戻って、入力部3は、制御処理部2に接続され、例えば、廃棄物収容状態情報記録装置1000を動作させる上で必要な各種コマンドおよび各種データを廃棄物収容状態情報記録装置1000に入力する機器であり、例えば、キーボードや、マウスや、所定の機能を割り付けられた複数の入力スイッチ等である。出力部4は、制御処理部2に接続され、制御処理部2の制御に従って、入力部3から入力されたコマンドやデータ、および、廃棄物の収容状態(この例ではごみの収容状態)等を出力する機器であり、例えばCRTディスプレイ、液晶ディスプレイおよび有機ELディスプレイ等の表示装置やプリンタ等の印刷装置等である。
【0051】
なお、入力部3および出力部4からいわゆるタッチパネルが構成されてもよい。このタッチパネルを構成する場合において、入力部3は、例えば抵抗膜方式や静電容量方式等の操作位置を検出して入力する位置入力装置であり、出力部4は、表示装置である。このタッチパネルでは、前記表示装置の表示面上に前記位置入力装置が設けられ、前記表示装置に入力可能な1または複数の入力内容の候補が表示され、ユーザが、入力したい入力内容を表示した表示位置を触れると、前記位置入力装置によってその位置が検出され、検出された位置に表示された表示内容がユーザの操作入力内容として廃棄物収容状態情報記録装置1000に入力される。このようなタッチパネルでは、ユーザは、入力操作を直感的に理解し易いので、ユーザにとって取り扱い易い廃棄物収容状態情報記録装置1000が提供される。
【0052】
IF部5は、制御処理部2に接続され、制御処理部2の制御に従って、外部機器との間でデータの入出力を行う回路であり、例えば、シリアル通信方式であるRS-232Cのインターフェース回路、Bluetooth(登録商標)規格を用いたインターフェース回路、IrDA(Infrared Data Asscoiation)規格等の赤外線通信を行うインターフェース回路、および、USB(Universal Serial Bus)規格を用いたインターフェース回路等である。また、IF部5は、外部機器との間で通信を行う回路であり、例えば、データ通信カードや、IEEE802.11規格等に従った通信インターフェース回路等であってもよい。なお、検出収容状態取得部1が上述のインターフェースである場合には、IF部5は、このインターフェースと兼用されてもよい。
【0053】
記憶部6は、制御処理部2に接続され、制御処理部2の制御に従って、各種の所定のプログラムおよび各種の所定のデータを記憶する回路である。
【0054】
前記各種の所定のプログラムには、例えば、制御処理プログラムが含まれ、前記制御処理プログラムには、例えば、制御プログラム、識別抽出プログラム、廃棄物位置演算プログラム、時計プログラムおよび収容状態更新プログラム等が含まれる。前記制御プログラムは、廃棄物収容状態情報記録装置1000の各部1、3~6を当該各部の機能に応じてそれぞれ制御するものである。前記識別抽出プログラムは、前記撮像部CAで生成したごみ画像において、前記ごみの種類ごとに前記ごみの占有領域を識別して抽出するプログラムである。前記廃棄物位置演算プログラムは、前記識別抽出プログラムで抽出したごみの占有領域ごとに、前記高さ測定部HMで測定した高さおよび前記撮像部CAで生成したごみ画像に基づいて、当該占有領域の3次元位置を前記ごみの3次元位置として求めるプログラムである。前記時計プログラムは、年月日時分秒で計時を行うプログラムである。前記収容状態更新プログラムは、後述の収容状態記憶部61に記憶したごみの収容状態と、検出収容状態取得部1で取得した前記ごみの収容状態とを比較し、前記比較の結果に応じて前記収容状態記憶部61に記憶した前記ごみの収容状態を更新し、前記更新したごみの収容状態を前記収容状態記憶部61に記憶するプログラムである。
【0055】
前記各種の所定のデータには、例えば、所定の検出タイミング(例えば今回の検出タイミング)での収容状態および既に検出(記録)されている過去の収容状態等の、これら各プログラムを実行する上で必要なデータが含まれる。
【0056】
このような記憶部6は、例えば不揮発性の記憶素子であるROM(Read Only Memory)や書き換え可能な不揮発性の記憶素子であるEEPROM(Electrically Erasable Programmable Read Only Memory)等を備える。そして、記憶部6は、前記所定のプログラムの実行中に生じるデータ等を記憶するいわゆる制御処理部2のワーキングメモリとなるRAM(Random Access Memory)等を含む。また、記憶部6は、比較的記憶容量の大きいハードディスク装置を備えて構成されてもよい。
【0057】
記憶部6は、上述の各収容状態それぞれを記憶するために、収容状態記憶部61および検出収容状態記憶部62を機能的に備える。
【0058】
収容状態記憶部61は、既に検出(記録)されている過去の収容状態を記憶するものである。前記ごみの収容状態は、前記ごみの3次元位置および前記ごみの種類によって少なくとも表される。そして、本実施形態では、前記収容状態記憶部61は、さらに、前記検出タイミングを含み、さらに、前記ごみに対する移動の実施の有無を含み、さらに、前記ごみピットPTに収容された前記ごみの表面への、前記ごみに対する露出の有無を含む。
【0059】
この収容状態は、本実施形態では、テーブル形式で収容状態記憶部61に記憶されている。この収容状態を登録する収容状態情報テーブルDBは、例えば、図7に示すように、占有領域のごみを特定し識別するための識別子(ID)を登録するIDフィールド611と、IDフィールド611に登録されたIDで特定される占有領域のごみに対する検出タイミングの検出時刻を登録する検出時刻フィールド612と、IDフィールド611に登録されたIDで特定される占有領域のごみにおける前記占有領域の2次元位置を登録する第1検出位置フィールド613と、IDフィールド611に登録されたIDで特定される占有領域のごみにおける前記占有領域の3次元位置を登録する第2検出位置フィールド614と、IDフィールド611に登録されたIDで特定される占有領域のごみの種類を登録するごみ種類フィールド615と、IDフィールド611に登録されたIDで特定される占有領域のごみにおける移動処理フラグを登録する移動処理フラグフィールド616と、IDフィールド611に登録されたIDで特定される占有領域のごみにおける下層フラグ(露出フラグ)を登録する下層フラグフィールド617とを備え、検出タイミングおよび占有領域ごとにレコードを持つ。前記IDは、例えば、識別抽出部22が占有領域を識別して抽出した際に、最初からの通し番号で生成され、前記占有領域に付与される。前記移動処理フラグは、前記ごみに対する移動の実施の有無を表し、前記移動処理フラグ;「1」は、移動を実施して処理済みであることを表し、前記移動処理フラグ;「0」は、移動を実施していない未処理であることを表す。前記下層フラグ(露出フラグ)は、前記ごみピットPTに収容されたごみの表面への、前記ごみに対する露出の有無を表し、前記下層フラグ;「1」は、当該占有領域の前記ごみの上に他のごみが重なって当該占有領域のごみが前記他のごみの下層になっている、すなわち、表面に露出していないことを表し、前記下層フラグ;「0」は、当該占有領域のごみの上に他のごみが重なっておらず当該占有領域のごみが前記他のごみの下層になっていない、すなわち、表面に露出していることを表す。この図7に示す収容状態情報テーブルDBでは、ごみ画像での占有領域の2次元位置が登録できるようになっている。
【0060】
検出収容状態記憶部62は、所定の検出タイミングでの収容状態を記憶するものである。検出収容状態取得部1は、繰り返しごみの収容状態を取得しており、検出収容状態記憶部62は、今回の検出タイミングで検出収容状態取得部1によって取得された前記ごみの収容状態を記憶する。
【0061】
この検出タイミングでの収容状態は、本実施形態では、テーブル形式(リスト形式)で検出収容状態記憶部62に記憶されている。この検出タイミングでの収容状態を登録する検出収容状態情報テーブル(検出収容状態情報リスト)LSは、例えば、図8に示すように、前記IDを登録するIDフィールド621と、IDフィールド611に登録されたIDで特定される占有領域のごみに対する検出タイミングの検出時刻を登録する検出時刻フィールド622と、IDフィールド611に登録されたIDで特定される占有領域のごみにおける前記占有領域の2次元位置を登録する第1検出位置フィールド623と、IDフィールド611に登録されたIDで特定される占有領域のごみにおける前記占有領域の3次元位置を登録する第2検出位置フィールド624と、IDフィールド611に登録されたIDで特定される占有領域のごみの種類を登録するごみ種類フィールド625とを備え、占有領域ごとにレコードを持つ。
【0062】
制御処理部2は、廃棄物収容状態情報記録装置1000の各部1、3~6を当該各部の機能に応じてそれぞれ制御し、収容状態情報を記録するための回路である。制御処理部1は、例えば、CPU(Central Processing Unit)およびその周辺回路を備えて構成される。制御処理部2には、前記制御処理プログラムが実行されることによって、制御部21、識別抽出部22、廃棄物位置演算部23、時計部24および収容状態更新部25が機能的に構成される。
【0063】
制御部21は、廃棄物収容状態情報記録装置1000の各部1、3~6を当該各部の機能に応じてそれぞれ制御し、廃棄物収容状態情報記録装置1000の全体の制御を司るものである。
【0064】
識別抽出部22は、上述したように、前記撮像部CAで生成したごみ画像において、前記ごみの種類ごとに前記ごみの占有領域を識別して抽出するものである。
【0065】
廃棄物位置演算部23は、上述したように、前記識別抽出部22で抽出したごみの占有領域ごとに、前記高さ測定部HMで測定した高さおよび前記撮像部CAで生成したごみ画像に基づいて、当該占有領域の3次元位置を前記ごみの3次元位置として求めるものである。
【0066】
時計部24は、上述したように、年月日時分秒で計時を行うものである。
【0067】
収容状態更新部25は、収容状態記憶部61に記憶したごみの収容状態と、検出収容状態取得部1で取得した前記ごみの収容状態とを比較し、前記比較の結果に応じて前記収容状態記憶部61に記憶した前記ごみの収容状態を更新し、前記更新したごみの収容状態を前記収容状態記憶部61に記憶するものである。本実施形態では、収容状態更新部25は、収容状態記憶部61に記憶した収容状態情報テーブルDBに登録されているごみの収容状態と、今回の検出タイミングにおいて検出収容状態取得部1で取得し検出収容状態記憶部62に記憶した検出収容状態情報テーブルLSに登録されているごみの収容状態とを比較し、前記比較の結果、前記収容状態情報テーブルDBに無いレコードであって前記検出収容状態情報テーブルLSに有るレコードを、前記収容状態情報テーブルDBに新たに加え、前記収容状態情報テーブルDBに有るレコードであって前記検出収容状態情報テーブルLSに無いレコードが有る場合、この前記収容状態情報テーブルDBのレコードにおける下層フラグフィールド617に登録されている下層フラグを「1」に変更することによって、前記更新を実施し、前記更新した収容状態情報テーブルDBを収容状態記憶部61に記憶する。
【0068】
より具体的には、検出収容状態情報テーブルLSのレコードごとに、次の処理が実行される。収容状態更新部25は、まず、検出収容状態情報テーブルLSの当該レコードにおけるごみ種類フィールド625に登録されているごみの種類と一致し、移動処理フラグが未処理の「0」であって下層フラグが下層ではない(露出である)「0」であるレコードを、収容状態情報テーブルDBから抽出する。ここで、前記レコードが抽出されなかった場合には、収容状態更新部25は、検出収容状態情報テーブルLSの当該レコードに一致するレコードが収容状態情報テーブルDBに無いと判定する。一方、前記レコードが抽出された場合、収容状態更新部25は、検出収容状態情報テーブルLSの当該レコードに一致するレコードを、前記抽出したレコードから選定するために、前記抽出したレコード(収容状態情報テーブルDBのレコード)ごとに、収容情報状態情報テーブルDBの当該レコードにおける第1検出位置フィールド623に登録されている占有領域の2次元位置と、検出収容状態情報テーブルLSの当該レコードにおける第1検出位置フィールド623に登録されている占有領域の2次元位置との例えばユークリッド距離を求め、前記求めた距離が予め設定された所定の閾値(同一占有領域判定閾値)以下である場合、検出収容状態情報テーブルLSの当該レコードは、収容状態情報テーブルDBの当該レコードに対応し、検出収容状態情報テーブルLSの当該レコードは、収容状態情報テーブルDBに有ると判定し、前記求めた距離が前記同一占有領域判定閾値を超える場合、検出収容状態情報テーブルLSの当該レコードは、収容状態情報テーブルDBの当該レコードに対応しないと判定する。そして、収容状態更新部25は、前記抽出したレコード(収容状態情報テーブルDBのレコード)の中に、検出収容状態情報テーブルLSの当該レコードに対応する収容状態情報テーブルDBのレコードが無い場合に、検出収容状態情報テーブルLSの当該レコードに一致するレコードが収容状態情報テーブルDBに無いと判定する。なお、前記抽出したレコード(収容状態情報テーブルDBのレコード)の中に、検出収容状態情報テーブルLSの当該レコードに一致すると判定したレコードが複数、有る場合、収容状態更新部25は、前記距離が最も短い(近い)レコードが検出収容状態情報テーブルLSの当該レコードに対応する収容状態情報テーブルDBのレコードと判定する。
【0069】
そして、検出収容状態情報テーブルLSのレコードごとに、上述の処理を実行した後に、収容状態更新部25は、前記一致するレコードが収容状態情報テーブルDBに無いと判定した場合の、検出収容状態情報テーブルLSのレコードを、前記収容状態情報テーブルDBに新たに加える。この際に、新たに加えたレコードにおける移動処理フラグフィールド616および下層フラグフィールド617それぞれに、これらのデフォルト;「0」を、収容状態更新部25は、登録する。例えば、図7に示す収容状態情報テーブルDBが収容状態記憶部61に記憶され、図8に示す検出収容状態情報テーブルLSが検出収容状態記憶部62に記憶されている場合、検出収容状態情報テーブルLSにおける、IDフィールド621に「006」が登録されているレコードは、収容状態情報テーブルDBにおける、IDフィールド611に「003」が登録されているレコードと一致すると判定され、検出収容状態情報テーブルLSにおける、IDフィールド621に「004」が登録されているレコードおよびIDフィールド621に「005」が登録されているレコードは、収容状態情報テーブルDBに無いと判定され、図9に示すように、収容状態情報テーブルDBに新たに加えられ、これらの移動処理フラグフィールド616および下層フラグフィールド617それぞれには、これらのデフォルト;「0」が登録される。
【0070】
そして、収容状態更新部25は、上述の処理において、検出収容状態情報テーブルLSのレコードに対応すると判定されなかった収容状態情報テーブルDBのレコードを抽出し、前記抽出したレコードの中から、移動処理フラグフィールド616に未処理の「0」を登録しているレコードを抽出し、この抽出したレコードにおける下層フラグフィールド617に、下層である(露出でない)「1」を登録する。例えば、図7ないし図9に示す例では、図10に示すように、収容状態情報テーブルDBにおける、IDフィールド611に「002」が登録されているレコードの下層フラグフィールド617には、下層フラグ;「1」が登録される。
【0071】
そして、収容状態更新部25は、このように更新した収容状態情報テーブルDB、図7ないし図9に示す例では、図10に示す収容状態情報テーブルDBを、収容状態記憶部61に記憶する。
【0072】
ここで、収容状態記憶部61に記憶されている収容状態情報テーブルDBにおける移動処理フラグフィールド616に登録されている移動処理フラグは、占有領域のごみがクレーンCRによって、投入ホッパHPに投入するために移動した場合や、撹拌のために移動した場合や、積み替えのために移動した場合に、「0」から「1」に更新される。例えば、図11に示すように、占有領域ARtのごみがクレーンCRによって3次元の掴み位置PS1で掴み上げられ、そして、落とし位置PS2でクレーンCRから落とされた場合、コンソールCLは、3次元の掴み位置PS1を収容状態情報記録装置1000へ送信し、収容状態情報記録装置1000は、この3次元の掴み位置PS1を受信すると、収容状態更新部25によって、収容状態記憶部61に記憶されている収容状態情報テーブルDBから、前記3次元の掴み位置PS1に例えばユークリッド距離で最も近い占有領域ARの3次元位置を第2検出位置フィールド614に登録するレコードを選定(抽出)し、前記選定したレコードにおける下層フラグフィールド617に下層フラグ;「1」を登録し、これによって収容状態情報テーブルDBを更新し、記憶する。例えば、図10および図11に示す例では、収容状態情報テーブルDBにおける、IDフィールド611に「003」が登録されているレコードにおける移動処理フラグフィールド616に登録されている移動処理フラグ:「0」は、「1」へ変更され、このレコードにおける移動処理フラグフィールド616には、「1」が登録されることになる(変更後の収容状態情報テーブルDBは不図示)。
【0073】
ここで、ごみが移動処理済みであるか否かは、移動処理フラグフィールド616に登録されている移動処理フラグを参照することで識別できるが、下層フラグに、ごみの移動を実施して処理済みであることを表す下層フラグ;「2」がさらに設けられ、移動処理フラグフィールド616に登録されている移動処理フラグ:「0」が「1」へ変更される際に、下層フラグフィールド617に登録されている下層フラグが「2」へ変更されてもよい。
【0074】
なお、上述では、収容状態更新部25は、占有領域の2次元位置で、検出収容状態情報テーブルLSのレコードと、収容状態情報テーブルDBのレコードとの一致を判定したが、占有領域の3次元位置で前記一致の判定を行ってもよい。また、上述では、ユークリッド距離が用いられたが、マンハッタン距離やチェビシェフ距離等が用いられてもよい。
【0075】
これら制御処理部2、入力部3、出力部4、IF部5および記憶部6は、例えば、デスクトップ型やノート型等のコンピュータによって構成可能である。これら各部2~6を構成するコンピュータは、例えば、オペレーションルームORに配置され、コンソールCLに組み込まれてよく(コンソールCLと兼用されてよく)、あるいは、コンソールCLと別体であってもよい。
【0076】
次に、本実施形態の動作について説明する。図12は、前記廃棄物収容状態情報記録装置の動作を示すフローチャートである。
【0077】
このような構成の廃棄物収容状態情報記録装置1000は、その電源が投入されると、必要な各部の初期化を実行し、その稼働を始める。制御処理部2には、その制御処理プログラムの実行によって、制御部21、識別抽出部22、廃棄物位置演算部23、時計部24および収容状態更新部25が機能的に構成される。
【0078】
廃棄物収容状態情報記録装置1000は、所定のサンプリング間隔で、次の各処理を繰り返し実行する。
【0079】
今回のサンプリングタイミング(検出タイミング)になると、図12において、廃棄物収容状態情報記録装置1000は、検出収容状態取得部1によって、本実施形態では、ごみの高さの点群データとごみ画像とを取得する(S1)。より具体的には、制御処理部2は、レーザ距離計HMで測定したごみの高さの点群データを、前記レーザ距離計HMから取得し、撮像部CAで生成したごみ画像を、前記撮像部CAから取得する。
【0080】
続いて、廃棄物収容状態情報記録装置1000は、制御処理部2の時計部24から、現在時刻を前記検出タイミングの検出時刻として取得し、この取得した検出タイミングの検出時刻と、処理S1で取得したごみの高さの点群データおよびごみ画像とを互いに対応付けて記憶部6に記憶する(S2)。
【0081】
続いて、廃棄物収容状態情報記録装置1000は、制御処理部2の識別抽出部22によって、処理S1によって撮像部CAから取得したごみ画像において、ごみの種類ごとに前記ごみの占有領域を識別して抽出する(S3)。この抽出された占有領域には、識別抽出部22によってIDが付与される。
【0082】
続いて、廃棄物収容状態情報記録装置1000は、制御処理部2の廃棄物位置演算部23によって、処理S3によって識別抽出部22で抽出したごみの占有領域ごとに、処理S1によってレーザ距離計HMから取得した高さの点群データおよび処理S1によって撮像部CAから取得したごみ画像に基づいて、当該占有領域の3次元位置をごみの3次元位置として求める(S4)。
【0083】
続いて、廃棄物収容状態情報記録装置1000は、制御処理部2の収容状態更新部25によって、処理S2によって取得した検出タイミングの検出時刻と、処理S3によって識別して抽出した占有領域の2次元位置およびごみの種類ならびにそのIDと、処理S4によって求めた占有領域の3次元位置とから、検出収容状態情報テーブルLSを生成し、検出収容状態記憶部62に記憶し、この生成した検出収容状態情報テーブルLSと収容状態記憶部61に記憶した収容状態情報テーブルDBとを比較し、前記比較の結果、前記収容状態情報テーブルDBに無いレコードであって前記検出収容状態情報テーブルLSに有るレコードを、前記収容状態情報テーブルDBに新たに加え(この新たに加えたレコードにおける移動処理フラグフィールド616および下層フラグフィールド617それぞれには、移動処理フラグ;「0」および下層フラグ;「0」それぞれが登録される)、前記収容状態情報テーブルDBに有るレコードであって前記検出収容状態情報テーブルLSに無いレコードが有る場合、この前記収容状態情報テーブルDBのレコードにおける下層フラグフィールド617に登録されている下層フラグを「1」に変更することによって、前記更新を実施し、前記更新した収容状態情報テーブルDBを収容状態記憶部61に記憶し(S5)、今回の検出タイミングでの本処理を終了する。
【0084】
そして、廃棄物収容状態情報記録装置1000は、収容状態記憶部61に記憶した収容状態情報テーブルDBの出力を指示するコマンドを入力部3で受け付けると、収容状態記憶部61に記憶した収容状態情報テーブルDBを出力部4に出力する。なお、廃棄物収容状態情報記録装置1000は、必要に応じて、収容状態記憶部61に記憶した収容状態情報テーブルDBをIF部5を介して外部の機器に出力してもよい。
【0085】
以上説明したように、実施形態における廃棄物収容状態情報記録装置1000、ならびに、これに実装された廃棄物収容状態情報記録方法および廃棄物収容状態情報記録プログラムは、廃棄物の収容状態を収容状態記憶部61に記憶し、所定の検出タイミングで取得した廃棄物の収容状態で更新するので、廃棄物が重なっても重なる前の収容状態を記録し得るから、前記収容状態記憶部61に記憶した収容状態情報を参照することで、上方から廃棄物の収容状態を検出する場合でも、廃棄物の収容状態を適切に認識できる。
【0086】
上記廃棄物収容状態情報記録装置1000、廃棄物収容状態情報記録方法および廃棄物収容状態情報記録プログラムは、廃棄物の種類別に、廃棄物の収容状態を記録し得る。
【0087】
上記廃棄物収容状態情報記録装置1000、廃棄物収容状態情報記録方法および廃棄物収容状態情報記録プログラムは、前記廃棄物に対する移動の実施の有無を記憶するので、収容状態記憶部61の記憶内容を参照することで、移動の実施の有無を認識でき、撹拌対象を適切に選定できる。
【0088】
上記廃棄物収容状態情報記録装置1000、廃棄物収容状態情報記録方法および廃棄物収容状態情報記録プログラムは、記廃棄物に対する露出の有無を記憶するので、前記収容状態記憶部61の記憶内容を参照することで、廃棄物の露出の有無、言い換えれば、廃棄物が重なって埋没しているか否かを認識できる。
【0089】
上記廃棄物収容状態情報記録装置1000、廃棄物収容状態情報記録方法および廃棄物収容状態情報記録プログラムは、廃棄物の種類ごとに前記廃棄物の占有領域を識別して抽出し、前記廃棄物の占有領域ごとに、前記占有領域の3次元位置を前記廃棄物の3次元位置として求めるので、前記廃棄物の占有領域ごとに、廃棄物の収容状態を記録できる。
【0090】
なお、上述の実施形態において、収容状態更新部25は、所定のリセットタイミングで、収容状態記憶部61に記憶した廃棄物の収容状態をリセットしてもよい(第1変形形態)。すなわち、収容状態記憶部61に記憶した廃棄物の収容状態が削除され、検出収容状態取得部1で取得した廃棄物の収容状態に基づいて新たに廃棄物の収容状態が収容状態記憶部61に記憶される。このような廃棄物収容状態情報記録装置1000は、所定のリセットタイミングにおける廃棄物の収容状態から、記憶(記録)を開始できる。例えば、前記所定のリセットタイミングを就業開始時とすることで、収容状態記憶部61の記憶内容を参照することによって、就業開始時からの廃棄物の収容状況を認識でき、廃棄物を適切に撹拌できる。前記所定のリセットタイミングは、この他、例えば、日付が変わる午前0や、廃棄物の搬入開始時点や、前回のリセットタイミングから、予め設定された所定の時間の経過時点や、例えば、受入ピットまたは貯留ピットのごみ高さの、平均値または最大値または最小値が、予め設定された所定の高さを下回るほど貯留されているごみ量が少なくなった時点等である。前記受入ピットは、ごみピットPTがダブルピットである場合、ごみ収集車VCからごみが投入されるピットであり、前記貯留ピットは、前記受入ピットから移し換えられたごみを貯留するピットである。
【0091】
また、上述の実施形態(第1変形形態を含む)において、廃棄物収容状態情報記録装置1000は、図1に破線で示すように、前記収容状態記憶部61に記憶した前記廃棄物の収容状態に基づいて撹拌対象を選定する撹拌対象選定部26をさらに備えてもよい(第2変形形態)。上述の例では、撹拌対象選定部26は、収容状態記憶部61に記憶した収容状態情報テーブルDBに登録されたごみの収容状態に基づいて撹拌対象を選定する。このような廃棄物収容状態情報記録装置1000は、撹拌対象選定部26を備えるので、撹拌対象の選定を自動化できる。
【0092】
より具体的には、撹拌対象選定部26は、ごみピットPTに収容されているごみの表面を複数の区画に区分けし、各区画ごとに各撹拌度を求め、最も撹拌されていない区画を撹拌対象として選定する。例えば、ごみピットPTにおける所定の水平面が所定のサイズの区画に区分けされ、前記ごみの占有領域が前記水平面に投影された場合に、撹拌対象選定部26は、まず、前記各区画ごとに各撹拌度を求める。前記区画のサイズは、任意であってよいが、例えば、クレーンCRのバケットによって1回で掴める範囲に設定される。前記撹拌度AGは、ごみの撹拌の度合いを表す評価値であり、例えば、前記ごみの表面における第1撹拌度AG1と、深さ方向の第2撹拌度AG2との重み付き平均値で与えられる(AG=α×AG1+(1-α)×AG2)。重みを定義する変数αは、第1および第2撹拌度AG1、AD2のいずれを重視して撹拌するか等によって、0<α<1で予め適宜に設定される。前記第1撹拌度AG1は、識別抽出部22で求めたごみの占有領域に属する画素に点数、例えば「1」を与え、前記占有領域を前記水平面に投影した場合に、前記区画に属する占有領域の画素に与えられた点数を合計(総計)することによって求められる。前記第2撹拌度AG2は、同様に、識別抽出部22で求めたごみの占有領域に属する画素に点数、例えば「1」を与え、下層フラグ;「1」となっている占有領域を前記水平面に投影した場合に、前記区画に属する占有領域の画素に与えられた点数を合計(総計)することによって求められる。もちろん、下層フラグ;「1」となっている占有領域の一部または全部で、複数の占有領域が前記水平面に投影される場合もある。一例では、区画のサイズが30[pixel]×30[pixel]であって、1つの区画において、表面におけるごみの第1占有領域AR1を前記区画に投影した場合、前記第1占有領域AR1に属する画素のうち、前記区画に10個の画素が属した場合、AG1=10となり、下層フラグ;「1」となっている第2占有領域AR2を前記区画に投影した場合、前記第2占有領域AR2に属する画素のうち、前記区画に7個の画素が属し、さらに、下層フラグ;「1」となっている第3占有領域AR3を前記区画に投影した場合、前記第3占有領域AR3に属する画素のうち、前記区画に11個の画素が属した場合、AG2=7+11=18となり、撹拌度AG=10α+18(1-α)となる。そして、撹拌対象選定部26は、前記区画を前記水平面全体に亘って走査して撹拌度AGを求めることで、各区画ごとに各撹拌度AGを求める。各区画が重ならないように前記走査が実行されてもよいが、本実施形態では、前記区画は、矩形とされ、各区画の各中心位置が点群データの各点と一致するように前記走査が実行される。したがって、各区画は、その一部で重なることがある。そして、撹拌対象選定部26は、このように点群データの各点ごとに求めた各撹拌度AGを相互に比較し、最も撹拌されていない区画を撹拌対象として選定する。この例では、ごみの占有領域に当たる画素、すなわち、撹拌されていない領域に、点数が付与されるので、撹拌度AGが大きいほど、撹拌されていないことになるから、撹拌対象選定部26は、撹拌度AGが最も大きい点群データの点を撹拌対象として選定する。すなわち、撹拌度AGが最も大きい点群データの点がクレーンCRの掴み位置PSとして選定される。撹拌度AGが最も大きい点群データの点が、複数、存在する場合には、予め設定されるルール(規約)に従って前記複数の点のうちの1つの点が選択される。前記ルールは、例えば、クレーンCRの運用効率の観点から、現在のクレーンCRの位置に対し最も近い点を選択するルールである。あるいは例えば、前記ルールは、ごみの高さを均す観点から、ごみの高さが最も高い点を選択するルールである。あるいは例えば、前記ルールは、ごみの種類ごとに熱量が異なるので、ごみの種類ごとに優先度が付与され、前記優先度が最も高い点を選択するルールである。
【0093】
このように撹拌対象を選定すると、廃棄物収容状態情報記録装置1000は、この選定した撹拌対象の点の3次元位置を、クレーンCRの掴み位置PSとしてコンソールCLに送信する。コンソールCLは、このクレーンCRの掴み位置PSを受信すると、この受信した掴み位置PSでごみを掴むようにクレーンCRを制御する。
【0094】
ここで、上述の実施形態では、収容状態更新部25は、コンソールCLから掴み位置PSを受信した場合に、移動処理フラグを更新したが、この第2変形形態では、これに加えて、あるいは、これに代えて、撹拌対象選定部26が掴み位置をコンソールCLに送信した場合に、収容状態更新部25は、移動処理フラグを更新してもよい。
【0095】
また、上述の実施形態(第1および第2変形形態を含む)では、移動処理フラグおよび移動処理フラグフィールド616が備えられ、移動処理フラグが上述のように更新されたが、上述のような移動処理フラグの更新のタイミングで、移動処理フラグを更新する対象のレコードが収容状態情報テーブルDBから削除され、移動処理フラグおよび移動処理フラグフィールド616が省略されてもよい。
【0096】
本発明を表現するために、上述において図面を参照しながら実施形態を通して本発明を適切且つ十分に説明したが、当業者であれば上述の実施形態を変更および/または改良することは容易に為し得ることであると認識すべきである。したがって、当業者が実施する変更形態または改良形態が、請求の範囲に記載された請求項の権利範囲を離脱するレベルのものでない限り、当該変更形態または当該改良形態は、当該請求項の権利範囲に包括されると解釈される。
【符号の説明】
【0097】
1000 廃棄物収容状態情報記録装置
HM 高さ測定部
CA 撮像部
AR 占有領域
DB 収容状態情報テーブル
LS 検出収容状態情報テーブル
1 検出収容状態取得部
2 制御処理部
6 記憶部
21 制御部
22 識別抽出部
23 廃棄物位置演算部
24 時計部
25 収容状態更新部
26 撹拌対象選定部
61 収容状態記憶部
62 検出収容状態記憶部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12