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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024170169
(43)【公開日】2024-12-06
(54)【発明の名称】車両用フードロック装置
(51)【国際特許分類】
   E05B 83/24 20140101AFI20241129BHJP
   B62D 25/12 20060101ALI20241129BHJP
【FI】
E05B83/24 Z
B62D25/12 N
【審査請求】未請求
【請求項の数】2
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023087186
(22)【出願日】2023-05-26
(71)【出願人】
【識別番号】000146434
【氏名又は名称】株式会社城南製作所
(74)【代理人】
【識別番号】110002583
【氏名又は名称】弁理士法人平田国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】桜井 雄太
【テーマコード(参考)】
2E250
3D004
【Fターム(参考)】
2E250AA21
2E250JJ46
2E250JJ48
2E250KK01
2E250KK02
2E250LL15
2E250MM03
2E250RR43
3D004CA15
3D004CA41
(57)【要約】
【課題】ロック解除部材の作動力を向上させつつ、ロックの緊急解除を行うことができる車両用フードロック装置を提供する。
【解決手段】車両のフードを閉状態でロックするロック機構12と、ロック機構12によるロックを解除するロック解除機構13と、を備え、ロック解除機構13は、ロック解除ロッド41と、ロック解除ロッド41を駆動する駆動モータと、駆動モータの動力をロック解除ロッド41の進退方向の移動に変換する動力変換機構と、これらを支持するハウジング44と、操作ハンドル81の操作に伴って、ロック解除部材13を進退方向に移動させる緊急解除部45と、を備え、ハウジング44は、ロック解除ロッド41の進退方向に移動自在に支持され、緊急解除部45は、操作ハンドル81の操作によってハウジング44を進退方向に移動させることで、ロック解除ロッド41を進退方向に移動させる。
【選択図】図6
【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両のフードを閉状態でロックするロック機構と、
前記ロック機構によるロックを解除するロック解除機構と、を備え、
前記ロック解除機構は、
前記ロック機構と係合するロック解除部材と、
前記ロック解除部材を駆動する駆動モータと、
前記駆動モータの動力を、前記ロック解除部材の進退方向の移動に変換する動力変換機構と、
前記ロック解除部材、前記駆動モータ及び前記動力変換機構を支持する支持部材と、
操作ハンドルの操作に伴って、前記ロック解除部材を前記進退方向に移動させる緊急解除手段と、を備え、
前記支持部材は、前記ロック解除部材の前記進退方向に移動自在に構成され、
前記緊急解除手段は、前記操作ハンドルの操作によって前記支持部材を前記進退方向に移動させることで、前記ロック解除部材を前記進退方向に移動させることを特徴とする車両用フードロック装置。
【請求項2】
前記支持部材を、前記緊急解除手段による移動方向とは反対方向に付勢する付勢手段を、更に備えたことを特徴とする請求項1に記載の車両用フードロック装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両用フードロック装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、車両用フードロック装置として、電動モータ、ウォームギア及びウォームホイールを用いて、電動でロックを解除する電動解除式のトランクロック装置がある(特許文献1参照)。このトランクロック装置は、フード(トランクリッド)に固定されたストライカを拘束した状態で噛み合うラッチ及びラチェットと、ラッチとラチェットとの噛み合いを解除するロック解除部材(オープンレバー)と、ロック解除部材を駆動する電動モータと、電動モータの動力によってロック解除部材を作動させるウォームギア及びウォームホイール(動力変換機構)と、ロック解除部材に取り付けられ、緊急時にロックを解除するための操作ノブと、を備えている。この車両用フードロック装置では、ウォームギアやウォームホイールの歯ピッチを調整することで、ロック解除部材の作動力(出力)を向上させることができるようになっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2014-47521号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、従来の車両用フードロック装置では、動力変換機構の歯ピッチ等を調整して、ロック解除に係る作動力を向上させると、操作ノブを用いてロック解除部材を動かすのに必要な力が大きくなり、ロックの緊急解除ができなくなってしまうという問題があった。
【0005】
そこで、本発明は、ロック解除部材の作動力を向上させつつ、ロックの緊急解除を行うことができる車両用フードロック装置を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、上記目的を達成するため、車両のフードを閉状態でロックするロック機構と、前記ロック機構によるロックを解除するロック解除機構と、を備え、前記ロック解除機構は、前記ロック機構と係合するロック解除部材と、前記ロック解除部材を駆動する駆動モータと、前記駆動モータの動力を、前記ロック解除部材の進退方向の移動に変換する動力変換機構と、前記ロック解除部材、前記駆動モータ及び前記動力変換機構を支持する支持部材と、操作ハンドルの操作に伴って、前記ロック解除部材を前記進退方向に移動させる緊急解除手段と、を備え、前記支持部材は、前記ロック解除部材の前記進退方向に移動自在に構成され、前記緊急解除手段は、前記操作ハンドルの操作によって前記支持部材を前記進退方向に移動させることで、前記ロック解除部材を前記進退方向に移動させることを特徴とする車両用フードロック装置を提供する。
【発明の効果】
【0007】
本発明に係る車両用フードロック装置は、ロック解除部材の作動力を向上させつつ、ロックの緊急解除を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】本発明の一実施形態に係る車両用フードロック装置を示した、ロック状態の正面図(a)及びロック解除状態の正面図(b)である。
図2】ベースを示した正面図である。
図3】(a)は、ロック解除機構を示した背面図であり、(b)は、第3付勢バネ及びカバーを省略した状態のロック解除機構を示した背面図である。
図4】ロック解除機構を示した平面図(a)及び斜視図(b)である。
図5】車両用フードロック装置を示した平面図(a)及び背面斜視図(b)である。
図6】車両用フードロック装置における緊急解除動作を示した説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、添付の図面を参照しながら、本発明の一実施形態に係る車両用フードロック装置について説明する。この車両用フードロック装置は、車体の前方にトランクルーム用の開口部が設けられた車両において、当該開口部の前端部に配設され、当該開口部を開閉するフード(フロントフード)を閉状態でロックするロック装置である。特に、本車両用フードロック装置は、電動解除式のロック解除構造を備えた構成において、動力変換機構の構造に係わらず、ロックを緊急解除できる緊急解除構造を採用したものである。なお、以下、各図に示す通り、左右、前後及び上下を規定して説明する。また、本実施形態では、車両用フードロック装置の上下方向が車両の上下方向と一致し、車両用フードロック装置の左右方向が車両の車幅方向と一致し、車両用フードロック装置の前後方向が車両の前後方向と一致している。
【0010】
(車両用フードロック装置の構成)
図1に示すように、車両用フードロック装置1は、車体に固定されると共に、車両のフードに固定されたストライカSが進入する進入溝21が形成されたベース11と、進入溝21周りにおいてベース11に支持され、ストライカSを拘束してフードを閉状態でロックするロック機構12と、ロック機構12の右側においてベース11に支持され、ロック機構12によるロックを解除するロック解除機構13と、を備えている。
【0011】
図2に示すように、ベース11は、左側のロック機構支持領域11aと、右側のロック解除機構支持領域11bと、から構成されている。ロック機構支持領域11aには、上側を開放側とした進入溝21が形成されている。
【0012】
一方、ロック解除機構支持領域11bには、後述の第3付勢バネ46を取り付けるためのバネ取付け部22と、ロック解除機構13のハウジング44を取り付けるためのハウジング取付け部23と、が形成されている。ハウジング取付け部23は、ハウジング44の係合部62(後述する)を導入する幅広の導入孔23aと、導入孔23aの左側に連なり、ハウジング44の係合部62を進退動自在に取り付ける幅狭の取付け長孔23bと、から成る。
【0013】
図1に示すように、ロック機構12は、進入溝21の左側においてベース11に揺動自在に支持され、ストライカSを拘束するラッチ31と、進入溝21の右側においてベース11に揺動自在に支持され、ラッチ31をロックするロックレバー32(ポール)と、ラッチ31を反時計回り方向に付勢する第1付勢バネ33と、ロックレバー32を時計回り方向に付勢する第2付勢バネ34と、を備えている。
【0014】
ラッチ31は、板状且つ「U」字状の金属部材によって形成されており、ベース11に対し、拘束位置A1(図1(a)参照)と、解放位置A2(図1(b)参照)との間で揺動自在に支持されている。拘束位置A1は、ラッチ31によって進入溝21に進入したストライカSを拘束する位置であり、解放位置A2は、ラッチ31によるストライカSの拘束を解放して、ストライカSの進入溝21からの離脱を許容する位置である。
【0015】
ロックレバー32は、長板状の金属部材によって形成されており、ベース11に対し、ロック位置B1(図1(a)参照)と、アンロック位置B2(図1(b)参照)との間で揺動自在に支持されている。ロック位置B1は、ロックレバー32がラッチ31と係合してラッチ31をロック(保持)する位置であり、アンロック位置B2は、ロックレバー32とラッチ31との係合を解除して、ラッチ31のロックを解除する位置である。
【0016】
また、ロックレバー32は、ラッチ31と係合する係合爪32aと、ロック解除機構13のロック解除ロッド41が係合する被係合部32bと、が形成されている。
【0017】
第1付勢バネ33は、トーションバネで構成されると共に、一端部がラッチ31に取り付けられ、他端部がベース11に取り付けられており、ラッチ31を、反時計回り方向に付勢している。すなわち、第1付勢バネ33は、ラッチ31を解放位置A2側に揺動付勢している。
【0018】
第2付勢バネ34は、トーションバネで構成されると共に、一端部がロックレバー32に取り付けられ、他端部がベース11に取り付けられており、ロックレバー32を、時計回り方向に付勢している。すなわち、第2付勢バネ34は、ロックレバー32をロック位置B1側に揺動付勢している。
【0019】
フードを閉塞すると、フードに固定されたストライカSが進入溝21に進入し、ラッチ31がストライカSに押圧されて解放位置A2から拘束位置A1に揺動する。この状態で、ロック位置B1に揺動したロックレバー32の係合爪32aがラッチ31と係合することで、ストライカSを拘束した状態でラッチ31がロックされ、これによって、ストライカSが固定されたフードが閉状態でロックされる(フード閉動作)。一方、フードがロックされた状態でロック解除機構13を作動させると、ロックレバー32がロック位置B1からアンロック位置B2に揺動し、ロックレバー32の係合爪32aとラッチ31との係合が解除されて、ラッチ31のロックが解除される。これにより、第1付勢バネ33の付勢力によって、ラッチ31が拘束位置A1から解放位置A2に揺動し、これに伴ってストライカSが押し上げられ、ストライカSに固定されたフードが開放される(フード開動作)。
【0020】
(ロック解除機構)
図3に示すように、ロック解除機構13は、ロックレバー32と係合するロック解除ロッド41と、ロック解除ロッド41を駆動する駆動モータ42と、駆動モータ42の動力を、ロック解除ロッド41の右方向の移動に変換する動力変換機構43と、ロック解除ロッド41、駆動モータ42及び動力変換機構43を支持するハウジング44と、を備えている。なお、ロック解除ロッド41は、ロック解除部材の一例であり、ハウジング44は、支持部材の一例である。
【0021】
また、ロック解除機構13は、操作ハンドル81の操作に伴って、ロック解除ロッド41を右方向に移動させる緊急解除部45と、ハウジング44を左方向に付勢する第3付勢バネ46と、を備えている。なお、詳細は後述するが、本実施形態では、ハウジング44が左右方向に移動自在に構成されると共に、緊急解除部45が、ハウジング44を右方向に移動させることで、ロック解除ロッド41を右方向に移動させてロックの緊急解除を行う構成となっている。なお、緊急解除部45は、緊急解除手段の一例であり、第3付勢バネ46は、付勢手段の一例である。
【0022】
ロック解除ロッド41は、ハウジング44に対し、前進位置C1と後退位置C2との間で左右方向に移動自在(進退動自在)に支持されていると共に、先端にロックレバー32の被係合部32bと係合する先端係合部41aが形成されている。後退位置C2は、ロック解除ロッド41によって、ロックレバー32をアンロック位置B2に揺動させる位置であり、ロック解除ロッド41を前進位置C1から後退位置C2に移動させることで、ロック解除ロッド41の先端係合部41aがロックレバー32と係合し、ロックレバー32をロック位置B1からアンロック位置B2に揺動させる。
【0023】
動力変換機構43は、駆動モータ42の出力軸に軸着された第1ギア51と、第1ギア51と噛合する第2ギア52と、第2ギア52に軸着されると共に、左右方向に延びるネジ軸53と、ネジ軸53に噛合すると共に、ロック解除ロッド41が固定されたナット54と、ネジ軸53を回転付勢するゼンマイバネ55と、を備えている。本実施形態では、ネジ軸53のリード角を小さくし、歯ピッチを小さくしたことで、ロック解除ロッド41の作動力(ロック解除機構13の出力)を向上させている。
【0024】
駆動モータ42を駆動すると、駆動モータ42の主軸に軸着された第1ギア51が回転し、第1ギア51と噛合する第2ギア52が回転する。これに伴って、第2ギア52に軸着されたネジ軸53が回転し、ネジ軸53に噛合するナット54がネジ軸53に沿って右方向に移動する。これにより、ナット54に固定されたロック解除ロッド41が、前進位置C1から後退位置C2に移動(後退)する。これによって、ロック解除ロッド41がロックレバー32と係合し、ロックレバー32がアンロック位置B2に揺動して、ロック機構12のロックが解除される。一方、駆動モータ42を非駆動にすると、ゼンマイバネ55の付勢力によって、ネジ軸53が回転し、これに伴って、ネジ軸53に噛合するナット54がネジ軸53に沿って左方向に移動する。これにより、ナット54に固定されたロック解除ロッド41が、後退位置C2から前進位置C1に移動(前進)する。
【0025】
図3乃至図5に示すように、ハウジング44は、前側のケース44a及び後側のカバー44bからなる2部材で構成されており、駆動モータ42及び動力変換機構43を収容し支持すると共に、ロック解除ロッド41を左右方向に移動自在に支持している。また、ハウジング44の右側面には、緊急解除部45のケーブル82(後述する)を固定するためのケーブル固定部61が形成されている。
【0026】
また、ハウジング44の背面(後面)には、ベース11に対しハウジング44を左右方向に進退動自在に取り付けるための「T」字状の係合部62と、係合部62の右側に配設された規制片部63と、が形成されている。
【0027】
係合部62は、後方側に立設された胴部62aと、胴部62aの先端から上下方向に張り出した張出し部62bとから成り、左右方向から見て「T」字状に形成されている。そして、係合部62は、ベース11のハウジング取付け部23に取り付けられており、導入孔23aから導入され、左方向にスライドして胴部62aを取付け長孔23b内に入れ込むことで、取付け長孔23bに取り付けられる。胴部62aの上下方向の幅は、取付け長孔23bの上下方向の幅と略同一となっており、胴部62aが取付け長孔23b内に入れると、胴部62aの上下端面が、取付け長孔23bの上下縁面と係合して、係合部62の上下方向の移動が規制される。また、張出し部62bの上下方向の幅は、取付け長孔23bの上下方向の幅より大きく形成されているため、胴部62aを取付け長孔23b内に入れると、張出し部62bの前面が、取付け長孔23b周りのベース11の後面と係合して、係合部62の前後方向の移動が規制される。これによって、ベース11に対し、係合部62が左右方向に移動自在且つ上下前後方向で移動不能に取り付けられる。これにより、ベース11に対し、係合部62が形成されたハウジング44が左右方向に移動自在且つ上下前後方向で移動不能に支持される。
【0028】
ベース11に移動自在に支持されたときのハウジング44の移動自在方向は、ロック解除ロッド41の進退方向と同じ左右方向となっている。すなわち、ハウジング44は、ベース11に対しロック解除ロッド41の進退方向に移動自在に支持されている。つまり、ロック解除ロッド41、駆動モータ42及び動力変換機構43を支持するハウジング44は、ロック解除ロッド41の進退方向に移動自在に構成されている。
【0029】
規制片部63は、右斜め後方向に延びる板バネ状に且つ弾性変形可能に形成されており、右端面が、導入孔23aの右縁面に当接する当接面となっている。緊急解除部45によってハウジング44が右方向に移動すると、規制片部63の右端面が導入孔23aの右縁面に当接し、これ以上の右方向へのハウジング44の移動が規制される。これによって、緊急解除時に、係合部62が取付け長孔23bから外れるのを防止し、ベース11からロック解除機構13が外れるのを防止している。また、ハウジング44をベース11に取り付ける際、規制片部63がベース11の前面に弾性接触することで、ベース11とハウジング44とを平行にすることができ、係合部62を取付け長孔23b内に入れ込むときのスライド移動をスムーズに行うことができるようになっている。
【0030】
緊急解除部45は、駆動モータ42の故障や電気系統の異常等の緊急時に、ロック機構12のロックを解除するものであり、人が操作可能な操作ハンドル81と、一端が操作ハンドル81に固定され、他端がハウジング44に固定されたケーブル82と、ケーブル82を覆うアウターチューブ83と、を備えている。なお、操作ハンドル81は、例えば、車内から操作可能なものを想定している。
【0031】
ケーブル82は、ハウジング44の右側面に形成されたケーブル固定部61に固定されている。そのため、図6に示すように、緊急解除操作として、操作ハンドル81を引っ張る操作を行うと、ケーブル82を介して、ケーブル82が固定されたハウジング44が右方向に引っ張られて右方向に移動する。これによって、ハウジング44に支持された動力変換機構43が右方向(後退方向)に移動し、動力変換機構43のナット54に固定されたロック解除ロッド41が右方向(後退方向)に移動する。同図に示すように、ロック機構12によってラッチ31がロックされた状態において、当該緊急解除操作を行うことで、ロック解除ロッド41を前進位置C1から後退位置C2に後退し、ロック解除ロッド41と係合したロックレバー32がアンロック位置B2に揺動して、ロック機構12のロックが解除される。
【0032】
このように、ハウジング44をロック解除ロッド41の進退方向に移動自在に構成し、緊急解除部45による緊急解除操作によって、ハウジング44自体を移動させることで、ロック解除ロッド41を後退させてロック機構12のロックを解除する構成であるため、動力変換機構43の如何に係わらず、容易に、ロック機構12のロックを解除することができる。
【0033】
第3付勢バネ46は、コイルバネで構成されると共に、一端がハウジング44に取り付けられ、他端がベース11のバネ取付け部22に取り付けられており、ハウジング44を、左方向に付勢している。すなわち、第3付勢バネ46は、ハウジング44を、緊急解除部45によるハウジング44の移動方向とは反対方向に付勢している。これによって、第3付勢バネ46は、緊急解除部45による緊急解除操作を行っていないときに、ハウジング44が右方向に移動するのを押さえる押え部として機能していると共に、緊急解除操作が終わった後に、ハウジング44の位置を元の位置に戻す戻しバネとして機能している。
【0034】
(実施形態の作用及び効果)
以上、上記実施形態の構成によれば、ロック解除ロッド41の作動力(ロック解除機構13の出力)を向上させつつ、ロックの緊急解除を行うことができる。
すなわち、従来の構成では、動力変換機構43が接続されたロック解除ロッド41を直接移動させて、ロック機構12によるロックの緊急解除を行う構成であったため、ロック解除ロッド41の作動力を向上させるのに、動力変換機構43のリード角等を調整すると、ロック解除ロッド41を移動するのに必要な力が大きくなり、ロックの緊急解除ができなくなってしまうという問題があった。
これに対し、上記実施形態の構成によれば、ハウジング44を、ロック解除ロッド41の進退方向に移動自在に構成し、緊急解除部45によって、ハウジング44を移動させることで、動力変換機構43共々、ロック解除ロッド41を移動させる構成としたことで、動力変換機構43の如何に係わらず、ロックの緊急解除を行うことができ、ロック解除ロッド41の作動力を向上させても、ロックの緊急解除ができなくなることがない。よって、ロック解除ロッド41の作動力を向上させつつ、ロックの緊急解除を行うことができる車両用フードロック装置1を提供することができる。また、このような車両用フードロック装置1を簡単な構成で実現することができ、車両用フードロック装置1の小型化を図ることができる。
【0035】
また、第3付勢バネ46を備えたことで、緊急解除部45による緊急解除操作を行っていないときに、ハウジング44が移動してしまうのを抑制することができる。また、第3付勢バネ46を備えたことで、緊急解除操作が終わった後に、ハウジング44の位置を元の位置に戻すことができるため、緊急解除後に車両用フードロック装置1を元の状態に戻すことができる。すなわち、ロックの緊急解除として、車両用フードロック装置1全体やその一部の部品を取り外すような構成とは異なり、1度、ロックの緊急解除を行った後でも、手動解除方式の車両用フードロック装置1として利用し続けることができる。
【0036】
また、規制片部63を設けたことで、緊急解除時に、ロック解除機構13がベース11から外れるのを防止することができる。
【0037】
(その他の実施形態について)
以上、本発明の実施形態を説明したが、上記した実施形態は特許請求の範囲に係る発明を限定するものではない。また、実施形態の中で説明した特徴の組合せの全てが発明の課題を解決するための手段に必須であるとは限らない点に留意すべきである。本発明は、その趣旨を逸脱しない範囲で適宜変形して実施することが可能である。
【0038】
例えば、上記実施形態においては、ロック解除ロッド41の進退方向が、左右方向であったが、ロック解除ロッド41の前進位置C1から後退位置C2への移動によって、ロックレバー32をロック位置B1からアンロック位置B2に揺動できる構成であれば、これに限るものではない。例えば、ロック解除ロッド41の進退方向が、左右方向から上下に傾いた斜め方向であってもよい。
【0039】
また、上記実施形態においては、ロック解除ロッド41が直接、ロックレバー32の被係合部32bと係合する構成であったが、ロック解除ロッド41の前進位置C1から後退位置C2への移動によって、ロックレバー32をロック位置B1からアンロック位置B2に揺動できる構成であれば、ロック解除ロッド41が、ケーブル等を介してロックレバー32の被係合部32bと係合する構成であってもよい。
【0040】
また、上記実施形態においては、ハウジング44が直線状に進退動自在に支持される構成であったが、ハウジング44が曲線状に進退動自在に支持される構成であってもよい。例えば、ハウジング44が円周軌跡(円弧状の軌跡)で進退動自在に支持される構成であってもよい。
【0041】
また、上記実施形態においては、ハウジング44が車両用フードロック装置1のベース11に支持される構成であったが、ハウジング44が進退動自在に構成されていればよく、例えば、ハウジング44が、車両の車体に対し、進退動自在に支持される構成であってもよい。なお、上記実施形態の構成については、ベース11が車体に固定されているため、ハウジング44が、ベース11を介して、車両の車体に対し、進退動自在に支持される構成であると言える。
【0042】
また、上記実施形態においては、トランクルーム用のフード(トランクフード)を閉状態でロックする車両用フードロック装置1に本発明を適用したが、これに限るものではなく、エンジンルーム用のフード(エンジンフード)を閉状態でロックする車両用フードロック装置に本発明を適用してもよい。また、上記実施形態においては、車両の前方に配設されたフロントフードを閉状態でロックする車両用フードロック装置1に本発明を適用したが、車両の後方に配設されたリアフードを閉状態でロックする車両用フードロック装置に本発明を適用してもよい。
【0043】
さらに言えば、車体に設けられた開口部を開閉する蓋体を閉状態でロックする車両用ロック装置であれば、例えば、充電用の開口部を開閉する蓋体(いわゆる充電用リッド)を閉状態でロックする車両用ロック装置に本発明を適用してもよい。
【符号の説明】
【0044】
1:車両用フードロック装置、 12:ロック機構、 13:ロック解除機構、 41:ロック解除ロッド、 42:駆動モータ、 43:動力変換機構、 44:ハウジング、 45:緊急解除部、 46:第3付勢バネ、 81:操作ハンドル
図1
図2
図3
図4
図5
図6