(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024170174
(43)【公開日】2024-12-06
(54)【発明の名称】座席占有管理システム
(51)【国際特許分類】
G06Q 10/10 20230101AFI20241129BHJP
【FI】
G06Q10/10
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023087191
(22)【出願日】2023-05-26
(71)【出願人】
【識別番号】000002299
【氏名又は名称】清水建設株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 和浩
【テーマコード(参考)】
5L010
5L049
【Fターム(参考)】
5L010AA11
5L049AA11
(57)【要約】
【課題】利用者の一時的な離席と完全退出とを区分して座席占有管理の安定性を図ることができる座席占有管理システムを提供する。
【解決手段】座席利用管理部21は、利用者の位置情報をもとに利用者が一定時間占有した座席がある場合、該座席が利用者により使用中である旨を表示部22に表示するとともに、入退室管理部14の入退室情報D11を参照し、座席を占有していた利用者が退出した場合、表示部22による使用中である旨の表示を解除し、入退室管理部14の一時退出情報D12を参照し、座席を占有していた利用者が一時退出した場合、表示部22による使用中である旨の表示を維持する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
施設を利用する利用者が携帯し、該利用者の識別情報を発信するRFIDタグと、
前記RFIDタグが発信した識別情報を受信する受信機と、
前記受信機が受信した識別情報をもとに前記利用者の位置情報を取得し、該位置情報をもとに前記利用者による座席使用情報を管理する座席利用管理部と、
前記座席使用情報を表示する表示部と、
前記利用者が携帯し、該利用者の識別情報を有したICカードと、
前記施設への入退室ゲートに設けられたカードリーダーを用いて前記ICカードの識別情報を読み取り、前記利用者の前記施設への入退室情報及び一時退出情報を管理する入退室管理部と、
を備え、
前記座席利用管理部は、前記利用者の位置情報をもとに前記利用者が一定時間占有した座席がある場合、該座席が前記利用者により使用中である旨を前記表示部に表示するとともに、前記入退室管理部の入退室情報を参照し、座席を占有していた利用者が退出した場合、前記表示部による使用中である旨の表示を解除し、前記入退室管理部の一時退出情報を参照し、座席を占有していた利用者が一時退出した場合、前記表示部による使用中である旨の表示を維持することを特徴とする座席占有管理システム。
【請求項2】
前記入退室ゲートに隣接配置されて前記ICカードの識別情報を読み取る一時退出ゲートを別途設け、
前記入退室管理部は、前記一時退出ゲートにおいて前記ICカードの識別情報を読み取った場合、該識別情報の利用者が一時退出したものとして管理することを特徴とする請求項1に記載の座席占有管理システム。
【請求項3】
前記入退室ゲートに一時退出ボタンを設け、
前記入退室管理部は、前記一時退出ボタンが押下された後に前記入退室ゲートにおいて前記ICカードの識別情報を読み取った場合、該識別情報の利用者が一時退出したものとして管理することを特徴とする請求項1に記載の座席占有管理システム。
【請求項4】
前記入退室ゲートは、入退室用カードリーダー及び一時退出用カードリーダーが設けられ、
前記入退室管理部は、前記一時退出用カードリーダーにより前記ICカードの識別情報を読み取った後、前記入退室用カードリーダーが同一の識別情報を読み取った場合、該識別情報の利用者が一時退出したものとして管理することを特徴とする請求項1に記載の座席占有管理システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、利用者の一時的な離席と完全退出とを区分して座席占有管理の安定性を図ることができる座席占有管理システムに関する。
【背景技術】
【0002】
社員同士のコミュニケーションの促進、仕事の生産性向上、オフィスの省スペース化などを目的に、フリーアドレスの導入が進められている。フリーアドレスを採用したオフィスでは、RFIDタグを従業員に常時携帯させ、施設内各所に設置した受信機によりRFIDタグが発信するID情報を受信し、従業員の所在を把握し、PCモニタやスマートフォンの表示手段にリアルタイムで位置情報を提供している(特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、フリーアドレスを用いたシステムでは、出社した際に座席の空き情報をPCモニタやスマートフォンの表示手段で確認するが、一時離席者の座席についても空席の状態と同じ表示となり、席が空いているのか否かを把握することができない。また、このため、オフィス内の座席稼働率や座席占有率を正確に把握することができない。
【0005】
本発明は、上記に鑑みてなされたものであって、利用者の一時的な離席と完全退出とを区分して座席占有管理の安定性を図ることができる座席占有管理システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明は、施設を利用する利用者が携帯し、該利用者の識別情報を発信するRFIDタグと、前記RFIDタグが発信した識別情報を受信する受信機と、前記受信機が受信した識別情報をもとに前記利用者の位置情報を取得し、該位置情報をもとに前記利用者による座席使用情報を管理する座席利用管理部と、前記座席使用情報を表示する表示部と、前記利用者が携帯し、該利用者の識別情報を有したICカードと、前記施設への入退室ゲートに設けられたカードリーダーを用いて前記ICカードの識別情報を読み取り、前記利用者の前記施設への入退室情報及び一時退出情報を管理する入退室管理部と、を備え、前記座席利用管理部は、前記利用者の位置情報をもとに前記利用者が一定時間占有した座席がある場合、該座席が前記利用者により使用中である旨を前記表示部に表示するとともに、前記入退室管理部の入退室情報を参照し、座席を占有していた利用者が退出した場合、前記表示部による使用中である旨の表示を解除し、前記入退室管理部の一時退出情報を参照し、座席を占有していた利用者が一時退出した場合、前記表示部による使用中である旨の表示を維持することを特徴とする。
【0007】
また、本発明は、上記の発明において、前記入退室ゲートに隣接配置されて前記ICカードの識別情報を読み取る一時退出ゲートを別途設け、前記入退室管理部は、前記一時退出ゲートにおいて前記ICカードの識別情報を読み取った場合、該識別情報の利用者が一時退出したものとして管理することを特徴とする。
【0008】
また、本発明は、上記の発明において、前記入退室ゲートに一時退出ボタンを設け、
前記入退室管理部は、前記一時退出ボタンが押下された後に前記入退室ゲートにおいて前記ICカードの識別情報を読み取った場合、該識別情報の利用者が一時退出したものとして管理することを特徴とする。
【0009】
また、本発明は、上記の発明において、前記入退室ゲートは、入退室用カードリーダー及び一時退出用カードリーダーが設けられ、前記入退室管理部は、前記一時退出用カードリーダーにより前記ICカードの識別情報を読み取った後、前記入退室用カードリーダーが同一の識別情報を読み取った場合、該識別情報の利用者が一時退出したものとして管理することを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、利用者の一時的な離席と完全退出とを区分して座席占有管理の安定性を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】
図1は、本実施の形態である座席占有管理システムの構成を模式的に示す図である。
【
図2】
図2は、入退室管理情報の一例を示す図である。
【
図3】
図3は、座席使用情報の一例を示す図である。
【
図4】
図4は、表示部の表示画面の一例を示す図である。
【
図5】
図5は、座席利用管理部による座席利用管理処理手順を示すフローチャートである。
【
図6】
図6は、変形例1による座席占有管理システムにおける一時退出管理の構成の一例を示す図である。
【
図7】
図7は、変形例2による座席占有管理システムにおける一時退出管理の構成の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、添付図面を参照して本発明を実施するための形態について説明する。
図1は、本実施の形態である座席占有管理システムの構成を模式的に示す図である。
図1に示すように、座席占有管理システムは、入退室管理装置10と座席利用管理装置20とを有し、座席利用管理装置20は入退室管理装置10が取得する入退室情報D11及び一時退出情報D12を参照してオフィスエリアE内の座席占有管理を行う。
【0013】
入退室管理装置10は、入退室ゲートG1、一時退出ゲートG2及び入退室管理部14を有する。入退室ゲートG1は、外部エリア側で入室しようとする利用者100,101,102が携帯するICカード1の識別情報(利用者ID)を読み取る入退室用カードリーダー11と、オフィスエリアE側で退出しようとする利用者のICカード1の利用者IDを読み取る入退室用カードリーダー12とを有する。また、一時退出ゲートG2は、オフィスエリアE側でオフィスエリアEから一時退出しようとする利用者のICカード1の利用者IDを読み取る一時退出用カードリーダー13を有する。
【0014】
入退室管理部14は、入退室用カードリーダー11が識別した利用者IDの入室を許可した場合、この利用者IDをもつ利用者を「出社」として管理し、入退室用カードリーダー12が識別した利用者IDの退出を許可した場合、この利用者IDをもつ利用者を「退社」として管理する。一方、一時退出用カードリーダー13が識別した利用者IDの一時退出を許可した場合、この利用者IDをもつ利用者を「外出」として管理する。
【0015】
入退室管理部14は、これら入退室用カードリーダー11,12及び一時退出用カードリーダー13の識別結果により、入退室管理情報D10をデータベースとして管理する。入退室管理情報D10には、利用者の入退室(「出社」と「退社」)を管理する入退室情報D11と、利用者の一時退出(「外出」)を管理する一時退出情報D12とを有する。なお、一時退出した利用者は、入退室ゲートG1を介して再び、出社することにより、一時退出が解除される。
【0016】
一方、座席利用管理装置20は、施設を利用する利用者が携帯し、該利用者の識別情報(利用者ID)を発信するRFIDタグ2が発信した利用者IDを受信する受信機3と、受信機3が受信した利用者IDをもとに利用者の位置情報を取得し、該位置情報をもとに利用者による座席使用情報D20を管理する座席利用管理部21と、座席使用情報D20を表示する表示部22とを有する。
【0017】
複数の受信機3は、オフィスエリアE内に分散配置され、利用者が携帯するアクティブのRFIDタグ2が発信する識別情報(利用者ID)を受信する。座席利用管理部21は、利用者IDを受信した受信機3の位置や各受信機3が受信した受信電界強度を用いて利用者の位置情報を取得し、この位置情報を用いてオフィスエリアE内の座席(座席ID「1」~「12」)の占有状態を管理する。
【0018】
座席利用管理部21は、利用者の位置情報をもとに利用者が一定時間占有した座席がある場合、該座席がこの利用者により使用中である旨を表示部22に表示するとともに、入退室管理装置10と連携し、入退室管理部14の入退室情報D11を参照し、座席を占有していた利用者が退出した場合、表示部22による使用中である旨を解除し、入退室管理部14の一時退出情報D12を参照し、座席を占有していた利用者が一時退出した場合、表示部22による使用中である旨の表示を維持する。
【0019】
これにより、一度、利用中であるとして占有された座席は、オフィスエリアE内の会議室などの会議のために離席した場合や、一時退出ゲートG2を介して外出した場合であっても、利用者により占有され、表示部22には使用中である旨の表示がなされる。そして、利用者が入退室ゲートG1を介して退社した場合にはじめて、使用中であるとして占有されていた座席が空席として管理され、表示部22には、使用中である旨の表示が解除され、空席として表示される。この結果、座席の占有状態が頻繁に変更されることによる利用者の混乱や利用者間のトラブルを回避でき、安定した座席占有管理を行うことができる。また、座席を占有した利用者は、安心して離席や外出をすることができる。
【0020】
図2は、入退室管理情報D10の一例を示す図である。
図2では、利用者ID「1001」~「1004」の「出社」、「退社」、「外出」が管理されている。なお、各利用者IDに対して「氏名」や「部署」も紐づけられる。
図2では、利用者ID「1001」、「1002」、「1004」の利用者は、出社状態であり、利用者ID「1003」の利用者は、退社状態である。さらに、利用者ID「1004」の利用者は、出社後、一時的に外出していることが管理されている。
【0021】
図3は、座席使用情報D20の一例を示す図である。
図3に示すように、座席使用情報D20は、各座席の席IDに対して、「空席」か「使用中」かを管理し、使用中の場合、使用している利用者IDが紐づけられている。なお、座席利用管理部21は、表示部22に表示する際、「使用中」の座席がある場合、この座席を使用している利用者IDを用いて、利用者の氏名などの情報を表示するようにしてもよい。また、表示部22に表示される座席使用情報D20は、オフィスエリアE内の各利用者、さらには外部の利用者が閲覧できるようにしてもよい。
【0022】
図4は、表示部22の表示画面の一例を示す図である。
図4に示すように、表示部22は、座席使用情報D20をもとに、オフィスエリアE内のレイアウトを表示し、このレイアウト内の各座席に対して「使用中」であるか「空席」であるかを表示する。
図4は、席ID「2」、「4」、「6」、「9」、「11」の座席が「使用中」であるとして赤色表示され、さらには使用中の文字表示がなされ、他の席IDの座席には、「空席」であるとして、水色表示されるとともに、空席の文字表示がなされる。
【0023】
図5は、座席利用管理部21による座席利用管理処理手順を示すフローチャートである。
図5に示すように、座席利用管理部21は、まず、座席が一定時間占有されたか否かを判定する(ステップS101)。一定時間占有されない場合(ステップS101:No)には、本判定処理を繰り返す。一方、一定時間占有された場合(ステップS101:Yes)には、この座席を「使用中」であるとして管理し、表示部22にその旨を表示する(ステップS102)。
【0024】
その後、座席利用管理部21は、入退室管理部14から座席を占有している利用者の退社通知があったか否かを判定する(ステップS103)。退社通知がない場合(ステップS103:No)には、本判定処理を繰り返す。一方、退社通知があった場合(ステップS103:Yes)、この利用者による占有されている座席を「空席」として管理し、表示部22に空席である旨を表示させ(ステップS104)、本処理を終了する。なお、上記の処理では、退社通知が入退室管理部14から通知されるようにしていたが、座席利用管理部21が所定周期でアクセスして退社通知を取得するようにしてもよい。
【0025】
<変形例1>
図6は、変形例1による座席占有管理システムにおける一時退出管理の構成の一例を示す図である。上記の実施の形態では、一時退出ゲートG2が入退室ゲートG1に隣接配置されていたが、本変形例1では、
図6に示すように、入退室ゲートG1に一時退出ボタンBを設け、入退室管理部14は、一時退出ボタンBが押下された後に入退室ゲートG1においてICカード1の識別情報を読み取った場合、該識別情報の利用者が一時退出したものとして管理するようにしている。
【0026】
<変形例2>
図7は、変形例2による座席占有管理システムにおける一時退出管理の構成の一例を示す図である。本変形例2では、
図7に示すように、入退室ゲートG1に入退室用カードリーダー11,12が設けられているが、オフィスエリアE側にさらに一時退出用カードリーダー12aを設けている。入退室管理部14は、一時退出用カードリーダー12aによりICカードの識別情報を読み取った後、入退室用カードリーダー12が同一の識別情報を読み取った場合、該識別情報の利用者が一時退出したものとして管理するようにしている。
【0027】
なお、上記の座席利用管理装置20は、利用者がアクティブのRFIDタグ2を携帯し、分散配置された複数の受信機3の受信結果による位置情報を取得する位置情報システムを用いていたが、これに限らず、例えば、利用者がパッシブのRFIDタグを携帯し、各座席に配置された送受信機が、このパッシブのRFIDタグの利用者IDを読み取ることにより、座席が占有されたとする管理を行ってもよい。
【0028】
また、上記の実施の形態及び変形例で図示した各構成は機能概略的なものであり、必ずしも物理的に図示の構成をされていることを要しない。すなわち、各装置及び構成要素の分散・統合の形態は図示のものに限られず、その全部又は一部を各種の使用状況などに応じて、任意の単位で機能的又は物理的に分散・統合して構成することができる。
【符号の説明】
【0029】
1 ICカード
2 RFIDタグ
3 受信機
10 入退室管理装置
11,12 入退室用カードリーダー
12a,13 一時退出用カードリーダー
14 入退室管理部
20 座席利用管理装置
21 座席利用管理部
22 表示部
100,101,102 利用者
B 一時退出ボタン
D10 入退室管理情報
D11 入退室情報
D12 一時退出情報
D20 座席使用情報
E オフィスエリア
G1 入退室ゲート
G2 一時退出ゲート