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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024017018
(43)【公開日】2024-02-08
(54)【発明の名称】ストレッチ成形装置
(51)【国際特許分類】
   B21D 25/02 20060101AFI20240201BHJP
   B21C 9/00 20060101ALN20240201BHJP
【FI】
B21D25/02
B21C9/00 K
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022119373
(22)【出願日】2022-07-27
(71)【出願人】
【識別番号】000002107
【氏名又は名称】住友重機械工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100090033
【弁理士】
【氏名又は名称】荒船 博司
(74)【代理人】
【識別番号】100093045
【弁理士】
【氏名又は名称】荒船 良男
(72)【発明者】
【氏名】豊嶋 範男
【テーマコード(参考)】
4E096
4E137
【Fターム(参考)】
4E096JA13
4E137AA07
4E137BB01
4E137CA12
4E137DA11
4E137EA01
4E137EA22
4E137EA25
4E137EA40
4E137GA01
4E137GA08
4E137GB20
(57)【要約】
【課題】潤滑剤の温度が高い場合は勿論、気温が低い場合などでもワークに十分な量の潤滑油を吐出することが可能なストレッチ成形装置を提供する。
【解決手段】ストレッチ成形装置1は、板状のワークWの一の部分を挟み込む挟み込み機構2と、挟み込み機構2によりワークWが挟まれた状態でワークWの他の部分を引っ張る引っ張り機構4と、挟み込み機構2と引っ張り機構4との間でワークWを成形する成形部3と、挟み込み機構2の、引っ張り機構4とは反対側であってワークWの両面にそれぞれ配置された、ワークWの各面に潤滑剤Lをそれぞれ吐出する吐出部61と、吐出部61に設けられ、潤滑剤Lを加熱する加熱機構9とを備える。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
板状のワークの一の部分を挟み込む挟み込み機構と、
前記挟み込み機構により前記ワークが挟まれた状態で、前記ワークの他の部分を引っ張る引っ張り機構と、
前記挟み込み機構と前記引っ張り機構との間で前記ワークを成形する成形部と、
前記挟み込み機構の、前記引っ張り機構とは反対側であって前記ワークの両面にそれぞれ配置された、前記ワークの各面に潤滑剤をそれぞれ吐出する吐出部と、
前記吐出部に設けられ、前記潤滑剤を加熱する加熱機構とを備える、
ストレッチ成形装置。
【請求項2】
前記吐出部は、前記ワークの各面に前記潤滑剤をそれぞれ塗布するように吐出する、
請求項1に記載のストレッチ成形装置。
【請求項3】
前記吐出部は、前記潤滑剤を溜める潤滑剤溜めを有しており、前記加熱機構は、前記潤滑剤溜めに設けられている、
請求項1に記載のストレッチ成形装置。
【請求項4】
前記加熱機構は、前記潤滑剤溜め内に突出するように配置されている、
請求項3に記載のストレッチ成形装置。
【請求項5】
前記加熱機構は、ヒータを備え、
前記ヒータは、前記潤滑剤溜め内に突出するように配置された保護筒中に挿入して配置されている、
請求項3に記載のストレッチ成形装置。
【請求項6】
前記加熱機構は、少なくとも前記潤滑剤溜めへの前記潤滑剤の流入側に設けられる、
請求項3に記載のストレッチ成形装置。
【請求項7】
前記潤滑剤を循環させる循環機構を備える、
請求項1に記載のストレッチ成形装置。
【請求項8】
前記循環機構により、前記潤滑剤を前記ワークに吐出する前に循環させる、
請求項7に記載のストレッチ成形装置。
【請求項9】
前記潤滑剤の吐出時には、前記循環機構による前記潤滑剤の循環を停止する、
請求項8に記載のストレッチ成形装置。
【請求項10】
前記吐出部に前記潤滑剤を供給する供給機構を備え、
前記供給機構は、前記吐出部における前記潤滑剤の温度に応じて前記潤滑剤に加える圧力を変える、
請求項1に記載のストレッチ成形装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ストレッチ成形装置に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、航空機のフレームやパラボラアンテナの反射面等を製造する際、金属等の板状のワークが曲面状に成形される。
このように、板状のワークを曲面状に成形する装置としてストレッチ成形装置が知られている。
【0003】
例えば特許文献1に記載されたストレッチ成形装置では、ワークを、挟み込み機構でワークに直交する方向から挟み込みつつ、ワークの先端を引っ張る。
そして、引っ張られているワークの部分に湾曲した金型を押し当てるなどし、その状態でワークを引っ張っていくことで板状のワークが曲面状に成形される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平4-300033号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、ストレッチ成形装置では、挟み込み機構でワークを挟み込んで引っ張る際のワークと挟み込み機構との摩擦を低減するために、ワークが挟み込み機構で挟み込まれる前にワークの表面と裏面に潤滑油を吐出するように構成されている場合がある。
この場合、ワークの表面と裏面に吐出部をそれぞれ当接あるいは近接させ、ワークの各面と各吐出部との間に潤滑油を流出させるようにしてワークの表面と裏面に潤滑油をそれぞれ吐出させる。
【0006】
そして、ワークが挟み込み機構で高圧で挟み込まれても潤滑油がワークの面上に付着した状態になるようにするために、潤滑油は高粘度のものが使用される。
しかし、高粘度の潤滑油は、冬で気温が低い場合などには潤滑油が吐出部のノズル内やオイル溜めの中で固化したり流動性が悪化して、十分な量の潤滑剤をワークに吐出できなくなる場合がある。
【0007】
そして、十分な量の潤滑油がワークに吐出されないと、ワークを挟み込み機構で高圧で挟み込んだ際に、ワークの面が傷ついたりいわゆるかじりが生じたりしてしまう場合があった。
本発明は、上記の点を鑑みてなされたものであり、潤滑剤の温度が高い場合は勿論、気温が低い場合などでもワークに十分な量の潤滑油を吐出することが可能なストレッチ成形装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明に係るストレッチ成形装置は、
板状のワークの一の部分を挟み込む挟み込み機構と、
前記挟み込み機構により前記ワークが挟まれた状態で、前記ワークの他の部分を引っ張る引っ張り機構と、
前記挟み込み機構と前記引っ張り機構との間で前記ワークを成形する成形部と、
前記挟み込み機構の、前記引っ張り機構とは反対側であって前記ワークの両面にそれぞれ配置された、前記ワークの各面に潤滑剤をそれぞれ吐出する吐出部と、
前記吐出部に設けられ、前記潤滑剤を加熱する加熱機構とを備える。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、潤滑剤の温度が高い場合は勿論、気温が低い場合などでもワークに十分な量の潤滑油を吐出することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】(a)本実施形態に係るストレッチ成形装置を説明するためのイメージ図であり、(b)側方から見たイメージ図である。
図2】(a)ワークに成形された複合曲面の一例を表す斜視図であり、(b)側面図である。
図3】本実施形態に係るストレッチ成形装置の構成を表す概略側面図である。
図4】本実施形態に係るストレッチ成形装置の吐出機構の全体構成を示す図である。
図5】吐出機構の要部の正面図である。
図6】(a)吐出機構の要部の側面断面図であり、(b)吐出部のノズルを開いた状態を表す側面断面図である。
図7】第1吐出部の下面を含む部分を下側すなわちワーク側から見た図である。
図8】(a)複数のノズルだけが形成された吐出部を下側から見た図であり、(b)ワークのうちノズルに対向する部分にだけ潤滑剤が塗布された状態を表す図である。
図9】従来のストレッチ成形装置の吐出機構の全体構成を示す図である。
図10】本実施形態に係る吐出部の平面断面図であり、吐出部内での潤滑剤の流れ等を表す図である。
図11】本実施形態での吐出部内の潤滑剤の温度の時間的変化の一例を表すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明に係るストレッチ成形装置の実施の形態について、図面を参照して説明する。
なお、ワークが略三角形状の板材である場合について説明するが、ワークは矩形状等であってもよく、ワークの形状は略三角形状の場合に限定されない。
【0012】
まず、ストレッチ成形装置の全体構成について説明する。
図1(a)は、本実施形態に係るストレッチ成形装置を説明するためのイメージ図であり、図1(b)は側方から見たイメージ図である。
【0013】
なお、以下では、図1(a)、(b)において矢印Xで表される方向がワークを引っ張る方向であり、以下、X方向又は引っ張り方向という。また、図中矢印Yで表される方向が引っ張り方向に直交する方向であり、以下、Y方向という。
さらに、図中矢印Zで表される方向が板状のワークに直交する方向であり、以下、Z方向又は上下方向という。
【0014】
ストレッチ成形装置1は、ワークWの一の部分を挟み込む挟み込み機構2と、ワークWの他の部分をX方向に引っ張る引っ張り機構4と、挟み込み機構2と引っ張り機構4との間でワークWを成形する成形部3とを備えている。
挟み込み機構2では、ワークWを、第1フレーム21と第2フレーム22で板状のワークWに直交する方向すなわちZ方向から挟み込むことができるようになっている。
【0015】
本実施形態では、Y方向に延在する第1フレーム21の上金型21aの下面は、X方向の中央部分が下方に突出されており、Y方向に延在する凸状部分が形成されている。
図中のGは凸状部分の下方への突出深さを表している。
【0016】
また、第1フレーム21に対応してY方向に延在する第2フレーム22の下金型22aの上面は、X方向の中央部分が下方に陥没されており、上金型21aの凸状部分に対応する、Y方向に延在する凹状部分が形成されている。
なお、このように第1フレーム21の上金型21aに形成される凸状部分や第2フレーム22の下金型22aに形成される凹状部分はそれぞれ1条でなくてもよく、例えば複数条設けることも可能である。
【0017】
成形部3は、本実施形態では、下端部分に下に凸に湾曲した金型31aを備えるY方向に延在する第2ステージ31を備えている。
第2ステージ31は、ワークWに金型31aを上方から押し付けるように配置される。
【0018】
また、成形部3は、挟み込み機構2側から見た場合、第2ステージ31の奥側に、上端部分に下に凸に湾曲した金型32aを備えるY方向に延在する第3ステージ32を備えている。
第3ステージ32は、第2ステージ31により押し下げられたワークWを金型32aで下方から押し上げるように配置される。
【0019】
そして、ワークWは、挟み込み機構2側から見た場合に、成形部3の奥側に配置された引っ張り機構4のクランプ部41でその端部が把持された状態で、引っ張り機構4によりX方向に引っ張られるようになっている。
引っ張り機構4のクランプ部41は、ワークWの端部を把持した状態でX方向、すなわち挟み込み機構2から離れる方向に移動しながらワークWを引っ張る。
【0020】
そして、ストレッチ成形装置1では、ワークWが、挟み込み機構2で挟み込まれた状態で引っ張り機構4によりX方向に引っ張られる。
そして、ワークWは、第1フレーム21と第2フレーム22との間で摺動しながら、X方向にテンションがかかった状態で、成形部3で上下から金型31a、32aを押し付けられる。
【0021】
本実施形態に係るストレッチ成形装置1では、このようにして、成形部3により挟み込み機構2と引っ張り機構4との間でワークWを成形するようになっている。
そして、このように成形されることで、例えば図2(a)に示すように、ワークWがY方向に湾曲した状態に成形される。
【0022】
また、ワークWを引っ張る間に、挟み込み機構2と第2ステージ31との距離L1と、第2ステージ31と第3ステージ32との距離L2を変える。
あるいは、第2ステージ31と第3ステージ32を上下方向に移動させて第2ステージ31によるワークWの下方への押し下げ量と第3ステージ32によるワークWの上方への押し上げ量を変える。
【0023】
このように第2ステージ31や第3ステージ32を移動させることで、例えば図2(a)、(b)に示すように、ワークWが、Y方向だけでなくX方向にも湾曲した状態に成形される。
このように、本実施形態に係るストレッチ成形装置1では、ワークWのXY方向に3次元的な曲率を有する複合曲面を成形することができるようになっている。
【0024】
図3は、本実施形態に係るストレッチ成形装置の構成を表す概略側面図である。
ワークWは、コンベア11に載せられて、図中左側から、ワークWの上面及び下面に潤滑剤をそれぞれ吐出する吐出機構6の各吐出部61A、61Bの間に挿入される。
なお、吐出機構6については後で詳しく説明する。
【0025】
そして、ワークWは、挟み込み機構2の第1フレーム21と第2フレーム22との間に挿入される。
挟み込み機構2の第1フレーム21は、リンク機構23を介して挟み込み機構2の上部及びその上側に配置された昇降用アクチュエータ24に接続されることで挟み込み機構2の上部に取り付けられている。
【0026】
昇降用アクチュエータ24によりリンク機構23を動作させて第1フレーム21をZ方向に移動させることができるようになっている。
第1フレーム21のZ方向の位置を移動させて下降させることで、図1(b)に示したように第1フレーム21と第2フレーム22とでワークWを挟み込む状態になる。
【0027】
また、ストレッチ成形装置1には、挟み込み機構2をX方向すなわち引っ張り方向に移動させるためのモータ25a等を備える移動装置25が設けられている。そして、移動装置25を作動させることで、挟み込み機構2全体をストレッチ成形装置1の台座部5に対してX方向に移動させることができるようになっている。
挟み込み機構2が台座部5に対してX方向に移動することで、図1(a)、(b)に示した挟み込み機構2と第2ステージ31との距離L1を変えることができる。
【0028】
成形部3は、図3に示すように、第2ステージ31がZ方向に移動することができるようになっている。
本実施形態では、第2ステージ31は、挟み込み機構2の第1フレーム21における構成と同様の構成でZ方向に移動することができるようになっている。
【0029】
また、成形部3の第3ステージ32はZ方向とX方向に移動することができるようになっている。
すなわち、第3ステージ32の下方には支持台33が配置されており、第3ステージ32は。昇降装置34の駆動により支持台33に対してZ方向に移動することができる。また、支持台33は、台座部5によりX方向に移動可能に支持されており、サーボモータ等を備える移動装置35の駆動により台座部5に対してX方向すなわちワークWの引っ張り方向に移動することができる。
【0030】
そして、移動装置35の駆動により支持台33をX方向に移動させて第3ステージ32をX方向に移動させることで、図1(a)、(b)に示した第2ステージ31と第3ステージ32との距離L2を変えることができるようになっている。
また、昇降装置34の駆動により第3ステージ32をZ方向に移動させることで、前述した第3ステージ32によるワークWの上方への押し上げ量の調整を行うことができるようになっている。
【0031】
そして、ワークWは、挟み込み機構2の第1フレーム21と第2フレーム22とで挟み込まれ、第2ステージ31の金型31aで押し下げられ、第3ステージ32の金型32aで押し上げられた状態で、ワークWの端部が、図中Aで示される位置で引っ張り機構4のクランプ部41で把持される。
図3中Aで示される位置を、以下、引っ張り開始位置Aという。
【0032】
引っ張り機構4は、台座部5によりX方向に移動可能に支持されたキャリッジ42を備えており、キャリッジ42の先端すなわち挟み込み機構2側の端部に前述したクランプ部41が取り付けられている。
【0033】
台座部5にはサーボモータ43が配置されている。
そして、サーボモータ43の回転出力は、減速機44で減速されて出力されてピニオン45とラック46に伝達され、ラックアンドピニオン機構を介してキャリッジ42に伝達される。
【0034】
このようにして、キャリッジ42が、サーボモータ43の回転駆動によりX方向にラック46と走行フレーム47を介して走行できるようになっている。
そして、キャリッジ42がX方向に移動することで、クランプ部41をX方向に移動させて、ワークWをX方向すなわち引っ張り方向に引っ張るようになっている。
【0035】
前述したように、ワークWの成形開始前に、引っ張り開始位置AでワークWの端部がクランプ部41で把持される。
そして、サーボモータ43を作動させてクランプ部41をX方向に移動させることで、クランプ部41でワークWを引っ張り方向に引っ張りながらワークWの成形を行うようになっている。
【0036】
次に、本実施形態に係るストレッチ成形装置1の吐出機構6について説明する。
図3に示したように、吐出機構6は、挟み込み機構2の、引っ張り機構4とは反対側であってワークWの上面側及び下面側にそれぞれ配置された、ワークWの上面及び下面に潤滑剤をそれぞれ吐出する第1吐出部61A及び第2吐出部61Bを備えている。なお、以下、2つの吐出部をまとめて言う場合、吐出部61という。
【0037】
図4は、本実施形態に係るストレッチ成形装置の吐出機構の全体構成を示す図である。
本実施形態では、吐出機構6は、供給機構7と、吐出部61と、循環機構8で構成されている。
【0038】
供給機構7は、ストレッチ成形装置1の台座部5内などに潤滑剤Lを貯蔵するオイルタンク62を備えており、オイルタンク62から吐出部61に潤滑剤Lを供給するようになっている。
オイルタンク62には、潤滑剤Lの吐出部61への供給路63の一端側が挿入されており、供給路63の他端側が分岐されて、第1吐出部61Aと第2吐出部61Bにそれぞれ接続されている。
【0039】
潤滑剤Lは、ポンプ64の駆動により、オイルタンク62から供給路63を通って第1吐出部61Aと第2吐出部61Bにそれぞれ供給されるようになっている。
また、供給路63には、潤滑剤Lの供給路63内の流通を許容したり遮断したりするための制御弁65が設けられている。
【0040】
本実施形態では、吐出部61は、ワークWの上側に配置された第1吐出部61Aと、ワークWの下側に配置された第2吐出部61Bとで構成されている。
第1吐出部61Aと第2吐出部61Bにそれぞれ潤滑剤Lを加熱するための加熱機構9が設けられている。
【0041】
第1吐出部61Aと第2吐出部61Bは、潤滑剤Lを溜めるための潤滑剤溜め66A、66Bをそれぞれ有しており、加熱機構9は、各潤滑剤溜め66A、66Bにそれぞれ設けられている。
なお、以下、2つの潤滑剤溜めをまとめて言う場合、潤滑剤溜め66という。
【0042】
また、第1吐出部61Aと第2吐出部61Bには、ワークWに対向する部分に、潤滑剤Lを吐出するための複数のノズル80がそれぞれ形成されている。
なお、ノズル80を含む吐出部61の構成については後で詳しく説明する。
【0043】
第1吐出部61Aと第2吐出部61Bには、各潤滑剤溜め66A、66B内の潤滑剤Lの温度を計測するための温度センサ67が設けられている。
そして、第1吐出部61Aと第2吐出部61Bの下方には、ノズル80から吐出された潤滑剤Lを回収するためのオイルパン68が配置されており、吐出後の潤滑剤Lが排液路69を通って後述する回収タンク72に回収されるようになっている。
【0044】
一方、本実施形態では、吐出部61の潤滑剤溜め66内の潤滑剤Lを循環させるための循環機構8が設けられている。
具体的には、第1吐出部61Aと第2吐出部61Bには、それぞれ排出路70の一端側が取り付けられており、各排出路70にはそれぞれ制御弁71が設けられている。
【0045】
各排出路70は1本にまとめられて、回収タンク72に挿入されている。そして、制御弁71を開くと、吐出部61の潤滑剤溜め66内の潤滑剤Lが排出路70に放出され、排出路70を通って回収タンク72に回収されるようになっている。
回収タンク72に回収された潤滑剤Lは、ポンプ73の駆動により吸い上げられ、除去フィルタ74でゴミ等が除去されてオイルタンク62に戻されるようになっている。なお、オイルタンク62及び回収タンク72にはそれぞれ貯蔵されている潤滑剤Lを加熱するための加熱機構75と潤滑剤Lの温度を計測するための温度センサ76が設けられている。
【0046】
次に、吐出機構6の吐出部61を含む要部の構成について説明する。
図5は吐出機構の要部の正面図である。また、図6(a)は吐出機構の要部の側面断面図であり、図6(b)は吐出部のノズルを開いた状態を表す側面断面図である。また、図7は第1吐出部の下面を含む部分を下側すなわちワークW側から見た図である。
【0047】
本実施形態では、図5図6(a)に示すように、第1吐出部61Aと第2吐出部61Bは、いずれも筐体状に形成されている。
そして、それらの内部にそれぞれ形成された潤滑剤溜め66A、66Bは密閉されており、潤滑剤Lが充填されている。
【0048】
本実施形態では、第1吐出部61Aの上方には、第1吐出部61Aの昇降用のアクチュエータ77が設けられており、第1吐出部61Aは、昇降用のアクチュエータ77の駆動によりガイド78、79に沿って上下動するようになっている。
第1吐出部61Aは、ワークWを第1吐出部61Aと第2吐出部61Bの間に挿入する際に持ち上げられ、ワークWが挿入されるとワークWに近接する位置まで下げられる。
【0049】
第1吐出部61Aと第2吐出部61BのワークWと対向する各面、すなわち第1吐出部61Aの下面と第2吐出部61Bの上面はそれぞれ略平面状に形成されており、各面に複数のノズル80がそれぞれ形成されている。
なお、図5ではノズル80の図示が省略されている。また、図7では、複数のノズル80がY方向に1列に並設されている場合が示されているが、例えば複数のノズル80を複数列並設するように設けてもよく、ノズル80の配置のしかたは適宜決められる。
【0050】
図6(a)に示すように、第1吐出部61Aの下面内部と第2吐出部61Bの上面内部には、それぞれ各ノズル80と交差する断面円形状の穴81がノズル80と直交する方向すなわちX方向に穿設されている。
そして、各穴81には、穴81と同径の円柱状のノズル開閉用の棒状部材82がそれぞれ挿入されている。また、円柱状の棒状部材82の一部には、より小径となるように溝82aがそれぞれ形成されている。
【0051】
図7に示すように、各棒状部材82の端部は、Y方向に延在する規制板83に接続されている。
そして、規制板83のY方向の両端はそれぞれ並進用のアクチュエータ84に接続されており、アクチュエータ84の駆動により規制板83がX方向に平行移動する。そのため、アクチュエータ84を作動させることにより、各棒状部材82が一斉にX方向に移動する。
【0052】
各棒状部材82が図6(a)に示す位置にあると、ノズル80の部分で穴81が棒状部材82で充填された状態になり、ノズル80が閉じた状態になる。
そのため、この状態では、潤滑剤溜め66内の潤滑剤Lがノズル80を通って外部に漏れ出ることはない。
【0053】
しかし、各棒状部材82が移動して、図6(b)に示すように、棒状部材82の溝82aの位置がノズル80の位置に来ると、潤滑剤溜め66内の潤滑剤Lが溝82aを通って外部に流出する状態になる。すなわち、ノズル80が開いて潤滑剤Lが吐出される状態になる。
本実施形態では、このようにして、各棒状部材82を移動させることでノズル80を開閉させて、潤滑剤Lを吐出させたり吐出を止めたりすることができるようになっている。
【0054】
また、本実施形態では、潤滑剤Lが、複数のノズル80から、ワークWに近接した第1吐出部61Aの下面とワークWの上面との間、及びワークWに近接した第2吐出部61Bの上面とワークWの下面との間を充填するように吐出される。
そのため、本実施形態では、第1吐出部61A及び第2吐出部61Bは、ワークWの上面及び下面に潤滑剤Lをそれぞれ塗布するように吐出する。
【0055】
ところで、本実施形態のストレッチ成形装置1では、前述したように、ワークWの一端を引っ張り機構4でX方向に引っ張ってワークWを成形する。
そして、X方向に引っ張られて移動しているワークWに対して第1吐出部61Aと第2吐出部61Bから潤滑剤LをワークWの上面と下面にそれぞれ吐出する。
【0056】
その際、例えば、図8(a)に示すように吐出部61に複数のノズル80だけが形成されていると、図8(b)に斜線を付して示すように、ワークWのうちノズル80に対向する部分にだけ潤滑剤Lが塗布されてしまう可能性がある。
また、ワークWの全面に潤滑剤Lを吐出できたとしても、ワークWの各位置で潤滑剤Lの吐出量にムラが生じてしまう可能性がある。
【0057】
そこで、本実施形態では、図7に示すように、第1吐出部61Aの下面や第2吐出部61Bの上面に、Y方向にジグザグに蛇行しながらX方向に延在する複数本の溝85を形成し、各溝85にノズル80がそれぞれ開口するように構成されている。
このように構成することで、ノズル80から吐出された潤滑剤Lが溝85に沿って拡がりながらワークWに塗布されるようになる。そのため、ワークWの上面と下面の全面に潤滑剤Lをムラなく塗布することが可能となる。
【0058】
本実施形態に係るストレッチ成形装置1では、図4に示したように、吐出部61に潤滑剤Lを加熱するための加熱機構9が設けられている。すなわち、第1吐出部61Aの潤滑剤溜め66Aと第2吐出部61Bの潤滑剤溜め66Bにそれぞれ加熱機構9が設けられている。
そのため、加熱機構9で潤滑剤Lを加熱することで潤滑剤Lの粘度を下げて潤滑剤Lの流動性を高めることが可能となり、ノズル80から十分な量の潤滑剤Lを吐出させることが可能となる。
【0059】
このように、本実施形態に係るストレッチ成形装置1によれば、加熱機構9で潤滑剤Lを加熱することで潤滑剤Lの流動性を高めてノズル80から十分な量の潤滑剤Lを吐出させることが可能となる。
そのため、例えば冬で気温が低く潤滑剤Lの粘度が高い場合でも、ワークWの両面に十分な量の潤滑油を吐出することが可能となる。そのため、ワークWを挟み込み機構2で高圧で挟み込んでも、ワークWの面が傷ついたりかじりが生じたりすることを防止することが可能となる。
【0060】
また、従来のストレッチ成形装置100では、図9に示すように、吐出部101に加熱機構が設けられていなかった。そして、オイルタンク102の加熱機構103で加熱した潤滑剤Lを吐出部101の潤滑剤溜め104に送って潤滑剤溜め104内の潤滑剤Lを温めていた。
そのため、従来のストレッチ成形装置100では、潤滑剤溜め104内の潤滑剤Lの粘度が低下してワークWへの吐出に適した流動性になるまで半日や一日を要していた。
【0061】
それに対し、本実施形態に係るストレッチ成形装置1では、上記のように吐出部61に設けた加熱機構9で潤滑剤Lを加熱することで吐出部61内の潤滑剤Lの粘度を下げて潤滑剤Lの流動性を高めることが可能となる。
そのため、潤滑剤Lの粘度が1時間から長くても数時間程度でワークWへの吐出に適した流動性になる。そのため、気温が低いなどのために流動性が悪化した潤滑剤Lの流動性を急速に高めて吐出することが可能となる。
【0062】
以下、本実施形態に係る吐出機構6の吐出部61の具体的な構成について説明する。
前述したように、吐出部61には、潤滑剤Lを加熱するための加熱機構9が設けられている。
加熱機構9は、例えば、第1吐出部61Aと第2吐出部61Bのノズル80が形成された、ワークWに対向する壁部の内部に貼り付けたり壁内に埋設させたりして設けることが可能である。
【0063】
また、図6(a)に示すように、加熱機構9を、潤滑剤溜め66内に突出するように配置することも可能である。
このように構成すれば、潤滑剤溜め66内に突出した加熱機構9で潤滑剤溜め66内の潤滑剤Lを効率良く温めることが可能となる。
【0064】
この場合、加熱機構9がヒータ91を備え、ヒータ91が、潤滑剤溜め66内に突出するように配置された金属製の保護筒92中に挿入して配置するように構成することができる。
潤滑剤溜め66の内部には、本来、潤滑剤Lが充填されているが、潤滑剤溜め66内に空気が入り込んでいてヒータ91の周囲に潤滑剤Lがないと、ヒータ91の周りに保護筒92がない場合にはいわば空焚きの状態になり、ヒータ91が損傷するおそれがある。
【0065】
しかし、本実施形態のようにヒータ91の周りに保護筒92を設けておけば、ヒータ91が空焚きになることが回避され、ヒータ91が損傷することを防止することが可能となる。
また、保護筒92で潤滑剤溜め66が密閉されているため、潤滑剤溜め66からヒータ91を引き抜いても、潤滑剤溜め66内の潤滑剤Lが外部に漏れ出ることを防止することが可能となる。
【0066】
一方、本実施形態では、前述したように、吐出部61には、潤滑剤Lを回収タンク72に排出するための排出路70等を含む循環機構8が接続されており、吐出部61の潤滑剤溜め66内の潤滑剤Lを循環させることができるようになっている。
そのため、本実施形態では、吐出部61の加熱機構9で潤滑剤Lを温めるとともに、さらにオイルタンク62で温められた潤滑剤Lが循環して吐出部61に流入する。そのため、吐出部61内の潤滑剤Lを急速に温めることが可能となり、潤滑剤Lの流動性を急速に高めることが可能となる。
【0067】
図10に示すように、吐出部61には潤滑剤Lの流入口86Aと流出口86Bがそれぞれ設けられている。
流入口86Aには、オイルタンク62からの潤滑剤Lの供給路63が接続されており、流出口86Bには、回収タンク72への潤滑剤Lの排出路70が接続されている。
【0068】
そして、潤滑剤Lは、潤滑剤溜め66の内部を流入口86Aから流出口86Bに向かって流れる。
本実施形態では、加熱機構9が潤滑剤溜め66の流入口86A側と流出口86B側の両方に設けられているが、少なくとも流入口86A側すなわち潤滑剤溜め66への潤滑剤Lの流入側に設けられることが望ましい。
【0069】
加熱機構9を流出口86B側のみ、すなわち潤滑剤溜め66からの潤滑剤Lの排出側のみに設けると、潤滑剤Lが加熱機構9で温められてすぐに排出されてしまい、潤滑剤溜め66の内部の潤滑剤Lを十分に温めることができない。
それに対し、加熱機構9を少なくとも流入口86A側すなわち潤滑剤溜め66への潤滑剤Lの流入側に設けることで、加熱機構9で温められた潤滑剤Lが流出口86Bから排出されるまでに潤滑剤溜め66の内部を長い距離移動することになる。そのため、加熱機構9で温められた潤滑剤Lが移動する際に潤滑剤溜め66の内部の多くの潤滑剤Lを温めることが可能となり、吐出部61内の潤滑剤Lを急速に温めることが可能となる。
【0070】
また、本実施形態では、供給機構7は、吐出部61における潤滑剤Lの温度Tに応じて、供給する潤滑剤Lに加える圧力を変えるようになっている。
このように供給機構7で吐出部61に供給する潤滑剤Lに加える圧力を変えることによっても吐出部61内の潤滑剤Lを急速に温めることが可能となる。
【0071】
本実施形態では、図4に示すように、供給機構7の供給路63のポンプ64と制御弁65の間に、高圧のリリーフ弁87と低圧のリリーフ弁88と電磁弁89が設けられている。
そして、電磁弁89の開閉により供給路63から吐出部61に供給される潤滑剤Lに係る圧力を高圧と低圧の間で切り替えるようになっている。
【0072】
以下、供給する潤滑剤Lに加える圧力の変え方の一例について具体的に説明する。
図11に示すように、吐出部61の潤滑剤溜め66内の潤滑剤Lの温度Tが初期温度T0の状態で、時刻t0にオイルタンク62の加熱機構75と吐出部61の加熱機構9を作動させて、オイルタンク62内の潤滑剤Lと潤滑剤溜め66内の潤滑剤Lに対する加熱を開始する。
【0073】
そして、潤滑剤Lの温度Tが、ポンプ64の運転開始が可能な温度T1まで上昇した時点t1で、ポンプ64の運転を開始させる。
その際、制御弁65と電磁弁89がいずれもオフであるため、すなわち閉じているため、ポンプ64によるオイルタンク62からの潤滑剤Lの吸い上げにより、ポンプ64から制御弁65までの部分の供給路63内の潤滑剤Lの圧力が上昇する。
【0074】
そして、供給路63内の潤滑剤Lの圧力が高圧のリリーフ弁87の設定圧力まで上昇すると、供給路内63内の潤滑剤Lがリリーフ弁87を介してオイルタンク62に戻るようになる。
この場合、ポンプ64から制御弁65までの部分の供給路63内の潤滑剤Lの圧力は、高圧のリリーフ弁87の設定圧力である。
【0075】
そして、潤滑剤Lの温度Tが、高圧での循環すなわち高圧のリリーフ弁87の設定圧力での循環が可能な温度T2まで上昇した時点t2で、制御弁65と循環機構8の制御弁71をオンにする。
すなわち、制御弁65と制御弁71を開く。
【0076】
すると、オイルタンク62で温められた高圧の潤滑剤L、すなわち高圧のリリーフ弁87の設定圧力の潤滑剤Lが供給路63を通って吐出部61の潤滑剤溜め66にいわば強制的に供給され、潤滑剤溜め66の内部を流れるようになる。
そのため、潤滑剤溜め66内の潤滑剤Lの温度Tが、供給路63からの潤滑剤Lの流入と加熱機構9による加熱のために急速に上昇する。
【0077】
そして、潤滑剤Lの温度Tが、低圧での循環すなわち低圧のリリーフ弁88の設定圧力での循環が可能な温度T3まで上昇して流動性が増した時点t3で、電磁弁89をオンにする。すなわち、電磁弁89を開く。
すると、供給路63内の潤滑剤Lの圧力を低圧のリリーフ弁88の設定圧力に低下させても、潤滑剤Lが供給路63を通って潤滑剤溜め66に供給されるようになり、供給路63からの潤滑剤Lの流入と加熱機構9による加熱のために潤滑剤溜め66内の潤滑剤Lの温度Tが上昇し続ける。
【0078】
このように、潤滑剤Lの温度Tが低く潤滑剤Lの粘度が高い状態でも、高圧で潤滑剤Lを吐出部61に送り込むことで、吐出部61内の潤滑剤Lの温度Tをより急速に上昇させることができる。
すなわち、潤滑剤Lの圧力を変えずに低圧で供給する場合に比べて、少なくとも、図11において潤滑剤Lの温度TがT2からT3まで上昇する時間を短縮することが可能となる。
【0079】
そのため、吐出部61の潤滑剤溜め66内の潤滑剤Lの温度Tが、初期温度T0の時刻t0から、ノズル80から潤滑剤Lを吐出させることが可能となる温度T4になる時刻t4までの時間がより短くなる。
そのため、上記のように、供給機構7で、吐出部61における潤滑剤Lの温度Tに応じて潤滑剤Lに加える圧力を変えるように構成することで、吐出部61内の潤滑剤Lを急速に温めることが可能となる。
【0080】
なお、吐出部61の潤滑剤溜め66内の潤滑剤Lの初期温度T0が、ポンプ64の運転開始が可能な温度T1以上であれば、最初から、すなわち時刻t0の時点ですぐにポンプ64の運転を開始してもよい。
また、潤滑剤Lの初期温度T0が、高圧のリリーフ弁87の設定圧力での循環が可能な温度T2以上であれば、最初から、すなわち時刻t0の時点ですぐにポンプ64の運転を開始させ、制御弁65と制御弁71を開いて、高圧の潤滑剤Lの吐出部61への供給を開始してもよい。
【0081】
また、潤滑剤Lの初期温度T0が、低圧のリリーフ弁88の設定圧力での循環が可能な温度T3以上であれば、最初から、すなわち時刻t0の時点ですぐにポンプ64の運転を開始させ、制御弁65と制御弁71と電磁弁89を開いて、低圧の潤滑剤Lの吐出部61への供給を開始してもよい。
また、潤滑剤Lの初期温度T0が、ノズル80から潤滑剤Lを吐出させることが可能となる温度T4以上であれば、最初から、すなわち時刻t0の時点ですぐにポンプ64の運転を開始させ、制御弁65と電磁弁89を開き、制御弁71を閉じて、低圧の潤滑剤Lを吐出部61に供給しながら、ノズル80からの潤滑剤Lの吐出を開始してもよい。
【0082】
ところで、上記のように、ワークWの成形が開始される前に潤滑剤Lを温めて潤滑剤Lの流動性を高めて潤滑剤Lを吐出できる状態にしておかなければならない。
そのため、本実施形態では、上記のように、潤滑剤LをワークWに吐出する前に、図4に示した循環機構8の各排出路70に設けられた各制御弁71をそれぞれ開いて潤滑剤Lを循環させて、潤滑剤溜め66内の潤滑剤Lを温めるようになっている。
【0083】
しかし、ワークWの成形が開始され、吐出部61のノズル80からの潤滑剤Lの吐出が開始された後も各制御弁71を開いたままにすると、潤滑剤Lが流出口86Bから排出されてしまい、潤滑剤溜め66内の圧力が十分に高まらなくなる可能性がある。
そして、潤滑剤溜め66内の圧力が高まらないと、ノズル80から適切な量の潤滑剤Lが吐出されなくなる可能性がある。
【0084】
そのため、本実施形態では、ワークWの成形が開始されてノズル80から潤滑剤Lを吐出させる際には、循環機構8の各制御弁71を閉じて循環機構8による潤滑剤Lの循環を停止するようになっている。
このように構成することで、潤滑剤溜め66内の圧力を高めることが可能となり、ノズル80から適切な量の潤滑剤Lを吐出させることが可能となる。
【0085】
なお、本発明が上記の実施形態等に限定されず、本発明の趣旨を逸脱しない限り、適宜変更可能であることは言うまでもない。
【符号の説明】
【0086】
1 ストレッチ成形装置
2 挟み込み機構
3 成形部
4 引っ張り機構
7 供給機構
8 循環機構
9 加熱機構
61 吐出部
66 潤滑剤溜め
86A 流入口(潤滑剤の流入側)
91 ヒータ
92 保護筒
L 潤滑剤
T 潤滑剤の温度
W ワーク
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11