(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024170185
(43)【公開日】2024-12-06
(54)【発明の名称】作業機
(51)【国際特許分類】
B25C 1/00 20060101AFI20241129BHJP
B25C 1/06 20060101ALI20241129BHJP
【FI】
B25C1/00 A
B25C1/06
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023087207
(22)【出願日】2023-05-26
(71)【出願人】
【識別番号】000005094
【氏名又は名称】工機ホールディングス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002066
【氏名又は名称】弁理士法人筒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】清原 大樹
(72)【発明者】
【氏名】須鑓 啓太
【テーマコード(参考)】
3C068
【Fターム(参考)】
3C068AA01
3C068BB01
3C068CC07
3C068CC09
3C068FF02
3C068JJ03
(57)【要約】
【課題】作業性を向上させることができる作業機を提供する。
【解決手段】釘打機10は、マガジン部52と、射出部42と、打撃部26とを備える。マガジン部52は、マガジンベース54と、マガジンカバー82と、フィーダ110と、ガイド部140とを有する。フィーダ110は、マガジンベース54とマガジンカバー82との間に位置し、釘を射出部42に向けて付勢する。ガイド部140は、釘を前後方向に案内する。フィーダ110は、左右方向の移動が規制される被規制部122を有する。被規制部122は、ガイド部140よりも上側の第1被規制部124と、ガイド部140よりも下側の第2被規制部126と、を有する。マガジンカバー82は、フィーダ110が釘を付勢するときに第1被規制部124に当接する第1当接部92と、フィーダ110が釘を付勢するときに第2被規制部126に当接する第2当接部94と、を有する。
【選択図】
図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
止具を収容するマガジン部と、
前記マガジン部から前記止具が供給される射出部と、
前記射出部に供給された前記止具を第1方向の一方側へ打撃する打撃部と、を備え、
前記マガジン部は、
前記第1方向と直交する第2方向に延び、前記第2方向の一方側の端部が前記射出部に接続されたベースと、
前記ベースに対して前記第1方向及び前記第2方向の両方と直交する第3方向の一方側に位置し、前記ベースとの間に前記止具を収容するカバーと、
前記ベースと前記カバーとの間に位置し、前記止具を前記射出部に向けて付勢するフィーダと、
前記フィーダと前記カバーとの間で前記第2方向に沿って延び、前記止具を前記第2方向に案内するガイド部と、を有し、
前記フィーダは、前記止具を付勢する際に前記カバーに当接することで前記第3方向の移動が規制される被規制部を有し、
前記被規制部は、前記ガイド部よりも前記第1方向の他方側に位置する第1被規制部と、前記ガイド部よりも前記第1方向の一方側に位置する第2被規制部と、を有し、
前記カバーは、前記フィーダが前記止具を付勢するときに前記第1被規制部に当接する第1当接部と、前記フィーダが前記止具を付勢するときに前記第2被規制部に当接する第2当接部と、を有する、作業機。
【請求項2】
前記第1被規制部は、前記フィーダの前記第1方向における前記止具との当接範囲よりも前記第1方向の他方側に位置する、
請求項1に記載の作業機。
【請求項3】
前記第1被規制部の前記第2方向の一方側の端部は、前記フィーダの前記第2方向における前記止具との当接部位よりも前記第2方向の他方側に位置する、
請求項2に記載の作業機。
【請求項4】
前記フィーダの前記止具との当接部位は、前記射出部の内側に進入可能であり、
前記当接部位が前記射出部の内側に進入した場合、前記第1被規制部の前記第2方向の一方側の端部は、前記射出部の外側に位置する、
請求項3に記載の作業機。
【請求項5】
前記フィーダは、前記第2被規制部よりも前記第1方向の一方側へ突出する突出部を有し、
前記ベースは、前記突出部の前記第3方向への移動を規制することで前記突出部を前記第2方向に案内するガイド溝を有する、
請求項3に記載の作業機。
【請求項6】
前記カバーは、前記第1方向において前記第1当接部と前記第2当接部との間に位置し、且つ前記フィーダと当接する第3当接部を有し、
前記第3当接部は、前記第1方向において前記ガイド部とは異なる位置にあり、
前記フィーダの前記第2方向の移動範囲内において、前記第3当接部が位置する範囲は、前記第1当接部が位置する範囲又は前記第2当接部が位置する範囲よりも小さい、
請求項1に記載の作業機。
【請求項7】
止具を収容するマガジン部と、
前記マガジン部から前記止具が供給される射出部と、
前記射出部に供給された前記止具を第1方向の一方側へ打撃する打撃部と、を備え、
前記マガジン部は、
前記第1方向と直交する第2方向に延び、前記第2方向の一方側の端部が前記射出部に接続されたベースと、
前記ベースに対して前記第1方向及び前記第2方向の両方と直交する第3方向の一方側に位置し、前記ベースとの間に前記止具を収容するカバーと、
前記ベースと前記カバーとの間に位置し、前記止具を前記射出部に向けて付勢するフィーダと、を有し、
前記フィーダは、前記フィーダの前記第2方向における移動可能範囲における前記第2方向の一方側の端部に前記フィーダが位置する状態において、前記射出部よりも前記第2方向の他方側に位置し、前記カバーと接触する接触部が設けられている、作業機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、作業機に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1に記載された釘打機は、ノーズに連結されたマガジンベースと、マガジンベースの長手方向にスライド可能に取付けられたマガジンカバーとを有する。マガジンカバーは、マガジンベースとの間に連結釘を収容する空間を形成する。マガジンベースとマガジンカバーとの間には、プッシャが設けられている。プッシャは、連結釘の先頭釘をノーズの打込通路に向けて付勢する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1のプッシャの上端部は、マガジンカバーによって支持されない部分を有している。このため、プッシャが釘をノーズに供給しているときに、プッシャが釘に対して傾くことによる釘の供給不良が生じる可能性があり、作業性が低下する虞があった。
【0005】
本発明の目的は、作業性を向上させることができる作業機を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
一実施形態の作業機は、止具を収容するマガジン部と、前記マガジン部から前記止具が供給される射出部と、前記射出部に供給された前記止具を第1方向の一方側へ打撃する打撃部と、を備える。前記マガジン部は、前記第1方向と直交する第2方向に延び、前記第2方向の一方側の端部が前記射出部に接続されたベースと、前記ベースに対して前記第1方向及び前記第2方向の両方と直交する第3方向の一方側に位置し、前記ベースとの間に前記止具を収容するカバーと、前記ベースと前記カバーとの間に位置し、前記止具を前記射出部に向けて付勢するフィーダと、前記フィーダと前記カバーとの間で前記第2方向に沿って延び、前記止具を前記第2方向に案内するガイド部と、を有する。前記フィーダは、前記止具を付勢する際に前記カバーに当接することで前記第3方向の移動が規制される被規制部を有する。前記被規制部は、前記ガイド部よりも前記第1方向の他方側に位置する第1被規制部と、前記ガイド部よりも前記第1方向の一方側に位置する第2被規制部と、を有する。前記カバーは、前記フィーダが前記止具を付勢するときに前記第1被規制部に当接する第1当接部と、前記フィーダが前記止具を付勢するときに前記第2被規制部に当接する第2当接部と、を有する。
【0007】
一実施形態の作業機は、止具を収容するマガジン部と、前記マガジン部から前記止具が供給される射出部と、前記射出部に供給された前記止具を第1方向の一方側へ打撃する打撃部と、を備え、前記マガジン部は、前記第1方向と直交する第2方向に延び、前記第2方向の一方側の端部が前記射出部に接続されたベースと、前記ベースに対して前記第1方向及び前記第2方向の両方と直交する第3方向の一方側に位置し、前記ベースとの間に前記止具を収容するカバーと、前記ベースと前記カバーとの間に位置し、前記止具を前記射出部に向けて付勢するフィーダと、を有し、前記フィーダは、前記フィーダの前記第2方向における移動可能範囲における前記第2方向の一方側の端部に前記フィーダが位置する状態において、前記射出部よりも前記第2方向の他方側に位置し、前記カバーと接触する接触部が設けられている。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、作業機の作業性を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】本実施形態の釘打機の外観を示す左側面図である。
【
図3】マガジンカバーが開位置にある場合の釘打機の左側面図である。
【
図4】釘打機の前端部の内部構造を示す断面図(
図1のA-A線断面図)である。
【
図6】フィーダ無しの状態のマガジンカバーを内側から見た左側面図である。
【
図7】フィーダがマガジンベースとマガジンカバーとに挟まれた状態を示す断面図である。
【
図10】フィーダ有りの状態のマガジンカバーを内側から見た左側面図である。
【
図11】フィーダが後側へスライドした状態のマガジンカバーを内側から見た左側面図である。
【
図12】釘がフィーダと接触している状態を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明の一実施形態について図面を参照しながら詳細に説明する。なお、実施形態を説明するために参照する全ての図面において、同一または実質的に同一の構成や要素には同一の符号を用いる。また、一度説明した構成や要素については、原則として繰り返しの説明は行わない。
【0011】
〔釘打機の概要〕
本実施形態に係る作業機は、釘やステープルなどの止具を木材や石膏ボードなどの相手材に打ち込む打込み作業に適している。より特定的には、本実施形態に係る作業機は、一例として、釘打機10である。
【0012】
図1に示されるように、釘打機10は、ハウジング12と、打撃部26(
図2)と、射出部42と、マガジン部52と、を備える。釘打機10は、止具の一例である釘N(
図3)を相手材Bに打ち込む。釘Nは、射出部42に1本ずつ供給される。所定の条件が満たされた場合、射出部42に供給された釘Nが、打撃部26によって打撃される。この結果、釘Nが射出部42から射出され、相手材Bに打ち込まれる。
【0013】
<方向の定義>
図2に示されるように、打撃部26が釘N(
図3)を打撃する方向を上下方向とする。上下方向は、「第1方向」の一例である。上下方向のうち、一方側を下側とし、他方側を上側とする。上下方向の下側は、「第1方向の一方側」の一例である。つまり、打撃部26は、釘Nを上下方向の下側に向けて打撃する。
【0014】
上下方向と直交する方向であり、且つマガジン部52の長手方向を前後方向とする。前後方向は、「第2方向」の一例である。前後方向のうち、一方側を前側とし、他方側を後側とする。前後方向の前側は、「第2方向の一方側」の一例である。
【0015】
上下方向及び前後方向の両方と直交する方向を左右方向とする。左右方向は、「第3方向」の一例である。左右方向のうち、一方側を左側とし、他方側を右側とする。左右方向の左側は、「第3方向の一方側」の一例である。なお、上下方向、前後方向及び左右方向の定義は、説明の便宜上の定義に過ぎない。
【0016】
<ハウジング>
ハウジング12は、打撃部収容室14、ハンドル16、モータ収容室18及び連結部22を含む。打撃部収容室14は、上下方向に延びている。ハンドル16はモータ収容室18に対して上側に位置する。ハンドル16の前方下端部には、トリガレバー17が設けられている。ハンドル16の前端部及びモータ収容室18の前端部は、打撃部収容室14と繋がっている。ハンドル16の後端部及びモータ収容室18の後端部は、連結部22と繋がっている。
【0017】
連結部22には、釘打機10の各動作を制御するコントローラ40が設けられている。また、連結部22の後端には、バッテリパック24が設けられている。バッテリパック24は、連結部22に着脱可能である。モータ収容室18には、モータ34及び減速機構部35が収容されている。
【0018】
ハウジング12は、ナイロンやポリカーボネートなどの合成樹脂によって形成された2つのハウジング部材によって構成されている。ハウジング12は、より特定的には、互いに左右方向に突き合わされ、且つ不図示のねじで固定された2つのハウジング部材によって構成されている。
【0019】
<打撃部>
打撃部収容室14の内部には、打撃部26が収容されている。打撃部26は、一例として、プランジャ27、ドライバブレード28、コイルスプリング29、カウンタウエイト31、ギヤ群32、スライドガイドバー33等を含む。プランジャ27とカウンタウエイト31は、上下方向に対向する。プランジャ27とカウンタウエイト31との間には、コイルスプリング29が配置されている。これにより、コイルスプリング29が縮むと、プランジャ27とカウンタウエイト31とが近接する。一方、コイルスプリング29が伸びると、プランジャ27とカウンタウエイト31とが離間する。
【0020】
プランジャ27及びドライバブレード28が下側に移動される場合、カウンタウエイト31は上方に移動される。一方、プランジャ27及びドライバブレード28が上方に移動するとき、カウンタウエイト31は下方に移動する。つまり、プランジャ27及びドライバブレード28と、カウンタウエイト31とは、互いに逆方向に移動する。
【0021】
ここで、トリガレバー17に対する操作を含む所定条件が満たされた場合、コントローラ40の制御の下で、バッテリパック24からモータ34に電力が供給される。モータ34から出力された回転駆動力は、減速機構部35を介してギヤ群32に入力される。ギヤ群32が回転した場合、プランジャ27が押し上げられる。これにより、プランジャ27は、コイルスプリング29を圧縮しながら上方に移動する。
【0022】
一方、カウンタウエイト31は、コイルスプリング29を圧縮しながら下降する。その後、プランジャ27は、コイルスプリング29の復元力(付勢力)を受けて下降する。このとき、プランジャ27に取り付けられているドライバブレード28も下降する。そして、ドライバブレード28は、下降しながら、射出部42内の釘N(
図3)を下側に向けて打撃する。このように、打撃部26は、射出部42に供給された釘Nを上下方向の下側へ打撃するように構成されている。
【0023】
上記のように、釘抜機10の1回の打込み動作が完了する。打込み動作が完了したときに打込み動作を継続するための条件が満たされていない場合、コントローラ40は、次の打込み動作に移行することなく、モータ34を停止させる。例えば、打込み動作が完了したときにトリガレバー17に対する操作が解除されていると、コントローラ40は、モータ34を停止させる。なお、コントローラ40は、次回の打込み動作に備えてプランジャ27を待機位置まで移動させた後にモータ34を停止させる。
【0024】
<射出部>
射出部42は、ハウジング12に固定されている。射出部42は、打撃部26に対する下側で且つ後述するマガジン部52に対する前側に位置する。射出部42では、マガジン部52から釘Nが供給される。具体的には、射出部42は、前後方向に所定の厚さを有する板状のブレードガイド44(
図5)を有する。ブレードガイド44は、ドライバブレード28を上下方向に案内する。
【0025】
<マガジン部>
図3に示されるように、マガジン部52に装填される複数本の釘Nは、前後方向に一列に並べられ、かつ、互いに連結されており、全体としてシート状の連結釘NCとして設けられている。連結釘NCのそれぞれの釘Nは、頭部の径と軸部の径とが略同一であり、一般的にピン釘と呼ばれる。それぞれの釘Nは、接着剤によって互いに連結されており、分離可能である。このため、連結釘NCが射出部42に供給される状態では、釘Nが1本ずつ射出部42に供給されることになる。
【0026】
図4に示されるように、マガジン部52は、マガジンベース54と、マガジンカバー82と、フィーダ110と、ガイド部140と、を有する。マガジン部52は、モータ収容室18の下側に位置している。マガジンベース54は、釘打機10の左右方向の中央部よりも右側に位置している。マガジンカバー82は、釘打機10の左右方向の中央部よりも左側に位置している。
【0027】
<<マガジンベース>>
図5に示されるように、マガジンベース54は、前後方向に延びている。マガジンベース54は、ベースの一例である。マガジンベース54の前端部56は、射出部42に接続されている。前端部56は、「第2方向の一方側の端部」の一例である。具体的には、マガジンベース54は、前後方向を長辺とする略長方形の側面形状を有する金属部材である。前端部56は、ブレードガイド44に突き当てられ、ねじ留めされている。
【0028】
マガジンベース54は、連結釘NC(
図3)が載置される搭載面58を備えている。マガジンベース54は、搭載面58に載置された連結釘NCを前方に移動可能に保持する。換言すると、マガジンベース54は、搭載面58に載置された複数本の釘Nを供給先である射出部42へ移動可能に保持する。
【0029】
マガジンベース54の上下方向の中央よりも上部には、上下方向に間隔をあけて並び、且つ前後方向に延びる複数のガイドリブ62が設けられている。複数のガイドリブ62の上下方向の間には、後述するガイド部140が設けられている。マガジンベース54の上下方向の中央よりも下部には、搭載面58から右側へ窪んだスリット64が設けられている。
【0030】
スリット64は、マガジンベース54の後端部から前側へ延びている。スリット64の上下方向の間隔は、一例として、前側の方が後側よりも小さい。スリット64の前端部の付近には、位置センサ66が設けられている。
【0031】
位置センサ66は、一例として、マイクロスイッチから成る。位置センサ66は、後述するフィーダ110の被検知部116を検知する。具体的には、位置センサ66は、不図示の被押圧部を備えており、被検知部116によって被押圧部が押圧された場合に、被検知部116の検出信号を出力する。被検知部116によって被押圧部が押圧されない場合、被検知部116の検出信号は出力されない。このように、位置センサ66は、フィーダ110の前後方向の位置を検知可能である。尚、位置センサ66は、ホールIC等の磁気センサや、光学センサ等であってもよい。
【0032】
マガジンベース54の左側面における下端部には、マガジンガイド72及び金属板76が固定されている。マガジンガイド72は、前後方向に延びる金属製の部材である。マガジンガイド72は、上側に開口する溝部74を有する。
【0033】
金属板76は、マガジンベース54とマガジンガイド72とで左右方向に挟まれている。金属板76の上端面77は、前後方向に沿った平坦な面とされている。釘N(
図3)が射出部42において打撃される前の時点(収容時点)において、釘N(連結釘NC)の先端(下端)は、上端面77に当接する。これにより、釘Nの下方への移動が規制されている。
【0034】
図7に示されるように、マガジンベース54は、ガイド溝61を有する。ガイド溝61は、マガジンベース54の左側面と、金属板76の上端面77と、マガジンガイド72の右側面とで囲まれた窪み部である。ガイド溝61は、マガジンベース54の左側面とマガジンガイド72の右側面とで、後述する突出部138の左右方向への移動を規制することで、突出部138を前後方向に案内する。
【0035】
<<マガジンカバー>>
図3に示されるように、マガジンカバー82は、マガジンベース54と略同一の側面形状を有している。マガジンカバー82は、カバーの一例である。マガジンカバー82は、マガジンベース54に前後方向に移動可能(スライド可能)に取り付けられる。マガジンカバー82は、マガジンベース54の搭載面58を露出させる開位置と、搭載面58を覆う閉位置との間でスライド可能である。マガジンカバー82は、一例として、部分的に透明または半透明な樹脂によって形成されている。これにより、マガジンカバー82を開かなくても、マガジン部52に装填されている釘Nの残数を目視で確認することができる。
【0036】
図4に示されるように、マガジンカバー82は、マガジンベース54に対して左右方向の左側に位置している。マガジンカバー82は、マガジンベース54との間に複数の釘N(
図3)を収容する。
【0037】
図6には、マガジンカバー82の右側面部が示されている。換言すると、マガジンカバー82のマガジンベース54(
図4)と対向する部位が示されている。マガジンカバー82の上部には、上側係合部84が設けられている。また、マガジンカバー82の下部には、下側係合部86が設けられている。
【0038】
上側係合部84は、複数のガイドリブ62(
図5)よりも上側に位置する上ガイド63(
図5)にスライド可能に係合される。下側係合部86は、溝部74(
図5)にスライド可能に係合される。これにより、マガジンカバー82は、マガジンベース54に、前後方向にスライド可能に取り付けられている。
【0039】
また、マガジンカバー82は、一例として、第1当接部92と、第2当接部94と、第3当接部96A、96B、96Cと、を有する。また、マガジンカバー82は、第1当接部98と、第2当接部102と、第3当接部104A、104B、104Cと、を有する。第1当接部92、第2当接部94及び第3当接部96A、96B、96Cをまとめて、前方当接部91とする。第1当接部98、第2当接部102及び第3当接部104A、104B、104Cをまとめて、後方当接部97とする。さらに、マガジンカバー82は、複数の板ばね106を有する。
【0040】
<<<前方当接部>>>
前方当接部91について説明する。なお、フィーダ110(
図5)は、釘N(
図3)を前方に向けて付勢している場合、前方当接部91又は後方当接部97と当接するように位置している。
【0041】
<<<<第1当接部>>>>
図6に示されるように、第1当接部92は、フィーダ110(
図5)が釘Nを付勢するときに、後述する第1被規制部124(
図7)に当接する部位である。第1当接部92は、マガジンカバー82の右側面の前端部において、上部に設けられている。第1当接部92の第1被規制部124と当接する部分は、前後方向に沿った平面状に形成されている。
【0042】
<<<第2当接部>>>
第2当接部94は、フィーダ110が釘Nを付勢するときに、第2被規制部126(
図7)に当接する部位である。第2当接部94は、マガジンカバー82の右側面の前端部において、下部に設けられている。第2当接部94の第2被規制部126と当接する部分は、前後方向に沿った平面状に形成されている。
【0043】
<<<第3当接部>>>
第3当接部96A、96B、96Cは、マガジンカバー82の右側面の前端部に設けられている。さらに、第3当接部96A、96B、96Cは、上下方向において第1当接部92と第2当接部94との間に位置しており、且つフィーダ110と当接する部位である。第3当接部96A、96Bの第3被規制部128、129(
図7)と当接する部分は、前後方向に沿った平面状に形成されている。
【0044】
第1当接部92と第3当接部96Aとの間には、前後方向に沿った溝部95Aが形成されている。第3当接部96Aと第3当接部96Bとの間には、前後方向に沿った溝部95Bが形成されている。第3当接部96Bと第3当接部96Cとの間には、前後方向に沿った溝部95Cが形成されている。第3当接部96Cと第2当接部94との間には、前後方向に沿った溝部95Dが形成されている。
【0045】
<<<後方当接部>>>
後方当接部97について説明する。後方当接部97は、前方当接部91に対して前後方向に間隔をあけて、前方当接部91よりも後側に位置している。後方当接部97の前後方向の幅は、前方当接部91の前後方向の幅と比べて狭い。なお、マガジンカバー82における前方当接部91と後方当接部97との間で、且つ第1当接部92と第2当接部94との間には、後述する板ばね106が設けられている。
【0046】
<<<<第1当接部>>>>
第1当接部98は、フィーダ110(
図7)が釘Nを付勢するときに、後述する第1被規制部124(
図7)に当接する部位である。第1当接部98は、マガジンカバー82の右側面における前後方向の中央部よりも前側において、上部に設けられている。第1当接部98の第1被規制部124と当接する部分は、前後方向に沿った平面状に形成されている。
【0047】
<<<<第2当接部>>>>
第2当接部102は、フィーダ110が釘Nを付勢するときに、第2被規制部126(
図7)に当接する部位である。第2当接部102は、マガジンカバー82の右側面における前後方向の中央部よりも前側において、下部に設けられている。第2当接部102の第2被規制部126と当接する部分は、前後方向に沿った平面状に形成されている。
【0048】
<<<<第3当接部>>>>
第3当接部104A、104B、104Cは、マガジンカバー82の右側面における前後方向の中央部よりも前側に設けられている。さらに、第3当接部104A、104B、104Cは、上下方向において第1当接部98と第2当接部102との間に位置し、且つ後述するフィーダ110と当接する部位である。第3当接部104A、104B、104Cの第3被規制部128、129と当接する部分は、前後方向に沿った平面状に形成されている。
【0049】
第3当接部96A、96B、96C、104A、104B、104Cは、上下方向において、後述するガイド部140とは異なる位置にある。ここで、マガジンカバー82において、フィーダ110の前後方向の移動可能範囲をSとする。第1当接部92が設けられている範囲をSAとする。第2当接部94が設けられている範囲をSBとする。範囲SBは、範囲Sの内側にある。範囲SAは、範囲SBの内側にある。
【0050】
さらに、移動範囲S内において、前方当接部91が設けられている範囲をSC1とし、後方当接部97が設けられている範囲をSC2とする。範囲SC1及び範囲SC2は、それぞれ、範囲SA又は範囲SBよりも狭い。
【0051】
<<<板ばね>>>
図6に示されるように、板ばね106は、一例として、マガジンカバー82に8つ設けられている。板ばね106は、上下方向から見た場合、前後方向の中央部が左側に突出する山形状に形成されている。4つの板ばね106は、マガジンカバー82における前方当接部91と後方当接部97との間の部位に、上下方向に間隔をあけて設けられている。他の4つの板ばね106は、マガジンカバー82における後方当接部97よりも後側の部位に、上下方向に間隔をあけて設けられている。8つの板ばね106は、後述するガイド部140を右側に付勢する。
【0052】
<<フィーダ>>
図7に示されるように、フィーダ110は、左右方向でマガジンベース54とマガジンカバー82との間に位置している。フィーダ110は、釘N(
図3)を射出部42(
図5)に向けて付勢する。具体的には、フィーダ110は、マガジンカバー82に支持されており、且つマガジンベース54とマガジンカバー82とによって左右方向に挟まれた状態で、前後方向にスライド可能である。
【0053】
図3に示されるように、マガジンカバー82において、フィーダ110の後方には、フィーダピース111が配置されている。フィーダピース111は、後述する被付勢部114の後端面114A(
図8)に接触するように設けられている。フィーダピース111の後端部には、不図示のスプリングが設けられている。当該スプリングは、フィーダピース111を介してフィーダ110を前方に付勢している。
【0054】
図8及び
図9に示されるように、フィーダ110は、一例として、基部112と、被付勢部114と、被検知部116と、被規制部122と、被当接部134、136と、突出部138と、を有する。フィーダ110は、金属製の部材である。なお、フィーダ110の各部の位置関係については、フィーダ110がマガジン部52(
図5)に設けられた状態(姿勢)にあるものとして説明する。
【0055】
<<<基部>>>
基部112は、左右方向に所定の厚さを有する板状に形成されている。基部112は、前後方向に延びる矩形状に形成されている。基部112の前端部には、前端面112Aが形成されている。基部112よりも下側には、後述する第2被規制部126が設けられている。基部112と第2被規制部126との境界部分には、段差113が形成されている。換言すると、基部112は、第2被規制部126よりも右側に位置している。
【0056】
<<<被付勢部>>>
被付勢部114は、基部112の前後方向の中央部に対する下側に位置しており、且つ第2被規制部126の下端部から左側へ延びている。換言すると、被付勢部114は、第2被規制部126に対して直角に屈曲されている。被付勢部114は、上下方向に所定の厚さを有する板状に形成されている。被付勢部114は、前後方向に沿った辺と左右方向に沿った辺とを有する四角形状に形成されている。被付勢部114の後端面114Aには、フィーダピース111(
図3)が接触している。
【0057】
<<<被検知部>>>
被検知部116は、基部112の前後方向の後部に対する下側に位置しており、且つ第2被規制部126の下端部から右側へ延びている。換言すると、被検知部116は、第2被規制部126に対して直角に屈曲されている。被検知部116は、上下方向に所定の厚さを有する板状に形成されている。被検知部116は、前後方向に沿った辺と左右方向に沿った辺とを有する四角形状に形成されている。被検知部116は、スリット64(
図5)に挿入されている。フィーダ110が前後方向に移動された場合、位置センサ66(
図5)による被検知部116の検出の有無に基づいて、フィーダ110の前後方向の位置が検出される。
【0058】
なお、被検知部116は、スリット64の内壁と接触することで、左右方向の移動が規制される。換言すると、被検知部116は、スリット64によって前後方向に案内される被ガイド部としても機能する。このように、被検知部116は、フィーダ110を前後方向に案内する場合の補助的なガイド部としても機能する。
【0059】
<<<被規制部>>>
被規制部122は、釘Nを前方に向けて付勢する際に、マガジンカバー82(
図5)に当接することで、左方向の移動が規制される。被規制部122は、一例として、第1被規制部124と、第2被規制部126と、第3被規制部128、129と、を有する。
【0060】
<<<<第1被規制部>>>>
第1被規制部124は、左右方向に所定の厚さを有する板状に形成されている。第1被規制部124は、ガイド部140(
図5)よりも上下方向の上側に位置している。つまり、第1被規制部124は、フィーダ110の上下方向における釘Nとの当接範囲ZA(
図9)よりも上下方向の上側に位置している。第1被規制部124は、フィーダ110における第1被規制部124以外の箇所と比較して、前方側が切り欠かれた形状を有する。このため第1被規制部124の前後方向の前端部(前端面124A)は、後述する前端面132及び前端面136Aよりも前後方向の後側に位置している。これにより、フィーダ110が移動可能範囲S(
図6)の最も前方に位置し、前端面132が射出部42(
図5)の内側に進入した場合にも、前端面124Aは、
図10に示すように射出部42よりも後方に位置し、射出部42の外側に位置するようになっている。
【0061】
<<<<第2被規制部>>>>
第2被規制部126は、左右方向に所定の厚さを有する板状に形成されている。第2被規制部126は、基部112に対する下側に設けられている。第2被規制部126は、ガイド部140(
図5)よりも上下方向の下側に位置している。第2被規制部126の前端部には、前端面126Aが形成されている。なお、第2被規制部126は、当接範囲ZAの内側に位置している。第2被規制部126の前後方向の長さは、第1被規制部124の前後方向の長さよりも長い。
【0062】
このように、第1被規制部124及び第2被規制部126は、ガイド部140に対して上下方向の上側、下側にずれた位置にある。第1被規制部124及び第2被規制部126は、マガジンカバー82と接触する複数の接触部の一例である。
【0063】
<<<<第3被規制部>>>>
第3被規制部128は、基部112に対する上側で且つ第1被規制部124よりも下側に設けられている。第3被規制部128は、左右方向に所定の厚さを有する板状に形成されている。第3被規制部128は、基部112に対して左側に位置する。基部112と第3被規制部128との境界部分には、段差127(
図8)が形成されている。第3被規制部128は、第1被規制部124及び第2被規制部126と上下方向に並んでいる。第3被規制部128は、上下方向において、後述するガイドバー142Bとガイドバー142C(
図5)との間に位置している。
【0064】
第3被規制部128の前後方向の長さは、第1被規制部124の前後方向の長さよりも長く、且つ第2被規制部126の前後方向の長さよりも短い。第3被規制部128の前端部には、前端面132が形成されている。
【0065】
第3被規制部129は、後述する被当接部134に対する上側で且つ被当接部136に対する下側に設けられている。第3被規制部129は、左右方向に所定の厚さを有する板状に形成されている。第3被規制部129は、被当接部134、136に対して左側に位置する。第3被規制部129と被当接部134、136との境界部分には、段差131、133(
図8)が形成されている。第3被規制部129は、第1被規制部124、第2被規制部126及び第3被規制部128と上下方向に並んでいる。換言すると、第1被規制部124、第2被規制部126及び第3被規制部128、129は、左右方向の位置が同じ位置にある。
【0066】
第3被規制部129は、上下方向において、後述するガイドバー142Aとガイドバー142B(
図5)との間に位置している。第3被規制部129の前後方向の長さは、第1被規制部124の前後方向の長さよりも長く、第3被規制部128の前後方向の長さよりも短い。第3被規制部129の前端部には、前端面132が形成されている。前端面126Aと2つの前端面132は、前後方向の位置が同じ位置に揃えられている。前端面126A及び2つの前端面132は、釘Nと前後方向に当接する。
【0067】
フィーダ110は、前後方向に移動可能である。そして、フィーダ110の釘Nとの当接部位である前端面132は、射出部42(
図5)の内側に進入可能である。
【0068】
<<<被当接部>>>
図8及び
図9に示されるように、被当接部134は、第3被規制部128に対する上側で且つ第3被規制部129に対する下側に設けられている。被当接部134は、左右方向に所定の厚さを有する板状に形成されている。被当接部134は、第3被規制部128、129に対して右側に位置する。被当接部134は、基部112と上下方向に並んでいる。被当接部134の前端部には、前端面134Aが形成されている。
【0069】
被当接部136は、第3被規制部129に対する上側で且つ第1被規制部124に対する下側に設けられている。被当接部136は、左右方向に所定の厚さを有する板状に形成されている。被当接部136は、第3被規制部129及び第1被規制部124に対して右側に位置する。被当接部136は、基部112及び被当接部134と上下方向に並んでいる。換言すると、基部112、被当接部134及び被当接部136は、左右方向の位置が同じ位置にある。被当接部136の前端部には、前端面136Aが形成されている。
【0070】
前端面112A、前端面134A及び前端面136Aは、前後方向の位置が同じ位置に揃えられている。ここで、前端面126Aと2つの前端面132は、前端面112A、前端面134A及び前端面136Aに対して、前側に位置している。
【0071】
<<<突出部>>>
突出部138は、第2被規制部126の前端部から上下方向の下側へ突出している。突出部138は、左右方向に所定の厚さを有する板状に形成された部位である。突出部138は、被付勢部114よりも前側に位置しており、且つ被付勢部114よりも下側へ延びている。突出部138の前後方向の幅は、第2被規制部126の前後方向の幅よりも狭い。
【0072】
<<ガイド部>>
図5に示されるように、ガイド部140は、フィーダ110とマガジンカバー82との間で前後方向に沿って延びている。ガイド部140は、釘N(
図3)を前後方向に案内する。具体的には、ガイド部140は、4つのガイドバー142を有する。4つのガイドバー142は、上下方向に間隔をあけて並んでいる。なお、以後の説明では、4つのガイドバー142を区別しない場合は、単にガイドバー142と記載する。4つのガイドバー142を区別する場合は、上側から下側へ順番に、ガイドバー142A、142B、142C、142Dとする。
【0073】
ガイドバー142は、前後方向に延びる細長の金属板である。ガイドバー142は、上下方向に所定の厚さを有する。ガイドバー142の前端には、押え部144が設けられている。マガジンカバー82、フィーダ110及び4つのガイドバー142は、少なくともフィーダ110が釘N(
図3)に接触するまでは、一体的に前方にスライド可能である。
【0074】
フィーダ110が釘Nに接触した場合、少なくとも1つのガイドバー142は、釘Nの頭部に対する上側に位置し、残りのガイドバー142は、釘Nの軸部と当接する。釘Nの頭部に対する上側に位置するガイドバー142と、釘Nの軸部と当接するガイドバー142とは、マガジン部52(
図5)に装填される釘Nの上下方向の長さによって決まる。
【0075】
図6に示されるように、ガイドバー142Aは、溝部95Aに挿入され、且つ第1当接部98と第3当接部104Aとの間に挿入されている。ガイドバー142Bは、溝部95Bに挿入され、且つ第3当接部104Aと第3当接部104Bとの間に挿入されている。ガイドバー142Cは、溝部95Cに挿入され、且つ第3当接部104Bと第3当接部104Cとの間に挿入されている。ガイドバー142Dは、溝部95Dに挿入され、且つ第3当接部104Cと第2当接部102との間に挿入されている。ガイドバー142A、142B、142C、142Dは、8つの板ばね106によって、右側に向けて付勢されている。
【0076】
図10に示されるように、ガイドバー142A、142B、142C、142Dのそれぞれの前部は、フィーダ110と接触している。つまり、ガイドバー142A、142B、142C、142Dは、フィーダ110を右側に向けて付勢している。
【0077】
図7に示されるように、釘打機10では、フィーダ110が釘N(
図3)を前方に付勢するときに、第1被規制部124が第1当接部92(98)と当接し、第2被規制部126が第2当接部94(102)と当接する。さらに、第3被規制部128が第3当接部96B(104B)と当接し、第3被規制部129が第3当接部96A(104A)と当接する。なお、基部112は、釘打機10の通常の使用時において、第3当接部96Cとは左右方向に離れている。ただし、基部112が左側に向けて変位するような場合には、基部112が第3当接部96Cと当接する可能性がある。
【0078】
〔本実施形態の作用〕
図10には、マガジンカバー82が釘打機10(
図1)から取り外された状態が示されている。釘N(
図3)が無い状態では、フィーダ110がマガジンカバー82の前端部に位置している。フィーダ110は、二点鎖線で示すように、マガジンカバー82に前後方向にスライド可能に設けられている。
【0079】
図3に示されるように、マガジンカバー82が後側の開位置へスライドされた場合、フィーダ110もマガジンカバー82と共に後側へスライドする。これにより、マガジンベース54が開放される。この状態で、マガジンベース54に連結釘NCが装填される。連結釘NCの装填後、マガジンカバー82が前側の閉位置に向かってスライドされた場合、不図示のスプリングがフィーダ110を前方に付勢する。このため、フィーダ110は、閉位置に向けてスライドされる。マガジンベース54に保持されている連結釘NCは、フィーダ110の付勢力を受けて、1本ずつ射出部42に送り込まれる。
【0080】
図11に示されるように、連結釘NCがマガジン部52に装填された状態では、連結釘NCの後端とフィーダ110の前端面132とが接触する。これにより、フィーダ110は、マガジンカバー82の前後方向の中央部まで後退される。ここで、フィーダ110に対する左側には、後方当接部97が位置している。
【0081】
このため、
図7に示されるように、フィーダ110が第1当接部98、第2当接部102及び第3当接部104A、104B、104Cと当接した場合、フィーダ110は、マガジンカバー82に向けて傾倒することが抑制される。
【0082】
具体的には、第1被規制部124が第1当接部98と当接し、第2被規制部126が、第2当接部102と当接する。これにより、フィーダ110の上端部及び下端部がマガジンカバー82に支持された状態となるため、フィーダ110の上下方向に対する傾倒が抑制される。さらに、第3被規制部128、129が、第3当接部104A、104B、104Cと当接することで、フィーダ110の上下方向の中央部が、マガジンカバー82に向けて変形することが抑制される。
【0083】
図12には、マガジン部52において、最後の1本の釘Nが、フィーダ110によって射出部42(
図1)に向けて送り込まれる状態が示されている。この場合、フィーダ110の前端部は、複数のガイドリブ62と当接すると共に、前方当接部91と当接している。具体的には、第1被規制部124が第1当接部92と当接し、第2被規制部126が、第2当接部94と当接する。これにより、フィーダ110の上端部及び下端部がマガジンカバー82に支持された状態となるため、フィーダ110の上下方向に対する傾倒が抑制される。さらに、第3被規制部128、129が、第3当接部96A、96Bと当接することで、フィーダ110の上下方向の中央部が、マガジンカバー82に向けて変位することが抑制される。
【0084】
以下、
図1から
図12までを参照して、釘打機10の各作用についてまとめる。なお、個別の図番の記載は省略する。
【0085】
フィーダ110が釘Nを前方に付勢しているときに、釘Nの一部がマガジンベース54とフィーダ110との間に進入する等して、フィーダ110がマガジンカバー82に向けて傾倒する可能性がある。
【0086】
ここで、本実施形態の釘打機10では、フィーダ110の上端部に位置する第1被規制部124が、マガジンカバー82の第1当接部92(98)と当接する。さらに、フィーダ110の下端部に位置する第2被規制部126が、マガジンカバー82の第2当接部94(102)と当接する。つまり、フィーダ110の上下方向の両端部がマガジンカバー82と接触する。
【0087】
換言すると、ガイド部140よりも上側にずれた位置にある第1被規制部124が、第1当接部92と当接する。さらに、ガイド部140よりも下側にずれた位置にある第2被規制部126が、第2当接部94と当接する。
【0088】
このため、フィーダ110の姿勢が、マガジンカバー82に向けて傾倒する姿勢となることが抑制される。これにより、フィーダ110と釘Nとの接触状態を維持することができ、釘Nが射出部42に供給されにくくなることを抑制できるので、釘打機10の作業性を向上させることができる。
【0089】
釘打機10では、上下方向において、第1被規制部124が第1当接部92(98)と当接する位置が、フィーダ110と釘Nとの当接範囲ZAから上側に離れた位置となる。これにより、第1被規制部124と第1当接部92(98)との当接状態が、フィーダ110と釘Nとの接触状態に影響を与えにくくなるので、釘Nに対するフィーダ110の当接位置ずれを抑制することができる。
【0090】
釘打機10では、フィーダ110が釘Nを射出部42に供給する際に、釘Nの残り本数が少なくなるほど、フィーダ110と射出部42との前後方向の距離が近づく。ここで、第1被規制部124の前後方向の前端部が、フィーダ110の前後方向における釘Nとの当接部位(前端面132)よりも前後方向の後側に位置しているので、第1被規制部124と射出部42とが接触しにくい。これにより、フィーダ110が釘Nを射出部42へ供給する際に、第1被規制部124と射出部42との接触によるフィーダ110の姿勢の変化を抑制することができる。
【0091】
釘打機10では、第1被規制部124が射出部42の内側に進入しないので、第1被規制部124と射出部42とが干渉することでフィーダ110の前進が妨げられることが抑制できる。
【0092】
釘打機10では、フィーダ110が前後方向に移動する際に、突出部138がガイド溝61によって前後方向に案内されるので、フィーダ110の姿勢が前後方向と交差する方向に傾くことを抑制することができる。
【0093】
釘打機10では、第3当接部96A、96B、96C(104A、104B、104C)がフィーダ110と当接することで、フィーダ110の第1当接部92(98)と第2当接部94(102)との間の部位がマガジンカバー82側に変形することを抑制できる。さらに、第3当接部96A、96B、96C(104A、104B、104C)が必要以上の範囲でフィーダ110と当接しなくなるため、フィーダ110が前後方向に移動する際にフィーダ110に作用する負荷(摩擦力)の増加を抑制することができる。
【0094】
〔本実施形態の変形例〕
本発明は上記の実施形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々変更可能であることはいうまでもない。以下、変形例について説明する。
【0095】
釘打機10において、第1被規制部124の上端部は、フィーダ110の上下方向における釘Nとの当接範囲ZAと前後方向に並ぶ位置にあってもよい。
【0096】
前後方向において、第1被規制部124の前端部の位置は、フィーダ110の前後方向における釘Nとの当接部位の位置とほぼ同じ位置にあってもよい。フィーダ110の釘Nとの当接部位が射出部42の内側に進入した場合、第1被規制部124の前端部が射出部42の内側に位置するように、射出部42が構成されていてもよい。
【0097】
突出部138は、上下方向に延びる形状の部位に限らない。例えば、左右方向から見た場合、突出部138の形状が、前後方向の少なくとも一方側に突出した部位を有するL字形状又はT字形状であってもよい。
【0098】
釘打機10において、第3当接部96A、96B、96C(104A、104B、104C)が設けられていなくてもよい。
【符号の説明】
【0099】
10:釘打機、12:ハウジング、14:打撃部収容室、16:ハンドル、17:トリガレバー、18:モータ収容室、22:連結部、24:バッテリパック、26:打撃部、27:プランジャ、28:ドライバブレード、29:コイルスプリング、31:カウンタウエイト、32:ギヤ群、33:スライドガイドバー、34:モータ、35:減速機構部、40:コントローラ、42:射出部、44:ブレードガイド、52:マガジン部、54:マガジンベース、56:前端部、58:搭載面、61:ガイド溝、62:ガイドリブ、63:上ガイド、64:スリット、66:位置センサ、72:マガジンガイド、74:溝部、76:金属板、77:上端面、82:マガジンカバー、84:上側係合部、86:下側係合部、91:前方当接部、92:第1当接部、94:第2当接部、95A:溝部、95B:溝部、95C:溝部、95D:溝部、96A:第3当接部、96B:第3当接部、96C:第3当接部、97:後方当接部、98:第1当接部、102:第2当接部、104A:第3当接部、104B:第3当接部、104C:第3当接部、106:板ばね、110:フィーダ、111:フィーダピース、112:基部、112A:前端面、113:段差、114:被付勢部、114A:後端面、116:被検知部、122:被規制部、124:第1被規制部、124A:前端面、126:第2被規制部、126A:前端面、127:段差、128:第3被規制部、129:第3被規制部、131:段差、132:前端面、133:段差、134:被当接部、134A:前端面、136:被当接部、136A:前端面、138:突出部、140:ガイド部、142:ガイドバー、142A:ガイドバー、142B:ガイドバー、142C:ガイドバー、142D:ガイドバー、144:押え部、B:相手材、N:釘、NC:連結釘、S:移動範囲、SA:範囲、SB:範囲、SC1:範囲、SC2:範囲、ZA:当接範囲