(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024170191
(43)【公開日】2024-12-06
(54)【発明の名称】積層シートの取出し供給装置
(51)【国際特許分類】
B65H 3/08 20060101AFI20241129BHJP
B65H 31/34 20060101ALI20241129BHJP
【FI】
B65H3/08 310F
B65H31/34
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023087217
(22)【出願日】2023-05-26
(71)【出願人】
【識別番号】000136387
【氏名又は名称】株式会社フジキカイ
(74)【代理人】
【識別番号】100141645
【弁理士】
【氏名又は名称】山田 健司
(74)【代理人】
【識別番号】100076048
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 喜幾
(72)【発明者】
【氏名】胸永 拓也
(72)【発明者】
【氏名】西尾 誠
【テーマコード(参考)】
3F054
3F343
【Fターム(参考)】
3F054AC09
3F054BA01
3F054BB12
3F054BH05
3F054BH08
3F054BJ09
3F343FA06
3F343FB13
3F343FC18
3F343GA01
3F343GB01
3F343GD04
3F343JB02
3F343JB24
3F343JB26
3F343LA02
3F343LA14
3F343LC02
3F343MA03
3F343MA22
3F343MA31
3F343MC03
(57)【要約】
【課題】積層シートからのシートの取り上げを良好に行うことができると共に、箱詰め機のシートホッパへシートを良好に供給し得る積層シートの取出し供給装置を提供する。
【解決手段】積層シート11の最上部のシート10の水平面内における位置ずれを検出する位置ずれ検出手段18と、シート10を吸着して取り上げる吸着手段19の左右移動手段20および前後移動手段21と、積層シート11の上部位置を保つように積層シート11を持ち上げるリフタ23と、を備える。吸着手段19を、シート10の種別毎に定められたシート吸着位置に、位置ずれ検出手段18で検出したシート位置に応じて前後、左右の移動手段20,21で移動して位置合わせした後、吸着手段19でシート10を取り上げ、左右移動手段20によって吸着手段19をシートホッパ12の上方まで移動して吸着を解除する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
載置台へ載置された積層シートの最上部のシートを吸着手段により1枚ずつ取り上げて、隣り合う箱詰め機のシートホッパに供給する積層シートの取出し供給装置であって、
前記最上部のシートの水平面内における位置ずれを検出する位置ずれ検出手段と、
前記シートを取り上げた吸着手段を、前記シートホッパに向けて横移動する第1方向の前後に移動する第1移動手段および第1方向とは交差する第2方向の前後に移動する第2移動手段と、
前記積層シートの積層量を検出するシート検出手段と、
該シート検出手段で検出されたシートの積層量により、積層シートの上面高さを所定高さに調節するよう前記載置台の支持高さを変化させるリフタと、を備え、
前記最上部のシートを取り上げる毎に、前記位置ずれ検出手段により検出されたシート位置に応じて、第1移動手段と第2移動手段により前記吸着手段を、シートの種別毎に定めたシート吸着位置まで移動してシートを吸着して取り上げ、該シートを前記シートホッパの上方における所定位置まで移送するようにした
ことを特徴とする積層シートの取出し供給装置。
【請求項2】
前記第1移動手段により、吸着手段と共に移動する移動部に、前記シートにおける前記第1方向の前後の何れか一端を検出する前記位置ずれ検出手段を設けたことを特徴とする請求項1記載の積層シートの取出し供給装置。
【請求項3】
前記吸着手段は、前記第2方向の前後に離間して吸着体を備えると共に、該吸着体を独立して前後移動可能に前記第2移動手段を備え、各吸着体と共に第2移動手段によって移動される移動部に、第2方向の前後となるシートの前後の端を検出する前記位置ずれ検出手段を設けたことを特徴とする請求項1記載の積層シートの取出し供給装置。
【請求項4】
前記第2方向に離間する吸着体を独立して昇降する昇降手段を備え、該昇降手段による、吸着体の上昇開始タイミングを異ならせてシートを取り上げるようにしたことを特徴とする請求項3記載の積層シートの取出し供給装置。
【請求項5】
前記シートホッパの上方には、前記吸着手段から落下供給されたシートを支持可能な受け部と、該受け部で支持したシートの第1方向および第2方向の夫々の前後側縁部を位置決めする整合手段と、を設けたことを特徴とする請求項1~4の何れか一項に記載の積層シートの取出し供給装置。
【請求項6】
前記受け部は、シートホッパの積層シート上部への落下通路を閉鎖可能な、ゲートにより構成したことを特徴とする請求項5記載の積層シートの取出し供給装置。
【請求項7】
前記整合手段は、シートの第1方向および第2方向の夫々の前後側縁部の外側を押す端揃えガイドと、該端揃えガイドを作動する駆動手段を備えたことを特徴とする請求項5記載の積層シートの取出し供給装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、積み重ねた段ボールシートなどの積層シートを取り上げて、段ボールケーサーなどの箱詰め機に供給する積層シートの取出し供給装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
特許文献1や特許文献2に開示されているように、パレットに積層された段ボールシートなどの積層シートを複数枚単位で取り上げて、シート束としてケーサーやカートナーなどの箱詰め機に供給する装置が知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特許第5918157号公報
【特許文献2】特開平8-11835号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1、2に開示の装置において、パレットに対し、例えばリフトなどで積層体を段積み状態に移載する場合においては、シートの積層状態にずれが生じてしまうことがある。そして、一旦ずれが生じたシートは、ずれの修正が極めて困難で、積層状態にずれが生じないような取り扱いが必要になる。また、積層状態がずれたままの積層シートからシートを取り上げて箱詰め機のシート供給部などへ移載してしまうと、箱詰め機でのシート搬送不良が発生する恐れがある。
【0005】
本発明の目的は、積層シートからのシートの取り上げを良好に行うことができると共に、箱詰め機のシートホッパへシートを良好に供給し得る積層シートの取出し供給装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本願の請求項1に係る発明の積層シートの取出し供給装置は、
載置台(24)へ載置された積層シート(11)の最上部のシート(10)を吸着手段(19)により1枚ずつ取り上げて、隣り合う箱詰め機のシートホッパ(12)に供給する積層シートの取出し供給装置であって、
前記最上部のシート(10)の水平面内における位置ずれを検出する位置ずれ検出手段(16,17,18)と、
前記シート(10)を取り上げた吸着手段(19)を、前記シートホッパ(12)に向けて横移動する第1方向の前後に移動する第1移動手段(20)および第1方向とは交差する第2方向の前後に移動する第2移動手段(21)と、
前記積層シート(11)の積層量を検出するシート検出手段(22)と、
該シート検出手段(22)で検出されたシート(10)の積層量により、積層シート(11)の上面高さを所定高さに調節するよう前記載置台(24)の支持高さを変化させるリフタ(23)と、を備え、
前記最上部のシート(10)を取り上げる毎に、前記位置ずれ検出手段(16,17,18)により検出されたシート位置に応じて、第1移動手段(20)と第2移動手段(21)により前記吸着手段(19)を、シート(10)の種別毎に定めたシート吸着位置(G)まで移動してシート(10)を吸着して取り上げ、該シート(10)を前記シートホッパ(12)の上方における所定位置まで移送するようにしたことを特徴とする。
請求項1に係る発明では、積層シートからシートを1枚ずつ取り上げる際に、その都度シートの位置ずれを検出して、シートの種別毎に定めたシート吸着位置に吸着手段を移動してシートを吸着するので、シートが位置ずれしている場合であっても、該シートを良好に取り上げることができる。また、パレットなどの載置台に積層されたシートの積層ずれが生じていた場合でも、シートに対する適正位置を吸着して取り出すように、吸着手段が位置補正されるので、載置台に対する積層シートの載置ずれや積層ずれなどが生じていても、良好にシートを取り出して箱詰め機のシートホッパまで良好に受け渡すことができる。
【0007】
請求項2に係る発明では、前記第1移動手段(20)により、吸着手段(19)と共に移動する移動部(34)に、前記シート(10)における前記第1方向の前後の何れか一端を検出する前記位置ずれ検出手段(18)を設けたことを特徴とする。
請求項2の発明によれば、第1移動手段により吸着手段と共に移動する移動部に位置ずれ検出手段を設けているので、吸着手段と位置ずれ検出手段との位置関係は常に一定であり、吸着手段をシート吸着位置に精度良く位置付けることができる。また、第1移動手段によってシートホッパまでシートを移送した戻り工程で位置ずれ検出手段によりシートの一端を検出してシートの位置ずれを知ることができ、サイズの差が大きいシートの兼用時においても位置ずれ検出手段の位置を変更したりすることなく、良好にずれ検出を行うことができる。また、第1方向前後への移動方向の何れか一方のみの位置ずれ検出手段により、第1方向の前後対称のシートの位置ずれを良好に検出することができる。
【0008】
請求項3に係る発明では、前記吸着手段(19)は、前記第2方向の前後に離間して吸着体(19a,19b)を備えると共に、該吸着体(19a,19b)を独立して前後移動可能に前記第2移動手段(21)を備え、各吸着体(19a,19b)と共に第2移動手段(21)によって移動される移動部(30)に、第2方向の前後となるシート(10)の前後の端を検出する前記位置ずれ検出手段(16,17)を設けたことを特徴とする。
請求項3の発明によれば、第2方向に離間する各吸着体を独立して移動する第2の移動手段により吸着体と共に移動する移動部に位置ずれ検出手段を夫々設けているので、載置台の中心と第2方向の積層シートの中心とが一致しないシートに対しても、その載置ずれに対応して個々のシートの位置ずれを検出し、そのずれに対応して第2方向に離間する各吸着体を適正位置に位置付けてシートを1枚ずつ良好に取り出すことができる。
【0009】
請求項4に係る発明では、前記第2方向に離間する吸着体(19a,19b)を独立して昇降する昇降手段(29a,29b)を備え、該昇降手段(29a,29b)による、吸着体(19a,19b)の上昇開始タイミングを異ならせてシート(10)を取り上げるようにしたことを特徴とする。
請求項4の発明によれば、第2方向に離間する吸着体の上昇開始タイミングを異ならせてシートを斜めにしてから取り上げるので、取り上げるシートと下方のシートとの間に負圧が生じて、下方のシートと重なって持ち上がってしまうなどの持ち上げ不良を生じるのを防止でき、最上部のシートを下のシートから良好に分離して1枚のみ取り上げることができる。
【0010】
請求項5に係る発明では、前記シートホッパ(12)の上方には、前記吸着手段(19)から落下供給されたシート(10)を支持可能な受け部(43)と、該受け部(43)で支持したシート(10)の第1方向および第2方向の夫々の前後側縁部を位置決めする整合手段(44)と、を設けたことを特徴とする。
請求項5の発明によれば、シートホッパの上方で、吸着手段から供給されるシートを受け部で受けて、該シートの第1方向および第2方向の夫々の前側、後側縁部を整合手段で位置決めするので、吸着手段から受け部にシートを受け取る際に該シートの姿勢が変化した場合であっても、シートホッパにシートを中心合わせして供給することができる。
【0011】
請求項6に係る発明では、前記受け部(43)は、シートホッパ(12)の積層シート上部への落下通路を閉鎖可能な、ゲート(45)により構成したことを特徴とする。
請求項6の発明によれば、吸着手段でシートホッパの上方まで移送されたシートを、落下通路を塞いだ受け部で一旦受け取って位置合わせした後に、ゲートを開いてシートホッパの積層シート上部まで落下させるので、落下距離が短縮され、シートホッパまでのシートの姿勢変化が抑制されて、受け渡し不良を防止することができる。
【0012】
請求項7に係る発明では、前記整合手段(44)は、シート(10)の第1方向および第2方向の夫々の前後側縁部の外側を押す端揃えガイド(48,49a,49b)と、該端揃えガイド(48,49a,49b)を作動する駆動手段(51,53)を備えたことを特徴とする。
請求項7の発明によれば、シートの位置をシートホッパへの載置中心に合うよう矯正して、適正位置に位置付けた状態でシートホッパへ落下供給することができる。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、1枚ずつシートを取り上げる際に、そのシートの位置ずれを検出してそのずれ量に応じて、吸着手段をシートに対応して定めたシート吸着位置に位置付けるよう移動させるので、取り上げ不良の発生を抑制できる。また、箱詰め機のシートホッパへ良好にシートを供給することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図4】位置ずれ検出手段と、基準載置位置と、シート吸着位置との関係を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
次に、本発明に係る積層シートの取出し供給装置の好適な実施例を挙げて、添付図面を参照しながら以下説明する。
【実施例0016】
図1に示す如く、実施例の取出し供給装置は、展開された段ボールシートなどのシート10を積み重ねた積層シート11の上部から、シート10を1枚ずつ取り上げて、箱詰め機のシートホッパ12に供給する装置である。シート10は、箱詰め機で製函される前の展開したシートであって、後述するパレット24に載置された状態で、
図2に示す如く、製函した際に胴部を構成する底面パネル13、側面パネル14,14および天面パネル15の4つのパネルの並び方向を前後方向(第2方向)、該前後方向と直交して各パネル13,14,14,15に連設されるフラップ13a,14a,14a,15aが延出する方向を左右方向(第1方向)と指称する。なお、天面パネル15における側面パネル14が連設される側とは反対側に、糊付けフラップ15bが連設されている。また、各パネル13,14,15およびフラップ13a,14a,15a,15bの連設部には折罫Kが夫々形成されていると共に、前後方向に隣り合うフラップ13a,14a,14a,15aの間にはスリットが形成されている。
【0017】
図1~
図3に示す如く、取出し供給装置は、パレットステーションPまで送り込まれてパレット(載置台)24上に載置された積層シート11における最上部のシート10の水平面内における位置ずれを検出する位置ずれ検出手段16,17,18と、最上部のシート10を吸着して取り上げる吸着手段19を、パレットステーションPと隣り合うシートホッパ12との間で往復(シート供給方向である第1方向前後に横)移動する左右移動手段(第1移動手段)20および左右移動手段20と直交方向(第2方向)へ移動する前後移動手段(第2移動手段)21,21と、積層シート11におけるシート10の積層上端位置を検出する光電センサなどのシート検出手段22の検出に基づいて、積層シート11の減少による上端位置(上面高さ)を所定高さに保つようにパレット24の支持高さを変化させるリフタ23と、を備える。そして、取出し供給装置は、吸着手段19の位置を、位置ずれ検出手段16,17,18で検出したシート位置に応じて、シート10のフラップとパネルのサイズの違い、シートの厚み、フラップや折罫との位置関係など、その他の製函サイズの違いなどの、異なる種別のシート10に対応して定めたシート吸着位置Gに位置付けるよう、左右移動手段20および前後移動手段21,21により吸着手段19を移動して位置合わせした後、吸着手段19で最上部のシート10を取り上げ、左右移動手段20により吸着手段19を、前記シートホッパ12の上方においてシート10の左右方向の中心がシートホッパ12の左右方向の中心に位置合わせされる位置に位置付けて、吸着手段19によるシート10の吸着を解除することで、該シートホッパ12にシート10を供給可能に構成される。
【0018】
図2、
図3に示す如く、前記リフタ23は、積層シート11が載置されているパレット24の前側縁部、後側縁部を下側から支持する一対の昇降部材25,25と、各昇降部材25を昇降可能にサーボモータ26によって駆動される一対のリニアスライド機構27,27と、を備える。また、リフタ23は、前記シート検出手段22がシート10の積層量を検出して、パレット24の支持高さを変更(変化)することで、積層シート11の最上部のシート10の高さレベル(上部位置、上面高さ)を所定位置となるように調節するよう構成される。
【0019】
図1、
図3に示す如く、前記パレットステーションPにおいてリフタ23で支持されているパレット24の上方に、前後方向に離間する2組の吸着体19a,19bを備えた吸着手段19が設けられたシート移送装置28が配設されている。シート移送装置28は、前吸着体19aと後吸着体19bを夫々独立して前後方向に移動する前後移動手段21と、前吸着体19aと後吸着体19bを一体で左右方向に移動する左右移動手段20と、を備える。前後移動手段21は、吸着手段19を昇降するエアシリンダなどの昇降手段29a,29bが配設されるホルダ(移動部)30をサーボモータ31によって駆動される前後スライド機構32を備える。前後スライド機構32の夫々には、左右方向に離間して支持部材33に配設された前吸着体19aと後吸着体19bとが設けられる。前方と後方の昇降手段29a,29bは、シート10を吸着した前吸着体19aと後吸着体19bの内の何れか一方の吸着体19a,19bの上昇開始タイミングを異ならせてシート10を取り上げるよう構成される。前後移動手段21,21が、スライド部材(移動部)34に前後方向に離間して配置されており、該スライド部材34を左右移動手段20によって移動することで前後移動手段21,21は、左右方向に一体で移動するよう構成される。左右移動手段20は、スライド部材34を左右方向に移動可能に支持してサーボモータ35によって駆動される左右スライド機構36を備える。
【0020】
図3に示す如く、前記前後移動手段21,21により移動される前記ホルダ30の夫々に、積層シート11における最上部のシート10の前側縁部(前端)または後側縁部(後端)を検出可能な光電センサなどの位置ずれ検出手段16,17が一体的に配設される。また、前記左右移動手段20により移動されるスライド部材34に、積層シート11における最上部のシート10の左右方向の一方の側縁部(図示例では右側縁部(右端))を検出可能な光電センサなどの位置ずれ検出手段18が一体的に配設される。なお、3つの位置ずれ検出手段16,17,18について、前方の前後移動手段21のホルダ30に配設される位置ずれ検出手段を前位置ずれ検出手段16、後方の前後移動手段21のホルダ30に配設される位置ずれ検出手段を後位置ずれ検出手段17、左右移動手段20のスライド部材34に配設される位置ずれ検出手段を左右位置ずれ検出手段18と指称して区別する。取出し供給装置は、3つの位置ずれ検出手段16,17,18からの検出信号が図示しない制御部に入力される。なお、左右位置ずれ検出手段18は、スライド部材34に配設されて前後方向に延在する取着部材37に対して前後方向に離間して配設された2つのセンサ18a,18aからなり、制御部は、左右移動手段20により移動されるセンサ18a,18aによって、シート10の右側縁部を一方のセンサ18aで検出した直後に前後方向に離間した他方のセンサ18aで続けてシート10の右側縁部を検出することにより、シート10の右側縁部の位置を特定する。
【0021】
実施例では、
図4に示す如く、シート10を吸着手段19で吸着する好ましいシート吸着位置Gが、シート10の右側縁部、前側縁部および後側縁部からの距離に関する数値データとして入力設定されている。なお、シート吸着位置Gは、フラップ13a,14a,15a,15bおよび折罫Kに臨まないパネル13,14,15を吸着する位置であって、シート10の種別毎に設定される。そして、前記左右位置ずれ検出手段18で検出されたシート10の右側縁部の位置(シート位置)に応じて、前記左右移動手段20を動作制御して吸着体19a,19bを設定データに基づく距離だけ移動して左右方向の位置をシート吸着位置Gに合わせて位置付ける。また、前記前位置ずれ検出手段16および後位置ずれ検出手段17で検出されたシート10の前側縁部および後側縁部の位置(シート位置)に応じて、前後移動手段21,21を動作制御して前後の吸着体19a,19bを設定データに基づく距離だけ移動して前後方向の位置をシート吸着位置Gに合わせて位置付ける。そして、前後方向および左右方向に位置合わせされた吸着手段19を下降することで、該吸着手段19によって、当該シート10のシート吸着位置Gが吸着される。左右方向の位置をシート吸着位置Gに位置合わせされた吸着手段19は、吸着したシート10の左右方向の中心が、シートホッパ12の左右方向の中心に整合する位置まで左右移動手段20により移動される。なお、シート10を吸着手段19でシートホッパ12の所定位置に移送するまでに、吸着手段19を前後移動手段21,21によって移動してシート10の前後方向の中心が、シートホッパ12の前後方向の中心と整合した位置に位置補正されることがより好ましい。
【0022】
なお、品種設定時に異なるシートサイズ等の種別に対応してシート10の吸着位置を変更する際には、品種設定において定めた、当該シート10の右側縁部および前側縁部ならびに後側縁部の位置から、当該シート10に定められるシート吸着位置Gまでの距離に関するデータとして入力設定される。
【0023】
図1、
図2に示す如く、前記リフタ23から一側に隣り合う位置に、箱詰め機のシートホッパ12が配設されている。シートホッパ12は、シート10を下側から支える支え部材38から上方に延出し、前後方向に対向して離間配置される前後規制部材39,39(一方のみ図示)と、左右方向に対向して離間配置される左右規制部材40,40と、から上方に開放するよう形成されて、前後左右の規制部材39,39,40,40によってシート10の対応する端の位置を規制することで、当該シートホッパ12の前後、左右の中心に対してシート10の前後、左右の中心を整列させ得るよう構成される。前後規制部材39,39および左右規制部材40,40は、シート10のサイズに応じて対応する前後調節手段41および左右調節手段42によって位置調節可能に構成される。
【0024】
図1、
図2に示す如く、前記シートホッパ12の上方に、前記シート移送装置28により移送されたシート10を一時的に支持する受け部43と、該受け部43によって支持されているシート10の中心がシートホッパ12の中心に整合するようにシート10の前後、左右の側縁部を位置決めする整合手段44と、が設けられる。受け部43は、シート10の短手方向となる左右方向に離間してシートホッパ12の積層シート上部への落下通路を閉鎖可能な、一対の水平移動バーからなるゲート45,45を備え、該ゲート45,45は、サーボモータ46によって駆動する開閉機構47によって相互に接近してシート10を下方から支持可能な支持位置と、相互に離間してシート10を落下させ得る開放位置とに移動される。整合手段44は、前後方向に対向する前後ガイド(端揃えガイド)48,48と、左右方向に対向する左右ガイド(端揃えガイド)49a,49bと、を備える。前後方向に対向する前後ガイド48,48は、サーボモータ50によって駆動される前後移動機構(駆動手段)51によって、ゲート45,45で支持されているシート10の外側位置から、シート10の前後両端縁部を押してシートホッパ12の前後中心に整合させ得るよう構成される。また、左右方向に対向する左右ガイド49a,49bは、シート10の長手方向に対応した前後方向に離間して2つのガイド板を左右に対で備え、各対の左右ガイド49a,49bは、サーボモータ52によって駆動される左右移動機構(駆動手段)53によって、ゲート45,45で支持されているシート10の外側位置から、シート10の短手方向の外側縁部両側を押してシートホッパ12の左右方向の中心に整合させるように移動する。
【0025】
次に、実施例に係る積層シートの取出し供給装置の作用について説明する。なお、
図4には、パレット24の基準載置位置Xに中心が整合している仮想シート10aを二点鎖線で表すと共に、該仮想シート10aに規定されるシート吸着位置Gを白丸で示し、パレット24の基準載置位置Xに中心が整合していないシート10を実線で表すと共に、該シート10に定められるシート吸着位置Gを黒丸で示す。
【0026】
前記パレット24に載置されている積層シート11から最上部のシート10(
図4の実線)を取り上げる際に、前記左右移動手段20の移動によって、左右位置ずれ検出手段18を前記積層シート11の右側縁部より外側の領域から内側に向けて移動し、該左右位置ずれ検出手段18がシート10の右側縁部を検出することで、吸着手段19における2つの吸着体19a,19bによる吸着位置が、シート10の左右方向の中間位置に対応して予めデータ設定された、シート10の右端からの距離に位置付くように、前記検出位置を基点として左右移動手段20によって吸着手段19を所定の目標位置まで移動して停止する。そして、左右移動手段20によって吸着手段19を目標位置まで移動した後に、前側と後側の前後移動手段21によって前位置ずれ検出手段16と後位置ずれ検出手段17とを前記積層シート11の前側縁部と後側縁部との外側の領域から内側に向けて移動し、前位置ずれ検出手段16と後位置ずれ検出手段17とによりシート10の前側縁部と後側縁部とが検出されると、シート10の前側縁部と後側縁部からの距離として予めデータ設定された、シート10の前側縁部および後側縁部とからの距離に位置付くように、前記検出位置を基点として前側および後側の前後移動手段21によって吸着体19a,19bを所定の目標位置まで移動して停止する。すなわち、3つの位置ずれ検出手段16,17,18の検出信号に基づいて前記左右移動手段20および前後移動手段21,21により吸着手段19を移動し、該吸着手段19の吸着体19a,19bは、当該シート10の品種に対応して予め設定された吸着位置となる黒丸で示したシート吸着位置Gに位置合わせされる。このようにして、積層シート11の最上部のシート10を取り出す都度に、1枚ずつの位置ずれに対応して、吸着手段19の吸着体19a,19bを予め設定されたシート10への所望位置へ位置付けることができる。
【0027】
そして、シート吸着位置Gに位置合わせされた前後の吸着体19a,19bが、昇降手段29a,29bにより下降されてシート10を吸着した後、前後の吸着体19a,19bの上昇開始タイミングが異なるよう動作させることで、シート10が前後方向に斜めとなって持ち上げられる。シート10を取り上げた吸着手段19を、パレットステーションPに隣り合った、前記箱詰め機のシートホッパ12の上方まで左右移動手段20によって移動する。吸着手段19がシートホッパ12の上方に至った際に、吸着手段19で吸着して移送されるシート10の左右方向の中心がシートホッパ12の中心に整合する距離だけ左右移動手段20によって吸着手段19が移動して停止される。その後、吸着手段19による吸着を解除することでシート10は、その左右方向の中心がシートホッパ12の左右方向の中心に整合した状態で、前記支持位置に位置付けられているゲート45,45に受け渡される。なお、前記積層シート11からシート10が取り上げられるのにともなって、前記シート検出手段22により積層シート11の積み上げ高さが減少したことが検出されると、前記パレット24がリフタ23により上昇されて持ち上げられ、該パレット24に載置されている積層シート11の高さレベルが維持される。
【0028】
図2に示す如く、前記整合手段44の前後ガイド48,48および左右ガイド49a,49bが対応する移動機構51,53によってシート10より外方の退避位置から中央側の整合位置まで移動され、シート10のサイズに合わせてシート10の前後左右の縁部がガイド48,48,49a,49bに押し付けられ、シート10の水平面内の傾きを含めて、前後左右の位置ずれが修正されてシートホッパ中心とシート中心とを整合させる。前後左右のガイド48,48,49a,49bによる整合動作によってシート10を位置合わせした後に、前記ゲート45,45を相互に離間して開放位置に移動することで、シート10の支持が解除されて該シート10は、前後および左右の規制部材39,39,40,40に案内されて落下し、シートホッパ12の支え部材38上に所定量積層されたシート10の上部に移載される。このようにしてシートホッパ12へのシート10の供給が繰り返されて、箱詰め機で使用されてシートホッパ12内のシートが減少しても、シートホッパ12に対してシート10が1枚ずつ良好に補充される。
【0029】
実施例の取出し供給装置では、積層シート11からシート10を1枚ずつ取り上げる際に、取り上げるシート1枚ずつの位置ずれを検出して、シート10のフラップとパネルのサイズの違い、シートの厚み、フラップや折罫との位置関係など、その他の製函サイズの違いなどの、その他の各種条件に応じた所望のシート吸着位置Gに吸着手段19を位置合わせしてシート10を吸着するので、基準載置位置Xに対してシート中心が位置ずれしている場合であっても、当該シート10を良好に取り上げることができる。すなわち、パレット24に対して積載された積層シート11において、一部のシート10の位置ずれがあっても1枚ずつの位置ずれに対応して良好な取り出しを行うことができる。そして取り出したシートを1枚ずつ移載先へ良好に受け渡すことができる。また、シート検出手段22で積層シート11の上部位置を保つようにしたので、吸着手段19によるシート10の取り上げ位置が変化することがなく、最上部のシート10を吸着手段19で良好に吸着することができる。また、位置ずれ検出手段16,17,18は、吸着手段19と一体で移動するよう構成したので、吸着手段19と位置ずれ検出手段16,17,18との位置関係は常に一定であり、吸着手段19をシート吸着位置Gに精度良く位置付けることができる。また、吸着手段19の前後の吸着体19a,19bを、前後移動手段21,21によって独立して移動するよう構成したので、シート10の前後形状が異なるなどにより、前側のシート吸着位置Gの前側縁部からの距離と、後側のシート吸着位置Gの後側縁部からの距離を異なる位置に設定する場合であっても、吸着体19a,19bを対応するシート10へのシート吸着位置Gに適正に位置付けることができる。なお、制御部は、前後方向に離間する2つのセンサ18a,18aが左右位置ずれ検出手段18の一方向へ移動する際に何れもシート10の右側縁部を検出することでシート10の端を検出したと判断するので、何れか一方のセンサ18aの検出位置がシート10のフラップ13a,14a,15aの間のスリットの位置となった場合における誤動作を防ぐことができる。
【0030】
実施例の取出し供給装置では、前後の吸着体19a,19bの上昇開始タイミングを異ならせてシート10を斜めにして取り上げるよう構成したので、最上部のシート10を下のシート10から分離する際に真空状態となって下方のシートと一緒に持ち上がってしまうのを防止して、1枚ずつ良好に取り上げることができる。また、吸着手段19で取り上げたシート10を、前記シートホッパ12の上方に設けた前記受け部43に一旦供給し、該受け部43上のシート10の中心を整合手段44によってシートホッパ12の中心に整合するようにしたので、吸着手段19から落下供給された際の位置ずれや水平面内での傾きを修正することができ、シートホッパ12に適正な姿勢でシート10を供給することができる。受け部43は、開閉動作するバーからなるゲート45,45で構成したので、開放時のシート10との接触抵抗が少なく、ゲート45,45の開放作動時にゲート上に支持されているシート10の傾きを抑制して、シートホッパ12にシート10を良好に落下供給することができる。また、整合手段44は、移動機構51,53によって移動する前後ガイド48,48および左右ガイド49a,49bでシート10の外側方からシート10を押すようにしてシート10の前後、左右位置を揃えるようにしたので、シート10の姿勢を矯正したもとでシートホッパ12の適正な位置に位置付けることができる。
【0031】
ここで、実施例の取出し供給装置では、吸着手段19で取り上げたシート10を左右移動手段20によってシートホッパ12まで移送した戻り工程において、前記左右位置ずれ検出手段18によりシート10の左右方向の一端(左側縁部)を検出してシート10の位置ずれ(シート位置)を知ることができ、サイズの差が大きいシートの兼用時においても左右位置ずれ検出手段18の位置を変更したりすることなく、良好にずれ検出を行うことができる。また、左右方向の何れか一方のみの位置ずれ検出手段18により、左右方向の前後対称のシート10の位置ずれを良好に検出することができる。
【0032】
(変更例)
本発明は実施例の構成に限定されるものではなく、例えば、以下のようにも変更実施可能である。また、以下の変更例に限らず、実施例に記載した構成については、本発明の主旨の範囲内において種々の実施形態を採用し得る。
(1) 位置ずれ検出手段16,17,18による検出箇所は、シート10の前側縁部、後側縁部および左側縁部であってもよい。また、位置ずれ検出手段16,17,18は、実施例の光電センサに代えて、カメラなどのイメージセンサを採用することができる。
(2) 位置ずれ検出手段16,17,18は、吸着手段19と一体で移動する構成に代えて、固定位置に配置してシート10の位置ずれを検出し得る構成を採用することができる。
(3) 吸着手段19を前後左右に移動する手段20,21は、サーボモータ31,35で駆動されるスライド機構32,36に限らず、サーボシリンダなど位置制御可能なリニアアクチュエータなどや、その他の各種方式の移動手段を採用することができる。
(4) 箱詰め機のシートホッパ12の上方に設けられる受け部43および整合手段44は、実施例の形態に限らず各種形態を採用することができる。また、受け部43および整合手段44は、必要に応じて設けるようにすればよい。
(5) 実施例では、2組の吸着体19a,19bの上昇開始タイミングを異ならせてシート10を取り上げるようにしたが、上昇開始タイミングを異ならせる構成は必要に応じて採用すればよく、例えば、両吸着体19a,19bを回動してシートをめくりあげるように動作させて取り上げるようにしてもよい。
(6) 吸着手段19における吸着体19a,19bの数は、吸着体19a,19bの形状や、その他の吸着条件や、シートサイズに応じた数の吸着体としたり、吸引ボックスを採用したりするようにしてもよい。
(7) 実施例では、パレットステーションPまで送り込まれたパレット24に積層シート11が載置された形態としたが、載置台として、パレット12に代えて積層シート11が載置される搬送台車など、その他の載置台であってもよい。