(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024170194
(43)【公開日】2024-12-06
(54)【発明の名称】インタフェース装置及び共存体験提供システム
(51)【国際特許分類】
A63B 69/00 20060101AFI20241129BHJP
G06T 7/70 20170101ALI20241129BHJP
G06T 19/00 20110101ALI20241129BHJP
【FI】
A63B69/00 A
G06T7/70 Z
G06T19/00 300B
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023087220
(22)【出願日】2023-05-26
(71)【出願人】
【識別番号】000191009
【氏名又は名称】新東工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000338
【氏名又は名称】弁理士法人 HARAKENZO WORLD PATENT & TRADEMARK
(72)【発明者】
【氏名】田名網 克周
(72)【発明者】
【氏名】林 美由希
【テーマコード(参考)】
5B050
5L096
【Fターム(参考)】
5B050AA08
5B050BA09
5B050CA07
5B050CA08
5B050EA07
5B050EA26
5B050FA02
5L096CA04
5L096DA01
5L096DA02
5L096FA67
5L096FA69
5L096HA02
(57)【要約】
【課題】床上の任意の位置に居るユーザの位置及び姿勢を特定することができるインタフェース装置を実現する。
【解決手段】インタフェース装置(1)は、実空間(RS)の床(F)に敷き詰められた複数のフォースプレート(11)と、各ユーザ(U)について、該ユーザ(U)の足圧を検出したフォースプレート11の出力信号、及び、床(F)における該フォースプレート(11)の位置に基づいて特定された、該ユーザ(U)の床(F)における位置及び該ユーザの姿勢を表す信号(Σ)を、仮想空間を生成するシミュレーション装置(2)に提供する出力部(13)と、を備えている。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数のユーザに仮想空間における共存体験を提供するためのインタフェース装置であって、
実空間の床に敷き詰められた複数のフォースプレートと、
各ユーザについて、該ユーザの足圧を検出したフォースプレートの出力信号、及び、前記実空間における該フォースプレートの位置に基づいて特定された、該ユーザの前記床における位置及び該ユーザの姿勢を表す信号を、前記仮想空間を生成するシミュレーション装置に提供する出力部と、を備えている、
ことを特徴とするインタフェース装置。
【請求項2】
前記実空間の壁に分散配置され、各ユーザが装着したヘッドマウントディスプレイから照射された光を検出するための複数のフォトディテクタを更に備え、
前記信号は、各ユーザについて、前記複数のフォトディテクタの出力信号に基づいて特定された、該ユーザの視線方向を更に表す、
ことを特徴とする請求項1に記載のインタフェース装置。
【請求項3】
請求項1又は2に記載のインタフェース装置と、
前記シミュレーション装置と、を含み、
前記シミュレーション装置は、各ユーザから見た、他のユーザのアバターを含む前記仮想空間の映像を前記信号に基づいて生成し、生成した映像を該ユーザが装着するヘッドマウントディスプレイに供給する、
ことを特徴とする共存体験提供システム。
【請求項4】
前記シミュレーション装置は、前記実空間とは異なる他の実空間における各ユーザの位置及び姿勢を表す他の信号を、前記インタフェース装置とは異なる他のインタフェース装置から取得し、
前記シミュレーション装置は、前記実空間又は前記他の実空間に居る各ユーザから見た、前記実空間に居る他のユーザのアバター及び前記他の実空間に居る他のユーザのアバターを含む前記仮想空間の映像を前記信号及び前記他の信号に基づいて生成し、生成した映像を該ユーザが装着するヘッドマウントディスプレイに供給する、
ことを特徴とする請求項3に記載の共存体験提供システム。
【請求項5】
各ユーザが所持する模造銃を更に含み、
前記シミュレーション装置は、前記模造銃から仮想的に射出された弾丸の軌道を算出し、算出した軌道に基づいて、各ユーザが装着するヘッドマウントディスプレイに供給する映像を加工する、
ことを特徴とする請求項3に記載の共存体験提供システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、インタフェース装置及び共存体験提供システムに関する。
【背景技術】
【0002】
仮想空間における共存体験をユーザに提供する技術(例えば、メタバース技術)に注目が集まっている。このような技術としては、例えば、特許文献1に記載の仮想環境構築装置が挙げられる。特許文献1に記載の仮想環境構築装置は、仮想空間における選手目線での試合体験をユーザに提供する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に記載の仮想環境構築装置においては、複数カメラを用いて実空間における選手の位置及び姿勢を光学的に計測し、計測結果に基づいて仮想環境を構築する。このため、複数カメラの画角外に移動した、或いは、他の選手の影(複数カメラによる光学測定が及ばない範囲)に隠れた選手の位置及び姿勢を正しく測定することができない、という問題が生じ得る。
【0005】
本発明の一態様は、上記の問題に鑑みてなされたものであり、その目的は、床上の任意の位置に居るユーザの位置及び姿勢を特定することができるインタフェース装置を実現することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一態様に係るインタフェース装置は、複数のユーザに仮想空間における共存体験を提供するためのインタフェース装置であって、実空間の床に敷き詰められた複数のフォースプレートと、各ユーザについて、該ユーザの足圧を検出したフォースプレートの出力信号、及び、前記実空間における該フォースプレートの位置に基づいて特定された、該ユーザの前記床における位置及び該ユーザの姿勢を表す信号を、前記仮想空間を生成するシミュレーション装置に提供する出力部と、を備えている。
【発明の効果】
【0007】
本発明の一態様によれば、床上の任意の位置に居るユーザの位置及び姿勢を特定することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】本発明の一実施形態に係るインタフェース装置の構成を示すブロック図である。
【
図2】
図1に示すインタフェース装置が備える出力部の動作の流れを示すブロック図である。
【
図3】
図1に示すインタフェース装置を含む共存体験提供システムの構成を示すブロック図である。
【
図4】
図3に示す共存体験提供システムの一変形例を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
(インタフェース装置の構成)
本発明の一実施形態に係るインタフェース装置1の構成について、
図1を参照して説明する。
図1は、インタフェース装置1の構成を示す斜視図である。
【0010】
インタフェース装置1は、複数のユーザUに仮想空間における共存体験を提供するためのマン・マシンインタフェースである。インタフェース装置1は、
図1に示すように、複数のフォースプレート11と、複数のフォトディテクタ12と、出力部13と、を備えている。複数のフォースプレート11は、実空間RS(本実施形態においては部屋)の床Fに敷き詰められている。複数のフォトディテクタ12は、実空間RSの壁Wに分散配置されている。なお、
図1においては、実空間RSの4つの壁Wのうち、2つの壁を図示している。複数のフォトディテクタ12は、図示しない2つの壁にも分散配置されている。
【0011】
なお、以下の説明においては、実空間RSに付随する大域座標系(XYZ座標系)と、床Fに付随する大域座標系(XY座標系)と、各フォースプレート11に付随する局所座標系(xy座標系)と、を用いる。ここで、実空間RSに付随する大域座標系は、床Fの一角を原点Oとする三次元直交座標系である。また、床Fに付随する大域座標系は、実空間RSに付随する大域座標系と共通の原点Oを有する二次元直交座標系である。また、各フォースプレート11に付随する局所座標系は、当該フォースプレート11の上面の一角を原点oとする二次元直交座標系である。床Fに付随する大域座標系のX軸は、実空間RSに付随する大域座標系のX軸と同一であり、床Fに付随する大域座標系Y軸は、実空間RSに付随する大域座標系のX軸と同一である。また、各フォースプレート11に付随する局所座標系のx軸は、実空間RSに付随する大域座標系のX軸と平行であり、各フォースプレート11に付随する局所座標系のy軸は、実空間RSに付随する大域座標系のY軸に平行である。また、各フォースプレート11の上面は、実空間RSに付随する大域座標系におけるXY平面(Z=0)に含まれる。
【0012】
フォースプレート11は、各ユーザUの床Fにおける位置、及び、各ユーザUの姿勢の特定に必要な情報を取得するためのセンサである。本実施形態においては、フォースプレート11として、長方形状のプレートと、プレートの四隅を支持する4つの6軸力覚センサと、を備えたフォースプレートを用いる。この場合、フォースプレート11の出力信号は、これらの力覚センサが検出した力(fx,fy,fz)から算出された床反力(Fx,Fy,Fz)、圧力中心(x,y)、及びフリーモーメントNを表す。フォースプレート11は、検出結果を表す出力信号を出力部13に供給する。なお、各フォースプレート11が備えるプレートの形状は、正方形であってもよい。また、各フォースプレート11が備える力覚センサは、3軸力覚センサであってもよい。
【0013】
なお、本実施形態においては、各フォースプレート11の床Fにおける位置を表すために、当該フォースプレート11の代表点の、床Fに付随する大域座標系における座標(Xo,Yo)を用いる。各フォースプレート11の代表点は、当該フォースプレート11の上面の一角、すなわち、当該フォースプレート11に付随する局所座標系の原点oとする。以下の説明においては、各フォースプレート11の代表点の、床Fにおける位置(Xo,Yo)のことを、単に、当該フォースプレート11の位置(Xo,Yo)とも記載する。
【0014】
また、本実施形態においては、各ユーザUの床Fにおける位置を表すために、当該ユーザUの代表点の、床Fに付随する大域座標系における座標(X,Y)を用いる。各ユーザUの代表点は、当該ユーザUの足圧を検出したフォースプレート11の出力信号が表す圧力中心(x,y)とする。以下の説明においては、各ユーザUの代表点の、床Fにおける位置(X,Y)のことを、単に、当該ユーザUの位置(X,Y)と記載する。なお、ユーザUの足圧を検出したフォースプレート11の位置(Xo,Yo)を用いると、当該ユーザUの位置(X,Y)は、(X,Y)=(Xo+x,Yo+y)と表される。
【0015】
フォトディテクタ12は、各ユーザUの視線方向の特定に必要な情報を取得するためのセンサである。本実施形態においては、フォトディテクタ12として、フォトダイオードを備えたフォトディテクタを用いる。この場合、フォトディテクタ12の出力信号は、このフォトダイオードが検出した光の強度Iを表す。各フォトディテクタ12は、検出結果を表す出力信号を出力部13に供給する。
【0016】
なお、本実施形態において、ユーザUは、ヘッドマウントディスプレイ3を装着し、当該ヘッドマウントディスプレイ3は、当該ユーザUの視線方向に光Lを照射する。フォトディテクタ12が検出する光は、このヘッドマウントディスプレイ3が照射する光Lである。このため、実空間RSは、暗室であることが好ましい。実空間RSが暗室であることにより、ヘッドマウントディスプレイ3から照射された光Lをフォトディテクタ12が精度良く検出することが可能になるからである。
【0017】
また、本実施形態においては、各フォトディテクタ12の実空間RSにおける位置を表すために、当該フォトディテクタ12の、実空間RSに付随する大域座標系における座標(Xp,Yp)を用いる。以下の説明においては、各フォトディテクタ12の実空間RSにおける位置(Xp,Yp)を、単に、当該フォトディテクタ12の位置(Xp,Yp)とも記載する。
【0018】
出力部13は、各ユーザUの位置(X,Y)、姿勢P、及び視線方向(Vx,Vy,Vz)を示す信号Σを生成し、生成した信号Σをシミュレーション装置2に提供するための構成である。出力部13は、各フォースプレート11の位置(Xo,Yo)、及び、各フォトディテクタ12の位置(Xp,Yp,Zp)を記憶するメモリを備えている。出力部13の動作については、参照する図面を代えて後述する。
【0019】
(出力部の動作)
図1に示すインタフェース装置1が備える出力部13の動作について、
図2を参照して説明する。
図2は、出力部13の流れを示すフロー図である。
【0020】
出力部13は、
図2に示すように、各ユーザUについて、位置特定処理S11、姿勢特定処理S12、及び視線方向特定処理S13を行い、更に、信号提供処理S14を行う。出力部13は、これらの処理を繰り返すことによって、各サイクルにおける各ユーザUの位置(X,Y)、姿勢P、及び視線方向(Vx,Vy,Vz)を示す信号Σをシミュレーション装置2に提供する。
【0021】
位置特定処理S11は、各ユーザUの位置(X,Y)を、当該ユーザUの足圧を検出したフォースプレート11の位置(Xo,Yo)を参照して、当該フォースプレート11の出力信号(特に、当該出力信号が示す足圧中心(x,y))から特定する処理である。本実施形態においては、各ユーザUの位置(X,Y)として、当該ユーザUの足圧を検出したフォースプレート11の出力信号が示す足圧中心(x,y)の、床Fに付随する大域座標系における座標(Xo+x,Yo+y)を特定する。
【0022】
位置特定処理S11は、例えば、フォースプレート推定処理S111、足圧中心特定処理S112、フォースプレート位置読出処理S113、及びユーザ位置算出処理S114により構成される。フォースプレート推定処理S111は、現サイクルにおいて当該ユーザUの足圧を検出したフォースプレート11を、前サイクルにおいて特定した当該ユーザUの位置(X,Y)及び姿勢Pに基づいて推定する処理である。足圧中心特定処理S112は、フォースプレート推定処理S111にて推定したフォースプレート11の出力信号から足圧中心(x,y)を特定する処理である。フォースプレート位置読出処理S113は、フォースプレート推定処理S111にて推定したフォースプレート11の位置(Xo,Yo)をメモリから読み出す処理である。ユーザ位置算出処理S114は、足圧中心特定処理S112にて特定した足圧中心(x,y)に、フォースプレート位置読出処理S113にて読み出した位置(Xo,Yo)を、成分毎に加算することによって、当該ユーザUの位置(X,Y)=(Xo+x,Yo+y)を算出する処理である。
【0023】
姿勢特定処理S12は、各ユーザUの姿勢Pを、当該ユーザUの足圧を検出したフォースプレート11の出力信号(特に、当該出力信号の表す床反力(Fx,Fy,Fz))から特定する処理である。本実施形態においては、当該ユーザUの姿勢Pが、座姿勢P1であるか、立姿勢P2であるかを識別する。また、当該ユーザUの姿勢Pが立姿勢P2である場合、更に、当該ユーザUの姿勢Pが、直立姿勢P21であるか、歩行姿勢P22であるかを識別する。また、当該ユーザUの姿勢Pが歩行姿勢P22である場合、更に、当該ユーザUの姿勢Pが、左足加重姿勢P22L(左足を床Fに着け、右足を前に出している姿勢)であるか、右足加重姿勢P22R(右足を床Fに着け、左足を前に出している姿勢)であるかを識別する。すなわち、本実施形態においては、ユーザUの姿勢Pが、座姿勢P1、直立姿勢P21、左足加重姿勢P22L、及び右足加重姿勢P22Rの何れかであるかを特定する。
【0024】
当該ユーザUの姿勢Pが立姿勢P2から座姿勢P1に変化すると、当該フォースプレート11が検出する床反力(Fx,Fy,Fz)の大きさが一時的に減少する。また、当該ユーザUの姿勢Pが座姿勢P1から立姿勢P2に変化すると、当該フォースプレート11が検出する床反力(Fx,Fy,Fz)の大きさが一時的に増加する。出力部13は、これらの性質を利用し、当該フォースプレート11の出力信号が表す床反力(Fx,Fy,Fz)から、当該ユーザUの姿勢Pが座姿勢P1であるか、立姿勢P2であるか、を特定する。
【0025】
また、当該ユーザUの姿勢Pが直立姿勢P21であれば、床反力(Fx,Fy,Fz)が床Fに垂直又は略垂直になる。また、当該ユーザUの姿勢Pが歩行姿勢P22であれば、床反力(Fx,Fy,Fz)がユーザUの進行方向に傾く。出力部13は、これらの性質を利用し、当該フォースプレート11の出力信号が表す床反力(Fx,Fy,Fz)から、当該ユーザUの姿勢Pが直立姿勢P21であるか、歩行姿勢P22であるか、を特定する。
【0026】
また、当該ユーザUの姿勢Pが左足加重姿勢P22Lであれば、当該ユーザUの重心が圧力中心(x,y)(左足着地点)よりも右手側に位置するので、床反力(Fx,Fy,Fz)が進行方向から右手側に傾く。また、当該ユーザUの姿勢Pが右足加重姿勢P22Rであれば、当該ユーザUの重心が圧力中心(x,y)(右足着地点)よりも左手側に位置するので、床反力(Fx,Fy,Fz)が進行方向から左手側に傾く。出力部13は、これらの性質を利用し、当該フォースプレート11の出力信号が表す床反力(Fx,Fy,Fz)から、当該ユーザUの姿勢Pが左足加重姿勢P22Lであるか、右足加重姿勢P22Rであるか、を特定する。
【0027】
視線方向特定処理S13は、各ユーザUの視線方向(Vx,Vy,Vz)を、各フォトディテクタ12の位置(Xp,Yp,Zp)を参照して、各フォトディテクタ12の出力信号から特定する処理である。本実施形態においては、各ユーザUの視線方向(Vx,Vy,Vz)として、当該ユーザUが装着したヘッドマウントディスプレイ3の、実空間RSにおける位置(Xh,Yh,Zh)を始点とし、当該ヘッドマウントディスプレイ3から照射された光Lを検出したフォトディテクタ12の、実空間RSにおける位置(Xp,Yp,Zp)を終点とするベクトル(Xp-Xh,Yp-Yh,Zp-Zh)を特定する。なお、或るユーザUについて視線方向特定処理S13を行っている間、当該ユーザUの装着するヘッドマウントディスプレイ3のみから光Lを照射する(他のユーザUの装着するヘッドマウントディスプレイ3からは光を照射しない)ものとする。
【0028】
視線方向特定処理S13は、例えば、強度比較処理S131、フォトディテクタ位置読出処理S132、ヘッドマウントディスプレイ位置算出処理S133、及び視線方向算出処理S134により構成される。強度比較処理S131は、当該ユーザUが装着したヘッドマウントディスプレイ3から光Lが照射されたときに各フォトディテクタ12が検出した光の強度を比較し、最も強度の高い光を検出したフォトディテクタ12を特定する処理である。フォトディテクタ位置読出処理S132は、強度比較処理にて特定したフォトディテクタ12の実空間RSにおける位置(Xp,Yp,Zp)をメモリから読み出す処理である。ヘッドマウントディスプレイ位置算出処理S133は、位置特定処理S11にて特定した位置(X,Y)、及び、上述した姿勢特定処理S12にて特定した姿勢Pに基づいて、当該ユーザUが装着するヘッドマウントディスプレイ3の実空間RSにおける位置(Xh,Yh,Zh)=(X,Y,H)を算出する処理である。ここで、X及びYは、それぞれ、位置特定処理S11にて特定した位置(X,Y)のX座標及びY座標であり、Hは、姿勢特定処理S12にて特定した姿勢Pに応じて決まるヘッドマウントディスプレイ3の高さである。例えば、当該ユーザUの姿勢Pが座姿勢P1である場合、H=80cmであり、当該ユーザUの姿勢Pが立姿勢P2(直立姿勢P21、左足加重姿勢P22L、右足加重姿勢P22Rの何れか)である場合、H=160cmである。視線方向算出処理S134は、フォトディテクタ位置読出処理S132にて読み出した位置(Xp,Yp,Zp)から、ヘッドマウントディスプレイ位置算出処理S133にて算出した位置(Xh,Yh,Zh)を、成分毎に減算することによって、当該ユーザUの視線方向(Vx,Vy,Vz)=(Xp-Xh,Yp-Yh,Zp-Zh)を算出する処理である。
【0029】
信号提供処理S14は、位置特定処理S11にて特定した各ユーザUの位置(X,Y)、姿勢特定処理S12にて特定した各ユーザUの姿勢P、及び、視線方向特定処理S13にて特定した各ユーザPの視線方向(Vx,Vy,Vz)を表す信号Σを生成し、生成した信号Σをシミュレーション装置2に提供する処理である。
【0030】
(共存体験提供システムの構成)
本発明の一実施形態に係る共存体験提供システムSの構成について、
図3を参照して説明する。
図3は、共存体験提供システムSの構成を示すブロック図である。
【0031】
共存体験提供システムSは、
図3に示すように、上述したインタフェース装置1の他に、シミュレーション装置2と、ヘッドマウントディスプレイ3と、を含んでいる。シミュレーション装置2は、プロセッサ21と、メモリ22と、を備えている。なお、
図3においては、「ヘッドマウントディスプレイ」を「HMD」と略記している。インタフェース装置1とシミュレーション装置2とは、無線通信又は有線通信によって通信可能に構成されている。また、シミュレーション装置2と各ヘッドマウントディスプレイ3とは、無線通信によって通信可能に構成されている。
【0032】
上述したように、インタフェース装置1は、各ユーザUの位置(X,Y)、姿勢P、及び視線方向(Vx,Vy,Vz)を示す信号Σを生成し、生成した信号Σをシミュレーション装置2に提供する。シミュレーション装置2は、この信号Σをインタフェース装置1から取得する。そして、シミュレーション装置2は、この信号Σに基づいて各ユーザUから見た仮想空間VSを表す映像Mを生成し、生成した映像Mを当該ユーザUが装着するヘッドマウントディスプレイ3に提供する。信号Σに基づいて各ユーザUから見た仮想空間VSを表す映像Mを生成する処理は、メモリ22に格納されたプログラムの命令に従って、プロセッサ21が実行する。ヘッドマウントディスプレイ3は、この映像Mをシミュレーション装置2から取得する。そして、ヘッドマウントディスプレイ3は、この映像Mを表示する。
【0033】
インタフェース装置1からシミュレーション装置2に提供される信号Σには、各ユーザUの位置(X,Y)及び姿勢Pを表す情報が含まれている。したがって、シミュレーション装置2は、各ユーザUに対応するアバターであって、そのユーザUの実空間RSにおける位置(X,Y)及び姿勢Pを正確に反映したアバターが含まれる仮想空間VRを生成することができる。また、インタフェース装置1からシミュレーション装置2に提供される信号Σには、各ユーザUの位置(X,Y)及び視線方向(Vx,Vy,Vz)を表す情報が含まれている。したがって、生成した仮想空間VRを各ユーザUから見た映像Mであって、そのユーザUの実空間RSにおける位置(X,Y)及び視線方向(Vx,Vy,Vz)を正確に反映した映像Mを生成することができる。これにより、実空間RSに居る複数のユーザUは、あたかも仮想空間VRにおいて共存しているかのごとき感覚を得ることができる。
【0034】
なお、共存体験提供システムSの応用例としては、例えば、シューティングゲームが考えられる。この場合、共存体験提供システムSには、更に、模造銃が含まれることになる。ユーザUが模造銃の引き金を引くと、シミュレーション装置2は、この模造銃から仮想的に射出された弾丸の軌道を算出する。そして、シミュレーション装置2は、算出した軌道に基づいて各ユーザUが装着するヘッドマウントディスプレイUに提供する映像Mを加工する。一例として、狙撃されたユーザU(算出した軌道上に位置するユーザU)に提供する映像Mを暗転し、狙撃された旨を示すメッセージを表示する。また、それ以外のユーザUに提供する映像Mにおいて、狙撃されたユーザUに対応するアバターを消滅させる。
【0035】
(共存体験提供システムの変形例)
図3に示す共存体験提供システムSの一変形例について、
図4を参照して説明する。
図4は、本変形例に係る共存体験提供システムS’の構成を示すブロック図である。
【0036】
本変形例に係る共存体験提供システムS’は、
図3に示す共存体験提供システムSに、インタフェース装置1とは異なる他のインタフェース装置1’を追加したものである。他のインタフェース装置1’は、インタフェース装置1と同様に構成されており、インタフェース装置1と同様の機能を有する。インタフェース装置1,1’とシミュレーション装置2とは、無線通信又は有線通信によって通信可能に構成されている。また、シミュレーション装置2と各ヘッドマウントディスプレイ3とは、無線通信によって通信可能に構成されている。
【0037】
インタフェース装置1は、実空間RSに居る各ユーザUの位置(X,Y)、姿勢P、及び視線方向(Vx,Vy,Vz)を示す信号Σを生成し、生成した信号Σをシミュレーション装置2に提供する。他のインタフェース装置1’は、実空間RSとは異なる他の実空間RS’に居る各ユーザU’の位置(X,Y)、姿勢P、及び視線方向(Vx,Vy,Vz)を示す信号Σ’を生成し、生成した信号Σ’をシミュレーション装置2に提供する。シミュレーション装置2は、これらの信号Σ,Σ’をインタフェース装置1,1’から取得する。そして、シミュレーション装置2は、これらの信号Σ,Σ’に基づいて各ユーザU,U’から見た仮想空間VSを表す映像M,M’を生成し、生成した映像M,M’を当該ユーザU,U’が装着するヘッドマウントディスプレイ3に提供する。ヘッドマウントディスプレイ3は、この映像Mをシミュレーション装置2から取得する。そして、ヘッドマウントディスプレイ3は、この映像Mを表示する。
【0038】
本変形例に係る共存体験提供システムS’によれば、異なる実空間RS,RS’に居るユーザU,U’に、同じ仮想空間VRにおいて共存する体験を提供することができる。
【0039】
(まとめ)
本発明の態様1に係るインタフェース装置は、複数のユーザに仮想空間における共存体験を提供するためのインタフェース装置であって、実空間の床に敷き詰められた複数のフォースプレートと、各ユーザについて、該ユーザの足圧を検出したフォースプレートの出力信号、及び、前記実空間における該フォースプレートの位置に基づいて特定された、該ユーザの前記床における位置及び該ユーザの姿勢を表す信号を、前記仮想空間を生成するシミュレーション装置に提供する出力部と、を備えている。
【0040】
本発明の態様2に係るインタフェース装置は、態様1に係るインタフェース装置において、前記実空間の壁に分散配置され、各ユーザが装着したヘッドマウントディスプレイから照射された光を検出するための複数のフォトディテクタを更に備え、前記信号は、各ユーザについて、前記複数のフォトディテクタの出力信号に基づいて特定された、該ユーザの視線方向を更に表す。
【0041】
本発明の態様3に係る共存体験提供システムは、態様1又は2に係るインタフェース装置と、前記シミュレーション装置と、を含み、前記シミュレーション装置は、各ユーザから見た、他のユーザのアバターを含む前記仮想空間の映像を前記信号に基づいて生成し、生成した映像を該ユーザが装着するヘッドマウントディスプレイに供給する。
【0042】
本発明の態様4に係る共存体験提供システムは、態様3に係る共存体験提供システムにおいて、前記シミュレーション装置は、前記実空間とは異なる他の実空間における各ユーザの位置及び姿勢を表す他の信号を、前記インタフェース装置とは異なる他のインタフェース装置から取得し、前記シミュレーション装置は、前記実空間又は前記他の実空間に居る各ユーザから見た、前記実空間に居る他のユーザのアバター及び前記他の実空間に居る他のユーザのアバターを含む前記仮想空間の映像を前記信号及び前記他の信号に基づいて生成し、生成した映像を該ユーザが装着するヘッドマウントディスプレイに供給する。
【0043】
本発明の態様5に係る共存体験提供システムは、態様3に係る共存体験提供システムにおいて、各ユーザが所持する模造銃を更に含み、前記シミュレーション装置は、前記模造銃から仮想的に射出された弾丸の軌道を算出し、算出した軌道に基づいて、各ユーザが装着するヘッドマウントディスプレイに供給する映像を加工する。
【符号の説明】
【0044】
S:共存体験提供システム、1:インタフェース装置、11:フォースプレート、12:フォトディテクタ、13:出力部、2:シミュレーション装置、21:プロセッサ、22:メモリ、3:ヘッドマウントディスプレイ、U:ユーザ