(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024170196
(43)【公開日】2024-12-06
(54)【発明の名称】インタフェース装置、及びハンググライド体験システム
(51)【国際特許分類】
A63G 31/00 20060101AFI20241129BHJP
A63F 13/21 20140101ALI20241129BHJP
A63F 13/25 20140101ALI20241129BHJP
【FI】
A63G31/00
A63F13/21
A63F13/25
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023087222
(22)【出願日】2023-05-26
(71)【出願人】
【識別番号】000191009
【氏名又は名称】新東工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000338
【氏名又は名称】弁理士法人 HARAKENZO WORLD PATENT & TRADEMARK
(72)【発明者】
【氏名】田名網 克周
(72)【発明者】
【氏名】林 美由希
(57)【要約】
【課題】仮想空間におけるハンググライドにおいて、よりリアリティの高いコントロールバーの動作をユーザが体験できるようにする。
【解決手段】インタフェース装置(1)は、仮想空間におけるハンググライド体験をユーザに提供するためのものであって、ユーザが把持するコントロールバー(11)と、コントロールバーを上方から傾動可能に支持する傾動機構(12)と、傾動機構に搭載され、ユーザからコントロールバーに作用する力及びモーメントを検出する力覚センサ(13)と、力及びモーメントを表す信号を、仮想空間を生成するシミュレーション装置(2)に提供するとともに、コントロールバーが傾動するよう傾動機構を制御するための制御信号を、シミュレーション装置から取得する入出力部(15)と、を備えている。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
仮想空間におけるハンググライド体験をユーザに提供するためのインタフェース装置であって、
前記ユーザが把持するコントロールバーと、
前記コントロールバーを上方から傾動可能に支持する傾動機構と、
前記傾動機構に搭載され、前記ユーザから前記コントロールバーに作用する力及びモーメントを検出する力覚センサと、
前記力及び前記モーメントを表す信号を、前記仮想空間を生成するシミュレーション装置に提供するとともに、前記コントロールバーが傾動するよう前記傾動機構を制御するための制御信号を、前記シミュレーション装置から取得する入出力部と、を備えている、
ことを特徴とするインタフェース装置。
【請求項2】
前記傾動機構は、パラレルリンクである、
ことを特徴とする請求項1に記載のインタフェース装置。
【請求項3】
請求項1又は2に記載のインタフェース装置と、
前記シミュレーション装置と、を含み、
前記シミュレーション装置は、前記仮想空間における大気の状態と、前記力及び前記モーメントから特定した前記ユーザの姿勢とに基づいて、前記コントロールバーの傾動方向及び傾動角を決定する、
ことを特徴とするハンググライド体験システム。
【請求項4】
前記シミュレーション装置から取得した、前記仮想空間を表す映像を表示するヘッドマウントディスプレイを更に含む、
ことを特徴とする請求項3に記載のハンググライド体験システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、インタフェース装置、及びハンググライド体験システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、特許文献1に記載されたような、ハンググライドを模擬的に体験するためのシミュレーション装置が知られている。このシミュレーション装置は、ユーザの顔面の向きに応じた画像を表示させることができる画像表示装置とともに用いられる。また、このシミュレーション装置は、画像表示装置に表示される画像に合わせてユーザの姿勢を制御する体感用駆動部を有している。また、体感用駆動部は、画像表示装置に表示される画像によって体感する使用者の体の傾きに応じて、ユーザを支持する部分を傾ける制御装置を有する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
現実のハンググライドにおいて、機体のユーザは、機体の下に揺動可能に吊り下げられる。このため、機体に固定されたコントロールバーは、ユーザに対し相対的に傾動可能となる。これにより、ユーザは、コントロールバーを前後左右に傾動させることで機体を加減速したり、方向転換したりすることができる。しかしながら、特許文献1に記載されたような従来のシミュレーション装置は、コントロールバーに相当する部材がユーザを支持する部材に固定されている。このため、シミュレーション装置のユーザは、コントロールバーを自身に対し相対的に傾動させることができない。すなわち、仮想空間におけるハンググライドに従来のシミュレーション装置を用いただけでは、コントロールバーの動作のリアリティが十分でなく、現実のハンググライドで得られる体験とは程遠い体験しか得られない。
【0005】
本発明の一態様は、上記課題に鑑みてなされたもので、仮想空間におけるハンググライドにおいて、よりリアリティの高いコントロールバーの動作をユーザが体験できるようにすることである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記の課題を解決するために、本発明の一態様に係るインタフェース装置は、仮想空間におけるハンググライド体験をユーザに提供するためのインタフェース装置であって、前記ユーザが把持するコントロールバーと、前記コントロールバーを上方から傾動可能に支持する傾動機構と、前記傾動機構に搭載され、前記ユーザから前記コントロールバーに作用する力及びモーメントを検出する力覚センサと、前記力及び前記モーメントを表す信号を、前記仮想空間を生成するシミュレーション装置に提供するとともに、前記コントロールバーが傾動するよう前記傾動機構を制御するための制御信号を、前記シミュレーション装置から取得する入出力部と、を備えている。
【0007】
また、上記の課題を解決するために、本発明の他の態様に係るハンググライド体験システムは、上記のインタフェース装置と、前記シミュレーション装置と、を含み、前記シミュレーション装置は、前記仮想空間における大気の状態と、前記力及び前記モーメントから特定した前記ユーザの姿勢とに基づいて、前記コントロールバーの傾動方向及び傾動角を決定する。
【発明の効果】
【0008】
本発明の各態様によれば、仮想空間におけるハンググライドにおいて、よりリアリティの高いコントロールバーの動作をユーザが体験することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】本発明の実施形態に係るハンググライド体験システムの一例を示す斜視図である。
【
図2】同システムの電気的構成を示すブロック図である。
【
図3】同システムの動作の流れを示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、図面を参照して、本発明の実施形態について詳細に説明する。
【0011】
<ハンググライド体験システムの構成>
本実施形態に係るハンググライド体験システム(以下、システムS)は、仮想空間におけるハンググライド体験をユーザUに提供するものである。
図1、2に示したように、システムSは、インタフェース装置1と、シミュレーション装置2と、ヘッドマウントディスプレイ(以下、HMD3)と、を含む。
図2に示したように、各装置1~3は、有線又は無線で互いに通信可能に接続されている。なお、システムSは、インタフェース装置1及びHMD3をそれぞれ複数含んでいてもよい。この場合、複数のインタフェース装置1は、同一室内に設置されていてもよいし、それぞれ異なる場所に設置されていてもよい。
【0012】
[インタフェース装置]
インタフェース装置1は、仮想空間におけるハンググライド体験をユーザUに提供するためのものである。
図1に示したように、インタフェース装置1は、コントロールバー11と、傾動機構12と、力覚センサ13と、を備える。また、
図1、2に示したように、本実施形態に係るインタフェース装置1は、複数のフォトディテクタ14と、入出力部15と、スイングライン16と、ハーネス17と、を更に備える。
【0013】
〔傾動機構〕
図1に示したように、傾動機構12は、コントロールバー11を上方から傾動可能に支持する。このため、傾動機構12は、床面よりも所定距離(数m程度)上方に設けられる。本実施形態に係る傾動機構12は、システムSが設置される部屋の天井に固定される。本実施形態に係る傾動機構12は、パラレルリンクである。このため、本実施形態に係る傾動機構12は、天井に固定されるベース121と、複数の可動リンク122と、傾動体123と、を備える。
【0014】
(可動リンク)
複数の可動リンク122の各上端部は、ベース121の周縁部にそれぞれ連結されている。各上端部は、可動ジョイント(ボールジョイント等)となっている。このため、各可動リンク122は、上端部を中心に傾動可能となっている。また、各可動リンク122は、それぞれピストン及びシリンダ構成されている。このため、各可動リンク122は、上端部と下端部が互いに近づいたり遠のいたりするよう伸縮可能となっている。また、複数の可動リンク122の各下端部は、上端部と同様の可動ジョイントとなっている。
【0015】
(傾動体)
傾動体123は、その下面周縁部において、複数の可動リンク122の各下端部とそれぞれ連結されている。そして、傾動体123は、各可動リンク122の伸縮の程度に応じて傾動可能となっている。
【0016】
なお、傾動機構12は、上記のような構成に限定されない。例えば、傾動機構は、個々の可動リンクが曲げ伸ばし可能に構成されていてもよい。そして、モータ等の動力によって各可動リンクの上端部の曲げ角度を調節することにより、傾動体123を傾動させるよう構成されていてもよい。また、傾動機構は、棒状の可動リンクの上端部をベース121の上面に沿って移動可能に構成されていてもよい。そして、可動リンクの上端部の移動によって下端部を上下動させることにより傾動体123を傾動させるよう構成されていてもよい。
【0017】
〔コントロールバー〕
また、コントロールバー11は、傾動機構12の下に設けられている。本実施形態に係るコントロールバー11は、一対のアップライト111と、ベースバー112と、を含む。
【0018】
(アップライト)
一対のアップライト111は、各上端部が傾動機構12の傾動体123にそれぞれ固定されるとともに、それぞれ下方に、かつ互いに離れるよう左右に延びる。
【0019】
(ベースバー)
ベースバー112は、ユーザが把持するものである。ベースバー112の左右両端部は、一対のアップライト111の各下端部にそれぞれ固定される。本実施形態に係るベースバー112は、ユーザUが操作可能な、一又は複数の操作部112aを備えている。操作部112aは、ボタンであってもよいし、ベースバー112に貼り付けられたシート状のセンサ等であってもよい。
【0020】
このようにして複数の可動リンク122に連結されたコントロールバー11(特にベースバー112)は、傾動機構12の傾動体123の傾動に応じて傾動する。
【0021】
(力覚センサ)
力覚センサ13は、ユーザUからコントロールバー11に作用する力及びモーメントを検出する。本実施形態に係る複数の力覚センサ13は、静電容量式の力覚センサであり、傾動機構12に搭載されている。また、本実施形態に係る力覚センサ13は、傾動機構12のベース121に取り付けられている。力覚センサ13は、ユーザUがベースバー112を動かそうとすることによってベース121に生じる歪みを検出する。そして、この検出結果に基づいて、コントロールバー11のベースバー112に作用している力、ベースバー112に作用する、傾動機構12を前後方向に通るX軸まわりのモーメント、及びベースバー112に作用する、傾動機構12を左右方向に通るY軸周りのモーメント等を算出する。これにより、後述するシミュレーション装置2は、ユーザUの姿勢(ベースバー112を押そうとしているか引こうとしているか)、体重のかけ方(機体を左右どちらに旋回させようとしているか)等を特定することができる。各力覚センサ13は、ベース121に生じる歪みの検出、並びにコントロールバー11に作用する力及びモーメントの検出を所定周期で繰り返す。なお、力覚センサ13は、ひずみゲージ式の力覚センサであってもよい。
【0022】
〔スイングライン〕
スイングライン16は、後述するハーネス17を吊るすためのものである。スイングライン16は、紐状の部材であってもよいし、上端部を中心に揺動可能な棒状の部材であってもよい。スイングライン16は、傾動機構12の傾動体123の下面中央部に上端部が固定されるとともに、下方へ延びる。スイングライン16の下端部は、ハーネス17を着脱可能に係合する係合部(カラビナ)が設けられている。なお、スイングライン16は、傾動体123設けられる箇所(天井等)であって、傾動機構12の側方(後方)に設けられていてもよい。
【0023】
〔ハーネス〕
ハーネス17は、スイングライン16によって吊り下げられるとともに、ユーザの胴体及び脚部を支持する。ハーネス17の型は特に限定されない。すなわち、ハーネス17は、エプロン型のものであっても、スカイフローティング型のものであっても、フロントジッパー型のものであってもよい。ハーネス17の上面中央部は、スイングライン16の係合部と係合するための被係合部が設けられている。
【0024】
〔フォトディテクタ〕
フォトディテクタ14は、後述するHMD3が照射した光を検出するものである。複数のフォトディテクタ14は、インタフェース装置1を囲むように配置される。本実施形態に係るフォトディテクタ14は、インタフェース装置1が設置される部屋の壁に配置される。また、本実施形態に係るフォトディテクタ14は、所定間隔をあけて行列状に配置される。なお、フォトディテクタ14の配置は、例えば斜めに並ぶような配置であってもよいし、ランダムな配置であってもよい。
【0025】
〔入出力部〕
入出力部15は、検出信号を、シミュレーション装置2に提供する。検出信号は、力及びモーメントを表す信号である。また、入出力部15は、コントロールバー11が傾動するよう傾動機構12を制御するための制御信号を、シミュレーション装置2から取得する。入出力部15は、シミュレーション装置2と有線又は無線で通信する通信モジュール、又はシミュレーション装置2と有線接続するための端子で構成されている。
【0026】
本実施形態に係る入出力部15は、HMD3が照射した光を検出したフォトディテクタ14の識別情報(ID、取付位置等)を、シミュレーション装置2に提供する。また、本実施形態に係る入出力部15は、コントロールバー11の操作部112aになされた操作に応じた切替信号をシミュレーション装置2へ提供する。
【0027】
[シミュレーション装置]
シミュレーション装置2は、仮想空間を生成するものである。本実施形態に係るシミュレーション装置2は、空中を模した仮想空間を生成する。
図2に示したように、シミュレーション装置2は、プロセッサ21と、メモリ22と、を備える。
【0028】
(メモリ)
メモリ22は、シミュレーション装置2を動作させるための制御プログラムを記憶している。本実施形態に係るメモリ22は、仮想空間を生成するための映像データも記憶している。
【0029】
(プロセッサ)
プロセッサ21は、実際にハンググライドを体験する場所を撮影して得られた画像データに基づいて、空中の風景を再現したVR(Virtual Reality)映像を生成する。また、プロセッサ21は、周囲の風景が後方に移動していく(ユーザUが飛行しているように見える)仮想空間の映像を生成する。また、本実施形態に係るプロセッサ21は、光を検出したフォトディテクタ14の識別情報に基づいて、ユーザUの顔の向きを特定し、仮想空間をユーザUの顔の向きに合わせて回転させる。そして、プロセッサ21は、生成した仮想空間のデータを、図示しない通信モジュールを介してHMD3へ送信する。また、プロセッサ21は、インタフェース装置1から切替信号を取得した場合に、仮想空間における場所(ロケーション)、高度、飛行速度及び音声の少なくともいずれかを、切替信号に応じたものに変更する。
【0030】
本実施形態に係るプロセッサ21は、機体が滑空するときの細かな振動のデータを生成する。そして、プロセッサ21は、生成した振動のデータを、通信モジュールを介してインタフェース装置1へ送信する。
【0031】
また、プロセッサ21は、仮想空間における大気の状態と、力及びモーメントから特定したユーザUの姿勢とに基づいて、コントロールバー11の傾動方向及び傾動角を決定する。「状態」は、風・気流の向き、風・気流の強さ等を指す。例えば、プロセッサ21は、ユーザUが腕を押し出して(引いて)いる(力覚センサ13が、コントロールバー11に前方(後方)へ向かう力を検出した)場合、コントロールバー11を、前方(後方)へ傾動することを指示する制御信号をインタフェース装置1へ提供する。また、プロセッサ21は、ユーザUが右(左)に体重をかけている(力覚センサ13が、コントロールバー11の右端部(左端部)に下方へ向かう力を検出した)場合、コントロールバー11を右下がり(左下がり)になるよう傾動することを指示する制御信号をインタフェース装置1へ提供する。プロセッサ21は、コントロールバー11に作用する力及びモーメントの検出を所定周期で繰り返す。これにより、プロセッサ21は、仮想空間における大気の状態の経時変化(仮想空間における風景の移動)に応じて、その都度異なる傾動方向及び傾動角を決定することになる。
【0032】
なお、プロセッサ21は、例えばハンググライドの上級者に装着したウェアラブルカメラが撮影した、当該上級者が実際にハンググライドを行っているときの映像のデータを取得し、当該データに基づいてVR映像を作成するよう構成されていてもよい。このようにすれば、ユーザUは、上級者によるレベルの高いハンググライドを体験している気分に浸ることができる。また、プロセッサ21は、上級者から離れた場所から撮影した、当該上級者が実際にハンググライドを行っているときの映像のデータを取得し、当該データに基づいて仮想空間を生成するよう構成されていてもよい。このようにすれば、ユーザUは、上級者と並んでハンググライドを行っているような感覚になり、より興趣の高い体験となる。
【0033】
また、プロセッサ21は、複数のインタフェース装置1及び複数のHMD3がそれぞれ接続されている場合、各HMDに提供する仮想空間として、当該各HMDを装着するユーザ以外の他のユーザのアバターが写った仮想空間を生成するよう構成されていてもよい。例えば、第一のユーザ及び第二のユーザがそれぞれHMD3を装着し、別々のインタフェース装置1でハンググライドを体験する際に、第一のユーザ(第二のユーザ)のHMD3には、第二のユーザのアバター(第一のユーザのアバター)が写った仮想空間のデータを提供する。このようにすれば、仮想空間内において、複数のユーザが、ともにハンググライドを楽しんだり、ハンググライドの腕を競い合ったりすることができる。ユーザの数が多数になれば、仮想空間内で賞金を懸けた大会を行うこともできる。
【0034】
また、プロセッサ21は、VR映像ではない仮想空間及び当該仮想空間内に存在するユーザUのアバターを生成するよう構成されていてもよい。この場合、プロセッサ21は、仮想空間における大気の状態とユーザUの姿勢とに基づいて、アバターの姿勢を変化させるよう構成されていてもよい。
【0035】
また、プロセッサ21は、仮想空間における音声を生成し、それをHMD3へ送信するよう構成されていてもよい。音声には機体やユーザが風を切る音、機体におけるセールがはためく音、地上にいる人との無線交信等が含まれる。
【0036】
[ヘッドマウントディスプレイ]
HMD3は、シミュレーション装置2から取得した、仮想空間を表す映像を表示する。また、HMD3は、ユーザUがコントロールバー11に搭乗する際に、ユーザUの頭部に装着される。これにより、ユーザUは、自身が仮想空間内に存在しているような臨場感を得ることができる。本実施形態に係るシミュレーション装置2はVR映像を生成するため、HMD3を装着したユーザUは、よりリアリティの高い仮想空間内に存在している感覚に浸ることができる。また、本実施形態に係るシミュレーション装置2は周囲の風景が後方に移動していく仮想空間の映像を生成するため、HMD3を装着したユーザUは、自身が前進している感覚に浸ることができる。また、本実施形態に係るHMD3は、シミュレーション装置2から取得した情報に基づいて、場所、高度及び飛行速度の少なくともいずれかを示す飛行情報を、仮想空間内(HMD3の表示部の端)に表示するよう構成されている。シミュレーション装置2が切替信号に応じて場所、高度及び飛行速度の少なくともいずれかを変更した場合、HMD3は表示する飛行情報を変更する。
【0037】
本実施形態に係るHMD3は、少なくともユーザUがハンググライドを体験している間、ユーザUが顔を向けている方向に光を照射する。光は、インタフェース装置1が設置される部屋の室内光と異なっていればよく、可視光であってもよいし、赤外線等であってもよい。HMD3から照射された光は、インタフェース装置1の周囲に配置された複数のフォトディテクタ14の何れかが検出することになる。
【0038】
なお、HMD3は、スピーカが内蔵されたものであってもよい。その場合、HMD3は、シミュレーション装置2から取得した、仮想空間における音声を発するよう構成されていてもよい。
【0039】
<ハンググライド体験システム(インタフェース装置)の動作>
上記のように構成されたシステムSは、所定の開始条件が成立すると、動作を開始する。開始条件としては、システムS(インタフェース装置1)の電源がオンにされたこと、ユーザUがコントロールバー11を把持したこと、ユーザUにより所定の開始操作がなされたこと、等が挙げられる。
【0040】
システムSが動作を開始すると、
図3に示したように、まず、シミュレーション装置2が仮想空間を生成し(ステップA1)、そのデータを、ユーザUが装着しているHMD3へ提供する(ステップA2)。そして、仮想空間のデータを受信したHMD3が、仮想空間の映像を表示部に表示する(ステップB1)。そして、仮想空間内の風景が移動し始めることにより、ハンググライドの体験が開始される。
【0041】
HMD3に仮想空間が表示されている間、インタフェース装置1がコントロールバー11に作用する力及びモーメントの検出を所定周期で繰り返す(ステップC1)。そして、力及びモーメントを検出する度に、インタフェース装置1が、検出信号をシミュレーション装置2に提供する(ステップC2)。
【0042】
そして、検出信号を取得したシミュレーション装置2が、生成した仮想空間における大気の状態と、検出信号から特定したユーザUの姿勢とに基づく、コントロールバー11の傾動方向及び傾動角の決定を繰り返す(ステップA3)。そして、傾動方向及び傾動角を決定する度に、シミュレーション装置2が、決定した傾動方向及び傾動角を示す制御信号をインタフェース装置1へ提供する(ステップA4)。そして、制御信号を取得したインタフェース装置1が、傾動機構を制御して、コントロールバー11を、制御信号が示す傾動方向及び傾動角で傾動させる(ステップC3)。
【0043】
<ハンググライド体験システムの作用効果>
本実施形態に係るインタフェース装置1は、傾動機構12により、コントロールバー11が傾動する。このため、ユーザは、コントロールバーを、ユーザに対し相対的に傾動させることができる。このため、インタフェース装置1又はシステムSによれば、仮想空間におけるハンググライドにおいて、よりリアリティの高いコントロールバーの動作をユーザが体験することができる。
【0044】
<変形例>
本発明は上述した各実施形態に限定されず、請求項に示した範囲で種々の変更が可能である。すなわち、異なる実施形態にそれぞれ開示された技術的手段を適宜組み合わせて得られる実施形態についても本発明の技術的範囲に含まれる。
【0045】
例えば、HMD3は、光を照射する機能の代わりに、ユーザUの頭部の動作を検出するセンサ(ジャイロセンサ等)を備えていてもよい。その場合、インタフェース装置1は、フォトディテクタ14を備えていなくてもよい。
【0046】
また、システムSは、図示しない送風機を備えていてもよい。この送風機は、ユーザUの前方に、ユーザUへ向けて送風するよう配置される。また、送風機は、シミュレーション装置2と接続され、仮想空間内を飛行する速度に合わせて風速を調節する。このようにすれば、ユーザUが動作に合わせて風を受けることになり、仮想空間におけるハンググライド体験のリアリティをより向上させることができる。なお、システムSは、ユーザUへ送る風の風向を変更できるよう構成されていてもよい。具体的には、例えば送風機が、ユーザの周囲において移動可能に構成されていてもよいし、ユーザUの前方に配置されたものとは別に側方等に配置されていてもよい。この場合、シミュレーション装置2は、風向の変化に合わせてコントロールバー11を傾動させるよう構成されていてもよい。このようにすれば、横風の発生等も再現することができるため、ユーザUは、より難易度の高いハンググライドを体験することができる。
【0047】
また、システムSは、インタフェース装置1の下方(システムSが設置される部屋の床面等)に、緩衝材を備えていてもよい。このようにすれば、スイングライン16やハーネス17の破損、スイングライン16とハーネス17との係合不良等によってユーザUが落下してしまった場合に、緩衝材がユーザを受け止めるため、ユーザUが負傷してしまうのを防ぐことができる。
【0048】
また、上記プロセッサの機能の一部又は全部は、論理回路により実現することも可能である。例えば、上記各制御ブロックとして機能する論理回路が形成された集積回路も本発明の範疇に含まれる。この他にも、例えば量子コンピュータにより上記各制御ブロックの機能を実現することも可能である。
【0049】
〔まとめ〕
本発明の態様1に係るインタフェース装置は、仮想空間におけるハンググライド体験をユーザに提供するためのインタフェース装置であって、前記ユーザが把持するコントロールバーと、前記コントロールバーを上方から傾動可能に支持する傾動機構と、前記傾動機構に搭載され、前記ユーザから前記コントロールバーに作用する力及びモーメントを検出する力覚センサと、前記力及び前記モーメントを表す信号を、前記仮想空間を生成するシミュレーション装置に提供するとともに、前記コントロールバーが傾動するよう前記傾動機構を制御するための制御信号を、前記シミュレーション装置から取得する入出力部と、を備えている、構成である。
【0050】
本発明の態様2に係るインタフェース装置は、上記の態様1において、前記傾動機構は、パラレルリンクである、構成としてもよい。
【0051】
本発明の態様3に係るハンググライド体験システムは、上記の態様1又は2に記載のインタフェース装置と、前記シミュレーション装置と、を含み、前記シミュレーション装置は、前記仮想空間における大気の状態と、前記力及び前記モーメントから特定した前記ユーザの姿勢とに基づいて、前記コントロールバーの傾動方向及び傾動角を決定する、構成としてもよい。
【0052】
本発明の態様4に係るハンググライド体験システムは、上記の態様3において、前記シミュレーション装置から取得した、前記仮想空間を表す映像を表示するヘッドマウントディスプレイを更に含む、構成としてもよい。
【符号の説明】
【0053】
S:ハンググライド体験システム、1:インタフェース装置、11:コントロールバー
111:アップライト、112:ベースバー、12:傾動機構、121:ベース、122:可動リンク、123:傾動体、13:力覚センサ、14:フォトディテクタ、15:入出力部、16:スイングライン、17:ハーネス、2:シミュレーション装置、21:プロセッサ、22:メモリ、3:ヘッドマウントディスプレイ、U:ユーザ