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特開2024-170202処理装置、処理プログラム及び処理方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024170202
(43)【公開日】2024-12-06
(54)【発明の名称】処理装置、処理プログラム及び処理方法
(51)【国際特許分類】
   G06Q 40/00 20230101AFI20241129BHJP
   G06Q 50/10 20120101ALI20241129BHJP
【FI】
G06Q40/00
G06Q50/10
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023087230
(22)【出願日】2023-05-26
(71)【出願人】
【識別番号】521047926
【氏名又は名称】株式会社グレッジ
(74)【代理人】
【識別番号】230121016
【弁護士】
【氏名又は名称】小笠原 匡隆
(72)【発明者】
【氏名】眞野 篤師
【テーマコード(参考)】
5L040
5L049
5L050
5L055
【Fターム(参考)】
5L040BB08
5L049CC11
5L050CC11
5L055BB08
(57)【要約】
【課題】
帰国した外国人の年金の脱退一時金の申請、及び当該外国人に対する脱退一時金の振込に係る処理を可能にすること。
【解決手段】
外国人の転出情報を生成して第1機関に対して出力し、前記外国人に係る基礎情報に基づいて、前記外国人に係る年金の脱退一時金の申請情報を生成して第2機関に対して出力し、前記外国人が所有する第1銀行の口座に前記脱退一時金が入金された否かを前記第1銀行に対して確認し、前記第1銀行の口座に前記脱退一時金が入金されたことを確認すると、前記外国人が所有する第2銀行の口座に対して所定金額の振込を前記第1銀行に依頼すること。
【選択図】 図1

【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも一つのプロセッサを具備する処理装置であって、
前記少なくとも一つのプロセッサは、
外国人の転出情報を生成して第1機関に対して出力し、
前記外国人に係る基礎情報に基づいて、前記外国人に係る年金の脱退一時金の申請情報を生成して第2機関に対して出力し、
前記外国人が所有する第1銀行の口座に前記脱退一時金が入金された否かを前記第1銀行に対して確認し、
前記第1銀行の口座に前記脱退一時金が入金されたことを確認すると、前記外国人が所有する第2銀行の口座に対して所定金額の振込を前記第1銀行に依頼する、
ための処理を実行するように構成された処理装置。
【請求項2】
前記少なくとも一つのプロセッサは、前記外国人が日本国内に在籍しないことを証明する転出証明を前記第1機関から受信し、
前記基礎情報は、前記転出証明に記載された情報を含む、請求項1に記載の処理装置。
【請求項3】
前記少なくとも一つのプロセッサは、前記外国人が所有する前記第1銀行の口座に係る銀行証明の発行を前記第1銀行に依頼し、
前記基礎情報は、前記第1銀行から受信する前記銀行証明を含む、請求項1に記載の処理装置。
【請求項4】
前記少なくとも一つのプロセッサは、前記第1銀行の口座から前記第2銀行の口座に対する前記振込の完了を確認すると、前記第1銀行の口座の解約を前記第1銀行に依頼する、請求項1に記載の処理装置。
【請求項5】
前記所定金額は、前記脱退一時金から所定手数料が差引かれた額である、請求項1に記載の処理装置。
【請求項6】
前記転出情報は、前記外国人の出国前における前記外国人の転出届に係る情報を含む、請求項1に記載の処理装置。
【請求項7】
少なくとも一つのプロセッサを具備するコンピュータにおいて前記少なくとも一つのプロセッサを、
外国人の転出情報を生成して第1機関に対して出力し、
前記外国人に係る基礎情報に基づいて、前記外国人に係る年金の脱退一時金の申請情報を生成して第2機関に対して出力し、
前記外国人が所有する第1銀行の口座に前記脱退一時金が入金された否かを前記第1銀行に対して確認し、
前記第1銀行の口座に前記脱退一時金が入金されたことを確認すると、前記外国人が所有する第2銀行の口座に対して所定金額の振込を前記第1銀行に依頼する、
ように機能させる処理プログラム。
【請求項8】
少なくとも一つのプロセッサを具備するコンピュータにおいて前記少なくとも一つのプロセッサにより実行される処理方法であって、
外国人の転出情報を生成して第1機関に対して出力する段階と、
前記外国人に係る基礎情報に基づいて、前記外国人に係る年金の脱退一時金の申請情報を生成して第2機関に対して出力する段階と、
前記外国人が所有する第1銀行の口座に前記脱退一時金が入金された否かを前記第1銀行に対して確認する段階と、
前記第1銀行の口座に前記脱退一時金が入金されたことを確認すると、前記外国人が所有する第2銀行の口座に対して所定金額の振込を前記第1銀行に依頼する段階と、
を含む処理方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、帰国した外国人の年金の脱退一時金に係る申請及び当該外国人に対して当該脱退一時金の振込を行うための処理装置、処理プログラム及び処理方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、国民年金に関する窓口業務を効率よく行うための情報処理装置が知られている。例えば、特許文献1には、「少なくとも氏名、生年月日、国民年金資格を含む申請者情報を蓄積する申請者データベースと、国民年金に関する申請を行う申請者情報と、当該申請で手続を行う日付情報とを入力させる入力画面を表示させる入力画面表示部と、前記入力画面に入力された申請者情報と日付情報とを受け付ける入力受付部と、前記申請者データベースから、前記受け付けた申請者情報に基づいて、申請者を検索する検索部と、前記検索の結果、申請者が検索されない場合または検索された申請者情報の国民年金資格が喪失となっている場合には、国民年金資格の取得メニューを有効とし、他のメニューを無効としたメニュー画面を表示し、検索された申請者情報の国民年金資格が取得されている場合には、前記検索された申請者情報と、前記入力された日付情報に基づいて、各メニューの有効無効を判定し、国民年金資格の取得メニューを無効とし、他のメニューを前記判定に基づいて有効または無効としたメニュー画面を表示するメニュー表示部と、前記表示されたメニュー画面のメニューの選択を受け付ける選択受付部と、受け付けた選択が、有効なメニューであれば、当該メニューに対応付けられた手続に関する処理を実行する実行部と、前記手続に関する処理の実行結果から、自治体から年金事務所へ送付される送付用データを生成する生成部とを有する情報処理装置。」が記載されている。
【0003】
しかし、特許文献1に記載の情報処理装置においては、国民年金の申請に係る処理が対象となっており、帰国した外国人の年金の脱退一時金の申請、又は当該外国人に対する脱退一時金の振込に係る処理は考慮されていない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2013-97569号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本開示は、上述した背景からなされたものであり、帰国した外国人の年金の脱退一時金の申請、及び当該外国人に対する脱退一時金の振込に係る処理が可能な処理装置、処理プログラム及び処理方法を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の一態様によれば、「少なくとも一つのプロセッサを具備する処理装置であって、前記少なくとも一つのプロセッサは、外国人の転出情報を生成して第1機関に対して出力し、前記外国人に係る基礎情報に基づいて、前記外国人に係る年金の脱退一時金の申請情報を生成して第2機関に対して出力し、前記外国人が所有する第1銀行の口座に前記脱退一時金が入金された否かを前記第1銀行に対して確認し、前記第1銀行の口座に前記脱退一時金が入金されたことを確認すると、前記外国人が所有する第2銀行の口座に対して所定金額の振込を前記第1銀行に依頼する、ための処理を実行するように構成された処理装置。」が提供される。
【0007】
本開示の一態様によれば、「少なくとも一つのプロセッサを具備するコンピュータにおいて前記少なくとも一つのプロセッサを、外国人の転出情報を生成して第1機関に対して出力し、前記外国人に係る基礎情報に基づいて、前記外国人に係る年金の脱退一時金の申請情報を生成して第2機関に対して出力し、前記外国人が所有する第1銀行の口座に前記脱退一時金が入金された否かを前記第1銀行に対して確認し、前記第1銀行の口座に前記脱退一時金が入金されたことを確認すると、前記外国人が所有する第2銀行の口座に対して所定金額の振込を前記第1銀行に依頼する、ように機能させる処理プログラム。」が提供される。
【0008】
本開示の一態様によれば、「少なくとも一つのプロセッサを具備するコンピュータにおいて前記少なくとも一つのプロセッサにより実行される処理方法であって、外国人の転出情報を生成して第1機関に対して出力する段階と、前記外国人に係る基礎情報に基づいて、前記外国人に係る年金の脱退一時金の申請情報を生成して第2機関に対して出力する段階と、前記外国人が所有する第1銀行の口座に前記脱退一時金が入金された否かを前記第1銀行に対して確認する段階と、前記第1銀行の口座に前記脱退一時金が入金されたことを確認すると、前記外国人が所有する第2銀行の口座に対して所定金額の振込を前記第1銀行に依頼する段階と、を含む処理方法。」が提供される。
【発明の効果】
【0009】
本開示によれば、帰国した外国人の年金の脱退一時金の申請、及び当該外国人に対する当該脱退一時金の振込に係る処理が可能な処理装置、処理プログラム及び処理方法を提供することができる。
【0010】
なお、上記効果は説明の便宜のための例示的なものであるにすぎず、限定的なものではない。上記効果に加えて、又は上記効果に代えて、本開示中に記載されたいかなる効果や当業者であれば明らかな効果を奏することも可能である。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1図1は、本開示の実施形態に係る処理システム1に係る年金の脱退一時金の申請から取得に係る概要を概略的に示す図である。
図2図2は、本開示の実施形態に係る処理システム1の構成を概略的に示す概念図である。
図3図3は、本開示の実施形態に係るユーザ端末装置100の構成の例を示すブロック図である。
図4図4は、本開示の実施形態に係る管理者サーバ装置200の構成の例を示すブロック図である。
図5図5は、本開示の実施形態に係る行政機関サーバ装置300の構成の例を示すブロック図である。
図6図6は、本開示の実施形態に係る年金機構サーバ装置400の構成の例を示すブロック図である。
図7図7は、本開示の実施形態に係る第1銀行サーバ装置500の構成の例を示すブロック図である。
図8図8は、本開示の実施形態に係る第2銀行サーバ装置600の構成の例を示すブロック図である。
図9図9は、本開示の実施形態に係る管理者サーバ装置200に記憶される外国人情報テーブルを概念的に示す図である。
図10A図10Aは、本開示の実施形態に係るユーザ端末装置100、管理者サーバ装置200、及び第1銀行サーバ装置500の間で実行される処理シーケンスを示す図である。
図10B図10Bは、本開示の実施形態に係るユーザ端末装置100、管理者サーバ装置200、及び行政機関サーバ装置300の間で実行される処理シーケンスを示す図である。
図10C図10Cは、本開示の実施形態に係るユーザ端末装置100、管理者サーバ装置200、及び年金機構サーバ装置400の間で実行される処理シーケンスを示す図である。
図10D図10Dは、本開示の実施形態に係るユーザ端末装置100、管理者サーバ装置200、第1銀行サーバ装置500、及び第2銀行サーバ装置600の間で実行される処理シーケンスを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
添付図面を参照して本開示の実施形態を説明する。なお、図面における共通する構成要素には同一の参照符号が付されている。
【0013】
1.本開示に係る処理システム1の概要
本開示に係る処理システムは、一例としては、日本国内で就労した外国人が帰国した場合に、年金の脱退一時金を申請(請求)するために用いられる。特に、当該処理システムは、当該脱退一時金を申請するために必要となる申請情報を生成し、日本年金機構(以下、単に年金機構とも称する)に対して当該申請を行う場合等において好適に用いられる。また、当該処理システムは、当該脱退一時金が年金機構から所定の銀行に振込まれたことを確認する場合、更には他の銀行に当該脱退一時金を移動させる(外国人の銀行口座間の移動)場合に好適に用いられる。具体的には、処理システム1においては、帰国した又は帰国予定の外国人であるユーザが、当該脱退一時金の申請からその後の銀行手続を行う上で、第1機関の一例である役所、第2機関の一例である年金機構(年金センター)、及び銀行の窓口に直接行くことなく、当該ユーザのユーザ端末装置から各処理を行うための操作が可能である。
【0014】
図1は、本開示の実施形態に係る処理システム1に係る年金の脱退一時金の申請から取得に係る概要を概略的に示す図である。具体的に、図1には、外国人であるユーザが、管理者サーバ装置を介して当該脱退一時金の申請に必要となる手続からその後の各種手続を行う流れが記載されている。図1に示すように、外国人であるユーザは、自身の所有するユーザ端末(図示せず)を利用して、管理者サーバ装置にログインし、自身の基本情報を管理者に提供する。また、当該ユーザは、管理者サーバ装置を介し、第1機関の一例である役所に対して転出証明の申請を行い、当該役所から転出証明を受領する。
【0015】
次に、当該ユーザは、受領した転出証明を含む自身の基本情報に基づいて、第2機関の一例である年金機構に対して脱退一時金の申請を行う。年金機構は、当該申請に問題がなければ、指定された第1銀行(国内銀行)の所定の口座に、脱退一時金を振込むための処理を行う。その後、当該ユーザは、管理者サーバ装置を介し、第1銀行に脱退一時金が実際に振込まれているか否かを確認する。管理者サーバ装置において当該脱退一時金の入金が確認されると、管理者サーバ装置は、当該ユーザが所有する第2銀行(外国銀行)の口座に対して、所定金額の振込依頼を第1銀行に行う。第1銀行は、当該振込依頼に応じて、第2銀行に当該所定金額を振込む。そして、第2銀行から管理者サーバ装置に対して入金報告がなされ、当該ユーザは、第2銀行に所定金額が実際に振込まれたことを、管理者サーバ装置を介して確認することができる。
【0016】
ここで、本開示において、処理システム1は、図2に示す通り、一例として、外国人が操作するユーザ端末装置100、管理者が管理する管理者サーバ装置200、役所が管理する行政機関サーバ装置300、年金機構が管理する年金機構サーバ装置400、第1銀行が管理する第1銀行サーバ装置500、及び第2銀行が管理する第2銀行サーバ装置600を含む。そして、本開示では、管理者サーバ装置200が処理装置として機能する場合を中心に説明する。しかし、本開示における処理装置は、上記のような各種の申請及び依頼に係る処理を実行可能な装置であればいずれでもよく、当然に、管理者サーバ装置200以外の他のサーバ装置、処理システム1に含まれる各装置、及びこれらの組み合わせのいずれであっても、好適に処理装置として機能することが可能である。すなわち、本開示においては、各装置につけられた呼称は、各装置を互いに区別するために用いられているに過ぎず、各装置の機能に応じては他の呼称がなされてもよい。
【0017】
本開示の前提として、年金の脱退一時金の制度とは、日本国籍を有しない者(外国人であるユーザ)が、国民年金又は厚生年金保険(共済組合等を含む)の被保険者(組合員等)資格を喪失して日本を出国した場合、日本に住所を有しなくなった日から2年以内に脱退一時金を請求することが可能な制度である。
【0018】
本開示の前提として、ユーザである外国人が脱退一時金を申請するためには、以下の条件を満たす必要がある。第1条件は「日本国籍を有していないこと」、第2条件は「国民年金の保険料納付済期間等月数又は厚生年金保険(共済組合等に加入していた期間を含む)が6月以上あること」、第3条件は「日本に住所を有していないこと」、第4条件は「年金(障害手当金を含む)を受ける権利を有したことがないこと」である。また、第5条件は「老齢年金の受給資格期間(厚生年金保険加入期間等を合算して10年間)を満たしていない」、第6条件は「障害基礎年金などの年金を受ける権利を有したことがない」、第7条件は「最後に公的年金制度の被保険者資格を喪失した日から2年以上経過していない(資格喪失日に日本国内に住所を有していた場合は、同日後に初めて、日本国内に住所を有しなくなった日から3年以上経過していない)」である。特に、本開示の実施形態においては、第1条件、第2条件、及び第4乃至第7条件を満たすことを前提とし、更に第3条件を満たすことを証明(転出証明)するための情報を得るために処理システム1が利用される。
【0019】
本開示の前提として、特に、脱退一時金を申請するためには以下の情報が必要となる。第1情報は「パスポート(旅券)の写し(氏名、生年月日、国籍、署名、在留資格が確認できるページ)の情報」、第2情報は「日本国内に住所を有しなくなったことが確認できる書類の情報」、第3情報は「『銀行名』『支店名』、『支店の所在地』、『口座番号』及び『請求者本人の口座名義』であることが確認できる書類(銀行が発行した証明書等)の情報」、及び第4情報は「基礎年金番号通知書または年金手帳等の基礎年金番号を明らかにすることができる書類の情報」である。特に、本開示の実施形態において、第1乃至第4情報が管理者サーバ装置200によって取得され、更には取得された情報が記憶される。具体的に、第1及び第4情報はユーザから入力操作によって取得される情報であり、第2情報は役所から取得される情報であり、第3情報は第1銀行(例えば、国内銀行)から取得される情報である。
【0020】
なお、第2情報については、ユーザが出国前に住まいの市区町村で転出届を提出した場合には不要となる。そして、本開示の実施形態において、管理者サーバ装置200を介して、ユーザが転出届を出国前に提出することも可能である。
【0021】
また、本開示の実施形態において、「基本情報」とは上記第1乃至第4情報を含む情報であって、ユーザが脱退一時金を申請するため必要な情報を総称した名称である。ただし、第2情報については、上述したように不要となる場合があるため、必須情報とはならない。
【0022】
また、本開示の実施形態において、「転出情報」とは、第3条件を満たすことを証明(転出証明)するために申請する際に必要となるユーザの情報、又はユーザが転出届を出国前に提出する際に必要となるユーザの情報である。更に、本開示において、「転出証明」とは、役所が発行するユーザが日本国内にいないことを証明するものであって、第2情報として用いられるものである。
【0023】
また、本開示の実施形態において、「第1機関」とは、市区町村の役所であり、一般的な行政事務を扱う組織である。具体例として、第1機関は区役所、役所、町役場、村役場であり、ユーザを含めた住民に関する情報を取り扱う機関である。更に、本開示の実施形態において、「第2機関」とは、ユーザを含めた住民の年金に係る業務を行う日本年金機構である。
【0024】
また、本開示の実施形態において、「第1銀行」とは、いわゆる国内銀行の一例であり、「第2銀行」とは外国銀行の一例である。いずれの銀行も、脱退一時金を申請するユーザが所有する銀行口座が存在する銀行である。第1銀行には、年金の脱退一時金が直接振込まれるユーザの口座が存在し、第2銀行には、年金の脱退一時金から管理者の所定手数料が差引かれた所定金額が振込まれるユーザの口座が存在する。そして、本開示の実施形態において、「銀行証明」とは、選択された口座がユーザ本人の銀行口座であることを第1銀行(例えば、国内銀行)が証明するために発行した証明情報である。更に、国内銀行及び外国銀行は実際には複数存在するものの、本実施形態においては説明の便宜上のため、脱退一時金を申請するユーザが口座開設した銀行のみを記載している。
【0025】
また、本開示の実施形態において、「管理者」とは、日本国内で就労する外国人をサポートするためのサービスを行う企業、団体、組織、又は組合等である。すなわち、「管理者」は、処理システム1を構成する管理者サーバ装置200を管理及び使用し、当該外国人であるユーザに年金の脱退一時金の申請に係る各種手続をサポートするものである。そして、本開示の実施形態において、「管理者」とは、電子決済代行業として銀行業務の一部を行えるものでもある。
【0026】
なお、本開示において、「第1」や「第2」等の記載がなされていたとしても、これらが付された二つの要素のみに限定されることを意味するわけではない。当然に、「第3」、「第4」及びそれ以上の複数の要素が含まれていてもよい。
【0027】
2.処理システム1の構成
図2は、本開示の実施形態に係る処理システム1の構成を概略的に示す概念図である。図2に示すように、処理システム1においては、ユーザ端末装置100、管理者サーバ装置200、行政機関サーバ装置300、年金機構サーバ装置400、第1銀行サーバ装置500、及び第2銀行サーバ装置600が、互いにネットワークを通じて通信可能に接続されている。当該ネットワークは、無線、有線又はそれらの組み合わせにより構成される。
【0028】
なお、図2の例では、各装置がそれぞれ1台しか記載されていないが、当然2台以上の各装置を含むことが可能である。特に、銀行については、本実施形態において対象とするユーザが口座開設した第1銀行及び第2銀行以外にも、他の銀行のサーバ装置が接続されてもよい。また、管理者サーバ装置200は単一のものとして記載されているが、管理者サーバ装置200の各構成要素及び処理を複数のサーバ装置やクラウドサーバ装置に分配することも可能である。
【0029】
また、本実施形態において、管理者サーバ装置200には、行政機関サーバ装置300、年金機構サーバ装置400、第1銀行サーバ装置500、及び第2銀行サーバ装置600とAPI(Application Programming Interface)連携が可能となるように、APIが組み込まれている。このため、ユーザ端末装置100を操作して管理者サーバ装置200で提供されるアプリケーション等にユーザがログインすると、管理者サーバ装置200を介して役所、年金機構、各銀行に対する各種の処理を実行することが可能になる。
【0030】
3.ユーザ端末装置100の構成
図3は、本開示の実施形態に係るユーザ端末装置100の構成の例を示すブロック図である。ユーザ端末装置100は、図3に示す構成要素の全てを備える必要はなく、一部を省略した構成をとることも可能であるし、他の構成要素を加えることも可能である。
【0031】
ユーザ端末装置100は、典型的には、スマートフォンに代表される無線通信可能な端末装置が挙げられるが、当然当該装置のみには限られない。例えば、端末装置としては、フィーチャーフォン、携帯情報端末、PDA、ラップトップパソコン、デスクトップパソコン、携帯型ゲーム機、据え置き型ゲーム機など、本開示に係るプログラムを実行可能な装置であれば、いずれでも好適に適用することが可能である。また、ユーザ端末装置100が複数存在する場合、各端末装置が常に同種又は同じ端末装置である必要はなく、互いに異なる種類の端末装置であってもよい。
【0032】
図3によると、ユーザ端末装置100は、出力インターフェイス111、プロセッサ112、RAM、ROM、又は不揮発性メモリ(場合によっては、HDD)等を含むメモリ113、通信処理回路及びアンテナを含む通信インターフェイス114、タッチパネル及びハードキーを含む入力インターフェイス115を含む。そして、これらの各構成要素が制御ライン及びデータラインを介して互いに電気的に接続される。
【0033】
出力インターフェイス111は、プロセッサ112の指示に応じて、図示しないカメラで撮影される画像や、本開示に係るプログラムを実行することによって出力される各種表示を、ディスプレイやプリンタ等の機器に出力する出力部として機能する。なお、このようなディスプレイは、例えば液晶ディスプレイ、有機ELディスプレイ又は電子ペーパー等から構成される。
【0034】
プロセッサ112は、CPU(マイクロコンピュータ:マイコン)から構成され、メモリ113に記憶された各種プログラムに基づいて、接続された他の構成要素を制御する制御部として機能する。具体的には、プロセッサ112は、本開示に係るアプリケーションを実行するためのプログラムやOSを実行するためのプログラムをメモリ113から読み出して実行する。本開示においては、プロセッサ112は、特に、図10A図10Dの処理シーケンスで記載された各処理等を実行する(処理の詳細は、図10A図10Dにおいて説明する。)。なお、プロセッサ112は、単一のCPUで構成されても良いが、複数のCPUやGPUを組み合わせて構成しても良い。
【0035】
メモリ113は、ROM、RAM、不揮発性メモリ、HDD等から構成され、記憶部として機能する。ROMは、本開示に係るアプリケーションやOSを実行するための指示命令をプログラムとして記憶する。RAMは、ROMに記憶されたプログラムがプロセッサ112により処理されている間、データの書き込み及び読み込みをするために用いられる。不揮発性メモリは、当該プログラムの実行によってデータの書き込み及び読み込みが実行されるメモリであって、ここに書き込まれたデータは、当該プログラムの実行が終了した後でも保存される。本開示においては、メモリ113は、特に、図10A図10Dの処理シーケンスで記載された各処理等を実行するプログラムを記憶する(処理の詳細は、図10A図10D等において説明する。)。
【0036】
通信インターフェイス114は、通信処理回路及びアンテナを介して、遠隔に設置された管理者サーバ装置200や他の装置との間で情報の送受信をする通信部として機能する。通信処理回路は、処理システム1において用いられるプログラムや各種情報等を処理の進行に応じて、管理者サーバ装置200や他の装置から情報を送受信するための処理をする。
【0037】
通信処理回路は、LTE方式に代表されるような広帯域の無線通信方式に基づいて処理されるが、IEEE802.11に代表されるような無線LANやBluetooth(登録商標)のような狭帯域の無線通信に関する方式や非接触無線通信に関する方式に基づいて処理することも可能である。また、無線通信に代えて、又は加えて、有線通信を用いることも可能である。
【0038】
入力インターフェイス115は、タッチパネルやハードキー等から構成され、本開示に係るプログラムの実行に係る指示入力や、様々な情報を登録するための操作入力等を受け付ける入力部として機能する。タッチパネルは、出力インターフェイス111を被覆するように配置され、出力インターフェイス111からディスプレイに出力される画像データに対応する位置座標の情報を、プロセッサ112に送信する。タッチパネル方式としては、抵抗膜方式、静電容量結合方式、超音波表面弾性波方式など、公知の方式を利用することができる。本開示においては、タッチパネルは、指示体により出力インターフェイス111に表示された各アイコン等に対するスワイプ操作やタップ操作を検出する。なお、本開示ではユーザ端末装置100に備えられる入力インターフェイス115を用いたが、例えばマウスのような、プロセッサ112等を備える本体に無線又は有線で接続された入力インターフェイス115を用いることも可能である。
【0039】
4.管理者サーバ装置200の構成
図4は、本開示の実施形態に係る管理者サーバ装置200の構成の例を示すブロック図である。管理者サーバ装置200は、図4に示す構成要素の全てを備える必要はなく、一部を省略した構成をとることも可能であるし、他の構成要素を加えることも可能である。また、管理者サーバ装置200は単一の筐体に図4に図示するものを備える必要はなく、管理者サーバ装置200の各構成要素及び処理を複数のサーバ装置やクラウドサーバ装置に分配することも可能である。
【0040】
図4によると、管理者サーバ装置200は、RAM、ROM、及び不揮発性メモリ、HDD等を含むメモリ211、CPU等から構成されるプロセッサ212及び通信インターフェイス213を含む。そして、これらの各構成要素が制御ライン及びデータラインを介して互いに電気的に接続される。
【0041】
メモリ211は、RAM、ROM、不揮発性メモリ、HDDを含み、記憶部として機能する。ROMは、本開示に係るアプリケーションやOSを実行するための指示命令をプログラムとして記憶する。このようなプログラムは、プロセッサ212によってロードされ実行される。RAMは、ROMに記憶されたプログラムがプロセッサ212によって処理されている間、データの書き込み及び読み込みを実行するために用いられる。不揮発性メモリは、当該プログラムの実行によってデータの書き込み及び読み込みが実行されるメモリであって、ここに書き込まれたデータは、当該プログラムの実行が終了した後でも保存される。本開示においては、メモリ211は、特に、「外国人の転出情報を生成して第1機関に対して出力する処理」、「当該外国人に係る基礎情報に基づいて、当該外国人に係る年金の脱退一時金の申請情報を生成して第2機関に対して出力する処理」、「当該外国人が所有する第1銀行の口座に当該脱退一時金が入金された否かを当該第1銀行に対して確認する処理」、「当該第1銀行の口座に当該脱退一時金が入金されたことを確認すると、当該外国人が所有する第2銀行の口座に対して所定金額の振込を当該第1銀行に依頼する処理」等のためのプログラムを記憶する。また、メモリ211は、図9に示す外国人情報テーブルに記載された各種情報を記憶する。更に、メモリ211は、図9に示す外国人情報テーブルに記載された各種情報以外にも、ユーザのログイン用のパスワード、及びユーザに係る他の情報も記憶する。
【0042】
プロセッサ212は、CPU(マイクロコンピュータ:マイコン)から構成され、メモリ211に記憶された各種プログラムに基づいて、接続された他の構成要素を制御するための制御部として機能する。具体的には、プロセッサ212は、本開示に係るアプリケーションを実行するためのプログラムやOSを実行するためのプログラムをメモリ211から読み出して実行する。本開示においては、プロセッサ212は、特に、「外国人の転出情報を生成して第1機関に対して出力する処理」、「当該外国人に係る基礎情報に基づいて、当該外国人に係る年金の脱退一時金の申請情報を生成して第2機関に対して出力する処理」、「当該外国人が所有する第1銀行の口座に当該脱退一時金が入金された否かを当該第1銀行に対して確認する処理」、「当該第1銀行の口座に当該脱退一時金が入金されたことを確認すると、当該外国人が所有する第2銀行の口座に対して所定金額の振込を当該第1銀行に依頼する処理」等を実行する。なお、プロセッサ212は、単一のCPUで構成されても良いが、複数のCPUやGPUを組み合わせて構成しても良い。
【0043】
通信インターフェイス213は、通信処理回路及びアンテナを介して、遠隔に設置された他のサーバ装置やユーザ端末装置100との間で情報の送受信をする通信部として機能する。通信処理回路は、処理システム1において用いられるプログラムや各種情報等を処理の進行に応じて、他のサーバ装置やユーザ端末装置100から情報を送受信するための処理をする。
【0044】
通信処理回路は、LTE方式に代表されるような広帯域の無線通信方式に基づいて処理されるが、IEEE802.11に代表されるような無線LANやBluetooth(登録商標)のような狭帯域の無線通信に関する方式や非接触無線通信に関する方式に基づいて処理することも可能である。また、無線通信に代えて、又は加えて、有線通信を用いることも可能である。
【0045】
5.行政機関サーバ装置300、年金機構サーバ装置400、第1銀行サーバ装置500、及び第2銀行サーバ装置600の構成
図5は、本開示の実施形態に係る行政機関サーバ装置300の構成の例を示すブロック図である。図6は、本開示の実施形態に係る年金機構サーバ装置400の構成の例を示すブロック図である。図7は、本開示の実施形態に係る第1銀行サーバ装置500の構成の例を示すブロック図である。図8は、本開示の実施形態に係る第2銀行サーバ装置600の構成の例を示すブロック図である。
【0046】
各サーバ装置は、図に示す構成要素の全てを備える必要はなく、一部を省略した構成をとることも可能であるし、他の構成要素を加えることも可能である。また、各サーバ装置は単一の筐体に図に示するものを備える必要はなく、各サーバ装置の各構成要素及び処理を複数のサーバ装置やクラウドサーバ装置に分配することも可能である。また、各サーバ装置は、基本的に管理者サーバ装置200と同様の構成である。このため、以下において、各サーバ装置の基本構成及び管理者サーバ装置200とは異なる部分を説明する。
【0047】
図5に示すように、行政機関サーバ装置300は、RAM、ROM、及び不揮発性メモリ、HDD等を含むメモリ311、CPU等から構成されるプロセッサ312及び通信インターフェイス313を含む。そして、これらの各構成要素が制御ライン及びデータラインを介して互いに電気的に接続される。
【0048】
行政機関サーバ装置300においては、行政事務に係る処理が実行可能なアプリケーションが起動できる環境が形成されている。例えば、行政機関サーバ装置300においてはマイナポータル(登録商標)が運営されている。このため、メモリ311に当該マイナポータルの運営に係るプログラムが記憶され、プロセッサ312によって当該プログラムが実行される。これにより、行政機関サーバ装置300のマイナポータルに外部からアクセスすることにより、電子申請や他の行政サービスが受けられる。そして、本実施形態においては、API連携によって管理者サーバ装置200を介してマイナポータルにおける各種処理が実行可能になっている。特に、本実施形態においては、管理者サーバ装置200を介して行政機関サーバ装置300に対し、転出証明の申請、及び転出届の提出が可能である。
【0049】
図6に示すように、年金機構サーバ装置400は、RAM、ROM、及び不揮発性メモリ、HDD等を含むメモリ411、CPU等から構成されるプロセッサ412及び通信インターフェイス413を含む。そして、これらの各構成要素が制御ライン及びデータラインを介して互いに電気的に接続される。
【0050】
年金機構サーバ装置400においては、年金業務に係る処理が実行可能なアプリケーションが起動できる環境が形成されている。例えば、年金機構サーバ装置400においては電子申請サイトが運営されている。このため、メモリ411に当該電子申請サイトの運営に係るプログラムが記憶され、プロセッサ412によって当該プログラムが実行される。これにより、年金機構サーバ装置400の電子申請サイトに外部からアクセスすることにより、各種の電子申請等のサービスが受けられる。そして、本実施形態においては、API連携によって管理者サーバ装置200を介して当該電子申請サイトにおける各種処理が実行可能になっている。特に、本実施形態においては、管理者サーバ装置200を介して年金機構サーバ装置400に対し、脱退一時金の電子申請が可能である。なお、年金機構サーバ装置400の電子申請サイトの一例としては、e-Govがある。
【0051】
図7に示すように、第1銀行サーバ装置500は、RAM、ROM、及び不揮発性メモリ、HDD等を含むメモリ511、CPU等から構成されるプロセッサ512及び通信インターフェイス513を含む。そして、これらの各構成要素が制御ライン及びデータラインを介して互いに電気的に接続される。
【0052】
第1銀行サーバ装置500においては、銀行業務に係る処理が実行可能なアプリケーションが起動できる環境が形成されている。例えば、第1銀行サーバ装置500においては、入出金、振込、その他の手続をインターネット上で可能とするインターネットバンキングのサイトが運営されている。このため、メモリ511に当該インターネットバンキングのサイトの運営に係るプログラムが記憶され、プロセッサ512によって当該プログラムが実行される。これにより、第1銀行サーバ装置500の当該サイトに外部からアクセスすることにより、各種の銀行サービスが受けられる。そして、本実施形態においては、API連携によって管理者サーバ装置200を介して当該サイトにおける各種処理が実行可能になっている。特に、本実施形態においては、管理者サーバ装置200を介して第1銀行サーバ装置500に対し、脱退一時金の入金確認、第2銀行等の他の銀行への振込依頼、及び口座解約の依頼が可能である。
【0053】
図8に示すように、第2銀行サーバ装置600は、RAM、ROM、及び不揮発性メモリ、HDD等を含むメモリ611、CPU等から構成されるプロセッサ612及び通信インターフェイス613を含む。そして、これらの各構成要素が制御ライン及びデータラインを介して互いに電気的に接続される。
【0054】
第2銀行サーバ装置600においては、銀行業務に係る処理が実行可能なアプリケーションが起動できる環境が形成されている。例えば、第2銀行サーバ装置600においては、入出金、振込、その他の手続をインターネット上で可能とするインターネットバンキングのサイトが運営されている。このため、メモリ611に当該インターネットバンキングのサイトの運営に係るプログラムが記憶され、プロセッサ612によって当該プログラムが実行される。これにより、第2銀行サーバ装置600の当該サイトに外部からアクセスすることにより、各種の銀行サービスが受けられる。そして、本実施形態においては、API連携によって管理者サーバ装置200を介して当該サイトにおける各種処理が実行可能になっている。
【0055】
6.管理者サーバ装置200のメモリ211に記憶される情報
図9は、本開示の実施形態に係る管理者サーバ装置200に記憶される外国人情報テーブルを概念的に示す図である。外国人情報テーブルに記憶される情報は、一度記憶されるとユーザからの変更依頼がない限り更新されることはない。
【0056】
当該外国人情報テーブルは、「ID」、「国籍」、「パスポート情報」、「転出証明情報」、「基礎年金番号」、「日本国内口座情報」、「外国口座情報」を含む。そして、当該外国人情報テーブルにおいては、外国人であるユーザ毎にIDが割り振られ、当該IDに他の情報が紐づけられている。
【0057】
「ID」は、外国人であるユーザ毎に割り振られる識別番号である。図9においては、「ID」として数字のみの識別番号が記憶されているが、これに限定されることはない。すなわち、「ID」はユーザを識別することができれば、アルファベット、又はアルファベットと数字の組合せでもよい。また、「ID」はユーザが任意に設定できる数字及び文字から構成されてもよい。
【0058】
「国籍」は、ユーザが有する国籍であって、日本以外の国名が記憶されている。また、パスポート情報は、ユーザが所有するパスポートに関する情報である。図9においては、パスポート情報の例示として、ユーザのパスポート(旅券)の写しの画像データ(data1~data4)が記憶されている。当該画像データは、ユーザの氏名、生年月日、国籍、署名、及び在留資格が確認できる情報を含んでおり、脱退一時金の申請時に必要な情報(第1情報)として利用される。
【0059】
また、「転出証明情報」は、ユーザが日本国に住んでいないことを証明するための情報である。図9においては、例示として、役所から発行された転出証明の画像データ(data1-1~data4-1)が記憶されている。当該画像データは、日本国内に住所を有しなくなったことが確認できる書類の情報を含んでおり、脱退一時金の申請時に必要な情報(第2情報)として利用される。
【0060】
また、「基礎年金番号」は、日本年金機構からユーザに対して割振られる番号である。特に、「基礎年金番号」は、年金加入記録を管理するためのキーとして機能する。記録された「基礎年金番号」は、基礎年金番号通知書又は年金手帳等の基礎年金番号を明らかにすることができる書類の情報(第4情報)として利用される。
【0061】
「日本国内口座情報」は、「銀行名」、「支店名」、「口座番号」、及び「証明情報」の項目から構成されている。「銀行名」、「支店名」、及び「口座番号」は、ユーザが自身の名義で開設した銀行口座に係る情報である。なお、「支店名」には当該支店の所在地に関する情報が含まれてもよいが、当該支店の所在地に関する情報が別項目として設けられてもよい。一方、「証明情報」は、「銀行名」、「支店名」、及び「口座番号」によって特定される口座がユーザ本人名義であることを証明するための情報である。図9においては、例示として、国内銀行から発行された銀行証明の画像データ(data1-2~data4-2)が記憶されている。当該画像データは、「銀行名」「支店名」、「支店の所在地」、「口座番号」及び「請求者本人の口座名義」であることが確認できる書類の情報(第3情報)として利用される。
【0062】
「外国口座情報」は、「銀行名」、「支店名」、及び「口座番号」の項目から構成されている。「銀行名」、「支店名」、及び「口座番号」は、ユーザが自身の名義で開設した銀行口座に係る情報である。なお、外国銀行に係る情報は、脱退一時金の申請に必要な情報ではないため、証明情報を含んでいないが、必要に応じて証明情報を含んでいてもよい。
【0063】
7.処理システム1により実行される処理シーケンス
(A)ユーザ情報の登録から銀行証明取得に係る処理
図10Aは、本開示の実施形態に係るユーザ端末装置100、管理者サーバ装置200、及び第1銀行サーバ装置500の間で実行される処理シーケンスを示す図である。具体的には、図10Aは、ユーザによるログイン処理からユーザ情報の登録を経て、銀行の証明情報を登録するまでに、ユーザ端末装置100、管理者サーバ装置200、及び第1銀行サーバ装置500の間で実行される処理シーケンスを示す図である。
【0064】
先ず、図10Aによると、ユーザ端末装置100のプロセッサ112は、入力インターフェイス115を介してユーザの操作入力を受け付けてログイン情報を生成する(S11:ログイン情報生成)。当該ログイン情報には、ユーザのID及びパスワードが含まれる。より具体的なユーザの操作入力とは、ユーザによるユーザ端末装置100の操作に応じて所定のアプリが起動され、当該アプリの起動画面において、入力インターフェイス115を介してユーザのID及びパスワードが入力されることである。そして、プロセッサ112は、通信インターフェイス114を介して生成されたログイン情報を、管理者サーバ装置200に送信する(T11:ログイン要求)。
【0065】
ユーザ端末装置100にて生成されたログイン情報が管理者サーバ装置200において通信インターフェイス213を介して受信されると、管理者サーバ装置200のプロセッサ212は、ログイン情報に基づいてログインのための認証処理を行う(S12:認証処理)。具体的に、管理者サーバ装置200のプロセッサ212は、受信したログイン情報とメモリ211に記憶されたユーザ情報とを照合し、ログイン要求を行っている者がユーザ登録されているユーザであるかを確認する。そして、管理者サーバ装置200のプロセッサ212は、ユーザ登録が確認できれば、当該認証処理の結果としてユーザのログインを承認する(T12:承認)。一方で、管理者サーバ装置200のプロセッサ212は、ユーザ登録が確認できなければ、再度のID及びパスワードの入力をユーザ端末装置100に対して求める。その後、管理者サーバ装置200による認証処理の結果(承認結果)がユーザ端末装置100において通信インターフェイス114を介して受信されると、ユーザ端末装置100においては上記アプリに係る各種のサービスが開始される。
【0066】
次に、図10Aによると、ユーザ端末装置100のプロセッサ112は、入力インターフェイス115を介してユーザの操作入力を受け付けてユーザ情報を生成する(S13:ユーザ情報生成)。当該ユーザ情報には、国籍の情報、パスポート情報、基礎年金番号、日本国内口座情報、及び外国口座情報が含まれる。すなわち、S13においては、図9に示す外国人情報テーブルを構成する転出証明情報以外の情報が生成される。そして、プロセッサ112は、通信インターフェイス114を介して生成されたユーザ情報を、管理者サーバ装置200に送信して登録要求を行う(T13:登録要求)。
【0067】
次に、管理者サーバ装置200において、ユーザ端末装置100にて生成されたユーザ情報が通信インターフェイス213を介して受信されると、管理者サーバ装置200のプロセッサ212は、メモリ211の外国人情報テーブルを構成する各項目に対して各情報を記憶する(S14:ユーザ情報記憶)。その後、管理者サーバ装置200のプロセッサ212は、メモリ211に記憶された日本国内口座情報に基づいて、銀行証明発行依頼情報を生成する(S15:銀行証明発行依頼)。そして、管理者サーバ装置200のプロセッサ212は、日本国内銀行口座に係る情報から特定される銀行(本実施形態では第1銀行)に対し、当該銀行証明発行依頼情報を第1銀行サーバ装置500に送信して証明要求を行う(T14:証明要求)。
【0068】
次に、第1銀行サーバ装置500において、管理者サーバ装置200にて生成された当該銀行証明発行依頼情報が通信インターフェイス513を介して受信されると、第1銀行サーバ装置500のプロセッサ512は、銀行証明に係る処理を行う(S16:証明処理)。具体的に、プロセッサ512は、受信した銀行証明発行依頼情報に含まれる日本国内口座情報と、メモリ511に記憶された口座開設者情報とを比較し、当該日本国内口座情報に誤りがなければ、銀行証明である証明情報を生成する。そして、第1銀行サーバ装置500のプロセッサ512は、通信インターフェイス513を介し、当該証明情報を管理者サーバ装置200に送信して証明結果を報告する(T15:証明結果報告)。
【0069】
次に、管理者サーバ装置200において、第1銀行サーバ装置500にて生成された証明情報が通信インターフェイス213を介して受信されると、管理者サーバ装置200のプロセッサ212は、メモリ211の外国人情報テーブルを構成する証明情報の欄に当該証明情報を記憶する(S17:証明情報記憶)。これにより、脱退一時金の申請に必要となる第3情報の取得が完了する。
【0070】
(B)転出証明の取得に係る処理
図10Bは、本開示の実施形態に係るユーザ端末装置100、管理者サーバ装置200、及び行政機関サーバ装置300の間で実行される処理シーケンスを示す図である。具体的に図10Bは、外国人であるユーザの転出証明の取得までに、ユーザ端末装置100、管理者サーバ装置200、及び行政機関サーバ装置300の間で実行される処理シーケンスを示す図である。
【0071】
先ず、図10Bによると、ユーザがユーザ端末装置100を操作してアプリにログインした状態において、ユーザ端末装置100のプロセッサ112は、入力インターフェイス115を介してユーザの操作入力を受け付けて転出証明に係る申請情報を生成する(S21:申請情報生成)。例えば、当該申請情報には、転出証明の取得に必要なユーザの各種情報が含まれる。特に、当該転出証明に係る申請情報には、マイナポータルにて使用されるIDやパスワードが含まれてもよい。そして、プロセッサ112は、通信インターフェイス114を介して生成された転出証明に係る申請情報を、管理者サーバ装置200に送信し、転出証明の申請の依頼を行う(T21:申請依頼)。
【0072】
次に、管理者サーバ装置200において、ユーザ端末装置100にて生成された転出証明に係る申請情報が通信インターフェイス213を介して受信されると、管理者サーバ装置200のプロセッサ212は、転出証明に係る申請処理を実行する(S22:申請処理)。例えば、第1機関が提供するマイナポータルにおいて発行可能な転出証明の取得に係る取得要求情報が生成される。その後、管理者サーバ装置200のプロセッサ212は、行政機関サーバ装置300に対し、当該取得要求情報を送信し、転出証明の取得申請を行う(T22:取得申請)。
【0073】
次に、行政機関サーバ装置300において、管理者サーバ装置200から送信された取得要求情報が通信インターフェイス313を介して受信されると、行政機関サーバ装置300のプロセッサ312は、転出証明としての転出証明情報を生成する(S23:転出証明生成)。そして、行政機関サーバ装置300のプロセッサ312は、通信インターフェイス313を介し、当該転出証明情報を管理者サーバ装置200に送信し、転出証明の発行報告を行う(T23:発行報告)。
【0074】
次に、管理者サーバ装置200において、行政機関サーバ装置300から送信された転出証明情報が通信インターフェイス213を介して受信されると、管理者サーバ装置200のプロセッサ212は、メモリ211の外国人情報テーブルを構成する転出証明情報の欄に当該転出証明情報を記憶する。これにより、脱退一時金の申請に必要となる第2情報の取得が完了する。
【0075】
(C)脱退一時金の取得に係る処理
図10Cは、本開示の実施形態に係るユーザ端末装置100、管理者サーバ装置200、及び年金機構サーバ装置400の間で実行される処理シーケンスを示す図である。具体的に図10Cは、外国人であるユーザの脱退一時金の取得までに、ユーザ端末装置100、管理者サーバ装置200、及び年金機構サーバ装置400の間で実行される処理シーケンスを示す図である。
【0076】
先ず、図10Cによると、ユーザがユーザ端末装置100を操作してアプリにログインした状態において、ユーザ端末装置100のプロセッサ112は、入力インターフェイス115を介してユーザの操作入力を受け付けて脱退一時金に係る申請情報を生成する(S31:申請情報生成)。例えば、当該申請情報には、脱退一時金の申請に必要なユーザの情報が含まれる。特に、当該申請情報には、脱退一時金の申請フォームに入力すべきユーザの情報が含まれてもよい。そして、プロセッサ112は、通信インターフェイス114を介して生成された脱退一時金に係る申請情報を、管理者サーバ装置200に送信し、脱退一時金の申請の依頼を行う(T31:申請依頼)。
【0077】
次に、管理者サーバ装置200において、ユーザ端末装置100にて生成された脱退一時金に係る申請情報が通信インターフェイス213を介して受信されると、管理者サーバ装置200のプロセッサ212は、脱退一時金に係る申請処理を実行する(S32:申請処理)。例えば、第2機関である年金機構が提供する電子申請サイトにおいて電子申請する際に必要となる脱退一時金申請情報が生成される。その後、管理者サーバ装置200のプロセッサ212は、年金機構サーバ装置400に対し、当該脱退一時金申請情報を送信し、脱退一時金申請を行う(T32:脱退一時金申請)。
【0078】
次に、年金機構サーバ装置400において、管理者サーバ装置200から送信された脱退一時金情報が通信インターフェイス413を介して受信されると、年金機構サーバ装置400のプロセッサ412は、申請者であるユーザが脱退一時金を取得できる者に該当するか否かを判断する(S33:申請可否判断)。この際に、年金機構サーバ装置400のプロセッサ412は、脱退一時金を取得できる者であると判断した場合には、脱退一時金の金額も算出する。そして、年金機構サーバ装置400のプロセッサ412は、通信インターフェイス413を介し、S33における判断結果を結果情報としてユーザ端末装置100に送信し、脱退一時金の申請結果報告を行う(T33:申請結果報告)。当該結果情報には、脱退一時金の金額情報も含まれる。なお、判断結果の送信については、ユーザ端末装置100に直接送信されなくてもよく、ユーザが所有するメールアドレス等に送信してもよい。すなわち、判断結果については、ユーザのみが受信できるように送信されることになる。
【0079】
また、年金機構サーバ装置400のプロセッサ412は、申請者であるユーザが脱退一時金を取得できる者であると判断した場合、振込処理を実行する(S33:振込処理)。具体的に、年金機構サーバ装置400のプロセッサ412は、振込元である日本年金機構の銀行口座から指定されたユーザの銀行口座に対して、算出された脱退一時金を振込むように、日本年金機構の銀行口座を管理する銀行のサーバ装置(図示せず)に振込要求を行う。これにより、ユーザに対して脱退一時金の支払いが行われたことになる。
【0080】
(D)脱退一時金の入金後の処理
図10Dは、本開示の実施形態に係るユーザ端末装置100、管理者サーバ装置200、第1銀行サーバ装置500、及び第2銀行サーバ装置600の間で実行される処理シーケンスを示す図である。具体的に図10Dは、外国人であるユーザの脱退一時金の取得後における、ユーザ端末装置100、管理者サーバ装置200、第1銀行サーバ装置500、及び第2銀行サーバ装置600の間で実行される処理シーケンスを示す図である。
【0081】
先ず、図10Dによると、ユーザがユーザ端末装置100を操作してアプリにログインした状態において、ユーザ端末装置100のプロセッサ112は、入力インターフェイス115を介してユーザの操作入力を受け付けて、脱退一時金の入金に係る確認依頼情報を生成する(S41:確認依頼情報生成)。例えば、当該確認依頼情報には、脱退一時金の入金確認に必要なユーザの情報が含まれる。特に、当該確認依頼情報には、ユーザが所有する自身の口座情報(第1銀行の口座情報)が含まれてもよい。そして、プロセッサ112は、通信インターフェイス114を介して生成された脱退一時金の入金に係る確認依頼情報を管理者サーバ装置200に送信し、脱退一時金の入金に係る確認依頼を行う(T41:入金確認依頼)。
【0082】
次に、管理者サーバ装置200において、ユーザ端末装置100にて生成された脱退一時金の入金に係る確認依頼情報が通信インターフェイス213を介して受信されると、管理者サーバ装置200のプロセッサ212は、入金確認を行うための申請処理を実行する(S42:入金確認申請処理)。例えば、第1銀行が提供するインターネットバンクのサイトにおいて入金確認する際に必要となる入金確認申請情報が生成される。その後、管理者サーバ装置200のプロセッサ212は、第1銀行サーバ装置500に対し、当該入金確認申請情報を送信し、脱退一時金の入金の確認申請を行う(T42:入金確認申請)。
【0083】
次に、第1銀行サーバ装置500において、管理者サーバ装置200から送信された入金確認申請情報が通信インターフェイス513を介して受信されると、第1銀行サーバ装置500のプロセッサ512は、入金情報を生成する(S43:入金情報生成)。ここで、入金情報とは、入金確認の依頼者であるユーザの口座の入金履歴情報が含まれる。そして、第1銀行サーバ装置500のプロセッサ512は、通信インターフェイス513を介し、生成した入金情報を管理者サーバ装置200に送信し、入金確認申請に対する回答を行う(T43:申請回答)。
【0084】
次に、管理者サーバ装置200において、第1銀行サーバ装置500にて生成された入金情報が通信インターフェイス213を介して受信されると、管理者サーバ装置200のプロセッサ212は、当該入金情報から入金有無を判定し、入金があった場合には振込情報を生成する(S44:振込情報生成)。ここで、振込情報には、第1銀行におけるユーザの口座情報、第2銀行におけるユーザの口座情報、及び振込金額の情報が含まれる。具体的に、管理者サーバ装置200のプロセッサ212は、メモリ211に記憶されている外国人情報テーブルから必要な情報を読出し、当該振込情報を生成する。その後、管理者サーバ装置200のプロセッサ212は、第1銀行サーバ装置500に対し、振込処理に必要となる振込情報を送信し、振込依頼を行う(T44:振込依頼)。
【0085】
次に、第1銀行サーバ装置500において、管理者サーバ装置200から送信された振込依頼が通信インターフェイス513を介して受信されると、第1銀行サーバ装置500のプロセッサ512は、振込処理を実行する(S45:振込処理)。具体的に、第1銀行サーバ装置500のプロセッサ512は、第1銀行におけるユーザの銀行口座から、第2銀行におけるユーザの銀行口座に所定金額を振込むための処理を実行し、当該振込処理に係る振込処理情報を生成する。そして、第1銀行サーバ装置500のプロセッサ512は、通信インターフェイス513を介し、生成した振込処理情報を第2銀行サーバ装置600に送信する(T45:振込処理情報)。
【0086】
次に、第2銀行サーバ装置600において、第1銀行サーバ装置500から送信された振込処理情報が通信インターフェイス613を介して受信されると、第2銀行サーバ装置600のプロセッサ612は、入金処理を実行する(S46:入金処理)。具体的に、第2銀行サーバ装置600のプロセッサ612は、振込処理情報に基づいて、第2銀行におけるユーザの口座情報を更新し、入金処理情報を生成する。当該入金処理情報には、振込日時、振込元、及び振込金額の情報が含まれてもよい。そして、第2銀行サーバ装置600のプロセッサ612は、通信インターフェイス613を介し、生成した入金処理情報を管理者サーバ装置200に送信し、入金の報告を行う(T46:入金報告)。ここで、入金処理情報が管理者サーバ装置200に送信される理由としては、管理者サーバ装置200の管理者が、電子決済代行業を行えるものであり、当該管理者がユーザに代わって振込依頼を第1銀行に行っているためである。
【0087】
次に、管理者サーバ装置200において、第2銀行サーバ装置600にて生成された入金処理情報が通信インターフェイス213を介して受信されると、管理者サーバ装置200のプロセッサ212は、当該入金処理情報から第2銀行の口座への入金有無を判定し、入金があった場合にはT43の入金情報及びT46の入金処理情報に基づいて完了情報を生成する(S47:完了報告処理)。ここで、完了情報には、脱退一時金の振込日時並びに振込金額、及び指定された第2銀行の口座への振込日時並びに振込金額に係る情報が含まれる。この際、管理者サーバ装置200のプロセッサ212は、メモリ211に記憶されている外国人情報テーブルから必要な情報を読出し、第1銀行におけるユーザの口座を解約するための解約依頼情報も生成する。その後、管理者サーバ装置200のプロセッサ212は、ユーザ端末装置100に対して当該完了情報を送信し(T47:完了報告)、第1銀行サーバ装置500に対して当該解約依頼情報を送信する(T48:解約依頼)。
【0088】
次に、ユーザ端末装置100において、管理者サーバ装置200から送信された完了報告情報が通信インターフェイス114を介して受信されると、ユーザ端末装置100のプロセッサ112は、脱退一時金の取得に係る一連の処理が完了したことをディスプレイ等に表示する(S48:完了表示)。これにより、脱退一時金の取得処理が行われ、所定の手数料が差引かれた金額がユーザの口座に振込まれたことを確認することができる。
【0089】
次に、第1銀行サーバ装置500において、管理者サーバ装置200から送信された解約依頼情報が通信インターフェイス513を介して受信されると、第1銀行サーバ装置500のプロセッサ512は、ユーザの口座を解約する(S49:解約処理)。これにより、ユーザが使用することのない銀行口座が、ユーザの依頼がなくとも自動的に解約される。これにより、ユーザ、管理者、第1銀行の不要な口座の管理負担が軽減される。
【0090】
なお、管理者サーバ装置200のプロセッサ212は、T47及びT48の処理を実行後に、脱退一時金の申請処理が完了したユーザの情報を、メモリ211から削除してもよい。
【0091】
8.変形例
上記においては、脱退一時金が直接振込まれる銀行として国内銀行を想定し、当該脱退一時金から手数料が差引かれた所定金額が振込まれる銀行として外国銀行を想定していたが、これに限定されることはない。例えば、脱退一時金が直接振込まれる銀行を外国銀行としてもよく、所定金額が振込まれる銀行として国内銀行としてもよい。また、脱退一時金及び所定金額が振込まれる銀行を国内又は外国の銀行に統一してもよい。更には、脱退一時金及び所定金額が振込まれる銀行を2つに分けることなく、1つにしてもよい。この場合には、口座の解約手続が不要となる。
【0092】
また、上記においては、脱退一時金の取得から銀行振込までにかかる各種の処理が対象となっていたが、当該脱退一時金の情報に基づいて、管理者サーバ装置200による確定申告の自動化が行われてもよい。この場合には、管理者サーバ装置200及び行政機関サーバ装置300の間において、確定申告に係る各種の処理及び情報の送受信が行われることになる。特に、行政機関が提供するマイナポータルを利用して、当該確定申告に係る処理が行われることになる。これにより、複雑な申請処理が必要となる確定申告を、外国人であるユーザが直接的に行う必要がなくなり、ユーザの負担が軽減される。
【0093】
更に、上記においては、脱退一時金から手数料が差引かれた所定金額が第2銀行に振込まれたことを、第2銀行サーバ装置600からの入金報告の受信によって確認することができたが、これに限定されない。例えば、第1銀行サーバ装置500における振込処理(S45)の後に、第1銀行サーバ装置500のプロセッサ512が、振込完了情報を管理者サーバ装置200に送信し、振込完了報告を行ってもよい。
【0094】
本明細書で説明される処理及び手順は、本開示において明示的に説明されたものによってのみならず、ソフトウェア、ハードウェア又はこれらの組み合わせによっても実現可能である。具体的には、本明細書で説明された処理及び手順は、集積回路、揮発性メモリ、不揮発性メモリ、磁気ディスク、光ストレージ等の媒体に、当該処理に相当するロジックを実装することによって実現される。また、本明細書で説明される処理及び手順は、それらの処理・手順をコンピュータプログラムとして実装し、端末装置やサーバ装置を含む各種のコンピュータに実行させることが可能である。
【0095】
本明細書中で説明される処理及び手順が単一の装置、ソフトウェア、コンポーネント、モジュールによって実行される旨が説明されたとしても、そのような処理又は手順は、複数の装置、複数のソフトウェア、複数のコンポーネント、及び/又は、複数のモジュールによって実行されるものとすることができる。また、本明細書中で説明される各種情報が単一のメモリや記憶部に格納される旨が説明されたとしても、そのような情報は、単一の装置に備えられた複数のメモリ又は複数の装置に分散して配置された複数のメモリに分散して格納されるものとすることができる。さらに、本明細書において説明されるソフトウェア及びハードウェアの要素は、それらをより少ない構成要素に統合して、又は、より多い構成要素に分解することによって実現されるものとすることができる。
【符号の説明】
【0096】
100 ユーザ端末装置
200 管理者サーバ装置
300 行政機関サーバ装置
400 年金機構サーバ装置
500 第1銀行サーバ装置
600 第2銀行サーバ装置

図1
図2
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図9
図10A
図10B
図10C
図10D