(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024170203
(43)【公開日】2024-12-06
(54)【発明の名称】トンネル掘削機
(51)【国際特許分類】
E21D 9/12 20060101AFI20241129BHJP
【FI】
E21D9/12 K
E21D9/12 H
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023087231
(22)【出願日】2023-05-26
(71)【出願人】
【識別番号】000001373
【氏名又は名称】鹿島建設株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002468
【氏名又は名称】弁理士法人後藤特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】柴田 佳彦
【テーマコード(参考)】
2D054
【Fターム(参考)】
2D054AC04
2D054BB02
2D054CA04
2D054CA07
2D054DA08
2D054DA37
(57)【要約】
【課題】シールド掘進機から排出される土砂の大きさの不均一性が小さく、土砂を細粒化することが可能なトンネル掘削機を提供する。
【解決手段】泥土圧式のシールド掘進機は、地山の内壁を支持可能なスキンプレートと、スキンプレートに装着され、回転により地山を掘削するカッターヘッドと、胴体内に設けられ、カッターヘッドに対向して配置される隔壁と、スキンプレート、カッターヘッド、及び隔壁により区画され、カッターヘッドにより掘削された土砂が流入するカッターチャンバと、カッターチャンバ内から土砂を取り出して排出するスクリューコンベヤと、スクリューコンベヤによって取り出された土砂をシールド掘進機の後方に移送するベルトコンベヤ70と、スクリューコンベヤから排出された土砂を解砕する解砕機構50と、解砕機構50によって解砕された土砂をベルトコンベヤ70に向けて移送するスクリューフィーダ60と、を備える。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
トンネルを掘削するトンネル掘削機であって、
地山の内壁を支持可能な胴体と、
前記胴体に装着され、回転により前記地山を掘削する掘削部と、
前記胴体内に設けられ、前記トンネルの軸方向において前記掘削部に対向して配置される隔壁と、
前記胴体、前記掘削部、及び前記隔壁により区画され、前記掘削部により掘削された土砂が流入するカッターチャンバと、
前記カッターチャンバ内から土砂を取り出して排出する排出機構と、
前記排出機構によって取り出された土砂を前記トンネル掘削機の後方に移送するベルトコンベヤと、
前記排出機構から排出された土砂を解砕する解砕機構と、
前記解砕機構によって解砕された土砂を前記ベルトコンベヤに向けて排出するフィーダ機構と、を備える、
トンネル掘削機。
【請求項2】
請求項1に記載のトンネル掘削機であって、
前記排出機構から排出される土砂が貯留される貯留室をさらに備え、
前記解砕機構は、前記貯留室内に設けられ前記貯留室内の土砂を解砕する解砕部を有する、
トンネル掘削機。
【請求項3】
請求項1又は2に記載のトンネル掘削機であって、
前記土砂の流動性を下げる添加剤を前記貯留室内に供給する添加剤供給機構と、をさらに備える、
トンネル掘削機。
【請求項4】
請求項1又は2に記載のトンネル掘削機であって、
前記フィーダ機構は、前記解砕機構によって解砕された土砂が供給されるように前記解砕機構の下方に設けられる、
トンネル掘削機。
【請求項5】
請求項1又は2に記載のトンネル掘削機であって、
前記フィーダ機構は、スクリューフィーダ、ベルトフィーダ、または振動フィーダを有する、
トンネル掘削機。
【請求項6】
請求項2に記載のトンネル掘削機であって、
前記解砕部は、互いに平行に設けられ土砂を解砕する羽根部がそれぞれ外周に設けられる一対のロッドを有し、
前記フィーダ機構は、外周にらせん状の羽根が設けられるオーガを有するスクリューフィーダであり、
前記フィーダ機構の前記オーガは、前記解砕機構の一対の前記ロッドと平行に設けられる、
トンネル掘削機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、トンネル掘削機に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、土圧シールド掘進機であって、スクリューコンベヤから排出される土砂の土砂量をベルトコンベヤ上での搬送中に計測する方法が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に開示の方法では、ベルトコンベヤ上の土砂の体積、重量を例えば三次元測定器や重量計によって測定することで、土砂の排土量を計測する。排土量の計測精度を向上させるためには、ベルトコンベヤ上の土砂の粒度が細粒化されていて、大きさの不均一が小さいことが望ましい。
【0005】
特許文献1に開示される土圧シールド掘進機では、土砂に含まれる岩塊の大きさが不均一であることから、ベルトコンベヤ上の土砂の量を定量化(一定化)することは難しい。
【0006】
本発明は、シールド掘進機から排出される土砂の大きさの不均一性が小さく、土砂を細粒化することが可能なトンネル掘削機を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、トンネルを掘削するトンネル掘削機であって、地山の内壁を支持可能な胴体と、胴体に装着され、回転により地山を掘削する掘削部と、胴体内に設けられ、トンネルの軸方向において掘削部に対向して配置される隔壁と、胴体、掘削部、及び隔壁により区画され、掘削部により掘削された土砂が流入するカッターチャンバと、カッターチャンバ内から土砂を取り出して排出する排出機構と、排出機構によって取り出された土砂をトンネル掘削機の後方に移送するベルトコンベヤと、排出機構から排出された土砂を解砕する解砕機構と、解砕機構によって解砕された土砂をベルトコンベヤに向けて排出するフィーダ機構と、を備える。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、ベルトコンベヤによって移送する土砂を細粒化かつ定量化することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】本発明の実施形態に係るシールド掘進機の構成を模式的に示す模式図である。
【
図2】本発明の実施形態に係るシールド掘進機の構成の一部を拡大して示す拡大図である。
【
図3】本発明の実施形態に係るシールド掘進機の構成の一部を示す図であり、
図2におけるIII―III線に沿った断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、図面を参照して、本発明の実施形態に係るトンネル掘削機ついて説明する。以下では、トンネル掘削機が、シールド工法において用いられるシールド掘進機100である場合について説明する。シールド掘進機100は、地中(地山)を掘進して掘削坑1を形成し、掘削坑1の内壁を覆うようセグメントリング10(覆工体)を組み立てることによって、トンネルTを構築するものである。なお、本発明は、シールド掘進機100以外のトンネル掘削機、例えば、推進工法において推進管の先端に設置される掘削機にも適用可能である。
【0011】
以下では、シールド掘進機100が進む方向である切羽側を「前方」とし、その反対の方向である坑口側を「後方」として説明する。また、以下では、「上」、「下」とは、鉛直方向における上下を意味している。本実施形態では、
図1の上下方向が鉛直方向に相当する。
【0012】
本実施形態の、シールド掘進機100は、泥土圧シールド工法に用いられる泥土圧式シールド掘進機である。
【0013】
シールド掘進機100は、
図1に示すように、トンネルTの軸方向に沿って延在し掘削坑1の内壁を支持可能な筒状の胴体としてのスキンプレート11と、スキンプレート11の前方において回転駆動される掘削部としてのカッターヘッド12と、スキンプレート11内に設けられトンネルTの軸方向においてカッターヘッド12に対向して配置、すなわちトンネルTの軸方向に垂直な面に配置される隔壁13と、カッターヘッド12により掘削された土砂が流入して滞留するカッターチャンバ14と、を備える。スキンプレート11の内部の後方側において、シールド掘進機100の前進に伴ってセグメントリング10が順次構築される。
【0014】
スキンプレート11には、ジャッキ20が固定される。ジャッキ20は、セグメントリング10から反力を得てスキンプレート11を前方に推進し、カッターヘッド12を地山に押し付ける。スキンプレート11が推進されてセグメントリング10がスキンプレート11から出ると、セグメントリング10の外周面と掘削坑1の内壁との間に裏込め材(図示省略)が充填される。
【0015】
カッターヘッド12には、前方に突出するカッタービット12aが複数設けられる。カッターヘッド12が地山に押し付けられた状態で回転すると、地山がカッタービット12aにより掘削されて掘削坑1が形成される。カッターヘッド12の外径は、スキンプレート11の外径と略等しく、地山は、スキンプレート11の外径と略等しい内径で掘削される。カッターヘッド12により掘削された土砂は、カッターヘッド12に設けられる図示しないカッタースリット等の開口を通じてカッターヘッド12の後方に導かれ、カッターチャンバ14内に滞留する。
【0016】
カッターチャンバ14は、スキンプレート11、カッターヘッド12、及び隔壁13により区画される。カッターチャンバ14内には、掘削された土砂及び地下水が流入して滞留する。カッターチャンバ14内を土砂で充満させてカッターチャンバ14内の土砂の圧力をカッターヘッド12に作用させることにより、切羽面の土圧及び地下水圧をカッターヘッド12で抑え切羽面を安定させることができる。
【0017】
隔壁13は、トンネルTの軸方向においてカッターヘッド12に対向して配置されており、隔壁13に対して回転ドラム26が回転自在に支持されている。カッターヘッド12は、連結ロッド27を介して回転ドラム26に連結されており、回転ドラム26と共に回転可能である。回転ドラム26は、図示しない減速機構を介して電動モータ25に連結されており、電動モータ25の駆動により、回転ドラム26とカッターヘッド12がスキンプレート11に対して回転する。電動モータ25の作動を制御することによって、カッターヘッド12の回転方向や回転速度を制御することが可能である。
【0018】
シールド掘進機100は、
図1から
図3に示すように、カッターチャンバ14内の土砂をシールド掘進機100の後方に排出するスクリューコンベヤ30(排出機構)と、スクリューコンベヤ30から排出される土砂が貯留される貯留室40と、スクリューコンベヤ30から排出された土砂を解砕する解砕機構50と、解砕機構50によって解砕された土砂を排出するスクリューフィーダ60(フィーダ機構)と、スクリューコンベヤ30によって排出された土砂をシールド掘進機100のさらに後方に移送するベルトコンベヤ70と、を備える。
【0019】
スクリューコンベヤ30は、
図1に示すように、隔壁13に設けられる開口を通じてカッターチャンバ14内に臨むように設けられる。スクリューコンベヤ30は、円筒状のケース31と、ケース31の内部に組み込まれるオーガ32と、を有する。スクリューコンベヤ30は、オーガ32が駆動部としての図示しないモータにより回転されることによって、カッターチャンバ14内の掘削土砂を搬出可能な構成となっている。ケース31は、前方側がカッターチャンバ14に接続される土砂入口となっており、後方側には、土砂出口となる排出口31aが開口している。カッターチャンバ14内の土砂の量は、カッターヘッド12による掘削量とスクリューコンベヤ30により排出される土砂の量とで調節される。
【0020】
貯留室40は、
図2に示すように、上部及び下部に開口(以下、それぞれ「上部開口40a」、「下部開口40b」と称する。)を有する箱体によって構成されるホッパである。貯留室40は、上部に向かうにつれて拡幅する傾斜部を有し、スクリューコンベヤ30の排出口31aから排出される土砂が上部開口40aを通じて貯留室40に供給される。このように、上部開口40aは、ホッパ上部の供給口として機能する。なお、図示は省略するが、貯留室40は、上部開口40aを開閉する蓋部を有していてもよい。
【0021】
また、貯留室40には、貯留室40に供給される土砂の一部を採取するための採取口40cが設けられる。解砕機構50によって解砕される前の状態の土砂を、採取口40cを通じて採取することができる。また、採取口40cは、後述する添加剤供給機構80によって添加剤が供給される前の状態の土砂を採取できるように貯留室40に設けられる。採取口40cを通じて採取された土砂の性状を測定することで、カッターチャンバ14内の土砂の性状を把握することができる。
【0022】
解砕機構50は、上部開口40aから貯留室40内に供給された土砂を解砕又は破砕する。解砕機構50は、貯留室40内に設けられ貯留室40内の土砂に接触して土砂を解砕する一対のロッド51(解砕部)と、一対のロッド51を軸線周りに回転駆動させる電動モータ53(
図3参照)と、を有する。
【0023】
一対のロッド51は、
図1に示すように、トンネルTの軸線方向に垂直な水平方向(紙面垂直方向)に延びるように貯留室40内に設けられる。一対のロッド51には、互いに平行に設けられ土砂を解砕する羽根部52がそれぞれ外周に設けられる。羽根部52は、
図2及び
図3に示すように、円柱状のロッド51の外周から径方向外側に突出する複数の突部52aによって構成される。例えば、羽根部52は、ロッド51の周方向に180°だけ離間する一対の円柱状の突部52aが、ロッド51の軸方向に間隔をあけて90°ずれながら連続して配置されることで構成される。一対のロッド51は、ロッド51の回転による羽根部52の軌跡がロッド51の軸方向視において重複しない(軌跡が交差しない)ように、互いに間隔をあけて設けられる。よって、一対のロッド51の羽根部52は、ロッド51の回転に伴って互いに干渉(接触)しないように構成される。
【0024】
一対のロッド51の羽根部52の間隔よりも粒径が大きい土砂の塊(土塊、岩塊)は、回転する一対のロッド51の羽根部52によって、より小さな粒径へと破砕される。また、一対のロッド51の羽根部52の間隔よりも粒径が小さい土砂の塊(泥塊)は、回転する一対のロッド51の羽根部52との衝突によって解泥される。このようにして、解砕機構50によって相対的に粒径が大きい土砂・泥が細粒化されることで、掘削土全体として大きさが均一化される。解砕機構50によって解砕された土砂は、一対のロッド51を通過して貯留室40の下部開口40bへと導かれる。下部開口40bはホッパ下部として機能する。
【0025】
スクリューフィーダ60は、貯留室40の下部に取り付けられる。これにより、スクリューフィーダ60には、貯留室40内で解砕機構50によって解砕された土砂が供給される。スクリューフィーダ60は、解砕機構50から導かれる土砂をベルトコンベヤ70に向けて排出する。
【0026】
スクリューフィーダ60は、互いに平行に設けられ外周にらせん状の羽根が設けられる一対のオーガ61と、一対のオーガ61を収容するケース62と、一対のオーガ61を軸線方向に回転駆動する電動モータ63と、を有する。
【0027】
ケース62は、貯留室40から供給される土砂をケース62内に導く供給口62aと、ケース62内の一対のオーガ61によって移送された土砂を排出する排出口62bと、を有する。ケース62は、供給口62aが貯留室40の下部開口40bに臨むように貯留室40の下部に取り付けられる(
図3参照)。貯留室40内の土砂は、貯留室40の下部開口40bからケース62の供給口62aを通じてケース62内に導かれる。
【0028】
一対のオーガ61は、基端側がケース62の供給口62aの下方に位置し、互いの羽根がかみ合うようにしてケース62内に設けられる。一対のオーガ61は、解砕機構50の一対のロッド51に対して平行となるように水平方向に延びる。ケース62内に導かれた土砂は、回転する一対のオーガ61によってオーガ61の先端側に向けて移送され、排出口62bを通じてケース外に排出される。ケース62の排出口62bには、シュート65が設けられる。
【0029】
一対のオーガ61は、それぞれ独立した電動モータ63によって個別に回転駆動される。一対のオーガ61は、互いに異なる回転方向に回転駆動される。なお、
図3では、単一の電動モータ63のみを図示している。
【0030】
一対のオーガ61の回転数を制御することで排出口62bを通じて排出される土砂の量を調整できる。すなわち、オーガ61の回転数を大きく制御することで、相対的に貯留室40に滞留する土砂の量は少なくなり、オーガ61の回転数を小さく制御することで、相対的に貯留室40に滞留する土砂の量は多くなる。このように、オーガ61の回転数を制御することで貯留室40に滞留する土砂の量を調整することが可能となる。
【0031】
ベルトコンベヤ70は、
図1に示すように、スクリューフィーダ60の排出口62bの下方から後方に向かって掘削坑1に沿って設けられスクリューフィーダ60から排出される土砂を受け取り後方へと搬送する。ベルトコンベヤ70は、シールド掘進機100の後方に連結される図示しない後続台車上に設置される。なお、後続台車は、ホッパ71を介してベルトコンベヤ70から排出土砂を受け取る搬送車両72がその下方に進入できるよう門型に構成されている。搬送車両72としては、セグメントリング10を構成するセグメントピースを掘削坑1内へと搬入する搬入車両が利用される。ベルトコンベヤ70はシールド掘進機100により掘削された掘削土である排出土砂をシールド掘進機100の機外に移送する設備であり、または、さらに後方の坑口へと搬送するための設備である。
【0032】
シールド掘進機100は、土砂の性状を改質する、例えば、流動性を下げる添加剤を貯留室40内に供給する添加剤供給機構80と、ベルトコンベヤ70によって搬送される土砂量(排土量)を測定する排土量測定部85と、シールド掘進機100の各構成の動作を制御する制御部90(
図3参照)と、をさらに備える。添加剤としては、主に、高分子凝集剤、無機凝集剤や、またはベントナイト、無機固化材等である。
【0033】
詳細な図示は省略するが、添加剤供給機構80は、貯留室40に設けられる注入口を通じて貯留室40内に添加剤を注入するノズル部と、ノズル部に添加剤を供給する供給部と、を有する。添加剤供給機構80が添加する添加剤は、一例として凝集剤である。貯留室40内に添加剤が添加されることで、凝集剤の凝集効果により排出される土砂の流動性を下げて搬送しやすい状態とすることができる。
【0034】
排土量測定部85は、ベルトコンベヤ70上を搬送される土砂の量を測定する。具体的には、排土量測定部85は、ベルトコンベヤ70上を搬送される土砂を三次元スキャンして体積を測定する画像センサ(三次元測定器)、又は、ベルトコンベヤ70上を搬送される土砂の重量を測定するロードセル(重量計)の少なくともいずれかを有している。排土量測定部85によって測定される土砂の体積又は重量に基づいてシールド掘進機100の排土量を取得することができる。排土量測定部85の測定結果は、制御部90に入力される。
【0035】
制御部90は、制御プログラム等を実行するCPU(Central Processing Unit)と、CPUにより実行される制御プログラムを記憶するROM(Read-Only Memory)と、CPUの演算結果等を記憶するRAM(Random Access Memory)と、通信装置と、等を備えたコンピュータによって構成される。制御部90は、ROMに記憶される制御プログラムがRAMに読み込まれ、RAM上でCPUによって実行されることにより、本明細書に記載の制御部90の各種機能を実行する。制御部90は、一つのコンピュータによって構成されていてもよいし、複数のマイクロコンピュータによって構成され各制御を当該複数のコンピュータで分散処理するように構成されていてもよい。
【0036】
制御部90は、シールド掘進機100の各構成の作動を制御する。
図3に示すように、スクリューフィーダ60では、制御部90によって電動モータ63の作動が制御されることで、一対のオーガ61の回転速度が制御される。このように、スクリューフィーダ60は、一対のオーガ61の回転速度が制御されることで土砂の排出量が調整可能となるように構成される。
【0037】
例えば、本実施形態では、土砂の排出量(移送量)は、高いほうからスクリューコンベヤ30、スクリューフィーダ60、ベルトコンベヤ70の順で設定される。また、スクリューコンベヤ30によって搬送される土砂の大きさが不均一であるため、解砕機構50によって解砕されて解砕機構50から排出される土砂の量(言い換えると、スクリューフィーダ60に供給される土砂の量)は、一定とはならずに変動する。
【0038】
解砕機構50から排出される土砂はスクリューフィーダ60に導かれ、スクリューフィーダ60は排出量を調整することで、スクリューコンベヤ30よりも低い排出量に設定することができる。これにより、スクリューフィーダ60に供給される土砂の量とスクリューフィーダ60から排出される土砂の量とに差が生じるため、スクリューフィーダ60に供給される土砂は貯留室40内である程度が貯留(滞留)される。このため、解砕機構50からスクリューフィーダ60による土砂の供給量の変動は、スクリューフィーダ60において滞留する土砂量の変動として吸収することができ、スクリューフィーダ60からベルトコンベヤ70への土砂の供給量は変動せずに一定とすることができる。
【0039】
また、スクリューフィーダ60の手前(上流)にある貯留室40において土砂が貯留されるため、貯留された状態の土砂を解砕機構50によって解砕することができる。つまり、解砕機構50を通過するだけでなく貯留した状態で土砂を解砕できるため、土砂の大きさをより一層均一化(一定化)することができる。
【0040】
なお、スクリューフィーダ60の動作は、ベルトコンベヤ70への土砂の供給量を一定とできる限り、上述のものに限定されない。例えば、スクリューフィーダ60に供給される土砂の量を測定し、供給される土砂の量に基づいてスクリューフィーダ60の動作を制御して、ベルトコンベヤ70に一定量の土砂を供給するようにしてもよい。
【0041】
以上の実施形態によれば、以下に示す作用効果を奏する。
【0042】
本実施形態では、カッターチャンバ14から排出される土砂は、解砕機構50によって解砕されるため、細粒化することができる。解砕機構50によって解砕された土砂は、スクリューフィーダ60に導かれる。スクリューフィーダ60は、排出量を調整しながら土砂をベルトコンベヤ70に排出することが可能に構成されるため、一定量の土砂をベルトコンベヤ70に供給することができる。このように、解砕機構50によって解砕された土砂は、ベルトコンベヤ70に直接供給されるものではなく、スクリューフィーダ60によって調整されながらベルトコンベヤ70に供給される。つまり、スクリューフィーダ60が土砂の排出におけるバッファとして機能し、ベルトコンベヤ70に対する供給量がスクリューフィーダ60によって調整されるため、ベルトコンベヤ70が移送する土砂の量を一定とすることができる。したがって、ベルトコンベヤ70上の土砂を細粒化かつ定量化することができ、ベルトコンベヤ70によって排出される排土量の計測精度を向上させることができる。
【0043】
また、従来では、添加剤は、スクリューコンベヤ30のケース31内の土砂に添加されることが一般的である。これに対し、本実施形態では、スクリューコンベヤ30が移送する土砂は、添加剤が添加されずに貯留室40に供給され、貯留室40内で添加剤が添加される。そして、貯留室40内では、添加剤が供給される前の状態の土砂を採取口40cを通じて採取することができる。このような構成によって、カッターチャンバ14内の土砂と同様の性状である、添加剤が添加される前の土砂を採取することができるため、カッターチャンバ14内の土砂の性状をより正確に把握することができる。
【0044】
次に、本実施形態の変形例について説明する。以下のような変形例も本発明の範囲内である。また、変形例に示す構成と上記の実施形態で説明した構成を組み合わせたり、以下の異なる変形例で説明する構成同士を組み合わせたりすることも可能である。
【0045】
上記実施形態では、フィーダ機構は、二軸式のスクリューフィーダ60である。これに対し、スクリューフィーダ60は、単一のオーガ61を有する単軸式のスクリューフィーダ60であってもよいし、三以上のオーガ61を有する多軸式のスクリューフィーダ60であってもよい。
【0046】
また、スクリューフィーダ60のオーガ61は、解砕機構50のロッド51と平行に設けられるが、この構成に限定されるものではない。例えば、スクリューフィーダ60のオーガ61は、解砕機構50のロッド51に対して、水平面視で垂直に設けられてもよい。つまり、解砕機構50のロッド51の中心軸とスクリューフィーダ60のオーガ61の中心軸とは、延在方向が90°ずれていてもよい。さらに言えば、解砕機構50のロッド51の中心軸とスクリューフィーダ60のオーガ61の中心軸とは、水平面視で非平行(言い換えると、互いに傾斜する状態)に設けられてもよい。
【0047】
また、フィーダ機構は、スクリューフィーダ60に限定されない。例えば、フィーダ機構は、トラフを振動させることで所定方向に土砂を排出する振動フィーダ、又はベルトコンベヤ70を利用して土砂を排出するベルトフィーダであってもよい。いずれの方式であっても、フィーダ機構の排出量を調整可能に制御し排出される土砂のバッファとして機能することで、ベルトコンベヤ70によって移送する移送量を一定にすることができる。また、いずれの方式であっても、貯留室40の下部にフィーダ機構を設けて貯留室40に滞留する土砂の量を調整できるように構成することが好ましい。これにより、解砕機構50による貯留室40内の土砂の解砕の程度を制御することができる。
【0048】
また、解砕機構50は、一対のロッド51を有しているが、これに限定されず、三以上のロッド51を有していてもよい。
【0049】
また、上記実施形態において、貯留室40内の土砂を採取するための採取口40cに代えて、又は加えて、土砂の性状を測定する性状測定部を貯留室40に取り付けて、貯留室40内の土砂の性状を直接測定するようにしてもよい。この場合、性状測定部の測定結果は、例えば制御部90に入力される。このような構成によれば、土砂の性状をリアルタイムで把握することができる。
【0050】
以上、本発明の実施形態について説明したが、上記実施形態は本発明の適用例の一部を示したに過ぎず、本発明の技術的範囲を上記実施形態の具体的構成に限定する趣旨ではない。
【符号の説明】
【0051】
100 シールド掘進機
11 スキンプレート(胴体)
12 カッターヘッド(掘削部)
13 隔壁
14 カッターチャンバ
30 スクリューコンベヤ(排出機構)
36 添加剤注入機構
40 貯留室
50 解砕機構
51 ロッド(解砕部)
52 羽根部
60 スクリューフィーダ(フィーダ機構)
61 オーガ
70 ベルトコンベヤ
100 シールド掘進機
T トンネル