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特開2024-170204座席シート、システム、および制御方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024170204
(43)【公開日】2024-12-06
(54)【発明の名称】座席シート、システム、および制御方法
(51)【国際特許分類】
   B60N 2/56 20060101AFI20241129BHJP
   A47C 7/74 20060101ALI20241129BHJP
   B60N 2/90 20180101ALI20241129BHJP
   B60H 1/22 20060101ALI20241129BHJP
【FI】
B60N2/56
A47C7/74 B
B60N2/90
B60H1/22 611B
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023087232
(22)【出願日】2023-05-26
(71)【出願人】
【識別番号】000241500
【氏名又は名称】トヨタ紡織株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000338
【氏名又は名称】弁理士法人 HARAKENZO WORLD PATENT & TRADEMARK
(72)【発明者】
【氏名】中川 奈々子
【テーマコード(参考)】
3B084
3B087
3L211
【Fターム(参考)】
3B084JF02
3B084JF04
3B084JF05
3B087DE09
3B087DE10
3L211BA02
3L211DA50
3L211DA53
3L211EA79
3L211GA53
(57)【要約】
【課題】従来よりも熱感を持続させつつ電力消費量を軽減できる座席シートの提供を実現する。
【解決手段】座席シート(1)であって、振動提供部(14)と、熱提供部(15)と、を備え、振動提供部(14)は、制御部(20)が生成する制御信号に基づき熱提供部(15)の動作開始のタイミング以降に動作を開始させ、熱提供部(15)は、制御部(20)が生成する制御信号に基づき振動提供部(14)の動作停止のタイミングよりも前に動作を停止させる。
【選択図】図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
着座者が着座するシートクッションと着座者の上体を支えるシートバックと、を有する座席シートであって、
前記シートクッションおよび前記シートバックのうち少なくとも一方に配置され、前記座席シートに着座する着座者の皮膚表面に振動刺激を提供する振動提供部と、
着座者の皮膚表面に冷熱感または温熱感を提供する熱提供部と、
を備え、
前記振動提供部および前記熱提供部は、制御部により動作の開始または動作の停止が制御され、
前記振動提供部は、前記制御部が生成する制御信号に基づき前記熱提供部の動作開始のタイミング以降に動作を開始させ、
前記熱提供部は、前記制御部が生成する前記制御信号に基づき前記振動提供部の動作停止のタイミングよりも前に動作を停止させる、
ことを特徴とする座席シート。
【請求項2】
前記振動提供部の動作開始のタイミングは、前記熱提供部の動作停止のタイミング以降である、ことを特徴とする請求項1に記載の座席シート。
【請求項3】
前記振動提供部の動作開始のタイミングは、前記熱提供部の動作停止のタイミングより前である、ことを特徴とする請求項1に記載の座席シート。
【請求項4】
前記振動提供部および前記熱提供部の動作開始のタイミングは同時である、ことを特徴とする請求項1に記載の座席シート。
【請求項5】
前記振動提供部は、前記シートクッションおよび前記シートバックの幅方向において前記熱提供部を挟んで対称となる位置に一対で設けられ、且つ、前記シートクッションおよび前記シートバックを正面視した場合、前記熱提供部と重ならない位置に配置されている、ことを特徴とする請求項1に記載の座席シート。
【請求項6】
温度および湿度のうち少なくとも何れかを検出する温湿度センサを更に備え、
前記制御部は、前記温湿度センサの検出結果に基づいて前記熱提供部の動作停止のタイミングを決定する、ことを特徴とする請求項1に記載の座席シート。
【請求項7】
車両に設置された請求項1~6の何れか一項に記載の座席シートと、情報処理装置と、により構成されるシステムであって、
前記情報処理装置は、目的地を示す目的地情報と、前記車両の現在位置を示す位置情報とを取得可能であり、
前記制御部は、前記情報処理装置と通信することにより取得した前記目的地情報および前記位置情報に基づいて前記熱提供部の動作停止のタイミングを決定する、
ことを特徴とするシステム。
【請求項8】
着座者が着座するシートクッションと着座者の上体を支えるシートバックと、を有する座席シートを制御する制御方法であって、
前記座席シートに着座する着座者の皮膚表面に振動刺激を提供する振動提供ステップと、
着座者の皮膚表面に冷熱感または温熱感を提供する熱提供ステップと、を含み、
前記熱提供ステップの実行開始のタイミング以降に前記振動提供ステップの実行を開始させ、前記振動提供ステップの実行終了のタイミングよりも前に前記熱提供ステップの実行を終了させる、
ことを特徴とする制御方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は座席シート、座席シートの制御方法、および座席シートの制御システムに関する。
【背景技術】
【0002】
着座した着座者の皮膚表面に温感を提供するシートヒータを備えた座席シートが従来技術として知られている。例えば、特許文献1には、変温領域の温度を変温させる第1制御と誘導領域に刺激を与える第2制御と、を実行することにより、局所的な皮膚温度以上に誘導領域に温感を感じさせることができる温感装置が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2020-153584号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に記載の温感装置では、第2制御は、第1制御に連動して行われる。つまり、ヒータの動作が停止すると振動部の動作も停止する。ヒータの動作が停止すると座席シートの着座者の体感温度が低下し、着座者に不快感を与えるおそれがある。一方、着座者に不快感を与えないためには、ヒータの動作を継続する必要があり、その場合、ヒータの動作による電力消費が発生する。
【0005】
本開示は、上記の問題点に鑑みてなされたものであり、その目的は、従来よりも熱感を持続させつつ電力消費量を軽減できる座席シートの提供を実現することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記の課題を解決するために、本開示の一態様に係る座席シートは、着座者が着座するシートクッションと着座者の上体を支えるシートバックと、を有する座席シートであって、前記シートクッションおよび前記シートバックのうち少なくとも一方に配置され、前記座席シートに着座する着座者の皮膚表面に振動刺激を提供する振動提供部と、着座者の皮膚表面に冷熱感または温熱感を提供する熱提供部と、を備え、前記振動提供部および前記熱提供部は、制御部により動作の開始または動作の停止が制御され、前記振動提供部は、前記制御部が生成する制御信号に基づき前記熱提供部の動作開始のタイミング以降に動作を開始させ、前記熱提供部は、前記制御部が生成する前記制御信号に基づき前記振動提供部の動作停止のタイミングよりも前に動作を停止させる、構成である。
【0007】
本開示の一態様に係るシステムは、車両に設置された上記の態様1~6の何れか一つに記載の座席シートと、情報処理装置と、により構成されるシステムであって、前記情報処理装置は、目的地を示す目的地情報と、前記車両の現在位置を示す位置情報とを取得可能であり、前記制御部は、前記情報処理装置と通信することにより取得した前記目的地情報および前記位置情報に基づいて前記熱提供部の動作停止のタイミングを決定する、構成である。
【0008】
本開示の一態様に係る制御方法は、着座者が着座するシートクッションと着座者の上体を支えるシートバックと、を有する座席シートを制御する制御方法であって、前記座席シートに着座する着座者の皮膚表面に振動刺激を提供する振動提供ステップと、着座者の皮膚表面に冷熱感または温熱感を提供する熱提供ステップと、を含み、前記熱提供ステップの実行開始のタイミング以降に前記振動提供ステップの実行を開始させ、前記振動提供ステップの実行終了のタイミングよりも前に前記熱提供ステップの実行を終了させる、構成である。
【発明の効果】
【0009】
本開示の一態様によれば、従来よりも熱感を持続させつつ電力消費量を軽減できる座席シートの提供を実現できる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】本開示の一実施形態に係る座席シートの概略構成を示す斜視図である。
図2図1に示す座席シートを前側から見た図である。
図3】本開示の一実施形態に係る座席シートが設置された車両の概略構成を示すブロック図である。
図4】熱提供部および振動提供部の動作の一例を示す図である。
図5】熱提供部および振動提供部の動作の一例を示す図である。
図6】本願発明者が温冷感に関する官能実験を繰り返して評価した結果を示すグラフである。
図7】本開示の一実施形態に係る座席シートが設置された車両の概略構成を示すシステムブロック図である。
図8】本開示の一実施形態に係る座席シートの概略構成を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
〔実施形態1〕
以下、図面を参照して、本開示の実施形態を説明する。以下の説明で参照する図面の記載において、同一の部分には同一の符号を付している。また、以下の説明において、上、下、前、後、左、右の各方向を図1に示す方向とする。
【0012】
(座席シート1の概略構成)
図1に示すように、座席シート1は、シートクッション11、シートバック12、ヘッドレスト13、を有する。
【0013】
シートクッション11は、上面が平坦な形状であり、着座者の尻部を受け止める。シートクッション11は、例えば、着座者が着座できる形状に形成されたフレーム、フレームを覆うように組み付けられたクッションパッド、およびクッションパッドの表面を覆うクッションカバーにより構成されていればよい。
【0014】
シートバック12は、前面が平坦な形状であり、着座者の上体を支える。具体的には、シートバック12は、着座者の背部を受け止める。シートバック12は、例えば、着座者の背部を支える形状に形成されたフレーム、フレームを覆うように組み付けられたクッションパッド、およびクッションパッドの表面を覆うクッションカバーにより構成されていればよい。
【0015】
シートバック12は、着座者の背部との接触面積が広い面であるメインシート12Aを有する。メインシート12Aは、着座者の皮膚表面に振動刺激を提供する振動提供部14と、着座者の皮膚表面、具体的には着座者の背部に温熱感を提供する熱提供部15と、を有する。温熱感を提供するとは、着座者の背部を暖めることであり、熱提供部15は、所謂シートヒータとして機能する。
図1および図2において、振動提供部14と、熱提供部15とをそれぞれ破線で示している。当該破線は、振動提供部14と、熱提供部15とがメインシート12Aの表面に設けられているのではなく、メインシート12Aの内面側に設けられていることを示している。つまり、振動提供部14、および熱提供部15は、座席シート1の外側から着座者が目視で確認できない位置に設けられている。
【0016】
(振動提供部14および熱提供部15の配置)
図2に示すように、振動提供部14は、シートバック12の左右方向である幅方向において熱提供部15を挟んで対称となる位置に一対で設けられている。振動提供部14は、メインシート12Aの上下方向において、同じ高さに配置される。また、振動提供部14は、シートバック12を前後方向における前側からみた場合、すなわち正面視した場合に熱提供部15と重ならない位置に配置されている。
【0017】
ここで、皮膚分節について説明する。皮膚分節とは、人の身体の1つ1つの脊髄神経根から伸びている感覚神経が支配する領域のことである。人の身体の背部では、1つ1つの皮膚分節は、背部中央の脊髄神経根から左右方向に伸びている。人の身体の背部では、このような左右方向に伸びる皮膚分節が、高さ方向に複数並ぶ配置となっている。振動提供部14は、人の背部において左右方向伸びる皮膚分節に対応する位置となるように座席シート1に配置されることが好ましい。
【0018】
熱提供部15による着座者の背部への温熱感の提供により、着座者が得られる温熱感は、皮膚分節が伸びる方向へ伝播し易く、更に、温熱感は振動提供部14による振動により、さらに伝播し易くなるためである。
【0019】
なお、振動提供部14の数は、一対に限定されない。つまり、二対あってもよいし、三対あってもよい。また、このように、振動提供部14が複数設けられる構成であっても、それぞれの振動提供部14は、シートバック12を正面視した場合に熱提供部15と重ならない位置に配置される。
【0020】
熱提供部15は、左右方向において、一対の振動提供部14の中間位置を通って上下方向に延伸して配置される。熱提供部15は、上下方向において、所定の間隔で中心位置から左右方向に延伸するように幅広に形成された幅広部15Aを有している。幅広部15Aが設けられる間隔は、座席シート1の大きさ等により適宜に設定される。また、熱提供部15は、幅広部15Aを有していなくてもよい。熱提供部15は、背部の皮膚分節を考慮して、着座者が着座した状態において、背部中央に近い位置に配置されることが好ましい。
【0021】
(振動提供部14および熱提供部15の制御)
図3に示すように、座席シート1は、車両50に設置される。以下の説明では、座席シート1は、車両50の座席として用いられるものとして説明する。座席シート1は、車両50の運転席や助手席、あるいは後部座席の独立した座席である。
【0022】
座席シート1は、車両50の中で制御部20との通信が可能である。より詳細には、振動提供部14および熱提供部15は、制御部20からの制御信号を取得できるように、制御部20と有線接続されているか、または制御部20と無線通信するための通信部(図示せず)を備えていればよい。
【0023】
制御部20は、例えば、CPU(central processing unit)または専用プロセッサなどの演算装置により構成されている。演算装置は、図示はしていないがROM(read only memory)などで実現された記憶装置に記憶されている制御プログラムをRAM(random access memory)などに読み出して実行することにより、振動提供部14および熱提供部15を制御する。
【0024】
本開示では、制御部20は、一例として振動提供部14および熱提供部15の動作の開始を制御する。また、制御部20は、振動提供部14および熱提供部15の動作停止を制御する。例えば、制御部20は、振動提供部14および熱提供部15をPWM(Pulse Width Modulation)制御により制御する。
【0025】
具体的には、制御部20は、出力するパルス波のデューティ比を変化させて変調することで、熱提供部15における温度刺激の強度や振動提供部14における振動刺激の強度を変化させる。
【0026】
熱提供部15における温度刺激の強度や振動提供部14における振動刺激の強度は、予め目標値が設定されていてもよい。また、目標値は、ROMなどの記憶装置に記憶されていればよい。
【0027】
なお、例えば、温度センサにより検出された検出温度に基づいて熱提供部15の動作を制御してもよいし、計時手段により計測された動作時間に基づいて振動提供部14および熱提供部15の動作を制御してもよい。この場合、温度センサ、計時手段を更に備えている構成とすればよい。
【0028】
(振動提供部14および熱提供部15の動作開始および動作停止のタイミング)
図4および図5は、時間t1から時間t8の間における振動提供部14および熱提供部15の動作開始のタイミング、および動作停止のタイミングを示している。時間t1から時間t2までの時間は、例えば、1分である。つまり、時間t1から時間t8までの時間は14分となる。振動提供部14の動作開始とは、本開示の振動提供ステップを含み、着座者の皮膚表面に振動刺激を提供することである。熱提供部15の動作開始とは、本開示の熱提供ステップを含み、着座者の皮膚表面に温熱感を提供することである。
【0029】
熱提供部15は、例えば、車両50のインスツルメントパネルに設けられたスイッチを押下することにより、熱提供部15の電源ON又は電源OFFを切り替える。着座者がスイッチを押下すると、スイッチから制御部20へ出力信号が送られる。出力信号を受けた制御部20は、スイッチからの出力信号に基づいて熱提供部15を制御する制御信号を熱提供部15へ送る。熱提供部15は、制御部20から送られてきた制御信号に基づき、電源ON又は電源OFFが切り替えられる。着座者がスイッチを押下して、熱提供部15の電源ON又は電源OFFを切り替えることを、以下では手動切り替えという。
【0030】
本開示では、手動切り替えの他に、自動切り替えによる熱提供部15の電源ON又は電源OFFの切り替えが可能である。
【0031】
自動切り替えとは、手動切り替えによる熱提供部15の電源ONから電源OFFになるまでの間、制御部20にて熱提供部15を制御することにより、熱提供部15の電源ONと、電源OFFとを切り替えることである。
【0032】
例えば、手動切り替えにより熱提供部15の電源がONになった後、熱提供部15の電源をOFFに切り替えるための座席シート1の表面温度に対する上限閾値が設定されていてもよい。また、自動切り替えにより熱提供部15の電源がOFFになった後、熱提供部15の電源をONに切り替えるための座席シート1の表面温度に対する下限閾値が設定されていてもよい。
【0033】
座席シート1の表面温度は、例えば、温度センサにより取得する。また、上限閾値および下限閾値は何れも任意に設定可能な設定値である。つまり、制御部20は、着座者のスイッチ操作がなくとも、座席シート1の表面温度が上限閾値に到達した時点で熱提供部15の電源をOFFに切り替え、座席シート1の表面温度が下限閾値に到達した時点で熱提供部15の電源をONに切り替える。
【0034】
振動提供部14は、制御部20が生成する制御信号に基づき熱提供部15の動作開始のタイミング以降に動作を開始させる。詳細には、振動提供部14は、着座者のスイッチ押下などの操作を必要とせず、熱提供部15の動作開始又は動作停止のタイミングと連動して、制御部20からの制御信号に基づいて電源ONと電源OFFとを切り替える。
【0035】
振動提供部14の動作開始のタイミングは、熱提供部15の動作開始のタイミング以降であればよいため、振動提供部14および熱提供部15の動作開始のタイミングは同時であってもよい。
【0036】
振動提供部14および熱提供部15の動作開始および動作停止のタイミングについて、図4および図5を用いて詳細に説明する。例えば、座席シート1の表面温度に対する上限閾値が35℃、座席シート1の表面温度に対する下限閾値が10℃である場合を考える。
【0037】
図4に示すように、時間t1にて、着座者の手動切り替えにより制御部20は、熱提供部15の電源をONに切り替える。また、制御部20は、熱提供部15の電源ONに連動させて振動提供部14も同時に電源ONに切り替えて動作を開始させる。
【0038】
時間t3にて、座席シート1の表面温度が35℃に到達したため、制御部20は、熱提供部15の電源をOFFに切り替える。時間t3から時間t4の間にて、座席シート1の表面温度が10℃に到達したため、制御部20は、時間t4にて、熱提供部15の電源をONに切り替える。
【0039】
時間t5にて、座席シート1の表面温度が35℃に到達したため、制御部20は、熱提供部15の電源をOFFに切り替える。
【0040】
時間t5から時間t6の間にて、座席シート1の表面温度が10℃に到達したため、制御部20は、時間t6にて、熱提供部15の電源をONに切り替える。時間t7にて、座席シート1の表面温度が35℃に到達したため、制御部20は、熱提供部15の電源をOFFに切り替える。
【0041】
熱提供部15の電源がOFFに切り替わっている間、すなわち、時間t3から時間t4の間、時間t5から時間t6の間、および時間t7から時間t8の間にて、振動提供部14の動作は停止することなく、電源ONのまま継続して動いている。
【0042】
なお、図4に示す例では、制御部20は、時間t8以降に振動提供部14の電源をOFFに切り替えて動作を停止させればよい。また、図4に示す例では、時間t3、時間t5、および時間t7のタイミングで熱提供部15の電源がOFFに切り替えられているが、これらのタイミングは一例に過ぎない。
【0043】
制御部20が熱提供部15の電源をOFFにするタイミングは、少なくとも振動提供部14の動作停止のタイミングよりも前であればよい。換言すれば、制御部20は、熱提供部15の電源をOFFに切り替えた後も継続して振動提供部14の電源をONにしたまま動作を継続させていればよい。
【0044】
さらに、図5に示すように、振動提供部14の動作開始のタイミングは、熱提供部15の動作停止のタイミング以降であってもよい。具体的には、時間t1にて、着座者の手動切り替えにより制御部20は、熱提供部15の電源をONに切り替える。
【0045】
時間t3にて、座席シート1の表面温度が35℃に到達したため、制御部20は、熱提供部15の電源をOFFに切り替える。制御部20は、熱提供部15の電源をOFFに切り替えると同時に、すなわち時間t3にて、振動提供部14の電源をONに切り替える。
【0046】
時間t3から時間t4の間にて、座席シート1の表面温度が10℃に到達したため、制御部20は、時間t4にて、熱提供部15の電源をONに切り替える。制御部20は、熱提供部15の電源をONに切り替えると同時に、すなわち時間t4にて、振動提供部14の電源をOFFに切り替える。
【0047】
時間t4から時間t5の間にて、座席シート1の表面温度が35℃に到達したため、制御部20は、熱提供部15の電源をOFFに切り替える。制御部20は、熱提供部15の電源をOFFに切り替えると同時に、すなわち時間t5にて、振動提供部14の電源をONに切り替える。
【0048】
時間t5から時間t6の間にて、座席シート1の表面温度が10℃に到達したため、制御部20は、時間t6にて、熱提供部15の電源をONに切り替える。制御部20は、熱提供部15の電源をONに切り替えると同時に、すなわち時間t6にて、振動提供部14の電源をOFFに切り替える。
【0049】
時間t6から時間t7の間にて、座席シート1の表面温度が35℃に到達したため、制御部20は、熱提供部15の電源をOFFに切り替える。制御部20は、熱提供部15の電源をOFFに切り替えると同時に、すなわち時間t7にて、振動提供部14の電源をONに切り替える。
【0050】
時間t7から時間t8の間にて、振動提供部14は動作を継続している。このように、図4で示す例とは異なり、図5で示す例では、制御部20は、熱提供部15および振動提供部14の電源ONと電源OFFを交互に切り替えて制御している。
【0051】
さらに、振動提供部14の動作開始のタイミングは、熱提供部15の動作停止のタイミングより前であってもよい。具体的には、図5に示す例では、時間t3にて、熱提供部15の電源をOFFに切り替えて、同時に振動提供部14の電源をONに切り替えているが、時間t3よりも前である時間t2にて振動提供部14の電源をONに切り替えてもよい。
【0052】
また、図5に示す例では、時間t4にて、振動提供部14の電源をOFFに切り替えているが、時間t4よりも後に振動提供部14の電源をOFFに切り替えてもよい。より具体的には、例えば、時間t4から時間t5の間にて振動提供部14の電源をOFFに切り替えてもよいし、時間t6まで電源ONを維持し、時間t6にて電源をOFFに切り替えてもよい。
【0053】
(温感持続に関する官能実験)
図6は、本願発明者が温冷感に関する官能実験を繰り返して評価した結果を示すグラフである。図6は、縦軸に温冷感、横軸に観測者が座席シート1に着座してからの経過時間をそれぞれ示している。官能実験は、複数の観測者に対して、座席シート1に着座した状態で熱提供部15のみ電源をONにした場合と、熱提供部15および振動提供部14の電源をONにした場合との温冷感について観測者が回答することによって行った。
【0054】
温冷感は、図6に示すように、「とても温かい」、「かなり温かい」、「温かい」、「やや温かい」、「どちらかと言えば温かい」、「変わらない」、「どちらかと言えば涼しい」、「やや涼しい」、というそれぞれの項目である。本願発明者は、それぞれの項目について重み付けを行い、観測者から得た回答に基づいて温冷感を数値化し、グラフに示している。
【0055】
官能実験では、280secから420secの間、熱提供部15の電源をONの状態にして、280secから900secの間、振動提供部14の電源をONの状態にしている。
【0056】
図6に示すように、0secから180secが経過するまでは、観測者からの温冷感に関する回答を得ていない。これは、観測者が座席シート1に着座してから、心拍等が安定するのを待つ時間であり、官能実験の精度を高めるために設けられた時間である。
【0057】
まず、熱提供部15のみ電源をONにした場合の線グラフによれば、420secをピークに「やや温かい」という温冷感から、「変わらない」という温冷感に向かって下降していることが分かる。540secでは、「どちらかと言えば温かい」という温冷感の近くまで下降しており、660secでは、熱提供部15の電源をONする前と同じ程度にまで温冷感が下降していることが分かる。
【0058】
次に、熱提供部15および振動提供部14の電源をONにした場合の線グラフによれば、420secをピークに540secまでの間は「やや温かい」という温冷感を持続していることが分かる。660secにおいても、熱提供部15のみ電源をONにした場合に比べて、温かいという温冷感が持続していることが分かる。その後、900secにかけて、温冷感が下降しているものの、熱提供部15のみ電源ONにした場合に比べて緩やかに下降していることが分かる。
【0059】
このように、本願発明者が官能実験を繰り返して評価した結果、熱提供部15のみを用いる場合に比べて、熱提供部15および振動提供部14を用いた方が、熱提供部15の電源をOFFにした後の温冷感の持続効果を得られると判断された。
【0060】
(電力消費について)
以上、説明したとおり、熱提供部15のみ用いる場合、熱提供部15の電源をOFFにすると、温感を持続することは困難であるから、温感を持続するためには、熱提供部15の電源をONにしたままにしなければならない。一方、本開示の座席シート1では、熱提供部15の電源をOFFした後も、振動提供部14による振動刺激を提供することで、温感持続の効果を得ることが可能である。
【0061】
よって、図4および図5に一例を示すように、制御部20は、時間t1から時間t8の間において、所定のタイミングにて熱提供部15の電源をOFFに切り替えても、振動提供部14による振動刺激を提供することで、温感持続の効果を得ることが可能である。
【0062】
ここで、振動提供部14の動作時の電力消費量に比べて、熱提供部15の動作時の電力消費量は多い。つまり、熱提供部15のみ用いる場合に比べて、振動提供部14を活用するほうが、熱提供部15の動作時間が短くなるため、電力消費量を抑えることができる。
【0063】
したがって、熱提供部15の電源をOFFにする時間を増加させたとしても、温感持続の効果を得つつ、電力消費量を抑えることができる。
【0064】
(作用効果)
上記の構成によれば、振動提供部14は、制御部20が生成する制御信号に基づき熱提供部15の動作開始のタイミング以降に動作を開始させる。また、熱提供部15は、制御部20が生成する制御信号に基づき振動提供部14の動作停止のタイミングよりも前に動作を停止させる。これにより、熱提供部15の動作は、振動提供部14の動作停止のタイミングよりも早いタイミングで動作を停止させ、且つ、振動提供部14は、熱提供部15の動作停止の後も動作を継続させる。
【0065】
よって、熱提供部15よりも消費電力の小さい振動提供部14を活用することにより、従来よりも熱感を持続させつつ、振動提供部14よりも電力消費量の多い熱提供部15の動作を継続している場合に比べて熱提供部15の動作時間を短くすることができる。よって、従来よりも熱感を持続させつつ電力消費量を軽減できる座席シート1の提供を実現できる。また、車両を運転している時に、着座者である運転手が手動で熱提供部15のON、OFFを切り替える必要が無いため、運転の安全性を向上させることもできる。
【0066】
上記の構成によれば、振動提供部14は、熱提供部15の動作停止のタイミング以降に動作を開始させる。これにより、熱提供部15の動作が停止したタイミングで振動提供部14の動作を開始させることができる。つまり、熱提供部15の動作を最小限に抑えつつ、従来よりも熱感を持続させることができる。その結果として、熱提供部15の動作を継続している場合に比べて電力消費量を軽減できる。
【0067】
上記の構成によれば、振動提供部14は、熱提供部15の動作停止のタイミングよりも前に動作を開始させる。例えば、熱提供部15が動作している途中で振動提供部14の動作を開始させることができる。これにより、従来よりも熱感を持続させつつ熱提供部15の動作を継続している場合に比べて電力消費量を軽減できる座席シート1の提供を実現できる。
【0068】
上記の構成によれば、振動提供部14および熱提供部15の動作開始のタイミングを同時にすることができる。振動提供部14および熱提供部15の動作開始のタイミングが同時であっても、振動提供部14および熱提供部15の動作停止のタイミングが異なるため、従来よりも熱感を持続させつつ熱提供部15の動作を継続している場合に比べて電力消費量を軽減できる座席シート1の提供を実現できる。
【0069】
上記の構成によれば、シートクッション11およびシートバック12の左右方向である幅方向において熱提供部15を挟んで対称となる位置に一対で振動提供部14を設けることができる。また、シートクッション11およびシートバック12を正面視した場合、振動提供部14と熱提供部15とが重ならない位置に配置できる。これにより、幅方向において、熱提供部15が設けられる範囲を小さくすることができる。また、熱提供部15を皮膚分節に沿って延伸させる必要がなく、熱提供部15の形状をシンプルにすることができ、熱提供部15の製造コストを低減できる。
【0070】
〔実施形態2〕
本開示の他の実施形態について、以下に説明する。なお、説明の便宜上、上記実施形態にて説明した部材と同じ機能を有する部材については、同じ符号を付記し、その説明を繰り返さない。
【0071】
図7に示すように、座席シート30は、温湿度センサ31を備えている点で座席シート1と異なる。また、座席シート30が設置された車両100は、ナビゲーション装置200を備えている点で車両50と異なる。ナビゲーション装置200は情報処理装置の一例である。図7に示すシステムは、座席シート30と、ナビゲーション装置200と、により構成される。
【0072】
(温湿度センサ31と熱提供部15との制御)
温冷感は、車両100の内部の温度、湿度によっても感じる温かさや涼しさが異なる。そのため、温湿度センサ31を備えた場合の熱提供部15の制御について考える。
【0073】
温湿度センサ31は、車両100の内部を流れる空気の温度、および、湿度のうち少なくとも何れかを検出するセンサである。つまり、温湿度センサ31は、温度のみを検出してもよいし、湿度のみを検出してもよいし、温度と湿度とを検出してもよい。温湿度センサ31は、温度、および、湿度を検出することができれば、座席シート30のどこに設けられてもよい。また、本実施形態では座席シート30に温湿度センサ31が設けられているが、これに限定されない。例えば、座席シート30ではなく、車両50、車両100に温湿度センサ31が設けられてもよい。
【0074】
温湿度センサ31は、車両100の中で制御部20と電気的に接続されている。温湿度センサ31は、車両100の内部を流れる空気の温度、および、湿度の何れかを検出すると、検出信号を制御部20へ出力する。
【0075】
制御部20は、温湿度センサ31からの検出信号に基づき、自動切り替えによる熱提供部15の電源ON、又は、電源OFFの切り替えを行う。
【0076】
例えば、図5に示す例で説明すると、時間t3にて、座席シート1の表面温度が35℃に到達したため、制御部20は、熱提供部15の電源をOFFに切り替えている。しかしながら、車両100の内部の温度、および、湿度の何れかが高い場合、温冷感の感じ方としては高くなる傾向にあるため、例えば、時間t3のタイミングよりも早いタイミングで熱提供部15の電源をOFFに切り替えてもよい。
【0077】
また、時間t3から時間t4の間にて、座席シート1の表面温度が10℃に到達したため、制御部20は、時間t4にて、熱提供部15の電源をONに切り替えている。しかしながら、座席シート1の表面温度が10℃に到達したとしても、車両100の内部の温度、および、湿度の何れかが高い場合、着座者は座席シート1の表面温度が低下したことによる不快感を覚えにくい場合が考えられる。この場合、時間t4よりも遅いタイミングで熱提供部15の電源をONに切り替えてもよい。
【0078】
以上、説明したように、熱提供部15の電源をON、又は、OFFに切り替えるタイミングは、車両100の内部の温度、および、湿度の何れかの検出結果に基づいて設定されてもよい。
【0079】
例えば、熱提供部15の電源をON、又は、OFFに切り替えてから、座席シート1の表面温度が閾値に到達するまでの予測時間から、車両100の内部の温度、および、湿度の何れかの検出結果に基づき決定された時間を減算、又は、加算してもよい。これにより、熱提供部15の電源をONした状態の合計時間を更に短くすることができるため、電力消費量を軽減できる。
【0080】
(ナビゲーション装置200と熱提供部15との制御)
また、車両100が目的地付近に到達した場合は、着座者は車両100から降車する可能性が高いため、熱提供部15の電源をOFFに切り替える方が電力消費量を抑えられる可能性がある。
【0081】
図7に示すように、ナビゲーション装置200は、ナビゲーション装置200の各部を統括して制御するナビゲーション制御部201、目的地情報取得部、および位置情報取得部を備えている。なお、ナビゲーション装置200は、公知のナビゲーション装置であればよく、各種データを記憶する記憶部、各種データの入力を受け付けるための入力IF(Inter Face)、データを出力するための出力IF、他の装置と通信するための通信部と、を備えている。
【0082】
ナビゲーション制御部201は、CPU(Central Processing Unit)である。ナビゲーション制御部201は、ナビゲーション装置200が備える各機能の処理を実行するように制御する。ナビゲーション制御部201によって読み出される各種コンピュータプログラム、および、ナビゲーション制御部201が実行する各種処理において利用されるデータなどは、ナビゲーション装置200の記憶部に記憶される。
【0083】
目的地情報取得部202は、着座者であるユーザ(以下、単にユーザという)により設定された目的地までのルート情報を取得する。ルート情報は、ナビゲーション装置の記憶部に記憶された地図データに基づいて、ユーザにより設定された目的地に基づいて決定される。
【0084】
位置情報取得部203は、図示しないGPS(Global Positioning System)センサを有する。GPSセンサは、GPS衛星からの電波に基づいて車両の現在位置を検出する。位置情報取得部203は、GPSセンサによりGPS衛星からの電波を受信する。位置情報取得部203、GPSセンサにより受信される電波により、車両100の現在地を示す位置情報を測位する。当該位置情報は、例えば、緯度情報及び経度情報である。位置情報取得部203による測位は、所定の時間間隔で行われる。当該所定の時間間隔は、例えば1秒である。
【0085】
ナビゲーション制御部201は、目的地情報取得部202、位置情報取得部203から取得した情報を、ナビゲーション装置200の通信部を介して、制御部20へ送る。
【0086】
制御部20は、ナビゲーション装置200から取得した目的地情報、および、位置情報に基づいて、熱提供部15の電源をOFFに切り替えるタイミングを決定してもよい。
【0087】
例えば、図5に示す例で説明すると、制御部20は、時間t1から時間t8までの間に、座席シート1の表面温度が閾値に到達したか否かにより熱提供部15の電源をON、又はOFFに切り替えている。しかしながら、座席シート1の表面温度が閾値に到達したか否かとは関係なく、車両100が目的地付近に到達した場合は、熱提供部15の電源をOFFに切り替えてもよい。
【0088】
本来であれば座席シート1の表面温度が35℃に到達していなければ、熱提供部15は電源をOFFしないが、着座者が降車する可能性が高い場合は、熱提供部15の電源をOFFに切り替えることができる。これにより、熱提供部15の電源をONした状態の合計時間を更に短くすることができるため、電力消費量を軽減できる。
【0089】
(作用効果)
上記の構成によれば、制御部20は、温湿度センサ31の検出結果に基づいて熱提供部15の動作停止のタイミングを決定することができる。詳細には、車両100の内部を流れる空気の温度、および、湿度の何れかを検出した検出結果に基づいて、熱提供部15の電源をOFFにするタイミングを決定することができる。これにより、制御部20は、座席シート30の着座者にとって快適な温感となるように熱提供部15の制御が可能となる。また、座席シート30の表面温度が閾値に到達する前に熱提供部15の電源をON、又はOFFに切り替えることができる。よって、熱提供部15が動作している合計時間を短くすることができる。また、熱提供部15の動作を継続している場合に比べて電力消費量を軽減できる。
【0090】
上記の構成によれば、制御部20は、ナビゲーション装置200と通信することにより取得した目的地情報および位置情報に基づいて熱提供部15の動作停止のタイミングを決定できる。これにより、ナビゲーション装置200と連動して熱提供部15の動作停止のタイミングを決定できる。よって、ナビゲーション装置200にて設定された目的地付近への到達状況に合わせた適切なタイミングで熱提供部15の動作を停止できる。また、目的地付近への到達状況に合わせて熱提供部15の制御ができるため、熱提供部15の動作を継続している場合に比べて電力消費量を軽減できる。
【0091】
〔変形例〕
以下の各変形例は、実施形態1および実施形態2に適宜、適用可能である。なお、実施形態1、実施形態2および変形例は、技術的に矛盾しない範囲で互いに組み合わせて実施してもよい。
【0092】
(変形例1)
振動提供部14、熱提供部15は、メインシート12Aに配置されるものに限らない。例えば、図8に示すように、振動提供部14、熱提供部15は、座席シート500の座面シート11Aに配置されてもよい。さらに、図8では、振動提供部14、熱提供部15は、メインシート12Aと座面シート11Aとに配置されているが、メインシート12A、および、座面シート11Aの何れか一方に配置される構成でもよい。
【0093】
なお、座面シート11Aに振動提供部14、熱提供部15が配置される場合、着座者が座席シート500に着座した状態において、振動提供部14は、着座者の臀部側、つまり、座面シート11Aの後ろ側に配置されることが好ましい。また、熱提供部15は、着座者の膝側、つまり、座面シート11Aの前側に配置されることが好ましい。これらの配置が好ましいのは、背部の皮膚分節に比べて左右方向への皮膚分節の範囲が狭く、大腿部の皮膚分節は、縦方向、すなわち座面シートAの前後方向への皮膚分節の範囲が広いためである。
【0094】
(変形例2)
熱提供部15は、所謂シートヒータとして機能すると説明したが、これに限るものではない。例えば、座席シート1は熱提供部15の代わりに着座者の背部に冷熱感を提供するベンチレーション機能を備えていてもよいし、シートヒータ機能とベンチレーション機能とを両方備えていてもよい。
【0095】
(変形例3)
座席シート1は、車両50の中で制御部20との通信が可能であると説明したが、制御部20と座席シート1とが別体ではなく、座席シート1は、制御部20を備えていてもよい。
【0096】
(変形例4)
情報処理装置の一例としてナビゲーション装置200を例に挙げて説明したが、これに限られるものではない。情報処理装置としては、車両100に備えている他に、例えば、スマートフォンやタブレット端末などの所謂モバイル端末であってもよい。
【0097】
(変形例5)
座席シート1、座席シート30は、車両50、車両100の座席の他に、鉄道等の自動車以外の車両や、航空機、船舶等の車両以外の乗物用の座席としても適用可能である。また、座席シート1、座席シート30は、乗物の他、スポーツ施設や劇場、映画館、コンサート会場、イベント会場等の各種施設に設置される座席や、マッサージチェア等の乗物用以外の座席にも適用可能である。また、座席シート1、座席シート30は、一人掛け用の座席を図示しているが、二人掛けであってよいし、三人掛けであってもよい。
【0098】
本開示は上述した各実施形態に限定されるものではなく、請求項に示した範囲で種々の変更が可能であり、異なる実施形態にそれぞれ開示された技術的手段を適宜組み合わせて得られる実施形態についても本開示の技術的範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0099】
1、30、500 座席シート
11 シートクッション
12 シートバック
14 振動提供部
15 熱提供部
200 ナビゲーション装置
20 制御部
31 温湿度センサ
50、100 車両
202 目的地情報取得部
203 位置情報取得部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8