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特開2024-170214導電性接着フィルム、導電性接着フィルムの製造方法、接続体、接続体の製造方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024170214
(43)【公開日】2024-12-06
(54)【発明の名称】導電性接着フィルム、導電性接着フィルムの製造方法、接続体、接続体の製造方法
(51)【国際特許分類】
   H05K 3/32 20060101AFI20241129BHJP
   C09J 7/30 20180101ALI20241129BHJP
   C09J 201/00 20060101ALI20241129BHJP
   C09J 11/04 20060101ALI20241129BHJP
   H01B 5/16 20060101ALI20241129BHJP
   H01L 21/60 20060101ALI20241129BHJP
   B32B 27/18 20060101ALI20241129BHJP
   B32B 27/00 20060101ALI20241129BHJP
   B32B 7/025 20190101ALI20241129BHJP
   H01R 11/01 20060101ALI20241129BHJP
【FI】
H05K3/32 B
C09J7/30
C09J201/00
C09J11/04
H01B5/16
H01L21/60 311S
B32B27/18 J
B32B27/00 M
B32B7/025
H01R11/01 501C
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023087249
(22)【出願日】2023-05-26
(71)【出願人】
【識別番号】000108410
【氏名又は名称】デクセリアルズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100113424
【弁理士】
【氏名又は名称】野口 信博
(74)【代理人】
【識別番号】100185845
【弁理士】
【氏名又は名称】穂谷野 聡
(72)【発明者】
【氏名】篠原 誠一郎
(72)【発明者】
【氏名】田中 雄介
【テーマコード(参考)】
4F100
4J004
4J040
5E319
5F044
5G307
【Fターム(参考)】
4F100AB16B
4F100AB25B
4F100AH02B
4F100AH06B
4F100AK42A
4F100AK51B
4F100AK54B
4F100AT00A
4F100BA02
4F100BA07
4F100CA21B
4F100CB00B
4F100DE06B
4F100EH46B
4F100EJ172
4F100EJ422
4F100EJ67B
4F100GB41
4F100JG01B
4F100JG04B
4J004AA11
4J004BA02
4J004CA06
4J004CE03
4J004FA05
4J040EE061
4J040EF002
4J040HA066
4J040HD30
4J040HD36
4J040JA09
4J040JB10
4J040KA03
4J040KA32
4J040LA09
4J040MA02
4J040MA10
4J040NA19
5E319AA03
5E319AB05
5E319AC03
5E319AC04
5E319BB13
5E319BB16
5E319CC03
5E319CC12
5E319CD17
5E319CD29
5E319GG01
5E319GG15
5E319GG20
5F044LL09
5F044RR17
5F044RR18
5F044RR19
5G307HA02
5G307HB03
5G307HC01
(57)【要約】
【課題】導電粒子の効率的な使用が可能となり、且つ電子部品の電極サイズの微細化やファインピッチ化に対応でき、接続電極間の導通信頼性及び隣接電極間の絶縁性を確保できる導電性接着フィルムを提供する。
【解決手段】導電性接着フィルム1は、基材2と、基材2の一方の面に設けられ、導電粒子3を含有する接着材層4を有し、接着材層4に含有される導電粒子3は、複数の導電粒子が凝集されてなる粒子凝集体5を構成し、接着材層4は、導電性接着フィルム1が貼付される電子部品10の電極配列に対応した所定の配列パターンで、粒子凝集体5からなる配列要素6が配列されている。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
基材と、
前記基材の一方の面に設けられ、導電粒子を含有する接着材層を有する導電性接着フィルムにおいて、
前記接着材層に含有される前記導電粒子は、複数の前記導電粒子が凝集されてなる粒子凝集体を構成し、
前記接着材層は、前記導電性接着フィルムが貼付される電子部品の電極配列に対応した所定の配列パターンで、前記粒子凝集体からなる配列要素が配列されている、
導電性接着フィルム。
【請求項2】
前記配列パターンを構成する前記配列要素は、1又は複数の前記粒子凝集体からなる、請求項1に記載の導電性接着フィルム。
【請求項3】
前記配列パターンを構成する前記配列要素は、複数の前記粒子凝集体からなり、
前記配列要素は、複数の前記粒子凝集体が集合、分散又は整列されている、請求項1に記載の導電性接着フィルム。
【請求項4】
前記配列要素の面積は、前記電極配列を構成する電極の面積以下である、請求項1~3のいずれか1項に記載の導電性接着フィルム。
【請求項5】
前記配列パターンにおける前記配列要素の配列方向を前記配列要素の幅方向とし、前記電極配列における前記電極の配列方向を前記電極の幅方向としたときに、前記配列要素の幅が、前記電極の幅の40%以上100%以下である請求項1~3のいずれか1項に記載の導電性接着フィルム。
【請求項6】
基材と、前記基材の一方の面に設けられ、導電粒子を含有する接着材層を有する導電性接着フィルムの製造方法において、
前記接着材層に、前記導電性接着フィルムが貼付される電子部品の電極配列に対応した所定の配列パターンで、複数の前記導電粒子が凝集されてなる粒子凝集体からなる配列要素を配列する配列工程を有し、
前記配列工程は、所定の開口を有するマスクを介して前記導電粒子を前記接着材層に設ける、
導電性接着フィルムの製造方法。
【請求項7】
前記配列工程は、前記マスクとしてメタルマスク又はロータリースクリーンを使用して、前記導電粒子を前記接着材層に設ける、請求項6に記載の導電性接着フィルムの製造方法。
【請求項8】
前記マスクの前記開口の開口径が、前記導電粒子の平均粒径の200%以上である請求項6又は7に記載の導電性接着フィルムの製造方法。
【請求項9】
導電性接着フィルムの複数の導電粒子を含有する接着剤層の硬化膜を介して第1の電子部品と第2の電子部品が接続された接続体において、
前記導電性接着フィルムは、
基材と、
前記基材の一方の面に設けられ、導電粒子を含有する接着材層を有し、
前記接着材層に含有される前記導電粒子は、複数の前記導電粒子が凝集されてなる粒子凝集体を構成し、
前記接着材層は、前記導電性接着フィルムが貼付される前記第1の電子部品の電極配列に対応した所定の配列パターンで、前記粒子凝集体からなる配列要素が配列されている、
接続体。
【請求項10】
複数の導電粒子を含有する導電性接着フィルムを第1の電子部品上に貼付する配置工程と、
前記導電性接着フィルムを介して前記第1の電子部品と第2の電子部品とを接続させる接続工程とを有し、
前記導電性接着フィルムは、
基材と、前記基材の一方の面に設けられ、導電粒子を含有する接着材層を有し、
前記接着材層に含有される前記導電粒子は、複数の前記導電粒子が凝集されてなる粒子凝集体を構成し、
前記接着材層は、前記導電性接着フィルムが貼付される前記第1の電子部品の電極配列に対応した所定の配列パターンで、前記粒子凝集体からなる配列要素が配列されており、
前記配置工程では、前記第1の電子部品の電極と前記配列要素の位置合わせを行って、前記導電性接着フィルムを前記第1の電子部品上に貼付する、
接続体の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本技術は、導電性接着フィルム及びその製造方法、導電性接着フィルムを用いて電子部品同士が接続された接続体及び接続体の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、種々の電子部品などを接続するための接続フィルムとして、異方性導電フィルム(ACF:Anisotropic Conductive Film)が知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2020-198422号公報
【特許文献2】特許6489516号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ACFは、接着材層に導電粒子が満遍なく分散されて存在しているため、導通接続に寄与する導電粒子は電極上に捕捉された一部のみとなり、電極上に捕捉された導電粒子以外の導電粒子は導通接続に寄与せず無駄が生じている。また、現在平均粒径15~20μmと比較的大きな導電粒子を規則的に配列した粒子整列型のACFが提案されているが、粒子整列型のACFにおいても、分散型ACFと同様に電極上に捕捉された導電粒子以外の導電粒子は導通接続に寄与せず導電粒子が効率良く使用されていない。ACFが貼付される基板形状や電極配列パターンに応じて、ACFを当該基板形状や当該電極配列パターンの形状に加工して提供することも提案されているが(例えば、特許文献1参照)、電極上以外の位置にある導電粒子の発生は避けられないものであった。
【0005】
また、異方導電性フィルムで接続する電子部品の電極サイズがさらに小さくなると、電極で捕捉できる導電粒子の数もさらに少なくなり、従来の異方導電性フィルムでは導通信頼性を十分に得られない場合があった。一方で、例えばカメラモジュール(CCM)用ACFの製品トレンドとしては、さらなる高画素化や高伝送化が求められ、異方導電性フィルムとしても、さらなるファインピッチ化に対応するために粒子密度を上げ、より多くの導電粒子を電極上に配置し、導通信頼性を向上するとともに、隣接する電極間において導電粒子が介在することによるショートを防止することが求められている。
【0006】
そこで、本技術は、導電粒子の効率的な使用が可能となり、且つ電子部品の電極サイズの微細化やファインピッチ化に対応でき、接続電極間の導通信頼性及び隣接電極間の絶縁性を確保できる導電性接着フィルム、導電性接着フィルムの製造方法、接続体、接続体の製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上述した課題を解決するために、本技術に係る導電性接着フィルムは、基材と、前記基材の一方の面に設けられ、導電粒子を含有する接着材層を有する導電性接着フィルムにおいて、前記接着材層に含有される前記導電粒子は、複数の前記導電粒子が凝集されてなる粒子凝集体を構成し、前記接着材層は、前記導電性接着フィルムが貼付される電子部品の電極配列に対応した所定の配列パターンで、前記粒子凝集体からなる配列要素が配列されているものである。
【0008】
また、本技術に係る導電性接着フィルムの製造方法は、基材と、前記基材の一方の面に設けられ、導電粒子を含有する接着材層を有する導電性接着フィルムの製造方法において、前記接着材層に、前記導電性接着フィルムが貼付される電子部品の電極配列に対応した所定の配列パターンで、複数の前記導電粒子が凝集されてなる粒子凝集体からなる配列要素を配列する配列工程を有し、前記配列工程は、所定の開口を有するマスクを介して前記導電粒子を前記接着材層に設ける。
【0009】
また、本技術に係る接続体は、複数の導電粒子を含有する導電性接着フィルムを介して第1の電子部品と第2の電子部品が接続された接続体において、前記導電性接着フィルムは、基材と、前記基材の一方の面に設けられ、導電粒子を含有する接着材層を有し、前記接着材層に含有される前記導電粒子は、複数の前記導電粒子が凝集されてなる粒子凝集体を構成し、前記接着材層は、前記導電性接着フィルムが貼付される前記第1の電子部品の電極配列に対応した所定の配列パターンで、前記粒子凝集体からなる配列要素が配列されているものである。
【0010】
また、本技術に係る接続体の製造方法は、複数の導電粒子を含有する導電性接着フィルムを第1の電子部品上に貼付する配置工程と、前記導電性接着フィルムを介して前記第1の電子部品と第2の電子部品とを接続させる接続工程とを有し、前記導電性接着フィルムは、基材と、前記基材の一方の面に設けられ、導電粒子を含有する接着材層を有し、前記接着材層に含有される前記導電粒子は、複数の前記導電粒子が凝集されてなる粒子凝集体を構成し、前記接着材層は、前記導電性接着フィルムが貼付される前記第1の電子部品の電極配列に対応した所定の配列パターンで、前記粒子凝集体からなる配列要素が配列されており、前記配置工程では、前記第1の電子部品の電極と前記配列要素の位置合わせを行って、前記導電性接着フィルムを前記第1の電子部品上に貼付する。
【発明の効果】
【0011】
本技術によれば、導電性接着フィルムの配列要素が導電粒子の凝集体で構成されているため、導電粒子を個々で扱う場合よりも容易に配列パターンを形成できる。また、接着剤層の特定部分に、所望のパターンで配列要素を配置することができ、導通に寄与しない無駄な導電粒子や隣接電極間にある導電粒子を減らし、ファインピッチ化においても効率よく接続電極間の導通性の向上と、隣接電極間ショートの防止を両立させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1図1(A)は、配列要素が所定の配列パターンで配列された導電性接着フィルムを示す平面図であり、図1(B)は、配列要素を構成する導電粒子凝集体を示す平面図であり、図1(C)は、導電粒子凝集体を構成する導電粒子を示す平面図である。
図2図2は、第1の電子部品の電極配列上に配列要素が位置合わせされて導電性接着フィルムが貼付された状態を模式的に示す断面図である。
図3図3は、第1の電子部品の電極配列上に配列要素が位置合わせされて導電性接着フィルムが貼付された状態を模式的に示す平面図である。
図4図4(A)及び図4(B)は、複数の配列要素からなる個片が設けられた導電性接着フィルムを示す平面図である。
図5図5(A)は図5(B)に示す第1の電子部品の電極配列に対応して配列要素が配列された導電性接着フィルムを示す平面図であり、図5(B)は矩形の貼付領域の3辺にそれぞれ端子(電極)が配列された第1~第3の端子列が形成された電子部品を示す平面図である。
図6図6(A)は接着材層に第1の電子部品の電極配列に対応した所定の配列パターンで、1つの粒子凝集体からなる配列要素が配列された導電性接着フィルムを示す平面図であり、図6(B)は接着材層が第1の電子部品の貼付領域に対応して個片化され、各個片に1つの粒子凝集体からなる配列要素が配置されている導電性接着フィルムを示す平面図である。
図7図7(A)は接着材層に第1の電子部品の電極配列に対応した所定の配列パターンで、2つの粒子凝集体からなる配列要素が配列された導電性接着フィルムを示す平面図であり、図7(B)は接着材層が第1の電子部品の貼付領域に対応して個片化されたものであり、各個片に2つの粒子凝集体からなる配列要素が配置された導電性接着フィルムを示す平面図である。
図8図8(A)は、接着材層に第1の電子部品の電極配列に対応した所定の配列パターンで、粒子凝集体が六方格子状に整列してなる配列要素が配列された導電性接着フィルムを示す平面図である。図8(B)は、図8(A)に示す導電性接着フィルムの各配列要素を構成する導電粒子凝集体の配列を示す平面図である。図8(C)は、配列要素を構成する各導電粒子凝集体を示す平面図である。
図9図9は、配列要素の面積を第1の電子部品の電極の面積よりも小さくすることで、配列要素と電極との位置合わせズレが生じた場合にも隣接電極間への粒子凝集体のはみ出しが防止されている状態を示す図であり、(A)は断面図、(B)は平面図である。
図10図10は、図6(A)(B)に示す導電性接着フィルムの配列要素(導電粒子凝集体)が電極上に配置された状態を示す図であり、(A)は位置合わせズレがなく電極の幅方向の中心に配列要素(導電粒子凝集体)が配置された状態を示す平面図であり、(B)は導電性接着フィルムの貼付位置がズレたことで、配列要素(導電粒子凝集体)が電極の幅方向にズレた状態を示す平面図である。
図11図11は、図7(A)(B)に示す導電性接着フィルムの配列要素(導電粒子凝集体)が電極上に配置された状態を示す図であり、(A)は位置合わせズレがなく電極の幅方向の中心に配列要素(2つの導電粒子凝集体)が配置された状態を示す平面図であり、(B)は導電性接着フィルムの貼付位置がズレたことで、配列要素(2つの導電粒子凝集体)が電極の幅方向にズレた状態を示す平面図である。
図12図12は、平均粒径20μmの導電粒子の凝集体により構成された配列要素の幅W1を電極の幅W2と同幅の200μmとしたときに、位置合わせズレが生じた状態を示す平面図である。
図13図13は、フィルム巻装体を模式的に示す斜視図である。
図14図14は、メタルマスクを使用して導電粒子を基材に支持された接着材層に印刷し配列要素を配列する配列工程を模式的に示す断面図である。
図15図15は、ロータリースクリーンを使用して導電粒子を基材に支持された接着材層に印刷し配列要素を配列する配列工程を模式的に示す断面図である。
図16図16は、第1の電子部品に導電性接着フィルムを配置する配置工程を示す断面図である。
図17図17は、配置工程において、接着剤層から基材が剥離された状態を示す断面図である。
図18図18は、接着剤層を介して第1の電子部品に第2の電子部品を接続する接続工程を示す断面図である。
図19図19は、接着剤層を介して第1の電子部品と第2の電子部品とを接続した接続体を示す断面図である。
図20図20(A)はカメラモジュール評価用基板を示す斜視図であり、図20(B)はカメラモジュール評価用基板の電極上に異方性導電フィルムを貼付した状態を示す斜視図であり、図20(C)は異方性導電フィルムを貼付したカメラモジュール評価用基板上にFPCを配置した状態を示す斜視図であり、図20(D)はFPCの上からシリコンラバーを介して圧着ツールで押圧する工程を示す斜視図であり、図20(E)は異方性導電フィルムによってカメラモジュール評価用基板にFPCを接続した接続体サンプルを示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本技術が適用された導電性接着フィルム、導電性接着フィルムの製造方法、接続体、接続体の製造方法について、図面を参照しながら詳細に説明する。なお、本技術は、以下の実施形態のみに限定されるものではなく、本技術の要旨を逸脱しない範囲内において種々の変更が可能であることは勿論である。また、図面は模式的なものであり、各寸法の比率等は現実のものとは異なることがある。具体的な寸法等は以下の説明を参酌して判断すべきものである。また、図面相互間においても互いの寸法の関係や比率が異なる部分が含まれていることは勿論である。
【0014】
[導電性接着フィルム]
図1(A)は、配列要素6が所定の配列パターンで配列された導電性接着フィルム1を示す平面図であり、図1(B)は、配列要素6を構成する導電粒子凝集体5を示す平面図であり、図1(C)は、導電粒子凝集体5を構成する導電粒子3を示す平面図である。
【0015】
本技術が適用された導電性接着フィルム1は、基材2と、基材2の一方の面に設けられ、導電粒子3を含有する接着材層4を有する導電性接着フィルムにおいて、接着材層4に含有される導電粒子3は、複数の導電粒子3が凝集されてなる粒子凝集体5を構成し、接着材層4は、導電性接着フィルム1が貼付される第1の電子部品10の電極配列に対応した所定の配列パターンで、粒子凝集体5からなる配列要素6が配列されている。
【0016】
導電性接着フィルム1は、基材2の長手方向に接着材層4が連続して設けられ、接着材層4に、第1の電子部品10の電極配列に対応した所定の配列パターンで、粒子凝集体5からなる配列要素6が配列されている。そして、導電性接着フィルム1は、被着体である第1の電子部品10の電極11と配列要素6の位置合わせを行って、接着材層4が第1の電子部品10上に貼付される。その後、第1の電子部品10の電極11と第2の電子部品12の電極13との位置合わせがなされた後、導電性接着フィルム1を介して第1の電子部品10と第2の電子部品12とが接続される。
【0017】
図2は、第1の電子部品10の電極配列上に配列要素6が位置合わせされて導電性接着フィルム1が貼付された状態を模式的に示す断面図である。図3は、第1の電子部品10の電極配列上に配列要素6が位置合わせされて導電性接着フィルム1が貼付された状態を模式的に示す平面図である。図2及び図3に示す導電性接着フィルム1の配列要素6は、第1の電子部品10の電極11に対応した所定の領域に導電粒子凝集体5が稠密に集合することにより形成されている。
【0018】
本技術が適用された導電性接着フィルム1によれば、貼付される第1の電子部品10の電極デザインに合わせて粒子集合体5からなる配列要素6の配列パターンをデザインする。この際、配列要素6が導電粒子3の凝集体で構成されているため、導電粒子3を個々で扱う場合よりも容易に配列パターンを形成できる。
【0019】
また、接着剤層4の特定部分に、所望のパターンで配列要素6を配置することで、効率的に第1の電子部品10の電極11上に導電粒子3を配置でき、導通に寄与しない無駄な導電粒子3や隣接電極間にある導電粒子3を減らし、あるいは無くすことができる。したがって、導電粒子3の効率的な利用を図るとともに、第1、第2の電子部品11,12の電極11,13がファインピッチ化した場合においても電極11及び電極12の接続電極間の導通性を向上させ、且つ、隣接電極間におけるショートリスクを低減することができる。
【0020】
さらに、本技術が適用された導電性接着フィルム1によれば、異方性導電接続における接続電極間の最小接続面積をより小さくすることができる。すなわち、従来、狭小化した電極同士の導通性を確保する手段としては、安定した導通を確立するのに必要な導電粒子を捕捉するために、ある程度広い電極面積が求められていたが、本技術によれば、導電粒子凝集体5を電極11上に集中して配置することで導通性を確保でき、狭小化する電極面積においても安定した導通を確立することができる。したがって、異方性導電接続における接続電極間の最小接続面積をより小さくすることができる。
【0021】
また、本技術が適用された導電性接着フィルム1によれば、導電粒子凝集体5を電極11上に集中して配置することで、接続電極間に捕捉される導電粒子3の密度を向上させることができる。これにより、接着剤層の全面に導電粒子を分散させた分散型の導電性接着フィルムや接着剤層の全面に導電粒子を均等配置させた整列型の導電性接着フィルムに比して、接続電極間の導通抵抗の低抵抗化を図ることができる。
【0022】
また、本技術では、導電性接着フィルム1の配列要素6を個々の導電粒子の単位で扱うのではなく、導電粒子3の凝集体5の単位で扱う。そのため、配列要素6を構成する導電粒子凝集体5は、個々の導電粒子3に関し高度な均一性は不要となる。したがって、導電粒子3の選択の自由度を上げることができる。例えば、導電粒子3として、はんだ粒子などの粒子径が不揃いな金属粒子も使用することができる。また、配列要素6を導電粒子凝集体5の単位で扱うことで、導電粒子3の粒径が不均一な場合でも、第1の電子部品10の電極11のパターンに対応して配列要素6を整列して配置することも容易となる。
【0023】
その他、整列型の異方性導電フィルムに倣い、導電粒子を1つ1つ所定の位置に配置することで配列パターンを形成しようとすると、電極パターンごとに個々の導電粒子の配列パターンが形成された原版の作製が必要となったり、難易度の高い微細加工が必要となったりするなど製造コストの上昇を招き、接続電極のパターンに柔軟に対応することが困難となる。しかし、本技術が適用された導電性接着フィルム1によれば、導電粒子3の凝集体5として配列要素6を扱うため、個々の導電粒子の配列させる程の微細加工は求められず、経済性の面も含め柔軟に種々の接続電極パターンに対応した配列パターンを形成できる。
【0024】
[個片化]
導電性接着フィルム1は、基材2の長手方向に接着材層4を連続して設けるほか、図4図5に示すように、第1の電子部品10の電極パターンに応じて配列要素6が配列された接着材層4が、第1の電子部品10の導電性接着フィルム1が貼付される貼付領域に対応して個片化されてもよい。図4図5に示す導電性接着フィルム1は、第1の電子部品10の貼付領域に対応した個片8が基材2の長手方向に繰り返し設けられている。各個片8は、第1の電子部品10の電極パターンに応じたパターンで配列要素6が配列されている。導電性接着フィルム1は、個片8ごとに、被着体である第1の電子部品10の電極11と配列要素6の位置合わせがなされ、接着材層4が第1の電子部品10上に貼付される。
【0025】
図4(A)(B)は、複数の配列要素6からなる個片8が設けられた導電性接着フィルム1を示す平面図である。図4(A)(B)に示す導電性接着フィルム1は、各個片8が貼付領域に1又は複数の電極11が離間して設けられた第1の電子部品10の当該電極11上に配列要素6が位置合わせされて貼付される。
【0026】
図5(A)は、図5(B)に示す第1の電子部品10の電極配列に対応して配列要素6が配列された導電性接着フィルム1を示す平面図である。図5(B)に示す第1の電子部品10は、矩形の貼付領域の3辺にそれぞれ端子(電極11)が配列された第1の端子列21、第2の端子列22又は第3の端子列23が形成されている。図5(A)に示す導電性接着フィルム1は、各個片8が、各第1の電子部品10の貼付領域に形成された第1~第3の端子列21~23の各端子に対応して配列要素6が配列され、各配列要素6が第1の電子部品10の端子上に位置合わせされて貼付される。
【0027】
なお、図5(A)に示す導電性接着フィルム1の各個片8は、矩形の貼付領域の全域ではなく、3辺に沿って接着材層4が設けられることにより、貼付領域の中央部から端子列が形成されていない1辺にかけて開放された略U字状をなす。これにより、貼付領域の中央部を接着材層4で密封することを防ぐとともに、接着材層4の使用量を削減することができる。また、貼付領域の外形と個片8の外形が、必要な部分で一致することにより、個片8の貼り合せ後の不要な樹脂の過度なはみ出しを抑制することができる。
【0028】
[配列要素]
また、配列パターンを構成する配列要素6は、複数の粒子凝集体5が稠密することによって構成されるほか、1つ又は2つの粒子凝集体5によって構成されていてもよい。図6(A)に示す導電性接着フィルム1は、接着材層4に第1の電子部品10の電極配列に対応した所定の配列パターンで、1つの粒子凝集体5からなる配列要素6が配列されている。図6(B)に示す導電性接着フィルム1は、接着材層4が第1の電子部品10の貼付領域に対応して個片化されたものであり、各個片8には、1つの粒子凝集体5からなる配列要素6が配置されている。図6(A)(B)に示す導電性接着フィルム1は、粒子凝集体5が電極11の幅方向の中心に設けられるように位置合わせされる。
【0029】
図7(A)に示す導電性接着フィルム1は、接着材層4に第1の電子部品10の電極配列に対応した所定の配列パターンで、2つの粒子凝集体5からなる配列要素6が配列されている。図7(B)に示す導電性接着フィルム1は、接着材層4が第1の電子部品10の貼付領域に対応して個片化されたものであり、各個片8には、2つの粒子凝集体5からなる配列要素6が配置されている。図7(A)(B)に示す導電性接着フィルム1は、2つ粒子凝集体5が電極11の幅方向の中心に設けられるように位置合わせされる。
【0030】
また、導電性接着フィルム1は、複数の粒子凝集体5によって配列要素6を構成する場合、各粒子凝集体5を規則的に整列してもよい。図8(A)は、接着材層4に第1の電子部品10の電極配列に対応した所定の配列パターンで、粒子凝集体5が六方格子状に整列してなる配列要素6が配列された導電性接着フィルム1を示す平面図である。図8(B)は、図8(A)に示す導電性接着フィルム1の各配列要素6を構成する導電粒子凝集体5の配列を示す平面図である。図8(C)は、配列要素6を構成する各導電粒子凝集体5を示す平面図である。図8に示す導電性接着フィルム1においても、接着材層4を第1の電子部品10の貼付領域に対応して個片化してもよい。図8(B)に示す構成の他、前述した図4(A)(B)に示す構成においても、配列要素6を構成する導電粒子凝集体5を整列させてもよい。
【0031】
なお、配列要素6の面積は、第1の電子部品10の電極の面積以下としてもよい。配列要素6は、後述するマスク33の開口34を介して接着材層4に導電粒子凝集体5が充填又は整列されることにより形成される。すなわち、配列要素6は、マスク33の開口34の面積や形状によってその最大面積や形状が規定されることとなり、例えば矩形状の電極11に対応して開口34を電極11と同一の矩形状に開口することにより、電極11と同一面積、同一形状の配列要素6が形成され、開口34を電極11よりも小さくすることで電極面積より小さい面積の配列要素6が形成される。しがって配列要素6の面積とは、マスク33の開口34によって規定される最大面積をいう。
【0032】
そして、配列要素6の面積は、第1の電子部品10の電極11の面積以下とすることにより、配列要素6と電極との位置合わせズレに対する許容性を付与することができる。すなわち、導電性接着フィルム1を第1の電子部品10の貼付領域に貼付する際には、第1の電子部品10の電極11と配列要素6の位置合わせを行うが、位置合わせズレが生じると、配列要素6を構成する導電粒子凝集体5が隣接電極間スペースにはみ出し、はみ出し量によっては隣接電極間のショートを引き起こす恐れが生じる。
【0033】
そこで、配列要素6の面積は、第1の電子部品10の電極11の面積以下とすることにより、配列要素6と電極11との位置合わせズレが生じた場合にも、導電粒子凝集体5が隣接電極間スペースにはみ出すことを防止し、あるいははみだし量を抑えることができ、隣接電極間のショートのリスクを低減することができる。また、導電粒子凝集体5により配列要素6を構成しているため、一部の導電粒子凝集体5が隣接電極間スペースにはみ出したとしても、電極11上に位置する導電粒子凝集体5によって十分な接続電極間の導通性を確保することができる。
【0034】
図9は、配列要素6の面積を第1の電子部品10の電極11の面積よりも小さくすることで、配列要素6と電極11との位置合わせズレが生じた場合にも隣接電極間への粒子凝集体5のはみ出しが防止されている状態を示す図であり、(A)は断面図、(B)は平面図である。
【0035】
図10は、図6(A)(B)に示す導電性接着フィルム1の配列要素6(導電粒子凝集体5)が電極11上に配置された状態を示す図であり、(A)は位置合わせズレがなく電極11の幅方向の中心に配列要素6(導電粒子凝集体5)が配置された状態を示す平面図であり、(B)は導電性接着フィルム1の貼付位置がズレたことで、配列要素6(導電粒子凝集体5)が電極11の幅方向にズレた状態を示す平面図である。
【0036】
図11は、図7(A)(B)に示す導電性接着フィルム1の配列要素6(導電粒子凝集体5)が電極11上に配置された状態を示す図であり、(A)は位置合わせズレがなく電極11の幅方向の中心に配列要素6(2つの導電粒子凝集体5)が配置された状態を示す平面図であり、(B)は導電性接着フィルム1の貼付位置がズレたことで、配列要素6(2つの導電粒子凝集体5)が電極11の幅方向にズレた状態を示す平面図である。
【0037】
図10(B)、図11(B)のいずれも、隣接電極間への粒子凝集体5のはみ出し量が抑制され、隣接電極間のショートが防止されている。
【0038】
また、配列パターンにおける配列要素6の配列方向を配列要素6の幅方向とし、第1の電子部品10の電極配列における電極11の配列方向を電極11の幅方向としたときに、配列要素6の幅W1を、電極11の幅W2の40%以上100%以下とすることが好ましい。配列要素6の幅W1が電極11の幅W2の100%の状態とは、配列要素6の幅が電極11の幅と同じである状態であり、100%を超えると、少しの位置合わせズレによっても隣接電極間ショートを引き起こすリスクが生じる。図12は、平均粒径20μmの導電粒子3の凝集体5により構成された配列要素6の幅W1を電極11の幅W2と同幅の200μmとしたときに、位置合わせズレが生じた状態を示す平面図である。隣接電極間のスペースSが200μmとしたとき、接続電極間の導通性の確保及び隣接電極間のショート防止上、若干(160μm程度)のズレが許容されている。
【0039】
また、配列要素6の幅W1が電極11の幅W2の40%の状態とは、例えば図6(A)(B)及び図7(A)(B)に示す導電性接着フィルム1において、導電粒子凝集体5(導電粒子3の平均粒径20μm)の粒径を80μmとし、第1の電子部品10の電極11の幅が200μmとした場合が該当する。電極11の幅方向の中心に導電粒子凝集体5を配置した状態を位置合わせズレの無い理想的な状態としたときに(図10(A)、図11(A)参照)、電極11の幅の半分(100μm)程度の位置合わせズレが生じた場合にも、導電粒子凝集体5の一部が電極11上に有り、接続電極間の導通を確保でき、且つ隣接電極間のショートを防止できる。
【0040】
[導電性接着フィルム]
以下、導電性接着フィルム1の各構成について、具体的に説明する。上述したように、導電性接着フィルム1は、基材2と、基材2の一方の面に設けられ、導電粒子3を含有する接着材層4を有する。また、接着材層4に含有される導電粒子3は、複数の導電粒子3が凝集されてなる粒子凝集体5を構成する。
【0041】
[基材]
導電性接着フィルム1は、ロール状に巻き回され、フィルム巻装体30として提供される。図13は、フィルム巻装体を模式的に示す斜視図である。図13に示すように、フィルム巻装体30は、テープ状の基材2と、基材2上に形成された接着剤層4とを備える導電性接着フィルム1を巻芯31に巻装してなる。巻芯31は、リールを回転させるための回転軸が挿入される軸穴を有し、導電性接着フィルム1の長手方向の一方の端部を接続して導電性接着フィルム1を巻回する。フィルム巻装体30に巻装される導電性接着フィルム1の長さは、特に限定されることはないが、長さの下限は5m以上、10m以上、50m以上であり、長さの上限は5000m以下、3000m以下、1000m以下のものを好適に用いることができる。
【0042】
基材2は、テープ状に成型され、接着剤層4を支持する支持フィルムである。基材2としては、例えば、PET(Poly Ethylene Terephthalate)、OPP(Oriented Polypropylene)、PMP(Poly-4-methylpentene-1)、PTFE(Polytetrafluoroethylene)などが挙げられる。また、基材2は、少なくとも接着剤層4側の面が例えばシリコーン樹脂により剥離処理されたものを好適に用いることができる。
【0043】
基材2の厚みは、特に限定されるものではない。基材2の厚みの下限は、接着剤層4と分離する上で10μm以上が好ましく、25μm以上であることがより好ましく、38μm以上であることが更により好ましい。基材2の厚みの上限は、厚すぎると過度に接着剤層4に圧力がかかりすぎることが懸念されるため、200μm以下であることが好ましく、100μm以下であることがより好ましく、75μm以下であることが更により好ましい。50μm以下としてもよい。
【0044】
また、基材2の幅は、特に限定されるものではない。基材2の幅の下限は、巻き回す上で1mm以上が好ましく、2mm以上であることがより好ましく、4mm以上であることが更により好ましい。基材の幅の上限は、大きすぎると持ち運びや取り扱いが困難となることが懸念されるため、250mm以下でもよく、120mm以下であることが好ましく、60mm以下であることがより好ましく、10mm以下であることが更により好ましい。基材2の幅は、配列要素6の配列パターンから、適宜調整すればよい。なお、生産性の都合からは、基材2の幅と接着剤層4の幅とが同幅とされ、幅方向の端部が揃っていることが好ましい。
【0045】
[接着材層]
基材2に支持される接着剤層4は、第1の電子部品10と第2の電子部品との導通接続に使用される接続フィルムである。接着剤層4の硬化型としては、特に制限はなく、熱硬化型、光硬化型、光熱併用硬化型などが挙げられる。また、接着剤層4は、熱可塑性樹脂を用いたホットメルト型であってもよい。
【0046】
以下、絶縁性バインダー中に導電粒子3の凝集体5が含まれる異方性導電フィルムを例に挙げて説明する。異方性導電フィルムの厚みの下限は、例えば導電粒子径と同じであってもよく、好ましくは導電粒子径の1.3倍以上もしくは10μm以上とすることができる。また、異方性導電フィルムの厚みの上限は、例えば40μm以下もしくは導電粒子径の2倍以下とすることができる。また、異方性導電フィルムは、導電粒子3を含有していない絶縁性接着剤層や粘着剤層を積層してもよく、その層数や積層面は、対象や目的に合わせて適宜選択することができる。また、絶縁性接着剤層や粘着剤層の絶縁性樹脂としては、異方性導電フィルムと同様のものを使用することができる。上述したように、導電粒子凝集体5は樹脂中に分散していてもよく、整列されていてもよい。また、導電粒子凝集体5が樹脂中に分散していている場合、稠密に接触していてもよく、個々に非接触で離間していてもよい。
【0047】
絶縁性バインダー(絶縁性樹脂)は、公知の絶縁性バインダーを用いることができる。硬化型としては、熱硬化型、光硬化型、光熱併用硬化型などが挙げられる。例えば、(メタ)アクリレート化合物と光ラジカル重合開始剤とを含む光ラジカル重合型樹脂組成物、(メタ)アクリレート化合物と熱ラジカル重合開始剤とを含む熱ラジカル重合型樹脂組成物、エポキシ化合物と熱カチオン重合開始剤とを含む熱カチオン重合型樹脂組成物、エポキシ化合物と熱アニオン重合開始剤とを含む熱アニオン重合型樹脂組成物などが挙げられる。また、公知の粘着剤組成物を用いてもよい。なお、ホットメルト型の場合は特開2014-060025号公報の組成物を使用することができる。
【0048】
以下、具体例として、膜形成樹脂と、エラストマーと、(メタ)アクリルモノマーと、重合開始剤と、シランカップリング剤とを含有する熱ラジカル重合型の絶縁性バインダーを挙げて説明する。なお、(メタ)アクリルモノマーとは、アクリルモノマー、及びメタクリルモノマーのいずれも含む意味である。
【0049】
膜形成樹脂としては、特に制限はなく、例えば、フェノキシ樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、飽和ポリエステル樹脂、ウレタン樹脂、ブタジエン樹脂、ポリイミド樹脂、ポリアミド樹脂、ポリオレフィン樹脂などが挙げられる。膜形成樹脂は、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。これらの中でも、製膜性、加工性、接続信頼性の点からフェノキシ樹脂を用いることが特に好ましい。フェノキシ樹脂は、ビスフェノールAとエピクロルヒドリンより合成される樹脂であって、適宜合成したものを使用してもよいし、市販品を使用してもよい。膜形成樹脂の含有量としては、特に制限はなく、例えば、10質量%~60質量%であることが好ましい。
【0050】
エラストマーとしては、特に制限はなく、例えば、ポリウレタン樹脂(ポリウレタン系エラストマー)、アクリルゴム、シリコーンゴム、ブタジエンゴムなどが挙げられる。
【0051】
(メタ)アクリルモノマーとしては、特に制限はなく、例えば、単官能(メタ)アクリルモノマーであっても、2官能以上の多官能(メタ)アクリルモノマーであってもよい。重合体の応力緩和の観点から、絶縁性バインダー中の(メタ)アクリルモノマーのうち、80質量%以上が単官能(メタ)アクリルモノマーであることが好ましい。
【0052】
また、接着性の観点から、単官能(メタ)アクリルモノマーは、カルボン酸を有することが好ましい。また、カルボン酸を有する単官能(メタ)アクリルモノマーの分子量は、100~500であることが好ましく、200~350であることがより好ましい。また、カルボン酸を有する単官能(メタ)アクリルモノマーの絶縁性バインダーにおける含有量は、3質量%~20質量%であることが好ましく、5質量%~10質量%であることがより好ましい。
【0053】
重合開始剤としては、熱圧着時の所定温度で(メタ)アクリルモノマーを硬化できるものであれば特に制限はなく、例えば、有機過酸化物などが挙げられる。有機過酸化物としては、例えばラウロイルパーオキサイド、ブチルパーオキサイド、ベンジルパーオキサイド、ジラウロイルパーオキサイド、ジブチルパーオキサイド、パーオキシジカーボネート、ベンゾイルパーオキサイドなどが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。重合開始剤の絶縁性バインダーにおける含有量は、特に制限はなく、例えば0.5質量%~15質量%であることが好ましい。
【0054】
シランカップリング剤としては、特に制限はなく、例えば、エポキシ系シランカップリング剤、アクリル系シランカップリング剤、チオール系シランカップリング剤、アミン系シランカップリング剤などが挙げられる。シランカップリング剤の絶縁性バインダーにおける含有量は、特に制限はなく、例えば0.1質量%~5.0質量%であることが好ましい。
【0055】
[導電粒子]
導電粒子3としては、公知の異方性導電フィルムにおいて使用されているものを適宜選択して使用することができる。例えば、ニッケル、銅、銀、金、パラジウムなどの金属粒子、ポリアミド、ポリベンゾグアナミン等の樹脂粒子の表面をニッケルなどの金属で被覆した金属被覆樹脂粒子等を挙げることができる。表面が、導通性能を阻害しない程度に、絶縁処理されていてもよい。また、表面形状に突起を有していてもよい。また、導電粒子3としては、はんだ粒子などの特性はいいが、粒径ばらつきが大きい粒子を使用してもよい。これは、本技術に係る導電性接着フィルム1が、導電粒子3を単体で扱うのではなく、導電粒子凝集体5として扱うことによる。はんだ粒子の粒子サイズは特に制限はないが、type5(粒子径15~25μm)が好ましい。また、はんだ粒子の種類も、特に制限はなく、例えばスズ、スズ-ビスマス、スズ-ビスマス-銅、インジウム、スズ-インジウム等、各種はんだ粒子を用いることができる。
【0056】
導電粒子3の粒子径は、特に制限されないが、粒子径の下限は、2μm以上であることが好ましく、粒子径の上限は、例えば、接着剤層4の厚みの観点から、例えば50μm以下であることが好ましく、20μm以下であることがさらに好ましい。なお、導電粒子3の粒子径は、画像型粒度分布計(一例として、FPIA-3000:マルバーン社製)により測定した値とすることができる。この個数は1000個以上、好ましくは2000個以上であることが好ましい。
【0057】
[粒子凝集体/配列要素]
導電粒子3は、複数個が凝集することにより導電粒子凝集体5を構成する。導電粒子凝集体5は、後述するマスク33に導電粒子3の平均粒径の2倍以上大きい開口径を有する開口34を設け、当該開口34を介して導電粒子3を接着剤層4に充填することにより形成することができる。例えば、直径80μmの開口径を有する開口34に、直径20μmの導電粒子3を詰めることで、直径80μmの導電粒子凝集体5を得る。
【0058】
導電粒子凝集体5の凝集体径は、特に制限されないが、下限は導電粒子3の粒子径の2倍以上が好ましい。また、導電粒子凝集体5の凝集体径の上限は、接続体における導電粒子凝集体5の捕捉効率及び隣接電極間の絶縁抵抗の観点から、3倍以下であることが好ましく、4倍以下であることがさらに好ましい。例えば粒子径が2μmの場合、凝集体径の下限は4μm以上であることが好ましく、凝集体径の上限は、6μm以下であることが好ましく、8μm以下であることがさらに好ましい。また、粒子径が20μmの場合、凝集体径の下限は40μm以上であることが好ましく、凝集体径の上限は60μm以下であることが好ましく、80μm以下であることがさらに好ましい。なお、導電粒子凝集体5の凝集体径も、導電粒子3の粒子径と同様の方法で測定することができる。測定個数は5個以上が好ましく、10個以上であることがさらに好ましい。
【0059】
上述したように、導電粒子凝集体5は、1又は複数が集まることによって配列要素6を構成する。各配列要素6における導電粒子凝集体5は、稠密又は個々に離間して分散されていてもよく、整列されていてもよい。整列パターンは特に制限はなく、縞状でもよく、格子状でもよいが、なかでも六方格子状が好ましい。
【0060】
また、配列要素6の配列パターンは、第1の電子部品10の電極11の配列パターンに対応して、電極11の配列パターンと同じ方向、同じピッチで配列される。そして、配列要素6は、第1の電子部品10の電極11と位置合わせされることにより、多数の導電粒子凝集体5が電極11全面に重畳され、もしくは1又は複数の導電粒子凝集体5が電極11内に分散又は整列して配置される。
【0061】
[導電性接着フィルムの製造工程]
次いで、導電性接着フィルム1の製造工程について説明する。導電性接着フィルム1の製造工程は、基材2と、基材2の一方の面に設けられ、導電粒子3を含有する接着材層4を有する導電性接着フィルムの製造方法において、接着材層4に、導電性接着フィルム1が貼付される第1の電子部品10の電極配列に対応した所定の配列パターンで、複数の導電粒子3が凝集されてなる粒子凝集体5からなる配列要素6を配列する配列工程を有する。配列工程では、所定の開口34を有するマスク33を介して導電粒子3を接着材層4に印刷することにより配列要素6を設ける。
【0062】
接着材層4は、上述した絶縁性バインダー等の接着剤樹脂組成物をPETフィルム等の基材2上に塗布し、所定の温度下で乾燥させることにより、基材2上に設けることができる。
【0063】
基材2に支持された接着材層4には、導電粒子凝集体5からなる配列要素6が所定の配列パターンで配列される。この配列工程で用いるマスク33としては、公知のメタルマスク33aを使用することができる(図14参照)。マスク33の開口34の開口径は、導電粒子3の平均粒径の200%以上とすることにより、当該開口34を介して導電粒子3を接着剤層4に充填することにより導電粒子凝集体5を形成することができる。また、マスク33としてロータリースクリーン33bを用いることにより、接着材層4の長手方向に連続して配列要素6を形成することができる(図15参照)。
【0064】
導電粒子凝集体5を配列させる開口34の加工は容易且つ低コストで行うことが可能であり、種々の第1の電子部品10の電極配列に対応した所定の配列パターンに対応したマスク33を用意することができる。また、ファインピッチ化した電極パターンに対する位置合わせズレを見越して配列要素6の面積を調整することも容易となる。
【0065】
配列要素6が設けられた接着材層4を個片化する場合は、導電性接着フィルム1をハーフカット抜き加工、打ち抜き加工、パンチプレス加工などにより、所定の個片8を形成する。また、基材2上の接着材層4のみを加工して取り除いてもよい。更にカバーフィルムを、接着材層4上に設ける工程を設けてもよい。そのため、カバーフィルムを支持体(基材2の代替)として、基材2と接着材層4に上記の加工を施してもよい。上述したように、基材2は使用時に接着材層4から剥離(分離)するものであるため、加工技術の難易度は高いものとなる。カバーフィルムの材質は、上述した基材2と同じでもよい。厚みは、基材2より薄い方が好ましい。
【0066】
[接続体]
本技術が適用された接続体40は、導電性接着フィルム1を介して第1の電子部品10と第2の電子部品12が接続されたものである。本明細書では、互いに接合される第1、第2の電子部品10,12のうち、導電性接着フィルム1が貼付される電子部品を第1の電子部品10とする。
【0067】
[第1の電子部品/第2の電子部品]
第1の電子部品10及び第2の電子部品12は、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。第1の電子部品10としては、例えば、セラミック基板、リジット基板、フレキシブル基板(FPC:Flexible Printed Circuits)、ガラス基板、プラスチック基板、樹脂多層基板、IC(Integrated Circuit)モジュール、ICチップ等が挙げられる。また、第2の電子部品12としては、例えば、セラミック基板、リジット基板、フレキシブル基板(FPC:Flexible Printed Circuits)、ガラス基板、プラスチック基板、樹脂多層基板などが挙げられる。
【0068】
なお、本技術に係る接続体及びその製造方法は、例えば、半導体装置(ドライバICの他、光学素子や熱電変換素子、光電変換素子など半導体を利用したものは全て含む)、表示装置(モニター、テレビ、ヘッドマウントディスプレイなど)、携帯機器(タブレット端末、スマートフォン、ウェアラブル端末など)、ゲーム機、オーディオ機器、撮像装置(カメラモジュールなどのイメージセンサを用いるもの)、車両(移動装置)用電装実装、医療機器、センサーデバイス(タッチセンサー、指紋認証、虹彩認証など)、家電製品などの電気的接続を用いるあらゆる電子機器及びその製造方法に用いることができる。
【0069】
[接続体の製造工程]
接続体40の製造工程は、導電性接着フィルム1を第1の電子部品10上に貼付する配置工程と、導電性接着フィルム1上に第2の電子部品12を配置し、導電性接着フィルム1を介して第1の電子部品10と第2の電子部品12とを接続させる接続工程とを有する。
【0070】
[配置工程]
図16は、第1の電子部品10に導電性接着フィルム1を配置する配置工程を示す断面図であり、図17は、配置工程において、接着剤層4から基材2が剥離された状態を示す断面図である。配置工程では、第1の電子部品10の電極11と配列要素6の位置合わせを行って、導電性接着フィルム1の接着剤層4を第1の電子部品10上に貼付する。例えば、貼付装置を用いて、導電性接着フィルム1の基材2側から押圧し、ステージ上の第1の電子部品10の実装面に接着剤層4を貼り付ける。接着剤層4が個片化されている等、1つの基材に複数設けられている場合は、複数の個片8を一括して電子部品10上に貼付してもよく、個片8毎に貼付してもよい。接着剤層4が転着された導電性接着フィルム1は、基材2のみとなって巻き取られる。
【0071】
[接続工程]
次いで、接着剤層4上に第2の電子部品12を配置し、導電性接着フィルム1を介して第1の電子部品10と第2の電子部品12とを接続させる(図2参照)。第2の電子部品12は、第1の電子部品10の電極11の配列パターンに対応して、電極13が配列されている。接続工程では、第2の電子部品12の電極13と、第1の電子部品10の電極11とを位置合わせし、接着剤層4を介して第1の電子部品10に第2の電子部品12を搭載する。
【0072】
図18は、接着剤層4を介して第1の電子部品10に第2の電子部品12を接続する接続工程を示す断面図である。図18に示すように、接続工程では、例えば、緩衝材41を介して、第1の電子部品10の電極11及び第2の電子部品12の電極13上を圧着ツール42で押圧する。また、接着剤層4の硬化型に応じて、加熱、光照射などを行い、接着剤層4を硬化させ、第1の電子部品10と第2の電子部品12とが接続される。
【0073】
図19は、接着剤層4が硬化した硬化膜4aを介して第1の電子部品10と第2の電子部品12とを接続した接続体40を示す断面図である。図19に示すように、接続体40は、第1の電子部品10の電極11と第2の電子部品12の電極13が、配列要素6を構成する導電性粒子凝集体5を介して電気的に接続されるとともに、隣接電極間にはショートを引き起こすほどの導電性粒子凝集体5が存在していない。
【実施例0074】
<第1の実施例>
以下、本技術の実施例について説明する。第1の実施例では、導電性接着フィルムの接着剤層として異方性導電フィルムを用いて接続体を作製し、異方性導電フィルムと評価用基板との位置合わせズレが無い場合と位置合わせズレが生じた場合の各導通特性(接続電極間の導通抵抗、隣接電極間の絶縁抵抗)について測定、評価した。
【0075】
[接続体の作製]
図20に示すように、異方性導電フィルム4を介して、カメラモジュールの評価用基板10(セラミック基板、幅6.0mm、端子列の実装面の幅1.0mm、電極幅200μm、電極長さ500μm、ライン:スペース=1:1、端子厚み10μm、Ni(下地)/Au(表面)メッキ、キャビティ構造有、端子列は対向する2辺にある)と、FPC12(ポリイミドフィルム、400μmピッチ、ライン:スペース=1:1、端子厚み12μm、Ni(下地)/Au(表面)メッキ)とを熱圧着し、接続体40を作製した。熱圧着は、FPC側から厚み200μmのシリコンラバー41を介してツール42を押し下げ、温度:130℃、圧力:1MPa、時間:6secの条件で行った。
【0076】
図20(A)は評価用基板10を示す斜視図であり、図20(B)は評価用基板10の電極11上に異方性導電フィルム4を貼付した状態を示す斜視図であり、図20(C)は異方性導電フィルム4を貼付した評価用基板10上にFPC12を配置した状態を示す斜視図であり、図20(D)はFPC12の上からシリコンラバー41を介して圧着ツール42で押圧する工程を示す斜視図であり、図20(E)は異方性導電フィルム4によって評価用基板10にFPC12を接続した接続体サンプル40を示す斜視図である。
【0077】
[導通特性の評価]
デジタルマルチメータ(横河電機社製)を用いて、4端子法にて電流1mAを流したときの接続体の接続電極間の導通抵抗値及び隣接電極間の絶縁抵抗値抵抗値を測定した。測定は、接続初期の接続体、及び、温度121℃、湿度100%、気圧2atm、24hの条件の信頼性評価試験後の接続体について実施した。接続体の10個のサンプルの導通抵抗値を測定し(N=10)、最も高い抵抗値のサンプルを用いて評価した。
【0078】
<実施例1>
[異方性導電フィルムの作製]
平均粒径20μmの樹脂コア導電粒子(Ni(下地)/Au(表面)メッキ、樹脂コア)5質量部と、以下の各成分からなる絶縁性バインダー95質量部を用意した。絶縁性バインダーを遊星式撹拌装置(製品名:あわとり錬太郎、THINKY社製)に投入し、1分間撹拌して接着剤組成物を作製した。そして、接着剤組成物を厚み50μmのPETフィルム上に塗布し、80℃のオーブンで5分間乾燥させ、接着剤組成物からなる接着剤層をPETフィルム上に形成し、幅6.0mm、厚さ25μmの絶縁性接着剤層を作製した。この絶縁性接着剤層に、評価用基板10に形成された電極パターンに応じた開口パターンを備えたメタルマスクを介して導電粒子を稠密に集合配置し、平均粒径80μmの導電粒子凝集体からなる配列要素を形成した。実施例1では、評価用基板10に形成された電極11と同形状の配列要素6を、評価用基板10の電極パターンに対応して配列した異方性導電フィルムを用いた。
【0079】
絶縁性バインダーは、フェノキシ樹脂(商品名:YP-50、新日化エポキシ製造株式会社製)47質量部、単官能モノマー(商品名:M-5300、東亞合成株式会社製)3質量部、ウレタン樹脂(商品名:UR-1400、東洋紡績株式会社製)25質量部、ゴム成分(商品名:SG80H、ナガセケムテックス株式会社製)15質量部、シランカップリング剤(商品名:A-187、モメンティブ・パフォーマンス・マテリアルズ・ジャパン製)2質量部、及び有機過酸化物(商品名:ナイパーBW、日油株式会社製)3質量部を、固形分が50質量%となるように含有する、酢酸エチルとトルエンとの混合溶液とした。
【0080】
<実施例2>
実施例2では、図6(A)に示すように、評価用基板10に形成された電極11に対して1つの導電粒子凝集体(平均粒径80μm)が電極幅の中心に配置されるように配列要素6を形成、配列した他は、実施例1と同じ条件で異方性導電フィルムを作製した。
【0081】
<実施例3>
実施例3では、図7(A)に示すように、評価用基板10に形成された電極11に対して2つの導電粒子凝集体(平均粒径80μm)が電極幅の中心に電極長さ方向に並列して配置されるように配列要素6を形成、配列した他は、実施例1と同じ条件で異方性導電フィルムを作製した。
【0082】
<比較例1>
比較例1では、平均粒径20μmの樹脂コア導電粒子(Ni(下地)/Au(表面)メッキ、樹脂コア)5質量部と、以下の各成分からなる絶縁性バインダー95質量部とを遊星式撹拌装置(製品名:あわとり錬太郎、THINKY社製)に投入し、1分間撹拌して異方性導電接着組成物を作製した。そして、異方性導電接着組成物を厚み50μmのPETフィルム上に塗布し、80℃のオーブンで5分間乾燥させ、異方性導電接着組成物からなる接着剤層をPETフィルム上に形成し、幅6.0mm、厚さ25μmの分散型異方性導電フィルムを作製した。導電粒子は、粒子密度が300個/mmとなるように配合した。絶縁性バインダーは、実施例1と同じである。
【0083】
<比較例2>
比較例2では、六方格子状に凹部が配列された樹脂板を作製し、当該凹部に導電粒子(平均粒径20μm)を充填し、実施例1と同様に作成した絶縁性接着剤層に導電粒子を転着することにより、全面にわたって導電粒子が六方格子状に配列した整列型異方性導電フィルムを作製した。導電粒子は、粒子密度が600個/mmとなるように整列されている。
【0084】
<比較例3>
比較例3では、実施例1と同様の手法により、絶縁性接着剤層の全面にわたって平均粒径20μmの導電粒子の凝集体(平均粒径80μm)が六方格子状に配列された異方性導電フィルムを作製した。
【0085】
[接続初期]
先ず、接続体を作製した直後における接続初期の導通特性の評価結果について説明する。
【0086】
[隣接電極間の絶縁抵抗(ズレなし)]
【表1】
【0087】
表1は、隣接電極間スペースを20μm、40μm、90μm、200μmとしたときの隣接電極間ショートの発生の有無を測定した結果を示す。異方性導電フィルムと評価用基板10の隣接電極間の位置合わせズレは発生していない。絶縁抵抗が10Ω以上を○(ショートなし)、10Ω未満を×(ショートあり)とした。
【0088】
表1に示すように、実施例1~3に係る接続体は、評価用基板10の電極11上に配列要素を配置することができ、隣接電極間スペースの広狭によらず隣接電極間ショートは発生しなかった。一方、異方性導電フィルムとして、導電粒子が全面に分散された異方性導電接着組成物からなる比較例1では、隣接電極間スペースが40μm以下でショートが発生した。また、異方性導電フィルムとして、導電粒子が接着剤層の全面に高密度で整列された比較例2では、隣接電極間スペースが粒子径以下の20μmでショートが発生した。さらに、導電粒子凝集体が接着剤層の全面に整列された比較例3では、隣接電極間スペースが40μm以下と、導電粒子凝集体径よりも小さくなるとショートが発生した。
【0089】
[接続電極間の導通抵抗]
【表2】
【0090】
表2は、異方性導電フィルムと評価用基板の電極間の位置合わせズレを発生させて形成した接続体における接続電極間の導通抵抗を測定した結果を示す。導通抵抗が50mΩ以下を○○(優)、50mΩ超100mΩ以下を○(良)、100mΩ超120mΩ以下を△(可)、120mΩ超を×(不良)とした。なお、比較例1~3は、接着剤層の全面に導電粒子又は導電粒子凝集体が分散又は整列されているため、実施例1~3のように配列要素と評価用基板の電極との位置を合わせる必要がなく、したがって位置合わせズレというものも生じないため、参考例としての意味合いとなる。
【0091】
表2に示すように、実施例1では、200μm幅で形成した配列要素が200μmまでズレが生じると導電粒子凝集体が捕捉されず、導通不良となった。実施例2では、200μm幅の電極の幅方向の中心から100μmまでズレが生じると導電粒子凝集体の半分程度しか捕捉されず導通抵抗が高くなり、120μmまでズレが生じると導電粒子凝集体が捕捉されず、導通不良となった。実施例3では、1つの電極に対して2つの導電粒子凝集体が配置されるように配列要素を構成しているため、120μmのズレまでは導通性を確保できていたが、140μmまでズレが生じると導電粒子凝集体が捕捉されず、導通不良となった。
【0092】
[隣接電極間の絶縁抵抗(ズレあり)]
【表3】
【0093】
表3は、異方性導電フィルムと評価用基板の電極間の位置合わせズレを発生させて形成した接続体における隣接電極間の絶縁抵抗を測定した結果を示す。絶縁抵抗が10Ω以上を○(ショートなし)、10Ω未満を×(ショートあり)とした。なお、比較例1~3は、接着剤層の全面に導電粒子又は導電粒子凝集体が分散又は整列されているため、実施例1~3のように配列要素と評価用基板の電極との位置を合わせる必要がなく、したがって位置合わせズレというものも生じないため、参考例としての意味合いとなる。
【0094】
表3に示すように、実施例1では200μm幅で形成した配列要素が、隣接電極間スペース幅と同じ200μmまでズレが生じるとショートが発生した。実施例2及び実施例3では、200μmまでズレが生じてもショートは発生しなかった。
【0095】
[信頼性試験]
次いで、信頼性試験後における接続体の導通特性の評価結果について説明する。信頼性試験の条件は、温度121℃、湿度100%、気圧2atm、24hとし、接続初期と同様に、接続体における接続電極間の導通抵抗値及び隣接電極間の絶縁抵抗値を測定した。評価基準は、いずれも、接続初期と同じである。
【0096】
[隣接電極間の絶縁抵抗(ズレなし)]
【表4】
【0097】
表4は、隣接電極間スペースを20μm、40μm、90μm、200μmとしたときの隣接電極間ショートの発生の有無を測定した結果を示す。異方性導電フィルムと評価用基板の隣接電極間の位置合わせズレは発生していない。
【0098】
表4に示すように、実施例1~3に係る接続体は、評価用基板の電極上に配列要素を配置することができ、信頼性試験後においても、隣接電極間スペースの広狭によらずショートは発生しなかった。一方、比較例1~3に係る接続体は、接続初期と同様にショートが発生した。また、導電粒子凝集体が接着剤層の全面に整列された比較例3では、隣接電極間スペースが導電粒子凝集体径よりも大きな90μmでもショートが発生し、信頼性試験後に隣接電極間の絶縁性が悪化した。
【0099】
[接続電極間の導通抵抗]
【表5】
【0100】
表5は、異方性導電フィルムと評価用基板の電極間の位置合わせズレを発生させて形成した接続体における接続電極間の導通抵抗を測定した結果を示す。なお、表5においても、比較例1~3は参考例としての意味合いとなる。
【0101】
表5に示すように、実施例1では、接続初期と同様に、200μm幅で形成した配列要素が200μm未満のズレでは導電粒子凝集体が捕捉されたが、200μmまでズレが生じると導電粒子凝集体が捕捉されず、導通不良となった。実施例2では、200μm幅の電極の幅方向の中心から100μm未満のズレでは導電粒子凝集体が捕捉されたが、100μm以上のズレが生じると導電粒子凝集体が捕捉されず、導通不良となった。実施例3では、120μm未満のズレでは導電粒子凝集体が捕捉されたが、120μm以上のズレが生じると導電粒子凝集体が捕捉されず、導通不良となった。
【0102】
[隣接電極間の絶縁抵抗(ズレあり)]
【表6】
【0103】
表6は、異方性導電フィルムと評価用基板の電極間の位置合わせズレを発生させて形成した接続体における隣接電極間の絶縁抵抗を測定した結果を示す。なお、表6においても、比較例1~3は参考例としての意味合いとなる。
【0104】
表6に示すように、実施例1では200μm幅で形成した配列要素が、140μm以下のズレまではショートが発生しなかったが、180μmまでズレが生じるとショートが発生した。実施例2及び実施例3では、200μmまでズレが生じてもショートは発生しなかった。
【0105】
<第2の実施例>
次いで、第2の実施例について説明する。第2の実施例では、導電粒子及び導電粒子の配合量が異なる異方性導電フィルムを作製し、この異方性導電フィルムによって評価用基板10にFPC12を接続した接続体サンプル40を作製し、導通性能(接続電極間の導通抵抗、隣接電極間の絶縁抵抗)を測定、評価した。評価用基板10及びFPC12は、第1の実施例と同じものである。
【0106】
接続電極間の導通抵抗の測定は、接続初期と信頼性試験後に実施した。信頼性試験の条件は第1の実施例と同じである。また、接続電極間の導通抵抗の測定方法及び評価基準は、第1の実施例と同じである。隣接電極間の絶縁抵抗は、隣接電極間スペースを20μm、40μm、80μmとしたときに、それぞれ隣接電極間ショートの発生の有無を測定した。また、隣接電極間の絶縁抵抗の測定方法及び評価基準は、第1の実施例と同じである。
【0107】
<実施例4>
実施例4では、上述した実施例1と同じ異方性導電フィルムを用いて評価用基板10にFPC12を接続した接続体サンプル40を作製した。配列要素6と電極11との位置ずれはない。接続工程は、ツールの熱加圧条件を130℃、2MPa、6秒とした他は第1の実施例と同じである。
【0108】
<実施例5>
実施例5では、導電粒子として、平均粒径20μmのはんだ粒子を使用した他は、実施例4と同じ条件で接続体サンプル40を作製した。
【0109】
<比較例4>
比較例4では、導電粒子の粒子密度が150個/mmとなるように配合した他は、上述した比較例1と同じ異方性導電フィルムを用いて接続体サンプル40を作製した。接続工程は、ツールの熱加圧条件を130℃、2MPa、6秒とした他は第1の実施例と同じである。
【0110】
<比較例5>
比較例5では、比較例1と同じ異方性導電フィルムを用いて接続体サンプル40を作製した。接続工程は、ツールの熱加圧条件を130℃、2MPa、6秒とした他は第1の実施例と同じである。
【0111】
<比較例6>
比較例6では、導電粒子の粒子密度が600個/mmとなるように配合した他は、比較例1と同じ異方性導電フィルムを用いて接続体サンプル40を作製した。接続工程は、ツールの熱加圧条件を130℃、2MPa、6秒とした他は第1の実施例と同じである。
【0112】
<比較例7>
比較例7では、比較例2と同じ異方性導電フィルムを用いて接続体サンプル40を作製した。接続工程は、ツールの熱加圧条件を130℃、2MPa、6秒とした他は第1の実施例と同じである。
【0113】
<比較例8>
比較例8では、導電粒子として平均粒径20μmのはんだ粒子を用い、粒子密度が150個/mmとなるように配合した他は、上述した比較例1と同じ異方性導電フィルムを用いて接続体サンプル40を作製した。接続工程は、ツールの熱加圧条件を130℃、2MPa、6秒とした他は第1の実施例と同じである。
【0114】
<比較例9>
比較例9では、粒子密度が300個/mmとなるように配合した他は、上述した比較例8と同じ異方性導電フィルムを用いて接続体サンプル40を作製した。接続工程は、ツールの熱加圧条件を130℃、2MPa、6秒とした他は第1の実施例と同じである。
【0115】
<比較例10>
比較例9では、粒子密度が600個/mmとなるように配合した他は、上述した比較例8と同じ異方性導電フィルムを用いて接続体サンプル40を作製した。接続工程は、ツールの熱加圧条件を130℃、2MPa、6秒とした他は第1の実施例と同じである。
【0116】
【表7】
【0117】
表7に示すように、実施例4は、電極幅と同じ幅で配列要素を形成しているため、接続初期における接続電極間の導通抵抗の評価は○(良)であった。しかし、信頼性試験後においては、接続電極間の導通抵抗の評価が△(可)となった。これは導電粒子の樹脂コアの反発による現象である。はんだ粒子を用いて電極幅と同じ幅で配列要素を形成した実施例5では、接続初期及び信頼性試験後における接続電極間の導通抵抗の評価はいずれも○○(優)となった。これより、導電粒子としてはんだ粒子を用いた異方性導電フィルムは、接続初期及び信頼性試験後においても導通性に優れることが分かる。
【0118】
一方、比較例4~10では、接続初期における接続電極間の導通抵抗の評価が○○(優)、○(良)又は△(可)であったが、信頼性試験後においては、はんだ粒子を用いた比較例8~比較例10を除き、×(不良)となった。
【0119】
また実施例4及び実施例5は、評価用基板の電極上に配列要素を配置することができ、隣接電極間スペースの広狭に関わらず、隣接電極間の絶縁抵抗の評価は○(ショートなし)であった。
【0120】
一方、比較例4~10は、隣接電極間スペースが狭まるにつれて、隣接電極間の絶縁抵抗の評価が悪化し、隣接電極間スペースが20μmの場合ではすべてのサンプルで×(ショートあり)となった。
【0121】
<第3の実施例>
次いで、第3の実施例について説明する。第3の実施例では、第2の実施例で使用した異方性導電フィルムを用いて、評価用基板10にFPC12を接続した接続体サンプル40を作製し、導通性能(接続電極間の導通抵抗、隣接電極間の絶縁抵抗)を測定、評価した。評価用基板10及びFPC12の各電極のサイズは、幅150μ、長さ100μである。すなわち、第3の実施例では、第2の実施例に比して、電極のサイズがより小さいものを使用している。
【0122】
接続電極間の導通抵抗の測定は、接続初期と信頼性試験後に実施した。信頼性試験の条件は第1の実施例と同じである。また、接続電極間の導通抵抗の測定方法及び評価基準は、第1の実施例と同じである。隣接電極間の絶縁抵抗は、隣接電極間スペースを20μm、40μm、80μmとしたときに、それぞれ隣接電極間ショートの発生の有無を測定した。また、隣接電極間の絶縁抵抗の測定方法及び評価基準は、第1の実施例と同じである。
【0123】
【表8】
【0124】
表8に示すように、実施例4及び実施例5は、接続初期及び信頼性試験後の接続電極間の導通抵抗の評価は第2の実施例(表7)と同じとなり、電極サイズがより狭小化しても安定した導通性能を有することが分かる。
【0125】
一方、比較例4~10では、比較例9及び比較例10を除き、接続初期における接続電極間の導通抵抗の評価が△(可)となり、信頼性試験後においては×(不良)となった。
【0126】
また実施例4及び実施例5は、評価用基板の電極上に配列要素を配置することができ、隣接電極間スペースの広狭に関わらず、隣接電極間の絶縁抵抗の評価は○(ショートなし)であった。
【0127】
一方、比較例4~10は、隣接電極間スペースが狭まるにつれて、隣接電極間の絶縁抵抗の評価が悪化し、隣接電極間スペースが20μmの場合ではすべてのサンプルで×(ショートあり)となった。
【符号の説明】
【0128】
1 導電性接着フィルム、2 基材、3 導電粒子、4 接着剤層、5 導電粒子凝集体、6 配列要素、8 個片、10 第1の電子部品、11 電極、12 第2の電子部品、21 第1端子列、22 第2の端子列、23 第3の端子列、30 フィルム巻装体、31 巻芯、33 マスク、34 開口、40 接続体、41 緩衝材、42 圧着ツール
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19
図20