(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024170219
(43)【公開日】2024-12-06
(54)【発明の名称】カーゴおよびカーゴを管理する支援システム
(51)【国際特許分類】
B62D 33/00 20060101AFI20241129BHJP
G06Q 50/26 20240101ALI20241129BHJP
B62D 33/04 20060101ALI20241129BHJP
【FI】
B62D33/00 A
G06Q50/26
B62D33/04 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023087259
(22)【出願日】2023-05-26
(71)【出願人】
【識別番号】599139914
【氏名又は名称】佃 光水
(74)【代理人】
【識別番号】100156199
【弁理士】
【氏名又は名称】神崎 真
(74)【代理人】
【識別番号】100124497
【弁理士】
【氏名又は名称】小倉 洋樹
(72)【発明者】
【氏名】佃 光水
【テーマコード(参考)】
5L049
5L050
【Fターム(参考)】
5L049CC35
5L050CC35
(57)【要約】
【課題】 都市部では、非常時に発生する膨大な数の要救助者の支援を迅速に行う支援システムZの誕生が望まれている。
【解決手段】 稼働開始当初は、要救助者の支援を目的とし、稼働開始後は、現場状況に応じて様々な支援を行う支援システムZである。
支援システムZは、備蓄品を収容して膨大な数の要救助者の発生が想定される地域に配置されるカーゴXで末端が構成されている。
カーゴXは、その外形寸法が駐車スペースへ収容可能な略長方形状となっており、これにより平置きの駐車スペースは元よりこれに準じるスペース、或は機械式駐車場へも必要数を配置することを可能としている。
カーゴXは、小型車規格形態CFと支援形態OFに変化する機能を有しており、小型車規格形態CFでは、略全ての機械式駐車場へ収容される。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
内部に備蓄品を収容可能なカーゴであって、
駐車スペースに収容可能な外形寸法で形成された略直方体形状または略立方体形状を有することを特徴とするカーゴ。
【請求項2】
上記外形寸法は、上記駐車スペースとしての機械式駐車場に収容可能な寸法とし、
かつ下部に設けた車輪によって移動可能としたことを特徴する請求項1に記載のカーゴ。
【請求項3】
上記駐車スペースで使用する小型車規格形態と、駐車スペース以外で使用する支援形態との間で、外形寸法を異ならせることが可能であることを特徴する請求項2に記載のカーゴ。
【請求項4】
上記カーゴは位置情報取得手段を備え、
当該カーゴの位置情報取得手段から送信される位置情報および上記カーゴの使用状態についてのステータス管理を行う制御部を備えることを特徴する請求項1ないし請求項3のいずれかに記載のカーゴを管理する支援システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、非常時における要救助者を支援するためカーゴおよびカーゴを管理する支援システムに関する。
【背景技術】
【0002】
災害等の非常時における支援については、被災自治体の備蓄施設(小規模な備蓄施設は、庁舎等の公共施設に併設される一方、大規模な備蓄施設は、郊外に立地している)、或は他の非被災自治体より備蓄品を運んで、被災した要救助者の元に届けるのが一般的である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
都市部では、非常時、例えば、災害が発生した場合、或いは何らかの原因によって公共交通機関に広範囲に及ぶ大規模な運行障害が発生した場合、発生日時にもよるが膨大な数の要救助者(帰宅困難者も含む)が発生することが指摘されている。
上述した指摘は、かなり以前よりあるが、未だ以って有効な対策は講じられていない。
有効な対策が講じられない理由として、概ね以下の3点が考えられる。
1.コスト面(自治体/鉄道会社)
膨大な数の要救助者に対して速やかな支援を行うには、多量の備蓄品を収容する備蓄施設を人口密度の高い地域内に配置して運用(備蓄品の管理/配布する人員も含む)することが望ましい。
しかしながら、人口密度が高い地域は、不動産にまつわるコスト(取得、賃貸)が高く、非常に大きなコスト負担が発生する。
2.経済面(地元/来訪者)
都市部における非常時の支援対策について民意に問えば、備蓄施設を人口密度の高い地域内に配置することへの同意は概ね得られると思われる。
しかしながら、備蓄施設は、地域の経済(売上)へは寄与しない、また地域の集客(魅力度の向上)へも寄与しないことから、実際のところ、地元は言うに及ばず来訪者の視点からみても「敢えて、ここへの配置は不要では」という反対意見が当然に予測され、特に備蓄施設と隣接するもしくは接近することになる地権者にあっては強い反発が予想される。
つまり、日々の経済活動に寄与することのない備蓄施設を経済活動の活発な経済回遊動線上もしくは経済回遊動線付近へ配置することは、地域の経済活動および地域の魅力作りにとっては、負の側面が大きいということである。
3.物理面(景観)
上記2で説明したように、地域の経済活動と地域の魅力度を損なうことなく、大規模な備蓄施設を街の景観に配慮して配置するには、街つくりの段階で計画に入れておく必要があるが、成熟した日本では無理な話しである。
ところで、新設される建物について着目すると、備蓄施設を併設することにより容積率の緩和措置が受けられる自治体もあるが、備蓄施設に供する容積は小さく、その利用対象者は建物の所有者や賃借人に限定されるものである。
このように備蓄に関する必要性は、官民問わず十分に理解されており、極僅かではあるが整備されつつあるといえる。
ところで、昨今は、ビルの空中フロア(2階以上のフロアで、1階に比べれば相対的に家賃が安い)に空きが散見され、かつそれらは客付けのために賃料の値下げが行われていることから、これを備蓄施設として活用することも考えられなくはない。
しかしながら、ビルの空中フロアには、致命的な欠点がある。
すなわち、地震による非常時において、備蓄品を搬出する作業には、作業者の身体や生命に大きな危険が伴う恐れがある。
以上の複合的な理由より備蓄施設は、その必要性と重要性は理解されているものの未だもって郊外に設置されて運用する形態が主流となっている訳であるが、当然ながら改善は必要であり、しかも、昨今の海外からの観光客(来訪者)の著しい増加および今後のさらなる伸びも考え合わせれば、新たなる支援システムの誕生(構築)と早急の整備(普及)が望まれる。
【課題を解決するための手段】
【0004】
上述した都市部における要救助者の支援の問題に鑑み、請求項1の発明は、内部に備蓄品を収容可能なカーゴであって、
駐車スペースに収容可能な外形寸法で形成された略直方体形状または略立方体形状を有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0005】
上述した請求項1の発明によれば、カーゴは、駐車スペースまたはこれに準じるスペースがあれば設置することができるので、屋内外の平置き駐車スペースおよびこれに準じる屋内外のスペースは言うに及ばず、さらには機械式駐車場まで含めれば都市部であっても設置場所の確保には困らないので、要救助者の想定数に応じた備蓄品を配置できることは勿論、著しく人口密度の高い地域へは重点的に備蓄品を多く配置することもできる。
また、コスト面をみれば、駐車スペースまたはこれに準じる広さのスペース、さらに機械式駐車場まで選択肢に含めれば、例え都市部であっても安価な物件は存在するので、そのような安価な物件を選択することにより郊外の倉庫に対して十分な競争力を持たせることができる。
さらに、地域の経済面および魅力面、さらには景観面でも、既存の駐車スペースおよびこれに準じるスペースを使用するので、経済面と魅力面の損失は無く、また景観面も損なうことが無いので、いずれについても反対を受ける理由がないどころか、空いている駐車スペースの有効活用となるので、経済面としてはプラスとなる。
また、配布作業の安全性に着目すれば、屋外のスペースに配置するカーゴであれば地震による災害時でも安全の元に備蓄品の配布作業を行うことができる。
さらには、既存の駐車スペースを使用するので、可及的速やかに支援システムの構築と普及を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0006】
【
図6】アウター部6a、7aとインナー部6b、7bの拡大図。
【
図7】ワイドシャッターWSとナローシャッターNSにおけるネジ孔3、ボルト孔4、ボルト本体5Aを示す斜視図。
【
図8】インナーウオールIWとアウターウオールOWにおけるネジ孔3、ボルト孔4、ボルト5を示す断面図。
【
図9】ボルト本体5A(凹部5a)とハンド本体5B(凸部5b)を示す各正面図。
【
図13】アプリ106が表示された端末50の画面。
【発明を実施するための形態】
【0007】
以下本実施形態について説明すると、稼働開始当初は、帰宅困難者及び/又は被災者(以下、要救助者)の支援を目的とする一方、稼働開始後は、現場状況に応じた様々な支援を行うことを目的とする支援システムZについて説明する。
【0008】
先ずは、支援システムZの末端を構成し、段落0021で説明する管轄地域JA内に配置される配置用カーゴX(以下、カーゴX)について説明する。
図1および
図2に示すように、カーゴXは、水平方向に長い略直方体の形状をしており、長手方向の外形寸法(全長)は4,700mm、短手方向の外形寸法(全幅)は1,700mm、高さ方向の外形寸法(全高)は後述する調節機構RMによって1,500mm~2,500mm(
図2および
図3参照)の範囲で変更可能となっており、上述した全長と全幅の外形寸法は小型車規格における寸法の最大値(4,700mm/1,700mm)と同じ(全長/全幅が該当)、全高は小型車規格における寸法の最大値(2,000mm)以下、或いはそれ以上を選択できるようになっている。
つまり、上記カーゴXは、屋内外の平置きの駐車スペースおよびこれに準ずる平置きのスペースへ収容可能であり、また機械式駐車場の駐車スペース(ゴンドラ/パレット)へは調節機構RMによって全高を適宜変更することで収容可能な外形寸法となっている。
上記カーゴXは、上方が開口したアンダーシェルU(
図4参照)と、下方が開口するとともに、上記アンダーシェルUの上部を覆って当該アンダーシェルUとで閉鎖された空間を形成するオーバーシェルOで構成されている(
図1~
図3参照)。
上記アンダーシェルUのフロアUFの四隅には、
図1~
図4に示すように車輪として機能する大型のキャスター1が4つ取付けられており、当該カーゴXを人力で移動させることができるようになっている。
上記キャスター1は、4つ全てが水平方向に回転する操舵輪としての機能を有しており、これにより前輪のみを操舵輪とした場合に比較してカーゴXの取回し性を向上させてある。
また、上記各キャスター1には、当該キャスター1の転がりを抑制するストッパ2を装備してあり、当該各ストッパ2を作動させることによりカーゴXを任意に停止させることができるようになっている。
上記キャスター1とストッパ2の構造については、既に周知の技術なので、ここでの説明は省略する。
上記カーゴXは、キャスター1の車輪部分の外周(樹脂製)を除けば、略全てが金属(アルミニウム/ジュラルミン/スチール等)を使用してあり、これにより不燃性と車体剛性を確保しつつ軽量化を図っている。
ところで、アンダーシェルUのフロアUFと地表面のロードクリアランスは、200mmとなっており、一般的な普通車のロードクリアランスより若干高く設定されている。
【0009】
上記アンダーシェルUには、
図4に示すように、フロアUFの長手方向の一端と他端から垂直に立ち上がる一対のインナーウオールIWが一体に形成されており、双方のインナーウオールIWの側部には調節機構RMを構成するネジ孔3が垂直方向に5箇所ずつ、合計20箇所螺設(手前の10か所のみ図示)されている。
【0010】
上記オーバーシェルOは、ルーフORと、このルーフORの長手方向の一端と他端から垂直に降下する一対のアウターウオールOWが一体に形成されており、このアウターウオールOWがインナーウオールIWに対して上下方向に摺動可能に嵌合されている。
また、両アウターウオールOWの側部には、
図8に示すように、調節機構RWを構成するボルト孔4がそれぞれ1個所ずつ、合計4個所設けられており(1個所のみ図示)、各ボルト孔4を貫通した各防犯ボルト5(以下、ボルト5)の先端がそれぞれネジ孔3に螺合することで、アンダーシェルUに対してオーバーシェルOを固定することが可能となっている。
つまり、ボルト5を螺合するネジ孔3の位置を任意に選択することにより、アンダーシェルUに対するオーバーシェルOの高さを任意に変更することができるようになっている。
図2を参照して具体的に説明すると、1番低い位置にあるネジ孔3を選択した場合にはオーバーシェルOの外形寸法の高さは1,500mm、2番目に低い位置のネジ孔3を選択した場合には外形寸法の高さは1,700mm、3番目のネジ孔3を選択した場合には外形寸法の高さは2,000mm、4番目の高さのネジ孔3を選択した場合の外形寸法の高さは2,200mm、5番目の高さのネジ孔3を選択した場合の外形寸法の高さは2,500mmとなる位置に螺設されている。
上述した1,500mm、1,700mm、2,000mmの各高さについては、機械式駐車場(垂直循環方式タワー式パーキング/エレベーター方式タワー式パーキング/昇降横行式/多段式)のゴンドラ/パレット(駐車スペース)で採用される主だった高さ制限をクリアしつつ、かつカーゴXの内部容積の最大化を図った形態で配置することを目的に設定したものであり、これら3段階の高さを総称してカーゴXの小型車規格形態CFとしている。
つまり、機械式駐車場の高さ方向におけるゴンドラ/パレット(駐車スペース)の規格としては、以下に述べる3つが主だって採用されており、具体的には、ロールーフ規格で1,550mm、ミッドルーフ規格で1,700mm、ハイルーフ規格で2,000mmが採用されており、本カーゴXは上述した何れの規格のゴンドラ/パレットへも対応して収容できるように外形寸法を設定されたものである。
なお、3つの小型車規格形態CFで、最も大きい値である2,000mmが小型車における外形寸法の最大値である。
ところで、機械式駐車場は、上述した3つの収容規格のうち、3つ全てに対応するゴンドラまたはパレットを備えるタイプもあれば、2つの規格を備えるタイプ、或は1つの規格のみを備えるタイプがある。
【0011】
また、機械式駐車場は、小型車を格納対象とするタイプと普通車を格納対象とするタイプの2種類があり、具体的には、小型車を格納対象とする設計年次の古いタイプで、全長の寸法は概ね4,800mm、全幅の寸法は概ね1,700mmの駐車スペースを有するゴンドラもしくはパレットが採用される一方、普通車を格納対象とする最新のタイプでは、全長の寸法は5,300mm、全幅の寸法は2,000mmまで拡大された駐車スペースを有するゴンドラもしくはパレットが採用されている。
なお、全高については、両タイプ共に段落0010で説明した1,550mm、1,700mm、2,000mmの3つの中で少なくとも何れか1つが採用されている。
しがたって、小型車規格で外形寸法を形成されたカーゴX(小型車規格形態CFが該当)であれば、小型車と普通車の両タイプの機械式駐車場に収容できる汎用性を有している。
ところで、駐車スペースの大型化は、当然に利用する車側の需要に対応した結果であるが、ここで注目すべきは、近年は普通車(3ナンバー)のラインアップは増えているものの小型車(5ナンバー、7ナンバー)のラインナップは減少傾向にある。
しかも、軽自動車、小型車、普通車の規格を問わず全高が1,550mmを超える車両のラインナップが大幅に増加したため、全高1,550mm以下の小型車を格納対象とする機械式駐車場では稼働率が著しく低下している。
この状況を打破して稼働率を向上させるべく、利用料金の値下げを実施しているものの、供給(駐車スペース)と需要(車両サイズ)の物理的なミスマッチは如何ともし難く、さらには車離れの問題も絡んで、事態は悪化の一途を辿っている。
ここで、値下げされた利用料金について考察すると、床面積当りの坪単価がビルの空中フロアの1/2程度まで大きく下落した状況となっている(東京都の都心部参照)。
つまり、床面積あたりの坪単価は、郊外の倉庫の1.2倍ないし1.3倍程度であり、立地ならびに迅速性な支援が可能となることを考え合わせれば、備蓄施設として検討するに値する。
【0012】
また、機械式駐車場には、使用料金および迅速なる支援以外でも以下に述べる利点がある。
すなわち、操作盤の操作だけでカーゴXを収容するゴンドラ/パレット(駐車スペース)が搬入搬出位置に自動的に着床するので、操作盤の操作時とカーゴXの搬出時の極短時間だけ機械式駐車場に近づいて作業すればよく、ビルの空中フロアから備品を搬出する場合に比較して地震時における搬出作業の安全は高くなる。
より安全性を追求すれば、機械式駐車場の操作を離れた位置よりリモートで行えるように仕様変更してもよいし、またカーゴXには車輪を駆動するモータを搭載して当該カーゴXもリモート操作により自走で搬出するように変更を加えてもよい。
しかしながら、上述した仕様変更(機械式駐車場)と装備追加(カーゴX)には追加費用が発生するため、地震時には安全性が高いとされる地下施設に併設された機械式駐車場を選択することで、問題の解決を図ることができる。
【0013】
ところで、機械式駐車場について考察すると、タワー式パーキングには、屋外の昇降横行式/多段式には無い利点がある。
すなわち、カーゴXは、紫外線および風雨雪に直接晒されることがなく、かつ高湿度とも略無縁の塔屋で保管されることになるので、備蓄品は倉庫(空調無し)と同様の環境で保管されるに等しく、また後述する太陽光パネル20にあっては経年劣化の抑制に繋がる。
また、タワー式パーキングは、完全に密閉される塔屋内でカーゴXを格納するので、防犯性にも優れている。
なお、上述した利点は、防犯シャッターを備える屋内の昇降横行式/多段式の機械式駐車場であれば、タワー式パーキングに準じるような効果が期待できる。
ところで、2,200mmの高さと2,500mmの高さについては、機械式駐車場を出た後の施設内(敷地内の導入路)や施設外(一般道のアンダーパス等)で採用される主だった高さ制限をクリアしつつ、かつ段落0017で説明するような使用時における内部の高さのクリアランスを稼ぐことを目的として設定しており、これらを総称して支援形態OFとしている。
なお、支援形態OFの高さは、周囲の制限に応じてどちらか一つを選択してもよいし、必要に応じて上記以外の高さを選択してもよいことは勿論である。
【0014】
さて、カーゴXの説明に戻ると、上記オーバーシェルOの側面とアンダーシェルUの側面は、それぞれ長手方向に開口しており、双方の開口によって形成された開口部AによってカーゴXの内部と外部が繋がっている。
これにより、両側の開口部Aから備蓄品(不図示)の出し入れを容易に、かつ多人数で同時に作業にあたれるようにしている。
両側の開口部Aは、オーバーシェルOが装備するワイドシャッターWS(
図1および
図2参照)とナローシャッターNS(
図3参照)とによってそれぞれ閉鎖されるようになっている。
図5に示すように、ワイドシャッターWSの長手方向の両端は、く字状のガイドレール6に摺動可能に嵌合されており、当該ガイドレール6に沿ってワイドシャッターWSを人力で上下させて、実線で示す降下位置(全閉状態)または2点鎖線で示す上昇位置(全開状態)、もしくは図示しないが様々な中途位置(半開状態)を任意に選択できるようになっている。
他方、ナローシャッターNSも、その長手方向の両端が、く字状のガイドレール7に摺動可能に嵌合されており、当該ガイドレール7に沿ってナローシャッターNSを人力で移動させて、実線で示す降下位置(全閉状態)または1点鎖線で示す上昇位置(全開状態)、もしくは図示しないが様々な中途位置(半開状態)を任意に選択できるようになっている。
ワイドシャッターWSとナローシャッターNSとを全閉状態とした場合には、内部空間を外部から隔離して風雨雪から守ることができるようになっている。
上記ガイドレール6、7は、
図6に示すように、オーバーシェルOのルーフORに固定されたく字のアウター部6a、7aと、このアウター部6a、7aの垂直に降下する部分に摺動可能に格納されたストレート形状のインナー部6b、7bによって構成されており、当該インナー部6b、7bがアウター部6a、7aに対して摺動しながら伸縮することで、オーバーシェルOが上下した場合でも問題なくワイドシャッターWSとナローシャッターNSを案内できるようになっている。
また、上記ガイドレール7は、ナローシャッターNSがワイドシャッターWSと干渉するのを避けるため、ガイドレール6よりも若干高さを下げた位置でオーバーシェルOのルーフORに固定されている。
上記ガイドレール7の下端は、オーバーシェルOのルーフOR(最も高い位置)に対して約300mm低い高さとなっており、これによりガイドレール7とアンダーシェルUのフロアUFとの室内高クリアランスは、全高1,500mmを選択した場合で内径寸法が1,000mm、全高1,700mmを選択した場合で内径寸法が1,200mm、全高2,000mmを選択した場合で内径寸法が1,500mm、全高2,200mmを選択した場合で内径寸法が1,700mm、2,500mmを選択した場合で内径寸法が2,000mmへと変更することができるようになっている。
【0015】
ところで、アンダーシェルUのフロアUFに着床するワイドシャッターWSのフラップWFとナローシャッターNSのフラップNFには、
図7に示すように、アンダーシェルUのフロアUFに螺設されたネジ孔3に螺合する防犯ボルト5(以下、ボルト)を貫通させるボルト孔4がそれぞれ設けられており、ボルト5でワイドシャッターWSとナローシャッターNSとをアンダーシェルUに固定してカーゴX内の防犯性を確保できるようになっている。
上記ネジ孔3、ボルト孔4、ボルト5は、統一された規格となっている。
【0016】
上記ボルト5は、
図8に示すように、先端にネジ孔3に螺合するネジが螺設されるとともに、このネジ部5aよりも大径なヘッド部からなるボルト本体5Aと、上記ボルト本体5Aのヘッド部5bに対して脱着し、嵌合時に当該ボルト本体5Aを固定方向(締付)と離脱方向(緩む)へ回転させるハンドル本体5Bより構成されている。
図8および
図9に示すように、ボルト本体5aのヘッド部5bの外周は、防犯の観点から容易に回転力を加えづらいように平滑に形成される一方、頭頂部には円弧形状の凹部5cが形成されている。
上記凹部5cは、ボルト本体5aの同軸上に形成されている。
他方、ハンドル本体5Bの外周は、人の手の力を無駄なく加えられるように外周に縦方向のスリットが多数形成されるとともに、底部より突出して上記凹部5cに嵌合する円弧形状の凸部5dが形成されている。
上記凸部5dは、ハンドル本体5Bの同軸上に形成されている。
このように専用のハンドル本体5Bでなければ、ボルト本体5Aを回転させることができない仕様としてあるので、カーゴXについて使用権を付与された権利者(防災担当者)だけが当該カーゴXを管理することができるようになっている。
ところで、凹部5cと凸部5dを円弧形状としたのは、下記に記載する4つの理由からである。
1.凹部5cと凸部5dの半径を変更することで、多数のバリエーションを容易に作成可能。
2.凹部5cと凸部5dの長さを変更することでも、多数のバリエーションを容易に作成可能。
3.凹部5cと凸部5dを多重に配置することでも、多数のバリエーションを容易に作成可能。
4.ボルト本体5Aと同軸上の凹部5cならびにハンドル本体5Bと同軸上の凸部5dは、加工が容易で製造コストの低減を図れる。
【0017】
また、オーバーシェルOのルーフORには、
図1および
図3に示すように太陽光パネル20が装備してある。
この太陽光パネル20は、
図10に示すように、発電した電力を位置情報管理手段21に供給する一方、オーバーシェルO内に敷設した配線を介してコンセント22(単層100v)へも電力を供給するようになっている。
上記位置情報管理手段21は、GPS(Global Positioning Service)によってカーゴXの位置を取得するとともに、当該カーゴXの位置情報を後述する制御部Yに送信するようになっており、カーゴXは制御部Yによってミクロ管理MIの一環として位置管理MIPが行われるようになっている。
なお、太陽光パネル20の上面がカーゴXの外形寸法における最高高さとなる。
【0018】
上記制御部Yでは、ミクロ管理MIの一環として、カーゴXの使用状況についてステータス管理MISも行っている。
具体的には、備蓄品が搬出されて内部が空になったカーゴXは、現場の状況に応じて以下に記載するような様々な用途での使用を想定している。
≪外部での継続使用≫
MI1.不要物(使用済みの備蓄品等)の回収に使用。
この場合には、調節機構RMによりオーバーシェルOの高さを小型車規格CFから支援形態OFへ変化させることで、カーゴXの内部容積を拡大させて使用することができる(~2,000mm)。
内部容積を拡大させたことによって、他のカーゴXの使用に余力を生み出すことができる。
MI2.体調が優れない人等の一時的な休憩場所、或は救護場所として使用。
この場合には、調節機構RMによりオーバーシェルOの高さを上昇させて支援形態OFとすることで、カーゴX内のクリアランス高さを拡大して使用することができる(~2,000mm)。
支援形態OFとすることによりカーゴX内を大抵の人が立って移動できるだけの空間を確保することができるので、要救助者に対する圧迫感の無い快適な空間の提供、ならびに介助者にとっては介助のやり易い空間を提供することができる。
MI3.準支援拠点として使用。
この場合には、カーゴXを公園や学校等広場(退避位置)へ移動させて、外的2次災害(周辺の火災や建物の落下物)に対する危険から安全性を確保することができるので、安全の元で防災ならびに支援活動を行うことができる。しかも、その際に支援形態OFを選択することで、必要十分な空間でストレスなく支援活動を行うことができる。
また、太陽光パネル20によって生み出される電力で情報発信や情報収集にあたる通信端末へ給電を行うことができるので、退避場所を選ぶ条件から電力確保を除外することができることは勿論、周辺で停電が発生した状況において余剰電力がある場合には、電力を必要とする端末や機器に対して電力の供給を行うこともできる。
【0019】
上述したMI1、MI2、MI3で説明した以外にも、非常時の現場では、思いもよらない想定外の目的でカーゴXが使用されることが予測されるともに、予想していない場所でも使用されることが想定される。
これについて、以下に説明する。
すなわち、非常事態の発生日時にもよるが、膨大な数の要救助者が備蓄施設としての機械式駐車場へ殺到することが予測されるが、このような状況では人に起因する人的2次災害として雑踏事故やパニックが発生する恐れがあり、これを防止する必要がある。
つまり、人的2次災害を防止するには、押し寄せる要救助者に対して備蓄品を出来るだけ速やかに配布する体制を作ることが求められる。
具体的には、備蓄品の配布作業を備蓄施設周辺における複数の分散した位置で行うことで要救助者を分散させることが可能となる。
しかしながら、このような配布体制を作るには、普通に考えれば多数の防災担当者が必要となるが、本実施例では、以下に述べる必要最小限の少数体制で対応することとしている。
すなわち、備蓄施設の防災担当者(※カーゴXの管理ならびに備蓄品の配布に関する権限を委譲された人物で、施設の規模にもよるが1~2人を想定)が機械式駐車場よりカーゴXを速やかに搬出することに専念する一方、順次搬出されるカーゴXの移動作業および移動先における備蓄品の配布作業については、当該施設の関係者(施設の店子従業員/警備員)/近隣の関係者(周辺施設の店子従業員/組合員)/第3者(ボランティアに準じる人物)等に委託することとしている。
この配布作業中に、カーゴXが思いもよらない場所へ移動される可能性があり、このようなケースを想定し、上述したミクロ管理MIとしての位置管理MIPを導入している。
つまり、位置管理MIPによってカーゴXを探す手間を無くすことができるので、これに要する人件費の発生を不要とすることができる。
さらに、人件費削減の観点からすれば、時間貸し駐車場として使用されるタワー式パーキングを選択することにより以下のメリットが見込める。
例えば、1棟全てがカーゴXを格納するタワー式パーキングと、1棟全てが自動車を格納するタワー式パーキングの計2棟が配置された施設では、平時は駐車業務にあたる駐車係員を緊急時の防災担当者として起用することができるので、専任の防災担当者を配置する必要性を無くすことができ、つまり専任の防災担当者を配置する人件費を無くすことができる。
上述した考え方は、カーゴXと自動車とを混在して格納する単棟配置された施設でも応用することができる。
≪再格納での使用≫
MI4.新たに届いた支援物資の管理。
支援物資中で、その時点において使用することは無い物資についは、カーゴX内に収容してタワー式パーキングへ再格納することで防犯対策を講じることができる。
なお、ステータス管理MISでは、各カーゴXの識別番号に紐づけた使用状況をモニター画面に一覧で表示するようになっており、これによりオペレーターが一目で使用状況を把握することができるようにしている。
【0020】
ところで、会社が入居するビルもしくは共同住宅に導入される昇降横行式/多段式の機械式駐車場は、専ら自動車の運転手自身で操作する使用形態(月極)であることから、普通に考えれば支援システムZとして使用するには不向きであるが、非常時には、当該施設の管理者/警備員等が対応する体制とすることで、カーゴXの駐車スペースとして活用することが可能である。
【0021】
さらに、制御部Yでは、大都市である東京や大阪等の各ターミナル駅周辺で同時に発生する恐れのある膨大な数の要救助者に対応するため、マクロ管理MAを導入している。
上記マクロ管理MAでは、膨大な数の要救助者の発生が想定される人口密度が著しく高い地域を管轄地域JA(
図13参照)として選定するとともに、選定した管轄地域JA内に備蓄品を収容したカーゴXを必要台数配置することで、迅速な配布体制を作ることを可能としている。
先ず、上記管轄地域JAの選定について、東京の都心部を環状に走る山
手線を例に説明する。
膨大な数の要救助者(帰宅困難者)が発生する確率の高い地域について駅の乗降客数に基づいて第10位まで選出すると、東京駅を起点とし、内回り(時計回り)に新橋駅→品川駅→大崎駅→渋谷駅→新宿駅→高田馬場駅→池袋駅→上野駅→秋葉原駅が選定される。
上述した各駅の周辺では、何れも機械式駐車場(特に、駅の周辺はタワー式パーキングの割合が高く、時間貸しされる割合も高い)の導入が進んでおり、機械式駐車場(駐車スペース)の選定には困らないが、マクロ管理MAでは、人的2次災害の発生防止を重視するため、以下の項目を重視して選択している。
MA1:有人環境(迅速性を考慮)
少なくとも人出が多い時間に有人管理が行われているか。
すなわち、迅速に配布作業にあたる体制作りに取り掛かれるかを重視。
MA2:周辺環境(配布作業性を考慮)
搬出されたカーゴXを置いても交通障害とならない幅員の道路に機械式駐車場が接道、もしくは機械式駐車場のすぐ近くに広い幅員の道路が有る、或いは広場等が機械式駐車場の近くにあるか。
すなわち、配布時の作業性と安全性を重視。
MA3:立地環境(配布時の安全性を考慮)
要救助者が局所的に偏らないよう機械式駐車場同士の距離を保って複数個所選定。
すなわち、要救助者に起因する人的2次災害の発生防止、ならびに機械式駐車場が不動状態となった場合のリスクヘッジを重視。
MA4:退出環境(配布後の速やか退出を考慮)
最寄りに避難場所(公園、学校、その外自治体の公共施設等)があるか。
すなわち、要救助者の滞留防止を重視。
【0022】
さらに、制御部Yでは、マクロ管理MAの常時対象である管轄地域JA、或はそれ以外に臨時で対象となる管轄地域(膨大な人が集うイベント等が対象)において、万一不測の事態が発生した場合に備えてバックアップ管理BAを行っている。
先ず、管轄地域JAにおけるバックアップ管理BAでは、管轄地域JA内の機械式駐車場で発生した不動状態(故障/停電)への緊急対応、または備蓄品の不足を補う補充対応がある。
他方、臨時の管轄地域では、補充対応のみとなる。
このバックアップ管理では、
図11に示す派遣用カーゴXX(以下、カーゴXX)を使用するようになっている。
【0023】
上記カーゴXXは、カーゴXと基本的には同一の構成となっているが、牽引車両(不図示)で牽引されて一般道を走行するため、車両登録に必要な装備が新たに追加、もしくは一部が変更されている。
具体的には、アンダーシェルUに新たに取り付けられた牽引フック30と、キャスター1に替わって装備された後輪としての車輪31と、牽引フック30の反対側に取り付けられたウインカーおよびブレーキランプ等の灯火類(不図示)と、これら灯火類に牽引車両からのウインカー信号およびブレーキ信号を伝送するケーブル32が装備されている。
上記牽引フック30は、跳ね上げ式となっており、機械式駐車場へ格納する際には、実線で示すように上方に跳ね上げられて格納に支障の無い状態で停止する一方、牽引車両に連結される際には、1点鎖線で示す状態へ降下されて停止(この状態を保持)するようになっている。
なお、牽引フック30を跳ね上げた状態でのカーゴXXの外形寸法の全長は、カーゴXの全長より100mm拡大されて4,800mmとなっているため、小型車を格納対象とする機械式駐車場(~4,800mm)の駐車スペースへ問題無く格納することができる。
上記車輪31は、同軸の車軸(不図示)に取り付けられており、走行安定性を確保するため水平方向へは回転しない構造となっている。
なお、上記車輪31へ変更したことによりカーゴXXの外形寸法の全高は、カーゴXよりも50mm高くなって1,550mmとなっているが、小型車規格(~1,550mm以下)の機械式駐車場の駐車スペース(ゴンドラ/パレット)へ問題無く格納することができるようになっている。
また、ロードクリアランスは、カーゴXの200mmから250mmへ拡大され、オフロード車両と同等のクリアランスを確保している。
ところで、キャスター1(前輪に相当)は、牽引フック30が牽引車両に連結された状態では、地面から離れて浮き上がるようになっている。
【0024】
話しはずれるが、牽引車両へは、発電機(不図示)を搭載して電気が不通となっている機械式駐車場を稼働できるようにしてもよいし、コストはかかるが機械式駐車場の現場に発電機を常時配置するようにしてもよい。
上述した発電機での給電を想定し、機械式駐車場には、発電機との接続を迅速に行うための専用のコンセントを予め装備しておくとよい。
【0025】
また、各機械式駐車場には、要救助者の集合状況を把握するための定点カメラ40(
図10参照)を高所に設置してあり、この定点カメラ40の映像がリアルタイムで制御部Yへ伝送されるようになっている。
制御部40は、バックアップ管理BAを行う統括センターの建物内に設置されているおり、この統括センター内の駐車スペースにカーゴXXが収容されている。
カーゴXXは、その使用目的から建物内の平置き駐車スペースに収容されるのが、望ましい。
さらに、統括センターは、各管轄地域JAに対して均等な距離となる位置に存在することが望ましく、山手線の内側では、飯田橋または四谷あたりが該当する。
【0026】
しかして、緊急事態発生時における制御部Yの処理について、
図12のフローチャートに基づいて説明する。
先ず、制御部Yへは、緊急事態が発生した際に、委託元として自治体(都道府県/政府)の端末51より緊急信号100が発報される。
緊急信号100´を受信した制御部Yは、発報した自治体における広範囲の非常事態発生(地震等の災害)として認識し、マクロ管理MAで管理対象となっている各管轄地域JAの委託先端末52(携帯端末/電子計算機)へ要救助者の支援にあたれるように緊急対応信号101を一斉発信する。
緊急対応信号101を受信した各防災担当者(駐車係員)は、カーゴXを格納する機械式駐車場の作動確認を行い要救助者への対応に備える。
なお、作動確認時に機械式駐車場が作動しないことが判明した場合には、防災担当者は端末52より制御部Yに対して緊急応援信号102を発信する。
【0027】
緊急応援信号102´を受信した制御部Yは、バックアップオペレーターへ応援出動信号103を発信する。
応援出動信号103´を受信したバックアップオペレーターは、牽引車両と、これに連結されたカーゴXX(備蓄品を搭載)を牽引して要請のあった機械式駐車場へ向かう。
応援先の機械式駐車場の各種情報については、バックアップオペレーターの端末へ送信、或はバックアップオペレーターが内勤のオペレーターへ問合せて得ることができる。
【0028】
また、制御部Yで受信された緊急事態信号100´は、制御部Yに導入されたサポート用の人工知能(
図10参照)でも同時に受信されるようになっており、人工知能は、各定点カメラ40の画像から要救助者の混雑状況を把握し、緊急対応が必要か否かの判断104を行うようになっている。
上記判断104で緊急対応が必要と判断した人工知能は、自ら応援出動信号103を発信してバックアップオペレーターとカーゴXXを現地へ向かわせるようになっている。
現地に到着したバックアップオペレーターは、速やかにカーゴXX内の備蓄品を配布する作業にあたるものであり、これにより要救助者を分散させて混雑を緩和するものである。
【0029】
また、人工知能は、人に起因する2次災害(雑踏事故/パニック等)の発生を未然に防ぐため要救助者の誘導105を行うようになっている。
上記誘導105は、要救助者の端末50(
図13参照)に表示されるアプリケーション106(以下、アプリ106)の画像で行われるものである。
上記アプリ106は、
図13に示すように、要救助者の位置情報を地図上に表示するマイマークMyと、このマイマークMyの位置を基準として最寄りの備蓄施設の位置を地図上で示す1次立寄りマークM´と、最寄りの避難場所(公園/学校等)の位置を地図上に表示する2次立寄りマークM´´とで構成されており、1次立寄りマークM´の色を混雑状況に応じて変えることで、要救助者に対して備蓄施設の混雑状況の周知を図るようになっている。
混雑状況を表す色としては、例えば、空いている状況では青色、比較的混雑している状況の場合では黄色、非常に混雑している状況の場合では赤色という具合に表示すればよい。
また、数字のM´とM´´を用いて立寄る順番を表示しているので、当該システムが初めての人(外国人)でも立寄る順番であることの意味を容易に理解できるようにしている。
ところで、混雑状況が終息して人的2次災害の発生確率が低いと判断した人工知能は、マクロ管理MAの終了107と認識し、ミクロ管理MIの開始108へ移行する。
【0030】
ミクロ管理MIでは、位置管理MIPとして各位置情報管理手段20から受信した信号に基づき、各カーゴXの位置を統括センターのモニター画面に表示された地図に反映する一方、ステータス管理MISとして各防災担当者の端末52より入力されるカーゴXの使用状況を別のモニター画面に一覧で表示してオペレーターが一目で把握できるようにしている(段落0018のMI1、MI2、MI3、段落0019のMI4が該当)。
【0031】
なお、本実施例のカーゴXおよびカーゴXXは、様々な使用を想定して調節機構RM(5段階)、太陽光パネル20、位置情報管理手段21、コンセント22を装備しているが、使用目的や配置状況(駐車スペースの環境)に応じて何れかを省略してもよい。
例えば、調節機構RMの小型車規格形態CFについては、配置環境に応じて3ポジションから2ポジションへに減少、もしくは1ポジションに限定する一方、支援形態OFについても、周辺環境に応じて2ポジションから1ポジションに限定してもよい。
また、備蓄品を収容して機械式駐車場に再格納されることが決まっている専用のカーゴXについては、支援形態OFを省略してもよいし、太陽光パネル20、位置情報管理手段21、コンセント22を不要としてもよい。
さらに、防犯性の確保された屋内の平置き駐車場を駐車スペースとするカーゴXXについては、調節機構RMの小型車規格形態CFを省略して支援形態OFのみとしてもよく、この支援形態OFについても2,200mmか2,500mmのいずれか1ポジションとしてもよいし、また太陽光パネル20、位置情報管理手段21、コンセント22を不要としてもよい。
また、牽引フック30の折り畳み機能も省略してもよい。
【0032】
ところで、カーゴXXの外形寸法については、平置きの駐車スペースに収容されることから、敢えて小型車規格の外形寸法を適用する必要はなく、全長と全幅の少なくともどちらか一方を普通自動車規格の寸法としてもよい。
また、カーゴXXについては、以下に記載する外形寸法を選択することにより車検を不要とすることができる。
全長3,000mm以下、全幅1,300mm以下、全高2,000以下がその対象となる。
車検不要のサイズを選択した場合には、全幅が1,300mmと狭いことからカーゴXXが装備するナローシャッターNSを省略し、ワイドシャッターWSだけの片側装備とすればよく、このように片側装備であっても備蓄品の搬入搬出に支障はない。
【0033】
上記カーゴXとカーゴXXの形状は、共に略直方体形状となっているが、これに限定されるものはなく、略立方体形状としてもよい。
【符号の説明】
【0034】
X 配置用カーゴ XX 派遣用カーゴ
Y 制御部 Z 支援システム
RM 調節機構 CF 小型車規格形態
OF 支援形態 MI ミクロ管理
MIP 位置管理 MIS ステータス管理
MA マクロ管理