(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024170239
(43)【公開日】2024-12-06
(54)【発明の名称】情報処理方法、情報処理プログラム、情報処理装置及び表示プログラム
(51)【国際特許分類】
G06Q 50/40 20240101AFI20241129BHJP
G06Q 30/04 20120101ALI20241129BHJP
【FI】
G06Q50/30
G06Q30/04
【審査請求】有
【請求項の数】13
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023087286
(22)【出願日】2023-05-26
(71)【出願人】
【識別番号】522413663
【氏名又は名称】DRD4株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100114557
【弁理士】
【氏名又は名称】河野 英仁
(74)【代理人】
【識別番号】100078868
【弁理士】
【氏名又は名称】河野 登夫
(72)【発明者】
【氏名】瀬川 慶一
(72)【発明者】
【氏名】山川 照人
【テーマコード(参考)】
5L030
5L049
5L050
【Fターム(参考)】
5L030BB11
5L049BB11
5L049CC41
5L050CC41
(57)【要約】
【課題】車両の走行距離に基づく利用料の請求額を出力する情報処理方法、情報処理装置及び表示プログラムを提供すること。
【解決手段】情報処理方法は、車両の利用期間と総走行距離とに基づく残価データを取得し、前記残価データに基づいて、前記車両の所定期間内における基本料金、及び、所定期間内の走行距離に基づく追加料金を算出し、前記基本料金と前記追加料金とから算出した請求額を出力する処理をコンピュータが実行する。
【選択図】
図17
【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両の利用期間と総走行距離とに基づく残価データを取得し、
前記残価データに基づいて、前記車両の所定期間内における基本料金、及び、所定期間内の走行距離に基づく追加料金を算出し、
前記基本料金と前記追加料金とから算出した請求額を出力する
処理をコンピュータが実行する情報処理方法。
【請求項2】
前記追加料金は、前記残価データに基づき算出した距離単価と、所定期間内の走行距離に基づいて算出する、
請求項1に記載の情報処理方法。
【請求項3】
前記距離単価は、前記車両の初度登録時からの経過年数における走行距離毎の残価データから、走行距離の異なる2つの残価を選択し、選択した2つの残価の差に基づいて定める
請求項2に記載の情報処理方法。
【請求項4】
前記車両の初度登録時からの経過年数における所定の走行距離に対応する残価データが、前記経過年数及び前記走行距離に対応付けられた参考残価データに満たない場合、満たない量に相当する額と前記走行距離とに基づき、調整原価を求め、
求めた前記調整原価により、前記距離単価を補正する
請求項3に記載の情報処理方法。
【請求項5】
2つの残価の組み合わせを複数組生成し、
生成した各組について、それぞれ距離単価を計算し、最も高い値、中央値または平均値を距離単価として採用する。
請求項3に記載の情報処理方法。
【請求項6】
採用した距離単価に、所定値を上乗せした値に基づいて、前記追加料金を算出する
請求項2から請求項5の何れか一項に記載の情報処理方法。
【請求項7】
前記追加料金を算出する毎に、算出した前記追加料金の積算値を求め、
求めた前記積算値を記憶し、
前記所定期間の満了後に、記憶した前記積算値を出力する
請求項1から請求項5の何れか一項に記載の情報処理方法。
【請求項8】
前記基本料金は、利用期間満了時の前記車両の初度登録時からの経過年数に基づき、算出する
請求項1から請求項5の何れか一項に記載の情報処理方法。
【請求項9】
前記基本料金は、前記車両の新車時の車両価格、又は、現在の残価と、前記車両の所定期間の経過後であって走行距離を0とした場合の残価との差額に基づき算出する
請求項1から請求項5の何れか一項に記載の情報処理方法。
【請求項10】
車種、グレード、及び、車体色、並びに、初度登録時からの経過年数、及び、総走行距離毎の残価データを対応付けたテーブルを参照し、前記基本料金及び前記距離単価を算出する
請求項2から請求項5の何れか一項に記載の情報処理方法。
【請求項11】
車両の利用期間と総走行距離とに基づく残価データを取得し、
前記残価データに基づいて、前記車両の所定期間内における基本料金、及び、所定期間の走行距離に基づく追加料金を算出し、
前記基本料金と前記追加料金とから算出した請求額を出力する
処理をコンピュータに実行させる情報処理プログラム。
【請求項12】
車両の利用期間と総走行距離とに基づく残価データを取得する取得部と、
前記残価データに基づいて、前記車両の所定期間内における基本料金、及び、所定期間内の走行距離に基づく追加料金を算出する算出部と、
前記基本料金と前記追加料金とから算出した請求額を出力する出力部と
を備える情報処理装置。
【請求項13】
車両の利用期間と総走行距離とに基づく残価データを用いて算出された基本料金、所定期間内の走行距離に基づき、前記残価データを用いて算出された追加料金、及び、前記基本料金と前記追加料金とに基づき算出された請求額を受信し、
受信した前記基本料金、前記追加料金、及び、前記請求額を表示する
処理をコンピュータに実行させる表示プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両の走行距離に基づく利用料の請求額を出力する情報処理方法、情報処理プログラム、情報処理装置及び表示プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
乗用車の購入代金の支払い方法として、残価型クレジットが利用されている(特許文献1など)。残価型クレジットは、前もって将来の下取り価格(残価)を設定して車両価格から残価を差し引いた金額に基づいて、月々の返済額を設定する。残価型クレジットでは、契約満了まで残価を据え置くため、通常のクレジット払いと比べて、1回の返済額が安くなるという利点がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
残価型クレジットにおいては、残価を的確に設定することが重要である。車両の残価は主として、初度登録からの経過年数、及び総走行距離により反比例し、経過年数及び総走行距離が長いほど残価は少なくなる。しかし、従来の残価型クレジットにおいては、残価の設定においては、総走行距離は一定の選択肢が設けられている場合はあるものの、契約時点において、ほぼ一律に決めている。そのため、利用頻度が高くなく、1回あたりの走行距離も少なめの利用者については、妥当性の有る残価よりも低い残価を設定されてしまい、不公平感が生じる。
【0005】
本発明はこのような状況に鑑みてなされたものである。その目的は、車両の走行距離に基づく利用料の請求額を出力する情報処理方法、情報処理プログラム、情報処理装置及び表示プログラムの提供である。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本願の一態様に係る情報処理方法は、車両の利用期間と総走行距離とに基づく残価データを取得し、前記残価データに基づいて、前記車両の所定期間内における基本料金、及び所定期間内の走行距離に基づく追加料金を算出し、前記基本料金と前記追加料金とから算出した請求額を出力する処理をコンピュータが実行する。
【発明の効果】
【0007】
本願の一態様にあっては、車両の走行距離に基づく利用料の請求額を出力することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】自動車取引システムの構成例を示す説明図である。
【
図2】サーバのハードウェア構成例を示すブロック図である。
【
図3】利用者端末のハードウェア構成例を示すブロック図である。
【
図4】所有者端末のハードウェア構成例を示すブロック図である。
【
図5】通信デバイスのハードウェア構成例を示すブロック図である。
【
図17】料金算出処理の手順例を示すフローチャートである。
【
図18】基本料金算出処理の手順例を示すフローチャートである。
【
図19】請求単価算出処理の手順例を示すフローチャートである。
【
図20】位置情報取得処理の手順例を示すフローチャートである。
【
図21】走行距離算出処理の手順例を示すフローチャートである。
【
図22】月間総走行距離算出処理の手順例を示すフローチャートである。
【
図23】利用料金算出処理の手順例を示すフローチャートである。
【
図24】利用料金表示画面の例を示す説明図である。
【
図29】原価補正処理の手順例を示すフローチャートである。
【
図32】モデル生成処理の手順例を示すフローチャートである。
【
図33】料金算出処理の他の手順例を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0009】
(実施の形態1)
以下実施の形態を、図面を参照して説明する。
図1は自動車取引システムの構成例を示す説明図である。自動車取引システム100はサーバ1、利用者端末2、所有者端末3及び通信デバイス4を含む。
【0010】
サーバ1は自動車取引システム100の運用に関わる種々の情報処理を担う情報処理装置である。サーバ1はサーバコンピュータ、ワークステーション、PC(Personal Computer)等で構成する。また、サーバ1を複数のコンピュータからなるマルチコンピュータやクラスタシステム、ソフトウェアによって仮想的に構築された仮想マシン又は量子コンピュータで構成しても良い。さらに、サーバ1の機能をクラウドサービスで実現してもよい。
【0011】
図2はサーバのハードウェア構成例を示すブロック図である。サーバ1は制御部11、主記憶部12、補助記憶部13、通信部14及び読み取り部15を含む。各構成はバスBにより接続されている。
【0012】
制御部11は、一又は複数のCPU(Central Processing Unit)、MPU(Micro-Processing Unit)、GPU(Graphics Processing Unit)等の演算処理装置を有する。制御部11は、補助記憶部13に記憶された制御プログラム1P(プログラム、プログラム製品)を読み出して実行することにより、サーバ1が担う種々の情報処理、制御処理等を行い、取得部、算出部、出力部等の各種機能部を実現する。
【0013】
主記憶部12は、SRAM(Static Random Access Memory)、DRAM(Dynamic Random Access Memory)、フラッシュメモリ等である。主記憶部12は主として制御部11が演算処理を実行するために必要なデータを一時的に記憶する。
【0014】
補助記憶部13はハードディスク又はSSD(Solid State Drive)等であり、制御部11が処理を実行するために必要な制御プログラム1Pや各種DB(Database、データベース)を記憶する。補助記憶部13は、車両DB131、残価DB132、料金DB133、利用者DB134、契約DB135、デバイスDB136、位置情報DB137、走行距離DB138、月間総距離DB139、請求DB13A及び訓練DB13Bを記憶する。補助記憶部13はサーバ1に外部接続された外部記憶装置であってもよい。補助記憶部13に記憶する各種DB等を、サーバ1とは異なるデータベースサーバやクラウドストレージに記憶してもよい。
【0015】
通信部14はネットワークNを介して、利用者端末2、所有者端末3及び通信デバイス4と通信を行う。また、制御部11が通信部14を用い、ネットワークN等を介して他のコンピュータから制御プログラム1Pをダウンロードし、補助記憶部13に記憶してもよい。
【0016】
読み取り部15はCD(Compact Disc)-ROM及びDVD(Digital Versatile Disc)-ROMを含む可搬型記憶媒体1aを読み取る。制御部11が読み取り部15を介して、制御プログラム1Pを可搬型記憶媒体1aより読み取り、補助記憶部13に記憶してもよい。また、半導体メモリ1bから、制御部11が制御プログラム1Pを読み込んでもよい。
【0017】
利用者端末2は自動車を利用する車両利用者が使用する端末である。自動車取引システム100では、車両利用者はオートローン、残価型クレジット等により、自動車を購入するか、サブスクリプション、リース契約により、自動車を借り受けることを想定している。利用者端末2はスマートフォン、タブレットコンピュータ、ノートパソコン、PC等で構成する。以降、車両利用者を単に利用者ともいう。自動車を車両ともいう。
【0018】
図3は利用者端末のハードウェア構成例を示すブロック図である。利用者端末2は制御部21、主記憶部22、補助記憶部23、通信部24、表示パネル25、操作部26及び撮像部27を含む。各構成はバスBで接続されている。
【0019】
制御部21は、一又は複数のCPU、MPU、GPU等の演算処理装置を有する。制御部21は、補助記憶部23に記憶された制御プログラム2P(プログラム、プログラム製品)を読み出して実行することにより、種々の機能を提供する。
【0020】
主記憶部22は、SRAM、DRAM、フラッシュメモリ等である。主記憶部22は主として制御部21が演算処理を実行するために必要なデータを一時的に記憶する。
【0021】
補助記憶部23はハードディスク又はSSD等であり、制御部21が処理を実行するために必要な各種データを記憶する。補助記憶部23は利用者端末2に外部接続された外部記憶装置であってもよい。補助記憶部23に記憶する各種DB等を、データベースサーバやクラウドストレージに記憶してもよい。
【0022】
通信部24はネットワークNを介して、サーバ1と通信を行う。また、制御部21が通信部24を用い、ネットワークN等を介して他のコンピュータから制御プログラム2Pをダウンロードし、補助記憶部23に記憶してもよい。
【0023】
表示パネル25は、液晶パネル又は有機EL(Electro Luminescence)ディスプレイ等で構成することができる。操作部26は、例えば、表示パネル25に組み込まれたタッチパネルで構成することができ、利用者が表示パネル25上で行う所定の操作を行うことができる。また、操作部26は、表示パネル25に表示したソフトウェアキ-ボード上の操作を行うことができる。なお、操作部26は、ハードウェアキーボード、マウスなどでもよい。
【0024】
撮像部27は例えばCCDカメラ又はCMOSカメラ等であり、CCD又はCOMS等を介して入力された光信号を光電変換することにより画像データを取得する。
【0025】
所有者端末3は、自動車の所有者が使用する端末である。自動車の所有者は、ローン会社やクレジット会社、リース会社等である。自動車取引システム100の運営者が所有者となってもよい。所有者端末3はPC、ノートパソコン、タブレットコンピュータ、スマートフォン等で構成する。
【0026】
図4は所有者端末のハードウェア構成例を示すブロック図である。所有者端末3は制御部31、主記憶部32、補助記憶部33、通信部34、入力部35及び表示部36を含む。各構成はバスBで接続されている。
【0027】
制御部31は、一又は複数のCPU、MPU、GPU等の演算処理装置を有する。制御部31は、補助記憶部33に記憶された制御プログラム3P(プログラム、プログラム製品)を読み出して実行することにより、種々の機能を提供する。
【0028】
主記憶部32は、SRAM、DRAM、フラッシュメモリ等である。主記憶部32は主として制御部31が演算処理を実行するために必要なデータを一時的に記憶する。
【0029】
補助記憶部33はハードディスク又はSSD等であり、制御部31が処理を実行するために必要な各種データを記憶する。補助記憶部33は所有者端末3に外部接続された外部記憶装置であってもよい。補助記憶部33に記憶する各種DB等を、データベースサーバやクラウドストレージに記憶してもよい。
【0030】
通信部34はネットワークNを介して、サーバ1と通信を行う。また、制御部31が通信部34を用い、ネットワークN等を介して他のコンピュータから制御プログラム3Pをダウンロードし、補助記憶部33に記憶してもよい。
【0031】
入力部35はキーボードやマウスである。表示部36は液晶表示パネル又は有機EL(electro Luminescence)表示パネル等を含む。表示部36はサーバ1が出力した利用者情報などを表示する。また、入力部35と表示部36とを一体化し、タッチパネルディスプレイを構成してもよい。なお、所有者端末3は外部の表示装置に表示を行ってもよい。
【0032】
通信デバイス4は自動車に取り付けてあるデバイスである。通信デバイス4は衛星測位システム等を利用して自己の位置を測定する機能、測定した位置を移動体通信網により、サーバ1へ送信する機能を備える。通信デバイス4は例えば、通信型ドライブレコーダにより構成する。
【0033】
図5は通信デバイスのハードウェア構成例を示すブロック図である。通信デバイス4は制御部41、主記憶部42、補助記憶部43、通信部44、位置取得部45及び撮像部46を含む。各構成はバスBで接続されている。
【0034】
制御部41は、一又は複数のCPU、MPU、GPU等の演算処理装置を有する。制御部41は、補助記憶部43に記憶された制御プログラム4P(プログラム、プログラム製品)を読み出して実行することにより、通信デバイス4の制御を行う。
【0035】
主記憶部42は、SRAM、DRAM、フラッシュメモリ等である。主記憶部42は主として制御部41が演算処理を実行するために必要なデータを一時的に記憶する。
【0036】
補助記憶部43はSDメモリカード又はSSD等であり、制御部41が処理を実行するために必要な各種データを記憶する。また、補助記憶部43は位置取得部45が取得した位置情報や、撮像部46が取得した画像を記憶する。
【0037】
通信部44はネットワークNを介して、サーバ1と通信を行う。通信部44はSIM(Subscriber Identity Module)カード441を備えており、移動体通信網を利用して、サーバ1へ位置情報や画像を送信する。
【0038】
位置取得部45は、GPS(Global Positioning System)受信機等で構成する。位置取得部45は、GPS衛星からの電波を受信する。位置取得部45は、受信した衛星電波を元に、自らの位置を求める。
【0039】
撮像部46は例えばCCDカメラ又はCMOSカメラ等で構成する。撮像部46はCCD又はCOMS等を介して入力された光信号を光電変換することにより画像データを取得する。
【0040】
次に、自動車取引システム100が用いるデータベースについて説明する。
図6は車両DBの例を示す説明図である。車両DB131は自動車取引システム100が取り扱っている車両の情報を記憶する。車両DB131は車両ID列、メーカ列、車種列、グレード列、本体色列、初度登録年月列及び価格列を含む。車両ID列は車両を一意に特定可能な車両IDを記憶する。車両IDは、自動車取引システム100において各車両を一意に特定可能であればよい。車両IDは独自に発行してもよいが、ISO3833が定義されている車両識別番号(Vehicle Identification Number、略してVIN)や国土交通省から付与される車台番号を用いてもよい。メーカ列は車両のメーカを記憶する。車種列は車種を記憶する。グレード列は車両のグレードを記憶する。本体色列は車両本体の色(車体色)を記憶する。初度登録年月列は初度登録年月を記憶する。初度登録年月は、車両を初めて陸運支局に登録申請をし、受理された年月である。価格列は初度登録時の車両価格を記憶する。
図6の例では、記憶する車両価格の単位は万円である。
【0041】
図7は残価DBの例を示す説明図である。残価DB132は車両の残価を記憶する。残価DB132はヘッダ1321とテーブル1322とからなる。ヘッダ1321は車両ID、車種、グレード、本体色を記憶する。テーブル1322は車両の総走行距離と、現時点から経過年数とに対応付けて、残価率と残価とを記憶する。
図7に示すヘッダ1321とテーブル1322とが、自動車取引システム100が取り扱う車両毎に作成され、記憶される。残価DB132は後述する基本料金及び請求単価の計算を行う際に作成される。
【0042】
図8は料金DBの例を示す説明図である。料金DB133は、車両の利用料金を記憶する。料金DB133は車両ID列、基本料金列、請求単価列及び算出日列を含む。車両ID列は車両IDを記憶する。基本料金列は料金のうち請求毎には変動しない固定部分の料金を記憶する。請求単価列は請求毎に変動する従量料金(追加料金)を計算する基礎となる単価を記憶する。従量料金は走行距離により計算する。詳細は後述する。算出日列は料金を算出した日付を記憶する。なお、本明細書においては、利用料金は月極で支払うものとして説明するが、それに限るものではない。
【0043】
図9は利用者DBの例を示す説明図である。利用者DB134は、車両利用者の情報を記憶する。利用者DB134は利用者ID列、氏名列、性別列、生年月日列及び住所列を含む。利用者ID列は利用者を一意に特定する利用者IDを記憶する。氏名列利用者の氏名を記憶する。性別列は利用者の性別を記憶する。生年月日列は利用者の生年月日を記憶する。住所列は利用者の住所を記憶する。
【0044】
図10は契約DBの例を示す説明図である。契約DB135は、所有者と利用者とで結ばれた車両の利用契約の情報を記憶する。契約DB135は利用者ID列、車両ID列、支払開始月列、支払終了月列、料金プラン列、月額基本料金列、請求単価列、及びボーナス払い列を含む。利用者ID列は利用者IDを記憶する。車両ID列は契約車両の車両IDを記憶する。支払開始月列は利用者が料金の支払いを開始する又は開始した時点の年と月とを記憶する。支払終了月列は利用者が料金の支払いを終了する又は終了した時点の年と月とを記憶する。料金プラン列は料金プランの名称を記憶する。月額基本料金列は月あたりの基本料金を記憶する。請求単価列は従量料金を算出する際に用いる単価を記憶する。本明細書においては、従量料金は走行距離に応じて決まるものとする。請求単価は、単位走行距離当たり、例えば1km当たりの従量料金である。ボーナス払い列は利用料金をボーナス払いする場合の支払月や金額を記憶する。
【0045】
図11はデバイスDBの例を示す説明図である。デバイスDB136は通信デバイス4についての情報を記憶する。デバイスDB136は車両ID列、端末管理番号列、IMEI列及びSIM列を含む。車両ID列は通信デバイス4が取り付けられている車両の車両IDを記憶する。端末管理番号列は通信デバイス4の管理番号を記憶する。IMEI列は国際移動体装置識別番号(International Mobile Equipment Identifier:IMEI)を記憶する。SIM列は通信デバイス4が備えるSIMカード441の端末製造番号を記憶する。
【0046】
図12は位置情報DBの例を示す説明図である。位置情報DB137は通信デバイス4の位置、すなわち車両の位置を記憶する。位置情報DB137はIMEI列、SIM列、Trip開始列、Trip終了列、時刻列、緯度列及び経度列を含む。IMEI列は通信デバイス4に付与されたIMEIを記憶する。SIM列は通信デバイス4が備えるSIMカード441の端末製造番号を記憶する。Trip開始列はTripの開始に該当するレコードである場合、フラグが立つ。Trip終了列はTripの終了に該当するレコードである場合、フラグが立つ。Tripは車両のひとまとまりの運行である。TripのTrip開始時点はエンジンの始動時点、Trip終了時点はエンジンの停止時点である。例えば、
図12ではフラグが立っていることをチェックマークで示す。時刻列は位置を観測した時刻を記憶する。緯度列は位置を示す緯度を記憶する。経度列は位置を示す経度を記憶する。位置を示す座標は地理座標系の緯度、経度に限らず、UTM座標系や平面直角座標系の座標値でもよい。
【0047】
図13は走行距離DBの例を示す説明図である。走行距離DB138は各Tripの走行距離を記憶する。走行距離DB138は車両ID列、IMEI列、開始列、終了列、Trip列、及び走行距離列を含む。車両ID列は車両IDを記憶する。IMEI列は通信デバイス4に付与されたIMEIを記憶する。開始列はTripの開始日時を記憶する。終了列はTripの終了日時を記憶する。Trip列は順番号を記憶する。走行距離列はTripの走行距離を記憶する。
図13の例では単位はメートル(m)である。
【0048】
図14は月間総距離DBの例を示す説明図である。月間総距離DB139は各車両の月毎の総走行距離を記憶する。月間総距離DB139は車両ID列、IMEI列、年月列及び総距離列を含む。車両ID列は車両IDを記憶する。IMEI列は通信デバイス4に付与されたIMEIを記憶する。年月列は算出対象とした年月を記憶する。総距離列は対象月の総走行距離を記憶する。総走行距離は、走行距離DB138から対象月のデータを抽出し、抽出したレコードの走行距離を合計した値である。なお、月をまたぐTripについては、開始日時で判断するのか、終了日時で判断するのか、予め定めておくこととする。
【0049】
図15は請求DBの例を示す説明図である。請求DB13Aは利用者への利用料金の請求額を記憶する。請求DB13Aは利用者ID列、車両ID列、IMEI列、利用年月列、基本料金列、従量料金列及び利用料金列を含む。利用者ID列は利用者IDを記憶する。車両ID列は利用者が利用している車両の車両IDを記憶する。IMEI列は通信デバイス4に付与されたIMEIを記憶する。利用年月列は請求対象となった車両の利用月を記憶する。基本料金列は請求した基本料金の額を記憶する。ボーナス払いを設定している場合、基本料金は通常月とボーナス月とは異なる額となる。従量料金列は請求した従量料金の額を記憶する。利用料金列は請求した利用料金の額(=基本料金+従量料金)を記憶する。
【0050】
次に、利用料金の基となる基本料金及び請求単価の算出方法について説明する。以下、残価が減少する分を減価という。本明細書では、車両の残価が減っていく要因(減価要因)は、様々なものがあるところ、大きく分けると、「使われた量に応じて減価する要素」と「使用しなくとも年数の経過に応じて減価する要素」が存在することに着目する。前者は車両の総走行距離で決まる減価である。後者は総走行距離が0であっても、初度登録時からの時間経過によって決まる減価である。これらの事項に基づき、車両の総走行距離の大小に関わらず年月の経過による減価は、主に基本料金に含めて回収し、総走行距離による減価は、主に従量料金として回収する。以下、具体的な例を想定して説明する。
【0051】
まず、計算の基になる残価データについて説明する。各車種、各グレード及び各本体色、並びに、初度登録月からの経過年数及び総走行距離に対応付けられている残価データ(残価率及び残価)を取得する。以降、当該残価データを基礎残価データという。サーバ1は例えば情報提供会社より残価データをダウンロード等にて取得し、補助記憶部13等に記憶する。残価は、車種、グレード、本体色が同一であっても、車両の状態等によって決まる格付けによって異なる。本実施の形態においては、平均的な状態より良質な状態を示す格付けの残価データを取得する。
【0052】
次に、計算時点又は利用開始予定時点において、対象とする車種の初度登録月からの経過年数を求める。例えば、2023年4月に、初度登録月2020年12月の車両を対象とした計算を行う場合、経過年数は2年である。
【0053】
続いて、利用契約の想定期間を加算した想定総経過年数を求める。すなわち、利用期間終了時点の経過年数を求める。上述の例で、利用期間(所定期間)が2023年4月から3年間とすると、想定総経過年数は2年+3年=5年である。
【0054】
次に、基礎残価データを参照して、想定総経過年数及び総走行距離と残価率及び残価とを対応付けた表を作成する。一例は
図7に示した残価DB132である。上述の例では、想定総経過年数は5年=60ヶ月であるが。
図7では利用期間を1年間、5年間とした場合、すなわち、想定総経過年数が3年=36ヶ月、7年=84ヶ月の場合も作成している。
【0055】
作成した残価DB132を参照して、想定総経過年数における総走行距離0kmの残価、残価率を特定する。
図7の例では、想定総経過年数3年の場合、残価=2,507,000円、残価率=89.3%である。
【0056】
特定した総走行距離0kmの残価又は残価率を用いて、基本料金として徴収する額の総額である支払元本を計算する。例えば、残価率を用いて、以下の式(1)で計算する。
【0057】
元本=車両価格-(車両価格×残価率)+メンテンス料+税金+諸費用 …(1)
車両価格は車両DBの価格列に記憶された初度登録時の車両価格である。メンテナンス料は利用期間中の車検、定期点検などを受けられる費用である。税金は自動車税(軽自動車税)、環境性能割、自動車重量税及び消費税等である。諸費用は自賠責保険料、検査登録費用、車庫証明費用及び納車費用等である。
【0058】
求めた元本から以下の式(2)で基本料金を計算する。
【0059】
基本料金=(元本+金利手数料)/支払回数 …(2)
支払いは利用期間中に毎月行うとすると、支払回数は利用期間月数と等しい。利用期間が3年であれば、支払回数は36回である。
【0060】
計算して得た基本料金は、料金DB133に記憶される。なお、総走行距離0kmの残価又は残価率に基づいて、基本料金を計算するのは、車両の総走行距離の大小に関わらず年月の経過によって、残価が減少する分は、基本料金として回収するという上述した考え方に基づくものである。なお、式(1)、式(2)による基本料金の算出方法は一例であり、これらに限るものではない。
【0061】
続いて、請求単価の算出について説明する。まず、対象車種の想定総経過年数おける総走行距離毎の残価データの中から、任意の2つの総走行距離を基準に、対応する2つの残価を特定する。特定した残価の差分を、2つの総走行距離の差分で割ることにより、単位距離当たりの減価が求まる。
【0062】
図16は原価単価の計算例を示す説明図である。原価単価は請求単価の基になる単価である。
図16に示す例では、想定総経過年数は3年=36ヶ月、2つの残価の組合せは、0kmとそれ以外の距離としている。総走行距離18,000kmのときの走行距離1km当たりの減価(絶対値)は以下のように計算される。2つの残価の組合せは、一方が0kmでなくともよく、例えば、総走行距離18,000kmの残価と、総走行距離24,000kmの残価から、走行距離1km当たりの減価を求めてもよい。
【0063】
原価単価=(2,507千円-2,423千円)/(18,000-0)=5円(小数第1位四捨五入)
他の総走行距離についても計算すると、
図16のキロ単位行の値が求まる。求まった複数の減価(絶対値)を基に、この後の処理に用いる値(原価単価という)を決定する。例えば、複数の減価(絶対値)の中から、最大値、中央値又は平均値を原価単価とする。最大値を採用すると、原価単価は6円となる。
【0064】
さらに、原価単価に利益、請求に必要な諸経費相当分、消費税を加えて、請求単価を確定する。諸経費は例えば、請求に係る事務手数料、金融機関等に支払う振替手数料、収納代行会社に支払う手数料等である。例えば、利益を10円乗せるとすると、利益が乗った原価(距離原価)は16円である。さらに、諸経費相当分として5%を乗せ、消費税10%を加えると、以下のように利用者に請求する単価(請求単価)は18円となる。
【0065】
請求単価=16円×(1+0.05)×1.1=18円(小数点第1位四捨五入)
以上のように、基本料金と請求単価とを定める方法は、上述したような、車両の総走行距離の大小に関わらず年月の経過による減価は平均的な格付けの値を採用し、基本料金として回収する。そして、総走行距離による減価は、従量料金として回収する。このような算出方法で算出した料金プランを、スタンダードプランと呼ぶ。
【0066】
次に、自動車取引システム100が行う情報処理について説明する。
図17は料金算出処理の手順例を示すフローチャートである。料金算出処理は自動車取引システム100の顧客となり、車両の利用者になろうとする者(利用予定者)からの要求により開始される処理である。説明の便宜上、利用予定者を利用者と表現し、使用する端末を利用者端末2と表現して説明する。
【0067】
利用者は利用者端末2を操作して、料金算出を指示する。利用者端末2の制御部21は算出の要求をサーバ1へ送信する(ステップS1)。サーバ1の制御部11は算出の要求を受信する(ステップS2)。制御部11は対象とする車両の情報を入力する入力画面を利用者端末2へ送信する(ステップS3)。利用者端末2の制御部21は入力画面を受信する(ステップS4)。制御部21は入力画面を表示パネル25に表示する(ステップS5)。利用者は利用した車両の情報を入力画面に入力する。入力すべき情報は、車種、グレード及び色(本体色)である。制御部21は入力を受け付ける(ステップS6)。なお、利用者に車両の情報以外に車両の利用期間を入力させてもよい。制御部21は受け付けた車種、グレード及び色をサーバ1へ送信する(ステップS7)。サーバ1の制御部11は車種、グレード及び色を受信する(ステップS8)。制御部11は在庫が有るか否かを判定する(ステップS9)。自動車取引システム100において、車両の調達は、提携するディーラーから行うことを前提としているので、制御部11は、提携ディーラーのシステムへ問い合わせを行い、在庫の有無を判定する。制御部11は在庫が有ると判定した場合(ステップS9でYES)、想定総経過年数を特定する(ステップS10)。制御部11は、ディーラーへの問い合わせから得た車両の情報から、初度登録年月から処理日現在の経過年数を算出する。現在の経過年数に利用期間を足して、利用期間満了時の経過年数=想定総経過年数を特定する。利用者が利用期間を指定した場合は指定した期間を足す。利用者が利用期間を指定していない場合、3年、5年、7年等を想定して、想定総経過年数を特定する。このとき、複数の想定総経過年数を特定し、各想定総経過年数について、以降の処理を行ってもよい。制御部11は想定総経過年数についての残価・残価率表を作成する(ステップS11)。
図7に示した残価DB132が一例である。制御部11は基本料金の算出を行う(ステップS12)。制御部11は請求単価の算出を行う(ステップS13)。制御部11は算出した基本料金、請求単価を料金DB133に記憶する(ステップS14)。制御部11は基本料金、請求単価を含む料金画面を作成し、利用者端末2へ送信する(ステップS15)。利用者端末2の制御部21は料金画面を受信し、表示パネル25に表示する(ステップS16)。制御部21は処理を終了する。制御部11は在庫がないと判定した場合(ステップS9でNO)、在庫がない旨の通知をする画面を作成し、利用者端末2へ送信する(ステップS17)。利用者端末2の制御部21は画面を受信し、表示パネル25に表示する(ステップS18)。利用者は終了するか、終了せずに他の車両を検索するかを入力する。制御部21は入力を受け付ける(ステップS19)。制御部21は終了するか否かを判定する(ステップS20)。制御部21は終了しないと判定した場合(ステップS20でNO)、処理をステップS5へ戻す。制御部21は終了する判定した場合(ステップS20でYES)、処理を終了する。
【0068】
図18は基本料金算出処理の手順例を示すフローチャートである。サーバ1の制御部11は残価DB132を参照して、想定総経過年数における総走行距離0kmの残価率を特定する(ステップS31)。制御部11は自動車税、消費税等の税金を計算する(ステップS32)。制御部11は自賠責保険、車庫証明等の諸経費、手数料を取得する(ステップS33)。制御部11は基本料金を算出する(ステップS34)。基本料金は例えば上述した式(1)で算出する。制御部11は処理を呼び出し元へ戻す。
【0069】
図19は請求単価算出処理の手順例を示すフローチャートである。サーバ1の制御部11は残価DB132を参照して、2つの総走行距離を選択する(ステップS41)。制御部11は単位キロ当たりの減価を算出する(ステップS42)。制御部11は選択した2つの総走行距離に対応する残価の差分を、総走行距離の差分で除し、1キロ単位の減価を算出する。制御部11は総走行距離の他の組合せがあるか否かを判定する(ステップS43)。制御部11は総走行距離の他の組合せがあると判定した場合(ステップS43でYES)、処理をステップS41へ戻す。制御部11は総走行距離の他の組合せがないと判定した場合(ステップS43でNO)、求めた全ての単位キロ当たりの減価より、原価単価を決定する(ステップS44)。例えば、減価の最大値、減価の平均値、又は、減価の中央値を、原価単価とする。制御部11は原価単価に、利益、請求に必要な諸経費相当分、消費税等を加えた請求単価を算出する(ステップS45)。制御部11は処理を呼び出し元へ戻す。
【0070】
料金算出処理により求めた基本料金及び請求単価を条件に、利用者は所有者と車両の利用契約を結ぶ。利用契約締結後、車両が納車され、利用者は利用を開始する。
【0071】
次に、利用料金の算出について説明する。利用料金は所定期間毎、ここでは月毎に算出する。利用料金を算出するには、従量料金の算出基礎になる所定期間の総走行距離、ここでは月間総走行距離の算出が必要である。月間総走行距離を求めるための処理について説明する。
【0072】
図20は位置情報取得処理の手順例を示すフローチャートである。位置情報取得処理は、車両に取り付けられている通信デバイス4から位置情報を取得して、車両の位置を位置情報DB137に蓄積する処理である。通信デバイス4は車両のエンジンが起動したことを検知して、処理を開始する。通信デバイス4の制御部41はサーバ1へ認証要求を送信する(ステップS61)。サーバ1の制御部11は認証要求を受信する(ステップS62)。制御部11は認証を行う(ステップS63)。例えば制御部11はSMS認証を行う。制御部11は認証結果を通信デバイス4へ送信する(ステップS64)。通信デバイス4の制御部41は認証結果を受信する(ステップS65)。制御部41は認証に成功したか否か判定する(ステップS66)。制御部41は認証に失敗したと判定した場合(ステップS66でNO)、処理を終了する。制御部41は認証に成功したと判定した場合(ステップS66でYES)、位置取得部45での測位結果をサーバ1へ送信する(ステップS67)。サーバ1の制御部11は測位結果受信する(ステップS68)。制御部11は測位結果に基づく車両の位置情報を位置情報DB137に記憶する(ステップS69)。制御部11は位置情報を記憶した旨の応答を通信デバイス4へ送信する(ステップS70)。通信デバイス4の制御部41は応答を受信する(ステップS71)。制御部41は処理を終了するか否かを判定する(ステップS72)。例えば、制御部41は車両のエンジンが停止したことを検知した場合、終了すると判定する。制御部41は処理を終了しないと判定した場合(ステップS72でNO)、処理をステップS67へ戻して、処理を続行する。制御部41は処理を終了すると判定した場合(ステップS72でYES)、終了をサーバ1へ送信する(ステップS73)。サーバ1の制御部11は終了を受信する(ステップS74)。制御部11は終了を記憶する(ステップS75)。例えば、制御部11は、最新の位置情報にTrip終了のフラグを立てる。制御部11は応答を通信デバイス4へ送信する(ステップS76)。通信デバイス4の制御部41は応答を受信し(ステップS77)、処理を終了する。
【0073】
図21は走行距離算出処理の手順例を示すフローチャートである。走行距離算出処理は位置情報DB137に記憶している位置情報に基づいて、各Tripの車両走行距離を算出する処理である。サーバ1の制御部11は処理対象とする1つのTripに含まれる位置情報を取得する(ステップS91)。制御部11は位置情報に基づいて、Tripの開始位置、終了位置、途中の通過位置を、電子地図上にプロットする(ステップS92)。その際、制御部11は、各点と道路ラインデータとの重なりを調べ、すべての点が道路上になるように補正する(マップマッチングを行う)。制御部11はプロットした位置と、道路ラインデータ又は道路ネットワークデータとより、開始位置から修了位置までの経路を生成する(ステップS93)。制御部11は経路と道路ネットワークデータとから、走行距離を算出する(ステップS94)。制御部11は走行距離を走行距離DB138に記憶する(ステップS95)。制御部11は終了するか否かを判定する(ステップS96)。制御部11は走行距離を算出していないTripがなければ終了すると判定し、そうでなければ、終了しないと判定する。制御部11は終了しないと判定した場合(ステップS96でNO)、処理をステップS91へ戻し、処理を続行する。制御部11は終了すると判定した場合(ステップS96でYES)、処理を終了する。なお、走行距離算出処理は、位置情報取得処理において、1つのTripの終了を検知する毎に、当該Tripを対象として走行距離を算出することが望ましい。この場合、ステップS96は不要である。
【0074】
図22は月間総走行距離算出処理の手順例を示すフローチャートである。月間総走行距離算出処理は、各車両について月毎の総走行距離を算出する処理である。月間総走行距離算出処理は月次バッチ処理等により、実行される。サーバ1の制御部11は算出対象とする期間を取得する(ステップS111)。期間は例えば、前月1日から前月末日である。それに限らず、前月21日から当月20日までなどとしてもよい。制御部11は対象とする期間内のTrip毎の走行距離データを走行距離DB138から取得する(ステップS112)。上述したが、Tripの開始から終了までが月をまたぐ場合、開始日時で判断するのか、終了日時で判断するのか、予め定めておくこととする。制御部11は算出対象とする車両IDを選択する(ステップS113)。制御部11は対象とした車両IDの各Tripの走行距離を足し合わせて、月間の総走行距離を算出する(ステップS114)。制御部11は算出した月間の総走行距離を、月間総距離DB139に記憶する(ステップS115)。制御部11は未処理の車両IDがある否かを判定する(ステップS116)。制御部11は未処理の車両IDがあると判定した場合(ステップS116でYES)、処理をステップS113へ戻し、未処理の車両IDに対する処理を行う。制御部11は未処理の車両IDがないと判定した場合(ステップS116でNO)、処理を終了する。
【0075】
図23は利用料金算出処理の手順例を示すフローチャートである。利用料金算出処理は各契約者請求する月毎の利用料金を算出する処理である。利用料金算出処理は月次バッチ処理等により、実行される。なお、利用料金算出処理を実行するまで、月間総走行距離算出が完了していることが前提である。サーバ1の制御部11は算出対象となる利用者の情報を利用者DB134から抽出する(ステップS131)。制御部11は処理対象とする利用者を選択する(ステップS132)。制御部11は選択した利用者の月間総走行距離を月間総距離DB139から取得する(ステップS133)。制御部11は契約DB135から利用者の請求単価を取得し、それに月間総走行距離を掛けて、従量料金を算出する(ステップS134)。制御部11は算出した従量料金に、契約DB135から取得した月額基本料金を加えた利用料金を算出する(ステップS135)。制御部11は基本料金、従量料金、利用料金を請求DB13Aに記憶する(ステップS136)。請求DB13Aに記憶した請求情報に基づき、別途、利用者への請求処理が行なわれる。制御部11は未処理の利用者が有るか否か判定する(ステップS137)。制御部11は未処理の利用者が有ると判定した場合(ステップS137でYES)、処理をステップS132へ戻す。制御部11は未処理の利用者がないと判定した場合(ステップS137でNO)、処理を終了する。利用料金を算出した後に、利用者に対して算出した利用料金を通知してもよい。例えば通知は電子メール、プッシュ通知等で行う。
【0076】
図24は利用料金表示画面の例を示す説明図である。利用料金表示画面d01は、月毎の利用料金を表示する画面である。利用料金表示画面d01は利用料金d011、支払情報d012、基本料金d013及び従量料金d014を含む。利用料金d011は請求される利用料金を示す。支払情報d112は支配方法、引落とし日等の支払日を示す。基本料金d013は月額の基本料金を示す。従量料金d014は月間総走行距離に応じた従量料金を示す。
【0077】
本実施の形態においては、利用料金のうち、従量料金は車両の走行距離に基づく請求額となる。そのため、走行距離が大きい利用者であっても、小さい利用者であっても利用料金は妥当性の有る値となる。なお、所有者がリース会社等であって、利用料金の徴収を自動車取引システム100の運営者が行っている場合において、月毎の従量料金は利用期間満了まで運営者が預かり、利用期間満了後に、運営者が所有者へ従量料金の総額(積算値)を支払うようにしてもよい。この場合、契約毎に従量料金の積算値を毎月計算し、契約DB135に記憶するのが望ましい。利用期間中に追加料金がどのくらい回収されているかを確認可能となるからである。また積算値を記憶していれば、利用期間満了後に所有者への支払処理を速やかに行うことが可能となる
【0078】
(実施の形態2)
本実施の形態は、月間総走行距離が規定値以内の場合は、従量料金を請求せず、規定値を越えた場合、超えた距離に応じた従量料金を請求する形態に関する。例えば、月間総走行距離が500km以内であれば、従量料金は発生せず、基本料金のみの請求となる。この料金プランを、月500kmまで課金無料プランという。月500kmまでとしているのは、自動車保有者に対するアンケート調査によれば、月平均の走行距離が500kmとの結果が出ているからである。したがって、月500kmまで課金無料というのは、一定の妥当性があると考えられるが、本実施の形態においては、これに限定するものではない。例えば、月300kmまで課金無料としてもよいし、月700kmまで課金無料としてもよい。このように月当たりの総走行距離が所定値以内の場合に、従量料金を請求しない料金プランを総称して、定額プランという。
【0079】
月500kmまで課金無料プランの基本料金、請求単価の算出においては、利用者が利用期間中に車両を毎月最低500kmは走行させることを前提とする。すなわち、利用期間が36ヶ月の場合であれば、総走行距離が18,000kmであるとして、基本料金を算出する。また、スタンダードプランよりも総走行距離が長いことを想定するので、残価データとして取得する車両の格付けは、スタンダードプランは車両の状態が平均的より良質を示す格付けとしたのに対して、平均的な状態を示す格付けとする。本実施の形態が実施の形態1と異なる点は、基本料金の算出法であるので、この点を主に以下説明する。
【0080】
図25は残価DBの他の例を示す説明図である。
図25に示す残価DB132の構造は、
図7に示した残価DB132と同一であるので説明を省略する。上述したようにスタンダードプランに比べると、月500kmまで課金無料プランでは、格付けが下の残価データを用いるため、残価率、残価ともに、
図25に示す値は
図7に示した値より小さくなっている。
【0081】
基本料金の算出は以下のように行う。想定想経過年数が3年=36ヶ月であった場合、残価DB132を参照して、想定総経過年数における総走行距離18,000kmの残価率を特定する。
図25の例では、83.0%である。この残価率を用いて、実施の形態1で示した式(1)で、基本料金を計算する。実施の形態1では総走行距離0kmの残価率を採用したのに対して、本実施の形態では総走行距離18,000kmの残価率を採用する点が異なる。
【0082】
図26は原価単価の計算例を示す説明図である。計算方法は
図16を参照して説明した実施の形態1と同様である。
図16と同様に、想定総経過年数は3年=36ヶ月、2つの残価の組合せは、0kmとそれ以外の距離としている。それに限らず、一方が0kmではない、例えば、総走行距離18,000kmの残価と、総走行距離24,000kmの残価との組合せでよい。総走行距離18,000kmのときの走行距離1km当たりの減価(絶対値)は以下のように計算される。
【0083】
原価単価=(2,416千円-2,331千円)/(18,000-0)=5円(小数第1位四捨五入)
原価単価として、最大値を採用すると、原価単価は6円となる。さらに、原価単価に利益、請求に必要な諸経費相当分、消費税を加えて、請求単価を確定する。原価単価から請求単価を求める考え方は、実施の形態1と同様である。
【0084】
本実施の形態において行う処理は、
図17から
図23のフローチャートで示した内容と同様である。但し、基本料金算出処理(
図18)のステップS31で特定する残価率は、総走行距離18,000kmに対応する値である。
【0085】
本実施の形態で提案する月500kmまで課金無料プランでは、月毎に固定の基本料金がスタンダードプランよりも高くなるものの、月総走行距離が500kmまでは、追加料金(従量料金)が発生しないため、車両の走行距離が毎月500km近辺となることが想定される利用者にとっては、スタンダードプランよりも合理的な料金プランとなる。
【0086】
(実施の形態3)
本実施の形態は、スタンダードプランよりも固定の基本料金を圧縮する料金プランである。基本料金を圧縮する点に着目して、エコノミープランと呼ぶ。エコノミープランはスタンダードプランよりも月毎の総走行距離が少ないことを想定したプランである。そのため、残価データとして取得する車両の格付けは、スタンダードプランは車両の状態が平均的より良質を示す格付けとしたのに対して、本実施の形態では、スタンダードプランよりも更に良質の格付けとする。本実施の形態が実施の形態1と異なる点は、基本料金、従量料金の算出元となる残価データである。
【0087】
図27は残価DBの他の例を示す説明図である。
図27に示す残価DB132の構造は、
図7に示した残価DB132と同一であるので説明を省略する。上述したようにスタンダードプランに比べると、エコノミープランでは、格付けが上の残価データを用いるため、残価率、残価ともに、
図27に示す値は
図7に示した値より大きくなっている。
【0088】
基本料金、従量料金の算出方法は、実施の形態1(スタンダードプラン)と同様であるから説明を省略する。また、本実施の形態において行う処理は、
図17から
図23のフローチャートで示した内容と同様である。
【0089】
本実施の形態で提案するエコノミープランでは、月毎に固定の基本料金がスタンダードプランよりも安くなるため、車両を移動手段として実用的に使うのではなく、所有して眺める、純粋にドライブを楽しむといった、総走行距離は少なく所有することで喜びを得ることが主目的の利用者に適したプランとなる
【0090】
(実施の形態4)
本実施の形態は、スタンダードプラン及びエコノミープランの請求単価を、月500kmまで課金無料プランとの対比で補正する形態に関する。上述したように、各プランの基本料金、従量料金の算出には、残価データを用いている。繰り返しとなるが、残価は車両の状態を示す格付けによって異なる。減価は総走行距離と正の相関を持つと考えられ、各プランにおいて想定する総走行距離の大小より、月500kmまで課金無料プランでは、平均的な格付けの車両の残価データを、スタンダードプランでは、平均よりもやや高い格付けの車両の残価データ、エコノミープランでは、更に高い格付けの車両の残価データをそれぞれ採用し、基本料金及び従量料金を算出している。しかし、どのような格付けの車両であっても、平均と言われている月間総走行距離500kmで使用されていけば、数年経過後に評価された残価は、平均的な値となることは想定される。すなわち、スタンダードプラン又はエコノミープランで契約した利用者による車両の利用が、想定に反して、利用期間中の月間総走行距離が500km近辺で推移した場合、利用期間満了時の残価が契約時に想定した残価を下回ることがあり得る。また、従量料金は走行距離に応じた減価分を回収するための料金であるが、車両の格付けは変わらない前提で算出しているため、基本料金での未収分を補填できる可能性は薄い。そこで、スタンダードプラン及びエコノミープランの請求単価を、月500kmまで課金無料プランの請求単価を用いて補正する。
【0091】
図28は距離原価の補正方法を示す説明図である。
図28に示すのは、ここまでの例と同様に、利用期間が36ヶ月の例である。プラン列はプランの名称を示している。想定総走行距離列は料金算出時に想定する利用期間における車両の総走行距離を示している。月500kmまで課金無料プランは18,000kmである。スタンダードプラン、エコノミープランでは想定総走行距離は設定しない。当初残価率列は基本料金の基となる総走行距離0kmであったとき利用期間満了時の残価率を示している。当初残価列は同様に総走行距離0kmであったとき利用期間満了時の残価を示している。基準原価列は各プランにおいて請求単価処理において算出する原価単価を示している。満了時残価列は各プランにおいて、利用期間における総走行距離が18,000kmであったときの利用期間満了時の残価を示している。上段の定額プランとの差分列は、スタンダードプラン又はエコノミープランの満了時残価と、月500kmまで課金無料プランの満了時残価(参考残価データ)との差分を示している。満了時残価率列は各プランにおいて、利用期間における総走行距離が18,000kmであったときの利用期間満了時の残価率を示している。下段の定額プランとの差分列は、スタンダードプラン又はエコノミープランの満了時残価率と、月500kmまで課金無料プランの満了時残価率との差分を示している。調整原価列は、上段の定額プランとの差分列の値を18,000で割った値を示している。距離原価列は、距離原価列の値と、調整原価列の値とを加算した値、原価単価を示している。請求単価(税抜き)列は、原価単価に利益等を加えた請求単価を示している。請求単価(税込み)列は消費税を含めた請求単価を示している。
【0092】
以上のように、スタンダードプラン及びエコノミープランにおいて、利用期間における総走行距離が、月500kmまで課金無料プランの想定総走行距離である18,000kmとなった場合に、利用期間満了時の残価が、月500kmまで課金無料プランの残価と同じ値まで下がったとしても、差分の残価を1km毎の調整原価とし、原価単価に加えることにより、下がった分の残価を回収することが可能となる。
【0093】
以上のように、原価単価が補正された後、請求単価が算出される。原価単価を補正する処理の手順を、フローチャートを用いて改めて説明する。
図29は原価補正処理の手順例を示すフローチャートである。原価補正処理は、
図19に示した請求単価算出処理において、ステップS45に入れ換わって実行される。すなわち、ステップS44に続いて、原価補正処理が実行され、ステップS45は実行されずにリターンする。
【0094】
サーバ1の制御部11は算出対象となっているのが定額プランであるか否かを判定する(ステップS151)。ここでは定額プランは、月500kmまで課金無料プランである。算出対象とする料金プランの指定は、
図17に示した料金算出処理のステップS6において受け付ける。制御部11は定額プランでないと判定した場合(ステップS151でNO)、定額プランの利用期間満了時の残価と、対象となっているプランにおいて、利用期間における総走行距離が18,000kmであったときの利用期間満了時の残価とを取得する(ステップS152)。制御部11は取得した2つの残価の差分を算出する(ステップS153)。制御部11は残価の差分を想定総走行距離(ここでは18,000km)で割り、調整原価を算出する(ステップS154)。制御部11は距離原価を算出する(ステップS155)。距離原価は
図19のステップS44で求めた原価単価(基準原価)に、調整原価を加算したものである。制御部11は距離原価から請求単価を算出する(ステップS156)。制御部11は定額プランであると判定した場合(ステップS151でYES)、ステップS156を実行する。制御部11は処理を終了する。
【0095】
本実施の形態においては、スタンダードプラン又はエコノミープランで契約した利用者による車両の利用が、想定に反して、利用期間中の月間総走行距離が500km近辺で推移した場合であって、利用期間満了時の残価が契約時に想定した残価を下回り、月500kmまで課金無料プランの残価と同水準になったとしても、調整原価を加味した請求単価で、従量料金を請求することにより、残価が下回った分の額を回収することが可能となる。
【0096】
なお、利用期間満了後に車両を売却した際の実際の価格が、契約時に想定した想定残価を下回った場合、オープンエンド方式を採用し、売却価格と想定残価との差分を利用者から徴収してもよい。または、クローズエンド方式を採用し、利用者から追加徴収をせずともよい。オープンエンド方式とするか、クローズエンド方式とするかは、予め定めておく。それに限らず、何れの方式とするかを、契約時に利用者と所有者とが協議の上、決めてもよい
【0097】
(実施の形態5)
基本料金、請求単価を算出する際には、利用期間における総走行距離の想定値をどのように定めるかがポイントである。本実施の形態は、学習モデルを用いて、利用者毎に総走行距離の想定値を設定する。
【0098】
図30は訓練DBの例を示す説明図である。訓練DB13Bは後述する学習モデルを学習するための訓練データを記憶する。訓練DB13Bは車種列、車種クラス列、色列、グレード列、年齢列、性別列、職業列、利用期間列及び総走行距離列を含む。車種列からグレード列は過去に利用契約された車両に関するデータを記憶する。車種列は車両の名称を記憶する。車種クラス列は車両のクラスを記憶する。クラスは例えば、コンパクトカークラス、スタンダードクラス、ラグジュアリー(高級車)クラス、エコロジークラス、SUVクラス、及び商用車クラスなどである。色列は車両の本体色を記憶する。グレード列は車両のグレードを記憶する。年齢列から職業列は利用情報を記憶する。年齢列は利用者の年齢を記憶する。40代等の年代でもよい。性別列は利用者の性別を記憶する。職業列は利用者の職業を記憶する。利用期間列は車両が利用された期間を記憶する。総走行距離列は利用期間における車両の総走行距離の実績を記憶する。訓練DB13Bは利用者DB134、契約DB135、月間総距離DB139等を参照して生成する。
【0099】
図31は推定モデルの構成例を示す説明図である。推定モデルMは車両情報、利用者情報及び利用期間を入力した場合に、利用期間における車両の総走行距離の推定値を出力する学習モデルである。推定モデルMは深層学習により生成されるニューラルネットワークであり、例えばCNN(Convolutional Neural Network)等で構成する。推定モデルMは学習工程において、訓練DB13Bに記憶する訓練データにより、学習する。
図31に示す例では、車両情報は車種、車種クラス、色及びグレードである。また、利用者情報は年齢、性別、職業である。
【0100】
図32はモデル生成処理の手順例を示すフローチャートである。サーバ1の制御部11は訓練DB13Bから訓練データを取得する(ステップS171)。制御部11は訓練データの中から、1レコードを選択する(ステップS172)。制御部11は選択した訓練データの1レコードを用いて学習を行う(ステップS173)。例えば、制御部11は訓練データに含まれる車両情報、利用者情報、利用期間を推定モデルMへ入力し、推定モデルMから出力された総走行距離の推定値が、訓練データに含まれる総走行距離の値に近づくように、推定モデルMを構成するニューロン間の重み等のパラメータを最適化する。制御部11は学習に使用されていない未処理のレコードが有るか否かを判定する(ステップS174)。制御部11は未処理のレコードが有ると判定した場合(ステップS174でYES)、処理をステップS172へ戻し処理を継続する。制御部11は未処理の訓練データがないと判定した場合(ステップS174でNO)、学習して得た推定モデルMを記憶し(ステップS175)、処理を終了する。
【0101】
図33は料金算出処理の他の手順例を示すフローチャートである。利用者は利用者端末2を操作して、料金算出を指示する。利用者端末2の制御部21は算出の要求をサーバ1へ送信する(ステップS181)。サーバ1の制御部11は算出の要求を受信する(ステップS182)。制御部11は車両情報、利用期間等を入力する入力画面を利用者端末2へ送信する(ステップS183)。利用者端末2の制御部21は入力画面を受信する(ステップS184)。制御部21は入力画面を表示パネル25に表示する(ステップS185)。利用者は利用した車両の情報を入力画面に入力する。入力すべき情報は、車種、グレード及び色(本体色)並びに利用期間である。希望する料金プランを入力可能してもよい。なお、定額プランに関して、従量料金を請求しない月間総走行距離は、利用期間における総走行距離により定めるので、入力画面では定額となる月間総走行距離の上限値は表示しない。制御部21は入力を受け付ける(ステップS186)。制御部21は受け付けた車種、グレード及び色並びに利用期間をサーバ1へ送信する(ステップS187)。サーバ1の制御部11は車種、グレード及び色並びに利用期間を受信する(ステップS188)。制御部11は在庫が有るか否かを判定する(ステップS189)。自動車取引システム100において、車両の調達は、提携するディーラーから行うことを前提としているので、制御部11は、提携ディーラーのシステムへ問い合わせを行い、在庫の有無を判定する。制御部11は在庫が有ると判定した場合(ステップS189でYES)、想定総経過年数を特定する(ステップS190)。制御部11は、ディーラーへの問い合わせから得た車両の情報から、初度登録年月から処理日現在の経過年数を算出する。現在の経過年数に利用者が指定した利用期間を足して、利用期間満了時の経過年数=想定総経過年数を特定する。制御部11総走行距離の推定を行う(ステップS191)。すなわち、制御部11は推定モデルMへ利用者情報、車両情報、利用期間を入力し、推定モデルMから総走行距離の推定値を取得する。制御部11は、推定した総走行距離を考慮して、想定総経過年数についての残価・残価率表を作成する(ステップS192)。制御部11は、推定した総走行距離によって、残価データを取得する際の車両の格付けを調整する。制御部11は基本料金の算出を行う(ステップS193)。制御部11は請求単価の算出を行う(ステップS194)。定額プランの算出においては、推定した総走行距離を想定総走行距離として、基本料金、請求単価を計算する。制御部11は算出した基本料金、請求単価を料金DB133に記憶する(ステップS195)。制御部11は基本料金、請求単価を含む料金画面を作成し、利用者端末2へ送信する(ステップS196)。定額プランの料金画面では、推定した総走行距離を利用期間月数で割って求めた月毎の料金を定額とする上限距離を含める。例えば推定した総走行距離が14,400kmで、利用期間月数が36ヶ月のとき、月毎の上限距離は400kmとなる。利用者端末2の制御部21は料金画面を受信し、表示パネル25に表示する(ステップS197)。制御部21は処理を終了する。制御部11は在庫がないと判定した場合(ステップS189でNO)、在庫がない旨の通知をする画面を作成し、利用者端末2へ送信する(ステップS198)。利用者端末2の制御部21は画面を受信し、表示パネル25に表示する(ステップS199)。利用者は終了するか、終了せずに他の車両を検索するかを入力する。制御部21は入力を受け付ける(ステップS200)。制御部21は終了するか否かを判定する(ステップS201)。制御部21は終了しないと判定した場合(ステップS201でNO)、処理をステップS185へ戻す。制御部21は終了する判定した場合(ステップS201でYES)、処理を終了する。
【0102】
本実施の形態においては、推定モデルMを用いて、利用期間における総走行距離の推定をするので、利用期間満了時の残価、残価率を精度良く推定することが可能となる
【0103】
(残価データの補間)
上述したように、残価データは情報提供会社より取得することを前提としている。そのため、得られる残価データは離散的であり、料金算出に必要となる残価データが得られないことが想定される。その場合は、得られるデータから補間して求める。例えば、経過年数3年(36ヶ月)と経過年数4年(48ヶ月)との残価データが得られている場合において、経過年数3.5年(42ヶ月)の残価データが必要となったときは、4年の残価データと3年の残価データとの差分を12で割り、1ヶ月毎の減価を求め、求めた減価に6を掛けた値を、3年の残価から引くことにより、経過年数3.5年の残価を得ることが可能である。
【0104】
距離についての補間は距離単価の考え方と同様である。18,000kmと24,000kmとの残価データが得られている場合に、20,000kmの残価データが必要となったときは、残価データの差分を、距離の差分(6,000km)で割り、1km当たりの減価を求める。求めた減価に2,000を掛けた値を、18,000kmの残価データより引くことにより、20,000kmの残価データを得ることが可能である。
【0105】
本体色についての補間は困難であるが、以下のような処理を採用しうる。例えば、ソリッドホワイトの残価データは得られているが、パールホワイトの残価データは得られていない場合、同じホワイト系の色であるので、ソリッドホワイトの残価データで代用する。または、パールホワイトはソリッドホワイトよりも、やや人気が落ちると分かっていた場ときは、ソリッドホワイトの残価データに一律0.9を掛けた値を、パールホワイトの残価データとする。
【0106】
また、本体色の人気ランキングで、6位:レッド、7位:ブラウン・ベージュ、8位:グリーンであることが判明しており、残価データとしてレッド、グリーンのデータは得られているが、必要となるブラウン・ベージュの残価データがない場合は、レッドのデータと、グリーンのデータとの中間の値をブラウン・ベージュの残価データとする。
【0107】
以上に述べた補間方法は線形補間であるが、他に補間法が適しているのであれば、それを採用してもよい。
【0108】
各実施の形態で記載されている技術的特徴(構成要件)はお互いに組み合わせ可能であり、組み合わせすることにより、新しい技術的特徴を形成することができる。
【0109】
今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって、制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上記した意味ではなく、特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味及び範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【0110】
また、特許請求の範囲には他の2以上のクレームを引用するクレームを記載する形式(マルチクレーム形式)を用いているが、これに限るものではない。マルチクレームを少なくとも一つ引用するマルチクレーム(マルチマルチクレーム)を記載する形式を用いて記載してもよい。
【符号の説明】
【0111】
100 :自動車取引システム
1 :サーバ
1P :制御プログラム
11 :制御部
12 :主記憶部
13 :補助記憶部
131 :車両DB
132 :残価DB
1321 :ヘッダ
1322 :テーブル
133 :料金DB
134 :利用者DB
135 :契約DB
136 :デバイスDB
137 :位置情報DB
138 :走行距離DB
139 :月間総距離DB
13A :請求DB
13B :訓練DB
14 :通信部
15 :読み取り部
16 :表示パネル
1a :可搬型記憶媒体
1b :半導体メモリ
2 :利用者端末
21 :制御部
22 :主記憶部
23 :補助記憶部
24 :通信部
25 :表示パネル
26 :操作部
27 :撮像部
2P :制御プログラム
3 :所有者端末
3P :制御プログラム
4 :通信デバイス
41 :制御部
42 :主記憶部
43 :補助記憶部
44 :通信部
45 :位置取得部
46 :撮像部
4P :制御プログラム
B :バス
N :ネットワーク