(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024170259
(43)【公開日】2024-12-06
(54)【発明の名称】滑車用巻き込み防止具
(51)【国際特許分類】
F16H 55/50 20060101AFI20241129BHJP
B66D 1/36 20060101ALI20241129BHJP
【FI】
F16H55/50
B66D1/36 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023087322
(22)【出願日】2023-05-26
(71)【出願人】
【識別番号】390031934
【氏名又は名称】日本リーテック株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100102749
【弁理士】
【氏名又は名称】澤木 紀一
(72)【発明者】
【氏名】小柳 昌光
【テーマコード(参考)】
3J031
【Fターム(参考)】
3J031AC07
3J031CA05
(57)【要約】
【課題】従来、滑車の巻き込み防止具のロープ引き込み、引き出し用開口部は、車輪のロープ溝に沿って直線状に形成されていたため、ロープが幅方向に揺れた時に、ロープがカバー体の1か所に当たり続けて、該カバー体の当接部分が擦れてカバー体が破損してしまうおそれがあった。
【解決手段】本発明の滑車用巻き込み防止具は、滑車の車輪を回転自在に支持する支持枠の表面側に固定された一方の本体部と、上記支持体の裏面側に固定された他方の本体部と、上記一方の本体部と、他方の本体部とにそれぞれ設けられた、上記車輪のロープ溝を覆う、先端縁が互いに対向するように設けられた、可撓性部材よりなる一方及び他方のカバー体とよりなり、上記一方のカバー体の先端縁と、上記他方のカバー体の先端縁とにより、上記車輪のロープ溝に沿って伸びる開口部が形成され、該開口部は、直線、又は/及び、曲線が何度も折れ曲がった形状に形成されることを特徴とする。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
滑車の車輪を回転自在に支持する支持枠の表面側に固定された一方の本体部と、
上記支持体の裏面側に固定された他方の本体部と、
上記一方の本体部と、他方の本体部とにそれぞれ設けられた、上記車輪のロープ溝を覆う、先端縁が互いに対向するように設けられた、可撓性部材よりなる一方及び他方のカバー体とよりなり、
上記一方のカバー体の先端縁と、上記他方のカバー体の先端縁とにより、上記車輪のロープ溝に沿って伸びる開口部が形成され、
該開口部は、直線、又は/及び、曲線が複数回、折れ曲がった形状に形成されていることを特徴とする滑車用巻き込み防止具。
【請求項2】
上記開口部は、ジグザグ状であることを特徴とする請求項1に記載の滑車用巻き込み防止具。
【請求項3】
上記開口部は、波状であることを特徴とする請求項1に記載の滑車用巻き込み防止具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、金車などの滑車の巻き込み防止具に関するものである。
【背景技術】
【0002】
図4及び
図5は、ロープ(ワイヤー等も含む)をかけて物を吊り上げたり、ロープを支持したりする金車1を示し、該金車1は、例えば、外周面にロープ溝2aを有する車輪2と、該車輪2の回転軸3を回転自在に支持する支持枠4とよりなる。
【0003】
また、上記支持枠4は、例えば、上記車輪2の、
図4において表面側(
図4において正面側)で、上記回転軸3の一端を回転自在に支持する一方の枠体4aと、上記車輪2の裏面側(
図4において背面側)で、上記回転軸3の他端を回転自在に支持する他方の枠体4bと、上記一方の枠体4aと上記他方の枠体4bとを連結する上下の連結部4c、4dと、上記上側連結部4dの上端に固定された、他の部材と接続するための、例えば、貫通孔5aを有する接続部5よりなる。
【0004】
上記金車1においては、車輪2がむき出しであるので、該車輪2とローブとに、手指が巻き込まれてしまう危険性があった。
【0005】
そこで、従来、
図6~
図9に示すように、上記金車1に、巻き込み防止具6を取り付け、該金車1に手指が巻き込まれないようにしたものがある。
【0006】
上記巻き込み防止具6は、例えば、上記一方の枠体4aに固定した、上記車輪2の径より大きい略円形状の板体からなる一方の本体部7aと、上記他方の枠体4bに固定した、上記一方の本体部7aと略同形状の他方の本体部7bと、上記一方及び他方の本体部7a、7bの外周縁に沿って、矩形板体状のカバー体取付具8a、8bを介して、それぞれ先端縁が互いに接近するように設けたゴム等の可撓性部材よりなる一方及び他方のカバー体9a、9bとよりなり、上記一方のカバー体9aの先端縁10aと、上記他方のカバー体9bの先端縁10bとが、所望の距離離間して、上記ローブ溝方向に沿って直線状に延びる、ロープ挿通用の開口部11が形成される。
【0007】
そして、上記開口部11から、ロープが引き出され、また、引き込まれるようになる。
【0008】
なお、金車に支持等されるロープは、
図10や
図11に示すように、使用目的によって、引き出し、引き込み位置が異なり、例えば、
図10においては、引き出し、引き込まれるロープ12は、上記開口部11に対して、いずれも上方に位置するが、
図11においては、引き出し、引き込まれるロープ12は、上記開口部11に対して、一方のロープは上方に位置し、他方のロープは側部に位置するようになる。
【0009】
従って、上記巻き込み防止具6の上記開口部11の長さは、汎用性を持たせるために、車輪2のロープ溝方向に沿って、長くなるように形成されている。
【0010】
上記従来の巻き込み防止具によれば、金車を覆い、ローブが引き出し、又は、引き込まれる部分のみ開口されるので、車輪とロープに手指等が巻き込まれることを防ぐことができるようになる。
【0011】
従来の巻き込み防止具としては、例えば、特許文献1がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0012】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
しかしながら、上記車輪から引き出されるロープは、車輪の幅方向(
図4において前後方向)に揺れ、そして、カバー体の1か所に当たり続けて、該カバー体の当接部分が擦れて、カバー体が破損してしまうおそれがあった。
【0014】
本発明は、上記問題点を解消しようとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0015】
本発明の滑車用巻き込み防止具は、滑車の車輪を回転自在に支持する支持枠の表面側に固定された一方の本体部と、上記支持体の裏面側に固定された他方の本体部と、上記一方の本体部と、他方の本体部とにそれぞれ設けられた、上記車輪のロープ溝を覆う、先端縁が互いに対向するように設けられた、可撓性部材よりなる一方及び他方のカバー体とよりなり、上記一方のカバー体の先端縁と、上記他方のカバー体の先端縁とにより、上記車輪のロープ溝に沿って伸びる開口部が形成され、該開口部は、直線、又は/及び、曲線が何度も(複数回)、折れ曲がった形状に形成されていることを特徴とする。
【0016】
また、上記開口部は、ジグザグ状、又は、波状であることを特徴とする。
【発明の効果】
【0017】
本発明の滑車の巻き込み防止具によれば、カバー体の破損を防ぐことができるようになる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【
図1】本発明の滑車の巻き込み防止具の側面図である。
【
図2】本発明の滑車の巻き込み防止具の一方及び他方のカバー体の展開図である。
【
図3】本発明の滑車の巻き込み防止具の使用状態を示す斜視図である。
【
図6】従来の滑車の巻き込み防止具の正面図である。
【
図7】従来の滑車の巻き込み防止具の側面図である。
【
図8】従来の滑車の巻き込み防止具の平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下図面によって本発明の実施例を説明する。
【0020】
なお、従来例と同じ部分には同じ符号を付け、説明を省略する。
【実施例0021】
本発明においては、
図1~
図3に示すように、上記従来の巻き込み防止具において、上記開口部11を、車輪2のロープ溝方向に沿った直線状に形成する代わりに、車輪2のローブ溝方向に沿って、ジグザグ状、又は/及び、波状等の、直線、又は/及び、曲線が複数回、折れ曲がった開口部13が形成された巻き込み防止具14を用いるようにする。
【0022】
なお、
図2は、上記一方及び他方のカバー体9a、9bを展開した図を示し、
図2中、16は、上記一方及び他方のカバー体9a、9bを、上記一方及び他方の本体部7a、7bに固定するための取付用孔部を示す。
【0023】
なお、上記ジグザグ状に形成された開口部13は、上記一方及び他方のカバー体9a、9bの先端縁10a、10bにより、ジグザグ状の開口部が形成されれば、特に、形状に制限はないが、例えば、上記一方及び他方のカバー体9a、9bの先端縁10a、10bが、同一形状の二等辺三角形や正三角形の凸部が複数(例えば、少なくとも2以上)並ぶことにより形成される。
【0024】
また、上記波状に形成された開口部13は、上記一方及び他方のカバー体9a、9bの先端縁10a、10bにより、波状の開口部が形成されれば、特に、形状に制限はないが、例えば、上記一方及び他方のカバー体9a、9bの先端縁10a、10bが、同一形状の半円状や半楕円状の凹凸が複数(例えば、凸部と凹部との合計が少なくとも2以上、又は3以上)並ぶことにより形成される。
【0025】
なお、上記開口部13は、ジグザグ状の部分と、波状の部分が組み合わさったものであってもよい。
【0026】
また、開口部の途中で、直線となる直線部を設けてもよい。
【0027】
また、上記開口部13の幅は、特に限定はないが、例えば、ロープの直径より広く、また、ロープ間を接続するコネクタ部の直径の2倍程度であり、例えば、10mm~40mm程度である。
【0028】
また、例えば、直径200mm~450mmの金車において、上記ジグザグ状、又は、波状は、ピッチが51mm、高さが、30mmなどがある。
【0029】
また、上記開口部13の車輪2のロープ溝方向の位置や長さは、特に限定はなく、車輪の略全周の長さ(支持枠部を除く)や、支持枠4の左右側面にそれぞれ開口部13,13を設けても良い。
【0030】
また、
図3に示すように、上記本体部7a、7bに、軽量化のために、複数の開口を設けるようにしてもよい。
【0031】
また、上記カバー体9a、9bを、カバー体取付具8a、8bを用いず、直接、本体部7a、7bに固定するようにしてもよい。
【0032】
本発明によれば、車輪2に掛かるローブ12が、車輪の前後方向(幅方向)に揺れた場合であっても、接触により撓む部分は、三角形状等の凸部の部分だけであるため、撓みやすくなり、カバー体の擦れを抑えることができるようになる。
【0033】
即ち、従来のカバー体においては、ロープの接触により、その接触部分だけが撓むのではなく、カバー体全体が撓み、そのため、その接触部分は、カバー体全体から復元力を受けるので、強く擦れ、カバー体が破損してしまう恐れがあったが、本発明においては、接触した凸部分のみが撓むので、復元力も弱く、強く擦れることがなく、カバー体の破損を防ぐことができるようになる。