(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024017026
(43)【公開日】2024-02-08
(54)【発明の名称】表示灯付発信機
(51)【国際特許分類】
G09F 13/18 20060101AFI20240201BHJP
G09F 13/04 20060101ALI20240201BHJP
H01H 9/18 20060101ALI20240201BHJP
G08B 17/00 20060101ALI20240201BHJP
【FI】
G09F13/18 N
G09F13/04 D
H01H9/18 B
G08B17/00 H
【審査請求】未請求
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022119382
(22)【出願日】2022-07-27
(71)【出願人】
【識別番号】000111074
【氏名又は名称】ニッタン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100090033
【弁理士】
【氏名又は名称】荒船 博司
(74)【代理人】
【識別番号】100093045
【弁理士】
【氏名又は名称】荒船 良男
(72)【発明者】
【氏名】石田 悠馬
(72)【発明者】
【氏名】大下 剛
【テーマコード(参考)】
5C096
5G052
5G405
【Fターム(参考)】
5C096AA02
5C096BA01
5C096CA06
5C096CA16
5C096CA22
5C096FA03
5C096FA12
5C096FA18
5G052AA22
5G052BB01
5G052JA02
5G052JA09
5G052JB05
5G052JC04
5G405AA02
5G405CA51
5G405CA56
5G405CA60
5G405FA04
(57)【要約】
【課題】暗所においても表記されている文字が読め、機器の機能や操作方法が分かり易い表示灯付発信機を提供する。
【解決手段】前方からの押圧操作でオン状態にされる押しボタンスイッチを内蔵した本体ケース(13)と、押しボタンスイッチの前方に配置された保護板(21)と、保護板(押しボタン)の少なくとも一部を露出させる開口部を有する前面パネル(22)と、保護板または前面パネルの背部もしくは側部に配設された光源(28)とを備えた表示灯付発信機において、前記保護板および前記前面パネルは導光材により形成され、裏面には、表示したい文字に応じて複数の溝が形成されており、これら複数の溝の形成態様が異なることによって文字の部分とそれ以外の部分とで、保護板や前面パネルの表面より放出される単位面積当たりの光の量が異なることで明暗が生じ、その明暗により文字が表示されるように構成した。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
前方からの押圧操作でオン状態にされる押しボタンスイッチを内蔵した本体ケースと、前記押しボタンスイッチの前方に配置された保護板と、前記保護板の少なくとも一部を露出させる開口部を有する前面パネルと、前記保護板または前記前面パネルの背部もしくは側部に配設された光源と、を備えた表示灯付発信機であって、
前記保護板および前記前面パネルは導光材により形成され、
前記保護板および/または前記前面パネルの裏面には、表示したい文字に応じて複数の溝が形成されており、前記複数の溝の形成態様が異なることによって前記文字の部分とそれ以外の部分とで、前記保護板および/または前記前面パネルの表面より放出される単位面積当たりの光の量が異なることで明暗が生じ、その明暗により文字が表示されるように構成されていることを特徴とする表示灯付発信機。
【請求項2】
前記前面パネルの裏面には、全体に亘って複数の溝が形成されており、
前記明暗により文字を表示させるための光を放出する前記光源からの光が、前記前面パネルの裏面の前記複数の溝に当たって反射して前記前面パネルの前面より放出されることで、前記前面パネルが表示灯として機能するように構成されていることを特徴とする請求項1に記載の表示灯付発信機。
【請求項3】
前記保護板に、傾斜面を有する凹部が形成され、
前記光源は前記保護板の前記凹部より後方に配設され、
前記光源から放出された光が前記凹部の前記傾斜面より前記保護板を構成する導光材へ入射し、さらにその外側にある前記前面パネルを構成する導光材へ入射されるように構成されていることを特徴とする請求項1または2に記載の表示灯付発信機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、緊急報知用の発信機、さらには表示灯を備え建物の壁部等に設置され緊急事態の発生時に操作されることで警報を発するための表示灯付発信機に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、建物内部には火災など緊急事態の発生を知らせるために、押しボタンスイッチを備えた手動の発信機が建物の壁面に適切な高さで設置されている。緊急事態の発生時には、発見者が発信機の押しボタンスイッチを強く押すことにより、緊急事態の発生を知らせる信号が受信機等へ伝送されると共に、発信機の近傍に設けられるベルから警報音が発せられて、周囲の人に対し緊急事態の発生を知らせることができるようになっている。
また、発信機には、火災関連設備(発信機を含む)があることを知らせるための表示灯が一体に設けられているものがある(例えば特許文献1)。
【0003】
また、従来、発信機においては、押しボタンの表面に「強く押す」のような文字を表記することで操作位置を明示したり、前面パネルの表面に「火災報知機」のような文字を表記することで当該機器の機能を明示したりすることが行われている。
なお、発信機における文字の表記は、一般に部品の表面にシルク印刷を実施することにより行われている。また、導光板の表面にレーザ加工を施して、導光板の側面より入射させた光を、レーザ加工で形成された溝で反射させて、導光板の表面に「立入禁止」等の文字を表示させるようにしたガス系消火設備用表示装置に関する発明が提案されている(例えば特許文献2)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2018-142051号公報
【特許文献2】特開2018-105916号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
印刷による文字の表記の場合、暗所においては表記されている文字が読めないため、機器の機能や操作方法が分かりにくいという課題がある。また、シルク印刷による文字の表記は、部品が樹脂製の場合、樹脂成型工程の後にシルク印刷工程を実施することになるため工程数が多くなるとともに、印刷後にインクの乾燥時間または乾燥工程が必要であるため部品の製造時間が長くなり、コストアップを招くという課題がある。
【0006】
本発明は上記のような課題に着目してなされたもので、その目的とするところは、暗所においても表記されている文字が読め、機器の機能や操作方法が分かり易い表示灯付発信機を提供することにある。
本発明の他の目的は、文字の表示のために印刷工程が不要でありコストアップを回避することができる表示灯付発信機を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するために、本発明は、
前方からの押圧操作でオン状態にされる押しボタンスイッチを内蔵した本体ケースと、前記押しボタンスイッチの前方に配置された保護板と、前記保護板の少なくとも一部を露出させる開口部を有する前面パネルと、前記保護板または前記前面パネルの背部もしくは側部に配設された光源と、を備えた表示灯付発信機において、
前記保護板および前記前面パネルは導光材により形成され、
前記保護板および/または前記前面パネルの裏面には、表示したい文字に応じて複数の溝が形成されており、前記複数の溝の形成態様が異なることによって前記文字の部分とそれ以外の部分とで、前記保護板および/または前記前面パネルの表面より放出される単位面積当たりの光の量が異なることで明暗が生じ、その明暗により文字が表示されるように構成したものである。
【0008】
上記のような構成によれば、保護板(押しボタン)や前面パネルの前面から放出される光の明暗で文字が表示されるため、暗所においても表記されている文字が読め、機器の機能や操作方法を分かり易くすることができる。また、文字の表記のために行う印刷工程が不要でありコストアップを回避することができる。「溝の形成態様が異なる」とは、例えば溝の深さまたはピッチが異なることを意味している。
【0009】
ここで、望ましくは、前記前面パネルの裏面には、全体に亘って複数の溝が形成されており、
前記明暗により文字を表示させるための光を放出する前記光源からの光が、前記前面パネルの裏面の前記複数の溝に当たって反射して前記前面パネルの前面より放出されることで、前記前面パネルが表示灯として機能するように構成する。
【0010】
上記構成によれば、光の明暗で文字を表示させるための光を放出する光源を、前面パネルを発信機の位置を知らせる表示灯として機能させるための光を放出する光源として兼用させることができるため、装置をコンパクトに構成することができるとともに、コストアップを回避することができる。
【0011】
また、望ましくは、前記保護板に、傾斜面を有する凹部が形成され、
前記光源は前記保護板の前記凹部より後方に配設され、
前記光源から放出された光が前記凹部の前記傾斜面より前記保護板を構成する導光材へ入射し、さらにその外側にある前記前面パネルを構成する導光材へ入射されるように構成する。
【0012】
光源を前面パネルの外側に配設して、表示のための光を前面パネルの側面より入射させるように構成することも可能であるが、そのように構成すると、装置が大型化してしまう。これに対し、上記のような構成によれば、光源を保護板(押しボタン)の後方に配設して、保護板の背部から光を入射することができるため、装置が大型化するのを回避することができる。
【発明の効果】
【0013】
本発明に係る表示灯付発信機によれば、暗所においても表記されている文字が読め、機器の機能や操作方法を分かり易くすることができる。また、文字の表示のために印刷工程が不要であるとともに表示灯用の光源を文字の表示のため光源として兼用するためコストアップを回避することができるという効果がある。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図1】本発明の第1実施形態の表示灯付発信機を斜め前方から見た外観を示す斜視図である。
【
図2】第1実施形態の表示灯付発信機の押しボタンおよび前面パネルを正面から見た外観を示す正面図である。
【
図3】第1実施形態の表示灯付発信機における押しボタンおよび前面パネルの断面構造を示すもので、(A)は
図2におけるIII-III線に沿った断面図、(B)は発光素子からの光が入射される凹部の他の例を示す拡大断面図、(C)は(A)の一部拡大断面図である。
【
図4】第1実施形態の表示灯付発信機の変形例を示す正面図である。
【
図5】第1実施形態の表示灯付発信機の他の変形例を示す正面図である。
【
図6】第1実施形態の表示灯付発信機のさらに他の変形例を示す正面図である。
【
図7】第2実施形態の表示灯付発信機の内部構造を示す要部拡大断面図である。
【
図8】第3実施形態の表示灯付発信機の内部構造を示す要部拡大断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、図面を参照して、本発明を適用した表示灯付発信機の一実施形態について説明する。
本発明が適用される発信機は、緊急事態が発生した際に押しボタンを強く押して内部のスイッチをオンさせることにより緊急事態の発生を知らせる信号を送出する機能を備え、建造物の壁面や所定の取付けパネルなどに設置されて使用されるように構成される。具体的には、本実施形態の表示灯付発信機は、中央に押しボタンを有する前面パネルと、上記押しボタンの押込み操作によってオン状態にされる押しボタンスイッチおよび該スイッチのオンによって信号を生成し外部へ送出する回路基板を内蔵した本体ケースとから構成される。
【0016】
(第1実施形態)
図1~
図3は、本発明に係る発信機の第1の実施形態を示す。このうち、
図1は発信機の全体斜視図、
図2は
図1に示す発信機の正面図、
図3は発信機を構成する押しボタンおよび前面パネルの断面構造を示す断面図である。
本実施形態の発信機は、
図1に示すように、押しボタンスイッチを内蔵した箱状の収納ケース13を備えた発信機本体部10と、前面中央に押しボタンスイッチを保護する保護板としての押しボタン21および押しボタン21の前面が露出する開口22aを有する前面パネル22を備え発信機本体部10の前部に設けられた円板状の前面パネル部20とから構成されている。
【0017】
本実施形態の発信機においては、押しボタン21および前面パネル22は、アクリル樹脂のような光透過性を有する導光材で形成されているとともに、
図2に示すように、押しボタン21の前面に「強く押す」なる文字が、また前面パネル22の前面下部「火災報知機」なる文字が、印刷ではなく、内部に設けられた発光素子から放出される光によって表示されるように構成されている。具体的には、押しボタン21の前面全体および前面パネル22の前面全体が低輝度で放光し、上記2種類の文字が周囲よりも高い輝度で放光するように構成されている。
上記発光素子の発光色は、例えば従来の表示灯と同様な赤色とされる。赤色の発光素子を使用する代わりに、白色の発光素子を使用し押しボタン21および前面パネル22を形成する導光材として赤色に着色されたものを使用するようにしても良い。
【0018】
次に、押しボタン21の前面および前面パネル22の前面に上記文字を表示させる具体的な方法を、
図3を用いて説明する。
図3は、押しボタン21および前面パネル22の断面構造を示す。
図3において、上方は発信機の前方側である。
図3(A)に示すように、本実施形態においては、押しボタン21の裏面後方(図では下方)に発光素子28を実装したLED基板27が配設されている。なお、
図3(A)には2個の発光素子28が示されているが、1個でも良い。また、発光素子28は、、砲弾型のLEDの代わりに、面実装可能な薄型のLEDチップを使用しても良い。
【0019】
LED基板27は、押しボタン21の内部に設けて押しボタン21と一緒に移動する構成でも良いし、押しボタン21の後方の収納ケース13内に固定されていても良い。また、LED基板27上には、紙面と直交する方向に複数個の発光素子28が実装されていても良い。
図示しないが、押しボタン21の背面の中央には後方へ向かって突出する円柱状の押圧部が形成されており、この押圧部の端面に対向するように、押しボタンスイッチのアクチュエータが配設される。また、押圧部の周囲には押しボタン21を前方へ付勢する圧縮バネが設けられる。
【0020】
また、押しボタン21の裏面の上記発光素子28と対向する部位には、断面が台形状をなし表示する文字が並ぶ方向と平行に、当該部位における押しボタンの幅や文字列形成範囲の幅に応じた長さを有する凹部21aが形成されている。また、凹部21aの底面には光反射層23が形成されており、発光素子28から放出された光や光反射層23で反射された光は、凹部21aの傾斜面から、導光材からなる押しボタン21内に入射されるように構成されている。光反射層23は反射シートを貼付して形成しても良いし、蒸着法等によって直接形成しても良い。なお、凹部21aは、
図3(B)に示すように、底面から後方(図では下方)へ向かって突出する山形突起を有するM形をなす形状でも良い。さらに、
図3(B)の更なる変形例として、凹部21aを前面から後方へ向かうV字状の溝として形成するようにしても良い。即ち、凹部21aは押しボタンの前面側に設けられていても良い。
【0021】
さらに、押しボタン21の裏面および前面パネル22の裏面には、断面がV字状をなす複数の溝Dが形成されている。V字状の溝Dは、進行してくる光に対向する面が傾斜し、反対側の面は垂直をなす。押しボタン21の裏面の凹部21aより入射した光は、押しボタン21および前面パネル22に沿って外側へ進み、
図3(C)に示すように、一部は溝Dに当たって方向を変え、前方へ放出される。この際、溝が深いほど、反射する光の量が多くなって明るくなる。
【0022】
本実施形態においては、上記溝Dは押しボタン21の裏面および前面パネル22の裏面全体に亘って形成されているとともに、文字に相当する部分では溝の深さが深くなるように形成されている。これにより、
図2に示すように、文字の部分が高い輝度で放光し、その周囲が低い輝度で放光することで、文字が表示される。また、光反射層23の前方は、凹部から押しボタン21を形成する導光材内部に入射して押しボタン21の周面に当たって反射した一部の光が届くことによって明るくなる。
【0023】
なお、本実施形態においては、溝Dの深さを変えることで明暗を生じさせ、文字を表示させているが、溝Dの深さを変える代わりに、溝Dのピッチを変えて、文字の部分ほどピッチが狭く密になるように、あるいは文字の部分ほど溝の深さが深くかつピッチが狭くなるように、溝Dを形成するようにしても良い。
【0024】
溝Dは、前述の特許文献2に記載されているように、レーザ加工によって形成しても良いし、エッチング等他の方法で形成しても良い。また、溝Dの断面はV字状に限定されるものでなく、台形状など他の形状であってもよい。文字を表示するための溝の形成の仕方については、特開2007-312985号公報等にも記載されている。
また、
図3の実施形態においては、光を入射されるための凹部21aを押しボタン21に形成し、その後方に発光素子28を配設しているが、凹部21aおよび発光素子28の位置は前面パネル22の背部でも良い。
【0025】
さらに、
図2に示す実施形態においては、文字の部分が高い輝度で放光し、その周囲は低い輝度で放光するようにしているが、
図4に示すように、文字の部分が高い輝度で放光し、その回りに長方形状の非放光部Cを設け、非放光部Cの周囲が低い輝度で放光するように構成しても良い。このようにすることで、文字を強調表示させることができる。
また、
図5に示すように、文字の部分および前面パネル22の外縁部すなわち輪郭を高い輝度で放光させるようにしても良いし、
図6に示すように、前面パネル22の表面全体を高い輝度で放光させ、文字の部分は放光しないようにすることで、反転表示を行うようにしても良い。
図5のような放光表示の場合、溝Dは文字の部分および前面パネル22の外縁部にのみ形成される。また、
図6のような放光表示の場合、溝Dは文字の部分を除く領域全体に形成される。なお、
図2及び
図4~
図6においては、高い輝度の部分ほど黒く、低い輝度の部分ほど白く描いている。
【0026】
(第2実施形態)
さらに、上記実施形態においては、導光材で形成された前面パネル22の表面をそのまま発信機の前面としているが、
図7に示す実施形態においては、前面パネル22は、LED基板27上の発光素子28に対向する傾斜部の端部に光導入部22cが形成された導光部材22Aと、該導光部材22Aの表面を覆う光透過可能なカバー部材22Bとから構成されている。
この実施形態においても、導光部材22Aの裏面に、前記実施形態と同様な溝Dが形成されることによって、文字を表示させることができる。
【0027】
一方、カバー部材22Bは、シリコーン樹脂等の透光性を有し形状を保持可能な軟質材料で形成された保形部材と、該保形部材の表面を覆うように設けられた合成樹脂製シートや布のような柔軟性のある材料で形成された被覆部とから構成される。
これにより、カバー部材22Bに外部から衝撃が加わったとしても保形部材が変形して衝撃を吸収し、表面の損傷を防止することができる。また、保形部材の表面が被覆部で覆われているため、導光部材22Aにより導かれて来た光を拡散または透過させて前方へ放出することで、ぼんやりとした柔らかな質感を与えることができる。なお、カバー部材22Bは、保形部材を省略して、被覆部のみで構成されたものであっても良い。
【0028】
(第3実施形態)
図8は、他の実施形態の発信機を示す。
この実施形態の発信機は、導光材で形成された前面パネル22および押しボタン21の前面を被覆するようにカバー部材24が設けられている。カバー部材24は、
図7に示す第2実施形態のカバー部材22Bと同様に、シリコーン樹脂等の透光性を有し形状を保持可能な軟質材料で形成された保形部材と、該保形部材の表面を覆うように設けられた合成樹脂製シートや布のような柔軟性のある材料で形成された被覆部とから構成される。
【0029】
また、円板状をなす押しボタン21は、環状をなす前面パネル22の中央の開口22aに嵌合する押圧部が中央部に設けられているとともに、裏面側外周に鍔部が設けられており、この鍔部の周縁部の発光素子28と対向する部位に、後方へ向って突出する柱状突起部からなる光導入部21dが形成されている。
そして、この光導入部21dの端面に対向するようにLED基板27上の発光素子28が配設されている。なお、光導入部21dおよび発光素子28は、押しボタン21の背部に、押しボタンの周方向に沿って複数個設けられていても良い。
【0030】
また、光導入部21dの端面と反対側には、約45度をなすよう傾斜した反射面21eが形成されている。これにより、発光素子28から放出された光は、光導入部21dから押しボタン21に導入されるとともに、押しボタン21を経由して前面パネル22へ導光されるようになっている。
さらに、押しボタン21および前面パネル22の裏面側に、断面がV字状をなす複数の溝Dが形成されている。なお、これらの溝Dは、第1の実施形態と同様に、文字に対応した部位とそれ以外の部位とで、溝の深さやピッチが異なるように形成されている。これによって、押しボタン21および前面パネル22に文字を表示させることができる。
【0031】
以上、本発明を実施形態に基づいて説明したが、本発明は上記実施形態のものに限定されるものではない。例えば、上記実施形態においては、発光素子28を押しボタン21(または前面パネル22)の背部に配設しているが、前面パネル22の側部に配設して側方から前面パネル22の内部へ光を入射させるように構成しても良い。また、発光素子28を複数個配設して、複数の方向から前面パネル22の内部へ光を入射させるように構成しても良い。
【0032】
また、上記実施形態では、本発明を、主として火災報知システムを構成する火災発信機に適用したものを説明したが、本発明は火災発信機に限定されず、駅のプラットホームや踏切に設置される列車緊急報知用の発信機、トイレや浴室など設置される緊急呼出し用の発信機に広く利用することができる。さらに、本発明は、表示灯付発信機に限定されず、単独の表示灯に対しても適用することができる。
【符号の説明】
【0033】
10 発信機本体部
13 収納ケース
20 前面パネル部
21 押しボタン
21a 凹部
22 前面パネル
22A 導光部材
22B カバー部材
23 光反射層
24 カバー部材
27 LED基板
28 発光素子(LED)