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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024170266
(43)【公開日】2024-12-06
(54)【発明の名称】育毛剤組成物
(51)【国際特許分類】
   A61K 8/96 20060101AFI20241129BHJP
   A61K 8/55 20060101ALI20241129BHJP
   A61K 8/86 20060101ALI20241129BHJP
   A61K 8/37 20060101ALI20241129BHJP
   A61Q 7/00 20060101ALI20241129BHJP
【FI】
A61K8/96
A61K8/55
A61K8/86
A61K8/37
A61Q7/00
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】書面
(21)【出願番号】P 2023097329
(22)【出願日】2023-05-26
(71)【出願人】
【識別番号】399091120
【氏名又は名称】株式会社ピカソ美化学研究所
(71)【出願人】
【識別番号】514090658
【氏名又は名称】プレミアアンチエイジング株式会社
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 実希
(72)【発明者】
【氏名】伊藤 友加里
【テーマコード(参考)】
4C083
【Fターム(参考)】
4C083AA021
4C083AA022
4C083AA112
4C083AC102
4C083AC122
4C083AC182
4C083AC442
4C083AC472
4C083AC552
4C083AC642
4C083AC852
4C083AD532
4C083AD552
4C083AD571
4C083AD572
4C083AD592
4C083AD662
4C083BB04
4C083CC37
4C083DD23
4C083DD27
4C083EE06
(57)【要約】
【課題】製剤安定性が良好であり、頭皮への馴染みが良く、良質な潤いを付与できるとともに、優れた浸透実感を発揮する育毛剤組成物の提供。
【解決手段】フムスエキスを含有してなる育毛剤組成物とする。また、本発明の育毛剤組成物は、所望により、環状リゾホスファチジン酸塩、非イオン性界面活性剤、育毛有効成分を適宜含有させることができる。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
フムスエキスを含有してなる育毛剤組成物。
【請求項2】
更に、環状リゾホスファチジン酸塩を含有してなる請求項1に記載の育毛剤組成物。
【請求項3】
更に、非イオン性界面活性剤を含有してなる請求項1又は2に記載の育毛剤組成物。
【請求項4】
前記非イオン性界面活性剤が、エーテル型非イオン性界面活性剤および/又は脂肪酸エステル型非イオン性界面活性剤である請求項3に記載の育毛剤組成物。
【請求項5】
更に、血行促進剤、細胞賦活剤、抗炎症剤、抗菌剤、殺菌剤、皮脂分泌剤抑制剤、ふけ・痒み防止剤および女性ホルモン剤から選ばれる少なくとも1種の育毛有効成分を含有してなる請求項1又は2に記載の育毛剤組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、育毛剤組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、薄毛や脱毛症の予防のために各種薬効成分が配合された育毛剤組成物が多数創出されており、一般的な育毛剤組成物には、育毛効果を発揮し得る薬効成分として、血管拡張剤、毛母細胞賦活剤、抗炎症剤、天然物由来原料、生薬、殺菌剤、清涼剤などが配合されている(例えば、特許文献1および2を参照)。
【0003】
その一方で、育毛剤組成物は、頭皮を清潔に保つ観点や、爽快感のある使用感を発揮させる観点から、アルコール成分が多量される傾向にあり、頭皮への刺激など使用感が悪くなるといった課題があった。そのため、近年の育毛剤組成物には、薬効成分以外にも頭皮に潤いを与える成分などを配合し、使用感を高める試みもなされている(例えば、特許文献3を参照)。
【0004】
しかしながら、これら試みによって、ある程度、頭皮に潤いを与えることはできるものの、製剤安定性が悪化するといった欠点や、肌馴染みに劣るといった欠点がある。加えて、薬効成分の頭皮への浸透実感が得られ難いといった欠点もある。そのため、頭皮に潤いを与えつつも、優れた浸透実感が得られる育毛剤の開発が望まれていた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平6-172132号公報
【特許文献2】特開平6-345621号公報
【特許文献3】特開2022-007123号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、上記従来技術に鑑みてなされたものであり、製剤安定性が良好であり、頭皮への馴染みが良く、良質な潤いを付与できるとともに、優れた浸透実感を発揮する育毛剤組成物を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
即ち、本発明の育毛剤組成物は、フムスエキスを含有することを特徴とする。
【0008】
本発明の育毛剤組成物には、更に、環状リゾホスファチジン酸塩を含有することが好ましい。
【0009】
本発明の育毛剤組成物には、更に、非イオン性界面活性剤を含有することが好ましい。
【0010】
本発明では、上記非イオン性界面活性剤が、エーテル型非イオン性界面活性剤および/又は脂肪酸エステル型非イオン性界面活性剤であることが好ましい。
【0011】
本発明の育毛剤組成物には、更に、血行促進剤、細胞賦活剤、抗炎症剤、抗菌剤、殺菌剤、皮脂分泌剤抑制剤、ふけ・痒み防止剤および女性ホルモン剤から選ばれる少なくとも1種の育毛有効成分を含有することが好ましい。
【発明の効果】
【0012】
本発明の育毛剤組成物は、上記構成要件を満たすことにより、塗布時にべたつきがなく肌馴染みに優れることから、良質な潤いを付与できるとともに、優れた浸透実感が得られるといった使用面において格段に優れた効果を発揮する。また、本発明の育毛剤組成物は、構成成分に起因する濁りやオリの発生を抑えて、格段に優れた製剤安定性を発揮する。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明の育毛剤組成物に用いられる各成分の詳細を説明する。
【0014】
本発明の育毛剤組成物は、フムスエキスを含有する。本明細書において上記フムスエキスを成分Aと略す。本発明における上記成分Aとは、天然に産する海洋性の腐植土を乾燥したものから水にて抽出して得られるエキスのことを言う。本発明では、上記成分Aを用いることにより、育毛効果もさることながら、良質な潤いを頭皮に付与することが可能となる。
【0015】
なお、上記成分Aは市販品を用いることができる。成分Aの市販品は、単独原料であっても、他成分との混合原料であっても、所望の効果が発揮されるのであれば特に限定されない。具体的な市販品としては、例えば、FX21ドギャンナCE(商品名,日本フミン化学社製)などが挙げられる。
【0016】
本発明の育毛剤組成物中の成分Aの含有量は、所望の効果が十分に発揮されるのであれば特に限定されないが、通常、育毛効果を発揮させる観点、並びに良質な潤いを頭皮に付与する観点から、組成物100質量%中、1~15質量%であることが好ましく、2~10質量%であることがより好ましい。なお、上記成分Aの含有量は、水を含む抽出物であるフムスエキス自体の量である。
【0017】
本発明の育毛剤組成物は、更に環状リゾホスファチジン酸塩を含有させることが好ましい。本明細書において上記環状リゾホスファチジン酸塩を成分Bと略す。本発明では、上記成分Bを用いることにより、育毛効果もさることながら、良質な潤いを頭皮に付与することが可能となり、上記した成分Aと併用することで更にその効果を高めることができるようになる。
【0018】
上記成分Bを構成する塩としては、例えば、ナトリウム、カリウムなどが挙げられる。本発明において成分Bは、INCI名(International Cosmetic Ingredient Dictionary and Handbook,第15版,第2巻,CTFA,2014年,p.3292):SODIUM CYCLIC LYSOPHOSPHATIDIC ACIDで表記される、環状リゾホスファチジン酸ナトリウムを用いることが最も好ましい。
【0019】
なお、上記成分Bは市販品を用いることができる。成分Bの市販品は、単独原料であっても、他成分との混合原料であっても、所望の効果が発揮されるのであれば特に限定されない。具体的な市販品としては、例えば、環状リゾホスファチジン酸Na(商品名,SANSHO社製)などが挙げられる。
【0020】
本発明の育毛剤組成物中の成分Bの含有量は、所望の効果が十分に発揮されるのであれば特に限定されないが、通常、育毛効果を発揮させる観点、並びに良質な潤いを頭皮に付与する観点から、組成物100質量%中、0.01~1質量%であることが好ましく、0.05~0.5質量%であることがより好ましい。なお、上記成分Bの含有量は、純分に換算した量である。
【0021】
上記した成分A、並びに成分Bは、温度やpHの影響を受けて組成物中で濁りやオリが発生し易くなるという懸念がある。しかしながら、本発明においては、後述する成分と組み合わせることで、上記成分に起因する濁りやオリを抑えて格段に優れた製剤安定性を発揮させることができるようになる。
【0022】
本発明の育毛剤組成物では、更に非イオン性界面活性剤を含有させることが好ましい。本明細書において上記非イオン性界面活性剤を成分Cと略す。上記成分Cを用いることにより、濁りやオリを抑えて優れた製剤安定性を発揮させることが可能となる。加えて、塗布時の肌馴染みを高めて、浸透実感がより得られる組成物へと導くことが可能となる。これにより、製剤安定性のみならず、使用面においても格段に優れた効果を発揮させることができる。
【0023】
本発明では、上記した成分Cの中でも、優れた製剤安定性を発揮させる観点、並びに塗布時の肌馴染みを高めて、良好な浸透実感を発揮させる観点から、エーテル型非イオン性界面活性剤および脂肪酸エステル型非イオン性界面活性剤の群から選ばれる少なくとも1種を用いることが好ましい。エーテル型非イオン性界面活性剤は、特に塗布時の肌馴染みと浸透実感という双方の使用感において格段に優れた効果を発揮させることができる。一方、脂肪酸エステル型非イオン性界面活性剤は、製剤安定性の面で各段に優れた効果を発揮させることができる。本明細書において上記エーテル型非イオン性界面活性剤を成分C1と略し、上記脂肪酸エステル型非イオン性界面活性剤を成分C2と略す。
【0024】
上記成分C1としては、例えば、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシプロピレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンアルキルエーテルなどのポリオキシアルキレンアルキルエーテルなどが挙げられる。これら成分C1は1種を単独で用いても良く、2種以上を適宜組み合わせて用いても良い。本発明においては、製剤安定性のみならず、使用感をより良好にする観点から、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンアルキルエーテルを用いることがより好ましい。
【0025】
上記したポリオキシエチレンポリオキシプロピレンアルキルエーテルを構成する酸化エチレン(オキシエチレン基)の平均付加モル数は、所望の効果が発揮されるのであれば特に限定されないが、例えば、10~40の範囲であることが好ましい。また、酸化プロピレン(オキシプロピレン基)の平均付加モル数は、所望の効果が発揮されるのであれば特に限定されないが、例えば、3~10の範囲であることが好ましい。
【0026】
具体的なポリオキシエチレンポリオキシプロピレンアルキルエーテルとしては、例えば、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンラウリルエーテル、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンセチルエーテル、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンステアリルエーテル、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンデシルエーテル、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンデシルテトラデシルエーテルなどが挙げられる。これら成分の中でも、塗布時の肌馴染みがより良好であり、格段に優れた浸透実感を発揮する観点から、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンデシルテトラデシルエーテルを用いることが最も好ましい。
【0027】
より具体的なポリオキシエチレンポリオキシプロピレンデシルテトラデシルエーテルとしては、例えば、ポリオキシエチレン(12)ポリオキシプロピレン(6)デシルテトラデシルエーテル、ポリオキシエチレン(20)ポリオキシプロピレン(6)デシルテトラデシルエーテル、ポリオキシエチレン(30)ポリオキシプロピレン(6)デシルテトラデシルエーテルなどが挙げられる。上記括弧内の数値は、酸化エチレン(オキシエチレン基)の平均付加モル数、並びに酸化プロピレン(オキシプロピレン基)の平均付加モル数を表す。
【0028】
なお、上記成分C1は市販品を用いることができる。成分C1の市販品は、単独原料であっても、他成分との混合原料であっても、所望の効果が発揮されるのであれば特に限定されない。具体的には、ポリオキシエチレン(12)ポリオキシプロピレン(6)デシルテトラデシルエーテルの市販品としては、例えば、NIKKOL PEN-4612(商品名,日光ケミカルズ社製)などが挙げられる。ポリオキシエチレン(20)ポリオキシプロピレン(6)デシルテトラデシルエーテルの市販品としては、例えば、NIKKOL SG-DTD620(商品名,日光ケミカルズ(シンガポール)社製)などが挙げられる。ポリオキシエチレン(30)ポリオキシプロピレン(6)デシルテトラデシルエーテルの市販品としては、例えば、NIKKOL SG-DTD630(商品名,日光ケミカルズ(シンガポール)社製)などが挙げられる。
【0029】
一方、上記成分C2としては、例えば、グリセリン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレングリセリン脂肪酸エステル、ポリグリセリン脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステルなどが挙げられる。これら成分C2は1種を単独で用いても良く、2種以上を適宜組み合わせて用いても良い。本発明においては、使用感のみならず、製剤安定性をより良好にする観点から、ソルビタン脂肪酸エステルを用いることがより好ましい。
【0030】
より具体的なソルビタン脂肪酸エステルとしては、例えば、カプリン酸ソルビタン、ラウリン酸ソルビタン、パルミチン酸ソルビタン、ステアリン酸ソルビタン、イソステアリン酸ソルビタン、セスキイソステアリン酸ソルビタン、トリステアリン酸ソルビタン、オレイン酸ソルビタン、セスキオレイン酸ソルビタン、トリオレイン酸ソルビタン、ベヘン酸ソルビタンなどが挙げられる。これら成分の中でも、製剤安定性をより一層良好にする観点から、オレイン酸ソルビタンを用いることが最も好ましい。
【0031】
なお、上記成分C2は市販品を用いることができる。成分C2の市販品は、単独原料であっても、他成分との混合原料であっても、所望の効果が発揮されるのであれば特に限定されない。具体的には、オレイン酸ソルビタンの市販品としては、例えば、レオドールSP-O10V(商品名,花王社製)などが挙げられる。
【0032】
本発明の育毛剤組成物中の成分Cの含有量は、所望の効果が十分に発揮されるのであれば特に限定されないが、通常、製剤安定性を発揮させる観点、並びに塗布時の肌馴染みを高めて、浸透実感を発揮させる観点から、組成物100質量%中、0.05~3質量%であることが好ましく、0.1~2質量%であることがより好ましい。なお、上記成分Cの含有量は、純分に換算した量である。
【0033】
本発明の育毛剤組成物においては、濁りやオリを更に抑えて格段に優れた製剤安定性を発揮させ、かつ、塗布時の肌馴染みをより一層高めて、格別良好な浸透実感を発揮させる観点から、上記成分C1と上記成分C2とを併用することが最も好ましい。即ち、本発明において上記成分Cは、上記成分C1および上記成分C2の双方を用いることが最も好ましい。
【0034】
なお、本発明においては、上記成分Aや上記成分Bに起因する濁りやオリの発生を抑えて、格段に優れた製剤安定性を発揮させる観点から、上記成分C2に対する上記成分C1の質量含有比(成分C1/成分C2)が、1~7の範囲を満たし調製されることが好ましく、2~5の範囲を満たし調製されることがより好ましい。
【0035】
本発明の育毛剤組成物中の成分C1の含有量は、所望の効果が十分に発揮されるのであれば特に限定されないが、組成物100質量%中、0.1~2質量%であることが好ましく、0.2~1質量%であることがより好ましい。なお、上記成分C1の含有量は、純分に換算した量である。
【0036】
一方、本発明の育毛剤組成物中の成分C2の含有量は、所望の効果が十分に発揮されるのであれば特に限定されないが、組成物100質量%中、0.01~2質量%であることが好ましく、0.05~1質量%であることがより好ましい。なお、上記成分C2の含有量は、純分に換算した量である。
【0037】
本発明の育毛剤組成物には、更に育毛有効成分が配合される。本明細書において上記育毛有効成分を成分Dと略す。上記成分Dは、血行促進剤、細胞賦活剤、抗炎症剤、抗菌剤、殺菌剤、皮脂分泌剤抑制剤、ふけ・痒み防止剤および女性ホルモン剤から選ばれる少なくとも1種である。本発明では、上記成分Dを用いることにより、育毛剤組成物としての使用感を高め、かつ、その使用感を損なわずに特有の優れた効果を発揮させることが可能となる。
【0038】
上記血行促進剤としては、有効成分として育毛剤組成物に配合される成分であれば特に限定されないが、例えば、センブリエキス、D-パントテニルアルコール、パントテニルエチルエーテル、ジアルキルモノアミン誘導体、ミノキシジル、セファランチン(タマサキツヅラフジ根エキス)、酢酸DL-α-トコフェロール、ニコチン酸アミド、ショウキョウチンキ、ニコチン酸ベンジル、ニコチン酸dl-α-トコフェロール、l-メントール、ヨウ化ニンニクエキス、トウガラシチンキ、塩化カルプロニウム、L-アルギニン、イチョウ葉エキスなどが挙げられる。
【0039】
上記細胞賦活剤としては、有効成分として育毛剤組成物に配合される成分であれば特に限定されないが、例えば、センブリエキス、D-パントテニルアルコール、パントテニルエチルエーテル、ジアルキルモノアミン誘導体、ミノキシジル、ニンジンエキス、塩酸ジフェンヒドラミン、アデノシン、ペンタデカン酸グリセリド、6-ベンジルアミノプロリン、トランス-3,4′-ジメチル-3-ヒドロキシフラバノン、モノニトログアヤコールナトリウム、パントテン酸カルシウム、感光素301号、ステモキシジンなどが挙げられる。
【0040】
上記抗炎症剤としては、有効成分として育毛剤組成物に配合される成分であれば特に限定されないが、例えば、グリチルリチン酸ジカリウム、グリチルリチン酸モノアンモニウム、β-グリチルレチン酸、アラントイン、dl-α-トコフェロール2-L-アスコルビン酸リン酸ジエステルカリウム塩、ローマカミツレ花エキスなどが挙げられる。
【0041】
上記抗菌剤としては、有効成分として育毛剤組成物に配合される成分であれば特に限定されないが、例えば、ヒノキチオール、イソプロピルメチルフェノール、クジン抽出液、ボタンエキスなどが挙げられる。
【0042】
上記殺菌剤としては、有効成分として育毛剤組成物に配合される成分であれば特に限定されないが、例えば、サリチル酸などが挙げられる。
【0043】
上記皮脂分泌抑制剤としては、有効成分として育毛剤組成物に配合される成分であれば特に限定されないが、例えば、塩酸ピリドキシンなどが挙げられる。
【0044】
上記ふけ・痒み防止剤としては、有効成分として育毛剤組成物に配合される成分であれば特に限定されないが、例えば、ピロクトンオラミンなどが挙げられる。
【0045】
上記女性ホルモン剤としては、有効成分として育毛剤組成物に配合される成分であれば特に限定されないが、例えば、エチニルエストラジオール、エストラジオール安息香酸エステルなどが挙げられる。
【0046】
なお、上記D成分は、1種を単独で用いても良いが、各成分の効能効果による相加効果や相乗効果を期待して、2種以上を適宜組み合わせて用いることが好ましい。
【0047】
本発明の育毛剤組成物中の成分Dの含有量は、所望の効果が十分に発揮されるのであれば特に限定されないが、通常、優れた効果を発揮させる観点から、組成物100質量%中、0.001~3質量%であることが好ましく、0.005~2質量%であることがより好ましい。なお、上記成分Dの含有量は、化合物の場合は純分に換算した量であり、エキスの場合はエキス自体の量である。
【0048】
なお、本発明の育毛剤組成物には、エタノールが配合されていることが好ましい。本明細書においてエタノールを成分Eと略す。本発明では、成分Eを用いることにより、育毛剤組成物の塗布時における頭皮への馴染みを高めるだけでなく、爽快感をも付与してべたつき感をより低減させることが可能となる。
【0049】
本発明の育毛剤組成物中の成分Eの含有量は、所望の効果が十分に発揮されるのであれば特に限定されないが、通常、使用感を高める観点、塗布時の刺激や頭皮からの垂れ落ちを抑える観点から、組成物100質量%中、10~30質量%であることが好ましく、15~25質量%であることがより好ましい。なお、上記成分Eの含有量は、上記した植物抽出エキス等に含まれるエタノールは含まない。
【0050】
[その他成分]
本発明の育毛剤組成物は、上記した本発明の特有の効果を損なわない範囲内であれば、上記成分の他に、例えば、多価アルコール、増粘性高分子、上記成分Cおよび成分D以外の界面活性剤、上記以外の植物抽出エキス、酸化防止剤、防腐剤、pH調整剤、中和剤、保湿剤、香料、精製水などを目的に応じて適宜配合することができる。
【0051】
本発明の育毛剤組成物は、例えば、ローション(トニック)、乳液、ジェル、スプレーなどの剤型の育毛剤として好適に用いられる。また、本発明の育毛剤組成物は、化粧品、医薬部外品、医薬品として用いることができる。
【0052】
本発明の育毛剤組成物の製造方法は特に限定されないが、例えば、公知の方法により製造することができる。具体的には、例えば、上記各構成成分を混合し、例えば、ディスパーミキサー、ホモミキサー、ディスパーミルなどを用いて撹拌する方法などが挙げられるが、本発明はこれら製造方法にのみ限定されるものではない。
【実施例0053】
以下、本発明を実施例に基づいて更に詳細に説明するが、本発明はこれら実施例にのみ限定されるものではない。なお、配合量は、特記しない限り「質量%」を表す。また、表中の配合量は、エキス以外の成分は純分に換算した値であり、エキス成分はエキス自体の値である。
【0054】
(試料の調製1)
表1および表2に記した組成に従い、実施例1~5および比較例1~5の育毛剤組成物を常法に準じて調製し、下記評価に供した。結果を表1および表2に併記する。
【0055】
(試験例1:製剤安定性の評価)
実施例および比較例で得られた各試料を、70mL容の透明ガラス容器にそれぞれ封入し、5℃の恒温槽に夫々1週間保管した。次いで、25℃に1日間保管した後の製剤の状態を目視観察して、以下の評価基準に従って評価した。
【0056】
<製剤安定性の評価基準>
○(良好):製造直後と変化がなく「濁り」や「オリ」が一切認められない、若しくは、5℃保管時に極僅かに「濁り」や「オリ」が認められるものの25℃に戻した状態では「濁り」や「オリ」が一切認められない
△(不十分):5℃保管時に僅かに「濁り」や「オリ」が認められる一方で、25℃に戻した状態においても僅かに「濁り」や「オリ」が認められる
×(不良):5℃保管時に明らかな「濁り」や「オリ」が認められ、25℃に戻した状態においても明らかな「濁り」や「オリ」が認められる
【0057】
(試験例2:使用感の評価)
実施例および比較例で得られた各試料を、規定量(1プッシュ0.03g)を吐出する容器に充填後、吐出口を頭皮に直接当てながら実際に頭皮に25プッシュ塗布し、頭皮に馴染ませるように指先でマッサージしてもらった。評価は、塗布時の使用感、並びに塗布10分後の頭皮の状態に関して官能評価を行い、下記1点~5点の評価点に従ってスコア付けをした。
【0058】
評価は5名の専門評価員が実施し、各評価員のスコア結果の平均点を算出した上で下記判定基準に従って判定を行った。なお、塗布時の使用感の評価は、べたつきがなく肌馴染みに優れるものを高得点とした。一方、塗布10分後の頭皮の状態については、カサつかずに潤いが残っているものを高得点とした。
【0059】
<評価基準>
5点:非常に良い
4点:良い
3点:普通
2点:不良
1点:非常に不良
【0060】
<判定基準>
◎:平均4.0点以上
○:平均3.0点以上4.0点未満
△:平均2.0点以上3.0点未満
×:平均2.0点未満
【0061】
【表1】
【0062】
【表2】
【0063】
表1および表2に示された結果から、各実施例で得られた育毛剤組成物は、各比較例で得られたものと対比して、本発明の必須構成成分(上記成分Aや上記成分B)に起因する濁りやオリが発生し難く、格段に優れた製剤安定性を発揮していることが分かる。また、本発明に育毛剤組成物は、塗布時にべたつきがなく肌馴染みに優れ、かつ、良質な潤いを付与できることから、優れた浸透実感が得られるといった使用面においても格段に優れた効果を発揮していることが分かる。
【0064】
以下、本発明の育毛剤組成物の処方例を示す。なお、配合量は「質量%」を表す。
【0065】
(処方例1)
エタノール 15.0%
1,3-ブチレングリコール 1.0%
濃グリセリン 1.0%
POE(20)POP(6)デシルテトラデシルエーテル 0.5%
POE(30)POP(6)デシルテトラデシルエーテル 0.5%
オレイン酸ソルビタン 0.5%
フムスエキス 10.0%
環状リゾホスファチジン酸ナトリウム 0.05%
D-パントテニルアルコール 1.0%
ニコチン酸アミド 0.1%
ショウキョウチンキ 0.1%
ニンジンエキス 0.1%
塩酸ジフェンヒドラミン 0.1%
β-グリチルレチン酸 0.1%
精製水 残 部
合計 100.0%
【0066】
(処方例2)
エタノール 25.0%
1,3-ブチレングリコール 2.0%
濃グリセリン 2.0%
POE(20)POP(6)デシルテトラデシルエーテル 0.4%
POE(30)POP(6)デシルテトラデシルエーテル 0.4%
オレイン酸ソルビタン 0.4%
フムスエキス 8.0%
環状リゾホスファチジン酸ナトリウム 0.4%
ヒノキチオール 0.1%
イソプロピルメチルフェノール 0.2%
クジン抽出液 0.5%
サリチル酸 0.2%
ピロクトンオラミン 0.4%
エチニルエストラジオール 0.3%
精製水 残 部
合計 100.0%
【0067】
(処方例3)
エタノール 20.0%
1,3-ブチレングリコール 3.0%
濃グリセリン 2.0%
POE(20)POP(6)デシルテトラデシルエーテル 0.3%
POE(30)POP(6)デシルテトラデシルエーテル 0.3%
オレイン酸ソルビタン 0.2%
フムスエキス 8.0%
環状リゾホスファチジン酸ナトリウム 0.4%
D-パントテニルアルコール 1.0%
ニコチン酸アミド 0.1%
ショウキョウチンキ 0.1%
サリチル酸 0.2%
ピロクトンオラミン 0.1%
エチニルエストラジオール 0.3%
精製水 残 部
合計 100.0%