(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024170267
(43)【公開日】2024-12-06
(54)【発明の名称】アフリカツメガエルの自給自足型養殖システム
(51)【国際特許分類】
A01K 67/00 20060101AFI20241129BHJP
【FI】
A01K67/00 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】書面
(21)【出願番号】P 2023097330
(22)【出願日】2023-05-26
(71)【出願人】
【識別番号】503050515
【氏名又は名称】中山 仁助
(72)【発明者】
【氏名】中山 仁助
(57)【要約】 (修正有)
【課題】アフリカツメガエルの餌を養殖する自給自足型養殖システムを提供すること。
【解決手段】地下水を貯留する地下水貯留槽と、地下水をオゾンバブルに生成するオゾンバブル水槽と、前記オゾンバブル水槽にナノノズルを通して生成されるナノオゾンバブル水と、該ナノオゾンバブル水でアフリカツメガエルを飼育するアフリカツメガエル飼育水槽と、アフリカツメガエル飼育水を濾過して浄化する第1の濾過槽と、濾過排水をナノノズルを通して生成される濾過排水ナノオゾン水で前記アフリカツメガエルの餌となる水生イトミミズを飼育する水生イトミミズ飼育水槽と、水生イトミミズの飼育水で飼育する陸生ミミズ飼育水槽と、前記水生イトミミズ飼育水槽から排水される排出水を前記オゾンバブル水槽に再送水して循環させる第2の濾過槽と、を有するアフリカツメガエルの自給自足型養殖システム。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
地下水を貯留する地下水貯留槽と、
前記地下水貯留槽に貯留された地下水をオゾンバブルに生成するオゾンバブル水槽と、
前記オゾンバブル水槽にナノノズルを通して生成されるナノオゾンバブル水と、
前記ナノオゾンバブル水が注入され該ナノオゾンバブル水でアフリカツメガエルを飼育するアフリカツメガエル飼育水槽と、
前記アフリカツメガエル飼育水槽で用いられたアフリカツメガエル飼育水を濾過して浄化する第1の濾過槽と、
前記第1の濾過槽で濾過した濾過排水をナノノズルを通して生成される濾過排水ナノオゾン水と、
前記濾過排水ナノオゾン水が注入され該濾過排水ナノオゾン水で前記アフリカツメガエルの餌となる水生イトミミズを飼育する水生イトミミズ飼育水槽と、
前記濾過排水ナノオゾン水を利用した水生イトミミズの飼育水で、前記アフリカツメガエルの餌となる陸生ミミズを飼育する陸生ミミズ飼育水槽と、
前記水生イトミミズ飼育水槽から排水される排出水を前記オゾンバブル水槽に再送水して循環させる第2の濾過槽と、
を有するアフリカツメガエルの自給自足型養殖システム。
【請求項2】
前記アフリカツメガエルの自給自足型養殖システムは、更に、陽極と陰極が隔膜で仕切られていない一室型電解槽を有し、該一室型電解槽で生成された微弱次亜塩素酸水により前記アフリカツメガエルの餌となる水生イトミミズと陸生ミミズを殺菌処理して給餌し、出荷時の殺菌処理をするための殺菌作用を促すことを特徴とする請求項1に記載のアフリカツメガエルの自給自足型養殖システム。
【請求項3】
前記水生イトミミズ飼育水槽は、水生イトミミズの寝床となる水生イトミミズ寝床を有し、該水生イトミミズ寝床は樹脂製ネット状の形状であることを特徴とする請求項1又は2に記載のアフリカツメガエルの自給自足型養殖システム。
【請求項4】
前記陸生ミミズ育成槽は、前記陸生ミミズを培養する培養土を有し、該培養土に適度な湿度を保つための散水を行うナノノズルと、該培養土に適度な酸素を注入するコンプレッサーとエアーチューブとを有することを特徴とする請求項1に記載のアフリカツメガエルの自給自足型養殖システム。
【請求項5】
前記陸生ミミズ育成槽は、槽の上部にLED照明が設けられていることを特徴とする請求項1に記載のアフリカツメガエルの自給自足型養殖システム。
【請求項6】
前記アフリカツメガエルの自給自足型養殖システムは、更に、前記水生イトミミズと陸生ミミズを餌用に殺菌処理する水生・陸生ミミズ餌用殺菌処理槽及び前記飼育されたアフリカツメガエルの出荷時の殺菌処理を行うアフリカツメガエル出荷殺菌処理槽を有することを特徴とする請求項1から5のいずれかに記載のアフリカツメガエルの自給自足型養殖システム。
【請求項7】
前記アフリカツメガエルの自給自足型養殖システムは、更に、前記陸生ミミズ育成槽、前記水生・陸生ミミズ餌用殺菌処理槽及び前記アフリカツメガエル出荷殺菌処理槽から排出された飼育水及び殺菌水を70℃以上に加温して外部に排出する排水熱処理外部排出水槽を有することを特徴とする請求項1から6のいずれかに記載の自給自足型養殖システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、アフリカツメガエルの自給自足型養殖システムに関し、特に、アフリカツメガエルの高蛋白質でアミノ酸が豊富な食品加工原料を得るために、アフリカツメガエルを養殖し、その飼育水を濾過し、濾過排水を利用して、アフリカツメガエルの餌となる水生イトミミズ及び陸生ミミズを養殖し、それらを殺菌処理して給餌するアフリカツメガエルの自給自足型養殖システムに関する。
【背景技術】
【0002】
食品原料となる食用ガエルは、栄養豊富で特に生物の成長に必要なアミノ酸が豊富に含まれていることがアミノ酸分析で証明されている。
【0003】
優れたアミノ酸には、人体に必要なアミノ酸の種類と量をバランスよく含んでいることが重要である。必須アミノ酸と呼ばれる体内で合成できないアミノ酸を豊富に含んでいることが望ましい。また、良質なタンパク質を構成するアミノ酸として知られる、リジンやトレオニン、メチオニンなどが含まれていることも望ましい。さらに、吸収しやすく消化しやすい形で存在することも、優れたアミノ酸の特徴である。
【0004】
人間に一番必要なアミノ酸は、体内で合成できない「必須アミノ酸」である。必須アミノ酸には、アルギニンを含む必須アミノ酸、ロイシン、イソロイシン、バリン、リジン、メチオニン、フェニルアラニン、トレオニン、トリプトファン、そしてヒスチジンの9つがある。
【0005】
図7は、アフリカツメガエルのアミノ酸分析表である。
【0006】
図8は、必須アミノ酸のTrp(トリプトファン)を1とした数値である。それらを各合計した56.0の数値は、アフリカツメガエルが必須アミノ酸のバランスが良く、人間の必要とするアミノ酸をすべてバランスよく含んでいることを示しており、この値は高く、優れたタンパク質源であることが期待できる。
【0007】
図9は、食用ガエルの可食部100g中の成分表である。食用ガエルは、魚類よりも多くのタンパク質が含まれ、ビタミン類も多く含まれている。
【0008】
ところで、食用カエルの種類として、欧米では、ヨーロッパトノサマガエル・ウシガエル、アジア(中国、インドネシア、ベトナム)では、トラフガエル・ヌマガエル・インドクサクイガエル、南米では、ナンベイウシガエル、アフリカでは、アフリカツメガエル、日本では、ナミエガエル、毛瀰(アカガエルと推定)等がいる。
【0009】
日本では、過去にウシガエルを養殖し、缶詰製品としてアメリカ向けに輸出されたドル箱であったが、農薬が検出され輸出禁止となった。
【0010】
そのためウシガエルの需要はなくなり、ウシガエルを放流しため、全国に生息し在来種に悪影響を与えるようになり、環境保全を要するために特定外来種と指定されて、移動や養殖は禁止されている。
【0011】
日本国内では、あまり一般的な食材ではない。日本は、食材が豊富で魚類、鳥肉、動物肉からタンパク質が得られことやカエルに対する愛着心もあることから人気の食材ではない。
【0012】
また、法律によって野生のカエルを食用にすることが禁止されている。一方で、日本ではペットとして飼われることがあり、愛好家やコレクターによる需要があるが、食用としての需要はそれほど高くない。
【0013】
一方、食用ガエルは、実際に世界各地で食用ガエルを食べている地域があり、その主な国は、ヨーロッパ、中国、ベトナム、カンボジア、タイ、台湾、シンガポール、インドネシア、マレーシア、南アフリカ、アメリカ等、その他多くの国々が食材として使用している。
【0014】
その調理方法として、カエルのフィレ肉や脚肉を使用した食品やフライや唐揚げ、グリル、ステーキ、シチューなどの肉料理として調理する。脚肉をもち米と一緒に炊き込み、スープの具材として使用している。
【0015】
カエルの骨や内臓、皮などから出汁をとり、スープやだしを作り、スープには、野菜や香辛料などを加えて味を調えることができる。
【0016】
さらに、カエルを缶詰にすることで、保存性を高めることができる。缶詰にする際には、肉やスープを缶詰に詰め込み、加熱殺菌する。
【0017】
カエルの脚肉を使ったフライドスナックも作ることができ、香辛料を加えることで、味のバリエーションを増やすことができる。このように食用ガエルは、多くの調理方法がある。
【0018】
アフリカツメガエルを使った食材例として、肉は、鶏肉や魚肉に似た風味がある。ガエルの肉を使った加工品としては、ハンバーガーやソーセージ、肉団子、パテなどが挙げられる。
【0019】
唐揚げやフライ料理は、アフリカなどでは一般的な料理である。唐揚げやフライにすることで、食べやすく、親しみやすい食品である。
【0020】
餃子の皮で包んだガエルの肉や野菜の餡は、ヘルシーで栄養価が高いため、健康志向の高い人に人気がある。
【0021】
アフリカン・ガエル・カレーは、肉をトマトベースのカレーソースで煮込んだ料理です。スパイシーで旨味があり、タンパク質が豊富なため、健康志向の高い人に人気がある。
【0022】
ただし、日本国内では、一部の人達が輸入した食用ガエルを食材としている。優れた食材であるが、人気食材ではない。
【0023】
ところで、養殖食用ガエルの生産量が多い主な国は、中国、フランス、ベトナム、インドネシア、アメリカなどである。中国が最大の生産国であり、世界の生産量の約90%を占めている。
また、フランスも重要な生産国の一つであり、高級食材として需要があるため、缶詰や加工品の生産量も多い。市場規模については正確な数字はないが、需要が高い地域や国では一定の市場が存在する。
【0024】
これらの食用ガエルを先進国で養殖生産するには、養殖の生産的な環境問題や安全性に注意する必要がある。特に、カエルの鳴き声や汚水処理にも注意が必要である。食用ガエルを量産生産する場合は、繁殖期での鳴き声は大音量となり、周辺住居への騒音となり、住民への生活環境に悪影響を与える。
【0025】
養殖ガエルとして最適なのはアフリカツメガエルである。その一番の理由として、アフリカツメガエルは鳴かない、鳴かないので周辺への騒音がない、水中で生息するため、陸上での生活をしない、さらに、人口受精ができ生産管理養殖に最適である。
【0026】
しかし、養殖アフリカツメガエル(他の食用ガエルを含む)の養殖には、餌の養殖と水質管理など、いくつかの課題がある。生産システムでの問題は、食材として利用する場合は、安全、衛生面及び食用ガエルの糞尿及び排水処理の課題である。
【0027】
また、その生産・流通においては、持続可能性や動物福祉、衛生面などの観点から、適切な管理が必要となる。
【0028】
このために、本出願人は、特許文献1及び特許文献2において、「食用ガエルを養殖するための飼育水の循環システム」及び「食用ガエルの餌を養殖するための飼育水の循環システム」を提案してきた。
【0029】
特許文献1では、微酸性電解水を生成する電解槽と、前記電解槽で生成された微酸性電解水を貯水する微酸性電解貯水槽と、前記微酸性電解貯水槽から送水される微酸性電解水にナノバブルと希釈水を加えたナノ次亜塩素酸水を貯水する希釈電解水貯水槽と、前記希釈電解水貯水槽で生成されるナノ次亜塩素酸水を食用ガエルの飼育水として用いる食用ガエル飼育槽と、前記食用ガエル飼育槽で用いられた飼育水を濾過し浄化する浄化槽と、前記濾過し浄化した飼育水を除菌して貯水する浄化済貯水槽と、を備え、前記除菌された飼育水を前記電解槽に送水して設備内で循環させることを特徴とする食用ガエルを養殖するための飼育水の循環システムを提案している。
【0030】
また、特許文献2では、地下淡水を貯水する地下淡水貯水槽と、前記地下淡水貯水槽に貯水されている地下淡水にオゾンを発生させて除菌を行うオゾン発生装置と、前記地下淡水貯水槽に貯水されている地下淡水にナノバブルを発生させて溶存酸素濃度を高くさせるナノバブル発生装置と、両生類又は淡水魚の幼生又は幼魚からなる食用ガエルの餌と、前記地下淡水貯水槽で生成されるオゾンナノバブル水を前記食用ガエルの餌の飼育水として用いる食用ガエルの餌の飼育槽と、前記食用ガエルの餌の飼育槽で用いられた飼育水を濾過し浄化する浄化槽と、前記濾過し浄化した飼育水を貯水する浄化済貯水槽と、を備え、前記浄化された飼育水を前記地下淡水貯水槽に送水して前記オゾン発生装置及びナノバブル発生装置を作動させてオゾンナノバブル水を生成し設備内で循環させることを特徴とする食用ガエルの餌を養殖するための飼育水の循環システムを提案している。
【0031】
特許文献1及び特許文献2によれば、溶存酸素濃度が高く、細菌を除菌する飼育水(13℃~28℃)であり、孵化率及び幼生時の生残率を高め、食用ガエル及び魚介類成長過程を短縮すると同時に食用ガエルの冬眠期間を無くすことができる。
【0032】
また、このナノ次亜塩素酸水は、一室型電解槽内で30℃~70℃で電解することで一層の除菌作用が高めることにより、安全な飼育水として外部に排水することができる。
【0033】
また、地下淡水のナノオゾンバブル水は、孵化率・幼魚・幼生(オタマジャクシ)の生残率・成長期間の短縮に効果がある。また、ナノ次亜塩素酸水は孵化率・幼魚・幼生(オタマジャクシ)の生残率・成長期間の短縮に効果がある。従って、ナノオゾンバブル水及びナノ次亜塩素酸水は、魚類や食用ガエルの飼育の成長期間を早め且つ除菌効果により生残率の高い飼育をすることができる。これらの飼育水で飼育された食用ガエルの餌類を完全養殖にすることにより、代替魚粉となる食用ガエルの養殖コストを大幅にコストダウンできる効果がある。
【先行技術文献】
【0034】
【特許文献1】特許第6799887号公報
【特許文献2】特許第7079302号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0035】
しかしながら、アフリカツメガエルの養殖に関しては、以下のような課題がある。
即ち、安全性における課題として、食用ガエルを養殖する場合、特に、アフリカツメガエルの養殖には、カエルツボカビ症やラナウィルス症に注意する必要がある。カエルツボカビ症は、アフリカツメガエルが宿主であり無症状である。アフリカ起源のカエルの病気で、輸入したカエルから日本に入ってきた。両生類の新興感染症で、ツボカビ門に属する。
【0036】
カエルツボカビ類は土壌や淡水中に生息し、両生類の皮膚に寄生するカビで、感染すると死に至るが、専門機関で治療はできる。人や魚類、哺乳類、鳥類、爬虫類には感染しない。
【発明の目的】
【0037】
従って、本発明の目的は、アフリカツメガエルの高蛋白質でアミノ酸が豊富な食品加工原料を得るために、アフリカツメガエルを養殖する際に、安全性が高く、供給量を増やし、コストダウンを図ることができ、養殖するための飼育水の濾過排水を利用して、アフリカツメガエルの餌を養殖する自給自足型養殖システムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0038】
本発明は、上記の目的を達成するために、地下水を貯留する地下水貯留槽と、前記地下水貯留槽に貯留された地下水をオゾンバブルに生成するオゾンバブル水槽と、前記オゾンバブル水槽にナノノズルを通して生成されるナノオゾンバブル水と、前記ナノオゾンバブル水が注入され該ナノオゾンバブル水でアフリカツメガエルを飼育するアフリカツメガエル飼育水槽と、前記アフリカツメガエル飼育水槽で用いられたアフリカツメガエル飼育水を濾過して浄化する第1の濾過槽と、前記第1の濾過槽で濾過した濾過排水をナノノズルを通して生成される濾過排水ナノオゾン水と、前記濾過排水ナノオゾン水が注入され該濾過排水ナノオゾン水で前記アフリカツメガエルの餌となる水生イトミミズを飼育する水生イトミミズ飼育水槽と、前記濾過排水ナノオゾン水を利用した水生イトミミズの飼育水で、前記アフリカツメガエルの餌となる陸生ミミズを飼育する陸生ミミズ飼育水槽と、前記水生イトミミズ飼育水槽から排水される排出水を前記オゾンバブル水槽に再送水して循環させる第2の濾過槽と、を有するアフリカツメガエルの自給自足型養殖システムを提供するものである。
【0039】
以上の構成において、前記アフリカツメガエルの自給自足型養殖システムは、更に、陽極と陰極が隔膜で仕切られていない一室型電解槽を有し、該一室型電解槽で生成された微弱次亜塩素酸水により前記アフリカツメガエルの餌となる水生イトミミズと陸生ミミズを殺菌処理して給餌し、出荷時の殺菌処理をするための殺菌作用を促すことを特徴とする。
【0040】
また、前記水生イトミミズ飼育水槽は、水生イトミミズの寝床となる水生イトミミズ寝床を有し、該水生イトミミズ寝床は樹脂製ネット状の形状であることを特徴とする。
【0041】
また、前記陸生ミミズ育成槽は、前記陸生ミミズを培養する培養土を有し、該培養土に適度な湿度を保つための散水を行うナノノズルと、該培養土に適度な酸素を注入するコンプレッサーとエアーチューブとを有することを特徴とする。
【0042】
また、前記陸生ミミズ育成槽は、槽の上部にLED照明が設けられていることを特徴とする請求項1に記載のアフリカツメガエルの自給自足型養殖システム。
【0043】
また、前記アフリカツメガエルの自給自足型養殖システムは、更に、前記水生イトミミズと陸生ミミズを餌用に殺菌処理する水生・陸生ミミズ餌用殺菌処理槽及び前記飼育されたアフリカツメガエルの出荷時の殺菌処理を行うアフリカツメガエル出荷殺菌処理槽を有することを特徴とする。
【0044】
また、前記アフリカツメガエルの自給自足型養殖システムは、更に、前記陸生ミミズ育成槽、前記水生・陸生ミミズ餌用殺菌処理槽及び前記アフリカツメガエル出荷殺菌処理槽から排出された飼育水及び殺菌水を70℃以上に加温して外部に排出する排水熱処理外部排出水槽を有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0045】
本発明のアフリカツメガエルの自給自足型養殖システムに用いられるナノオゾンバブル水は、溶存酸素濃度が高く、細菌を除菌する飼育水(10℃~30℃)であり、孵化率及び幼生時の生残率を高め、アフリカツメガエルの成長を促す効果がある。
【0046】
ナノオゾンバブル水は、アフリカツメガエルの孵化率・幼魚・幼生(オタマジャクシ)の生残率・成長期間の短縮に効果がある。従って、ナノオゾンバブル水は、アフリカツメガエルの飼育の成長期間を早め且つ除菌効果により生残率の高い飼育をすることができる。これらの飼育排水で飼育された水生イトミミズ及び陸生ミミズを養殖にすることにより、食材加工原料となる高蛋白質でアミノ酸が豊富な食用ガエルの養殖コストを大幅にコストダウンできる効果がある。
【0047】
さらに、餌となる水生イトミミズ及び陸生ミミズは、タンパク質が多く含まれおり、アミノ酸も豊富に含まれおり、養殖アフリカツメガエルの成分である、タンパク質、アミノ酸、ビタミン類等の成分をより高め優れた食材としての効果がある。
【0048】
それらを給餌することにより、従来のアフリカツメガエよりも優れた養殖アフリカツメガエルを得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0049】
【
図1】アフリカツメガエル自給自足型養殖システムの概略図である。
【
図2】地下水貯水槽、オゾンバブル水槽、ナノノズルバブルの模式図である。
【
図3】アフリカツメガエル飼育水槽で発生する残餌や汚水の処理を示す図である。
【
図4】水生イトミミズの寝床を示す図。(a)は平面図、(b)は断面図である。
【
図6】地下水を電気分解して生成する微弱次亜塩素酸水による飼育水の殺菌及び殺菌後の水の排水の流れを示す図である。
【
図7】アフリカツメガエルのアミノ酸分析表である。
【
図8】必須アミノ酸のTrp(トリプトファン)を1とした数値である。
【
図9】食用ガエルの可食部100g中の成分表である。
【発明を実施するための形態】
【0050】
以下、図面を参照しながら、本発明の実施の形態に係るアフリカツメガエルを養殖するための飼育水の循環システムを詳細に説明する。
【0051】
以下、図面を参照しながら、本発明の実施の形態に係るアフリカツメガエルを養殖するための自給自足型養殖システムについて詳細に説明する。
【0052】
図1は、アフリカツメガエルの自給自足型養殖システムの概略図である。
ここで▲1▼は、地下水貯水槽であり、水温はアフリカツメガエルが冬眠しない温度で10℃以上である。▲2▼の一室型電解槽は、陽極と陰極が隔膜で仕切られていない一室型の電解槽であり、アフリカツメガエルの餌や出荷時の殺菌処理をするための殺菌作用を促す微酸性電解水(次亜塩素酸水=HCLO)を生成する。
【0053】
図2に示すように、地下水貯水槽▲1▼に貯水されている地下水をオゾンバブル水槽▲3▼に供給してオゾンバブルを生成し、このオゾンバブルにナノノズル▲4▼を通してナノオゾンバブル水を生成し、地下水の殺菌作用を促す。とともに、ナノオゾンバブル水により、溶存酸素濃度が高まり、アフリカツメガエルの皮膚に浸透し、皮膚の滑りを良くして成長を促す。
【0054】
そして、
図3に示すように、アフリカツメガエル飼育水槽▲5▼で発生する残餌や汚水を、濾過槽▲6▼に設けたフィルター▲7▼を通して濾過する。
【0055】
ここで濾過された濾過水は、ナノバブルノズル▲9▼によりナノオゾン水を生成して、水生イトミミズ飼育水槽▲10▼に注入され、溶存酸素濃度の高い環境で水生イトミミズを飼育する。水生イトミミズ寝床▲11▼は、
図4(a)及び(b)に示すように、樹脂製ネット状の形状であり、餌の水生イトミミズを採取しやすくするため、ミミズが付着しない寝床である。なお、水生イトミミズ飼育水槽▲10▼で発生した残餌や汚水を、濾過槽▲6▼Aに設けたフィルター(図示せず)を通して再度濾過し、その濾過水をオゾンバブル水槽▲3▼へ送水する。
【0056】
一方、
図5に示すように、陸生ミミズ育成槽▲13▼では、培養土▲14▼を設けて、適度な湿度を保つために、散水ノズル▲12▼で散水する。ここで用いられる水は、ナノノズル▲9▼により生成されたナノオゾン水である。陸生ミミズが生息するためには、培養土▲14▼に適度な酸素を保つ必要があり、そのために、コンプレッサー▲17▼を設け、エアーチューブ▲15▼を通して培養土▲14▼に酸素を注入する、陸生ミミズ育成槽▲13▼の上部にLED照明▲16▼を設け、夜間の脱走を防止する。
【0057】
次に、
図1と
図6を参照して、水生・陸生ミミズ餌用の殺菌処理槽と、アフリカツメガエル出荷殺菌処理槽について述べる。
符号▲18▼は、水生・陸生ミミズ餌用の殺菌処理を行う水生・陸生ミミズ餌用の殺菌処理槽であり、符号▲19▼は、アフリカツメガエル出荷殺菌処理を行うアフリカツメガエル出荷殺菌処理槽である。
地下水貯水槽▲1▼からの地下水を一室型電解槽▲2▼に注入して微弱次亜塩素酸水を生成し、水生・陸生ミミズ餌用の殺菌処理槽▲18▼に注入して、アフリカツメガエルの餌となる水生イトミミズ及び陸生ミミズを殺菌して給餌する。アフリカツメガエルを出荷する際は、アフリカツメガエル出荷殺菌処理槽▲19▼で殺菌し、安全安心な食材として出荷する。
【0058】
飼育水及び殺菌水を外部に排出する際は、▲20▼排水熱処理外部排出水槽において、70℃以上に加温して外部▲21▼に排出する。
【0059】
なお、カエルが冬眠をしない条件として、10℃以上の温度を保つ必要がある。特に、熱帯の地域で生まれたカエルは冬眠をしない。逆にさせようとすると死亡することがある。水温管理すれば冬眠しなくなる。特にアフリカツメガエルの場合は、水に生息し、陸では生息しないので、湿度の管理の必要はない。
【0060】
ところで、その養殖アフリカツメガエルに特化した食材加工製品の応用ができる。
【0061】
例えば、養殖アフリカツメガエル(その他の食用カエルを含む)の粉体、油、卵の卵細胞、ソリュブルを主原料とする食材添付剤との食材加工配合原料。
【0062】
養殖アフリカツメガエル(その他の食用カエルを含む)の粉体は、煮熟して圧搾機で脂と水を分離し水分を10%以下に乾燥したものである。
【0063】
そして、養殖アフリカツメガエル(他の食用ガエルを含む)油は、煮熟して圧搾機で脂と水を分離する際に得られる油を精製したものである。
【0064】
さらに、養殖アフリカツメガエル(他の食用カエルを含む)の卵の卵細胞は、該卵細胞を遠心分離して得られる、卵黄、卵抽出液及び/又は脂質である。
【0065】
養殖アフリカツメガエル(他の食用カエルを含む)のソリュブル(溶解性)は、粉体の製造工程で副生する煮熟液や圧搾液を遠心分離し、固形分と油脂を除き濃縮したものである。
【0066】
養殖アフリカツメガエル(他の食用カエルを含む)の粉体に、養殖アフリカツメガエル(他の食用カエを含むルの)油、養殖アフリカツメガエル(他の食用カエルを含む)の卵の卵細胞、養殖アフリカツメガエル(他の食用カエルを含む)のソリュブルのいずれか又はいずれかの組み合わせあるいは全ての食材添付剤との配合及び混合ができる。
【0067】
養殖アフリカツメガエル(他の食用カエルを含む)油に、養殖アフリカツメガエル(他の食用カエルを含む)の卵の卵細胞、養殖アフリカツメガエル(他の食用カエルを含む)のソリュブルのいずれか又は全ての食材添付剤を配合する。
【0068】
養殖アフリカツメガエル(他の食用カエルを含む)の卵の卵細胞に、養殖アフリカツメガエル(他の食用カエルを含む)のソリュブルと食材添付剤との食材配合原料を配合する。
【0069】
養殖アフリカツメガエル(他の食用カエルを含む)の粉体と養殖アフリカツメガエル(他の食用カエルを含む)油と養殖アフリカツメガエル(他の食用カエルを含む)の卵の卵細胞と養殖アフリカツメガエル(他の食用カエルを含む)のソリュブルは、養殖アフリカツメガエル(他の食用カエルを含む)から生成される。
【0070】
養殖アフリカツメガエル(他の食用カエルを含む)の粉体、養殖アフリカツメガエル(他の食用カエルを含む)油及び又は養殖アフリカツメガエル(他の食用カエルを含む)の卵の卵細胞及び又は養殖アフリカツメガエル(他の食用カエルを含む)のソリュブルは、高蛋白質でアミノ酸が豊富でバランスが取れた食材添付剤との食材配合原料を提供できる。
【0071】
養殖アフリカツメガエル(他の食用カエルを含む)には、高たんぱく・低脂肪・低カロリーという特徴があり、栄養価が高く、また、多様な調理法で料理することができる。そのため、健康志向の高まりや、食文化の多様化に伴い、需要が増える。
【0072】
養殖アフリカツメガエル(その他の食用ガエルを含む)は栄養価が高く、特に必須アミノ酸が豊富に含まれているため、様々な加工製品の開発ができる。
【0073】
養殖アフリカツメガエル(その他の食用ガエルを含む)を原料とした、高たんぱくの加工食品の開発が挙げられる。たんぱく質が不足しがちな現代社会において、高たんぱくの食品には需要がある。
【0074】
また、養殖アフリカツメガエル(その他の食用ガエルを含む)の肉や内臓から抽出した栄養素を利用した健康食品も提供できる。
【0075】
例えば、アミノ酸やペプチドを含むサプリメントや、コラーゲンやヒアルロン酸を含む美容健康食品などである。
【0076】
さらに、養殖アフリカツメガエル(その他の食用ガエルを含む)のだしやエキスを利用した調味料やスープの開発も可能であり、味が濃く、スープやだしの素にすることで、風味や旨味を加えることができる。
【0077】
以上のように、養殖アフリカツメガエル(その他の食用ガエルを含む)の加工製品の開発には、様々な分野での可能性がある。
【0078】
養殖アフリカツメガエル(その他の食用ガエルを含む)の粉体原料は、健康食品や栄養補助食品などの健康関連製品にも応用でき、これらの食品加工は、筋肉の成長や修復に必要なたんぱく質を豊富に含んでおり、スポーツ選手やトレーニー、ダイエッターなどにとって重要な栄養素である。
【0079】
タンパク質を多く含む原料を加工する方法であって、養殖アフリカツメガエルに特化した加工・製造方法を以下に説明する。
【0080】
ハイドロリゼート加工法方法においては、養殖アフリカツメガエルを高温・高圧で加熱・加圧してタンパク質を分解し、アミノ酸やペプチドを抽出する方法で、抽出された栄養素は、消化吸収がよく、体内への吸収率を高いため、スポーツ栄養食品やダイエット食品である。
【0081】
抽出方法では、養殖アフリカツメガエルの内臓や骨から栄養素を抽出する方法であり、養殖アフリカツメガエル肉から抽出されたコラーゲンは、化粧品や健康食品などである。
【0082】
乾燥法方法では、養殖アフリカツメガエルの肉や内臓を乾燥させて、栄養素を抽出する方法であり、抽出された栄養素は、長期保存が可能で、加工食品やペットフードなどである。
【0083】
水素化方法では、養殖アフリカツメガエルの肉や内臓を水素化して、水素化タンパク質や水素化コラーゲンを製造する方法で、製造された栄養素は、消化吸収がよく、味が良く、安定性に優れており、健康食品や美容食品である。
【0084】
以上のような方法を用いて、肉や内臓から栄養素を抽出して、様々な加工製品を製造する方法である。また、製品によっては化学調味料や保存料を使用することがあるが、最近では無添加製品も増えている。
【0085】
生産性コストの軽減や衛生面や食品安全性を重視した自給自足型養殖システムからなる養殖アフリカツメガエル(他の食用ガエルを含む)の粉体、油、卵の卵細胞、ソリュブルは、食品添加剤との配合及び混合した食品加工製品である。
【0086】
養殖アフリカツメガエル(他の食用ガエルを含む)の粉体、ソリュブル、油、卵の卵細胞に、使用する食料添加剤においては、
保存料は、ソルビン酸、ソルビン酸カリウム、ブチルパラベン、エチルパラペン、メチルパラペン、プロピルパラペン、安息香酸ナトリウム。酸味料は、クエン酸、リンゴ酸、酢酸。甘味料は、砂糖、ブドウ糖、ハチミツ、スクラロース、アスパルテーム、アセスルファムK、サッカリン、スクラロース。
色素は、カロテノイド、アントシアニン、クチナシ色素、カラメル色素、亜硝酸ナトリウム。
香料は、バニリン、シナモンアルデヒド、メチルシクロペンタジエノン。
増粘剤は、キサンタンガム、アラビアガム、増粘多糖類。
発色剤は、硝酸塩、亜硝酸塩、亜鉛塩。膨張剤は、炭酸水素ナトリウム、クエン酸塩。
安定剤は、リン酸塩。乳化剤は、ソルビタン脂肪酸エステル、ポリグリセロール脂肪酸エステル、レシチン。
調味料は、グルタミン酸、イノシン酸、グアニル酸である。上記、との食料添加物との配合及び混合する。
【0087】
上記の食品添加物は、食品によって使用される種類や量によって、安全性が確認されている。
【0088】
養殖アフリカツメガエル(他の食用ガエルを含む)の粉体、ソリュブル、油、卵の卵細胞の原料、つまりアフリカツメガエル(他の食用ガエルを含む)をコスト面、環境面、衛生面、安全面、品質面等が確保できる自給自足型循環養殖システムにより養殖された食材原料である。
【0089】
しかし、養殖アフリカツメガエル(他の食用ガエルを含む)の養殖には、餌の養殖と水質管理など、いくつかの課題がある。
【0090】
そのため、養殖アフリカツメガエル(他の食用ガエルを含む)の生産・流通においては、持続可能性や動物福祉、衛生面などの観点から、適切な管理が必要となる。