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特開2024-170271海草藻場生態系における浮遊生物のインテリジェント監視およびサンプリング装置およびサンプリング方法
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  • 特開-海草藻場生態系における浮遊生物のインテリジェント監視およびサンプリング装置およびサンプリング方法 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024170271
(43)【公開日】2024-12-06
(54)【発明の名称】海草藻場生態系における浮遊生物のインテリジェント監視およびサンプリング装置およびサンプリング方法
(51)【国際特許分類】
   G01N 1/12 20060101AFI20241129BHJP
   G01N 1/10 20060101ALI20241129BHJP
【FI】
G01N1/12 A ZAB
G01N1/10 B
【審査請求】有
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023119532
(22)【出願日】2023-07-23
(11)【特許番号】
(45)【特許公報発行日】2023-11-10
(31)【優先権主張番号】202310604431.8
(32)【優先日】2023-05-26
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(71)【出願人】
【識別番号】522258318
【氏名又は名称】生態環境部華南環境科学研究所(生態環境部生態環境応急研究所)
(71)【出願人】
【識別番号】515236732
【氏名又は名称】曁南大学
(74)【代理人】
【識別番号】100216471
【弁理士】
【氏名又は名称】瀬戸 麻希
(72)【発明者】
【氏名】陳▲つぇん▼
(72)【発明者】
【氏名】彭勃
(72)【発明者】
【氏名】王敏
(72)【発明者】
【氏名】汪元南
(72)【発明者】
【氏名】呉艶麗
(72)【発明者】
【氏名】黄基霖
(72)【発明者】
【氏名】賀涛
【テーマコード(参考)】
2G052
【Fターム(参考)】
2G052AA06
2G052AA36
2G052AA40
2G052AC05
2G052AD09
2G052AD29
2G052AD55
2G052BA05
2G052BA14
2G052BA22
2G052CA02
2G052CA08
2G052EA02
2G052EA11
2G052FD08
2G052GA09
2G052GA28
2G052GA29
2G052HA01
2G052HA12
2G052HA19
2G052HC04
2G052HC07
2G052HC08
2G052HC28
2G052HC32
2G052HC42
2G052JA06
2G052JA08
2G052JA10
2G052JA11
2G052JA30
(57)【要約】      (修正有)
【課題】海草藻場生態系における浮遊生物のインテリジェント監視およびサンプリング装置およびサンプリング方法であり、水域環境サンプリング装置の技術分野に属する。
【解決手段】サンプリング装置は、サンプリング本体、インテリジェント収集部品、駆動部品およびインテリジェント制御端末を備え、本発明の装置は、収集トレイの収集深度を調整するのに便利であるだけでなく、異なる水域懸濁物を勾配で収集し、次に海草藻場中の濃縮した水域懸濁物DNAを採用し、収集したサンプルがより完全で、検出したデータがより正確である。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
中心に外部と連通する取付調節口(10)が設けられたサンプリング本体(1)、前記取
付調節口(10)に設けられたインテリジェント収集部品(2)、前記サンプリング本体
(1)の上端に設けられて前記インテリジェント収集部品(2)に接続された駆動部品(
3)およびインテリジェント制御端末(4)を備え、
前記インテリジェント収集部品(2)は、下端の左右両側に収集サブボックス(200)
が設けられた収集メインボックス(20)、前記収集メインボックス(20)内に設けら
れた第1濾過膜(21)、前記収集サブボックス(200)内に設けられた第2濾過膜(
22)、エ字形の収集ヘッド(23)および前記エ字形の収集ヘッド(23)に接続され
た水ポンプ(24)を含み、前記エ字形の収集ヘッド(23)は、上端が収集メインボッ
クス(20)の下端を貫通してその内部に延伸する垂直収集管(230)、収集メインボ
ックス(20)内に設けられて垂直収集管(230)の上端と連通する噴霧ディスク(2
31)、垂直収集管(230)の下端に接続された収集トレイ(232)を含み、前記噴
霧ディスク(231)の下端に複数の噴霧口(233)が均一に設けられ、前記収集トレ
イ(232)の下端に複数の収集孔(234)が均一に設けられ、垂直収集管(230)
に水流量センサー(235)が設けられ、
前記第1濾過膜(21)と第2濾過膜(22)はいずれも着脱可能な構造であり、第1濾
過膜(21)は垂直収集管(230)の外壁に嵌設された取付内輪(210)、前記取付
内輪(210)と同軸に設けられた取付外輪(211)、取付内輪(210)と前記取付
外輪(211)間に設けられた複数の分離ロッド(212)および隣接する2つの前記分
離ロッド(212)間に可動に設けられたサブ濾過膜(213)を含み、第2濾過膜(2
2)はシリコン膜およびシリコン膜を固定するための外枠(220)を含み、
前記駆動部品(3)は、サンプリング本体(1)の上端に設けられたH字形の取付ラック
(30)、前記H字形の取付ラック(30)の水平セグメントに設けられた回転ローラ(
31)、前記回転ローラ(31)を回転させるための駆動モータ(32)を含み、回転ロ
ーラ(31)の外壁に収集メインボックス(20)を接続するための巻きロープ(310
)が巻かれ、
前記インテリジェント制御端末(4)は、水ポンプ(24)と水流量センサー(235)
に電気的に接続されたコントローラ(40)、サンプリング本体(1)に設けられたGP
Sモジュール(41)、サンプリング本体(1)に設けられて遠隔信号転送に用いられる
無線通信モジュール(42)、および故障警報モジュール(43)を含む、ことを特徴と
する海草藻場生態系における浮遊生物のインテリジェント監視およびサンプリング装置。
【請求項2】
前記サンプリング本体(1)の下端に転倒防止部品(11)が設けられ、前記転倒防止部
品(11)は、サンプリング本体(1)の下端に垂直に設けられた取付摺動板(110)
、垂直セグメントが前記取付摺動板(110)の中心に可動に接続された逆T字形の固定
柱(111)、前記逆T字形の固定柱(111)の左右両側に対称に分布されて上端が取
付摺動板(110)に摺動可能に接続された平衡摺動板(112)、逆T字形の固定柱(
111)の垂直セグメントの外部に嵌設されて外壁が周方向に沿って均一に設けられた複
数のブレード(1130)を有する摺動スリーブ(113)を含み、前記摺動スリーブ(
113)と逆T字形の固定柱(111)の水平セグメント間に複数の反発バネ(1131
)が均一に設けられ、摺動スリーブ(113)と各平衡摺動板(112)間に調節摺動ロ
ッド(1132)がヒンジで接続される、ことを特徴とする請求項1に記載の装置。
【請求項3】
前記取付摺動板(110)の左右両側にそれぞれ制限遮断ブロック(114)が設けられ
、前記平衡摺動板(112)は、取付摺動板(110)に摺動可能に接続された摺動板(
1120)、前記摺動板(1120)の下方に設けられ長さが摺動板(1120)の長さ
よりも大きい平衡板(1121)を含み、前記平衡板(1121)は中空構造であり、中
空構造の平衡板(1121)内に発泡材が充填されている、ことを特徴とする請求項2に
記載の装置。
【請求項4】
前記収集トレイ(232)の下端にスリーブ(236)が設けられ、前記スリーブ(23
6)の下端に電動破砕ローラ(2360)が設けられ、スリーブ(236)内であって前
記電動破砕ローラ(2360)の上端にフィルター(2361)が設けられる、ことを特
徴とする請求項1に記載の装置。
【請求項5】
前記サンプリング本体(1)の側壁に衝突防止部品(12)が設けられ、前記衝突防止部
品(12)は、複数の第1バネ接続柱(1200)を介してサンプリング本体(1)の側
壁に接続された水平湾曲緩衝板(120)、第2バネ接続柱(1210)を介して前記水
平湾曲緩衝板(120)に接続された複数の垂直湾曲緩衝板(121)を含む、ことを特
徴とする請求項1に記載の装置。
【請求項6】
各前記垂直湾曲緩衝板(121)の側壁にそれぞれ緩衝エアバッグ(1211)が設けら
れる、ことを特徴とする請求項5に記載の装置。
【請求項7】
請求項1~6のいずれか1項に記載の装置に基づく海草藻場生態系における浮遊生物のイ
ンテリジェント監視およびサンプリング方法であって、
S1、コントローラ(40)を通じて外部駆動装置を制御してサンプリング本体(1)を
指定の水環境領域に移動させ、駆動モータ(32)を起動し、駆動モータ(32)を通じ
て回転ローラ(31)を時計回りに回転させるように駆動し、回転ローラ(31)から巻
きロープ(310)が連続的に巻き下げられ、このとき、収集メインボックス(20)の
重力作用下で、その両側の収集サブボックス(200)が取付調節口(10)内で下方に
摺動し、収集トレイ(232)が同期して水域に移動し、収集トレイ(232)が予設し
た収集深度に達すると、コントローラ(40)を通じて外部駆動装置を閉じるように制御
するステップと、
S2、水ポンプ(24)を起動し、水が各収集孔(234)を通って収集トレイ(232
)に流入し、垂直収集管(230)を通って噴霧ディスク(231)内に入り、噴霧口(
233)を通って第1濾過膜(21)上に均一に噴霧し、第1濾過膜(21)を通じて水
環境中の真核生物を濃縮し、水が第1濾過膜(21)を通って流下し、逆T字形の固定柱
(111)の両側からそれぞれ収集サブボックス(200)内に落下し、その後、第2濾
過膜(22)を通じて水環境中の細菌を濃縮し、水が第2濾過膜(22)を通って水環境
に流れ、水流量センサー(235)により逆T字形の固定柱(111)に入った水量を検
出し、予設水量に達すると、海草藻場中の微生物DNAの収集を完了するステップと、
S3、サンプルを収集するとき、電動破砕ローラ(2360)を通じて水域中の植物を破
砕し、フィルター(2361)を通じて水域中の微細な固体不純物を濾過し、水平湾曲緩
衝板(120)と垂直湾曲緩衝板(121)で2重緩衝構造を形成して、サンプリング本
体(1)に衝突する外力を遮断するステップと、
S4、サンプルを収集するとき、風の流れが各ブレード(1130)に垂直に吹き付け、
摺動スリーブ(113)を取付摺動板(110)に近い側方に移動させるように駆動し、
このとき、摺動スリーブ(113)は各反発バネ(1131)を圧縮し、調節摺動ロッド
(1132)は、対応の平衡摺動板(112)を押してそれぞれ取付摺動板(110)の
左右両側に沿って摺動させ、平衡摺動板(112)がそれぞれサンプリング本体(1)の
左右両側に位置し、サンプリング本体(1)の平衡を取るステップと、を含む、ことを特
徴とする海草藻場生態系における浮遊生物のインテリジェント監視およびサンプリング方
法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、水域環境サンプリング装置の技術分野に属し、具体的に、海草藻場生態系にお
ける浮遊生物のインテリジェント監視およびサンプリング装置およびサンプリング方法に
関する。
【背景技術】
【0002】
近年、地球規模の気候変動の影響が顕在化し、「カーボンピーキング」や「カーボンニュ
ートラル」が徐々に世界的なコンセンサスになって、地球上で最大の炭素貯蔵庫である海
洋は、グローバルな気候ガバナンスにおいて基本的な役割を担っている。中国の海洋戦略
と「ダブルカーボン」目標の背景において、海洋炭素吸収源(ブルーカーボン)の役割と
意義はますます顕著になってきている。
ブルーカーボンとは、海洋生物を利用して大気中の二酸化炭素を吸収し、海洋に固定する
プロセス、活動、メカニズムを指し、グリーンカーボンシンクなど他の炭素吸収源と比較
して、ブルーカーボンは炭素吸収量が大きく、効率が高く、貯蔵期間が長いという特徴が
ある。森林や草原などの陸上生態系は、貯蔵サイクルが最長でも数十年しかないのに対し
、ブルーカーボンの吸収源は数百年、数千年と続き、大きな炭素吸収効果を発揮する。し
たがって、ブルーカーボンは温室効果ガスの排出を効果的に緩和し、カーボンニュートラ
ルという目標の達成に貢献することができ、グローバルな気候ガバナンスのフロンティア
領域となっている。
沿岸の3大ブルーカーボン生態系の一つであり、海洋生物の生息地や重要な食物連鎖とし
て機能し、沖合の基質や海岸線を安定化させる役割を果たす。海草藻場は微生物群集が豊
富で、沖合の物質循環や生物地球化学プロセスにおいて重要な役割を果たし、生態系の安
定を維持するために不可欠であり、海草微生物群集の組成は、海草の生態状態を効果的に
把握するための初期指標として、また海草生態系が直面する環境ストレスをより包括的か
つタイムリーに理解するために、海草藻場内のバイオモニタリングに重要である。
既存の海草藻場生態系中の生物のインテリジェント監視およびサンプリング装置は、水域
中のすべての水域懸濁物を統一に濃縮し、階層的収集機能がなく、遠心分離プロセスがよ
り困難になっている。
【発明の概要】
【0003】
上記の問題に解決するために、本発明は、海草藻場生態系における浮遊生物のインテリジ
ェント監視およびサンプリング装置およびサンプリング方法を提供する。
本発明の技術的解決策は以下の通りである。海草藻場生態系における浮遊生物のインテリ
ジェント監視およびサンプリング装置は、中心に外部と連通する取付調節口が設けられた
サンプリング本体、前記取付調節口に設けられたインテリジェント収集部品、前記サンプ
リング本体の上端に設けられて前記インテリジェント収集部品に接続された駆動部品およ
びインテリジェント制御端末を備え、
前記インテリジェント収集部品は、下端の左右両側に収集サブボックスが設けられた収集
メインボックス、前記収集メインボックス内に設けられた第1濾過膜、前記収集サブボッ
クス内に設けられた第2濾過膜、エ字形の収集ヘッドおよび前記エ字形の収集ヘッドに接
続された水ポンプを含み、前記エ字形の収集ヘッドは、上端が収集メインボックスの下端
を貫通してその内部に延伸する垂直収集管、収集メインボックス内に設けられて垂直収集
管の上端と連通する噴霧ディスク、垂直収集管の下端に接続された収集トレイを含み、前
記噴霧ディスクの下端に複数の噴霧口が均一に設けられ、前記収集トレイの下端に複数の
収集孔が均一に設けられ、垂直収集管に水流量センサーが設けられ、収集サブボックスの
高さ、エ字形の収集ヘッドの長さは必要に応じて調整可能であり、水流量センサーはエ字
形の収集ヘッドに入った水量を検出するために使用され、
前記第1濾過膜と第2濾過膜はいずれも着脱可能な構造であり、第1濾過膜は垂直収集管
の外壁に嵌設された取付内輪、前記取付内輪と同軸に設けられた取付外輪、取付内輪と前
記取付外輪間に設けられた複数の分離ロッドおよび隣接する2つの前記分離ロッド間に可
動に設けられたサブ濾過膜を含み、第2濾過膜はシリコン膜およびシリコン膜を固定する
ための外枠を含み、
前記駆動部品は、サンプリング本体の上端に設けられたH字形の取付ラック、前記H字形
の取付ラックの水平セグメントに設けられた回転ローラ、前記回転ローラを回転させるた
めの駆動モータを含み、回転ローラの外壁に収集メインボックスを接続するための巻きロ
ープが巻かれ、
前記インテリジェント制御端末は、水ポンプと水流量センサーに電気的に接続されたコン
トローラ、サンプリング本体に設けられたGPSモジュール、サンプリング本体に設けら
れて遠隔信号転送に用いられる無線通信モジュール、および故障警報モジュールを含む。
本発明の一側面によれば、前記サンプリング本体の下端に転倒防止部品が設けられ、前記
転倒防止部品は、サンプリング本体の下端に垂直に設けられた取付摺動板、垂直セグメン
トが前記取付摺動板の中心に可動に接続された逆T字形の固定柱、前記逆T字形の固定柱
の左右両側に対称に分布されて上端が取付摺動板に摺動可能に接続された平衡摺動板、逆
T字形の固定柱の垂直セグメントの外部に嵌設されて外壁が周方向に沿って均一に設けら
れた複数のブレードを有する摺動スリーブを含み、前記摺動スリーブと逆T字形の固定柱
の水平セグメント間に複数の反発バネが均一に設けられ、摺動スリーブと各平衡摺動板間
に調節摺動ロッドがヒンジで接続され、サンプルを収取するとき、風速が大きすぎると、
風の流れが各ブレードに垂直に吹き付け、摺動スリーブを取付摺動板に近い側方に移動さ
せるように駆動し、このとき、摺動スリーブは各反発バネを圧縮し、調節摺動ロッドは、
対応の平衡摺動板を押してそれぞれ取付摺動板の左右両側に沿って摺動させ、平衡摺動板
がそれぞれサンプリング本体の左右両側に位置し、サンプリング本体の平衡を取る目的を
達成し、サンプリング本体の転倒を防止し、サンプリング本体の走行安定性を向上させ、
プロセス全体で外部の駆動部材を必要とせず、環境保護・省エネという利点を有し、本装
置を使用しないとき、2つの平衡摺動板が互いに近接してサンプリング本体の下端に収容
されるため、省スペース化が実現される。
本発明の一側面によれば、前記取付摺動板の左右両側にそれぞれ制限遮断ブロックが設け
られ、前記平衡摺動板は、取付摺動板に摺動可能に接続された摺動板、前記摺動板の下方
に設けられ長さが摺動板の長さよりも大きい平衡板を含み、前記平衡板は中空構造であり
、中空構造の平衡板内に発泡材が充填され、摺動板が取付摺動板上で左右に摺動すること
により、平衡板の距離を調節し、制限遮断ブロックの設置により、摺動板と取付摺動板の
離脱による転倒防止部品の通常使用に悪影響を与えることを回避する。
本発明の一側面によれば、前記収集トレイの下端にスリーブが設けられ、前記スリーブの
下端に電動破砕ローラが設けられ、スリーブ内であって前記電動破砕ローラの上端にフィ
ルターが設けられ、電動破砕ローラにより水域中の植物を破砕し、フィルターで水域中の
微細な固体不純物を濾過し、水域中の固体不純物と植物が収集トレイ内に入って、閉塞す
ることにより通常の収集作業に悪影響を与えることを回避する。
本発明の一側面によれば、前記サンプリング本体の側壁に衝突防止部品が設けられ、前記
衝突防止部品は、複数の第1バネ接続柱を介してサンプリング本体の側壁に接続された水
平湾曲緩衝板、第2バネ接続柱を介して前記水平湾曲緩衝板に接続された複数の垂直湾曲
緩衝板を含み、単層構造の緩衝板と比較すると、本装置は、水平湾曲緩衝板と垂直湾曲緩
衝板で2重緩衝構造を形成し、より良好な緩衝能力を有し、緩衝装置の使用寿命を延長す
ることができる。
本発明の一側面によれば、各前記垂直湾曲緩衝板の側壁にそれぞれ緩衝エアバッグが設け
られ、外力が垂直湾曲緩衝板に直接に当たって垂直湾曲緩衝板が損傷することを回避する
ことができる。
本発明の一側面によれば、前記第1濾過膜の孔径は0.45μmであり、前記第2濾過膜
の孔径は0.2μmであり、第1濾過膜を通じて水域中の真核生物を濃縮し、第2濾過膜
を通じて水域中の細菌を濃縮し、その後濃縮した水域懸濁物DNAを採用し、収集したサ
ンプルがより完全で、検出したデータがより正確である。
本発明は、上記海草藻場生態系における浮遊生物のインテリジェント監視およびサンプリ
ング装置に基づく、海草藻場生態系における浮遊生物のインテリジェント監視およびサン
プリング方法をさらに開示し、この方法は、
S1、コントローラを通じて外部駆動装置を制御してサンプリング本体を指定の水環境領
域に移動させ、駆動モータを起動し、駆動モータを通じて回転ローラを時計回りに回転さ
せるように駆動し、回転ローラから巻きロープが連続的に巻き下げられ、このとき、収集
メインボックスの重力作用下で、その両側の収集サブボックスが取付調節口内で下方に摺
動し、収集トレイが同期して水域に移動し、収集トレイが予設した収集深度に達すると、
コントローラを通じて外部駆動装置を閉じるように制御するステップと、
S2、水ポンプを起動し、水が各収集孔を通って収集トレイに流入し、垂直収集管を通っ
て噴霧ディスク内に入り、噴霧口を通って第1濾過膜上に均一に噴霧し、第1濾過膜を通
じて水環境中の真核生物を濃縮し、水が第1濾過膜を通って流下し、逆T字形の固定柱の
両側からそれぞれ収集サブボックス内に落下し、その後、第2濾過膜を通じて水環境中の
細菌を濃縮し、水が第2濾過膜を通って水環境に流れ、水流量センサーにより逆T字形の
固定柱に入った水量を検出し、予設水量に達すると、海草藻場中の微生物DNAの収集を
完了するステップと、
S3、サンプルを収集するとき、電動破砕ローラを通じて水域中の植物を破砕し、フィル
ターを通じて水域中の微細な固体不純物を濾過し、水平湾曲緩衝板と垂直湾曲緩衝板で2
重緩衝構造を形成して、サンプリング本体に衝突する外力を遮断するステップと、
S4、サンプルを収集するとき、風の流れが各ブレードに垂直に吹き付け、摺動スリーブ
を取付摺動板に近い側方に移動させるように駆動し、このとき、摺動スリーブは各反発バ
ネを圧縮し、調節摺動ロッドは、対応の平衡摺動板を押してそれぞれ取付摺動板の左右両
側に沿って摺動させ、平衡摺動板がそれぞれサンプリング本体の左右両側に位置し、サン
プリング本体の平衡を取るステップと、を含む。
【発明の効果】
【0004】
先行技術と比較すると、本発明は以下の有益な効果を有する。
(1)本発明は海草藻場生態系における浮遊生物のインテリジェント監視およびサンプリ
ング装置およびサンプリング方法を提供し、取付調節口の内部に摺動可能に接続された収
集メインボックスを設置することにより、収集トレイの収集深度を容易に調節することが
できるだけでなく、異なる水域懸濁物を勾配で収集し、その後海草藻場生態系中の濃縮し
た水域懸濁物DNAを採用し、収集したサンプルがより完全で、検出したデータがより正
確である。
(2)本発明は、転倒防止部品をさらに設け、サンプルを収集するとき風速が大きいと、
平衡摺動板がそれぞれサンプリング本体の左右両側に摺動し、サンプリング本体の平衡を
取る目的を達成し、サンプリング本体の転倒を防止し、サンプリング本体の走行安定性を
向上させ、プロセス全体で外部の駆動部材を必要とせず、環境保護・省エネという利点を
有し、本装置を使用しないとき、2つの平衡摺動板が互いに近接してサンプリング本体の
下端に収容されるため、省スペース化が実現される。
(3)既存の単層緩衝構造と比較すると、本発明の衝突防止部品は、水平湾曲緩衝板と垂
直湾曲緩衝板で2重緩衝構造を形成し、より良好な緩衝能力を有し、同時に垂直湾曲緩衝
板の側壁に緩衝エアバッグがさらに設けられ、外力が垂直湾曲緩衝板に直接に当たって垂
直湾曲緩衝板が損傷することを避け、その使用寿命を大幅に延長することができる。
【図面の簡単な説明】
【0005】
図1】本発明の三次元構造を示す模式図である。
図2】本発明の断面図である。
図3】本発明の転倒防止部品のサンプリング本体への取付構造を示す模式図である。
図4】本発明の転倒防止部品の底面図である。
図5】本発明の第1濾過膜の構造を示す模式図である。
【0006】
[符号の説明]
1 サンプリング本体
10 取付調節口
11 転倒防止部品
110 取付摺動板
111 逆T字形の固定柱
112 平衡摺動板
1120 摺動板
1121 平衡板
113 摺動スリーブ
1130 ブレード
1131 反発バネ
1132 調節摺動ロッド
114 制限遮断ブロック
12 衝突防止部品
120 水平湾曲緩衝板
1200 第1バネ接続柱
121 垂直湾曲緩衝板
1210 第2バネ接続柱
1211 緩衝エアバッグ
2 インテリジェント収集部品
20 収集メインボックス
200 収集サブボックス
21 第1濾過膜
210 取付内輪
211 取付外輪
212 分離ロッド
213 サブ濾過膜
22 第2濾過膜
220 外枠
23 エ字形の収集ヘッド
230 垂直収集管
231 噴霧ディスク
232 収集トレイ
233 噴霧口
234 収集孔
235 水流量センサー
236 スリーブ
2360 電動破砕ローラ
2361 フィルター
24 水ポンプ
3 駆動部品
30 H字形の取付ラック
31 回転ローラ
310 巻きロープ
32 駆動モータ
4 インテリジェント制御端末
40 コントローラ
41 GPSモジュール
42 無線通信モジュール
43 故障警報モジュール
【発明を実施するための形態】
【0007】
本発明の内容をさらに理解するために、以下、実施例を通じて本発明を詳細に説明する。
実施例1
図1および図2に示すように、海草藻場生態系における浮遊生物のインテリジェント監視
およびサンプリング装置は、中心に外部と連通する取付調節口10が設けられたサンプリ
ング本体1、取付調節口10に設けられたインテリジェント収集部品2、サンプリング本
体1の上端に設けられてインテリジェント収集部品2に接続された駆動部品3およびイン
テリジェント制御端末4を備え、
図5に示すように、インテリジェント収集部品2は、下端の左右両側に収集サブボックス
200が設けられた収集メインボックス20、収集メインボックス20内に設けられた第
1濾過膜21、収集サブボックス200内に設けられた第2濾過膜22、エ字形の収集ヘ
ッド23およびエ字形の収集ヘッド23に接続された水ポンプ24を含み、エ字形の収集
ヘッド23は、上端が収集メインボックス20の下端を貫通してその内部に延伸する垂直
収集管230、収集メインボックス20内に設けられて垂直収集管230の上端と連通す
る噴霧ディスク231、垂直収集管230の下端に接続された収集トレイ232を含み、
噴霧ディスク231の下端に複数の噴霧口233が均一に設けられ、収集トレイ232の
下端に複数の収集孔234が均一に設けられ、垂直収集管230に水流量センサー235
が設けられ、
第1濾過膜21と第2濾過膜22はいずれも着脱可能な構造であり、第1濾過膜21は垂
直収集管230の外壁に嵌設された取付内輪210、取付内輪210と同軸に設けられた
取付外輪211、取付内輪210と取付外輪211間に設けられた複数の分離ロッド21
2および隣接する2つの分離ロッド212間に可動に設けられたサブ濾過膜213を含み
、第2濾過膜22はシリコン膜およびシリコン膜を固定するための外枠220を含み、
駆動部品3は、サンプリング本体1の上端に設けられたH字形の取付ラック30、H字形
の取付ラック30の水平セグメントに設けられた回転ローラ31、回転ローラ31を回転
させるための駆動モータ32を含み、回転ローラ31の外壁に収集メインボックス20を
接続するための巻きロープ310が巻かれ、
インテリジェント制御端末4は、水ポンプ24と水流量センサー235に電気的に接続さ
れたコントローラ40、サンプリング本体1に設けられたGPSモジュール41、サンプ
リング本体1に設けられて遠隔信号転送に用いられる無線通信モジュール42、および故
障警報モジュール43を含み、
収集トレイ232の下端にスリーブ236が設けられ、スリーブ236の下端に電動破砕
ローラ2360が設けられ、スリーブ236内であって電動破砕ローラ2360上端にフ
ィルター2361が設けられ、
第1濾過膜21の孔径は0.45μmであり、第2濾過膜22の孔径は0.2μmである
【0008】
実施例2
本実施例は以下の点で実施例1と異なる。
図3および図4に示すように、サンプリング本体1の下端に転倒防止部品11が設けられ
、転倒防止部品11は、サンプリング本体1の下端に垂直に設けられた取付摺動板110
、垂直セグメントが取付摺動板110の中心に可動に接続された逆T字形の固定柱111
、逆T字形の固定柱111の左右両側に対称に分布されて上端が取付摺動板110に摺動
可能に接続された平衡摺動板112、逆T字形の固定柱111の垂直セグメントの外部に
嵌設されて外壁が周方向に沿って均一に設けられた4つのブレード1130を有する摺動
スリーブ113を含み、摺動スリーブ113と逆T字形の固定柱111の水平セグメント
間に4つの反発バネ1131が均一に設けられ、摺動スリーブ113と各平衡摺動板11
2間に調節摺動ロッド1132がヒンジで接続され、
取付摺動板110の左右両側にそれぞれ制限遮断ブロック114が設けられ、平衡摺動板
112は、取付摺動板110に摺動可能に接続された摺動板1120、摺動板1120の
下方に設けられ長さが摺動板1120の長さよりも大きい平衡板1121を含み、平衡板
1121は中空構造であり、中空構造の平衡板1121内に発泡材が充填されている。
【0009】
実施例3
本実施例は以下の点で実施例2と異なる。
図1および図2に示すように、サンプリング本体1の側壁に衝突防止部品12が設けられ
、衝突防止部品12は、複数の第1バネ接続柱1200を介してサンプリング本体1の側
壁に接続された水平湾曲緩衝板120、第2バネ接続柱1210を介して水平湾曲緩衝板
120に接続された複数の垂直湾曲緩衝板121を含み、
各垂直湾曲緩衝板121の側壁にそれぞれ緩衝エアバッグ1211が設けられる。
本実施例で使用される水流量センサー235、電動破砕ローラ2360、ガスポンプ15
2、水ポンプ24、回転ローラ31、駆動モータ32、コントローラ40、GPSモジュ
ール41、無線通信モジュール42および故障警報モジュール43はいずれも先行技術製
品であり、当業者は必要に応じて選択し、本発明の技術的解決策を満たすことができれば
よく、ここでは特に限定されない。
【0010】
実施例4
本実施例では、実施例1~3の海草藻場生態系における浮遊生物のインテリジェント監視
およびサンプリング装置に基づく、海草藻場生態系における浮遊生物のインテリジェント
監視およびサンプリング方法を開示し、この方法は、
S1、コントローラ40を通じて外部駆動装置を制御してサンプリング本体1を指定の水
環境領域に移動させ、駆動モータ32を起動し、駆動モータ32を通じて回転ローラ31
を時計回りに回転させるように駆動し、回転ローラ31から巻きロープ310が連続的に
巻き下げられ、このとき、収集メインボックス20の重力作用下で、その両側の収集サブ
ボックス200が取付調節口10内で下方に摺動し、収集トレイ232が同期して水域に
移動し、収集トレイ232が予設した収集深度に達すると、コントローラ40を通じて外
部駆動装置を閉じるように制御するステップと、
S2、水ポンプ24を起動し、水が各収集孔234を通って収集トレイ232に流入し、
垂直収集管230を通って噴霧ディスク231内に入り、噴霧口233を通って第1濾過
膜21上に均一に噴霧し、第1濾過膜21を通じて水環境中の真核生物を濃縮し、水が第
1濾過膜21を通って流下し、逆T字形の固定柱111の両側からそれぞれ収集サブボッ
クス200内に落下し、その後、第2濾過膜22を通じて水環境中の細菌を濃縮し、水が
第2濾過膜22を通って水環境に流れ、水流量センサー235により逆T字形の固定柱1
11に入った水量を検出し、予設水量に達すると、海草藻場中の微生物DNAの収集を完
了するステップと、
S3、サンプルを収集するとき、電動破砕ローラ2360を通じて水域中の植物を破砕し
、フィルター2361を通じて水域中の微細な固体不純物を濾過し、水平湾曲緩衝板12
0と垂直湾曲緩衝板121で2重緩衝構造を形成して、サンプリング本体1に衝突する外
力を遮断するステップと、
S4、サンプルを収集するとき、風の流れが各ブレード1130に垂直に吹き付け、摺動
スリーブ113を取付摺動板110に近い側方に移動させるように駆動し、このとき、摺
動スリーブ113は各反発バネ1131を圧縮し、調節摺動ロッド1132は、対応の平
衡摺動板112を押してそれぞれ取付摺動板110の左右両側に沿って摺動させ、平衡摺
動板112がそれぞれサンプリング本体1の左右両側に位置し、サンプリング本体1の平
衡を取るステップと、を含む。
図1
図2
図3
図4
図5