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▶ 下田 猛の特許一覧

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024170274
(43)【公開日】2024-12-06
(54)【発明の名称】酒類
(51)【国際特許分類】
   C12G 3/05 20190101AFI20241129BHJP
   C12H 6/02 20190101ALI20241129BHJP
【FI】
C12G3/05
C12H6/02
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023124772
(22)【出願日】2023-07-31
(31)【優先権主張番号】P 2023087327
(32)【優先日】2023-05-26
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】516156503
【氏名又は名称】下田 猛
(74)【代理人】
【識別番号】100106611
【弁理士】
【氏名又は名称】辻田 幸史
(72)【発明者】
【氏名】下田 猛
【テーマコード(参考)】
4B115
【Fターム(参考)】
4B115LG02
4B115LH08
4B115LH12
4B115NB01
4B115NG02
4B115NG17
4B115NP02
(57)【要約】
【課題】 牛乳焼酎をベースとする酒類を提供すること。
【解決手段】 原材料として牛乳を用いて発酵、蒸留した焼酎に、
(1)卵黄タンパク質加水分解物
(2)ノコギリヤシ
(3)ヒハツ
(4)亜鉛酵母
の4成分を少なくとも混合してなることを特徴とする。
【選択図】 なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
原材料として牛乳を用いて発酵、蒸留した焼酎に、
(1)卵黄タンパク質加水分解物
(2)ノコギリヤシ
(3)ヒハツ
(4)亜鉛酵母
の4成分を少なくとも混合してなることを特徴とする酒類。
【請求項2】
原材料として牛乳を用いて発酵、蒸留した焼酎に、
(1)卵黄タンパク質加水分解物
(2)ノコギリヤシ
(3)ヒハツ
(4)亜鉛酵母
の4成分を少なくとも混合することを特徴とする酒類の製造方法。
【請求項3】
請求項1記載の酒類を製造するための、原材料として牛乳を用いて発酵、蒸留した焼酎の使用。
【請求項4】
請求項1記載の酒類を製造するための、
(1)卵黄タンパク質加水分解物
(2)ノコギリヤシ
(3)ヒハツ
(4)亜鉛酵母
の4成分の使用。
【請求項5】
請求項1記載の酒類を製造するための、原材料として牛乳を用いて発酵、蒸留した焼酎と、
(1)卵黄タンパク質加水分解物
(2)ノコギリヤシ
(3)ヒハツ
(4)亜鉛酵母
の4成分の組み合わせ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、酒類に関する。
【背景技術】
【0002】
原材料として牛乳を用いて発酵、蒸留した焼酎(牛乳焼酎)が知られている。とりわけ、米と牛乳と温泉水を原材料とした牛乳焼酎は、特許文献1において本発明者が開発に成功し、「牧場の夢」の商品名で合資会社大和一酒造元から販売され、好評を博している。この牛乳焼酎は、体によい原材料を用いた焼酎であって、フルーティーな香りと、まろやかな口あたり、酔い覚めのさわやかさといった特徴を有するとともに、頭部にスプレーすることによる発毛効果や、肌荒れやアトピーなどの皮膚障害部分にスプレーすることによる改善効果を発揮するといった特徴を有することは、特許文献1に記載の通りである。しかしながら、牛乳焼酎に他の成分を混合した酒類は、いまだ知られていない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特許第3522187号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
そこで本発明は、牛乳焼酎をベースとする酒類を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記の点に鑑みてなされた本発明の酒類は、請求項1記載の通り、原材料として牛乳を用いて発酵、蒸留した焼酎に、
(1)卵黄タンパク質加水分解物
(2)ノコギリヤシ
(3)ヒハツ
(4)亜鉛酵母
の4成分を少なくとも混合してなることを特徴とする。
また、本発明の酒類の製造方法は、請求項2記載の通り、原材料として牛乳を用いて発酵、蒸留した焼酎に、
(1)卵黄タンパク質加水分解物
(2)ノコギリヤシ
(3)ヒハツ
(4)亜鉛酵母
の4成分を少なくとも混合することを特徴とする。
また、本発明は、請求項3記載の通り、請求項1記載の酒類を製造するための、原材料として牛乳を用いて発酵、蒸留した焼酎の使用である。
また、本発明は、請求項4記載の通り、請求項1記載の酒類を製造するための、
(1)卵黄タンパク質加水分解物
(2)ノコギリヤシ
(3)ヒハツ
(4)亜鉛酵母
の4成分の使用である。
また、本発明は、請求項5記載の通り、請求項1記載の酒類を製造するための、原材料として牛乳を用いて発酵、蒸留した焼酎と、
(1)卵黄タンパク質加水分解物
(2)ノコギリヤシ
(3)ヒハツ
(4)亜鉛酵母
の4成分の組み合わせである。
【発明の効果】
【0006】
本発明によれば、牛乳焼酎をベースとする酒類を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0007】
本発明の酒類は、原材料として牛乳を用いて発酵、蒸留した焼酎に、
(1)卵黄タンパク質加水分解物
(2)ノコギリヤシ
(3)ヒハツ
(4)亜鉛酵母
の4成分を少なくとも混合してなることを特徴とするものである。
【0008】
本発明の酒類は、原材料として牛乳を用いて発酵、蒸留した焼酎に、
(1)卵黄タンパク質加水分解物
(2)ノコギリヤシ
(3)ヒハツ
(4)亜鉛酵母
の4成分を少なくとも混合することによって製造することができる。
【0009】
本発明の酒類のベースとする牛乳焼酎は、原材料として牛乳を用いて発酵、蒸留した焼酎として公知のものでよい(アルコール度数は例えば15~45度)。その具体例としては、特許文献1において本発明者が開発に成功した、米と牛乳と温泉水を原材料とした牛乳焼酎が挙げられる。特許文献1に記載の牛乳焼酎は、「牧場の夢」の商品名で合資会社大和一酒造元から販売されている。
【0010】
牛乳焼酎に混合する成分である卵黄タンパク質加水分解物は、タンパク質加水分解酵素によって卵黄タンパク質を加水分解することで得られ、サプリメントの成分などとして利用されている公知のものでよい。牛乳焼酎への卵黄タンパク質加水分解物の混合量は、牛乳焼酎1000mLに対して例えば20~2000mgである。
【0011】
牛乳焼酎に混合する成分であるノコギリヤシ(ヤシ科、学名:Serenoa repens)は、乾燥させたノコギリヤシの果実を粉末にしたものや果実から抽出されたエキスなど、サプリメントの成分などとして利用されている公知のものでよい。牛乳焼酎へのノコギリヤシの混合量は、牛乳焼酎1000mLに対して例えば2~200mgである。
【0012】
牛乳焼酎に混合する成分であるヒハツ(コショウ科、学名:Piper longum)は、乾燥させたヒハツの果実を粉末にしたものや果実から抽出されたエキスなど、サプリメントの成分などとして利用されている公知のものでよい。牛乳焼酎へのヒハツの混合量は、牛乳焼酎1000mLに対して例えば1~100mgである。
【0013】
牛乳焼酎に混合する成分である亜鉛酵母は、亜鉛含量を高めた食用酵母であり(亜鉛含量は例えば5~15%)、サプリメントの成分などとして利用されている公知のものでよい。牛乳焼酎への亜鉛酵母の混合量は、牛乳焼酎1000mLに対して例えば2~200mgである。
【0014】
上記の4成分は、それぞれ別個に牛乳焼酎に混合してもよいが、上記の4成分をすべて含むサプリメントなどを牛乳焼酎に混合してもよい。上記の4成分をすべて含むサプリメントの具体例としては、リプサ株式会社から販売されている商品名「ケアルナ(HGP配合)」が挙げられる。
【0015】
本発明の酒類は、牛乳焼酎に上記の4成分を少なくとも混合した後、必要に応じて攪拌し、室温にて1~14日間静置した後、溶解せずに残存する沈殿物や浮遊物が存在する場合にはこれらを濾過することで、製造することができる。
【0016】
このように、本発明の酒類は、牛乳焼酎と上記の4成分の組み合わせ(例えば瓶などの容器に入れた牛乳焼酎と袋などの容器に入れた上記の4成分の組み合わせ)があれば、両者を混合することで、誰でも容易に製造することができる。牛乳焼酎と上記の4成分の組み合わせに対し、両者を混合した後に存在し得る溶解せずに残存する沈殿物や浮遊物を濾過するための濾紙などをさらに組み合わせてもよい。
【0017】
こうして製造された本発明の酒類は、ベースとする牛乳焼酎として米と牛乳と温泉水を原材料とした牛乳焼酎を用いた場合、ベースとした牛乳焼酎と同様の、フルーティーな香りと、まろやかな口あたり、酔い覚めのさわやかさといった特徴を有するが、ベースとした牛乳焼酎よりも落ち着きのある大人しい香りと豊かな甘みを醸す。また、ベースとした牛乳焼酎が有する、頭部にスプレーすることによる発毛効果や、肌荒れやアトピーなどの皮膚障害部分にスプレーすることによる改善効果が、ベースとした牛乳焼酎よりも優れたものである。
【実施例0018】
以下、本発明を実施例によって詳細に説明するが、本発明は以下の記載に限定して解釈されるものではない。
【0019】
実施例1:本発明の酒類の製造
米と牛乳と温泉水を原材料とした牛乳焼酎として、合資会社大和一酒造元から販売されている商品名「牧場の夢」(アルコール度数:25度)(以下、単に「牧場の夢」と記す)を、一升瓶に1000mL入れ、さらに、リプサ株式会社から販売されている商品名「ケアルナ(HGP配合)」を7粒入れ、一升瓶に栓をした後、室温にて静置した。10日後、一升瓶の底に存在する沈殿物を濾紙で濾過して取り除き、本発明の酒類(アルコール度数:25度)を得た。
【0020】
なお、上記の「牧場の夢」は、米と牛乳と温泉水(重曹泉水)を原材料として、特許文献1に記載の二度仕込み法によって製造された、弱アルカリ性(pH7~8)の牛乳焼酎である。
【0021】
また、上記の「ケアルナ(HGP配合)」は、以下の成分を含む1粒が125mgの卵黄タンパク質加水分解物加工食品である。
・ 卵黄タンパク質加水分解物(卵を含む、国内製造)
・ ノコギリヤシエキス(アメリカ産:最終加工国インド)
・ ヒハツ末(インドネシア産)
・ 亜鉛酵母(亜鉛10%含有:アメリカ産)
・ セルロース
牛乳焼酎1000mLに対して7粒混合することは、牛乳焼酎1000mLに対して卵黄タンパク質加水分解物を700mg、ノコギリヤシエキスを70mg、ヒハツ末を35mg、亜鉛酵母を70mg混合することに相当する。
【0022】
評価例1:本発明の酒類の評価(その1)
実施例1で製造した本発明の酒類と「牧場の夢」を、4人(85歳男性、80歳女性、78歳男性、56歳女性)にブラインド試飲してもらったところ、全員が、本発明の酒類は「牧場の夢」よりも落ち着きのある大人しい香りと豊かな甘みを醸していると評価した。
【0023】
評価例2:本発明の酒類の評価(その2)
「牧場の夢」を頭部にスプレーすることによる発毛効果を実感している85歳男性と78歳男性に、同じ用法用量で、実施例1で製造した本発明の酒類を頭部にスプレーすることによる発毛効果を評価してもらったところ、両名とも、「牧場の夢」よりも優れた発毛効果(発毛するまでの日数の短縮化や発毛の程度の向上)を実感すると評価した。
【0024】
評価例3:本発明の酒類の評価(その3)
「牧場の夢」を肌荒れ部分にスプレーすることによる改善効果を実感している80歳女性と56歳女性に、同じ用法用量で、実施例1で製造した本発明の酒類を肌荒れ部分にスプレーすることによる改善効果を評価してもらったところ、両名とも、「牧場の夢」よりも優れた改善効果(改善するまでの日数の短縮化や改善の程度の向上)を実感すると評価した。
【0025】
評価例4:牛乳焼酎ではない焼酎をベースとする酒類の評価(比較例)
「牧場の夢」のかわりに、米と温泉水を原材料とした合資会社大和一酒造元から販売されている商品名「温泉焼酎夢(減圧蒸留)」を用いること以外は実施例1と同様にして得た酒類と、酒類のベースとした「温泉焼酎夢(減圧蒸留)」を(いずれもアルコール度数は25度)、「牧場の夢」を頭部にスプレーすることによる発毛効果を実感している85歳男性と78歳男性に、同じ用法用量で、頭部にスプレーすることによる発毛効果を評価してもらったところ、両名とも、いずれも発毛効果を実感できないと評価した。また、「牧場の夢」を肌荒れ部分にスプレーすることによる改善効果を実感している80歳女性と56歳女性に、同じ用法用量で、肌荒れ部分にスプレーすることによる改善効果を評価してもらったところ、両名とも、いずれも改善効果を実感できないと評価した。
【産業上の利用可能性】
【0026】
本発明は、牛乳焼酎をベースとする酒類を提供することができる点において産業上の利用可能性を有する。