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特開2024-170297蒸気排出管ブローバック保護システム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024170297
(43)【公開日】2024-12-06
(54)【発明の名称】蒸気排出管ブローバック保護システム
(51)【国際特許分類】
   F22B 37/44 20060101AFI20241129BHJP
   F22B 1/18 20060101ALI20241129BHJP
   F22B 37/50 20060101ALI20241129BHJP
【FI】
F22B37/44
F22B1/18 Z
F22B37/50
【審査請求】未請求
【請求項の数】14
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2024079706
(22)【出願日】2024-05-15
(31)【優先権主張番号】18/323,711
(32)【優先日】2023-05-25
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】515322297
【氏名又は名称】ゼネラル エレクトリック テクノロジー ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング
【氏名又は名称原語表記】General Electric Technology GmbH
【住所又は居所原語表記】Brown Boveri Strasse 8, 5400 Baden, Switzerland
(74)【代理人】
【識別番号】100105588
【弁理士】
【氏名又は名称】小倉 博
(74)【代理人】
【識別番号】110002848
【氏名又は名称】弁理士法人NIP&SBPJ国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ドゥーピス、ディミトリオス ブイ.
(72)【発明者】
【氏名】ブルーノ、デニス
(72)【発明者】
【氏名】クルジエル、スティーブン
(72)【発明者】
【氏名】ワイアット、スチュワート
(72)【発明者】
【氏名】マローネ、カルメン ジョゼフ
(72)【発明者】
【氏名】ソト バラガン、ウーゴ エンリケ
(57)【要約】
【課題】蒸気排出管及びそれを通る蒸気の流れと共に使用するための蒸気排出管ブローバック保護システムを提供する。
【解決方法】
蒸気排出管ブローバック保護システム(100)は、ベントスタック管(110)及びドリップパン(160)を含んでおり、蒸気排出管(48)の出口端(56)がドリップパン(160)貫通してベントスタック管(110)内に延在している。ドリップパン(160)は、蒸気排出管(48)の周囲に配置された摺動板(220)を含んでおり、蒸気の流れのブローバックは摺動板(220)によるドリップパン(160)の封止を引き起こす。
【選択図】図3

【特許請求の範囲】
【請求項1】
蒸気排出管(48)及びそこを通る蒸気の流れと共に使用する蒸気排出管ブローバック保護システム(100)であって、当該蒸気排出管ブローバック保護システム(100)が、
ベントスタック管(110)と、
ドリップパン(160)と
を備えており、前記蒸気排出管(48)の出口端(56)が前記ドリップパン(160)を貫通して前記ベントスタック管(110)内に延在しており、
前記ドリップパン(160)が、前記蒸気排出管(48)の周囲に配置された摺動板(220)を備えており、
蒸気の流れのブローバックが、前記摺動板(220)によるドリップパン(160)の封止を引き起こす、蒸気排出管ブローバック保護システム(100)。
【請求項2】
前記摺動板(220)が、蒸気の流れのブローバック後に、前記蒸気排出管(48)に沿って上昇して周囲空気が前記ドリップパン(160)内に流入できるように構成されている、請求項1の蒸気排出管ブローバック保護システム(100)。
【請求項3】
前記ベントスタック管(110)が、その下端部(130)に位置する複数の開口(120)を備える、請求項1に記載の蒸気排出管ブローバック保護システム(100)。
【請求項4】
前記ベントスタック管(110)の複数の開口(120)が前記ドリップパン(160)内に位置する、請求項3に記載の蒸気排出管ブローバック保護システム(100)。
【請求項5】
前記ベントスタック管(110)の複数の開口(120)の各開口が矩形形状を含む、請求項3に記載の蒸気排出管ブローバック保護システム(100)。
【請求項6】
前記ベントスタック管(110)の複数の開口(120)が複数のフィレット(140)で隔てられている、請求項3の蒸気排出管ブローバック保護システム(100)。
【請求項7】
前記ベントスタック管(110)と前記ドリップパン(160)とが溶接されている、請求項1に記載の蒸気排出管ブローバック保護システム(100)。
【請求項8】
前記ドリップパン(160)が、第1の端壁(170)と、第1の端壁(170)と反対側の第2の端壁(180)と、第1の端壁(170)と第2の端壁(180)とを連結する側壁(190)とを備える、請求項1に記載の蒸気吐管ブローバック保護システム。
【請求項9】
第1の端壁(170)が、摺動板(220)を支持するように構成された支持棚(210)を備える、請求項8に記載の蒸気排出管ブローバック保護システム(100)。
【請求項10】
第1の端壁(170)がその内部にドレン(250)を備える、請求項8に記載の蒸気排出管ブローバック保護システム(100)。
【請求項11】
第1の端壁(170)、第2の端壁(180)、前記側壁(190)及び前記支持棚(210)が互いに溶接されている、請求項9に記載の蒸気排出管ブローバック保護システム(100)。
【請求項12】
前記摺動板(220)が、前記蒸気排出管(48)を収容するサイズの中央開口(230)を備える、請求項1の蒸気排出管ブローバック保護システム(100)。
【請求項13】
蒸気の流れにブローバックが発生していないときは、前記ベントスタック管(110)と前記摺動板(220)とが所定のクリアランス距離(240)だけ離間している、請求項1記載の蒸気排出管ブローバック保護システム(100)。
【請求項14】
蒸気排出管(48)からドリップパン(160)を通ってベントスタック管(110)に蒸気を流す方法であって、当該方法が、
前記蒸気排出管(48)を通る蒸気の流れを開始するステップと、
前記蒸気排出管(48)から前記ドリップパン(160)への蒸気のブローバックを受けるステップであって、蒸気のブローバックによって前記ドリップパン(160)内に正圧を生じさせて摺動板(220)を押し込んで前記ドリップパン(160)を封止する、ステップと、
蒸気の追加の流れを前記ベントスタック管(110)に流して定常状態を達成するステップであって、蒸気の追加の流れが前記ドリップパン(160)内に負圧を生じて前記摺動板(220)にドリップパン(160)を開かせる、ステップと、
周囲空気を前記ベントスタック管(110)内の蒸気の流れに流すステップと
を含む、方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願及びその成果としての特許は、広義にはコンバインドサイクル電力システムに関連し、さらに具体的には、蒸気ブローバック及び始動時の平衡に達するまでの熱成長による排出管の偏心に適応させるための蒸気排出管ブローバック保護システムに関する。
【背景技術】
【0002】
電力システムは、通例、電力出力の生成に使用される様々なターボ機械を含む。従来のコンバインドサイクル発電プラントでは、1以上の蒸気タービンシステムに動作可能に連結された1以上のガスタービンシステムを用いる。ガスタービンシステムは、膨張(ガス)タービンに結合した圧縮機を含む。膨張タービンは、通常、負荷又は電力出力を生成するための発電機のような外部部品に連結され、その外部部品を駆動する。蒸気タービンシステムは、一般に、中圧(IP)タービンセクションに動作可能に連結された高圧(HP)タービンセクションを含んでおり、中圧(IP)タービンセクションは低圧(LP)タービンに連結されている。ガスタービンシステムの膨張タービンと同様に、各種の蒸気タービンセクションは、発電機のような外部部品の駆動に用いられる。典型的なコンバインドサイクル発電プラントでは、膨張タービンからの排気ガスは排熱回収ボイラ(HRSG)に送られるが、HRSGは効率を高めるため蒸気を再熱して蒸気タービンシステムの様々なタービンセクションに供給するのに用いられる。排熱回収ボイラからの排気ガスは、煙突を介して大気に放出し得る。
【0003】
電力システムの運転中、幾つかの部品は、急激な温度変化のため高い応力及び熱疲労に見舞われることがある。例えば、電力システムを起動する際、排熱回収ボイラは直ちに高温蒸気を発生し始めることがある。この高温蒸気は、排熱回収ボイラのボイラのような各種部品に供給されてから、蒸気ヘッダ及び蒸気出口マニホールドのような出口部品に供給され、蒸気を大気中に排出する。システムが平衡状態に達するまで、部品によっては高温蒸気に暴露されるものもあれば、周囲温度にあるものもあるので、接続された出口部品の位置ずれが起こるおそれがある。
【0004】
蒸気出口マニホールドのもう一つの問題は、蒸気ブローバックである。蒸気ブローバックは、蒸気を最初に下流の配管に排出したときに起こりかねない現象であって、蒸気入口の背後に蒸気のプルームを生じる。蒸気排出管のドリップパンの既存の設計は、蒸気マニホールドからの蒸気ブローバックを防ぐには不十分であった。かかる逃散蒸気は、近くの者に危険を及ぼすおそれがある。
【発明の概要】
【0005】
そこで、本願及びその成果としての特許は、蒸気排出管及びそこを通る蒸気の流れと共に使用するための蒸気排出管ブローバック保護システムを提供する。蒸気排出管ブローバック保護システムは、ベントスタック管とドリップパンとを含んでおり、蒸気排出管の出口端がドリップパンを貫通してベントスタック管内に延在する。ドリップパンは蒸気排出管の周囲に配置された摺動板を含んでおり、蒸気の流れのブローバックが摺動板によるドリップパンの封止を引き起こす。
【0006】
本願及びその成果としての特許は、蒸気排出管からドリップパンを通ってベントスタック管に蒸気を流す方法をさらに提供する。本方法は、蒸気排出管を通る蒸気の流れを開始するステップと、蒸気排出管からドリップパンへの蒸気のブローバックを受けるステップであって、蒸気のブローバックによってドリップパン内に正圧を生じさせて摺動板を押し込んでドリップパンを封止する、ステップと、蒸気の追加の流れをベントスタック管に流して定常状態を達成するステップであって、蒸気の追加の流れがドリップパン内に負圧を生じて、摺動板にドリップパンを開かせる、ステップと、周囲空気をベントスタック管内の蒸気の流れに流すステップとを含む。
【0007】
本願及びその成果としての特許は、さらに、蒸気の流れが通る排熱回収ボイラを提供する。排熱回収ボイラは、蒸気の流れを放出する蒸気排出管と、蒸気排出管からの蒸気の流れを受けるベントスタック管と、蒸気排出管及びベントスタック管を取り囲むドリップパンとを備える。ドリップパンは、蒸気排出管の周囲に配置された摺動板を含んでおり、蒸気の流れのブローバックは摺動板によるドリップパンの封止を引き起こす。
【0008】
本出願及びその成果としての特許の上記その他の特徴及び改良点は、幾つかの図面及び特許請求の範囲と併せて以下の詳細な説明を参酌することによって当業者には明らかになろう。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】ガスタービン、蒸気タービン及び排熱回収ボイラを含む例示的なガスタービンコンバインドサイクル電力システムの概略図。
図2】蒸気排出管の公知のベントスタック管及びドリップパンの概略図。
図3】本願に記載の蒸気排出管ブローバック保護システムの部分断面図。
図4図3の蒸気排出管ブローバック保護システムで使用し得るベントスタック管の下端部の斜視図である。
図5】摺動板が閉位置又は下降位置にある図3の蒸気排出管ブローバックシステムの部分断面図。
図6】摺動板が開位置又は上昇位置にある図3の蒸気排出管ブローバックシステムの側面平面図。
【発明を実施するための形態】
【0010】
ここで図面を参照すると、図面を通して同様の符号は同様の構成要素を示す。図1は、コンバインドサイクル発電システム10の例示的な実施形態の概略図である。コンバインドサイクル発電システム10は、ガスタービンシステム、蒸気タービンシステム及び排熱回収ボイラ(HRSG)を含むことができる。具体的には、コンバインドサイクルシステム10は、第1の発電機14を駆動して電力を発生させるためのガスタービンシステム12を含んでいてもよい。ガスタービンシステム12は、タービン16(例えば膨張タービン)、燃焼器18及び圧縮機20を含んでいてもよい。コンバインドサイクルシステム10は、第2の発電機24を駆動するための蒸気タービンシステム22を含んでいてもよい。蒸気タービンシステム22は、低圧セクション26(LPST)、中圧セクション28(IPST)及び高圧セクション30(HPST)を含んでいてもよい。ガスタービンシステム12及び蒸気タービンシステム22は、図に示すように別個の発電機14及び24を駆動してもよいが、ガスタービンシステム12及び蒸気タービンシステム22は、1本のシャフトを介して単一の負荷を駆動するためにタンデムで利用してもよい。本願に記載の発電機及び部品は、他のタイプの発電システムに組込んでもよい。
【0011】
コンバインドサイクルシステム10は、多段排熱回収ボイラ32を備えていてもよい。ガスタービンシステム12からの加熱排気ガスを排熱回収ボイラ32に導いて、蒸気タービンシステム22の駆動に用いられる蒸気を加熱してもよい。具体的には、排熱回収ボイラ32は排気流路34を介してタービン16に流体接続及び/又は結合しており、排気ガスを排熱回収ボイラ32に供給して、そこでの蒸気の発生及び/又は加熱に利用し得る。同様に、排熱回収ボイラ32は、蒸気を受け取るための1以上の排気導管40並びに蒸気タービンシステム22のセクションに蒸気を供給するための1以上の供給導管42を介して蒸気タービンシステム22のセクションと流体接続及び/又は結合し得る。
【0012】
蒸気タービン22の低圧セクション26からの排気を復水器36に導いてもよい。復水器36からの復水は、次いで、復水ポンプ38を利用して、排熱回収ボイラ32の低圧セクションに導くことができる。排熱回収ボイラ32の1以上の排気スタック44は、排熱回収ボイラ32からガス及び/又は流体を大気中に排気又は放出し得る。本願では、その他の部品及びその他の構成も使用し得る。
【0013】
図2は、公知の排気スタック44の一部の一例を示す。排気スタック44は、蒸気排出管48に取り付けられた安全弁46を含んでいてもよい。なお、蒸気排出管48は、エルボ構成50を有していてもよい。蒸気排出管48の一端は安全弁46に取り付けられ、他端はドリップパン52及びベントスタック管54内に延在していてもよい。具体的には、蒸気排出管48の出口端56は、ドリップパン52を貫通してベントスタック管54内に延在し得る。図に示す通り、蒸気排出管48の直径はベントスタック管54の直径よりも小さく、ベントスタック管54の直径はドリップパン52の直径よりも小さい。
【0014】
上述の通り、蒸気は、例えば、起動手順の際に排気スタック44に放出されることがある。蒸気の温度が高いと、平衡に達するまでの間に、高温部品と周囲温度部品の間に熱的不均衡が生じるおそれがある。さらに、蒸気のブローバックによって、蒸気排出管48から出る際に、蒸気がベントスタック管54に直接放出されずに、ドリップパン52とベントスタック管54の間に漏れてしまうことがある。具体的には、蒸気が蒸気排出管48を通ってベントスタック管54に流れ込み、そこでドリップパン52に逆流してしまう。ドリップパン52は上部が開いているので、こうした蒸気のブローバックは、近くの者に危険な状況を生じかねない。
【0015】
図3及び図4は、本願に記載の蒸気排出管ブローバック保護システム100を示す。蒸気排出管ブローバック保護システム100は、上述の蒸気排出管48或いは任意の加熱流体の供給源と共に使用し得る。蒸気排出管ブローバック保護システム100は、ベントスタック管110を含むことができる。蒸気排出管48の出口56は、ベントスタック管110内に延在している。上述の通り、蒸気排出管48の直径はベントスタック管110の直径よりも小さく、ベントスタック管110の直径はドリップパン160の直径よりも小さい。
【0016】
この例では、ベントスタック管110は、その下端部130に多数の開口120を含むことができる。開口120は、多数のフィレット140の間に画成し得る。開口120は、大体が矩形150の形状であり、一様な形状であってもよいが、あらゆる形状、あらゆる数及びあらゆる間隔を使用し得る。開口120をベントスタック管110の下端部130に形成してもよいし、或いは下端部130が別個の構成要素であってベントスタック管110に接合されるものであってもよい。ベントスタック管110の下端部130の開口120は、開口120がドリップパン160の内部と流体連通するように、ドリップパン160の上端壁180の内側又は下方に位置する。図3に示すように、蒸気排出管48の端部は、開口120を越えて(上方に)延在している。
【0017】
ドリップパン160は、蒸気排出管48とベントスタック管110の間に位置し得る。ドリップパン160は、蒸気排出管48の周囲でその上方に位置する底部又は第1の端壁170と、ベントスタック管110の周囲に位置しかつベントスタック管110に接合される上部又は第2の端壁180と、これら2つの端壁170,180の間に延在する側壁190とを有し得る。各壁170,180,190は、多数の溶接部200又は他のタイプの永続的接続手段によって接続し得る。底部又は第1の端壁170は、そこから垂直に(かつ側壁190に平行に)延在する支持棚210を有していてもよく、支持棚210は蒸気排出管48を囲み、かつ蒸気排出管48から離間している。支持棚210上に摺動板220を配置し得る。摺動板220は、蒸気排出管48の直径に応じたサイズの中央開口230を有することができる。運転中に摺動板220がベントスタック管110に吸い込まれることがないように、摺動板220は、ドリップパン160の直径よりも小さいが、ベントスタック管110の直径よりも大きい直径を有している。摺動板220は、ドリップパン160の壁170,180,190の境界内で蒸気排出管48を上下に操ることができる。摺動板220が支持棚210上に位置するとき、摺動板220とベントスタック管54の下端部130とは所定のクリアランス距離240だけ離間し得る。
【0018】
ドリップパン160の底部又は第1の端壁170には、ドレイン250が形成されていてもよい。上部又は第2の端壁180は、溶接その他の方法でベントスタック管110に固定し得る。本願では、その他の部品及びその他の構成も使用し得る。
【0019】
図5及び図6は、運転中の蒸気排出管ブローバック保護システム100を示す。蒸気が蒸気排出管48に流入し始めると、蒸気排出管48、ベントスタック管110及び他の部品は平衡点に達するまで熱膨張するので、ある程度の偏心が生じることがある。さらに、多少の蒸気ブローバックが発生することもある。具体的には、蒸気の流れが、ベントスタック管110の下端部130に達し、そこの開口120を通して乱流として循環し、ドリップパン160によって画成されるプレナムに流れ込むことがある。この乱流は、図3及び図5に示すように、第1の壁170上の支持棚210に対して摺動板220を押し下げる正の(すなわち大気圧を超える)圧力を生じさせる。この位置は、ドリップパン160を効果的に封止して、蒸気の流れの逃散を防止する。
【0020】
ブローバック後、蒸気の通常流又は層流がベントスタック管110を通過してもよい。平衡(定常状態)状態に達すると、この通常流は、ドリップパン160内の圧力を大気圧未満(すなわち負圧)に低下させる。この圧力低下によって、図6に示すように、摺動板220を蒸気排出管48に沿って支持棚210から引き離すことができる。すると、周囲空気の流れがドリップパン160に吸い込まれ、蒸気の流れに同伴させることができる。具体的には、空気は蒸気排出管48と支持棚210の間から、上昇した摺動板220と支持棚210の上部の間の隙間を通ってドリップパン160の壁170,180,190によって画成されるプレナムに流入する。空気は、ベントスタック管110の下端部130の開口部120からベントスタック管110に入り、蒸気流に同伴される。同伴空気流は、ベントスタック管110の内部に沿った膜の層をもたらし、蒸気の流れの内部の衝撃波をベントスタック管110の壁から緩衝する。
【0021】
蒸気排出管ブローバック保護システム100は、このように、位置的不整合を許容することによって、排気スタック44における部品の複雑な接続を緩和するのに役立つ。同様に、蒸気排出管ブローバック保護システム100は、そこから逃散する蒸気ブローバックから保護する。さらに、こうしたブローバックの後に、蒸気排出管ブローバック保護システム100は、全体的に安定な運転のために、空気を蒸気の流れに同伴させることができる。
【0022】
なお、以上の説明は、本出願及びその成果としての特許の特定の実施形態に関するものにすぎない。当業者であれば、以下の特許請求の範囲によって規定される本開示の技術的思想及び技術的範囲並びにその均等の範囲から逸脱せずに、数々の変更及び修正をなすことができる。
【0023】
本蒸気排出管ブローバック保護システムの追加の態様を、以下の実施態様項に示す。
[実施態様項1]
蒸気排出管及びそこを通る蒸気の流れと共に使用する蒸気排出管ブローバック保護システムであって、当該蒸気排出管ブローバック保護システムが、ベントスタック管及びドリップパンを備えており、蒸気排出管の出口端がドリップパンを貫通してベントスタック管内に延在しており、ドリップパンが、蒸気排出管の周囲に配置された摺動板を備えており、蒸気の流れのブローバックが摺動板によるドリップパンの封止を引き起こす、蒸気排出管ブローバック保護システム。
[実施態様項2]
摺動板が、蒸気の流れのブローバック後に、蒸気排出管に沿って上昇して周囲空気がドリップパン内に流入できるように構成されている、実施態様項1に記載の蒸気排出管ブローバック保護システム。
[実施態様項3]
ベントスタック管が、その下端部に位置する複数の開口を備える、実施態様項1又は実施態様項2に記載の蒸気排出管ブローバック保護システム。
[実施態様項4]
ベントスタック管の複数の開口がドリップパン内に位置する、実施態様項1乃至実施態様項3のいずれか1項に記載の蒸気排出管ブローバック保護システム。
[実施態様項5]
ベントスタック管の複数の開口の各開口が矩形形状を含む、実施態様項1乃至実施態様項4のいずれか1項に記載の蒸気排出管ブローバック保護システム。
[実施態様項6]
ベントスタック管の複数の開口が複数のフィレットで隔てられている、実施態様項1乃至実施態様項5のいずれか1項に記載の蒸気排出管ブローバック保護システム。
[実施態様項7]
ベントスタック管とドリップパンとが溶接されている、実施態様項1乃至実施態様項6のいずれか1項に記載の蒸気排出管ブローバック保護システム。
[実施態様項8]
ドリップパンが、第1の端壁と、第1の端壁と反対側の第2の端壁と、第1の端壁と第2の端壁とを連結する側壁とを備える、実施態様項1乃至実施態様項7のいずれか1項に記載の蒸気排出管ブローバック保護システム。
[実施態様項9]
第1の端壁が、摺動板を支持するように構成された支持棚を備える、実施態様項8に記載の蒸気排出管ブローバック保護システム。
[実施態様項10]
第1の端壁がその内部にドレンを含む、実施態様項8又は実施態様項9に記載の蒸気排出管ブローバック保護システム。
[実施態様項11]
第1の端壁、第2の端壁、側壁及び支持棚が互いに溶接されている、実施態様項9に記載の蒸気排出管ブローバック保護システム。
[実施態様項12]
摺動板が、蒸気排出管を収容するサイズの中央開口を備える、実施態様項1乃至実施態様11のいずれか1項に記載の蒸気排出管ブローバック保護システム。
[実施態様項13]
ベントスタック管と摺動板が、所定のクリアランス距離だけ離間している、実施態様項1乃至実施態様項12のいずれか1項に記載の蒸気排出管ブローバック保護システム。
[実施態様項14]
蒸気排出管からドリップパンを通ってベントスタック管に蒸気を流す方法であって、当該方法が、
蒸気排出管を通る蒸気の流れを開始するステップと、蒸気排出管からドリップパンへの蒸気のブローバックを受けるステップであって、蒸気のブローバックによってドリップパン内に正圧を生じさせて摺動板を押し込んでドリップパンを封止する、ステップと、蒸気の追加の流れをベントスタック管に流して定常状態を達成するステップであって、蒸気の追加の流れがドリップパン内に負圧を生じて摺動板にドリップパンを開かせる、ステップと、周囲空気をベントスタック管内の蒸気の流れに流すステップとを含む、方法。
[実施態様項15]
蒸気の流れが通る排熱回収ボイラであって、当該排熱回収ボイラが、蒸気の流れを放出する蒸気排出管と、蒸気排出管からの蒸気の流れを受けるベントスタック管と、蒸気排出管及びベントスタック管を取り囲むドリップパンとを備えており、ドリップパンが、蒸気排出管の周囲に配置された摺動板を備えており、蒸気の流れのブローバックが、摺動板によるドリップパンの封止を引き起こす、排熱回収ボイラ。
[実施態様項16]
摺動板が、蒸気の流れのブローバック後に、蒸気排出管に沿って上昇して周囲空気がドリップパン内に流入できるように構成されている、実施態様項15に記載の排熱回収ボイラ。
[実施態様項17]
ベントスタック管が、ドリップパン内で、ベントスタック管の下端部に位置する複数の開口を備える、実施態様項15又は実施態様項16に記載の排熱回収ボイラ。
[実施態様項18]
ドリップパンが、第1の端壁と、第1の端壁と反対側の第2の端壁と、第1の端壁と第2の端壁とを連結する側壁とを備えており、第1の端壁が、摺動板を支持するように構成された支持棚を備える、実施態様項15乃至実施態様項17のいずれか1項に記載の排熱回収ボイラ。。
[実施態様項19]
摺動板が中央開口を備えており、摺動板の中央開口が、蒸気排出管を収容するサイズである、実施態様項15乃至実施態様項18のいずれか1項に記載の排熱回収ボイラ。
【符号の説明】
【0024】
48
100
110
160
220


図1
図2
図3
図4
図5
図6
【外国語明細書】